分野から探す

流体

圧力損失・キャビテーション・水撃・漏れと気密・混合(撹拌)

流体に関係する課題と、使える技術・製品をまとめた入口です。

横から見た配管のイラスト。左の水槽から吸い込んだ水を、モーターで回る渦巻ポンプが送り出し、ゆるやかに曲がる配管、弁、ストレーナ、圧力計を通って、右の撹拌翼の付いた槽へ送る。配管と槽の中にオレンジの流れの矢印
AI(ChatGPT)で生成したイメージ画像

流体の課題から探す

困りごと課題
ポンプ・ファン・エアの電気代が高い、流量が出ない流体抵抗・圧力損失を減らしたい工場の電力を減らしたい(コンプレッサー・ポンプ・空調の省エネ)エアシリンダーを電動に置き換えたい
ポンプから音がする・羽根車が削れる、配管が鳴るポンプのキャビテーションを防ぎたいウォーターハンマー(水撃)を防ぎたい
液・ガスが漏れる、水や湿気が入る液漏れ・気密不良を防ぎたい電子機器を防水・防じんにしたいゴム部品がへたる・硬くなる(圧縮永久ひずみ)を防ぎたい制御盤・筐体の中の結露を防ぎたい
混ぜ方・流し方を、量産や設計に移したいラボの条件を量産に移せない熱交換器を小さくしたい作る前に性能を予測したい

課題ごとの解決技術は、下の「流体の課題と、解決する技術」にまとめています。

ポンプやファンの電気代が高いのに、必要な流量が出ない。ポンプからガラガラと音がして、羽根車が削れてきた。弁を閉めた瞬間に配管がガンと鳴る。フランジや軸のところから液がにじむ。ラボではうまく混ざったのに、大きな槽では品質がばらつく。こうした困りごとの多くは、流体の圧力が、流れるうちに下がる、下がりすぎる、急に上がる、外へ押し出す、のどれかで説明できます(編集部の整理)。

このページは、液体や気体を流す・止める・混ぜる設計に向き合う技術者のための入口です。圧力損失は流速の2乗で大きくなることと、ポンプの運転点の考え方を押さえたうえで、圧力損失、キャビテーション、水撃(ウォーターハンマー)、漏れ・気密、混合・撹拌の5つのテーマごとに、しくみと注意点をまとめました。最後に、関係する課題・技術・製品のページへつないでいます。

この分野で扱うテーマ

イラストはAI(Claude)で作成したイメージです。

基本の考え方

圧力損失:直管では少しずつ、部品では一気に下がる

流体が配管の中を流れると、上流より下流の圧力が下がります。この差が圧力損失で、流体の持つエネルギーの損失です。キーエンスは、圧力損失によって下流の圧力だけでなく、流量や流速も下がると説明しています。圧力損失は大きく2つに分けられます。1つは直管の壁との摩擦による損失で、ダルシー・ワイスバッハの式で表され、管の長さと流速の2乗に比例し、管の内径に反比例します。もう1つは、曲がり・弁・拡大や縮小・分岐など、形が変わるところで生じる局所損失で、部品ごとの損失係数に、流速の2乗に比例する動圧を掛けて求めます。どちらの損失も流速の2乗に比例するので、流れの速いところほど損失が大きくなります。

配管に沿った圧力のグラフ。直管では壁との摩擦で少しずつ下がり、曲がり・弁・ストレーナのところで局所損失により一気に下がる
図1 圧力損失:直管では少しずつ、部品のところでは一気に下がる(模式図)
出典:キーエンス・サイバネットシステム・構造計画研究所の解説をもとに AI(Claude)で作成

出典:圧力損失とその原因|キーエンス、圧力損失|サイバネットシステム、【流体】熱と流れの不思議vol.3 圧力損失②~形状損失~|構造計画研究所、圧力損失|川口液化ケミカル

管を細くすると、損失は急に大きくなる

同じ流量を細い管で送ると流速が上がるため、圧力損失は急に大きくなります。川口液化ケミカルは、流量が一定のまま配管の内径を1/2にすると、流速が4倍になり、圧力損失は32倍になると説明しています。管摩擦係数を一定とした概算では、直管の損失は内径の5乗に反比例し、内径を0.8倍にするだけでも約3.1倍になります(編集部の計算)。

同じ流量で内径を変えたときの直管の圧力損失の倍率。内径1倍で1倍、0.8倍で約3.1倍、0.7倍で約5.9倍、0.5倍で32倍
図2 同じ流量で管を細くしたときの直管の圧力損失(編集部の計算)
出典:川口液化ケミカルの説明をもとに AI(Claude)で作成

出典:圧力損失|川口液化ケミカル

ポンプ・ファンの運転点と、回転数の3乗

ポンプやファンは、配管やダクト全体の圧力損失の合計に見合う揚程(圧力)を出して流体を送ります。流量と揚程の関係を配管の側から表したものが抵抗曲線で、ポンプの性能曲線と交わるところが運転点です。配管の抵抗を下げただけでは、運転点が流量を増やす側に移るだけで、動力はあまり下がりません。抵抗を下げたぶん回転数を下げて流量を元に戻すと、省エネになります。J-Net21 は、遠心式のポンプや送風機では動力が回転速度の3乗に比例し、回転速度を20%下げると動力は約49%減ると説明しています。環境省の資料も、回転数を下げると流量は回転数に、軸動力は回転数の3乗に比例して下がるとしています。弁やダンパーを絞って流量を減らす方法は、抵抗を増やしてエネルギーを捨てているため、回転数を下げる方法より省エネの効果が小さくなります(J-Net21)。

ポンプの性能曲線と配管の抵抗曲線のグラフ。今の運転点、抵抗を下げただけで流量が増える側に移った点、さらに回転数を下げて同じ流量を低い揚程で送る点。軸動力は回転数の3乗に比例し、20%下げると約0.51倍
図3 運転点:ポンプの性能曲線と配管の抵抗曲線が交わる所(模式図)
出典:J-Net21・環境省の説明をもとに AI(Claude)で作成

出典:ポンプや送風機の回転速度調整による省エネとは?|中小機構 J-Net21、インバーター制御装置等の回転数制御装置の導入(設備ガイドライン)|環境省

流体のトラブルの多くは「圧力」で説明できる

流れるうちに圧力が下がるのが圧力損失、液の飽和蒸気圧より下がりすぎると泡ができるのがキャビテーション、流れを急に止めて圧力が急に上がるのが水撃、内と外の圧力の差ですきまから流体が出入りするのが漏れです。どこで、いつ、圧力がどうなっているかを測ると、原因を絞り込めます(編集部の整理)。

4つのカード。圧力が下がる(圧力損失)、下がりすぎる(キャビテーション)、急に上がる(水撃)、外へ押し出す(漏れ・気密)
図4 流体のトラブルの多くは「圧力」で説明できる(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成

流体の設計・対策の進め方

流体の設計・対策は、流体と流量の条件を決め、系全体の圧力を見積もってから、機器と運転点を選ぶと、むだな試行錯誤が減ります(編集部の整理)。ふだん流れているときだけでなく、弁を閉める・ポンプが止まるときの圧力の変化も確かめます。

流体の設計・対策の5段階の図。条件を知る、圧力を見積もる、機器と運転点、止める・始める時、測って確かめる。年々悪くなるなら付着物・目詰まり・シールのへたりを疑って測り直す
図5 流体の設計・対策の進め方(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
  1. 条件を知る:流体の種類(水、油、空気など)、温度、粘度、流量を決めます。温度は飽和蒸気圧にも効きます。
  2. 圧力を見積もる:直管と部品の損失を足し合わせ、配管の抵抗曲線を描きます。形が複雑な流路は流体解析で確かめます(「圧力損失」の節)。
  3. 機器と運転点を決める:ポンプ・ファン・弁・シールを選び、運転点と NPSH の余裕を確かめます(「キャビテーション」の節)。
  4. 止める・始める時を考える:弁の閉め方、ポンプの停止・起動で圧力がどう変わるかを確かめます(「水撃」の節)。
  5. 測って確かめる:部品の前後の差圧、漏れ、圧力の変動を測ります。年々悪くなるなら、付着物・目詰まり・シールのへたりを疑います。

計算例:流れを一瞬で止めると、圧力はどれだけ上がるか

流れを一瞬で止めたときの圧力の上がり方は、ジューコフスキーの式で求められます。圧力で書くと、圧力の上がり方≒水の密度×圧力波の速さ×流速の変化です。農林水産省の技術書の式と値で編集部が計算すると、圧力波の速さは、内径50mm で厚さ3mm の鋼管では約1,320m/s、厚さ4mm の塩ビ管では約460m/s です。鋼管で流速1m/s を一瞬で止めると、圧力は約1.3MPa 上がり、2m/s なら約2.6MPaです。管がやわらかいほど、同じ流速でも圧力の上がり方は小さくなります(編集部の計算。説明のための例です)。

圧力の上がり方は水の密度×圧力波の速さ×流速の変化。鋼管(圧力波 約1,320m/s)で流速1m/s を止めると約1.3MPa、2m/s で約2.6MPa。塩ビ管(約460m/s)で約0.46MPa と約0.92MPa
図6 流れを一瞬で止めたときの圧力の上がり方(編集部の計算)
出典:農林水産省「設計『パイプライン』技術書」の式と値をもとに AI(Claude)で作成

弁を閉める時間が、圧力波が管を往復する時間(2L÷a。L は管の長さ、a は圧力波の速さ)より短い場合を急閉そく、長い場合を緩閉そくと呼びます(農林水産省の技術書)。鋼管で長さ10m なら 2L÷a は約0.015秒、100m でも約0.15秒です(編集部の計算)。

出典:土地改良事業計画設計基準 設計「パイプライン」技術書 8. 非定常的な水理現象の解析|農林水産省

圧力損失:流れるほど、圧力とエネルギーを失う

圧力損失は、どこで生じているかによって効く対策が変わります。まず、ポンプやファンの前後、主な部品(ストレーナ、熱交換器、弁など)の前後に圧力計を付け、どこでどれだけ圧力が下がっているかを測ります。設置したときから損失が大きいなら設計、年々増えているなら付着物を疑います(課題ページ「流体抵抗・圧力損失を減らしたい」の整理)。

曲がり・弁・ストレーナ:形で損失が大きく変わる

曲がりは、急に曲がるエルボより、ゆるやかに曲がるベンドのほうが損失が小さくなります。構造計画研究所が内径500mm・流速20m/s の条件で行った解析では、エルボの圧力損失が157kPa、ベンドが81kPaで、ベンドの中に整流板を付けると46kPa まで下がりました。部品の損失は、同じ形でも流速の2乗に比例して大きくなるので、流速の速いところにある部品から見直すと効果が出やすくなります(編集部の解説)。

エルボ(急に曲がる)157kPa、ベンド(ゆるやかに曲がる)81kPa、整流板を付けたベンド46kPa の棒グラフと、それぞれの形の模式図
図7 曲がりの形と局所損失(解析の例)
出典:構造計画研究所の技術コラムをもとに AI(Claude)で作成

出典:【流体】熱と流れの不思議vol.4 圧力損失③~エルボ・ベンド~|構造計画研究所

年々増えるなら、スケール・汚れ・目詰まり

水の中のカルシウムやシリカなどが析出したスケール、錆こぶ、汚れが配管や熱交換器の内側に付くと、流れの通り道が狭くなって圧力損失が増えます。栗田工業は、冷却水系のスケールが、熱交換効率の低下に加えて、ポンプ圧の上昇や流量の低下の原因になるとしています。ストレーナやフィルタは、前後の差圧を記録し、決めた値を超えたら清掃や交換をします。目詰まりしたままだと、ポンプの吸込側ではキャビテーションの原因にもなります(課題ページ「流体抵抗・圧力損失を減らしたい」)。

出典:冷却水系で発生する障害の種類―スケール障害―|栗田工業

壁の摩擦抵抗そのものを下げる

リブレットは、サメの肌をまねて、表面に流れの向きにそろった微細な溝を付ける技術です。ニコンによると、流体の抵抗は圧力抵抗と摩擦抵抗に分けられ、リブレットは摩擦抵抗に効きます。液体では、界面活性剤を加えて流れの抵抗を下げる方法もあります。産業技術総合研究所は、札幌市役所本庁舎の暖房用の循環水に界面活性剤を約0.5%の濃度で加え、循環ポンプの運転周波数を50Hz から35Hz に下げても定格流量を保ち、電力量を65%削減したと発表しています。使える設備は密閉された循環系などに限られます。

出典:リブレット加工 概要|ニコン、界面活性剤を利用して循環ポンプ動力の65%の省エネを達成|産業技術総合研究所

圧縮空気も、圧力が高いほどむだが増える

J-Net21 は、一般工場での圧縮空気の漏れは20%程度あるといわれるとしています。コンプレッサーの吐出圧力は、使う所の圧力に配管の圧力損失を足した値が必要で、0.8MPa-abs から0.1MPa 下げると理論上約8%の動力が下がり、漏れが減る分を加えて10%程度の省エネが期待できるとしています。詳しくは課題ページ「工場の電力を減らしたい」で解説しています。

出典:圧縮空気システムの省エネのポイントは?(その1:吐出圧力の低減)|中小機構 J-Net21

キャビテーション:圧力が下がりすぎると、液が沸いて泡になる

キャビテーションとは、液体の圧力が飽和蒸気圧より下がったときに液体が沸騰して気泡ができ、その気泡が圧力の高い場所へ流されてつぶれる現象です。ポンプでは、羽根車の入口付近で圧力がもっとも低くなるため、ここで気泡が生まれやすくなります。気泡がつぶれるときに、騒音・振動や揚程の低下が起き、羽根車やケーシングの表面が浸食されます(キャビテーション・エロージョン)。

出典:ポンプキャビテーション現象の基礎知識[第1回]|荏原製作所、キャビテーション・エロージョン|千代田第一工業、キャビテーションとは|カトウ光研

NPSHA と NPSHR で、起きるかどうかを判断する

キャビテーションが起きるかどうかは、NPSH(有効吸込ヘッド)で判断します。現場の条件で決まる有効 NPSH(NPSHA)は、吸込側の液面の高さ、液面にかかる圧力、配管の損失、液体の温度(飽和蒸気圧)で決まります。ポンプの性能で決まる必要 NPSH(NPSHR)は、一般にキャビテーションによって全揚程が3%低下するときの値で示されます。NPSHA が NPSHR を上回るようにするのが基本ですが、NPSHR の点ではすでに気泡が発生しているので、騒音やエロージョンまで防ぐなら、さらに余裕を持たせます。

NPSHA は液面にかかる圧力と液面の高さから配管の損失と飽和蒸気圧の分を引いたもの。NPSHA が NPSHR を余裕をもって上回るようにする。足りない例と大きすぎる例
図8 NPSHA の決まり方と、NPSHR との比べ方(模式図)
出典:荏原製作所・伏虎金属工業の解説をもとに AI(Claude)で作成

出典:ポンプキャビテーション現象の基礎知識[第1回]|荏原製作所、キャビテーションを防ぐポンプ対策完全ガイド|伏虎金属工業

対策:まず吸込条件と運転点、それから材料

現場側の余裕(NPSHA)を増やすには、吸込配管を太く短くして曲がりや弁を減らす、液面を高く保つ、ストレーナを定期的に清掃する、液温を下げるといった方法があります。回転数を上げすぎると吸込側の圧力が急に下がるので、インバーターで回転数を下げる、最高効率点から大きく外れた運転を適正な運転点に戻す、吸込性能の高い機種を選ぶといった方法があります(伏虎金属工業)。材料や表面処理は、壊れるまでの時間を延ばす対策で、原因を取り除く対策と組み合わせます。どこで気泡ができているかは、流体解析や高速度撮影などの可視化で確かめられます(カトウ光研)。

出典:キャビテーションを防ぐポンプ対策完全ガイド|伏虎金属工業、キャビテーション・エロージョン|千代田第一工業、キャビテーションとは|カトウ光研

詳しくは課題ページ「ポンプのキャビテーションを防ぎたい」、ポンプ全般は製品ページ「ポンプ・ファン」で解説しています。

水撃(ウォーターハンマー):流れを急に止めると、圧力の波が走る

水道技術研究センターは、管を流れている水の先の水栓を急に閉じると、流れている水の運動エネルギーが圧力エネルギーに変わり、水栓の直前で高圧が発生し、この高圧の領域が上流へ進むと説明しています。上流で反射して戻り、今度は負圧となって往復をくり返します。弁を急に閉めたとき、ポンプが止まったとき、蒸気を通し始めたときのどれで鳴るかを確かめると、原因を絞り込めます(編集部の整理)。

出典:ウォーターハンマ(水撃)の発生要因と対策について(水道技術ジャーナル2008年7月)|水道技術研究センター

ポンプが止まったときは、高い圧力と負圧の両方が出る

ポンプが止まると吐出量が減り、管路の水圧が下がって水柱分離が起こることがあります。逆流が始まると、ほぼ同時に逆止弁が閉まるので、急激に圧力が上昇します(日本ダクタイル鉄管協会)。逆止弁の水撃は、逆流が始まる前に逆止弁が閉じればよいので、スイングチャッキにカウンタウェイトを付けたり、スプリング式の逆止弁に替えたりして防げます(水道技術研究センター)。

出典:ダクタイル鉄管の設計(Chapter5)|日本ダクタイル鉄管協会、ウォーターハンマ(水撃)の発生要因と対策について(水道技術ジャーナル2008年7月)|水道技術研究センター

対策:閉め方を遅くする、圧力を吸収する、ドレンをためない

日本ダクタイル鉄管協会は、バルブを急開・急閉塞するとウォーターハンマーが発生するので、開閉時間を長く取る必要があるとしています。水撃防止器は、ダイヤフラムやベローズなどの反対側に空気や窒素を封入し、水撃を吸収するもので(ベン)、水道技術研究センターは、閉止する器具の直近に取り付けることが重要としています。ポンプの管路では、空気槽(エアチャンバ)やサージタンクを使います(農林水産省の技術書)。蒸気配管では、たまったドレンが原因になります。TLV は、蒸気配管の中では瞬時に10MPa 以上もの急激な圧力変化が起こることがあるとし、適切にスチームトラップを設置し、蒸気輸送管内のドレンを素早く確実に排除することが肝要としています。

出典:ダクタイル鉄管の設計(Chapter5)|日本ダクタイル鉄管協会、よくあるご質問|ベン、ウォーターハンマ(水撃)の発生要因と対策について(水道技術ジャーナル2008年7月)|水道技術研究センター、土地改良事業計画設計基準 設計「パイプライン」技術書 8. 非定常的な水理現象の解析|農林水産省、ウォーターハンマー1(発生のメカニズム)|TLV、ウォーターハンマー3(蒸気輸送配管の対策)|TLV

弁を閉める時間と上がる圧力のグラフ。2L÷a より短いと急閉で圧力が最大、長いほど低い。対策は閉め方を遅くする、圧力を吸収する、原因をなくすの3つ
図9 水撃:閉める時間と圧力、対策の3つの方向(模式図)
出典:日本ダクタイル鉄管協会・水道技術研究センター・農林水産省の技術書・TLV の説明をもとに AI(Claude)で作成

実際の管路では、圧力を測りながら場所を絞り込みます。横浜市水道局の事例では、周辺の消火栓で水圧を測り、反応の強い方へ測る所を移して原因を絞り込みました(水道技術研究センター)。詳しくは課題ページ「ウォーターハンマー(水撃)を防ぎたい」で解説しています。

出典:ウォーターハンマーへの対応事例について(横浜市水道局)|水道技術研究センター

漏れ・気密:すきまと押し付ける力で決まる

漏れは、通り道で分けると考えやすくなります。シール面の微小なすきまを圧力の差で流体が流れ出る接面漏れと、シール材の中を毛細管現象などで通り抜ける浸透漏れがあります(ジュンツウネット21)。もう一つは部品そのものに通り道がある場合で、鋳造や成形の過程で自然に発生したポロシティ(巣)が漏れの経路になります(Godfrey & Wing)。接面漏れを止めているのは、シール材を相手の面に押し付ける力です。O リングでは、つぶした分の反発力で、圧力がない状態でも初期シールが形成されます(ダイコー)。

漏れの3つの通り道(接面漏れ、浸透漏れ、本体の巣)と、O リングのつぶし率の目安(適正8〜30%、40%以上で破損のおそれ、固定用15〜30%、運動用10〜20%)
図10 漏れの通り道と、O リングのつぶし率の目安
出典:ジュンツウネット21・Godfrey & Wing・日本溶接協会の解説と、桜シール・ダイコーの技術資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:接面漏れと浸透漏れはどのように違うのか|ジュンツウネット21、真空含浸|Godfrey & Wing、ヘリウムリークテスト(PDF)|日本溶接協会「軽金属溶接」Vol.50 No.4、O リング完全ガイド|ダイコー

O リング・ガスケット:つぶし率と面圧を管理する

O リングのつぶした量を線径で割ったものがつぶし率で、桜シールは8〜30%の範囲が適正で、40%以上になると破損するおそれがあるとしています。ダイコーは、目安を固定用で15〜30%、運動用で10〜20%程度としています。ガスケットは、時間とともに素材がなじんで反発力が下がり(応力緩和)、必要な締付面圧を下回ると漏えいが発生します(ダイコー)。バルカーの技術誌は、片締めなどを防いで均等に締め付けるため、段階的に締付力を上げることが推奨されているとしています。石油産業活性化センターのガイドラインも、ボルトの締付けは対角方向に交互に行うことを基本としています。

出典:O リングのつぶし代とつぶし率|桜シール、O リング完全ガイド|ダイコー、ガスケットの応力緩和|ダイコー、段階締付の検討(PDF)|バルカー技術誌 No.37、熱影響を考慮したフランジ継手の締付管理に関するガイドライン(PDF)|石油産業活性化センター

回る軸・複雑な合わせ面・部品の巣

ポンプや撹拌機の回転軸では、回転環と固定環の摺動面が接触しながら回るメカニカルシールがよく使われますが、漏れを完全に止めるものではありません(モーノポンプ)。伏虎金属工業は、漏れの原因として、液がない状態で回す空運転による焼き付き、異物の噛み込みによる傷、高温の液による O リングの硬化などを挙げています。合わせ面の形が複雑なときは液状ガスケットを使い、分解しない所は両面に接着させる FIPG、分解する所は片面だけに接着させる CIPG とします(モーノディスペンサー)。部品の本体の巣から漏れるときは、真空含浸で巣をふさぎます(Godfrey & Wing)。

出典:メカニカルシールの基礎|モーノポンプ、メカニカルシールの漏れの原因|伏虎金属工業、液状ガスケット|モーノディスペンサー、真空含浸|Godfrey & Wing

リークテスト:方法で見つけられる漏れの大きさが違う

日本溶接協会の資料では、検知レベルの目安を、水圧法・石鹸水法で10⁻² Pa・m³/s、水没法で10⁻⁴、ヘリウム吸込み法で10⁻⁷、ヘリウム吹付け法・真空容器法で10⁻¹¹ Pa・m³/s としています。量産のラインでは、空気で加圧して圧力の変化を見るエアリークテスターがよく使われ、コスモ計器は、水に沈めて泡を目視する方法には、見落としが避けられない、乾燥工程が必要、自動化ができないなどの欠点があるとしています。どの方法も、実際の感度は条件と装置で変わります。電子機器の防水・防じんは IP コードで等級が決まっていて、水のかかり方(滴下・散水・噴流・水没)ごとに等級が分かれています(川重テクノロジー)。

リークテストの検知レベルの目安。水圧法・石鹸水法10の-2乗、水没法10の-4乗、ヘリウム吸込み法10の-7乗、ヘリウム吹付け法・真空容器法10の-11乗 Pa・m³/s
図11 リークテストの方法ごとの検知レベルの目安
出典:日本溶接協会「軽金属溶接」Vol.50 No.4 の表をもとに AI(Claude)で作成

出典:ヘリウムリークテスト(PDF)|日本溶接協会「軽金属溶接」Vol.50 No.4、エアリークテスター導入のメリット|コスモ計器、IP 試験(防じん試験・防水試験)|川重テクノロジー

詳しくは課題ページ「液漏れ・気密不良を防ぎたい」「電子機器を防水・防じんにしたい」、製品ページ「バルブ・シール」で解説しています。

混合・撹拌:大きくすると、混ざり方と熱が変わる

MONOist の解説(はじめての化学工学)は、長さが大きくなると伝熱面積は2乗で、容量は3乗で増えるとしています。住友重機械プロセス機器の解説は、槽の内径が10倍になると、液量は1000倍、伝熱面積は100倍にしかならず、液量あたりの伝熱面積は10分の1になるとしています。ラボのフラスコでは気にならなかった発熱が、量産では温度の上がりすぎにつながります。

内径1の槽と相似形で内径10倍の槽。液量は1,000倍、伝熱面積は100倍、液量あたりの伝熱面積は10分の1。スケールアップで合わせる値(P/V 一定、翼先端速度一定、回転数一定)
図12 槽を相似形で大きくしたときの液量と伝熱面積
出典:住友重機械プロセス機器・MONOist・新潟大学の講義資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:撹拌動力計算とスケールアップ指標:はじめての化学工学(9)|MONOist、撹拌講座:スケールアップの基礎|住友重機械プロセス機器

何を合わせて大きくするか

撹拌翼の直径が大きくなると、同じ回転数でも翼の先端の速さが変わるため、何か1つの値を決めて、それを合わせる形でスケールアップします。新潟大学の講義資料は、単位体積あたりの撹拌動力(P/V)一定が一般的によく使われ、翼先端速度一定は気泡・液滴・微粒子の分散など高いせん断力が要る場合に使い、回転数一定は混合時間をほぼ一定にできるが P/V が大幅に大きくなるとしています。住友重機械プロセス機器は、ラボで翼の種類・邪魔板・回転数・動力の条件の幅を広く調べておくことが大切だとしています。

出典:反応装置工学「スケールアップ」(令和4年改訂版)|新潟大学 三上貴司、撹拌講座:スケールアップの基礎|住友重機械プロセス機器

槽を大きくしない方法:連続化

槽を大きくする代わりに、小さな流路で連続して流す方法があります。化学工学誌の解説(2013年)は、マイクロ化学技術では生産量を同じデバイスを並べるナンバリングアップで増やすとし、伝熱がよくホットスポットができにくいといった特徴を挙げる一方、並べる数が多くなると各流路へ原料を均一に分けるのが難しいとしています。量産の前に反応の熱を測る方法として、反応熱量計があります(労働安全衛生総合研究所の報告)。詳しくは課題ページ「ラボの条件を量産に移せない」で解説しています。

出典:生産ツールとしてのマイクロ化学技術の最近の動向と今後の展望(化学工学 77巻11号、2013年)|化学工学会、産業安全研究所 特別研究報告 NIIS-SRR-NO.27(2002年)|労働安全衛生総合研究所

測る・予測する

流体の問題は、目に見えない管や機器の中で起きるため、測る場所と方法を決めてから対策するのが近道です(編集部の整理)。実機では、部品の前後に圧力計や差圧計を付けて圧力損失を測り、増え方を記録して清掃や洗浄の時期を決めます。設計の段階では、流体解析(CFD)で流路の中の流速と圧力の分布を計算し、どこで渦ができて損失が生じているかを確かめられます。解析の結果は、境界条件や流体の物性、乱流のモデルによって変わるので、重要な部分は試作や実機での計測と合わせて確かめます(課題ページ「流体抵抗・圧力損失を減らしたい」)。

流体の問題を測る・予測する6つの方法。差圧を記録する、流体解析(CFD)、可視化する、圧力の変動を測る、リークテスト、反応熱・流れを測る
図13 流体の問題を測る・予測する方法(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成

出典:圧力損失|サイバネットシステム、キャビテーションとは|カトウ光研、ウォーターハンマーへの対応事例について(横浜市水道局)|水道技術研究センター、ヘリウムリークテスト(PDF)|日本溶接協会「軽金属溶接」Vol.50 No.4、産業安全研究所 特別研究報告 NIIS-SRR-NO.27(2002年)|労働安全衛生総合研究所

解析は技術ページ「CAE(構造解析・熱流体解析)」、測る技術全般は分野「計測・制御」で解説しています。

よく使う用語

流体の用語を、流れと損失(圧力損失、局所損失・損失係数、管摩擦係数、レイノルズ数、揚程・抵抗曲線・運転点)、圧力のトラブル(NPSHA・NPSHR、飽和蒸気圧、水撃圧、圧力波の伝わる速さ、急閉・緩閉)、漏れと混ぜる(つぶし率、面圧・応力緩和、リーク量、P/V、翼先端速度)の3つに分けた図
図14 流体の用語は「流れと損失・圧力のトラブル・漏れと混ぜる」で分けると覚えやすい(編集部の整理)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
用語意味単位
圧力損失流れるうちに下がる圧力。流体のエネルギーの損失Pa
局所損失・損失係数曲がり・弁など形が変わる所の損失と、部品ごとのその大きさ―
管摩擦係数直管の摩擦損失の比例の係数。流れの状態(レイノルズ数)と内面の粗さで決まる―
揚程ポンプが液を押し上げられる高さ(圧力)m
抵抗曲線・運転点流量と配管の損失の関係を表す曲線と、ポンプの性能曲線との交点―
飽和蒸気圧液が沸騰する圧力。温度が高いほど高いPa
NPSHA・NPSHR現場の吸込の余裕と、ポンプが必要とする吸込の条件m
水撃圧流れを急に止めたときに上がる圧力Pa
急閉・緩閉弁を閉める時間が、圧力波の往復時間より短いか長いか―
つぶし率O リングをつぶした量 ÷ 線径%
面圧・応力緩和ガスケットを押す力と、時間とともにそれが下がることMPa
リーク量漏れの大きさPa・m³/s
P/V単位体積あたりの撹拌動力。スケールアップでよく合わせる値W/m³

用語の意味は、このページで引用した各資料をもとにした編集部の要約です。

流体の課題と、解決する技術

このサイトは、課題から、それを解決する技術と企業を探せるようにしています。困りごとに近い課題を選ぶと、課題ページで原因・解決技術・その技術を持つ企業がわかります。緑のボタンは、課題ページの中でその技術を解説している節へ直接移ります。

流体に関係する技術

反対に、技術から探すときの一覧です。その技術で解決できる課題を並べています。

技術何をするか解決できる課題
配管の設計・低損失の部品管径・ルート・曲がり・ストレーナを見直し、圧力損失を下げる流体抵抗・圧力損失を減らしたい流体抵抗・圧力損失を減らしたい
インバーター(回転数制御)ポンプ・ファンの回転数を下げて動力を減らす。回転数の上げすぎによるキャビテーションも防ぐ工場の電力を減らしたい(コンプレッサー・ポンプ・空調の省エネ)ポンプのキャビテーションを防ぎたい
水処理・スケール対策・抵抗低減剤付着を防いで取り除く・壁の摩擦抵抗を下げる流体抵抗・圧力損失を減らしたい流体抵抗・圧力損失を減らしたい
水撃防止器・逆止弁・緩閉弁圧力の急な変化を小さくする・吸収するウォーターハンマー(水撃)を防ぎたいウォーターハンマー(水撃)を防ぎたい
シール(O リング・ガスケット・メカニカルシール)すきまをふさいで漏れを止める液漏れ・気密不良を防ぎたい液漏れ・気密不良を防ぎたい電子機器を防水・防じんにしたい
液状ガスケット・含浸複雑な合わせ面や部品の巣をふさぐ液漏れ・気密不良を防ぎたい
リークテスト・IP 試験漏れの場所と量を見つける・防水の等級を確かめる液漏れ・気密不良を防ぎたい電子機器を防水・防じんにしたい
撹拌の設計・連続化スケールアップで混ざり方と熱を保つラボの条件を量産に移せないラボの条件を量産に移せない
CAE(熱流体解析)作る前に流れ・圧力・気泡のできる場所を予測する作る前に性能を予測したい流体抵抗・圧力損失を減らしたい

流体に関係する製品

ほかの分野:熱(熱交換・冷却)、振動・音(ポンプ・配管の音)、化学反応・表面(腐食・洗浄)、材料(物性・劣化)(ゴムの劣化)、計測・制御(圧力・流量の測定)

出典・参考

情報の確認日:2026年10月6日 本ページの内容は一般的な説明で、実際の流れ・圧力・漏れは、流体の種類と温度、流量、配管や機器の形、運転のしかたにより異なります。数値の計算例は説明のための例です。図とテーマのイラストはAI(Claude)で作成した概念図、冒頭の画像はAI(ChatGPT)で生成したイメージ画像です。

流体に関係する課題

流体に関係する技術

流体の技術の基礎知識

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