
光の課題から探す
| 困りごと | 課題 |
|---|---|
| 映り込む・まぶしい・迷光が出る・曇る | 反射を抑えたい・光を制御したい撥水・防汚・防曇を持たせたい |
| 暗くなる・黄色くなる・光で傷む | LEDを長寿命にしたい紫外線・薬品で劣化する |
| 光(レーザー)で加工・接合したい | 硬い材料に細かい形・穴を加工したい溶接・成形で歪む・反る樹脂と金属をしっかり接合したい |
| 光で測りたい・調べたい | 状態を検知したい寸法・位置の精度を上げたい成分・物性を調べたい小型化で部品の温度が上がる |
課題ごとの解決技術は、下の「光の課題と、解決する技術」にまとめています。
表示やカメラの窓に照明が映り込む。光学機器の中で迷光が出て、像が白っぽくなる。LED 照明が計算より早く暗くなった。屋外で使う樹脂のカバーが黄色くなり、割れた。レーザーで細かい穴をあけたい、歪ませずに溶接したい。止めずに、さわらずに、温度や位置を測りたい。こうした困りごとは、どれも光が物に当たったときに、反射する・通り抜ける・吸収されて熱や化学反応になる、という光のふるまいにかかわっています。
このページは、光を通す・止める・作る・使う部品の設計や不具合に向き合う技術者のための入口です。光のふるまいは、材料だけでなく、光の波長と入る角度で大きく変わることを押さえたうえで、反射・透過、発光・受光、光で劣化する、光で加工する、光で測る、の5つのテーマごとに、しくみと注意点をまとめました。最後に、関係する課題・技術・製品のページへつないでいます。
この分野で扱うテーマ
反射・透過境目で約4%がはね返る
発光・受光(LED)光にならない分は熱になる
光で劣化する紫外線が分子の鎖を切る
光で加工するレーザーで取り除く・つなぐ
光で測る・調べる止めずに、さわらずに、離れて
イラストはAI(Claude)で作成したイメージです。
基本の考え方
光は電磁波。波長で紫外・可視・赤外に分かれる
光は電磁波の一種で、ウシオ電機の用語集では、紫外放射・可視放射・赤外放射の範囲の電磁波を光としています。範囲は、紫外放射が波長約1nm から360〜400nm、目に見える可視放射が実用的に380〜780nm、赤外放射が780nm から1mm程度です。同じ「光」でも、波長が違えば、材料への当たり方も、起きることも違います。紫外は樹脂を傷め、可視は映り込みや見え方を決め、赤外は熱の放射として温度の測定に使われます。

出典:ウシオ電機の用語集の範囲をもとに AI(Claude)で作成
反射・透過・吸収の割合で考える
光が物に当たると、はね返る(反射)、通り抜ける(透過)、物の中で吸収される、のどれかになり、3つを足すと入ってきた光の量になります。反射を減らした分は、透過か吸収に回ります。窓やレンズは透過を、遮光の部品は吸収を、反射板は反射を大きくしたい部品です。吸収された光は、多くが熱になります。LED やレーザーを扱う所では、光の設計と熱の設計が切り離せません(編集部の整理)。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
屈折率が変わる境目で、光の一部がはね返る
光は、屈折率の違う物質の境目を通るとき、一部が反射します(フレネル反射)。反射の大きさは、屈折率の差と入射角で決まります。東海光学の解説では、空気からガラス(屈折率1.5)に垂直に入るとき、1面の反射率は約4%で、ガラス板なら入る側と出る側の2面で約8%が反射し、通り抜けるのは約92%になります。面の数が増えるほど、失われる光は増えます。レンズを重ねた光学系では、反射した光がほかの面で反射し直して、ゴーストやフレアになります(光学レンズ設計.com)。

出典:東海光学「光学薄膜とは」の解説をもとに AI(Claude)で作成
出典:光学薄膜とは|東海光学、フレネル反射|ファイバーラボ、ゴースト・フレアの発生メカニズムと対策|光学レンズ設計.com
光を扱う設計・対策の進め方
光を扱う設計・対策は、どの波長の光を、どの角度で、どこへ届けたいか(届けたくないか)を先に決めると、膜や材料を選びやすくなります(編集部の整理)。映り込み・暗くなる・黄変などの不具合が出たときも、どの波長の光が、どの面で問題を起こしたかを見てから対策を選びます。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
- 使う光を決める:波長(紫外・可視・赤外)、明るさ、光が入る角度の範囲を決めます。
- 光の経路を描く:光源から部品を通って受け手(目・センサー・加工する物)に届くまでに、どの面で反射・吸収するかを描きます。
- 損失と迷光を見積もる:面ごとの反射で失われる光、熱になる光、劣化を起こす光を見積もります(下の計算例)。
- 材料・膜・部品を選ぶ:反射防止膜・黒色材料・LED・樹脂と添加剤などを、使う波長と環境で選びます。
- 測って確かめる:反射率・光束・温度を測り、耐候や寿命の試験で確かめます(「光で測る・調べる」の節)。
計算例:レンズ5枚(10面)で、反射でどれだけ光が減るか
空気とガラスの境目が10面ある光学系で、吸収と、反射し直した光を考えないとすると、通り抜ける割合は(1−1面の反射率)の10乗です。コートなし(1面約4%)では0.96¹⁰=約0.665で、約34%の光が反射で失われます。東海光学の解説にある、フッ化マグネシウムの単層膜で反射率を1.41%にした場合は0.9859¹⁰=約0.867、日本真空光学が公開している可視光域(420〜680nm)で平均0.1%以下の多層膜を、1面0.1%として計算すると0.999¹⁰=約0.990になります(編集部の計算。説明のための例です)。失われた光は消えるのではなく、一部が別の面で反射し直して、ゴーストやフレアのもとになります。

出典:東海光学・日本真空光学の公表値をもとに AI(Claude)で作成
単層膜で反射率が1.41%まで下がるのは、設計した波長の付近です。実際の膜の性能は、波長と入射角で変わるので、使う条件の反射率のデータで確かめます。
反射・透過:境目で約4%がはね返る
反射の対策は、「反射させない」(反射防止膜・モスアイ)、「反射した光を散らす」(アンチグレア)、「反射した光を吸収する」(黒色材料)、「反射した光が届かない経路にする」(光学設計)の4つの考え方に分けられます。どの考え方が合うかは、困りごとによって変わります(課題ページ「反射を抑えたい・光を制御したい」)。

出典:課題ページ「反射を抑えたい・光を制御したい」(大日本印刷・東海光学・光学レンズ設計.com の解説)をもとに AI(Claude)で作成
反射防止膜・モスアイ・アンチグレアの違い
反射防止膜(AR コート)は、光の波長よりずっと薄い膜で、膜の表面と、膜と基材の境での反射を干渉させて打ち消します。東海光学の解説では、屈折率1.38 のフッ化マグネシウムを約0.1μm 付けると、反射率が4%から1.41%に下がります。単層では反射を減らせる波長が限られるため、屈折率の違う材料を何層も重ねて広い波長で反射を抑えます。日本電気硝子は、高性能な AR の視感反射率を0.3%未満とし、同社の「見えないガラス」では0.1%未満としています。ニデックの解説では、入射角が大きくなると P 偏光と S 偏光の差が顕著になるとしています。
モスアイ構造は、可視光の波長より細かい間隔で突起を並べ、空気から基材まで屈折率がなだらかに変わる層にしたもので、波長や入射角の影響を受けにくいのが特長です。三菱ケミカルの「モスマイト」は、黒色アクリル板に貼って測った代表値で視感反射率0.1〜0.2%としています。一方、ジオマテックの解説によると、従来のモスアイ構造は強度が弱く、指紋がつきやすいという課題がありました。アンチグレア(AG)は表面の微細な凹凸で反射光を散らし、映り込みの輪郭をぼかします。大日本印刷の解説では、AR の膜の厚さは100nm 程度、AG の層は数μm です。AG では反射した光は散らばるだけでなくならず、凹凸を強くするほど画面の像もにじみやすくなるので、反射そのものを減らしたいなら AR、映り込みの輪郭を消したいなら AGを選びます(編集部の整理)。

出典:東海光学・三菱ケミカル・大日本印刷の解説と公表値をもとに AI(Claude)で作成
出典:光学薄膜とは|東海光学、見えないガラス|日本電気硝子、ARコートの基礎知識|ニデック、モスアイ構造|ジオマテック、モスマイト|三菱ケミカル、ARコーティングとは|大日本印刷
機器の中の迷光は、黒色材料と光学設計で抑える
反射は、レンズの面だけでなく、鏡筒の内面、部品の縁、ねじの頭など、あらゆる面で起きます。光学機器の中で起きる、不要な光の散乱や反射を迷光といい、カメラではフレアやゴースト、測定の装置では測定値の誤差の原因になります(EBINAX)。光が当たる面には、黒色の塗装や植毛紙、黒い樹脂のフィルムなどの光を吸収する材料を使います。ただし、目で見て黒い材料でも、近赤外では光を多く反射するものがあります。赤外線のセンサーや近赤外のレーザーを使う機器では、その波長での反射率を確かめます。迷光の出どころは、光学設計のソフトで光線を追跡して調べられ、2回反射した光が像面の外に逃げるように、レンズの形や配置を調整します(光学レンズ設計.com)。
出典:迷光とは何ですか?|EBINAX、ゴースト・フレアの発生メカニズムと対策|光学レンズ設計.com
曇りは、細かい水滴が光を散らして起きる
協和界面科学の解説によると、曇りは、表面に付いた水滴によって光が散乱して起こります。対策には、撥水性の表面で水滴を付きにくく落ちやすくする方法と、親水性の表面で水滴を均一な水膜に広げて光の散乱を抑える方法があり、表面の層に水分を吸い込ませて水滴にしない吸水タイプもあります。レンズやカバーの曇りは、光の課題であり、表面の課題でもあります。

出典:協和界面科学・TOTO の解説をもとに AI(Claude)で作成
出典:防曇とは|協和界面科学
詳しくは課題ページ「反射を抑えたい・光を制御したい」「撥水・防汚・防曇を持たせたい」、表面の側からは分野「化学反応・表面」で解説しています。
発光・受光(LED):光にならない分は熱になる
LED は、電球のように突然切れるより、使ううちに少しずつ暗くなる光源です。日本照明工業会のガイドによると、電球形 LED ランプの JIS C 8157 は、定格寿命を、決められた条件で点灯したときに光束が初期の70%以上を保っている期間と定めています。LED の寿命は「消えるまで」ではなく「明るさがどこまで下がるまで」で決まるので、データシートや仕様の寿命は、どの温度・電流での値か、どんな試験データからの推定かを確かめます。
接合部の温度は、熱の通り道の熱抵抗で決まる
LED に入れた電力のうち、光にならなかった分は熱になります。シチズン電子の技術資料は、LED のパッケージは表面積がとても小さく、空気中への放熱はほとんど期待できないため、ヒートシンクなどの外部の放熱器が必要になるとし、接合部温度(Tj)を、どんな条件でも絶対最大定格以下にする必要があるとしています。接合部温度は Tj=(Rj-s+Rs-a)×Pd+Ta で、熱の通り道は直列なので、どこか1か所でも熱抵抗が大きいと、接合部の温度が上がります。例えば、熱になる電力 Pd が2W、Rj-s が5K/W、Rs-a が15K/W、周囲温度40℃なら Tj は80℃で、放熱を見直して Rs-a を10K/W にすると70℃になります(編集部の計算。説明のための例です)。CQ出版の解説では、絶対最大定格の90%程度を設計の目標にする例を示しています。

出典:シチズン電子の技術資料の式と日本照明工業会のガイド、編集部の計算をもとに AI(Claude)で作成
出典:放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子、パワーLEDの特性と駆動方法(高輝度/パワーLEDの活用テクニック 第4章)|CQ出版社
暗くなる原因は、パッケージの中と外にある
LED の寿命を縮める原因は、封止樹脂の黄変(光と熱で酸化が進み、素子の近くから局所的に劣化する)、リードフレームの銀めっきの硫化、はんだクラック、電源の部品の寿命の4つに大きく分けられます(課題ページ「LEDを長寿命にしたい」)。日亜化学工業の資料によると、銀は硫黄と反応して硫化銀になり、反射率が下がって暗くなる、光の色が青色の方向にずれる、内部まで進むとワイヤの接合部がもろくなり断線する、の3つが起きます。はんだクラックは LED と基板の線膨張係数の差が大きいほど起きやすく、電源のアルミ電解コンデンサは、60〜95℃の範囲で温度が10℃下がると寿命が約2倍になる「10℃2倍則」が使われます(日本ケミコン)。すべての劣化を速めるのが熱なので、原因を切り分けてから、放熱・材料・コーティング・電源のどれを直すかを決めます。

出典:日本接着学会誌の総説・日亜化学工業の技術資料・日本ケミコンの説明(課題ページ「LEDを長寿命にしたい」)をもとに AI(Claude)で作成
出典:エポキシ樹脂系LED封止材(総説)|日本接着学会誌 46巻11号、LED硫化現象について|日亜化学工業、はんだクラックについて|日亜化学工業、アルミ電解コンデンサの寿命|日本ケミコン
詳しくは課題ページ「LEDを長寿命にしたい」、熱の逃がし方は分野「熱」と技術ページ「放熱シート・グリス」で解説しています。
光で劣化する:紫外線が分子の鎖を切る
プラスチックは、太陽光などの光にさらされると、光によって分子の中にラジカル(反応しやすい状態の分子)ができ、これが空気中の酸素と反応してペルオキシラジカルになり、ほかの分子から水素を奪って次のラジカルを作ります。この反応が連鎖して分子の鎖が切れ、物性の低下や変色が起きます(日本ゴム協会誌 91(12))。劣化を起こしやすい光の波長は樹脂ごとに違います。日本ウエザリングテストセンターの資料では、劣化を起こす波長として、PE は300nm・310〜340nm、PP は310nm・370nm・320〜380nm、ABS は340〜380nm などの値を挙げています。

出典:日本ゴム協会誌 91(12)・大塚化学・日本ウエザリングテストセンターの解説(課題ページ「紫外線・薬品で劣化する」)をもとに AI(Claude)で作成
出典:日本ゴム協会誌 91(12) の解説(J-STAGE)、促進暴露試験ハンドブック(PDF)|日本ウエザリングテストセンター
紫外線吸収剤と HALS は、働き方が違う
今の樹脂を使い続けたいときは、光安定剤を入れます。紫外線吸収剤(UVA)は高いエネルギーの紫外線を吸収し、熱などの無害なエネルギーに変えます(大塚化学)。ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、できたラジカルを捕まえて連鎖を止めます。2つは働き方が違うため、併用すると相乗効果が得られるとされます(日本ゴム協会誌 91(12))。光の吸収は厚さに左右され、BASF は塗料について、紫外線吸収剤を樹脂固形分に対して2%(厚さ40μm の場合)、20μm の場合は4%、HALS を1%を推奨の目安とし、実際の塗料で最適な量を検討する必要があるとしています。
出典:紫外線吸収剤(UV吸収剤)とは|大塚化学、UVA と HALS とは|BASF
促進耐候試験の「屋外の何年分」は、材料で変わる
屋外で何年もかかる劣化を、強い光や熱・水で速めて調べるのが促進耐候試験です。キセノンアークの300〜400nm の照度は赤道地帯の太陽光を規準にしており、全放射照度 約1,090W/m² の6%にあたる60W/m² が規定されています(日本ウエザリングテストセンター)。関西ペイントの資料では、塗膜のサンシャインカーボンアーク試験の促進倍率は屋外の数倍〜10数倍としており、日本ウエザリングテストセンターは、屋外との相関は限られた材料での関係にすぎないとしています。使う材料で、屋外暴露との比較を持っておくことが大切です。劣化した部品は、赤外分光(FT-IR)で調べると、酸化でできたカルボニル基の吸収(1715cm⁻¹前後)などから、何が起きたかがわかります(群馬県立産業技術センター)。
出典:促進暴露試験ハンドブック(PDF)|日本ウエザリングテストセンター、促進耐候性試験法(PDF)|関西ペイント「塗料の研究」No.145、樹脂の熱劣化の評価(PDF)|群馬県立産業技術センター
光を使う表面:光触媒
光で起きる反応は、劣化だけではありません。酸化チタンの光触媒は、光(紫外線)が当たると、表面で活性酸素が生まれて有機物を分解する「分解力」と、水がなじみやすくなる「親水性」の2つの働きをし、分解した汚れを雨水が洗い流すことでセルフクリーニングが実現します(TOTO)。日本曹達は、紫外線の照射で接触角が0度近くまで下がり、照射を止めても24時間以上、超親水性が維持されるとしています。ただし、光触媒は有機物を分解するため、樹脂の基材に直接塗ると基材を傷めます。同社は、光触媒層と保護接着層を分けた2層構造で、プラスチックにも使えるようにしています。

出典:このページの各節(日本曹達の説明を含む)をもとに AI(Claude)で作成
出典:ハイドロテクトの光触媒作用について|TOTO、光触媒コーティング ビストレイター|日本曹達
詳しくは課題ページ「紫外線・薬品で劣化する」「撥水・防汚・防曇を持たせたい」、材料の側からは分野「材料(物性・劣化)」で解説しています。
光で加工する:レーザーで取り除く・つなぐ
レーザーは、光を細く絞って、狭い範囲に大きなエネルギーを集められます。この性質を使って、材料を取り除く(微細加工)、金属を溶かしてつなぐ(溶接)、樹脂と金属をつなぐ(異種材料の接合)ことができます。どれも、熱をどこまで狭い範囲に閉じ込められるかが品質を左右します(編集部の整理)。

出典:課題ページ「硬い材料に細かい形・穴を加工したい」「溶接・成形で歪む・反る」「樹脂と金属をしっかり接合したい」と同じ出典をもとに AI(Claude)で作成
取り除く:超短パルスで熱影響を小さく
超短パルスレーザーは、ピコ秒(1兆分の1秒)やフェムト秒(1,000兆分の1秒)という、ごく短い光のパルスで材料を取り除く方法です。岩手県工業技術センターの報告は、シリコンとニッケル基合金で、高いフルーエンス(単位面積あたりのエネルギー)では10ps より260fs のほうが熱影響が小さく、パルス幅が短いほど熱影響の出る範囲が減る傾向を確かめ、重ね打ちの割合を必要以上に上げないことが有効だとしています。ガラスには、レーザーで内部を改質してから、改質した部分を薬液で溶かして穴や形にする方法もあります(オプトピア)。研究では、理化学研究所などの研究グループが2026年に、GHz バーストの超短パルスレーザーで、厚さ1.1mm のガラスに穴径1.1μm・アスペクト比1,000の貫通穴を形成したと発表しています。
出典:超短パルスレーザを用いる Si および Ni 基合金の微細加工(研究報告 第18号)|岩手県工業技術センター、レーザーとエッチングによるガラスの微細加工|オプトピア、GHz バーストの超短パルスレーザーによるガラスの微細穴(2026年)|理化学研究所
溶接する・樹脂と金属をつなぐ
溶接の歪みの原因は熱なので、入れる熱を減らし、狭い範囲に集めることが根本的な対策になります。溶接情報センターの解説では、高エネルギー密度の溶接法の採用や溶接入熱の低減を挙げ、キーエンスの解説では、レーザー溶接は通常の溶接に比べて高速で、歪みの少ない溶接ができるとしています。樹脂と金属の接合では、金属の表面にレーザーで凹凸を作ってから樹脂を成形する方法(ヤマセ電気のレザリッジは、接合したい箇所だけを加工できるとしています)と、金属と樹脂を重ねてレーザーで界面を温め、軟らかくなった樹脂を金属に接合する方法があります。名古屋工業大学の研究は後者で、接合面の温度の管理と、金属の種類に応じた前処理を課題に挙げています。
出典:溶接変形を防止したいのですが|溶接情報センター、レーザー溶接の原理|キーエンス、レザリッジ|ヤマセグループ、レーザ加熱による金属と樹脂の直接接合(2019年)|名古屋工業大学 早川伸哉
詳しくは課題ページ「硬い材料に細かい形・穴を加工したい」「溶接・成形で歪む・反る」「樹脂と金属をしっかり接合したい」で解説しています。
光で測る・調べる:止めずに、さわらずに、離れて
光を使うと、物にふれずに、止めずに、離れた所から測れます。赤外線サーモグラフィは表面が出す赤外線で温度の分布を画像で見せ、レーザー干渉計はレーザーの波長を目盛りにして位置を測り、赤外分光(FT-IR)は分子に吸収される赤外線から樹脂や異物の構造を推定します。どの方法も、表面の状態・波長・周りの環境で値がずれることがあります(編集部の整理)。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
赤外線で測る温度は、放射率でずれる
赤外線で測る温度は、表面の放射率の影響を受けます。佐藤商事の解説では、放射率の低い金属の面は、自分が出す赤外線が少なく、周りの赤外線を鏡のように反射しやすいので、表示の温度が実際とずれやすいとしています。対策として、黒体テープを貼る、既知の面と比べる、複数の箇所を相対的に比べる、振動や電流などほかの診断と合わせる、を挙げています。

出典:佐藤商事「放射率の意味と温度誤差の原因」をもとに AI(Claude)で作成
レーザー干渉計:波長を目盛りにして位置を測る
レーザー干渉計は、動くテーブルに付けた反射鏡までの距離の変化を、レーザーの波長を目盛りにして測ります。レニショーの XL-80 は、位置決めの測定精度を全環境範囲で±0.5ppm、分解能を1nm としています。温度・気圧・湿度が変わるとレーザーの波長が変わるため、環境補正ユニットで波長を補正します。測る位置も大切で、ミスミの解説では、測定線と目盛線を同一直線上に置く(アッベの原理)ことが設計原理として好ましいとしています。
出典:XL-80 レーザー干渉計システム|レニショー、アッベの原理|ミスミ
詳しくは課題ページ「状態を検知したい」「寸法・位置の精度を上げたい」「成分・物性を調べたい」、測る技術全般は分野「計測・制御」で解説しています。
よく使う用語

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
| 用語 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| 波長 | 光(電磁波)の波の長さ。紫外は約1nm〜360〜400nm、可視は380〜780nm、赤外は780nm〜1mm程度 | nm |
| 屈折率 | 物質の中で光が進む速さの度合い。境目で屈折率が変わると、光が曲がり、一部が反射する | ― |
| フレネル反射 | 屈折率の違う物質の境目で起きる反射。空気とガラス(1.5)で1面約4% | ― |
| 反射率・透過率 | 入ってきた光のうち、反射した光・通り抜けた光の割合 | % |
| 視感反射率 | 人の目の感じ方で重みを付けた反射率 | % |
| ヘイズ | 通り抜けた光のうち、散らされた光の割合。くもりの度合い | % |
| 迷光・ゴースト・フレア | 機器の中の不要な散乱・反射の光と、それが像に出たもの | ― |
| 光束 | 光源が出す光の量を、人の目の感じ方で表したもの | lm(ルーメン) |
| 光束維持率 | 初めの光束に対する今の光束の割合。電球形 LED ランプの定格寿命は、70%以上を保つ期間(JIS C 8157) | % |
| 接合部温度(Tj) | LED などの半導体の発光・発熱する所の温度 | ℃ |
| 放射率 | 同じ温度の黒体と比べて、表面がどれだけ赤外線を出すかの割合 | ― |
| 紫外線吸収剤・HALS | 紫外線を吸収して熱に変える添加剤と、できたラジカルを捕まえる添加剤 | ― |
| 光触媒 | 光が当たると有機物を分解し、表面を水になじみやすくする材料(酸化チタンなど) | ― |
| 超短パルスレーザー | ピコ秒・フェムト秒のごく短いパルスの光で材料を取り除くレーザー | ps・fs |
用語の意味は、このページで引用した各資料をもとにした編集部の要約です。
光の課題と、解決する技術
このサイトは、課題から、それを解決する技術と企業を探せるようにしています。困りごとに近い課題を選ぶと、課題ページで原因・解決技術・その技術を持つ企業がわかります。緑のボタンは、課題ページの中でその技術を解説している節へ直接移ります。
映り込む・まぶしい・迷光が出る・曇る
暗くなる・黄色くなる・光で傷む
光(レーザー)で加工・接合したい
光に関係する技術
反対に、技術から探すときの一覧です。その技術で解決できる課題を並べています。
| 技術 | 何をするか | 解決できる課題 |
|---|---|---|
| 反射防止膜・モスアイ・AG | 境目の反射を減らす・映り込みを散らす | 反射を抑えたい・光を制御したい反射を抑えたい・光を制御したい反射を抑えたい・光を制御したい |
| 低反射の黒色材料・光学設計 | 機器の中の迷光を吸収する・届かない経路にする | 反射を抑えたい・光を制御したい反射を抑えたい・光を制御したい |
| 防曇(親水・吸水)・光触媒 | 水滴で光が散るのを防ぐ・光で汚れを分解する | 撥水・防汚・防曇を持たせたい撥水・防汚・防曇を持たせたい |
| LED の熱設計・放熱シート・グリス | 接合部の温度を下げて、暗くなるのを遅らせる | LEDを長寿命にしたい小型化で部品の温度が上がる |
| 紫外線吸収剤・HALS・耐候材料・保護コーティング | 紫外線による黄変・割れを防ぐ | 紫外線・薬品で劣化する紫外線・薬品で劣化する紫外線・薬品で劣化する |
| 超短パルスレーザー・レーザー溶接・レーザー接合 | 熱を狭い範囲に閉じ込めて、加工・接合する | 硬い材料に細かい形・穴を加工したい溶接・成形で歪む・反る樹脂と金属をしっかり接合したい |
| 赤外線サーモグラフィ・レーザー干渉計・赤外分光 | 止めずに、さわらずに、温度・位置・成分を測る | 状態を検知したい寸法・位置の精度を上げたい成分・物性を調べたい |
| 促進耐候試験・LED の寿命試験 | 光による劣化と寿命を、速めて確かめる | 紫外線・薬品で劣化するLEDを長寿命にしたい |
光に関係する製品
ほかの分野:熱(LED の放熱・赤外線の放射)、材料(物性・劣化)(紫外線による劣化)、化学反応・表面(防曇・光触媒・コーティング)、計測・制御(光で測る)、電気・磁気(光も電磁波の一種)
出典・参考
- 電磁波と光(用語集の付録)|ウシオ電機
- 光学薄膜とは|東海光学
- フレネル反射|ファイバーラボ
- ゴースト・フレアの発生メカニズムと対策|光学レンズ設計.com
- 反射防止膜|日本真空光学
- 見えないガラス|日本電気硝子
- ARコートの基礎知識|ニデック
- モスアイ構造|ジオマテック
- モスマイト|三菱ケミカル
- ARコーティングとは|大日本印刷
- 迷光とは何ですか?|EBINAX
- 防曇とは|協和界面科学
- LED 照明のガイド(PDF)|日本照明工業会
- 放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子
- パワーLEDの特性と駆動方法(高輝度/パワーLEDの活用テクニック 第4章)|CQ出版社
- エポキシ樹脂系LED封止材(総説)|日本接着学会誌 46巻11号
- LED硫化現象について|日亜化学工業
- はんだクラックについて|日亜化学工業
- アルミ電解コンデンサの寿命|日本ケミコン
- 日本ゴム協会誌 91(12) の解説(J-STAGE)
- 促進暴露試験ハンドブック(PDF)|日本ウエザリングテストセンター
- 紫外線吸収剤(UV吸収剤)とは|大塚化学
- UVA と HALS とは|BASF
- 促進耐候性試験法(PDF)|関西ペイント「塗料の研究」No.145
- 樹脂の熱劣化の評価(PDF)|群馬県立産業技術センター
- ハイドロテクトの光触媒作用について|TOTO
- 光触媒コーティング ビストレイター|日本曹達
- 超短パルスレーザを用いる Si および Ni 基合金の微細加工(研究報告 第18号)|岩手県工業技術センター
- レーザーとエッチングによるガラスの微細加工|オプトピア
- GHz バーストの超短パルスレーザーによるガラスの微細穴(2026年)|理化学研究所
- 溶接変形を防止したいのですが|溶接情報センター
- レーザー溶接の原理|キーエンス
- レザリッジ|ヤマセグループ
- レーザ加熱による金属と樹脂の直接接合(2019年)|名古屋工業大学 早川伸哉
- 放射率の意味と温度誤差の原因|佐藤商事
- XL-80 レーザー干渉計システム|レニショー
- アッベの原理|ミスミ
情報の確認日:2026年10月6日 本ページの内容は一般的な説明で、実際の反射率・透過率・寿命・劣化のしかたは、材料と表面の状態、光の波長と入る角度、温度、使う環境により異なります。数値の計算例は説明のための例です。図とテーマのイラストはAI(Claude)で作成した概念図、冒頭の画像はAI(ChatGPT)で生成したイメージ画像です。