O リングを交換しようと外したら、断面が平たくつぶれていた。パッキンがかちかちに硬くなってひびが入っていた。油に触れるシールがぶよぶよに膨らんでいた。冬になると漏れる。装置の防振ゴムが沈んでいた。ゴム部品のこうした困りごとは、ゴムが「つぶれたまま戻らない」「硬くなる」「膨らむ」の、どれが起きているかで対策が変わります(編集部の解説)。
どんな困りごとか(へたって漏れる・熱で硬くなる・油で膨らむ・寒いと漏れる・防振ゴムがへたる)から、次のマトリクスで候補になる方法を確かめてください。シール全体の漏れの対策は液漏れ・気密不良を防ぎたい、紫外線や薬品による樹脂・ゴムの劣化は紫外線・薬品で劣化する、電子機器の筐体のシールは電子機器を防水・防じんにしたいで扱っています。
課題と解決技術のマトリクス
| 課題(症状) | 使う条件に合うゴム材料を選ぶ | 配合・加硫を見直す(架橋のしかた・二次加硫) | 溝と形の設計(つぶし率・充填率) | 試験と寿命予測(圧縮永久ひずみ・応力緩和) | 劣化の原因を調べる(硬さ・膨潤・分析) |
|---|---|---|---|---|---|
| Aへたって漏れる:O リング・パッキンがつぶれたまま戻らない | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| B熱で硬くなる・割れる:かちかちになり、ひびが入る | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | |
| C油・薬品で膨らむ・溶ける:ぶよぶよ・べとべとになる | ◎ | ○ | ◎ | ○ | |
| D寒いと漏れる:冬・寒冷地・低温の流体で漏れる | ◎ | ○ | ◎ | ||
| E防振ゴム・クッションがへたる:沈む、ひびが入る、支える力が落ちる | ◎ | ◎ |
◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効
※記号は一般的な傾向に基づく目安です。どの方法が合うかは、ゴムの種類・温度・流体・つぶし方・形によって変わります。症状Aの「材料」の「◎」は、材料ごとの圧縮永久ひずみの規格値と実測値(NOK)、「配合・加硫」の「◎」は、硫黄の架橋のしかたで圧縮永久ひずみ(70℃×22h)が30%から10%まで変わるとする技術資料(DJK)と、二次架橋・配合の開発で不具合に対応する事例(大和ケミカル)、「溝と形」の「◎」は、つぶし率が大きいほど圧縮永久ひずみが大きくなり、おおよそ40%以上で圧縮割れのおそれがあるとするカタログ(NOK)とへたり対策の圧縮率の解説(サカエ)、「試験と寿命予測」の「◎」は、圧縮永久ひずみの加速試験から寿命を予測した例(松本産業、日新電機)、「劣化の分析」の「○」は、O リングの圧縮永久ひずみが悪くなる原因を酸化と可塑剤の揮発と考察した例(日新電機)です。症状Bの「材料」の「◎」は、材料ごとの使用温度の目安(NOK)、「配合・加硫」の「○」は、過酸化物の架橋は熱に安定とする資料(DJK)、「試験と寿命予測」の「◎」は、硬さの変化から寿命を予測する方法(JFEテクノリサーチ)、「劣化の分析」の「◎」は、硬さ・膨潤率・成分の分析で劣化を調べる方法(JFEテクノリサーチ)と、同じ硬化でも NBR と EPDM で要因が違った例(三井化学分析センター)です。症状Cの「材料」の「◎」は、油とゴムのなじみやすさで膨潤が決まるとする解説(NOK、東京材料)、「試験」の「◎」は浸せき試験の体積変化(NOK、松本産業)、「溝と形」の「○」は、充填率を最大90%以下とする設計の目安(NOK)で、膨らんだときの逃げ場を残す考え方です(編集部の解説)、「劣化の分析」の「○」は、軟化劣化と膨潤率の調査(JFEテクノリサーチ)です。症状Dの「材料」の「◎」と「試験」の「◎」は、TR10 の値と低温の圧縮永久ひずみ(NOK、福岡県工業技術センター)、「配合」の「○」は、ポリブタジエンゴムを主にした材料で低温の圧縮永久ひずみを下げた研究(福岡県工業技術センター)です。症状Eの「試験」と「分析」の「◎」は、28年使った防振ゴムの厚さ・硬さ・静的ばね定数を調べた事例(日新電機)と、防振ゴムの試験方法(JIS K 6385)、応力緩和の試験(JFEテクノリサーチ)です。◎は、業界の資料や企業の情報で、その症状に直接はたらくとされている方法、○は効果が期待できる方法、△は条件によって有効な方法を示します(記号の根拠は、下の「解決技術の詳細」と企業紹介の各出典です)。空欄は、その方法だけでは直接の対策になりにくい、または根拠を確かめられなかったことを示します。
課題の診断と解決策
まず、外した部品を新しい部品と並べて、形(平たくなったか)・硬さ(硬くなったか、柔らかくなったか)・大きさ(膨らんだか)を比べます。それで、温度・つぶし方・流体・寒さのどれを疑うかの見当がつきます(編集部の整理)。症状ごとの詳しい見方は、下のカードで確かめてください。

出典:この記事で紹介した出典をもとに AI(Claude)で作成
へたって漏れる:O リング・パッキンがつぶれたまま戻らない
交換した O リングを外すと、断面が丸ではなく平たくなっている。はじめは漏れなかったのに、しばらく使うとにじみ出す。

- 起きている現象
- ゴムのシールは、つぶされて押し返す力(面圧)で漏れを止めています。長い時間つぶされたままだと、外しても元に戻らない分(圧縮永久ひずみ)が増え、押し返す力が弱まります(編集部の解説)。日新電機は、O リングの圧縮永久ひずみが悪くなる原因を、経年の酸化と、柔らかくする添加剤(可塑剤)の揮発によるゴムの硬化と考察しています。NOK の不具合事例集は、へたりを「高温・過大な圧縮量・シール対象物の相乗作用の場合が多い」としています。
- 解決に使える技術
- 圧縮永久ひずみの小さい材料を選ぶ規格値・実測値を比べる
- 架橋のしかた・二次加硫を見直す配合の相談
- つぶし率を見直す大きすぎても小さすぎても漏れる
- 加速試験で寿命を見積もるCS=80% が目安
へたりを恐れてつぶし率を大きくすると、圧縮永久ひずみはかえって大きくなり、おおよそ40%以上では圧縮割れのおそれもあります(NOK)。材料・温度・つぶし率をセットで見直すことが大切です(編集部の解説)。
熱で硬くなる・割れる:かちかちになり、ひびが入る
高温の近くで使ったパッキンが、指で押してもへこまないほど硬い。曲げるとひびが入る、ぼろぼろと崩れる。

- 起きている現象
- ゴムは熱と酸素で劣化します。東京材料の資料は、酸化で主鎖の切断(軟化)と架橋(硬化)が同時に起き、大部分のゴムは硬化型、天然ゴムなどは軟化型としています。JFEテクノリサーチは、硬化劣化(オゾン酸化・塩素系薬剤・銅害・軽い成分の流出など)が進むと、ゴムがぼそぼそに粉状になっていくとしています。NOK の不具合事例集は、硬化の原因として使用温度がゴムの耐熱限界を越えていることを挙げています。
- 解決に使える技術
- 耐熱温度に合う材料にするHNBR・ACM・VMQ・FKM など
- 熱に強い架橋にする過酸化物の架橋
- 硬さの変化で寿命を見積もる高温の加速試験
- 硬化の原因を分析する酸化か、成分の抜けか
同じ「硬くなった」でも、酸化が主と推測された場合と、オイルなどの成分の抜けが主と推測された場合があります(三井化学分析センター)。原因によって効く対策が違うので、新品と比べて調べてから材料・配合を選びます。
油・薬品で膨らむ・溶ける:ぶよぶよ・べとべとになる
O リングが溝からはみ出すほど大きくなっている。触ると柔らかくぶよぶよ、またはべとべとに溶けたようになっている。

- 起きている現象
- 油の分子がゴムの分子の間に入り込むと、ゴムは膨らみます(膨潤)。NOK は、油とゴムのなじみやすさ(SP 値の近さ)で膨潤の大きさが決まり、EPDM と鉱物油はなじみやすく大きく膨らむ、NBR と鉱物油はなじみにくく膨らみが小さいとしています。耐油性ゴムの NBR も、極性のあるブレーキ液では膨潤します(東京材料)。光や酸・アルカリで架橋が壊れて、べとべとに液状化する「軟化劣化」もあります(JFEテクノリサーチ)。
- 解決に使える技術
- 流体とのなじみで材料を選ぶ耐油性・耐薬品性の表を見る
- 浸せき試験で体積変化を確かめるJIS K 6258
- 膨潤を見込んで溝を設計する充填率は最大90%以下
- 軟化・膨潤の原因を調べる膨潤率・成分
軽油・ガソリンなどで洗浄したあと、機器に残った洗浄剤で膨潤した例もあります(NOK の不具合事例集、サカエ)。流体だけでなく、部品に触れるものすべてとの組み合わせを確かめます(編集部の解説)。
寒いと漏れる:冬・寒冷地・低温の流体で漏れる
夏は問題ないのに、冬の朝や寒冷地で漏れる。低温の流体を流したときだけにじむ。

- 起きている現象
- ゴムは冷えると分子が動きにくくなり、弾性が下がります(福岡県工業技術センター)。つぶれた形から戻る力が弱まり、面圧が足りなくなります(編集部の解説)。NOK は、低温で伸ばして凍らせたゴムが、温度を上げたときに10%回復する温度(TR10)の近くが O リングの低温限界の目安とし、たとえば NBR-70-1 は −24℃、EPDM(5種)は −49℃ です。福岡県の研究では、一般的な低温用 EPDM(TR10 −45.2℃)でも、−40℃×72時間の圧縮永久ひずみは87%でした。
- 解決に使える技術
- TR10 で材料を選ぶ使う最低温度に余裕を
- 低温用の配合を検討するポリマーの選び方
- 低温の圧縮永久ひずみを測るJIS K 6262 の低温試験
TR10 が使う最低温度に近い材料は、温度が少し下がるだけで弾性を失うおそれがあります(福岡県工業技術センター)。使う最低温度に余裕のある材料を選びます。
防振ゴム・クッションがへたる:沈む、ひびが入る、支える力が落ちる
装置を支える防振ゴムが沈み、高さが変わった。表面にひびが入っている。

- 起きている現象
- 防振ゴムも、長く使ううちに厚さや性質が変わります(日新電機は、軟化の要因は連続的な荷重・振動が考えられるものの、明らかになっていないとしています)。日新電機が28年使った天然ゴムの防振ゴムを調べた例では、厚さが約4.4mm 減り、表面から約5mm の深さまでひびが入り、表面は酸化で内部より硬く、静的ばね定数は新品の約75%に下がっていました。同社は、防振の特性は保てていても、支える性能が落ちて続けて使えないレベルと判断しています。
- 解決に使える技術
- 厚さ・硬さ・ばね定数を測る新品と比べる
- 防振ゴムの試験で確かめるJIS K 6385・応力緩和
防振ゴムは、固有振動数がばね定数で決まるため、ばね定数が変わると防振の効き方も変わります(日新電機)。点検では高さ・ひび・硬さを新品と比べると、劣化に気づきやすくなります(編集部の解説)。
なぜへたる・硬くなるのか
圧縮永久ひずみ:つぶしたゴムが、どれだけ戻らないか

ゴムのへたりは、圧縮永久ひずみ(CS)で表します。JIS K 6262 の方法では、試験片を決まった割合(硬さ IRHD 10〜79 なら25%)でつぶして温めた槽の中で保持し、外して30分後の厚さを測ります。元の厚さ t0、スペーサーの厚さ t1、30分後の厚さ t2 から、CS=(t0−t2)÷(t0−t1)×100 で求めます(DJK、ゴムノイナキ)。0% なら完全に戻り、100% ならまったく戻りません。
O リングでは、CS が80% 程度になった時点を寿命の目安とすることが多いとされています(ゴムノイナキ、日新電機、福岡県工業技術センター)。NOK は、製品の O リングを切って、治具とスペーサーで同じようにつぶして測る方法も紹介しています。

出典:DJK「ゴム・エラストマーの圧縮永久ひずみ測定」・ゴムノイナキ「ゴムの圧縮永久ひずみ試験の測定方法」・NOK「O リング 総合カタログ」をもとに AI(Claude)で作成
「戻らない形」と「落ちていく力」

へたりには、もう1つの見方があります。つぶしたまま置いておくと、押し返す力がだんだん下がっていく応力緩和です。JIS K 6263 は、一定の変形を保ったまま、決めた環境に置いたときの反力の低下を求める方法です。JFEテクノリサーチは、防振ゴムのシート(100×100×5mm)を面圧3MPa・60℃ で80時間つぶし続け、圧縮荷重が下がっていく様子を測っています。

出典:JIS K 6263:2022 見本・JFEテクノリサーチ「ゴム部品の応力緩和試験」をもとに AI(Claude)で作成
ゴムの中の「網目」が、熱・油・寒さで変わる

ゴムは、長い分子が橋(架橋)でつながった網目です(編集部の解説)。熱と酸素で酸化すると、橋が増えて硬くなったり、分子が切れて柔らかくなったりします(東京材料)。柔らかくする成分(可塑剤など)が揮発・流出しても硬くなります(日新電機、JFEテクノリサーチ)。油や溶剤が分子の間に入り込むと膨らみ(NOK)、低温では分子が動きにくくなって弾性が下がります(福岡県工業技術センター)。

出典:東京材料「ゴムの特性とその秘密(その2)」・日新電機技報 Vol.64 No.2・NOK「O リング 総合カタログ」・福岡県工業技術センター 研究報告 No.34・JFEテクノリサーチ「ゴム成形部品の不具合原因調査・解析」をもとに AI(Claude)で作成
出典:ゴム・エラストマーの圧縮永久ひずみ測定|DJK、ゴムの圧縮永久ひずみ試験の測定方法|ゴムノイナキ、ゴムの劣化事例および試験方法(日新電機技報 Vol.64 No.2、2019年)|日新電機、低温高圧水素用ゴムシール材の開発(研究報告 No.34、2024年)|福岡県工業技術センター、O リング 総合カタログ(Cat.No.051)|NOK、JIS K 6263:2022 見本(応力緩和)|日本規格協会、ゴム部品の応力緩和試験|JFEテクノリサーチ、ゴムの特性とその秘密(その2)|東京材料、ゴム成形部品の不具合原因調査・解析|JFEテクノリサーチ
解決技術の詳細
ゴム部品のへたり・硬化を減らす方法は、使う条件に合う材料を選ぶ、配合・加硫を見直す、溝と形を設計する、試験で寿命を見積もる、劣化の原因を調べる、の5つに分けられます。まず使う温度と流体で材料を絞り、つぶし方を決めて、試験で確かめるのが基本です(編集部の整理)。
使う条件に合うゴム材料を選ぶ
NOK の O リング用材料の選定表は、材料ごとの使用温度の目安を示しています。たとえば NBR(A305)は −24〜100℃、HNBR(G607)は −22〜110℃、EPDM(E116)は −49〜130℃、ACM(T767)は −18〜130℃、シリコーン(S503)は −48〜200℃、FKM(F201)は −16〜200℃ です(低温側は TR10、高温側は空気中での加熱劣化試験を考えた値)。NOK は HNBR を「NBR よりも耐熱性、耐油性、機械的強度、耐圧縮永久歪性、耐オゾン性に優れ」るとしています。

出典:NOK「O リング 総合カタログ」表3-1をもとに AI(Claude)で作成
材料の規格には、圧縮永久ひずみの上限があります。NOK のカタログでは、たとえば NBR-70-1(耐鉱物油用)は120℃×72時間で規格40%以下に対して実測13%、EPDM(5種)は120℃×70時間で規格40%以下に対して実測5%です(実測値は保証値ではありません)。試験の温度と時間が材料ごとに違うので、材料どうしの数値を比べず、自分の使う温度・流体で候補の材料のデータを確かめます。

出典:NOK「O リング 総合カタログ」表4-1・表4-2をもとに AI(Claude)で作成
流体とのなじみも見ます。NOK は、EPDM と鉱物油はなじみやすく大きく膨潤するとし、ブレーキ用には EPDM や SBR の材料を挙げています。低温では、TR10 が使う最低温度より十分低い材料を選びます(福岡県工業技術センター)。

出典:NOK「O リング 総合カタログ」・東京材料「ゴムの特性とその秘密(その2)」をもとに AI(Claude)で作成

出典:NOK「O リング 総合カタログ」・福岡県工業技術センター 研究報告 No.34をもとに AI(Claude)で作成
配合・加硫を見直す(架橋のしかた・二次加硫)
同じ種類のゴムでも、架橋のしかたで、へたりやすさが変わります。DJK の技術資料は、硫黄の架橋で橋の中の硫黄が多い(ポリスルフィド結合が多い)ほど機械的な性質は上がるが、耐熱性と圧縮永久ひずみは悪くなるとし、圧縮永久ひずみ(70℃×22時間)の代表値を標準の硫黄加硫で30%、準有効加硫で20%、有効加硫で10%としています。過酸化物の架橋は炭素どうしの橋で、硫黄の橋より熱に安定とされます(同)。

出典:DJK「ゴム架橋(加硫)について」・大和ケミカル「ゴムについて」・NOK「O リング 総合カタログ」をもとに AI(Claude)で作成
フッ素ゴム・アクリルゴムなどは、成形のあとにもう一度温める二次加硫を行います(大和ケミカル。NOK も物性を安定させるための工程として挙げています)。三菱電線工業は、同じ EPDM でも配合を変えて、圧縮永久ひずみを標準品の11%から5%にした材料を開発しています。福岡県工業技術センターは、ポリブタジエンゴムを主にした材料で、−40℃×72時間の圧縮永久ひずみを12%にしています(比較の低温用 EPDM は87%)。
溝と形の設計(つぶし率・充填率)
O リングは、どれだけつぶすか(つぶし率)と、溝の中をどれだけ埋めるか(充填率)で設計します。NOK は、つぶし率の目安を円筒面で8〜25%、平面で8〜30%、充填率を中央値75% ねらい・最大90%以下とし、ゴム製の O リングはおおよそ40%以上で圧縮割れを起こす可能性がある、つぶし率が小さいと漏れの可能性があるとしています。NOK のつぶし率と圧縮永久歪の関係の図でも、つぶし率が大きいほど圧縮永久ひずみが大きくなっています。圧縮率を一定にした場合は、太い O リングのほうが圧縮永久ひずみが小さいとしています。

出典:NOK「O リング 総合カタログ」・サカエ「O リング設計選定」をもとに AI(Claude)で作成
サカエの技術講座は、密封のため圧縮率は8%以上、組み付けやすさから上限30%とし、へたり対策では18〜30%程度、耐久性を考えると約20% としています。0.1mm 以上のつぶし代を確保することも勧めています。
試験と寿命予測(圧縮永久ひずみ・応力緩和)
ゴムの寿命は、使う温度より高い温度で試験して、アレニウスの式で使う温度に換算して見積もります。松本産業は、ニトリルゴムの O リングが120℃ の試験で400時間で CS 80% に達した結果から、活性化エネルギー90kJ/mol として加速倍率を約23倍とし、80℃ での寿命を約9,200時間と予測する例を示しています。簡易的には「温度が10℃上がると寿命が約半分」とすることがありますが、活性化エネルギーは材質で違い、加速倍率は大きく変わるとしています。

出典:松本産業 品質 News Vol.034「O リングの寿命予測」をもとに AI(Claude)で作成
日新電機は、41年使った NBR の O リングと同じ材料で圧縮永久ひずみ試験を行い、40℃ 一定で使うと寿命は約16.7年、屋外の設備の温度の分布を使うと約44.3年と推定しています。ただし、40〜80℃ では酸化が主、90〜140℃ では可塑剤の揮発が主で直線の傾きが違い、高温側の結果は外挿に使えないとしています。JFEテクノリサーチは、シール材の硬さの変化を60〜100℃ で測り、25℃ で使うと約7年で20% 硬化すると予測した例を示しています。

出典:日新電機技報 Vol.64 No.2・JFEテクノリサーチ「ゴム・樹脂素材の耐久寿命予測」をもとに AI(Claude)で作成
防振ゴムでは、JIS K 6385 に静的ばね特性・動的特性・熱老化・耐久などの試験方法があります。応力緩和の試験(JFEテクノリサーチ)も、つぶしたまま力が落ちていく様子を確かめるのに使えます。
劣化の原因を調べる(硬さ・膨潤・分析)
劣化したゴムは、新しい部品と比べて調べます。JFEテクノリサーチは、硬さ(硬化か軟化か)、膨潤率(架橋密度の増減の目安)、成分の量(軽い成分・ゴム・カーボン・無機物)、ゴムの種類(熱分解 IR・熱分解 GC-MS。ゴムは無機物やカーボンを多く含むため、通常の FT-IR では特定しにくい)、亀裂の断面(SEM・EDX)を調べるとし、オゾンによる劣化は伸びの方向と垂直に亀裂が入るとしています。

出典:JFEテクノリサーチ「ゴム成形部品の不具合原因調査・解析」・三井化学分析センター「熱老化したゴム材料の劣化要因検討」をもとに AI(Claude)で作成
三井化学分析センターが120℃ で熱老化させた例では、NBR と EPDM はどちらも硬化しましたが、NBR は酸化が確認できず、オイルなどの軟らかい成分が抜けたことによる硬化、EPDM は酸化による硬化と推測されました(FKM は変化なし)。同じ硬化でも要因が違うので、対策も変わります。日新電機は、28年使った防振ゴムの厚さ・硬さ・静的ばね定数を、新品と比べて評価しています。

出典:日新電機技報 Vol.64 No.2・JIS K 6385:2012 見本をもとに AI(Claude)で作成
出典:O リング 総合カタログ(Cat.No.051)|NOK、ゴム架橋(加硫)について|DJK、ゴムについて|大和ケミカル、耐塩素水性に優れた EPDM の開発(三菱電線工業時報 第108号、2011年)|三菱電線工業、低温高圧水素用ゴムシール材の開発(研究報告 No.34、2024年)|福岡県工業技術センター、技術セミナー O リング・オイルシール技術講座 第1回「O リング設計選定」|サカエ、品質 News Vol.034「O リングの寿命予測」|松本産業、ゴムの劣化事例および試験方法(日新電機技報 Vol.64 No.2、2019年)|日新電機、ゴム・樹脂素材の耐久寿命予測|JFEテクノリサーチ、JIS K 6385:2012 見本(防振ゴム-試験方法)|日本規格協会、ゴム部品の応力緩和試験|JFEテクノリサーチ、ゴム成形部品の不具合原因調査・解析|JFEテクノリサーチ、熱老化したゴム材料の劣化要因検討(2019年 日本ゴム協会年次大会)|三井化学分析センター、ゴムの特性とその秘密(その2)|東京材料
ゴム部品のへたり・劣化の対策の技術を持つ企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。ゴム部品の配合と製造の会社、材質と試験に詳しい商社、O リングの設計の技術商社、シール専業のメーカー、受託試験の会社、試験と寿命予測の技術情報を出している商社と、得意な所が分かれます。
| 企業 | 解決できる課題 | 種類 | 何ができるか | 合う症状 |
|---|---|---|---|---|
| 大和ケミカル | ゴム製品メーカー | 使う環境に合うゴムと加硫方式を選び、ゴムの配合を開発する。二次架橋で劣化を防ぐ。 | A へたって漏れる:O リング・パッキンがつぶれたまま戻らない B 熱で硬くなる・割れる:かちかちになり、ひびが入る | |
| ゴムノイナキ | ゴム製品の開発・販売 | 流体と温度に合う O リングの材質・配合を設定する。圧縮永久ひずみ試験の考え方を解説している。 | A へたって漏れる:O リング・パッキンがつぶれたまま戻らない B 熱で硬くなる・割れる:かちかちになり、ひびが入る C 油・薬品で膨らむ・溶ける:ぶよぶよ・べとべとになる D 寒いと漏れる:冬・寒冷地・低温の流体で漏れる | |
| サカエ | 技術商社 | O リングの溝設計と、早くへたる・割れるなどの不具合の対策を技術講座で解説している。 | A へたって漏れる:O リング・パッキンがつぶれたまま戻らない C 油・薬品で膨らむ・溶ける:ぶよぶよ・べとべとになる | |
| 三菱電線工業 | シールメーカー | 高機能シール製品の専業メーカー。へたりにくさと塩素水への強さを両立した EPDM を作る。 | A へたって漏れる:O リング・パッキンがつぶれたまま戻らない | |
| DJK | 受託試験・分析 | 圧縮永久ひずみ・応力緩和・熱老化を規格の条件で測る受託試験と、劣化したゴムの分析を行う。 | A へたって漏れる:O リング・パッキンがつぶれたまま戻らない B 熱で硬くなる・割れる:かちかちになり、ひびが入る D 寒いと漏れる:冬・寒冷地・低温の流体で漏れる E 防振ゴム・クッションがへたる:沈む、ひびが入る、支える力が落ちる | |
| 松本産業 | ゴム部品の販売・技術相談 | ゴム部品の試験と寿命予測の技術情報を出し、O リングの交換時期の目安や部品の選び方を相談できる。 | A へたって漏れる:O リング・パッキンがつぶれたまま戻らない B 熱で硬くなる・割れる:かちかちになり、ひびが入る C 油・薬品で膨らむ・溶ける:ぶよぶよ・べとべとになる |
株式会社大和ケミカル|ゴムの配合を開発し、二次架橋で劣化を防ぐ
大和ケミカルとは
大和ケミカルは、神奈川県厚木市にある、工業用・医療用ゴム製品の製造販売の会社です(1972年創業、従業員90名・グループ730名)。2008年に JIS B 2401-1(O リング)の JIS マーク認証を取得しています。
大和ケミカルの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ゴムの種類ごとの加硫・架橋 | 扱うゴムごとに加硫方式と特徴を公開している。たとえばアクリルゴムは「圧縮永久ひずみ率が悪い」とし、二次加硫(170℃×4時間)が必要、ふっ素ゴムも二次加硫が必要としている。CR は硫黄加硫の欠点として圧縮永久ひずみ率がよくないことを挙げている |
| 軟化劣化の対策 | 過酸化物で架橋した EPDM は、オゾン濃度の高い所で長く使うと飴のように溶ける軟化劣化が起きることがあるとし、2次架橋で残留過酸化物を取り除いてリスクを大幅に軽減できるとしている |
| 配合の開発 | 市場クレームや材質トラブルの相談を受けて、対策となる配合を新しく開発して提案するとしている。O リングは成形温度・成形時間が足りないと元に戻る力が弱く、つぶされたままになって液が漏れるとも解説している |
大和ケミカルが解決できる課題
- 使う環境に合うゴムと加硫方式を選びたい
- 過酸化物で架橋した EPDM が、オゾン濃度の高い所で長く使うと溶けるように柔らかくなる
- いまの配合で不具合が出たので、対策の配合を作ってほしい

出典:大和ケミカル「ゴムについて」・同「【解決事例】ゴムの軟化劣化」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|大和ケミカル、ゴムについて|大和ケミカル、【解決事例】ゴム製品のトラブル:ゴムの軟化劣化(イプロス)|大和ケミカル、【解決事例】ゴム製品のトラブル:O-リング(イプロス)|大和ケミカル
ゴムノイナキ株式会社|材質・配合の設定と圧縮永久ひずみ試験の解説
ゴムノイナキとは
ゴムノイナキは、名古屋市に本社がある、工業用ゴム・プラスチック製品とその複合製品の開発・販売の会社です(1919年創業、1946年設立)。研究開発の機能と、関係会社によるメーカーの機能を持つ商社としています。
ゴムノイナキの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 圧縮永久ひずみ試験の解説 | JIS K 6262 の試験片の大きさ、硬さで決まる圧縮率(IRHD 10〜79 は25%)、試験温度・時間の選び方を解説し、CS=80% になる時間を寿命とみることが多いとして、180・190・200℃ の結果からアレニウスの式で寿命を予測する例を示している |
| O リングの材質と線径 | 材質ごとの使用可能温度域(NBR −20〜90℃、EPDM −40〜110℃、FKM −20〜200℃、シリコーン −80〜170℃)を示し、線径は圧縮率が10〜30%程度になるサイズを選ぶとしている。使う流体に合わせて材質・配合を設定できるとしている |
| 劣化の原因と対策の解説 | 紫外線・オゾン、温度、摩擦・圧力、化学薬品、湿気の原因ごとに対策を解説している。主鎖に二重結合のない EPDM やシリコーンは耐候性が高いとしている |
ゴムノイナキが解決できる課題
- ゴム部品の寿命の目安を、試験で見積もりたい
- 流体と温度に合う O リングの材質・配合を選びたい
- ゴムが劣化した原因の見当をつけたい

出典:ゴムノイナキ「O リングの基本と選び方」・同「ゴムの圧縮永久ひずみ試験の測定方法」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|ゴムノイナキ、ゴムの圧縮永久ひずみ試験の測定方法|ゴムノイナキ、O リングの基本と選び方|ゴムノイナキ、ゴムは何故劣化する?|ゴムノイナキ
株式会社サカエ|O リングの溝設計と不具合の対策の技術講座
サカエとは
サカエは、静岡県浜松市にある技術商社です(1947年創業、1961年設立、従業員70名)。ベアリング・シーリング・伝動機器・油空圧機器・検査機器・ロボットなどを販売しています。
サカエの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| O リングの設計選定 | 技術セミナーで、密封のため圧縮率は8%以上、組み付けやすさから上限30%、40%くらいつぶすと圧縮割れを起こすとし、へたり対策では18〜30%程度、0.1mm 以上のつぶし代の確保を勧めている。CS 80%くらいを O リングの寿命と考えるのがよいとしている |
| 不具合事例と対策 | 早期のへたりの原因を過大な圧縮・過度の高温・シール対象物との相性とし、圧縮率の見直しと、耐熱性・相性でのゴムの見直しを対策に挙げている。圧縮割れ・膨潤の原因と対策も解説し、へたりの耐久性を考えると圧縮率は約20%としている |
サカエが解決できる課題
- O リングが早くへたる・割れる原因を知りたい
- 溝の寸法と圧縮率を見直したい
- 流体との相性で膨潤しない材料を選びたい

出典:サカエ「O リング設計選定」・同「O リング不具合事例と対策」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|サカエ、技術セミナー O リング・オイルシール技術講座 第1回「O リング設計選定」|サカエ、同 第2回「O リング不具合事例と対策」|サカエ
三菱電線工業株式会社|シール専業。低圧縮永久ひずみの EPDM
三菱電線工業とは
三菱電線工業は、東京都千代田区に本社がある、シール製品の会社です(1917年設立、従業員519名)。1958年に航空機用 O リングの製造を始め、いまは高機能シール製品の専業メーカーとしています。
三菱電線工業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 圧縮永久ひずみの小さい EPDM | 水関連機器・食品関連機器のシール用に、圧縮永久ひずみ5%の配合(2159-70)を開発した。標準品(2104-70)は11%(JIS K 6262、大型試験片、圧縮率25%。代表値で保証値ではない) |
| 耐塩素水性の EPDM | 水道水の残留塩素による劣化(墨汁現象・パッキンのクラックによる漏れ)に対し、次亜塩素酸ナトリウム溶液(500ppm・80℃)への浸せきで、標準品は70時間で墨汁現象が起きたのに対し、2160-70 濃紫は240時間でも異常なしとした(圧縮永久ひずみは標準品と同等) |
三菱電線工業が解決できる課題
- 給湯器・水まわりの EPDM シールを長持ちさせたい
- へたりにくさと塩素水への強さを両立したい

出典:三菱電線工業「耐塩素水性に優れた EPDM の開発」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|三菱電線工業、耐塩素水性に優れた EPDM の開発(三菱電線工業時報 第108号、2011年)|三菱電線工業
株式会社DJK|圧縮永久ひずみ・応力緩和・熱老化の受託試験
DJKとは
DJK は、横浜市港北区にある、高分子材料の評価試験・分析・サンプル試作などの受託の会社です(1981年設立、従業員126名)。横浜事業所などで ISO/IEC 17025 の認定を取得しています。
DJKの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 圧縮永久ひずみの測定 | JIS K 6262 に基づき、常温・高温・低温での圧縮永久ひずみを測る。硬さで圧縮率(10・15・25%)を選び、取り出して30分放置したあとに厚さを測るとしている |
| 応力緩和・クリープ・熱老化 | 引張・圧縮モードの応力緩和試験、クリープ試験、ギアオーブンなどによる熱老化試験(RT〜300℃)、薬品への浸漬などの耐久性の試験を受ける |
| 高分子の分析 | FT-IR・熱分解 GC-MS・DSC・TG/DTA・DMA などの分析を受ける |
DJKが解決できる課題
- ゴム材料の圧縮永久ひずみ・応力緩和を、規格の条件で測りたい
- 低温での戻りやすさを確かめたい
- 劣化したゴムの成分や変化を分析したい

出典:DJK「ゴム・エラストマーの圧縮永久ひずみ測定」
出典:会社概要|DJK、ゴム・エラストマーの圧縮永久ひずみ測定|DJK、高分子耐久性|DJK、高分子分析|DJK
松本産業株式会社|ゴム部品の試験と寿命予測の技術情報
松本産業とは
松本産業は、静岡県富士市にある、工業用ゴム部品・接着剤などのコンサルティングと販売の会社です(1981年創立。母体の松本為吉商店は1912年創業)。
松本産業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| O リングの寿命予測 | 120℃ の圧縮永久ひずみの加速試験で、ニトリルゴムが400時間で CS 80%(シール寿命)に達した結果から、活性化エネルギー90kJ/mol として加速倍率を約23倍とし、80℃ での寿命を約9,200時間と予測する例を公開している。温度が10℃上がると寿命が約半分という関係を簡易的な計算で用いることがあるとしている |
| ゴムの試験 | 老化試験(JIS K 6257)・圧縮永久歪試験(JIS K 6262)・浸漬試験などを、同社で簡易的(JIS によらない形)に実施できるとしている |
| 断面形状の比較 | 角断面と丸断面の紐(2.4mm)を、ニトリルゴム・ふっ素ゴム・シリコーンで比べ、へたり具合に大きな差はなかったとしている(圧縮率25%) |
松本産業が解決できる課題
- O リングの交換時期の目安を、試験の結果から見積もりたい
- ゴム部品の老化・へたり・膨潤を、手早く確かめたい
- ゴム部品の選び方を相談したい

出典:松本産業 品質 News Vol.020をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社案内|松本産業、品質 News Vol.034「O リングの寿命予測」(2026年5月)|松本産業、品質 News Vol.033「ゴムの試験」(2026年3月)|松本産業、品質 News Vol.020「断面形状違いによる圧縮永久歪率の比較」(2023年12月)|松本産業
選ぶ前に確かめる条件
相談する前に、次の条件を整理しておくと、話が早くなります。
- 困りごとの内容(つぶれたまま・硬い・ひび・膨らんだ・べとべと・寒いと漏れる)と、起きるまでの期間
- ゴムの種類(NBR・EPDM・FKM など)と硬さ、O リングなら規格(JIS B 2401 など)
- 使う温度の範囲(最高・最低)と、流体(油・水・薬品・ガス)、組み立てに使うグリース・洗浄剤
- 溝の寸法(深さ・幅)とつぶし率・充填率、固定か運動(往復・回転)か
- 外した部品と新品(同じロット)の現物、交換の履歴
- 求める寿命(何年・何時間)と、点検・交換の周期
関連する課題
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年10月2日





