分野から探す

破壊・強度

応力とひずみ・応力集中・疲労・割れと破損・衝撃・座屈

破壊・強度に関係する課題と、使える技術・製品をまとめた入口です。

作業台の上のイラスト。左に、段の所で折れた鋼の軸が2つに分かれて置かれ、破面に起点から広がる縞模様と、ざらざらした最終破断部が見える。中央に、上下に引っ張られる鋼の板と、丸い穴の縁から横に伸びる細いき裂。右に、曲がってしまったL形の金具と、まっすぐな同じ金具
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破壊・強度の課題から探す

困りごと課題
薄く・軽くすると、たわむ・壊れる薄く軽くすると強度が足りない鉄をアルミ・樹脂・複合材に替えて軽くしたい作る前に性能を予測したい
くり返しの力・温度変化で割れる繰り返し荷重・熱サイクルで割れるはんだ付け不良(ボイド・クラック・ブリッジ)を減らしたいケーブルが断線する軸受の寿命を延ばしたい
つないだ所・締めた所が壊れる溶接のブローホール・割れを減らしたいねじ・ボルトがゆるむのを防ぎたい圧入・焼きばめの部品が抜ける・割れる(はめあいを決めたい)
熱処理・溶接・高温で割れる・歪む熱処理で歪む・割れる(焼入れの歪み・焼割れ・脱炭)を減らしたい溶接・成形で歪む・反る高温でも使える材料にしたい
壊れた原因を知りたい・寿命を見極めたい壊れた原因を知りたいボールねじの寿命・剛性を見極めたい

課題ごとの解決技術は、下の「破壊・強度の課題と、解決する技術」にまとめています。

軽くしようと薄くしたら、たわむようになった。大きな力はかけていないのに、軸やボルトがある日折れた。溶接や熱処理のあと、しばらくしてから割れが見つかった。落としたら樹脂のケースが割れた。こうした困りごとは、部品にかかる力(応力)と、部品が耐えられる限界の関係のどこかがずれて起きています(編集部の解説)。

このページは、強度と壊れ方に向き合う技術者のための入口です。強さ(どこまで耐えるか)と、かたさ(どれだけ変形しにくいか)は別であること、壊れ方には「一度の力」「くり返しの力」「時間と環境」「衝撃」の違いがあることを押さえたうえで、応力とひずみ、応力集中、疲労、割れ・破損、衝撃の5つのテーマごとに、しくみと注意点をまとめました。最後に、関係する課題・技術・製品のページへつないでいます。

この分野で扱うテーマ

イラストはAI(Claude)で作成したイメージです。

基本の考え方

応力とひずみ:力を「断面1mm² あたり」に直して比べる

部品にかかる力は、断面積で割った応力(単位は MPa=N/mm²)に直すと、大きさの違う部品どうしでも比べられます。材料を引っ張りながら応力とひずみ(元の長さに対して伸びた割合)を測ったグラフが応力-ひずみ線図で、最初のまっすぐな部分の傾きがヤング率、いちばん高い所の応力が引張強さです。まっすぐな部分を過ぎると、力を外しても元に戻らない変形(塑性変形)が始まります(島津製作所・ミスミの解説)。降伏点がはっきり出るのは一部の鉄鋼材料だけで、ほかの金属ではオフセット法で求める耐力(0.2% 耐力など)を使います(大阪産業技術研究所)。

出典:応力-ひずみ線図|島津製作所、ヤング率(縦弾性係数)とは|ミスミ meviy、技術シート No.26-12 引張試験による耐力の算出|大阪産業技術研究所

強さとかたさは別:高強度の鋼にしても、たわみは減らない

深井製作所の超ハイテン部品の紹介では、超ハイテン化やホットフォーミングで強度は上がるものの、剛性をつかさどるヤング率は、鉄である以上、大きく変えることはできないとし、薄板化で下がる剛性を、設計で断面二次モーメントを大きくして補わなければならないとしています。板の曲げでは、かたさは板厚の3乗、強さは2乗で効きます。MONOist の解説では、厚さ1mm の鉄板を2mm にすると、たわみは8分の1、引張応力は4分の1になるとしています。逆に板厚を0.8倍にすると、重さは0.8倍ですが、曲げの強さは0.64倍、曲げのかたさは0.51倍になります(編集部の計算)。

応力-ひずみ線図の模式図。普通の鋼と高強度の鋼の線は、最初の傾き(ヤング率)がほぼ同じで、高強度の鋼はより高い応力まで耐える。右に、強さ(降伏点・耐力・引張強さ)と、かたさ(ヤング率×断面の形)の違いの説明
図1 強さ(どこまで耐えるか)と、かたさ(どれだけ変形しにくいか)は別(模式図)
出典:島津製作所・深井製作所(MarkLines)の説明をもとに AI(Claude)で作成
棒グラフ。板厚を0.8倍にすると、重さ0.80倍、曲げの強さ0.64倍、曲げのかたさ0.51倍
図2 板を0.8倍に薄くしたときの重さ・強さ・かたさ(編集部の計算)
出典:MONOist の解説と長方形断面の式をもとに AI(Claude)で作成

出典:1,180MPa級超ハイテン embrella製サイドシル(深井製作所)|MarkLines、チリも積もれば予想外:「失敗学」から生まれた成功シナリオ(2)|MONOist

安全率:「壊れる応力」と「かかる応力」の比

MONOist の構造解析の連載(2020年)の例では、SS400(降伏応力245MPa)のブラケットで、フィレットの端の応力35〜40MPa から、安全率は6〜7倍としています。どの応力と比べるかは材料で変わり、同じ連載(2026年)は、延性材料(一般的な鋼材・アルミ)はミーゼス応力で降伏を、脆性材料は最大主応力で割れを判定するとしています。くり返しの力や衝撃がかかるときは、一度の力の安全率だけでは足りず、疲労や衝撃でも確かめます(編集部の解説)。

出典:線形静解析の流れを“ステップ・バイ・ステップ”で理解する 構造解析、はじめの一歩(5)(2020年)|MONOist、主応力とミーゼス応力は何が違うのか 若手エンジニアのための機械設計入門(14)(2026年)|MONOist

強度の検討の進め方

強度の検討は、荷重の大きさ・向き・回数を先に決め、応力を見積もり、どう壊れるかを考えてから、形と材料を決め、試験で確かめると、筋道立てて進められます(編集部の整理)。荷重の回数とかかり方を決めないと、降伏・疲労・座屈のどれで比べるかが決まりません。

強度の検討の5段階の図。荷重を知る、応力を見積もる、壊れ方を考える、形と材料を決める、試験で確かめる。足りなければ前の段階に戻る
図3 強度の検討の進め方(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
  1. 荷重を知る:大きさ・向き・回数・温度・衝撃・使う環境(薬品・水素・腐食)を決めます。
  2. 応力を見積もる:断面と形から応力を計算し、穴や角の応力集中を見ます。形が複雑なら CAE を使います(「応力集中」の節)。
  3. 壊れ方を考える:一度の力(降伏・破断)、くり返し(疲労)、細長い部材の座屈、衝撃、時間がたってからの割れ(「割れ・破損」の節)のどれが先に来るかを考えます。
  4. 形と材料を決める:角の R・断面の形・肉厚、材料・熱処理・表面処理を選びます。
  5. 試験で確かめる:引張・疲労・落下などの試験で確かめ、壊れたら破面を見て原因を調べます(「調べる・確かめる」の節)。

計算例:板を引っ張ったときの応力と安全率

幅40mm・厚さ5mm の SS400 の板を10kN で引っ張ると、応力は10,000N÷(40mm×5mm)=50MPa で、降伏応力245MPa に対する安全率は約4.9です。ところが板の中ほどに小さな丸い穴があると、穴の縁の応力は周りの約3倍(労働安全衛生総合研究所)の約150MPa になり、安全率は約1.6まで下がります(編集部の計算。穴で断面が減る分は無視した、説明のための例です)。くり返しの力がかかる部品なら、さらに疲労で確かめます。

穴なしの板と小さな丸い穴のある板を10kNで引っ張る図。穴なしは応力50MPa・安全率約4.9、穴の縁は約150MPa・安全率約1.6
図4 板を引っ張ったときの応力と安全率の計算例(編集部の計算)
出典:MONOist(SS400 の降伏応力)・労働安全衛生総合研究所(穴の縁で約3倍)の値をもとに AI(Claude)で作成

出典:線形静解析の流れを“ステップ・バイ・ステップ”で理解する 構造解析、はじめの一歩(5)(2020年)|MONOist、溶接継手と応力集中|労働安全衛生総合研究所

応力とひずみ:かたさ不足と座屈

薄く軽くした部材では、壊れる前に「たわむ」「横へ逃げて曲がる(座屈)」ことが先に問題になります。MONOist の座屈の解説では、座屈荷重を Pcr=π²EI/Le²(E はヤング率、I は断面二次モーメント、Le は座屈長さ)で表し、臨界荷重は材料の強度に関する項を含んでいないとしています。丈夫な材料を使うことが必ずしも座屈に強くなることを意味しないこと、脚の長さを2倍にすると座屈に耐える力が4分の1に落ちること、軽量化のために断面を絞った部材は座屈が先に来る領域に入りやすいことを説明しています。

長さLの棒と長さ2Lの棒に上から力をかけた図。長いほうは横に曲がり、耐える力は1/4。右に座屈荷重 Pcr=π²EI÷Le² の式
図5 座屈:細長い・薄い部材は、強さの限界より先に横へ逃げる(模式図)
出典:MONOist「折れる前に曲がる」の説明をもとに AI(Claude)で作成

出典:折れる前に曲がる――テーブル脚の座屈という見落とし|MONOist

かたさを形で上げる方法(リブ・ビード・断面の形)は課題ページ「薄く軽くすると強度が足りない」、材料の置き換えは「鉄をアルミ・樹脂・複合材に替えて軽くしたい」、言葉の意味は 技術の基礎知識「ヤング率」「剛性」で解説しています。

応力集中

穴・角・切欠き・溶接の止端の近くでは、応力が平均より大きくなります(応力集中)。労働安全衛生総合研究所の解説では、平らな板に丸い穴を開けると穴の縁の応力は周りの3倍になるとし、応力集中係数は形の寸法比で決まり、材料の強さには関係しないため、高強度の鋼材に替えても溶接継手の疲労強度は上がらないとしています。対策は、角の丸み(R)を大きくする、断面を急に変えない、溶接の止端を削って丸めたり、小さなピンで打撃して形を丸め圧縮の残留応力を入れたり(超音波衝撃処理。日鉄テクノロジー)することです。

3つの図。広い板の小さな丸い穴の縁は周りの約3倍、段付きの軸の角、溶接の止端に応力が集まる場所を橙の点で示す
図6 応力集中:穴・角・溶接の端に、力が集まる(模式図)
出典:労働安全衛生総合研究所・日鉄テクノロジーの説明をもとに AI(Claude)で作成

出典:溶接継手と応力集中|労働安全衛生総合研究所、超音波衝撃処理技術(UIT)|日鉄テクノロジー

応力を下げても、疲労の寿命が改善しないことがある

MONOist の疲労強度の解説では、角の R を大きくして最大応力が350MPa から210MPa に下がったとする仮の計算例を挙げ、軟鋼では切欠きの影響を表す係数が変わらないため、応力を60%に下げても疲労破断するという予測になることを示し、応力だけで判断しないよう注意しています。

出典:応力集中があるときの金属の疲労強度|MONOist

解析の落とし穴:角の最大応力をそのまま信じない

CAE で応力集中を見るときにも注意が要ります。大阪産業技術研究所のテクニカルシートの片持ち梁の例では、根元の角の最大応力は、メッシュを10mm から0.1mm まで細かくするにつれて239MPa から799MPa へ上がり続けました(特異点)。一方、応力集中部の評価に使うホットスポット応力や線形化応力は、メッシュ0.1〜1mm でほぼ一定(約300MPa)でした。どの値で評価するかを決めてから解析の結果を使います。

棒グラフ。角の最大応力は粗いメッシュ239MPaから細かいメッシュ799MPaへ上がる。ホットスポット応力などは約300MPaでほぼ一定
図7 メッシュの大きさと、片持ち梁の根元の応力
出典:大阪産業技術研究所 テクニカルシート No.24-13 の表1の値をもとに AI(Claude)で作成

出典:テクニカルシート No.24-13「構造解析/応力集中部の評価について」|大阪産業技術研究所

解析の進め方は技術ページ「CAE(構造解析・熱流体解析)」、応力集中を下げる設計は課題ページ「繰り返し荷重・熱サイクルで割れる」で解説しています。

疲労

材料に荷重がくり返しかかると、引張強さや降伏強度より小さな応力でも、小さなき裂が生まれ、少しずつ成長して、やがて壊れます(疲労破壊)。外見上ほとんど変形しないまま進み、ある日突然壊れるのが特徴です。大阪産業技術研究所の技術シートは、機械構造物の7〜8割は疲労破壊であるといわれているとしています。どれだけの応力で何回もつかは S-N 曲線で表し、鉄鋼材料にはそれより低いと壊れなくなる疲労限度がありますが、アルミニウムや銅などの非鉄材料でははっきり現れません(特殊金属エクセル・神戸工業試験場)。

S-N曲線の模式図。横軸は壊れるまでの回数(対数)、縦軸は応力の振幅。鉄鋼は途中から水平になり(疲労限度)、アルミ・銅などは下がり続ける
図8 S-N曲線:くり返しの力の大きさと、壊れるまでの回数(模式図)
出典:特殊金属エクセル・神戸工業試験場の解説をもとに AI(Claude)で作成

出典:技術シート No.98046「金属材料の破面解析」(1999年)|大阪産業技術研究所、疲労強度とは?S-N曲線はどうやって見るのか?|特殊金属エクセル、疲労試験とは|神戸工業試験場

疲労は、生まれる・進む・一気に壊れるの順に進む

疲労破壊は、①応力が集中する表面の一点でき裂が生まれる、②き裂が少しずつ進む、③残った断面が耐えきれずに一気に破断する、の順に進みます。破面には、き裂が進んだ跡が貝殻のような縞模様(ビーチマーク)として残ることがあり、その中心をたどると起点がわかります(神戸工業試験場)。電子顕微鏡で見える細い縞(ストライエーション)の1本1本の間隔は、1回の応力で亀裂が進んだ距離を表します(新潟県工業技術総合研究所)。

3つの円い破面の図。表面の一点で生まれたき裂が、縞模様(ビーチマーク)を残しながら進み、最後に残った断面が一気に破断する
図9 疲労は「生まれる → 少しずつ進む → 一気に壊れる」の順に進む(模式図)
出典:神戸工業試験場・新潟県工業技術総合研究所の説明をもとに AI(Claude)で作成

出典:破面解析・フラクトグラフィー|神戸工業試験場、技術トピックス「金属製品の破損について(疲労破壊)」(2014年)|新潟県工業技術総合研究所

疲労の対策:応力を下げ、表面を強くする

疲労き裂は、引張りの応力がかかる表面から生まれます。応力集中を下げる設計に加えて、ショットピーニングで表面に圧縮の残留応力を入れる方法(東洋精鋼の超音波ショットピーニングでは、必要な部分だけを処理できる)、軟窒化などで表面を硬くして疲労強度を上げる方法(パーカー熱処理工業)があります。温度の上がり下がりで割れる熱疲労では、ダイカスト金型のヒートチェックに冷却回路の見直しやガス軟窒化(プロテリアル)、基板のはんだには、冷熱サイクルでの割れに耐える高耐久はんだ(弘輝)が使われます。

出典:超音波ショットピーニング装置|東洋精鋼、軟窒化プロセス|パーカー熱処理工業、ダイカスト金型のヒートチェックとは?|プロテリアル、「高耐久」はんだとは|弘輝

疲労の対策は課題ページ「繰り返し荷重・熱サイクルで割れる」、はんだの割れは「はんだ付け不良(ボイド・クラック・ブリッジ)を減らしたい」、ケーブルの断線は「ケーブルが断線する」、軸受の転がり疲れは「軸受の寿命を延ばしたい」で解説しています。

割れ・破損:壊れ方の違い

大阪産業技術研究所の技術シートは、金属の破面は延性破壊・脆性破壊・疲労破壊・環境破壊の4種類に大別され、破面には破壊過程の記録とも言うべき特徴が残るとしています。一度の大きな力で大きく変形してから切れたのか、ほとんど変形せずに割れたのか、くり返しの力で少しずつ割れたのかで、対策が変わります。肉眼やルーペの観察で延性破壊と脆性破壊の区別やビーチマークによる疲労の判断ができる場合がありますが、はっきり特定するには走査電子顕微鏡で破面を調べる必要があるとしています。

4つの壊れ方のカード。延性破壊(一度の大きな力・ディンプル)、脆性破壊(一度の力・衝撃・へき開)、疲労破壊(くり返しの力・ビーチマークと最終破断部)、環境破壊(水素・腐食の環境・時間がたって割れる)
図10 金属の壊れ方は大きく4つ(破面は模式図)
出典:大阪産業技術研究所 技術シート No.98046をもとに AI(Claude)で作成

出典:技術シート No.98046「金属材料の破面解析」(1999年)|大阪産業技術研究所

小さな力で、時間がたってから割れる

すぐには割れず、時間がたってから割れるものもあります。日鉄テクノロジーの技術資料は、めっき層が傷付いたり剥がれたりすると母材の露出部から水素が入って遅れ破壊を起こす危険性があり、特に高強度ボルトでは危険性が高くなると言われているとしています。樹脂では、大阪産業技術研究所が、一般に2%前後のひずみで塑性変形を始める樹脂が、環境応力割れでは0.1%程度のひずみで壊れるまでになるとしています。ABS・アクリル・ポリカーボネートなどの非晶性の樹脂は比較的起こしやすいとされます(名古屋市工業研究所)。溶接では、低温割れが溶接後2〜3日以内に出ることが多い(日本溶接協会)ため、検査の時期に注意が要ります。焼入れでは、割れは急冷そのものより冷却速度の緩急の境目にできる内部応力が危ないとされ(日本塑性加工学会「ぷらすとす」)、残留オーステナイトがあとからマルテンサイトに変わって膨張し、割れやひずみが出ることもあります。

5つの行。水素による遅れ破壊(高強度ボルト・めっき品)、応力腐食割れ、樹脂の環境応力割れ(約0.1%のひずみで)、溶接の低温割れ(2〜3日以内が多い)、焼割れ・経年変化
図11 小さな力で、時間がたってから割れるもの(編集部の整理)
出典:日鉄テクノロジー・大阪産業技術研究所・名古屋市工業研究所・日本溶接協会・日本塑性加工学会の資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:技術資料 FTM-2012「めっきボルトの遅れ破壊評価」|日鉄テクノロジー、技術シート No.98037「プラスチックの環境応力割れ」(1998年)|大阪産業技術研究所、名工研ニュース「ソルベントクラック(ケミカルクラック)」|名古屋市工業研究所、Q-05-01-05 溶接欠陥にはどのような種類があり,それぞれどのようにしてできるのですか|日本溶接協会 溶接情報センター、高周波表面熱処理(ぷらすとす 第4巻第38号、2021年)|日本塑性加工学会、工具鋼の熱処理(ぷらすとす 第4巻第38号、2021年)|日本塑性加工学会

溶接の割れは課題ページ「溶接のブローホール・割れを減らしたい」、焼割れは「熱処理で歪む・割れる」、圧入の割れは「圧入・焼きばめの部品が抜ける・割れる」、ねじのゆるみと軸力は「ねじ・ボルトがゆるむのを防ぎたい」、高温での長い時間の変形は 技術の基礎知識「クリープ」で解説しています。

衝撃:落下・衝突

MONOist の家電筐体の落下破損の解説では、衝撃をエネルギーで考え、落下の運動エネルギーは、筐体や内部部品の変形・破壊・振動などに配分されるとしています。多くの樹脂は、ひずみ速度が高いと降伏応力が上がる一方で破断ひずみが下がり、もろい壊れ方をすることがあること、肉厚を薄くした部位は吸収できるエネルギーが減る場合があること、変形を許しにくいかたい構造は、局所の応力が跳ね上がることがあることを説明しています。材料は低温であるほど、応力が衝撃的であるほど、もろく壊れやすくなるとされます(岩石学辞典。コトバンク「脆性」)。CFRP に外側から衝撃のような荷重が加わると、表面上は問題なく見えても内部で層間はく離が起こっている恐れがあるとし、JAXA は超音波探傷装置で内部を調べるとしています。

落下する箱の運動エネルギーが、変形して受け止める、壊れる(割れ)、振動・音などに分かれる図。右にもろくなりやすい条件(低温、力が急にかかる、肉厚を薄くした所、かたすぎる構造)
図12 衝撃は「エネルギー」で考える(模式図)
出典:MONOist の解説・コトバンク「脆性」・JAXA の資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:「材料が原因」は本当か?――家電筐体の落下破損を読み解く|MONOist、脆性|コトバンク、そらとぶ CFRP(sorasora No.17)|JAXA

落下で割れる部品の対策は課題ページ「薄く軽くすると強度が足りない」、CFRP の内部の検査は技術ページ「非破壊検査」、筐体の設計は製品ページ「筐体・ケース」で解説しています。

調べる・確かめる:試験と破損の原因調査

疲労試験では、試験片や部品に一定の大きさの荷重をくり返しかけて破断までの回数を調べ、S-N 曲線を求めます。荷重のかけ方には引張・圧縮、曲げ、ねじりなどがあり、実際の部品が受ける荷重にできるだけ近い方法を選ぶことが大切です(神戸工業試験場)。壊れた部品の原因を調べるときは、北海道立総合研究機構は、設計・製造・使用状況の聞き取り、外観・破断面のマクロ観察、必要があれば顕微鏡でのミクロ観察という流れで行うことが多く、マクロ観察だけで推定できる場合もあるとしています。

壊れた原因の調べ方の5段階の図。聞き取り、外観・破面(マクロ)、破面(ミクロ・SEM)、断面・成分、再現・解析
図13 壊れた原因の調べ方:外から順に、壊さない方法から(編集部の整理)
出典:北海道立総合研究機構・名古屋市工業研究所・福島県ハイテクプラザの資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:疲労試験とは|神戸工業試験場、技術支援成果「ステンレス鋼製ばねの破損解析 事例1」(2020年)|北海道立総合研究機構、技術支援成果「軸状金属部品の破損解析」(2023年)|北海道立総合研究機構

壊れた状態のまま調べる・再現して確かめる

名古屋市工業研究所の事例では、樹脂の不良品がすべてインサートのねじ穴のほぼ同じ位置で割れていたことから、ねじ込みで過度の引張がかかったと推察し、インサートの方法とトルクの管理を厳しくしたところ割れがなくなりました。割れた位置がそろっているかも手がかりになります。電子部品では、東芝ナノアナリシスが、基板に実装された半導体を交換すると不良の原因が失われてしまう可能性が高いので、交換の前に外観検査や X線透過などの非破壊観察が必要だとしています。どこに力が集中していたかは、福島県ハイテクプラザがはんだの割れで行ったように、有限要素法(FEM)の解析で確かめられます。

出典:研究成果集「プラスチック成形品の割れの解明」|名古屋市工業研究所、故障解析(IC・電子部品)|東芝ナノアナリシス、令和元年度試験研究報告「CAE を用いたプリント基板上のはんだクラックの解析」|福島県ハイテクプラザ

原因の調べ方は課題ページ「壊れた原因を知りたい」、壊さずに中を見る方法は技術ページ「非破壊検査」と分野「計測・制御」で解説しています。

よく使う用語

破壊・強度の用語を、力の表し方(応力・ひずみ、ヤング率、降伏点・耐力・引張強さ、応力集中、安全率)、壊れ方(延性破壊・脆性破壊、疲労、座屈、衝撃、遅れ破壊・応力腐食割れ)、確かめ方(引張試験、疲労試験、破面解析、非破壊検査、CAE)の3つに分けた図
図14 破壊・強度の用語は「力の表し方・壊れ方・確かめ方」で分けると覚えやすい(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
用語意味単位
応力部品にかかる力を、断面1mm² あたりに直した値MPa
ひずみ元の長さに対して、伸び縮みした割合―(%)
ヤング率応力とひずみの比。同じ力での変形しにくさ(かたさ)の材料の値GPa
降伏点・0.2% 耐力形が元に戻らなくなり始める応力MPa
引張強さ引張試験でいちばん高い応力MPa
応力集中穴・角・切欠きの近くで、応力が平均より大きくなること―
安全率壊れる(降伏する)応力と、かかる応力の比―
疲労・疲労限度くり返しの力で割れること。疲労限度は、それより低いと壊れない応力(鉄鋼)MPa
S-N 曲線応力の振幅と、壊れるまでの回数の関係を表したグラフ―
座屈細長い・薄い部材が、押す力で横へ逃げて曲がること―
延性破壊・脆性破壊大きく変形してから壊れるか、ほとんど変形せずに割れるか―
ビーチマーク・ストライエーション疲労の破面に残る、き裂が進んだ跡の縞模様―
遅れ破壊・環境応力割れ水素や薬品などで、小さな力でも時間がたってから割れること―

用語の意味は、このページで引用した各資料をもとにした編集部の要約です。

破壊・強度の課題と、解決する技術

このサイトは、課題から、それを解決する技術と企業を探せるようにしています。困りごとに近い課題を選ぶと、課題ページで原因・解決技術・その技術を持つ企業がわかります。緑のボタンは、課題ページの中でその技術を解説している節へ直接移ります。

破壊・強度に関係する技術

反対に、技術から探すときの一覧です。その技術で解決できる課題を並べています。

技術何をするか解決できる課題
形の見直し(R・断面・リブ)応力集中を下げ、少ない材料でかたさを上げる薄く軽くすると強度が足りない繰り返し荷重・熱サイクルで割れる
ピーニング・溶接止端の処理表面に圧縮の残留応力を入れて、き裂を生まれにくくする繰り返し荷重・熱サイクルで割れる繰り返し荷重・熱サイクルで割れる
表面硬化・熱処理表面を硬くして疲労強度を上げる。焼割れ・歪みを抑える繰り返し荷重・熱サイクルで割れる熱処理で歪む・割れる(焼入れの歪み・焼割れ・脱炭)を減らしたい
材料の置き換え(ハイテン・アルミ・CFRP)強さ・重さ・かたさのバランスを変える鉄をアルミ・樹脂・複合材に替えて軽くしたい薄く軽くすると強度が足りない
CAE(構造解析)作る前に応力・たわみ・座屈を予測する作る前に性能を予測したい圧入・焼きばめの部品が抜ける・割れる(はめあいを決めたい)
非破壊検査・破面解析中のきずを見つけ、壊れた原因を調べる溶接のブローホール・割れを減らしたい壊れた原因を知りたい

破壊・強度に関係する製品

ほかの分野:材料(物性・劣化)(材料の強さと劣化)、機構・運動(締結・動力伝達)、熱(熱応力・熱疲労)、計測・制御(非破壊検査)。用語は 技術の基礎知識「ヤング率」「剛性」「クリープ」「線膨張係数」

出典・参考

情報の確認日:2026年10月6日 本ページの内容は一般的な説明で、実際の強度・寿命は材料・形・荷重のかかり方・温度・使う環境により異なります。数値の計算例は説明のための例です。図とテーマのイラストはAI(Claude)で作成した概念図、冒頭の画像はAI(ChatGPT)で生成したイメージ画像です。

破壊・強度に関係する課題

破壊・強度に関係する技術

破壊・強度の技術の基礎知識

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