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電気・磁気

ノイズ・EMC・導電と絶縁・磁性・電力損失・静電気

電気・磁気に関係する課題と、使える技術・製品をまとめた入口です。

作業台の上のイラスト。左に、積層した鉄心に銅のコイルを巻いたモーターの断面と、そのまわりの磁力線。中央に、チップとコイルの載った基板と、リング形のフェライトコアを通した電源ケーブル。右に、基板から外した金属のシールドのふた
AI(ChatGPT)で生成したイメージ画像

電気・磁気の課題から探す

困りごと課題
ノイズで誤作動する・値が乱れるノイズで誤作動する・EMCに通らないノイズでセンサー値が乱れる再現しない不具合の原因を突き止めたい
つながらない・切れる・配線を減らしたいコネクターの接触不良を防ぎたいケーブルが断線する配線をなくしたい
損失が大きい・熱い・効率を上げたい電源の変換効率を上げたいモーターの損失を減らしたい小型のまま出力を上げたい
磁石・磁性材料を見直したいレアアースを使わずに作りたい
静電気・部品の入れ替え異物が混入する生産終了部品を置き換えたい

課題ごとの解決技術は、下の「電気・磁気の課題と、解決する技術」にまとめています。

ノイズで機械が誤作動する、センサーの値が乱れる、コネクターがときどき接触不良を起こす、電源やモーターが熱くて効率が上がらない、乾いた季節に部品が静電気で壊れる。電気・磁気の困りごとは、目に見えない所で起きるため、原因を見つけにくいのが特徴です(編集部の解説)。

このページは、電気と磁気の問題に向き合う技術者のための入口です。抵抗と発熱、電気と磁気のつながりという基本を押さえたうえで、ノイズ・EMC、導電と絶縁、磁性材料、電力損失、静電気の5つのテーマごとに、しくみと注意点をまとめました。最後に、電気・磁気に関係する課題・技術・製品のページへつないでいます。

この分野で扱うテーマ

イラストはAI(Claude)で作成したイメージです。

基本の考え方

電流が流れると、抵抗で熱になる

電気の基本は、電圧(V)・電流(I)・抵抗(R)の関係「V=I×R」(オームの法則)です。抵抗に電流が流れると、I²×R の電力が熱になります(ジュール熱)。電流が2倍になれば熱は4倍です。電線・コイル・コネクターの接点・半導体にも抵抗があるので、発熱・効率・電圧の落ちといった困りごとの多くは、この関係から考え始められます(編集部の解説)。

電池と抵抗の回路図と、オームの法則 V=I×R、抵抗で熱になる電力 P=I²×R の説明。電流が2倍なら熱は4倍
図1 電気の基本:電圧・電流・抵抗と、熱になる電力
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成

抵抗の大きさは材料で決まります。特殊金属エクセルの一覧では、電気抵抗率は標準軟銅が1.7241μΩ·cm(導電率100%IACS)、アルミニウムが2.6μΩ·cm(66%IACS)です。アルミは銅より電気を通しにくい一方で、密度は銅の8.9g/cm³に対して2.7g/cm³と軽いのが特長です。

出典:電気抵抗を分かりやすく解説(金属の電気抵抗率一覧)|特殊金属エクセル

周波数が高いと、電流は表面に集まる(表皮効果)

太い銅線の断面で、高い周波数の電流が表面の薄い輪の部分だけを流れ、中心にはほとんど流れないイメージ
表皮効果:周波数が高いと、電流は導体の表面近くに集まるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

交流の周波数が高くなると、電流は導体の表面近くに集まって流れます。東京大学の講義資料では、電流が表面から入り込む深さ(表皮厚)の例として、銅で50Hzのとき約9mm、1GHzでは約2μmを挙げています。高い周波数では、電線を太くしても抵抗はあまり下がらず、互いに絶縁した細い線をより合わせたリッツ線などが使われます(編集部の解説)。

出典:電気磁気学Ⅰ 補足資料(表皮効果)|東京大学 種村拓夫

電流は磁界をつくり、磁界の変化は電圧を生む

電線に電流が流れると、まわりに磁界ができます。電線をコイルに巻くと磁界が強まり、鉄心を入れるとさらに磁束を通しやすくなります。反対に、コイルを通る磁束が変わると、コイルに電圧が生じます(電磁誘導)。モーター・トランス・ワイヤレス給電は、この性質を使った製品です。そして、近くの配線どうしが磁界で結びついてノイズが移るのも、同じ性質によるものです(編集部の解説)。

3つの図。電線に電流が流れると取り巻くように磁界ができる。コイルに電流を流すと電磁石になる。トランスの1次コイルの磁束が変わると2次コイルに電圧が生じる
図2 電気と磁気のつながり(模式図)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成

電気まわりの設計の進め方

電気まわりの設計は、電圧・電流・周波数を数字で決め、損失と発熱を見積もってから、絶縁とノイズの対策を入れると、筋道立てて進められます(編集部の整理)。

電気まわりの設計の5段階の図。仕様を決める、損失と発熱を見積もる、絶縁と配線を決める、ノイズ・静電気の対策、測って確かめる。足りなければ前の段階に戻る
図3 電気まわりの設計の進め方(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
  1. 仕様を決める:電圧・電流・周波数(スイッチングの速さ)、使う場所の温度・湿度・ほこりを書き出します。
  2. 損失と発熱を見積もる:配線・接点の I²R、コイルの銅損と鉄損、半導体の損失を足し、温度が上がりすぎないかを見ます(後の「電力損失」の節)。
  3. 絶縁と配線を決める:電圧に合った距離と絶縁材料、流す電流に合った電線の太さを決めます(「導電と絶縁」の節)。
  4. ノイズ・静電気の対策を入れる:出す側・伝わる道・受ける側のどこで止めるかを考えます(「ノイズ・EMC」「静電気」の節)。
  5. 測って確かめる:温度・波形・ノイズを測り、必要なら EMC 試験を受けます(「測る・確かめる」の節)。

計算例:電線の発熱と、銅とアルミの違い

細い電線に大きな電流を流すと、電線の抵抗で全体が熱くなるイメージ
電線の発熱:電流が抵抗を流れると、電線が熱くなるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

断面積1.25mm²の電線で、行きと帰りを合わせて2mの配線を考えます。銅(標準軟銅、1.7241μΩ·cm)なら抵抗は約0.0276Ωで、10A流すと熱になる電力は約2.8W、電圧の落ちは約0.28Vです。20A流すと、熱は約11Wと4倍になります。同じ太さのアルミ(2.6μΩ·cm)では10Aで約4.2Wと、銅の約1.5倍です。アルミで銅と同じ抵抗にするには断面積を約1.5倍(約1.9mm²)にする必要がありますが、密度が小さいため、重さは銅の電線の約半分(約0.46倍)で済みます(数値は説明のための例です。より線の構造・温度・規格の値で実際は変わります)。

計算例の棒グラフ。断面積1.25mm²・往復2mの銅の電線に10A流すと約2.8W、20Aで約11W。同じ太さのアルミでは10Aで約4.2W。アルミで同じ抵抗にするには断面積を約1.5倍にし、重さは約0.46倍
図4 電線の発熱の計算例(編集部の計算)
出典:特殊金属エクセル「金属の電気抵抗率一覧」の値をもとに AI(Claude)で作成

出典:電気抵抗を分かりやすく解説(金属の電気抵抗率一覧)|特殊金属エクセル

ノイズ・EMC

EMC(電磁両立性)には2つの面があります。総務省の説明会資料は、電気電子装置が電磁エネルギーを放出する現象を「エミッション」、電磁妨害に対して正常に機能する耐力を「イミュニティ」としています。北海道立総合研究機構の研修案内の講演紹介(東陽EMCエンジニアリング)も、EMC 対策はエミッションとイミュニティの両面が必要としています。

ノイズの3つの段階の図。出る所(インバーター・モーター、スイッチング電源、リレー、静電気・雷サージ)、伝わる道(伝導・放射・近い配線の結合)、受ける所(センサー・マイコン・通信・測定器)と、それぞれの対策
図5 ノイズは「出る所 → 伝わる道 → 受ける所」で考える(編集部の整理)
出典:総務省・北海道立総合研究機構の資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:電波の人体に及ぼす影響と安全性(説明会資料。EMC の用語)|総務省 中国総合通信局、電磁波ノイズ対策の研修の案内|北海道立総合研究機構

ノーマルモードとコモンモード

ケーブルを伝わるノイズは、行きと帰りで向きが逆のノーマルモードと、2本の線を同じ向きに流れるコモンモードに分けて考えます。村田製作所のノイズ対策の講座は、コモンモードは電波の放射や受信が強く、仕組みが複雑だとしています。また、ノイズはノーマルモードで発生し、その後コモンモードに変換されて、ケーブルや筐体をアンテナとして放射することが多いと説明しています。どちらのモードかで効く対策部品が違うので、まず見分けることが大切です(編集部の解説)。

左はノーマルモードで、ノイズの電流が2本の線を往復する。右はコモンモードで、2本の線を同じ向きに流れ、大地や筐体を通って戻る。それぞれの対策部品の例
図6 ノーマルモードとコモンモード(模式図)
出典:村田製作所「導体伝導とコモンモード」をもとに AI(Claude)で作成

出典:導体伝導とコモンモード(ノイズ対策 基礎講座)|村田製作所

シールドは、すき間・穴・ケーブルの出口に気をつける

金属の箱で囲んでも、ふたのすき間・通気の穴・ケーブルの出口からノイズが漏れ出すイメージ
シールド:すき間・穴・ケーブルの出口からノイズが漏れるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

導電性の材料で囲むシールドは、空間を伝わるノイズを止めます。ただし、大阪府立産業技術総合研究所の技術シートは、シールド効果の理論式は開口部や不連続部がない理想的なシールド材に対して成り立つものだとしています。茨城県工業技術センターの研究報告では、筐体をかぶせただけではノイズを減らす効果があまり得られず、ねじの間隔を120mmから60mmに狭めると効果が現れ、接合部はねじできちんと締め付けないとノイズ低減の効果が十分に得られないとしています。

シールドの箱の図。中にノイズを出す回路があり、放熱の穴、継ぎ目のすき間、外に出るケーブルからノイズが漏れる。漏れにくくする例として、継ぎ目のガスケット、穴を小さく分ける、出口のフィルタ、シールドケーブルの接地
図7 シールドが漏れやすい所(模式図)
出典:大阪府立産業技術総合研究所・茨城県工業技術センターの資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:電磁波シールド材の設計法(技術シート No.99027)|大阪府立産業技術総合研究所、研究報告(筐体の接合部・開口部とノイズ)|茨城県工業技術センター

具体的な対策部品と試験は課題ページ「ノイズで誤作動する・EMCに通らない」、センサーの信号を守る方法は「ノイズでセンサー値が乱れる」で解説しています。

導電と絶縁(接点・配線)

端子台の2つの端子の間の絶縁物の表面に、ほこりと水滴がたまり、表面を伝って電流が漏れるイメージ
絶縁:汚れや湿気で、性能が落ちるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

電気の通り道には、確実に電気を通したい所(接点・配線)と、確実に電気を通したくない所(絶縁)があります。どちらも、使っているうちに、汚れ・湿気・熱・動きで性能が落ちることに注意が要ります(編集部の解説)。

接点の抵抗:集中抵抗と皮膜抵抗

2つの接点の表面は細かな凹凸があり、触れている小さな点に電流が集まって流れるイメージ
接点:実際に触れているのは小さな点の集まりイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

コネクターやスイッチの接点は、見た目は面で触れていても、実際に触れているのは小さな点の集まりです。フォスターの解説は、電流が小さな接触点に集まることで生じる抵抗を集中抵抗、接触面にできる酸化皮膜などによる抵抗を皮膜抵抗とし、皮膜は数nm〜数十nmの厚さでも高い抵抗を示す場合があるとしています。

2つの接点の断面の模式図。小さな接触点に電流の流れが集まる様子(集中抵抗)と、表面の酸化膜などの層(皮膜抵抗)。接触抵抗=集中抵抗+皮膜抵抗
図8 接点の抵抗のしくみ(模式図)
出典:フォスター「接触抵抗とは」をもとに AI(Claude)で作成

出典:接触抵抗とは|メカニズムと低減設計|フォスター

接点のめっきの選び方や、微摺動による摩耗(フレッティング)の対策は課題ページ「コネクターの接触不良を防ぎたい」と技術ページ「めっき」、配線が動いて切れる問題は「ケーブルが断線する」で解説しています。

絶縁:空間距離と沿面距離

電圧のかかった導体どうしの間は、空気(空間距離)と、絶縁物の表面(沿面距離)の両方で離します。Semikron Danfoss のアプリケーションノートは、導電部品の間の空気の空間を空間距離とし、電圧がかかってもフラッシュオーバー(空気中の放電)が起きないよう十分に大きくする必要があるとしています。テキサス・インスツルメンツの資料は、必要な距離が動作電圧・過電圧カテゴリ・比較トラッキング指数(CTI)・汚染度などで変わり、CTI が高い材料ほど沿面距離の要件は低くなるとしています。

絶縁の板の上に高い電圧と低い電圧の導体が並ぶ模式図。空気中のいちばん短い距離が空間距離、絶縁物の表面に沿った距離が沿面距離で、溝を入れると沿面距離を長くできる
図9 空間距離と沿面距離(模式図)
出典:Semikron Danfoss・テキサス・インスツルメンツの資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:アプリケーションノート AN 14-005 絶縁協調|Semikron Danfoss、高電圧アプリケーションの安全性要件と絶縁の要求について理解する パートⅡ|テキサス・インスツルメンツ

絶縁材料には、使ってよい温度の上限があります。スリーボンドのテクニカルニュース(1985年)は、JIS C 4003 などによる絶縁の種類と許容最高温度を、次のように紹介しています。

絶縁の種類YAEBFHC
許容最高温度(℃)90105120130155180180を超える

出典:電気絶縁材料の温度区分(スリーボンド・テクニカルニュース 13、1985年)|スリーボンド

磁性(磁石・鉄心)

磁性材料は、大きく2つに分かれます。いったん磁化すると磁力を保つ永久磁石の材料(硬い磁性材料)と、小さな磁界で磁化の向きが変わり、磁束を通す道になる鉄心の材料(軟らかい磁性材料)です。モーターには両方が使われます(編集部の解説)。

左は永久磁石の材料のヒステリシス曲線で、幅が広く、磁界をゼロにしても残る残留磁束密度 Br と、磁化を打ち消すのに要る保磁力 Hc を示す。右は鉄心の材料の曲線で、幅が狭い
図10 磁石の材料と鉄心の材料のヒステリシス曲線(模式図)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成

磁石は温度で弱くなる

常温の磁石は座金を引き付けているが、熱した磁石は磁力が弱まり、座金が落ちたイメージ
ネオジム磁石:温度が上がると減磁しやすくなるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

ネオマグの総合カタログでは、ネオジム磁石の保磁力(Hcj)の温度係数は−0.45〜−0.6%/℃で、温度が上がると保磁力が下がり、減磁しやすくなります。反対に、フェライト磁石は保磁力の温度係数が+0.2%/℃と逆で、低温で保磁力が下がるため、−30℃以下で使うときは低温減磁に注意が要るとしています。磁石の材料を選ぶときは、強さだけでなく、使う温度の範囲で確かめます。

出典:総合カタログ(ネオジム磁石・フェライト磁石)|ネオマグ

鉄心の損失(鉄損)は、ヒステリシス損と渦電流損

電気学会の用語解説は、鉄心に交流磁界をかけると、ヒステリシス損と渦電流損からなる鉄損が生じるとしています。ヒステリシス損は1サイクルごとの曲線の面積から求まり、1秒あたりでは周波数に比例します。渦電流損は、板厚・最大磁束密度・周波数のそれぞれの2乗に比例する(表皮効果を伴わない場合)ため、鉄心は薄い電磁鋼板を積層した構造が一般的だとしています。

左は、かたまりの鉄心で渦電流が大きく回る模式図。右は、薄い板を絶縁して重ねた鉄心で、渦電流が板の中だけの小さなループになる。磁束は手前から奥へ向かい、向きと大きさが変わる
図11 鉄心を積層すると渦電流が小さくなる(模式図)
出典:電気学会「用語解説 第72回 鉄損」をもとに AI(Claude)で作成

出典:用語解説 第72回 鉄損|電気学会 電力・エネルギー部門

磁石を変える・減らす方法は課題ページ「レアアースを使わずに作りたい」、鉄心と巻線で損失を減らす方法は「モーターの損失を減らしたい」と「小型のまま出力を上げたい」で解説しています。

電力損失(銅損・鉄損)

電源・配線・トランス・モーターと、電気が通る道のあちこちで損失が出て、熱になります。損失が大きいと、効率が下がるだけでなく、温度が上がって寿命が縮み、冷やすための部品も大きくなります。どこで損失が出ているかを分けて見積もり、大きい所から手を打ちます(編集部の解説)。

電源・変換器(導通損失・スイッチング損失)、配線・接点(銅損)、トランス・コイル(銅損・鉄損)、モーター(銅損・鉄損・機械損)の流れと、入れた電力のうち一部が熱になる棒グラフ
図12 電気の損失は、通り道のあちこちで熱になる(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
損失どこで出るか減らす方向(例)
銅損巻線・配線・接点の抵抗(I²R)線を太く・短く、占積率を上げる、接点を整える
鉄損モーター・トランス・コイルの鉄心薄い電磁鋼板・低損失の材料、周波数と磁束密度を見直す
導通損失・スイッチング損失電源・インバーターの半導体オン抵抗の小さい素子、SiC・GaN、回路方式
機械損モーターの軸受・冷却ファン軸受・ファンの見直し

表は、課題ページの内容をもとにした編集部の整理です。

損失の分け方と測り方は課題ページ「モーターの損失を減らしたい」(計算例つき)、電源の損失は「電源の変換効率を上げたい」と技術ページ「SiC・GaN のパワー半導体」、熱の逃がし方は分野ページ「熱」で解説しています。

静電気

指先にたまった静電気が、基板の上の IC のピンに火花となって飛ぶイメージ
静電気:たまった電気が一気に流れて IC を傷めるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

物どうしが触れて離れると、電気がかたよってたまります(帯電)。村田製作所の解説では、人は3.0kVくらいから電撃を感じるとされ、相対湿度が低い(10〜20%)ときは、カーペットの床を歩く人体の帯電電圧が35.0kV に達する例を挙げています(湿度が高い65〜90%のときは1.5kV)。乾いた環境ほど静電気はたまりやすくなります。

静電気の流れの図。たまる(フィルム・樹脂がはがれる、人が歩く、粉や液体が流れる、乾いた季節)、起きること(電子部品の破壊、誤作動、ほこりの付着、引火)、対策(接地、導電性・静電気拡散性の材料、除電器、加湿)。下に、除電器のイオンが帯電したフィルムに届く模式図
図13 静電気の困りごとと対策(編集部の整理)
出典:村田製作所・SMC の資料をもとに AI(Claude)で作成

たまった静電気が一気に流れる現象を静電気放電(ESD)といいます。村田製作所は、帯電した人体から生じる ESD は数千Vの高電圧で、IC 回路の誤作動や破壊を引き起こすとしています。SMC は、静電気による問題として、放電による感電の不快感、電子部品の破壊、ほこりなどの異物の付着を挙げ、除電器(イオナイザー)で解決するとしています。

材料で逃がす方法もあります。山形大学の資料では、表面抵抗率で材料を、導電性(〜10⁵Ω)、静電気拡散性(10⁵〜10¹²Ω)、絶縁性(10¹²Ω〜)の3つに分類しています。

出典:静電気とは?基礎知識とESD対策|村田製作所、ESD保護素子とは?ESD対策部品の種類と仕組み|村田製作所、静電気によるトラブル|SMC、非接触型表面抵抗率測定技術|山形大学 杉本俊之

静電気で付く異物の対策は課題ページ「異物が混入する」の「除電」、静電気の放電で誤作動する問題は「ノイズで誤作動する・EMCに通らない」の保護素子の節で解説しています。

測る・確かめる

電気・磁気の問題は目に見えないので、測って、どこで何が起きているかを確かめることが欠かせません。ときどきしか起きない不具合は、起きたときの波形や温度・湿度を記録しておくと、原因を絞り込みやすくなります(編集部の解説)。

知りたいことから測り方を選ぶ図。電圧・電流・電力はテスター・クランプメーター・電力計、波形・瞬断・サージはオシロスコープ・データロガー、ノイズはスペクトラムアナライザ・近傍界プローブ・EMC試験、絶縁は絶縁抵抗計・耐電圧試験器、静電気・磁界は表面電位計・ガウスメーター、温度は熱電対・サーモグラフィ
図14 知りたいことから、測り方を選ぶ(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成

ノイズの測り方と EMC 試験は課題ページ「ノイズで誤作動する・EMCに通らない」、瞬断の監視とノイズを当てて再現する方法は「再現しない不具合の原因を突き止めたい」、モーターの損失を分けて測る方法は「モーターの損失を減らしたい」で解説しています。

よく使う用語

電気・磁気の用語を、電気(電圧・電流・抵抗・電力・周波数・インピーダンス)、磁気(磁界・磁束密度・保磁力・残留磁束密度・透磁率・ヒステリシス)、困りごと・対策(銅損・鉄損、接触抵抗、絶縁抵抗、コモンモード、シールド、静電気放電)の3つに分けた図
図15 電気・磁気の用語は「電気・磁気・困りごと」で分けると覚えやすい(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
用語意味単位
電圧電気を流そうとする力の差V(ボルト)
電流1秒あたりに流れる電気の量A(アンペア)
抵抗電流の流れにくさ。V=I×RΩ(オーム)
電気抵抗率材料そのものの電気の通しにくさΩ·m、μΩ·cm
インピーダンス交流での電流の流れにくさ(周波数で変わる)Ω
表皮効果周波数が高いと電流が導体の表面に集まる現象―
磁束密度単位面積あたりを通る磁束の量。磁界の強さ(H)とは別の量T(テスラ)
保磁力磁化をゼロに戻すのに要る逆向きの磁界の強さ(H)。大きいほど減磁しにくいA/m
残留磁束密度外の磁界をゼロにしても残る磁束密度。磁石の強さの目安T
鉄損・銅損鉄心で出る損失・巻線などの抵抗で出る損失W
コモンモード・ノーマルモードノイズの電流が2本の線を同じ向き・逆向きに流れる形―
沿面距離・空間距離絶縁物の表面に沿った距離・空気中のいちばん短い距離mm
静電気放電(ESD)たまった静電気が一気に流れる現象―

用語の意味は、このページで引用した各資料をもとにした編集部の要約です。

電気・磁気の課題と、解決する技術

このサイトは、課題から、それを解決する技術と企業を探せるようにしています。困りごとに近い課題を選ぶと、課題ページで原因・解決技術・その技術を持つ企業がわかります。緑のボタンは、課題ページの中でその技術を解説している節へ直接移ります。

電気・磁気に関係する技術

反対に、技術から探すときの一覧です。その技術で解決できる課題を並べています。

技術何をするか解決できる課題
ノイズ対策部品(フィルタ・フェライト)線を伝わるノイズを止めるノイズで誤作動する・EMCに通らないノイズでセンサー値が乱れる
シールド・電磁波吸収空間を伝わるノイズを止めるノイズで誤作動する・EMCに通らないノイズでセンサー値が乱れる
絶縁(アイソレーター)・伝送の工夫グランドを分け、ノイズに強い信号にするノイズでセンサー値が乱れる
めっき・接点材料(めっき)接点の皮膜を防ぎ、接触抵抗を安定させるコネクターの接触不良を防ぎたい
高屈曲ケーブル・配線の固定動く配線の断線を防ぐケーブルが断線する
ワイヤレス給電・非接触伝送磁界や電波で電力を送り、配線をなくす配線をなくしたい
SiC・GaN のパワー半導体電源・インバーターの損失を減らす電源の変換効率を上げたい
電磁鋼板・低損失の鉄心鉄損を減らすモーターの損失を減らしたい小型のまま出力を上げたい
磁石を減らす・使わないモーターレアアースへの依存を下げるレアアースを使わずに作りたい
除電器・静電気拡散性の材料静電気を逃がし、放電と吸着を防ぐ異物が混入する

電気・磁気に関係する製品

ほかの分野:熱(損失による発熱と冷却)、材料(物性・劣化)(絶縁材料・磁性材料・腐食)、機構・運動(モーターと駆動)

出典・参考

情報の確認日:2026年10月2日 本ページの内容は一般的な説明で、実際の値は部品の型式・材料・使用条件により異なります。安全にかかわる絶縁距離などは、適用する規格で確かめてください。図とテーマのイラストはAI(Claude)で作成した概念図、冒頭の画像はAI(ChatGPT)で生成したイメージ画像です。

電気・磁気に関係する課題

電気・磁気に関係する技術

電気・磁気の技術の基礎知識

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