リチウム電池とリチウムイオン電池の違い(充電できるか・電圧・型番の見分け方・飛行機と捨て方の決まり)

作業台の上に並んだ、銀色のコイン形電池3枚と円筒形の電池、薄いラミネート形の電池パック、青い円筒形の充電式電池2本のイメージ

「リチウム電池」と「リチウムイオン電池」は名前がよく似ていますが、別の電池です。リチウム電池(リチウム一次電池)は、負極に金属のリチウムを使った、充電できない使い切りの電池で、リチウムイオン電池は、リチウムイオンが正極と負極を行き来する、充電して繰り返し使える二次電池です(ウィキペディア日本語版「リチウム電池」、パナソニックのよくある質問)。このページでは、しくみ・種類と電圧・型番の見分け方・使い分け・飛行機に乗るときや捨てるときの決まりの違いを、図と表で説明します。

目次

リチウム電池とリチウムイオン電池の違い:ひとことで言うと

リチウム電池とリチウムイオン電池

いちばんの違いは充電できるかどうかです。リチウム電池は一次電池(使い切り)、リチウムイオン電池は二次電池(充電式)です。リチウム電池は負極に金属リチウムを使い、リチウムイオン電池は負極にリチウムイオンを取り込ませて使います(ウィキペディア日本語版「リチウム電池」)。

左に負極が金属リチウムで使い切りのリチウム電池、右に負極が黒鉛などで充電して繰り返し使うリチウムイオン電池を並べ、主な用途を書いた図
図1 リチウム電池とリチウムイオン電池のいちばんの違い
出典:ウィキペディア日本語版「リチウム電池」、ウィキペディア日本語版「リチウムイオン二次電池」をもとに AI(Claude)で作成
くらべる点リチウム電池(リチウム一次電池)リチウムイオン電池(二次電池)
充電できない(使い切り)できる(繰り返し使える)
負極金属リチウム黒鉛など(リチウムイオンを取り込む)
1個の電圧(公称)3.0 V(二酸化マンガン系・フッ化黒鉛系)など3.6〜3.7 V(コバルト酸リチウム系)
得意なこと少しずつ長く使う・長く保存する大きな電気を出し入れして、何度も使う
主な用途リモコン・時計・電子メーター・住宅用火災警報器携帯電話・ノートパソコン・電気自動車・蓄電システム
型番の表示の例CR2032 など(頭に CR・BR・ER など)製品ごとの型番(「Li-ion」の表示など)

(表は、ウィキペディア日本語版「リチウム電池」「リチウムイオン二次電池」、JBRC「不要電池の出し方」をもとに編集部がまとめたもの)

出典:リチウム電池|ウィキペディア日本語版、リチウムイオン二次電池|ウィキペディア日本語版、リチウム電池・ボタン形電池使い方の注意事項(PZ19236)|パナソニック よくあるご質問

しくみの違い:金属リチウムか、リチウムイオンの行き来か

左のリチウム一次電池では負極の金属リチウムが正極へ一方向に移って反応し、右のリチウムイオン電池では放電と充電でリチウムイオンが正極と負極のあいだを行き来することを示した模式図
図2 中で起きていることの違い(模式図)
出典:ウィキペディア日本語版「リチウム電池」、ウィキペディア日本語版「リチウムイオン二次電池」をもとに AI(Claude)で作成

リチウム電池(一次電池)

リチウム電池は、負極に金属リチウム、正極に二酸化マンガンやフッ化黒鉛などを使い、電解液には水を含まない有機電解液を使います(ウィキペディア日本語版「リチウム電池」)。電気を取り出すと、負極のリチウムが正極の物質と反応していき、反応しきったら電池は終わりです。もとに戻すようには作られていないので、充電はできません。

リチウムイオン電池(二次電池)

リチウムイオン電池は、正極にコバルト酸リチウムなどリチウムを含む金属の酸化物、負極に黒鉛などを使います。電気を取り出すとき(放電)はリチウムイオンが負極から正極へ移り、充電するとリチウムイオンが正極から負極へ戻ります(ウィキペディア日本語版「リチウムイオン二次電池」)。リチウムイオンの行き来をくり返せるので、何度も充電して使えます。くり返せる回数(サイクル寿命)は、正極の材料などの種類によって数百回から、リン酸鉄リチウム系のように数千回を超えるものまで幅があります(同)。

名前の「イオン」は、金属のリチウムのままではなく、イオンの形で電極に出入りすることを表しています。電池の種類と選び方は技術:リチウムイオン電池で、技術者向けにくわしく説明しています。

出典:リチウム電池|ウィキペディア日本語版、リチウムイオン二次電池|ウィキペディア日本語版

種類と電圧の違い

二酸化マンガンリチウムとフッ化黒鉛リチウムが3.0V、塩化チオニルリチウムが3.6V、硫化鉄リチウムが1.5V、リチウムイオン電池が3.6〜3.7V、ニッケル水素電池が1.2Vであることを示した横棒グラフ
図3 電池の種類ごとの公称電圧(1個あたり)
出典:ウィキペディア日本語版「リチウム電池」、ウィキペディア日本語版「リチウムイオン二次電池」をもとに AI(Claude)で作成

リチウム電池(一次電池)の種類

リチウム電池は、正極の材料で種類が分かれ、型番の1文字目の記号で表します(国際規格 IEC 60086 の決まり。ウィキペディア日本語版「リチウム電池」)。

記号種類正極の材料公称電圧
Bフッ化黒鉛リチウム電池フッ化黒鉛3.0 V
C二酸化マンガンリチウム電池二酸化マンガン3.0 V
E塩化チオニルリチウム電池塩化チオニル3.6 V
F硫化鉄リチウム電池硫化鉄1.5 V
G酸化銅リチウム電池酸化銅1.5 V

(どれも負極はリチウム。ウィキペディア日本語版「リチウム電池」)

身近なコイン形の「CR」は二酸化マンガンリチウム電池で、マクセルのコイン形「CR」は公称電圧がどれも 3 V です。自己放電(使わなくても少しずつ減ること)は1年に約1%と小さく、使える温度は −20〜+85 ℃(標準品)です。ただし 0〜+40 ℃ を外れる温度で使うときは、使う条件をメーカーに確かめるよう注意書きがあります(マクセルの製品ページ)。

リチウムイオン電池の電圧

リチウムイオン電池の公称電圧は、コバルト酸リチウム系で 3.6〜3.7 V です(ウィキペディア日本語版「リチウムイオン二次電池」)。同じ「リチウム」の名前でも、リチウム電池の 3 V とリチウムイオン電池の 3.6〜3.7 V では電圧が違うので、機器の電池をほかの種類に替えることはできません(編集部の補足)。

ニッケル水素電池との違い

同じ充電式の電池でも、ニッケル水素電池の公称電圧は 1.2 V で、リチウムイオン電池の約3分の1です。使わずに置いたときに減る量(自己放電)は、ニッケル水素電池のほうが多いとされています(ウィキペディア日本語版「リチウムイオン二次電池」)。

出典:リチウム電池|ウィキペディア日本語版、コイン形二酸化マンガンリチウム電池「CR」|マクセル、リチウムイオン二次電池|ウィキペディア日本語版

型番と表示で見分ける

CR2032の型番を、二酸化マンガンリチウムを表すC、円形を表すR、直径20mmを表す20、厚さ3.2mmを表す32に分けて、コインの絵と寸法を添えた図
図4 コイン形リチウム電池の型番の読み方(例:CR2032)
出典:ウィキペディア日本語版「IEC 60086」、パナソニックのよくある質問、ウィキペディア日本語版「リチウム電池」をもとに AI(Claude)で作成

コイン形リチウム電池の型番は、たとえば「CR2032」です。1文字目の「C」が二酸化マンガンリチウムの系、2文字目の「R」が円形であること、数字4桁のうち前の2桁が直径、後ろの2桁が厚さを表し、CR2032 は直径 20 mm・厚さ 3.2 mm です(ウィキペディア日本語版「IEC 60086」「リチウム電池」。パナソニックのよくある質問も、品番の4桁が電池の直径と厚みを表すと説明しています)。

頭に BR・CR・ER と書いてある電池は、充電できないリチウム一次電池です。JBRC は、これらを充電式電池の回収の対象外としています(JBRC「不要電池の出し方」)。リチウムイオン電池は、電池や機器に「Li-ion」と書かれていることが多く、リサイクルの表示が付いています(編集部の補足)。

リチウム電池を充電してはいけない

パナソニックは、コイン形リチウム電池は一次電池のため、充電すると破裂や液漏れの危険があるとして、充電しないよう注意しています(パナソニックのよくある質問)。充電式の電池と同じ充電器や回路につながないようにします。

出典:IEC 60086|ウィキペディア日本語版、コイン形リチウム電池の品番の意味(PZ24324)|パナソニック よくあるご質問、リチウム電池|ウィキペディア日本語版、不要電池の出し方|一般社団法人JBRC、リチウム電池・ボタン形電池使い方の注意事項(PZ19236)|パナソニック よくあるご質問

飛行機・捨てるときの決まりの違い

ワット時定格量の計算式と例、100Wh以下・100Wh超160Wh以下・160Wh超の3つの区分ごとの機内持ち込みの決まり、モバイルバッテリーを預け入れできないことなどをまとめた図
図5 飛行機に乗るときのリチウムイオン電池の区分(2026年4月24日からの国内のルール)
出典:国土交通省の報道発表資料、国土交通省航空局のお知らせをもとに AI(Claude)で作成

飛行機に乗るとき

リチウムイオン電池の大きさは、ワット時定格量(Wh)=定格容量(mAh)×定格電圧(V)÷1,000で表します。たとえば 27,000 mAh・3.7 V のモバイルバッテリーは 99.9 Wh です(国土交通省の報道発表資料)。

2026年4月24日からの国内のルールでは、モバイルバッテリーは預け入れの荷物に入れることが禁止で、機内に持ち込めるのは 160 Wh 以下のものを2個までです。160 Wh を超えるものは持ち込めません。予備の電池は 100 Wh 以下なら個数の制限がなく、端子に絶縁テープを貼るなどしてショートしないよう1個ずつ保護します。機内でモバイルバッテリーを充電すること、モバイルバッテリーからほかの機器を充電することもしないよう求められています(国土交通省の報道発表資料)。航空会社によっては、さらに厳しい決まりがあります(同)。

一方、リチウム一次電池(リチウム金属電池)は、Wh ではなくリチウムの量(g)で条件が決まります。たとえば、航空会社などが機内で使う電子機器の条件として、国土交通省は「リチウム金属電池はリチウム含有量 2 g 以下、リチウムイオン電池はワット時定格量 100 Wh 以下」と示しています(国土交通省航空局のお知らせ)。

捨てるとき

JBRC は、会員企業のリチウムイオン電池などの小形充電式電池を、協力店や協力自治体で回収しています。出すときは金属の端子を絶縁テープで覆い、モバイルバッテリーは分解せずに本体ごと出します。BR・CR・ER と表示のあるリチウム一次電池や、ボタン電池・コイン電池は JBRC の回収の対象外です(JBRC「不要電池の出し方」)。リチウム一次電池の出し方は、住んでいる自治体の決まりに従います(編集部の補足)。

発火の事故に気をつける

NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2021〜2025年の5年間に通知されたリチウムイオン電池を使った製品の事故は 2,140 件で、製品別ではモバイルバッテリーがいちばん多くなっています(NITE の注意喚起。原因がわからず電池が原因の可能性があるものを含みます)。電池の熱暴走のしくみと対策は課題:電池の熱暴走・発火を防ぎたいで説明しています。

出典:モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて(2026年4月14日 報道発表資料・別紙1「旅客の皆様へ」)|国土交通省、航空局からのお知らせ No.111(2026年4月23日)モバイルバッテリーの機内持込みルールの変更について|国土交通省、不要電池の出し方|一般社団法人JBRC、「夏バテ(夏のバッテリー)」にご注意を(2026年7月15日)|NITE 製品評価技術基盤機構

よくある質問

リチウム電池とリチウムイオン電池はどう見分けますか

型番の頭に CR・BR・ER などがあればリチウム電池(一次電池)です。「Li-ion」の表示があればリチウムイオン電池(二次電池)です。わからないときは、電池や機器の取扱説明書で確かめます。

リチウム電池は充電できますか

できません。一次電池なので、充電すると破裂や液漏れの危険があります(パナソニックのよくある質問)。

CR2032 の代わりにリチウムイオン電池を入れてもよいですか

いいえ。電圧も形も違うので入れ替えられません。機器に指定された型番の電池を使います。

リチウムイオン電池とリチウムポリマー電池は違うものですか

リチウムポリマー電池は、電解質をゲル状にしたリチウムイオン電池の一種です(ウィキペディア日本語版「リチウムイオン二次電池」)。

出典

  1. リチウム電池|ウィキペディア日本語版
  2. リチウムイオン二次電池|ウィキペディア日本語版
  3. リチウム電池・ボタン形電池使い方の注意事項(PZ19236)|パナソニック よくあるご質問
  4. コイン形二酸化マンガンリチウム電池「CR」|マクセル
  5. IEC 60086|ウィキペディア日本語版
  6. コイン形リチウム電池の品番の意味(PZ24324)|パナソニック よくあるご質問
  7. 不要電池の出し方|一般社団法人JBRC
  8. モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて(2026年4月14日 報道発表資料・別紙1「旅客の皆様へ」)|国土交通省
  9. 航空局からのお知らせ No.111(2026年4月23日)モバイルバッテリーの機内持込みルールの変更について|国土交通省
  10. 「夏バテ(夏のバッテリー)」にご注意を(2026年7月15日)|NITE 製品評価技術基盤機構

※図は、出典の説明をもとに編集部がまとめた模式図です。

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。

情報の確認日:2026年11月6日

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