工場の機械や電子機器は、いつかは故障します。そのとき知りたいのは「どのくらいの間隔で壊れるのか」と「壊れたら、どのくらいで直るのか」の2つです。前者の平均が MTBF(平均故障間隔)、後者の平均が MTTR(平均修復時間)です。このページでは、MTBF・MTTR・MTTF の意味と計算のしかた、2つから出す稼働率、故障率との関係と「MTBF は寿命ではない」理由、装置をつないだときの考え方、ものづくりでの使い方を、できるだけやさしく説明します。
ひとことで言うと
MTBF・MTTR とは
MTBF(Mean Time Between Failures、平均故障間隔)は、故障してから次に故障するまでに、動いている時間の平均です。日本語版ウィキペディアは、機械システムや情報システムなどの信頼性を表す指標とし、「稼働時間 ÷ 故障回数」で求められるとしています。
MTTR(Mean Time To Repair、平均修復時間)は、故障が起きてから、修復が終わるまでの時間の平均です(日本語版ウィキペディア)。東北大学の講義資料は、MTTR を、故障を見つけてから直すまでのしやすさ(保守性)を表す指標とし、MTTR が小さいほど保守性がよいとしています。

出典:ウィキペディア日本語版、高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
コーセルは、MTBF を、故障のたびに修理しながら使う製品の、故障から故障までの無事故時間の平均で、修理の時間は含まないと説明しています。上の図のように、動いている時間(紺)の平均が MTBF、止まっている時間(オレンジ)の平均が MTTR です(説明のための例。編集部の計算)。
出典:平均故障間隔|ウィキペディア日本語版、平均修復時間|ウィキペディア日本語版、高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、MTBFとは何か教えてください。|よくあるご質問(コーセル)
MTBF・MTTR の計算のしかた

出典:MONOist、高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
日本語版ウィキペディアは、MTBF = システムの稼働時間 ÷ 故障回数 とし、例として、1個のシステムを100万時間動かして10回故障したら、MTBF は10万時間になるとしています。
工場の設備では、MONOist の設備管理の連載(福田祐二氏)が、設備保全の指標として、MTBF =(負荷時間 − 故障停止時間)÷ 故障停止回数、MTTR = 修復時間 ÷ 故障停止回数 という計算を紹介しています。負荷時間は、設備を動かす予定だった時間です(編集部の補足)。同じ連載は、MTTR の修復時間を、故障して修復したあと、良品の生産を始めるまでに費やした時間としています。「直った」ではなく「良品がまた作れるようになった」までを数えるのが、生産設備らしいところです。
たとえば、負荷時間500時間のうちに4回故障し、止まっていた時間が合わせて20時間なら、MTBF =(500 − 20)÷ 4 = 120時間、MTTR = 20 ÷ 4 = 5時間です(説明のための例。編集部の計算)。
出典:平均故障間隔|ウィキペディア日本語版、機械設備の高い信頼性なくして、高精度の生産管理は存在しない(福田祐二、2022年)|MONOist
MTTF との違い:直して使うか、交換するか

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、リレー基本情報(パナソニック インダストリー)、よくあるご質問(コーセル)をもとに AI(Claude)で作成
MTTF(Mean Time To Failure、平均故障時間)は、修理せずに交換・廃棄するものが、壊れるまでの時間の平均です。東北大学の講義資料は、MTBF を車やコンピューターのような修理しながら使うもの(修理系)、MTTF を部品類のような修理せずに交換するもの(非修理系)に当てはめています。パナソニック インダストリーのリレーの解説も、MTBF は修理しながら使う系、MTTF は修理しないリレーなどに使うとしています。
ただし、言葉の使い方はメーカーによって少し違います。コーセルは、MTBF は使い始めてから、または故障から回復してから次に故障するまでの平均の時間、MTTF は使い始めてから故障するまでの時間とし、MTBF は修理できるものにも、できないものにも広く使われているとしています。カタログの数字を見るときは、どちらの意味で書かれているかを確かめます(編集部の解説)。
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、信頼性について|リレー基本情報(パナソニック インダストリー)、故障時間について、MTBFとMTTFの違いについて教えてください。|よくあるご質問(コーセル)
MTBF と MTTR から稼働率を出す
稼働率(アベイラビリティ)
稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR)
使いたいときに使える状態になっている時間の割合。東北大学の講義資料は、定常アベイラビリティとも呼ばれるとしている
東北大学の講義資料は、稼働率をシステムが使える状態にある確率とし、上の式で表しています。そして、MTBF が同じでも、MTTR が小さいほうが稼働率は高いので、故障を早く見つけられ、修理しやすいシステムが大切だとしています。

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
上の図の機械A と機械C は、稼働率がどちらも96%です。でも、C は止まる回数が半分で、1回の修理が2倍長くかかります。稼働率が同じでも、止まる回数と1回の長さで、現場の困り方は変わるので、MTBF と MTTR を分けて見ることが大事です(編集部の解説)。
稼働率の数字の小さな違いが、1年(8,760時間)で止まる時間ではどのくらいになるかを計算すると、次のようになります(編集部の計算)。
| 稼働率 | 1年で止まる時間 | 読み方(編集部) |
|---|---|---|
| 99% | 約87.6時間 | 約3日と16時間 |
| 99.9% | 約8.8時間 | 1日の勤務より少し長い |
| 99.99% | 約53分 | 1時間に満たない |
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)
故障率と MTBF:「MTBF 100万時間」の読み方
故障率 λ(ラムダ)は、動いているものが単位時間あたりに壊れる割合です。東北大学の講義資料は、故障率 λ が一定のとき、MTBF = 1 ÷ λ(MTTF も同じ)としています。故障率がとても小さい部品では、FIT(フィット。1 FIT = 10⁻⁹/時間、つまり10億時間に1回)という単位を使います(パナソニック インダストリー、東北大学の講義資料)。たとえば 1,000 FIT は 10⁻⁶/時間なので、MTBF にすると100万時間です(編集部の計算)。

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
東北大学の講義資料は、故障率が一定のときの信頼度(ある時間まで壊れずに動く確率)を R(t) = e^(−λt) としています。t に MTBF(= 1 ÷ λ)を入れると R = e⁻¹ ≒ 0.368 なので、MTBF と同じ時間だけ使うと、壊れずに残るのは約37%で、6割以上は一度は壊れていることになります(編集部の計算)。「MTBF の時間まではほとんど壊れない」という意味ではありません。

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、ウィキペディア日本語版をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
100万時間は約114年です。でも、MTBF 100万時間の機器を1万台、1年間動かし続けると、合わせて8,760万台・時間なので、故障率が一定なら1年に約88回の故障が起きる(1台あたり約0.9%)計算になります(編集部の計算)。MTBF は「たくさん使ったときに、どのくらいの割合で壊れるか」の目安で、1台が何年もつかを表す数字ではありません。
MTBF は寿命ではない

出典:ウィキペディア日本語版、よくあるご質問(コーセル)をもとに AI(Claude)で作成
日本語版ウィキペディアは、MTBF の出し方では摩耗や経年劣化を考えないので、耐用年数とは必ずしも一致しないと注意しています。上の計算も、故障率が一定の期間(偶発故障期)だけを考えたもので、古くなって故障率が上がる摩耗故障は入っていません(基礎知識「バスタブ曲線・ワイブル分布」)。
たとえば電源メーカーのコーセルは、各機種の MTBF をダウンロードページで公開する一方、AC-DC 電源の交換の時期については、電源の推定寿命の値を目安に考えるよう案内し、推定寿命のグラフと電解コンデンサーの寿命の資料を別に用意しています。交換の時期は MTBF ではなく、寿命の数字で考えます(編集部の解説)。
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、信頼性について|リレー基本情報(パナソニック インダストリー)、平均故障間隔|ウィキペディア日本語版、MTBFとは何か教えてください。|よくあるご質問(コーセル)、AC-DC電源の交換時期はどれくらいですか。|よくあるご質問(コーセル)
装置をつなぐと:直列と並列

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
東北大学の講義資料は、すべての部分が正常なときだけ全体が動く直列のシステムでは、全体の稼働率はそれぞれの稼働率のかけ算になり、どれか1つが動けば全体が動く並列のシステムでは、稼働率は 1 −(1 − 稼働率1)×(1 − 稼働率2)×… になるとしています。並列の例として、冗長システム(予備を持たせたしくみ)で切り替えが完全にうまくいく場合を挙げています。
同じ資料は、それぞれの故障が独立で故障率が一定なら、直列の全体の故障率は、それぞれの故障率の足し算になるとしています。MTBF 3万時間の装置を3つ直列にすると、全体の故障率は3倍になり、全体の MTBF は1万時間です(編集部の計算)。生産ラインのように、機械を何台も直列に並べるほど、どこかで止まる回数は増えます(編集部の解説)。
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)
ものづくりでどう効くか

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、ウィキペディア日本語版、MONOistをもとに AI(Claude)で作成
MTBF を延ばす:MONOist の連載は、MTBF が大きいほど設備の信頼性が高いとしています。壊れやすい部品を壊れる前に替える、振動や温度を見て異常に早く気づく、設計の段階で壊れ方を洗い出す、同じ故障を繰り返さない、といった手があります(編集部の解説。課題「状態を検知したい」、「設計の段階で故障を洗い出したい(FMEA・FTA)」、「不良の再発を防ぎたい」)。同じ連載は、ベアリングやセンサーなどの部品の寿命の平均(MTTF)を知っておくと、点検や交換の頻度を決めるのに役立つとしています。
MTTR を縮める:日本語版ウィキペディアは、MTTR を左右するものとして、修理しやすさを考えた設計、前もって整えた修理の体制、技術者の能力を挙げています。故障をすぐ見つけて場所を示すしくみ、予備品、交換しやすい構造(ユニット化)、手順書、二重化などがこれにあたります(編集部の解説)。原因がわからず修理が長引く故障は、課題「再現しない不具合の原因を突き止めたい」や「機械の異音の原因を突き止めたい」も参考になります。
まず記録をとる
MTBF と MTTR は、止まった日時・直った日時・原因を記録しておけば、だれでも計算できます。どちらが効くかは、止まる回数と1回の長さの記録を見て決めるのが近道です。止まる回数が多いなら MTBF を、1回が長いなら MTTR を先に改善します(編集部の解説)。
出典:機械設備の高い信頼性なくして、高精度の生産管理は存在しない(福田祐二、2022年)|MONOist、平均修復時間|ウィキペディア日本語版
似ている言葉との違い

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、リレー基本情報(パナソニック インダストリー)、ウィキペディア日本語版をもとに AI(Claude)で作成
MTBF・MTTFは壊れるまでの「平均の時間」、MTTRは直るまでの「平均の時間」、稼働率は使える時間の「割合」、故障率は単位時間あたりに壊れる「割合」です。軸受などで使う B10 寿命は「全体の1割が壊れるまでの時間」で、平均とは別のものです(基礎知識「バスタブ曲線・ワイブル分布」)。数字を比べるときは、同じ種類の数字どうしで比べることが大切です(編集部の解説)。
MTBF・MTTR が出てくるページ
出典
- 平均故障間隔|ウィキペディア日本語版
- 平均修復時間|ウィキペディア日本語版
- 高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)
- MTBFとは何か教えてください。|よくあるご質問(コーセル)
- 機械設備の高い信頼性なくして、高精度の生産管理は存在しない(福田祐二、2022年)|MONOist
- 信頼性について|リレー基本情報(パナソニック インダストリー)
- 故障時間について、MTBFとMTTFの違いについて教えてください。|よくあるご質問(コーセル)
- AC-DC電源の交換時期はどれくらいですか。|よくあるご質問(コーセル)
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年10月7日
