流体・熱

熱交換器・ヒートシンク

小型化の熱・熱交換器の大きさ・LEDの寿命・温度の予測など

小型化で部品の温度が上がる、熱交換器が大きい、LED の寿命、作る前の温度の予測など、熱交換器・ヒートシンクの課題と解決する技術をまとめています。

基板の上のチップにヒートパイプでつないだアルミのヒートシンクと、板を重ねてボルトで締めたプレート式熱交換器のイメージ
AI(ChatGPT)で生成したイメージ画像

熱交換器・ヒートシンクの課題から探す

課題目的困りごと
小型化で部品の温度が上がる小型・軽量化製品や基板を小さくしたら、部品・筐体の中・触る面が熱くなった
熱交換器を小さくしたい小型・軽量化熱交換器が大きくて置き場所がない。空気を冷やす熱交換器だけが極端に大きい
LEDを長寿命にしたい信頼性・長寿命LED が思ったより早く暗くなる。放熱が足りているか分からない
作る前に性能を予測したい開発・評価ヒートシンクやファンの効き方が、試作するまで分からない
加熱・冷却の温度むらで品質がばらつく品質の安定熱板の面内や炉の中で温度がそろわない。均熱の熱板・金型の冷却水路を見直したい
流体抵抗・圧力損失を減らしたい高性能化配管や熱交換器の圧力損失が大きく、ポンプ・ファンの動力がかさむ

課題ごとに効く技術は、下の「課題と技術のマトリクス」にまとめています。

ヒートシンクは、電子部品などの熱を受け取り、フィンで広げた表面から空気へ逃がす部品です。熱交換器は、高温の流体から低温の流体へ、壁を通して熱を移す機器です。どちらも、熱の通り道の抵抗を小さくし、熱を外へ出す面を確保するという同じ考え方で設計します(編集部の整理)。

このページでは、熱交換器・ヒートシンクの困りごとを、小型化で部品の温度が上がる、熱交換器が大きい、LED の寿命、作る前の予測の4つに分けて整理しました。よくある課題と、それを解決する技術(ヒートシンク・ファン、ヒートパイプなどで熱を運ぶ・広げる、熱の逃げ道、熱交換器の形式、熱抵抗・伝熱の計算、熱流体解析と温度の測定)、冷やし方と熱交換器の種類、選ぶときに確かめることをまとめ、関係する技術を持つ企業を紹介します。

熱交換器・ヒートシンクの企業(早見表)

企業空冷・
ヒートシンク
熱を
広げる
熱交換器伝熱計算・
見直し
解析・
測定
下西技研工業ヒートシンク・ファン・ヒートパイプと熱解析●●●
アルファ冷間鍛造のヒートシンクとベーパーチャンバー●●
サーモグラフィティクス面方向1700W/mK のグラファイト複合材●
日阪製作所プレート式熱交換器●
住友精密工業プレートフィン型と拡散接合型の熱交換器●
シーテック伝熱計算による熱交換器のダウンサイジング●●
Wave Technology熱流体解析と熱の実測の受託●

●は、各社の公式サイトで確認できた得意分野です(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

熱交換器・ヒートシンクでよくある課題

課題が起きる場所は、小型の電子機器の基板と筐体、LED 照明、設備の熱交換器などです(編集部の整理)。どの場合も、熱の通り道のどこで熱が滞っているかを見ると、打つ手が見えてきます。

小型の電子機器・LED 照明・熱交換器・温度分布の解析で、熱交換器・ヒートシンクの課題が起きる場所を番号で示した図
図1 熱交換器・ヒートシンクの課題が起きる場所
出典:編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成(機器の形・配置は模式)
課題何が起きているか主に効く技術
小型化で部品の温度が上がる部品や筐体が小さくなると、熱の逃げ道(基板の銅箔・筐体の表面積)が減り、同じ発熱でも温度が上がるヒートシンク・ファン、熱を広げる部品、基板・TIM・筐体の熱の逃げ道、熱抵抗の計算
熱交換器を小さくしたい熱の伝わりにくい所(空気・ガス側、汚れ、流れの遅い所)を、伝熱面積を増やして補っている熱交換器の形式、空気側のフィン、伝熱計算で余裕を見直す
LEDを長寿命にしたいLED のパッケージからは空気へほとんど熱を出せず、接合部の温度が上がると劣化が速く進むヒートシンク、メタルベース基板と放熱材、接合部温度の計算
作る前に性能を予測したいヒートシンクやファンの効き方を、試作するまで確かめられない。解析が実測と合わない熱流体解析と温度の測定、熱抵抗の手計算

「何が起きているか」は各課題ページの解説、「主に効く技術」の列は、下のマトリクスと各節の内容をもとにした編集部の整理です。

出典:TO252 パッケージ熱抵抗情報(アプリケーションノート、2022年)|ローム、空調機用熱交換器の高性能化における研究開発|日本機械学会 熱工学コンファレンス2007、放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子、ヒートシンクの熱流体解析シミュレーション手法の開発|福島県

このほか、熱交換器・ヒートシンクに関係する課題として、「加熱・冷却の温度むらで品質がばらつく」、「流体抵抗・圧力損失を減らしたい」も解説しています。

課題と技術のマトリクス

よくある課題に対して、どの技術が効くかをまとめました。記号の理由と出典は表の下にあります。

よくある課題ヒートシンク・ファン(空冷)熱を運ぶ・広げる(ヒートパイプ・ベーパーチャンバー・グラファイト)熱の逃げ道(基板・TIM・筐体)熱交換器の形式(プレート式・フィン・マイクロチャンネル)熱抵抗・伝熱の計算で余裕を見直す熱流体解析と温度の測定
小型化で部品の温度が上がる◎◎◎◎○
熱交換器を小さくしたい◎◎◎
LEDを長寿命にしたい◎◎○
作る前に性能を予測したい○◎

◎:第一候補 ○:有効 △:条件によって有効 空欄:公開資料で直接の関係を確認できなかった組み合わせ。一般的な傾向で、効果を保証するものではありません。

記号の理由と出典

課題技術記号理由と出典
小型化で部品の温度が上がるヒートシンク・ファン(空冷)◎同じ寸法のヒートシンクでも、強制空冷(風速3m/s)と自然空冷では熱抵抗に約8倍の差がある。自然空冷では、フィンを横向きにして水平に置くと、横向きで鉛直に置くより熱抵抗が25%程度高くなる(同社の試験)(出典:ヒートシンク② 自然空冷式と強制空冷式|下西技研工業、自然空冷の手引き|アルファ)
小型化で部品の温度が上がる熱を運ぶ・広げる(ヒートパイプ・ベーパーチャンバー・グラファイト)◎ヒートパイプは熱を遠くへ運べるが、それ自体に冷やす力はなく、向きで熱抵抗が0.34〜1.7℃/W と変わる(同社の測定)。グラファイトは面の方向1700W/mK・積み重ねの方向7W/mK で、熱い一か所を広い面に広げられる(出典:ヒートパイプの原理|下西技研工業、ヒートパイプの熱輸送特性|下西技研工業、1700W/mk 熱伝導グラファイト|サーモグラフィティクス、高熱伝導グラファイトのパワー半導体モジュール放熱板への適用可能性(エレクトロニクス実装学会誌 Vol.19 No.5、2016年)|エレクトロニクス実装学会)
小型化で部品の温度が上がる熱の逃げ道(基板・TIM・筐体)◎同じ TO252 の部品でも、1層の基板で132.2℃/W、銅箔を広げた4層の基板で23.3℃/W と、基板だけで熱抵抗が5倍以上違う。密閉の筐体では、基板の熱を壁へ逃がし TIM を当てて部品温度を約122℃にした計算例がある(出典:TO252 パッケージ熱抵抗情報(アプリケーションノート、2022年)|ローム、強制?自然?筐体放熱?密閉筐体の熱計算(国峯尚樹、2026年1月)|ZEPエンジニアリング)
小型化で部品の温度が上がる熱抵抗・伝熱の計算で余裕を見直す◎許容温度・周囲温度・発熱量から目標の熱抵抗を決め、必要な表面積を出す。周囲40℃・発熱10W・部品90℃以下なら目標は5℃/W で、自然空冷では表面積0.0133m²以上が要る(出典:設計目標は温度ではなく熱抵抗(国峯尚樹)|ZEPエンジニアリング)
小型化で部品の温度が上がる熱流体解析と温度の測定○自然空冷のヒートシンクの解析は、条件の置き方で実測とずれ、放射の条件を見直して平均絶対誤差が3.03℃から2.44℃になった。放射温度計は表面の放射率で測れる値が変わる(出典:ヒートシンクの熱流体解析シミュレーション手法の開発|福島県、放射温度計の精度を徹底解説|ジャパンセンサー)
熱交換器を小さくしたいヒートシンク・ファン(空冷)◎空調機の熱交換器では、空気側の熱伝達率は冷媒側の1/100程度で、フィンで面積を広げても空気側の熱抵抗は冷媒側の5倍前後になると報告されている。空気・ガス側のフィンの改良が性能を大きく左右する(出典:空調機用熱交換器の高性能化における研究開発|日本機械学会 熱工学コンファレンス2007)
熱交換器を小さくしたい熱交換器の形式(プレート式・フィン・マイクロチャンネル)◎プレート式は総括伝熱係数が多管式などに比べて非常に大きい。プレートフィン型で、本体の体積が多管式の0.30m³から0.14m³になった比較事例がある(この事例では出口のガス温度も40℃から34℃に下がっている)(出典:プレート式熱交換器|日阪製作所 熱交ドリル、プレートフィン型熱交換器 スマレックス|住友精密工業)
熱交換器を小さくしたい熱抵抗・伝熱の計算で余裕を見直す◎既設の熱交換器を検証すると、データシートベースでは熱収支が合わない、明らかにオーバースペック、型式がミスマッチといった、無駄が多い事案が非常に多いとする熱交換器メーカーがある。汚れ係数の見込みも伝熱面積を増やす(出典:会社概要|シーテック、汚れ係数|日阪製作所 熱交ドリル)
LEDを長寿命にしたいヒートシンク・ファン(空冷)◎LED のパッケージは表面積がとても小さく、パッケージから空気中への放熱はほとんど期待できないため、ヒートシンクなどの外部の放熱器が必要になる(出典:放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子)
LEDを長寿命にしたい熱の逃げ道(基板・TIM・筐体)◎LED の熱は、はんだ・基板・放熱材・ヒートシンクを通って空気へ逃げる。基板をメタルベース基板にすると放熱性が上がり、アルミベースは放熱性が FR-4 の4倍以上とするメーカーがある(出典:放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子、メタル基板|関西電子工業)
LEDを長寿命にしたい熱抵抗・伝熱の計算で余裕を見直す○接合部温度は Tj=(Rj-s+Rs-a)×Pd+Ta で計算でき、どんな条件でも絶対最大定格以下にする。絶対最大定格の90%程度を設計の目標にする例がある(出典:放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子、パワーLEDの特性と駆動方法(高輝度/パワーLEDの活用テクニック 第4章)|CQ出版社)
作る前に性能を予測したい熱抵抗・伝熱の計算で余裕を見直す○試作の前に、目標の熱抵抗から必要な表面積や寸法の見当をつけられる。部品ごとの温度は、熱の通り道を熱抵抗の網で表す熱回路網法で見積もれる(出典:設計目標は温度ではなく熱抵抗(国峯尚樹)|ZEPエンジニアリング、熱回路網法(熱設計入門)|CEND)
作る前に性能を予測したい熱流体解析と温度の測定◎熱の解析では、発熱量や周りの条件を入れて温度の分布と時間の変化を予測する。ヒートシンクの解析と実測を比べ、条件を見直して誤差を小さくした公設試験研究機関の報告がある(出典:CAE入門(テクニカルシート No.24-11)|大阪産業技術研究所、ヒートシンクの熱流体解析シミュレーション手法の開発|福島県)

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主な解決技術

熱交換器・ヒートシンクの課題を解決する代表的な技術です。技術ごとに、しくみと効き方を下で説明します。

技術概要解決できる課題
ヒートシンク・ファンフィンで表面積を増やし、風を当てて空気へ出す熱を増やす小型化で部品の温度が上がるLEDを長寿命にしたい
熱を運ぶ・広げるヒートパイプ・ベーパーチャンバーで熱を運び、グラファイトで面に広げる小型化で部品の温度が上がる小型化で部品の温度が上がる
熱の逃げ道基板の銅箔とサーマルビア、TIM、筐体の壁で、部品の熱を外へつなぐ小型化で部品の温度が上がるLEDを長寿命にしたい
熱交換器の形式プレート式・プレートフィン・マイクロチャンネルなど、熱を伝えやすく、面を詰め込める形式にする熱交換器を小さくしたい熱交換器を小さくしたい熱交換器を小さくしたい
熱抵抗・伝熱の計算目標の熱抵抗や必要な伝熱面積を計算し、余裕の取りすぎと足りなさを見つける小型化で部品の温度が上がる熱交換器を小さくしたい
熱流体解析と温度の測定解析で温度分布を予測し、試作で測って解析の条件を合わせる作る前に性能を予測したい小型化で部品の温度が上がる

技術の概要と、つないだ課題は、各節と課題ページの内容をもとにした編集部の整理です。

ヒートシンク・ファン:表面積と風で熱を空気へ出す

ヒートシンクは、表面積を増やして空気へ出す熱を増やす部品です。下西技研工業は、同じ寸法のヒートシンクで、強制空冷(風速3m/s)と自然空冷では熱抵抗に約8倍の差があるとしています。自然空冷では、フィンの間の風の速さと表面積のバランスで、いちばんよいフィンの枚数と間隔があるとしています。アルファは、自然空冷のヒートシンクで、フィンを横向きにして水平に置くと、横向きで鉛直に置くより熱抵抗が25%程度高くなる(同社の試験)とし、フィンを上向きにするか、鉛直に置くことを勧めています。

同じ10W で立方体を小さくすると温度上昇が大きくなることを示す計算例の図
図2 同じ10W でも、外へ熱を出す面が小さいと温度上昇が大きくなる(課題「小型化で部品の温度が上がる」の図)
出典:設計目標は温度ではなく熱抵抗(国峯尚樹)|ZEPエンジニアリングをもとに AI(Claude)で作成(編集部が計算)

ファンを使えるなら、風で熱伝達率を大きくできます。ただし、風量を上げると騒音も上がります。下西技研工業の解析の事例では、同じヒートシンクで、最大風量4.8m³/min(騒音58dBA)のファンの熱抵抗が0.106℃/W、2.5m³/min(36dBA)のファンで0.120℃/W でした。目標の熱抵抗に合わせてファンを選ぶとしています。LED 照明でも、パッケージから空気中への放熱はほとんど期待できないため、ヒートシンクなどの外部の放熱器が必要になります(シチズン電子)。

出典:ヒートシンク② 自然空冷式と強制空冷式|下西技研工業、自然空冷の手引き|アルファ、空冷条件の最適化(解析事例)|下西技研工業、放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子

熱を運ぶ・広げる:ヒートパイプ・ベーパーチャンバー・グラファイト

ヒートパイプは、中の作動液が熱い側で蒸発し、冷たい側で凝縮して戻ることで熱を運ぶ部品です。熱を遠くへ運べますが、それ自体に冷やす力はなく、ヒートシンクと組み合わせて使います(下西技研工業)。向きで性能が変わり、同社の測定(アルミのヒートパイプ、20W)では、熱源が下のボトムヒートで0.34℃/W、水平で1.28℃/W、熱源が上のトップヒートで1.7℃/W でした。

ヒートパイプの取り付けの向きと熱抵抗を比べた図
図3 ヒートパイプの向きと熱抵抗(課題「小型化で部品の温度が上がる」の図)
出典:ヒートパイプの熱輸送特性|下西技研工業をもとに AI(Claude)で作成

ベーパーチャンバーは、薄い板の形で熱を面に広げる部品です。アルファは、熱源15×25mm・400W・水冷の条件で、ベーパーチャンバーなしの0.094℃/W に対し、同社の VC120 で0.066℃/W としています。グラファイトは、面の方向には1,000W/mK 以上の熱伝導率を示す一方で、層を積み重ねる方向は極端に低い材料です(エレクトロニクス実装学会誌)。サーモグラフィティクスは、同社の CVD 法のグラファイトで、面の方向1700W/mK、積み重ねの方向7W/mK としています。熱い一か所を広い面に広げて、表面の温度を下げる使い方に向きます(編集部の解説)。

グラファイトの面方向と厚さ方向の熱伝導率の違いと使い方の模式図
図4 グラファイトの熱の通り方と使い方(課題「小型化で部品の温度が上がる」の図)
出典:1700W/mk 熱伝導グラファイト|サーモグラフィティクス、高熱伝導グラファイトのパワー半導体モジュール放熱板への適用可能性(エレクトロニクス実装学会誌 Vol.19 No.5、2016年)|エレクトロニクス実装学会をもとに AI(Claude)で作成

出典:ヒートパイプの原理|下西技研工業、ヒートパイプの熱輸送特性|下西技研工業、ベーパーチャンバー VC シリーズ|アルファ、高熱伝導グラファイトのパワー半導体モジュール放熱板への適用可能性(エレクトロニクス実装学会誌 Vol.19 No.5、2016年)|エレクトロニクス実装学会、1700W/mk 熱伝導グラファイト|サーモグラフィティクス

熱の逃げ道:基板・TIM・筐体で外へつなぐ

部品の温度は、まわりの温度+発熱量×熱抵抗の合計で決まります(ジィーサス)。小さな部品の熱は、まず基板に流れます。ロームの資料では、同じ TO252 の部品でも、1層の基板で132.2℃/W、銅箔を広げた4層の基板で23.3℃/Wと、基板だけで熱抵抗が5倍以上違いました。裏面に放熱パッドのある部品では、4層基板のシミュレーションで、パッドの下のサーマルビアの有無で熱抵抗が58.4℃/W と78.8℃/W になる例が示されています(ローム)。

基板の層とサーマルビアによる部品の熱抵抗の違いを比べた図
図5 同じ部品でも、基板とビアで熱抵抗が大きく変わる(課題「小型化で部品の温度が上がる」の図)
出典:TO252 パッケージ熱抵抗情報(アプリケーションノート、2022年)|ローム、エクスポーズドパッドタイプパッケージのサーマルビアによる放熱効果(アプリケーションノート、2022年)|ロームをもとに AI(Claude)で作成

ヒートシンクや筐体との間のすき間は、放熱シート・グリスなどの TIM で埋めます(種類と選び方は技術ページ放熱シート・グリス)。国峯氏のコラムの小型の密閉筐体の例(約15W の基板、周囲60℃)では、壁付けなしで基板の温度が200℃程度まで上がるため、15W 中13W 程度を筐体に逃がす設計にし、TIM を筐体の上面に当てて部品温度を122℃程度にできるとしています。LED でも、熱ははんだ・基板・放熱材・ヒートシンクを通って空気へ逃げ、関西電子工業はアルミベースの基板は放熱性が FR-4 の4倍以上としています。

LED の接合部から基板・ヒートシンク・空気へ熱が流れる経路と熱抵抗を示した図
図6 LED の熱の通り道と熱抵抗(課題「LEDを長寿命にしたい」の図)
出典:放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子をもとに AI(Claude)で作成

出典:基板と熱設計 15. 熱抵抗について(2012年)|図研 Club-Z(ジィーサス)、TO252 パッケージ熱抵抗情報(アプリケーションノート、2022年)|ローム、エクスポーズドパッドタイプパッケージのサーマルビアによる放熱効果(アプリケーションノート、2022年)|ローム、強制?自然?筐体放熱?密閉筐体の熱計算(国峯尚樹、2026年1月)|ZEPエンジニアリング、放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子、メタル基板|関西電子工業

熱交換器の形式:熱を伝えやすく、面を詰め込む

熱交換器で運べる熱量は、総括伝熱係数 U・伝熱面積 A・平均温度差 ΔTm の積で表されます(Q=U×A×ΔTm)。U か ΔTm を大きくするほど、必要な伝熱面積は小さくなります(化学工学会の入門資料をもとにした編集部の解説)。プレート式熱交換器は、波形の薄い板を重ねて流れを乱すので、総括伝熱係数が多管式などに比べて非常に大きくなります(日阪製作所の熱交ドリル)。同じ熱交換能力の多管式と比べて、メンテナンススペースを含めて1/3〜1/5の大きさにできるとするメーカーもあります(アルファ・ラバル)。

並流と向流の熱交換器の中の温度分布を比べた図
図7 並流と向流の温度分布(課題「熱交換器を小さくしたい」の図)
出典:対数平均温度差(LMTD)|日阪製作所 熱交ドリルをもとに AI(Claude)で作成

空気やガスが相手のときは、熱伝達率の小さい空気・ガス側にフィンを付けて伝熱面積を増やします。住友精密工業のプレートフィン型は、仕切り板と波形のフィンを交互に積み重ねてろう付けした構造で、特に気体どうしの熱交換で小型・軽量化の効果が大きいとしています。流路を細くするマイクロチャンネルは、管内の熱伝達率が流路の断面の寸法の逆数に比例し、小型化などの利点があるとされます(日本冷凍空調学会)。ただし、流路を細くすると流動抵抗が増え、熱伝達と圧力損失はトレードオフの関係になります(編集部の解説)。

5mm角の流路を2×2に並べた通常の流路の断面図
0.25mm角の流路を22×22に並べたマイクロチャンネルの断面図

流路を細くして本数を増やすと、伝熱面積が約6倍(80mm² → 484mm²)になる一例(出典:技術開発への取り組み|WELCON)

出典:初心者のための化学工学入門 3.熱工学入門|化学工学会、プレート式熱交換器|日阪製作所 熱交ドリル、プレート式熱交換器 製品紹介|アルファ・ラバル(ミスミ掲載ページ)、プレートフィン型熱交換器 スマレックス|住友精密工業、マイクロチャンネル|日本冷凍空調学会 用語解説、熱交換器の小型化への取り組み(技術開発への取り組み)|WELCON

熱抵抗・伝熱の計算:寸法の見当と、余裕の見直し

国峯氏のコラムは、設計の目標は温度ではなく熱抵抗だとしています。周囲40℃・発熱10W・部品90℃以下なら、許される温度上昇は50℃で、目標の熱抵抗は5℃/W です。自然空冷(熱伝達率をおよそ15W/m²K)とすると、必要な表面積は0.0133m²以上で、立方体なら一辺47mm 以上です。部品ごとの温度は、熱の通り道を熱抵抗の網で表す熱回路網法で見積もれます(CEND)。

熱の通り道は抵抗の直列つなぎで、水と空気の熱交換では空気側の熱伝達の抵抗がいちばん大きいことを示す図
図8 熱の通り道は抵抗の直列つなぎ(課題「熱交換器を小さくしたい」の図)
出典:空調機用熱交換器の高性能化における研究開発|日本機械学会 熱工学コンファレンス2007、初心者のための化学工学入門 3.熱工学入門|化学工学会をもとに AI(Claude)で作成

熱交換器では、余裕の取りすぎを見直します。伝熱面につく汚れの熱抵抗(汚れ係数)を見込むと、その分だけ伝熱面積が増えます(日阪製作所)。汚れのないときの U が2,000W/(m²・K) の熱交換器に、汚れ係数0.0002m²・K/W を見込むと、U は約1,430W/(m²・K) に下がり、必要な伝熱面積は約1.4倍になります(編集部の計算例)。シーテックの代表者は、既設の熱交換器を検証すると、データシートベースでは熱収支が合わなかったり、明らかにオーバースペックであったり、型式がミスマッチであったりと、無駄が多い事案が非常に多いと述べています。

出典:設計目標は温度ではなく熱抵抗(国峯尚樹)|ZEPエンジニアリング、熱回路網法(熱設計入門)|CEND、汚れ係数|日阪製作所 熱交ドリル、会社概要|シーテック

熱流体解析と温度の測定:予測して、測って合わせる

熱の解析では、発熱量や周りの条件を入れて、温度の分布とその時間の変化を予測します(大阪産業技術研究所)。解析は、条件の置き方で実測とずれます。福島県の報告では、自然空冷のヒートシンク(10〜50W)で、最初の解析は実測より全体に低く、平均絶対誤差は3.03℃でした。フィンの間の空気の温度を見直して放射の条件を設定し直すと2.44℃になりました。手計算 → 解析 → 試作で実測の順に確かめ、解析の条件を合わせ込みます(編集部の解説)。

ヒートシンクの熱流体解析と実測の平均絶対誤差を比べた図
図9 ヒートシンクの熱流体解析と実測の平均絶対誤差(課題「作る前に性能を予測したい」の図)
出典:ヒートシンクの熱流体解析シミュレーション手法の開発|福島県をもとに AI(Claude)で作成

温度の測り方にも注意が要ります。放射温度計・サーモグラフィは、表面の放射率で測れる値が変わります(ジャパンセンサー)。ルネサス エレクトロニクスは、金属の表面は一般に放射率が小さく、基板向けの0.8〜0.9の設定で測ると実際より低く出るとし、黒体スプレーで補正する方法を挙げています。

温度を測るときの注意を整理した図
図10 温度を測るときの注意(課題「小型化で部品の温度が上がる」の図)
出典:放射温度計の精度を徹底解説|ジャパンセンサー、EC-1 高温での動作についての注意事項(アプリケーションノート、2016年)|ルネサス エレクトロニクスをもとに AI(Claude)で作成

出典:CAE入門(テクニカルシート No.24-11)|大阪産業技術研究所、ヒートシンクの熱流体解析シミュレーション手法の開発|福島県、放射温度計の精度を徹底解説|ジャパンセンサー、EC-1 高温での動作についての注意事項(アプリケーションノート、2016年)|ルネサス エレクトロニクス

種類と特徴

電子機器の放熱・冷却は、自然空冷・強制空冷・熱を運ぶ部品・熱を広げる材料・水冷に分けて考えると整理しやすくなります(編集部の整理)。どの方式でも、最後は表面から空気へ、または液から別の流体へ熱を出します。

自然空冷のヒートシンク・強制空冷・ヒートパイプとベーパーチャンバー・グラファイトシート・水冷の特徴を並べた図
図11 電子機器の放熱・冷却の主な方式
出典:ヒートシンク② 自然空冷式と強制空冷式|下西技研工業、ヒートパイプの原理|下西技研工業、1700W/mk 熱伝導グラファイト|サーモグラフィティクス、会社方針|風流設計をもとに AI(Claude)で作成(形は模式)
方式しくみ特徴と注意
自然空冷のヒートシンクフィンで表面積を増やし、空気の自然な流れで熱を出すフィンの枚数と間隔にいちばんよい値がある(下西技研工業)。置く向きで熱抵抗が変わる(アルファ)
強制空冷(ファン+ヒートシンク)ファンで風を当てて熱伝達率を大きくする同じ寸法で自然空冷より熱抵抗が約8分の1(下西技研工業の例)。風量を上げると騒音も上がる
ヒートパイプ・ベーパーチャンバー中の作動液の蒸発・凝縮で熱を運ぶ・広げるそれ自体に冷やす力はなく、ヒートシンクと組み合わせる。ヒートパイプは向きで性能が変わる(下西技研工業)
グラファイトシート面の方向によく熱を通して熱を広げる積み重ねの方向は熱を通しにくい(サーモグラフィティクス、エレクトロニクス実装学会誌)
水冷(コールドプレート)液で熱を運び出す空冷が不可能なケースでは水冷など、ほかの方法を勧める場合があるとする冷却設計の会社がある(風流設計)

設備の熱交換器は、形式で大きさと得意な条件が変わります。

多管式・プレート式・プレートフィン式・マイクロチャンネル式の断面の模式図と、同じ体積に入る伝熱面の広さの比較
図12 熱交換器の形式と、伝熱面の詰め込み方(課題「熱交換器を小さくしたい」の図)
出典:課題ページの内容をもとに AI(Claude)で作成(形は模式)
形式しくみ特徴と注意
多管式(シェル&チューブ)胴の中に多数の管を通し、管の中と外に流体を流す高温・高圧に強く、型式によっては管束を抜き出して洗えるなど広く使われる。小さな空間で大きな伝熱面積を得られるとするメーカーもある(神威産業)
プレート式波形の薄い板を重ね、すき間に高温と低温を1枚おきに流す総括伝熱係数が大きい。セミ溶接・全溶接タイプは、ガスケットタイプより耐熱・耐圧が高い(日阪製作所)
プレートフィン・フィンチューブ仕切り板と波形のフィン、または管と薄いフィンで空気・ガス側の面積を増やすプレートフィン型は気体どうしの熱交換で小型・軽量化の効果が大きい(住友精密工業)。プレートフィンチューブ式は液体と気体の組み合わせに向き、液体どうし・気体どうしには向かないとされる(シーテック)
拡散接合・マイクロチャンネル細い溝を加工した金属板を積層して一体にする神戸製鋼所の拡散接合型は単位体積当たりの伝熱面積1,000m²/m³以上、1,000barG まで適用できるとしている。流路が細く、汚れる流体では洗浄の方法を確かめる

出典:ヒートシンク② 自然空冷式と強制空冷式|下西技研工業、ヒートパイプの原理|下西技研工業、自然空冷の手引き|アルファ、1700W/mk 熱伝導グラファイト|サーモグラフィティクス、高熱伝導グラファイトのパワー半導体モジュール放熱板への適用可能性(エレクトロニクス実装学会誌 Vol.19 No.5、2016年)|エレクトロニクス実装学会、会社方針|風流設計、シェル&チューブタイプ熱交換器|神威産業、プレート式熱交換器|日阪製作所 熱交ドリル、プレートフィン型熱交換器 スマレックス|住友精密工業、プレートフィンチューブ式|シーテック、拡散接合型コンパクト熱交換器 DCHE|神戸製鋼所

目安になる数字

熱伝達率は、静止した空気で1〜20W/m²K、流れている空気で10〜250W/m²K 程度とされます(CEND)。多管式熱交換器の総括伝熱係数の概略値(一般的な汚れ係数を含む)は、水と水で900〜2,500W/(m²・K)、気体と水では10〜280W/(m²・K)です(化学工学会)。気体が相手だと U がおよそ一桁小さく、同じ熱量を運ぶにはその分だけ大きな伝熱面積が要ります(編集部の解説)。人が触る製品では、表面の温度の上限も考えます。UL Japan の解説(2010年)では、IEC 62368-1 で、1分を超えて触れる部分の上限(TS1 の値)を、金属・樹脂とも48℃としています(規格の版で値が変わることがあるので、最新の版で確かめます)。

低温やけどになる温度と時間と、触れる部分の表面温度の上限を示した図
図13 触る面の温度の目安:低温やけどと、規格の上限(課題「小型化で部品の温度が上がる」の図)
出典:PSマガジン VOL.441 低温火傷による事故(2023年)|製品評価技術基盤機構(NITE)、IEC 62368-1 技術解説 接触温度限界(2010年)|UL Japanをもとに AI(Claude)で作成

出典:対流熱伝達(熱設計入門)|CEND、初心者のための化学工学入門 3.熱工学入門|化学工学会、PSマガジン VOL.441 低温火傷による事故(2023年)|製品評価技術基盤機構(NITE)、IEC 62368-1 技術解説 接触温度限界(2010年)|UL Japan

選ぶ・見直すときに確かめること

熱交換器・ヒートシンクは、熱の量と許容温度、目標の熱抵抗、熱の通り道、冷やし方と形式、確かめ方の順に確かめて決めます(編集部の整理)。部品を付け足す前に、熱の逃げ道と発熱量を見直すと、小さいまま温度を下げやすくなります。

熱の量と許容温度・目標の熱抵抗・熱の通り道・冷やし方と形式・確かめ方の順に確かめる流れの図
図14 熱交換器・ヒートシンクを選ぶ・見直すときに確かめる流れ
出典:編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
  • 熱の量と許容温度:発熱量・交換する熱量(W)、部品の許容温度(ジャンクション温度・ケース温度)、使うときのまわりの温度(最高)
  • 目標の熱抵抗:許される温度上昇を発熱量で割った値。熱交換器なら、必要な伝熱面積と余裕(汚れ係数)
  • 熱の通り道:基板の層・銅箔・サーマルビア、TIM の厚さと熱伝導率、筐体へ逃がせるか
  • 冷やし方と置き方:自然空冷か、ファン・水冷を使えるか。ヒートシンク・ヒートパイプの向き。騒音・ほこり
  • 熱交換器の条件:流体の組み合わせ、設計温度と圧力、許される圧力損失、汚れやすさと洗浄の方法、置ける場所
  • 人が触る面:表面温度の上限と、触る時間
  • 確かめ方:手計算・熱流体解析・試作での測定(測り方と放射率)

出典:設計目標は温度ではなく熱抵抗(国峯尚樹)|ZEPエンジニアリング、ヒートパイプの熱輸送特性|下西技研工業、汚れ係数|日阪製作所 熱交ドリル、IEC 62368-1 技術解説 接触温度限界(2010年)|UL Japan、放射温度計の精度を徹底解説|ジャパンセンサー

企業紹介(熱交換器・ヒートシンク技術)

熱交換器・ヒートシンクに関係する技術を持つ企業を、得意分野が重ならないように選びました。紹介の内容は、各社の公式サイトで確認できる範囲で、関係する課題ページの企業紹介と同じです。各社の得意分野は、次の早見表のとおりです。

企業空冷・
ヒートシンク
熱を
広げる
熱交換器伝熱計算・
見直し
解析・
測定
下西技研工業ヒートシンク・ファン・ヒートパイプと熱解析●●●
アルファ冷間鍛造のヒートシンクとベーパーチャンバー●●
サーモグラフィティクス面方向1700W/mK のグラファイト複合材●
日阪製作所プレート式熱交換器●
住友精密工業プレートフィン型と拡散接合型の熱交換器●
シーテック伝熱計算による熱交換器のダウンサイジング●●
Wave Technology熱流体解析と熱の実測の受託●

●は、各社の公式サイトで確認できた得意分野です(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

下西技研工業株式会社|ヒートシンク・ファン・ヒートパイプと熱解析

下西技研工業とは

下西技研工業は、大阪府東大阪市に本社がある、精密機器の部品の設計・開発・製造の会社です(1990年創業)。ヒンジなどの機構部品、磁気の部品、ノイズ対策の部品とならんで、ヒートパイプ・放熱ユニット・放熱シートなどの熱対策の製品をつくっています。

下西技研工業の得意技術

技術内容
ヒートシンクの最適化同じ大きさ・同じ空冷の条件で、フィンの枚数を45枚(ピッチ2.0mm)→ 50枚 → 56枚(1.6mm)と増やすと、熱源の最高温度は63.6℃ → 61.0℃ → 59.1℃になり、製造の限界まで詰めるとおよそ4〜5℃の改善だったとしている(解析の事例)
ファンの選び方同じヒートシンクで、最大風量4.8・3.3・2.5m³/min(騒音58・45・36dBA)のファンを比べ、熱抵抗は0.106・0.113・0.120℃/W だったとし、温度と騒音のバランスで、目標の熱抵抗に合うファンを選ぶとしている
ヒートパイプの向きアルミのヒートパイプ(幅40×長さ480×厚さ2.0mm、20W)で、熱源が下のボトムヒートでは熱抵抗0.34℃/W、水平で1.28℃/W、熱源が上のトップヒートでは1.7℃/W だったとし、取り付ける姿勢が重要としている

下西技研工業が解決できる課題

  • ヒートシンクの大きさを変えずに、温度を下げたい
  • ファンの騒音を抑えながら、必要な冷却性能を確保したい
  • ヒートシンク・ファン・ヒートパイプを組み合わせた冷却ユニットを用意したい

公開されている実績

  • 自然空冷のヒートシンクで、高さを50mm から100・200・250mm にすると、熱源の接触部の温度が102.2℃ → 79.5℃ → 69.2℃ → 67.5℃になった解析の事例を公開している
ファンとヒートシンクを組み合わせた冷却ユニットの解析モデル
図15 ファンとヒートシンクを組み合わせた解析のモデル
出典:下西技研工業「ヒートシンク最適化」
ヒートシンクの解析事例の温度分布(フィン45枚)
図16 同じ事例の温度分布(フィン45枚、ピッチ2.0mm。最高63.6℃)
出典:下西技研工業「ヒートシンク最適化」

出典:会社概要|下西技研工業、ヒートシンク最適化(解析事例)|下西技研工業、空冷条件の最適化(解析事例)|下西技研工業、自然空冷ヒートシンク(解析事例)|下西技研工業、ヒートパイプの熱輸送特性|下西技研工業

株式会社アルファ|冷間鍛造のヒートシンクとベーパーチャンバー

アルファとは

アルファは、静岡県沼津市にある、ヒートシンクと関連機器の製造・販売と、軽合金の特殊な冷間鍛造品の会社です(1972年設立)。1989年からヒートシンクの開発に取り組み、冷間鍛造の製法「マイクロフォージング」でヒートシンクをつくっています。

アルファの得意技術

技術内容
ベーパーチャンバー(VC シリーズ)銅の薄いケースの内側に銅の金網を接合し、熱源の部分に多孔質のウィックを置き、真空にして純水を封入したもの。作動流体の蒸発・凝縮とウィックの毛細管現象で、高密度の熱を素早く広い面積に広げるとしている。使用温度の範囲は10〜90℃
熱抵抗の測定値熱源15×25mm・400W・水冷(流量4.0L/min)の条件で、ベーパーチャンバーなしの0.094℃/W に対し、VC120 で0.066℃/W(VC80 で0.08、VC90 で0.069)としている
ヒートシンクの性能を上げる方法・自然空冷の手引きベースを大きくする、フィンを最適にする、ダクトを付ける、TIM を変える、銅のヒートスプレッダーを埋め込むなどの方法を解説している。自然空冷では、フィンを横向きにして水平に置くと、横向きで鉛直に置くより熱抵抗が25%程度高くなる(同社の試験)とし、上向きか鉛直に置くことを勧めている

アルファが解決できる課題

  • 小さな熱源の熱を、ヒートシンクやコールドプレートの広い面に広げたい
  • ヒートシンクを付けても、熱源の真上だけが熱い
  • 自然空冷のヒートシンクの向き・形を決めたい
ベーパーチャンバーの断面の拡大写真
図17 ベーパーチャンバーの断面の拡大写真
出典:アルファ「ベーパーチャンバー VC シリーズ」

出典:会社概要|アルファ、ベーパーチャンバー VC シリーズ|アルファ、ヒートシンクの放熱性能を高める方法|アルファ、自然空冷の手引き|アルファ

株式会社サーモグラフィティクス|面方向1700W/mK のグラファイト複合材

サーモグラフィティクスとは

サーモグラフィティクスは、大阪市大正区に本社がある、放熱・熱拡散の部材を研究開発・製造販売する会社です(2009年設立)。高い熱伝導率をもつグラファイトに、金属・セラミックスを接合したり、めっきをしたりした複合材「コンポロイド」をつくっています。

サーモグラフィティクスの得意技術

技術内容
CVD 法の人造グラファイト炭素のガスを熱分解する CVD 法でつくった人造グラファイトで、熱伝導率は面の方向(X-Y)1700W/mK、積み重ねの方向(Z)7W/mKと方向で大きく違うとしている。熱伝導率は銅の4倍以上、比重は2.22g/ccとアルミより軽いとしている
コンポロイドグラファイトに金属・セラミックスを接合したもの、めっきしたものの2種類。サイズ・厚み・相手の材料・絶縁・熱伝導の方向などを、用途と仕様に合わせて注文に応じてつくるとしている
小型化への効果(同社の説明)デバイスの高密度・高集積化による熱設計の制約をやわらげ、製品の小型化・軽量化などにつながるとしている。スペースの取り合いになる自動車の電子機器で、冷却機能の小型化に大きなメリットがあるとしている

サーモグラフィティクスが解決できる課題

  • 小さな発熱部品の熱を、面の方向に広げて逃がしたい
  • 銅のヒートスプレッダーでは重い
  • 放熱の部材に絶縁も持たせたい
グラファイト複合材コンポロイドの2つの形の模式図
図18 グラファイト複合材「コンポロイド」の2つの形(模式図)
出典:サーモグラフィティクス「コンポロイドとは」をもとに AI(Claude)で作成

出典:会社概要|サーモグラフィティクス、コンポロイドとは|サーモグラフィティクス、1700W/mk 熱伝導グラファイト|サーモグラフィティクス

株式会社日阪製作所|プレート式熱交換器(ガスケット・ブレージング・溶接)

日阪製作所とは

日阪製作所は、大阪市北区に本社を置く、1942年創業の産業機械メーカーです(従業員 単体725名・連結1,063名、2026年3月末)。熱交換器事業ではプレート式熱交換器を手がけ、基礎から学べる技術解説「熱交ドリル」を公開しています。

プレート式熱交換器のガスケット・ブレージング・セミ溶接・全溶接の4タイプの模式図
プレート式熱交換器の4つのタイプ
出典:日阪製作所「プレート式熱交換器」の説明をもとに AI(Claude)で作成

日阪製作所の得意技術

技術内容
プレート式熱交換器プレス成形した薄い伝熱プレートを積層し、高温流体と低温流体を1枚おきに流す。総括伝熱係数が多管式などに比べて非常に大きく、フレーム自体にメンテナンススペースを持つため設置面積が小さいとしている
4つのタイプガスケットタイプのほか、銅またはニッケルのろう材で一体化したブレージングタイプ、2枚のプレートをレーザー溶接したセミ溶接タイプ、全溶接タイプがある。セミ溶接・全溶接はガスケットタイプより耐熱・耐圧が高い
伝熱面積の増減伝熱プレートを積層する構造のため、プレートの増減で伝熱面積を変えられる(フレームの寸法の範囲内)。波形のプレートの表面積は平板のおよそ1.2倍

同社は、完全対向流での熱交換ができるため、高温側入口温度と低温側出口温度を1℃差まで近づけられるとしています。また、プレート式熱交換器では、多管式より汚れ係数を小さくとれる理由(流れの乱れ、デッドスペースがない、壁面温度が低い、洗浄しやすい)を解説しています。

日阪製作所が解決できる課題

  • 液体どうしの熱交換で、多管式が大きく、置き場所が足りない
  • 汚れを見込んだ余裕を、多管式より小さくしたい
  • 分解して洗える熱交換器にしたい。あとで伝熱面積を増やせるようにしたい

出典:プレート式熱交換器|日阪製作所 熱交ドリル、製品の特長|日阪製作所、汚れ係数|日阪製作所 熱交ドリル、会社概要|日阪製作所

住友精密工業株式会社|プレートフィン型と拡散接合型の熱交換器

住友精密工業とは

住友精密工業は、兵庫県尼崎市に本社を置く、1961年設立のメーカーです(従業員 単独1,375名・連結1,783名、2026年3月31日現在)。航空・宇宙、油圧制御などと並んで熱交換器の事業を持ち、プレートフィン型と拡散接合型マイクロチャンネル熱交換器を手がけています。

住友精密工業の比較事例で、多管式0.30立方メートルとプレートフィン型0.14立方メートルの本体体積を比べたグラフ
多管式とプレートフィン型の比較事例
出典:プレートフィン型熱交換器 スマレックス|住友精密工業に掲載の数値をもとに AI(Claude)で作成

住友精密工業の得意技術

技術内容
プレートフィン型「スマレックス」ブレージングシート(仕切り板)とコルゲートフィン(波板)を交互に積み重ねてろう付けした構造。フィンで伝熱面を広げるため体積当たりの伝熱面積が大きく、特に気体どうしの熱交換で小型・軽量化の効果が大きいとしている
多管式との比較事例同じ役目の熱交換器で、本体体積が多管式の0.30m³からプレートフィン型の0.14m³になり、ガス出口温度も40℃から34℃に下がる例を示している(冷却水32℃)
拡散接合型「DuraBlex」エッチングで溝を加工したステンレス鋼の平板を積層し、拡散接合した構造。最大100MPa程度までの高圧に対応し、水素ステーション用水素圧縮機の熱交換器で従来比1/50の小型化の事例を示している

同社によると、拡散接合型はプレートフィン型より肉厚を大きく取れるため強度が高く、プレートフィン型では対応できない高圧・熱サイクルの厳しい条件に使われます。

住友精密工業が解決できる課題

  • ガスや空気を冷やす熱交換器が大きく、設置スペースや支持構造を小さくしたい
  • 複数の流体の熱交換を、1台にまとめたい
  • 水素など高圧のガスを、小さな熱交換器で冷やしたい

公開されている実績

  • プレートフィン型の適用例として、空気分離装置用、産業機械用・新幹線用のオイルクーラー(アルミニウム合金製)、燃料電池用、プラント用9流体熱交換器(ステンレス鋼製)などを挙げている
  • 拡散接合型は、水素ステーションのほか、LNG燃料船、LNG運搬船、FSRU(浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備)などに適用範囲を広げているとしている

出典:プレートフィン型熱交換器 スマレックス|住友精密工業、拡散接合型マイクロチャンネル熱交換器 DuraBlex|住友精密工業、会社概要|住友精密工業

株式会社シーテック|伝熱計算による熱交換器のダウンサイジング

シーテックとは

シーテックは、大阪市天王寺区に本社を置く、2018年に創業した熱交換器メーカーです(資本金500万円)。各種熱交換器の設計・製造・販売のほか、プラントエンジニアリング、機器の設置工事や配管工事も行っています。

プレートフィンチューブ式熱交換器の全体の写真
シーテックのプレートフィンチューブ式熱交換器(出典:プレートフィンチューブ式|シーテック)

シーテックの得意技術

技術内容
機種選定と伝熱計算プロセスに合う機種選定と伝熱計算を行い、熱交換器をダウンサイジングして、「丁度いい」機種・型式・伝熱面積で供給するとしている
コンパクト型多管式熱交換器ステンレス製またはチタン製の細管を使い、小流量でも管内流速を上げて境膜伝熱係数を高め、コンパクトに設計する。速めの管内流速による自浄作用でスケールの付着を防ぐとしている(設計温度450℃以下、設計圧力0.7MPa(G)以下)
プレートフィンチューブ式伝熱管に0.2〜0.3mmの薄いフィンを2〜3mm程度のピッチで圧入し、小さなスペースに多くの伝熱面積をとる。液体と気体のように、境膜伝熱係数の差が大きい組み合わせに向く

代表者は、既設の熱交換器を検証すると、熱収支が合わない、明らかにオーバースペック、型式がミスマッチといった例が非常に多いと述べています。最適化のメリットとして、熱交換器がコンパクトになり、シェル径が小さく、チューブ本数も少なくなることを挙げています。

シーテックが解決できる課題

  • 古い熱交換器を更新するとき、同じ大きさで作り直すのではなく、条件に合わせて小さくしたい
  • 図面が不明瞭な古い熱交換器も、現地で確かめてから更新したい
  • 排ガスや乾燥工程の排熱を、空気や温水に回収したい

公開されている実績

  • 焼却炉の燃焼排ガスを熱源とした空気予熱器と温水発生器(ゴミ処理施設)、化学プラントの過熱蒸気コンデンサー、製油メーカーの乾燥工程の排熱回収用熱交換器の導入事例を公開している

出典:熱交換器の最適化|シーテック、コンパクト型多管式熱交換器|シーテック、プレートフィンチューブ式|シーテック、会社概要|シーテック

株式会社Wave Technology|熱流体解析と熱の実測の受託

Wave Technologyとは

Wave Technology(WTI)は、兵庫県川西市に本社がある、製品開発の設計を支援する会社です(1984年設立、2005年に社名変更)。半導体の評価、回路・プリント基板・ソフトウェア・筐体・包装の設計を請け、熱流体解析の受託サービスも行っています。三菱電機グループのミヨシ電子が全額出資しています。

Wave Technologyの得意技術

技術内容
熱流体解析の受託Simcenter Flotherm(Flotherm XT)を使い、発熱や日射などの熱の課題を CAE 解析で解決するとしている。CAE 解析と熱の実測の両方を CAE の技術者が担当し、熱電対・サーモビューアでの測定やジャンクション温度の測定、X 線・断面研磨による評価も行う
相談の段階に合わせたメニュー設計の妥当性の相談(5万円〜)、熱課題の簡易診断(10万円〜、設計の情報をもらってからおよそ3営業日)、熱課題の対策の検討(30万円〜、詳しい解析と実測)を示している
解析の事例熱伝導率121W/mK のアルミダイカストの筐体と20W の IC の例で、フィンを8〜30枚で比べると18枚がいちばんよく、TIM は0.6W/mK 以上を選ぶべきだとし、塗装(放射率0.95)で無処理のアルミ(0.03)より放射の放熱が大きくなることを示している

Wave Technologyが解決できる課題

  • 開発の段階で、製品の温度や熱の課題があるかを予測したい
  • 放熱の対策をしたいが、知見がない
  • 製品の中の、測りにくい所の温度を測りたい
  • 試作品に放熱の対策をしているが、効果が出ない
筐体の中の熱流体解析の例
図19 熱流体解析の例
出典:Wave Technology「熱流体解析 受託サービス」

出典:会社概要|Wave Technology、熱流体解析 受託サービス|Wave Technology、熱流体解析を用いた放熱対策|Wave Technology

熱交換器・ヒートシンクに関係する分野と製品のページです。

関連する記事・事例

出典・参考

情報の確認日:2026年10月6日 本ページの内容は一般的な情報で、実際の性能は製品・使用条件により異なります。図はAI(Claude)で作成した概念図、冒頭の画像はAI(ChatGPT)で生成したイメージ画像です。企業紹介の内容と図は、関係する課題ページの企業紹介と同じです。

熱交換器・ヒートシンクのよくある課題

熱交換器・ヒートシンクの主な解決技術

流体・熱のほかのテーマ