合成ゴムは、石油などからつくるゴムの総称で、NBR(ニトリルゴム)・EPDM(エチレンプロピレンゴム)・FKM(フッ素ゴム)など、種類ごとに得意な油・水・温度・環境がはっきり分かれる材料です。シールやホース、防振の部品では、「どの温度で、何に触れるか」で種類を選び、配合と試験で詰めるのが基本になります。
このページでは、製品の設計者・生産技術の担当者に向けて、種類と使える温度、流体と環境からの選び方、規格と試験、配合と加硫、トラブルと事例、相談できる会社までをまとめました。シリコーンゴム・ウレタンゴム・O リングの寸法と溝の設計は、それぞれ技術「シリコーンゴム」「ウレタンゴム・熱可塑性エラストマー」「Oリング・ガスケット」にあります。
知りたいことから読む
- NBR・EPDM・FKM などの略号の意味 → 合成ゴムの基本
- 使える温度の上限・下限 → 主な種類と、使える温度
- 油・水・燃料に合うゴムの選び方 → 合成ゴムの選び方
- 油でゴムが膨らむ理由 → 膨潤のしくみ
- 図面の ASTM D2000(M2BG714 など)の読み方 → 規格と試験
- 加硫・配合で何が変わるか → 配合と加硫
- 硬くなった・膨らんだ・割れた → トラブルと対策
- 試作・量産を頼みたい → 企業紹介
症状から探す
| 症状 | 考えられる原因 | 対策を書いた所 |
|---|---|---|
| シールが膨らんで柔らかくなった | 流体とゴムの性質が近い(例:EPDM と鉱物油)・洗浄剤の残り | 膨潤のしくみ:性質が近い油ほど、ゴムに入り込む・よくあるトラブルと、まず見るところ |
| 硬くなって割れた | 耐熱を超えた温度・熱による酸化 | 使える温度の目安・よくあるトラブルと、まず見るところ |
| 屋外で細かいひびが入った | オゾン(主鎖に二重結合があるゴム) | 主鎖の二重結合で、強さの傾向が分かれる・ゴムの性質を確かめる JIS の試験 |
| 冬や寒い所で漏れる | 低温で戻る力が落ちた(TR10 より低い) | 使える温度の目安・スペースシャトル・チャレンジャー号:低温で O リングが戻らない(1986年) |
| 近くの銀めっき・銅が黒くなった | 硫黄加硫のゴムから出る硫黄 | 研究:硫黄加硫のゴムは、近くの銀を硫化させる |
| 高圧ガスを抜いたら中が割れた | 急な減圧(ブリスタ破壊) | 研究:高圧水素を急に抜くと、ゴムの中から割れる |
| 図面の「M2BG714」が読めない | ASTM D2000 の材料の呼び方 | ASTM D2000(SAE J200)の読み方 |
このページの出典をもとに編集部が整理したものです。リンクを押すと、対策を書いた所へ移ります。
合成ゴムの基本
合成ゴムとは
ゴムは、細長い分子が絡み合い、ところどころが橋のようにつながった(架橋した)材料で、引っ張ると伸び、放すと元に戻るのが特徴です。天然ゴムはゴムの木の樹液から、合成ゴムは石油化学の原料から作ります。分子に何を組み込むかで、油・熱・オゾンへの強さを変えられるので、用途ごとに多くの種類が使い分けられています(編集部の整理)。

出典:NPO法人科学映像館(YouTube)
1960年に作られた日本合成ゴムの PR 映画(科学映像館の公開)では、原料のガスから合成ゴムができるまでの工程と、さまざまなゴム製品が紹介されています。
主鎖の二重結合で、強さの傾向が分かれる
ゴムの分子の骨組み(主鎖)に炭素どうしの二重結合が残っているかどうかで、オゾン・熱への強さの傾向が分かれます。三井化学は EPDM について、主鎖が化学的に安定な飽和炭化水素なので、日光や高濃度のオゾンに長くさらされても主鎖が切れる劣化が起きないと説明し、SBR・NR などのジエン系のゴムに EPDM をブレンドすると、耐オゾン性・耐光性が大きく上がるとしています。ISO 1629 の定義でも、EPDM はジエンの二重結合が側鎖にあるゴムとされています。

出典:ISO 1629 の略号の定義・コトバンク(加硫)・NOK のカタログをもとに AI(Claude)で作成
二重結合は、硫黄で加硫するときの足場にもなります(配合と加硫)。NBR の二重結合に水素を足してなくしたのが HNBR で、NOK は HNBR を{M(‘NBR よりも耐熱性、耐油性、機械的強度、耐圧縮永久ひずみ性、耐オゾン性に優れる’)}材料としています。
出典:三井EPT(EPDM)|三井化学、Standard Abbreviations for Rubbery Materials(ISO 1629 の略号)|Elastoproxy、Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
略号の読み方(ISO 1629・JIS K 6397)
ゴムの種類は、ISO 1629 と、これに対応する JIS K 6397 の略号で書かれます。図面やカタログでよく見る略号をまとめました。
| 略号 | 名前 | 成り立ち(ISO 1629 の定義の要約) |
|---|---|---|
| NBR | ニトリルゴム | アクリロニトリルとブタジエンの共重合体 |
| HNBR | 水素化ニトリルゴム | NBR の二重結合を水素化したもの(各社の資料による) |
| EPDM | エチレンプロピレンゴム | エチレン・プロピレン・ジエンの三元共重合体。ジエンの二重結合は側鎖 |
| FKM | フッ素ゴム | 主鎖にフッ素やパーフルオロアルコキシ基をもつポリメチレン系 |
| FFKM | パーフルオロゴム | 置換基がすべてフッ素系のもの |
| CR | クロロプレンゴム | クロロプレンの重合体 |
| IIR | ブチルゴム | イソブテンとイソプレンの共重合体 |
| ACM | アクリルゴム | アクリル酸エステルと、加硫を助ける少量のモノマー |
| SBR・BR・NR | スチレンブタジエン・ブタジエン・天然ゴム | 汎用のゴム |
| VMQ・FVMQ | シリコーンゴム・フロロシリコーンゴム | メチル基とビニル基をもつシリコーンゴム。FVMQ はフッ素も含む |
表は Elastoproxy がまとめた ISO 1629 の略号の定義をもとに編集部が要約したものです。JIS K 6397 の原本は、JIS の閲覧で確かめてください。
出典:Standard Abbreviations for Rubbery Materials(ISO 1629 の略号)|Elastoproxy
主な種類と、使える温度
使える温度の目安
NOK の O リングのカタログ(2025年4月)は、材料ごとの使用温度の目安を示しています。低温側は TR10(JIS K 6261。冷やして伸ばしたひずみが10%戻る温度)、高温側は空気中での加熱劣化の試験を考えた値で、かっこの中は一時的な最高の温度です。

出典:NOK の O リングのカタログ(表3-1)をもとに AI(Claude)で作成
同じ NBR でも、汎用の材料は TR10 が −22〜−26℃ なのに、低温用の材料は −48℃です。フッ素ゴムも汎用は −15〜−16℃、低温用は −30〜−31℃ です。種類だけで温度は決まらず、配合(グレード)で大きく変わることがわかります。NOK は、使用温度範囲は流体や使い方などで変わるとしています。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
種類ごとの特徴
| 種類 | 得意なこと(カタログの説明) | 苦手なこと・注意 |
|---|---|---|
| NBR | 性能・加工性のバランスが最もよい(NOK)。油空圧用の標準材料(バルカー) | オゾン(空気中に開封したまま保管するとき裂が出ることがある:NOK) |
| HNBR | NBR より耐熱・耐油・強度・耐圧縮永久ひずみ・耐オゾン(NOK) | 汎用の材料の低温は NBR と同じくらい(NOK の表) |
| EPDM | 耐オゾン・耐熱、耐水蒸気・耐寒・耐 LLC(NOK)。ブレーキ油・動植物油用(バルカー) | 鉱物油で大きく膨潤する(NOK の膨潤の説明) |
| FKM | 合成ゴムの中で最も優れた耐熱・耐油・耐燃料油(NOK) | 低温(汎用は −15〜−16℃)。有機酸・ケトン・エステル・アミン(ホッティポリマー) |
| ACM | NBR より耐熱に優れ、鉱物油に耐える(NOK) | 低温(−18〜−21℃:NOK の表) |
| CR | 機械的強度・耐屈曲疲労(NOK)。耐フロンガス・耐候(バルカー) | 耐油は NBR ほどではない(編集部の整理) |
| IIR | ガス透過性がゴムの中で最も少ない(NOK)。耐熱水・耐蒸気(バルカー) | 鉱物油(編集部の整理) |
NOK の O リングのカタログ(表3-1)とバルカーの O リングのカタログ(表2)の説明をもとに、編集部が整理したものです。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK、Oリングカタログ LC01(2019年4月)表2・表7|バルカー、HPフッ素ゴム押出品(2021年10月)|ホッティポリマー
NBR と HNBR
NBR は、油に触れるシール・ホースで最もよく使われるゴムです。原料のアクリロニトリル(AN)の量で性質が変わり、AN が多いほど耐油・耐熱・耐摩耗が上がり、耐寒性と反発弾性は下がる(日本大百科全書)関係があります(NBR は AN の量で、耐油と耐寒が入れ替わる)。
HNBR は NBR を水素化したゴムです。日本ゼオンの米国の会社は、HNBR の Zetpol について160℃に長くさらされても耐え、−40〜+160℃で性能を発揮するとし、自動変速機の油に 1,512時間浸したあとの体積の膨らみは 5%未満としています(原料ゴムとしての説明。部品の使用温度は配合で変わる)。
出典:アクリロニトリル・ブタジエンゴム(日本大百科全書・世界大百科事典)|コトバンク、Zetpol HNBR|Zeon Chemicals(日本ゼオンの米国の会社)
EPDM
EPDM は、水・水蒸気・不凍液(LLC)・ブレーキ液・屋外に強いゴムです。三井化学は、三井EPT の用途にグラスランチャネル・ウエザーストリップのスポンジ・OA ロール・ラジエーターホース・電線被覆を挙げています。一方で、鉱物油・ガソリンのような油には使えないので、潤滑油やグリースに触れる所では注意が要ります(膨潤のしくみ:性質が近い油ほど、ゴムに入り込む)。
出典:三井EPT(EPDM)|三井化学、Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
フッ素ゴム(FKM)と FFKM・FEPM
FKM は、耐熱・耐油・耐燃料油に最も優れる(NOK)合成ゴムで、ホッティポリマーは約200℃の連続使用にも耐え、合成ゴムの中でも最も高価とされる、と説明しています。FKM には二元共重合体と三元共重合体があり、三元共重合体のほうが耐熱性・耐油性・耐薬品性に優れるとしています。
同じ資料は、FKM が苦手な有機酸・ケトン・エステル・アミン系の薬品には、四フッ化エチレン-プロピレンゴム(FEPM)が耐える、としています。さらに薬品と熱に強いのがパーフルオロゴム(FFKM)です。NOK・バルカーは、耐熱水用・耐酸用・低温用などの FKM を別のグレードにしているので、「フッ素ゴムなら何にでも強い」とは考えず、用途のグレードを選びます(編集部の整理)。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK、HPフッ素ゴム押出品(2021年10月)|ホッティポリマー、Oリングカタログ LC01(2019年4月)表2・表7|バルカー
CR・IIR・ACM ほか
CR(クロロプレン)は機械的強度と耐屈曲疲労、耐候に優れ、IIR(ブチル)はガスを最も通しにくいので、ガスを閉じ込める部品に使われます。ACM(アクリル)は NBR より高い温度の油に耐えますが、低温は苦手です。SBR は NOK のカタログではブレーキ用の材料(−51〜80℃)として載っています。シリコーンゴム(VMQ)・ウレタンゴム(AU)は、それぞれの技術ページで扱っています。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK、Oリングカタログ LC01(2019年4月)表2・表7|バルカー
合成ゴムの選び方(膨潤のしくみ・図面の指定)
選ぶ手順
NOK は、O リングの材料は使用温度と、密封する流体への耐性から選ぶとしています。そのうえで、屋外かどうか、高圧のガスか、動くところか、食品や規格の条件があるかを見て、配合(グレード)を詰めます。
- ① 温度:最高・最低と、一時的な最高
- ② 流体:油・水・燃料・薬品・ガス
- ③ 環境:屋外・オゾン・高圧ガス・真空
- ④ 使い方:圧縮・摺動・圧力・はみ出し
- ⑤ 条件:規格・食品・色・コスト
- ⑥ 候補の配合で、浸せき・熱老化・圧縮永久ひずみ・低温の試験をして決める
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
触れる流体・環境から候補をしぼる
| 触れるもの・環境 | よく使われる候補(カタログの例) |
|---|---|
| 鉱物油・作動油・潤滑油 | NBR・HNBR・ACM・FKM |
| ガソリン・燃料 | FKM・FVMQ・燃料用の NBR |
| 水・水蒸気・LLC(不凍液) | EPDM(耐熱水用の FKM もある) |
| ブレーキ液(グリコール系) | EPDM・SBR(ブレーキ用の配合) |
| 屋外(日光・オゾン) | EPDM・CR |
| ガスを通したくない | IIR(ブチルゴム) |
| 有機酸・ケトン・アミン | FEPM・FFKM(FKM は不向き) |
NOK のカタログには、NBR の燃料用・LPG 用、EPDM の水用・ブレーキ用、HNBR の冷媒用、FKM の耐熱水用・低温用・燃料用、SBR のブレーキ用など、同じ種類でも用途ごとの材料が並んでいます。カタログの用途の欄で、自分の流体に近いものを探すのが近道です。
表は、NOK・バルカーのカタログとホッティポリマーの資料をもとに編集部が整理したものです。候補が決まったら、実際の流体と温度で浸せき試験をして確かめます。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK、Oリングカタログ LC01(2019年4月)表2・表7|バルカー、HPフッ素ゴム押出品(2021年10月)|ホッティポリマー
NBR は AN の量で、耐油と耐寒が入れ替わる
日本大百科全書は、NBR を AN の量で、低ニトリル(25%未満)・中ニトリル(25〜31%)・中高ニトリル(31〜36%)・高ニトリル(36〜43%)・極高ニトリル(43%以上)に分けています。日本ゼオンの Nipol も、この区分で銘柄を並べています(例:極高ニトリルの DN003 は結合 AN 量 50.0%、高ニトリルの 1041 は 40.5%。どちらも設計値)。
| 区分 | AN の量 | 性質の傾向 |
|---|---|---|
| 低ニトリル | 25%未満 | 耐寒性(低温での柔らかさ)・反発弾性がよい |
| 中ニトリル | 25〜31% | 上と下の中間 |
| 中高ニトリル | 31〜36% | 上と下の中間 |
| 高ニトリル | 36〜43% | 上と下の中間 |
| 極高ニトリル | 43%以上 | 耐油性・耐熱性・耐摩耗性・強度が上がる |
寒い所で油に触れる部品では、耐油と耐寒のどちらを優先するかを決めて AN の量を選ぶことになります。どちらも厳しいときは、HNBR の耐寒タイプや、別の種類(FKM の低温用など)を比べます(編集部の整理)。
出典:アクリロニトリル・ブタジエンゴム(日本大百科全書・世界大百科事典)|コトバンク、NBR(Nipol)|日本ゼオン
温度の数値は、資料ごとに違う
同じ種類でも、資料によって使える温度の値は違います。たとえば EPDM は、NOK の表では −40〜−49℃/130℃(一時 150℃)、バルカーの表の H0970 は −50〜150℃(参考値)です。どちらも各社の製品(配合)の目安で、試験のしかたも違うので、表の数値どうしを細かく比べず、使う製品のカタログの値で確かめます。
| 種類 | NOK の表(TR10〜ふだん(一時)) | バルカーの表(使用温度範囲の参考値) |
|---|---|---|
| NBR | 汎用 −22〜−26℃〜100℃(120℃)。低温用 −48℃、燃料用・低温用の高温側は 80℃(100℃) | B0570 −35〜120℃、B1370(耐寒)−50〜120℃ |
| HNBR | −21〜−26℃〜110℃(130℃)。冷媒用 −40℃ | B5170 −30〜150℃ |
| EPDM | −40〜−49℃〜130℃(150℃) | H0970 −50〜150℃ |
| FKM | −15〜−16℃〜200℃(220℃)。低温用 −30・−31℃ | D2770 −15〜200℃、D0875(耐寒)−30〜200℃ |
| CR | −44℃〜100℃(120℃) | J0170 −30〜120℃ |
NOK の O リングのカタログ(表3-1)と、バルカーの O リングのカタログ(表7。測定値の例で規格値ではない)による。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK、Oリングカタログ LC01(2019年4月)表2・表7|バルカー
膨潤のしくみ:性質が近い油ほど、ゴムに入り込む
NOK のカタログは、膨潤を油の分子がゴムの分子の間に入り込んで広げようとする力と、架橋した網目の弾性とが釣り合った状態と説明しています。膨潤の大きさは油とゴムのなじみ(親和性)で決まり、その目安が SP 値(溶解度パラメータ。極性を示す値で、近いものどうしほどなじみがよい)です。

出典:NOK の O リングのカタログ(膨潤メカニズム)をもとに AI(Claude)で作成
同じ資料の例では、EPDM(SP 値 8)と鉱物油(6〜8)は、どちらも炭素と水素だけで極性基がなく、なじみがよいので大きく膨らむ一方、NBR(9〜10)は極性のあるニトリル基をもつので、鉱物油では膨らみにくい、としています。架橋していないゴムは、最終的には溶けてしまいます。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
主な流体以外のもの(洗浄剤・可塑剤)にも注意
NOK の不具合事例は、膨潤(軟化)の原因に、ゴムが流体に合っていないことに加えて、軽油・ガソリンで洗ったあとの洗浄剤が機器に残っていたことを挙げています。グリース・洗浄剤・防錆油・相手の部品から溶け出す成分も、ゴムに触れるものとして数えます。
本田技研工業のリコール(2018年)では、ブレーキのリザーバータンクのホースから溶け出した可塑剤で、マスターシリンダーのカップが膨潤し、エンジンの熱でさらに膨らんで、ブレーキ液が漏れるおそれがありました(ブレーキのカップ:ホースの可塑剤で膨潤(2018年))。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK、リコール届出番号4274(ステップワゴン・フリード、平成30年5月31日)|本田技研工業
図面で材料を指定するときのチェックポイント
図面でゴムの材料を指定するときは、「NBR」「EPDM」と種類だけ書かず、温度・流体・硬さ・規格の記号まで決めると、量産のときに材料がぶれにくくなります。設計者が確かめたいことを、編集部が整理しました。
- 温度:最高・最低と、一時的な最高の温度・時間を決めた
- 流体:主な流体に加え、洗浄剤・グリース・防錆油・相手の部品から出る成分も挙げた
- 環境:屋外・オゾン(モーターの近く)・高圧ガス・真空かどうかを確かめた
- 動き:固定か、往復・回転で擦れるかを決めた
- つぶし:溝のつぶし代と、膨潤で膨らむ分の余裕を見込んだ
- 相手材:銀・銅・樹脂への影響(硫黄・可塑剤の移行)を確かめた
- 規格:ASTM D2000・JIS の記号、食品・水道・RoHS などの要求を書いた
- 寿命:交換の周期と、点検のしかた(漏れだけで判断しない)を決めた
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK、Jaunich ほか「Characterisation of degradation and determination of end-of-lifetime criterion for O-ring seals」(RubberCon 2017)|BAM
規格と試験
ASTM D2000(SAE J200)の読み方
自動車の部品などでは、ゴムの材料を ASTM D2000(SAE J200 と同じ体系)の記号で指定します。規格は、材料を「タイプ(耐熱)」と「クラス(耐油)」の組み合わせで表すとしています。タイプは 70時間の熱老化の試験温度(A 70℃〜K 300℃)、クラスは IRM 903 油に浸したときの体積の膨らみの上限(B 140%〜K 10%)です。

出典:ASTM D2000-01 の本文・Global O-Ring and Seal のページをもとに AI(Claude)で作成
タイプとクラスの組み合わせで、ポリマーの種類のおおよそがわかります。Global O-Ring and Seal の解説の表では、BF・BG・BK・CH が NBR、CA がエチレンプロピレン、HK がフッ素ゴム、KK がパーフルオロゴムなどとしています。後ろには、硬さ(7=70±5)と最小の引張強さ(14=14MPa)が続き、さらに耐熱・圧縮永久ひずみ・低温などの追加の要求を記号で付けます。規格は、試験の液の ASTM No.3 油が IRM 903 油に置き換わったことも記しています。
出典:ASTM D2000-01 Standard Classification System for Rubber Products in Automotive Applications(規格の写し)|COI Rubber Products、ASTM D2000 Standards(材料の記号の例)|Global O-Ring and Seal
ゴムの性質を確かめる JIS の試験
松本産業の品質News(2026年3月)は、老化試験(JIS K 6257)は加熱したあとの特性の変化、浸せき試験(JIS K 6258)は液体に浸したあとの特性の変化、オゾン劣化試験(JIS K 6259)はオゾンの中での亀裂の出方、圧縮永久ひずみ試験(JIS K 6262)は圧縮を解いたあとに残るひずみを見る試験、と整理しています。低温の TR10 は JIS K 6261 に決められています(NOK のカタログ)。

出典:建材試験センター(YouTube)
建材試験センターの映像は、耐オゾン性試験のようすを短く紹介しています。
出典:品質News Vol.033 ゴムの試験(2026年3月)|松本産業、Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
配合と加硫
加硫:分子の間に橋をかける
生のゴム(原料ゴム)は、温めると流れてしまいます。加硫は、分子の間に橋(架橋)をかけて、引っ張っても元に戻るゴムにする工程です。化学辞典などをまとめたコトバンクの解説によると、硫黄加硫では硫黄がゴムの分子の二重結合と反応して橋を作り、橋の硫黄は1〜8個つながる(1〜2個が多い)、ゴム 100 に対して硫黄 2〜3 程度、150℃前後で 15〜30分ほど加熱する、とされています。

出典:コトバンク(加硫)をもとに AI(Claude)で作成
同じ解説は、硫黄を使わない加硫もあるとし、クロロプレン系のゴムは酸化マグネシウムなどの金属酸化物、炭素の二重結合をもたないシリコーンゴムは有機過酸化物で架橋する、としています。加硫のしかたは、耐熱や圧縮永久ひずみ、近くの金属への影響(研究:硫黄加硫のゴムは、近くの銀を硫化させる)にも関わります。
出典:加硫(化学辞典 第2版・世界大百科事典・日本大百科全書)|コトバンク
配合で何が変わるか
部品のゴムは、原料ゴムに補強材・加硫剤・老化防止剤などを混ぜた配合(コンパウンド)でできています。NOK のカタログに同じ NBR で汎用・燃料用・LPG 用・低温用の材料が並ぶように、部品の性能は、ゴムの種類と配合の両方で決まります。NOK は、老化防止剤などが表面に出る「ブルーミング」には、耐オゾン性を上げるために意図して起こす場合と、偶発的に起こる場合があるとしています。
配合を相談できる会社は企業紹介(合成ゴムの技術)で紹介しています。真空で使う部品では、出てくるガスの少ない配合や二次加硫が必要になります(課題「真空機器・宇宙機器のアウトガスを減らしたい」)。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
トラブルと対策(研究の知見)
よくあるトラブルと、まず見るところ
JFE テクノリサーチは、ゴム部品の劣化を硬くなる劣化(オゾン・塩素系の薬剤・銅害・軽い成分の流出など)と、柔らかくなる劣化(光・酸・アルカリなど)の2つに大きく分けています。まず新品と硬さを比べ、硬くなったか柔らかくなったかで、原因の方向を見分けます。
| トラブル | まず見るところ | 対策 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 硬くなった | 使用温度がゴムの耐熱の限界を超えていないか | 耐熱性の優れた材料に変える | NOK |
| 膨らんだ・柔らかくなった | 流体に合っているか。洗浄剤が残っていないか | 材料の見直し、洗浄剤を取り除く | NOK |
| へたった(つぶれたまま) | 高温・つぶしすぎ・膨潤が重なっていないか | 温度・つぶし代・材料を見直す | NOK |
| はみ出した | 圧力・すき間・膨潤 | すき間を小さく、バックアップリング | NOK |
| 表面全体に細かいひび | 伸ばしたまま空気中に置いていないか(オゾン) | 伸ばしたまま放置しない。グリースを塗る | NOK |
| 粉のようにもろい・べたべた | 酸化で硬くなったか、光・酸・アルカリで網目が切れたか | 硬さ・膨潤率・成分の分析で原因を調べる | JFEテクノリサーチ |
| 近くの銀・銅が変色した | 硫黄で加硫したゴムか | 過酸化物加硫の材料を検討する | Omoda ほか(編集部の整理) |
JFE テクノリサーチは、オゾンによる劣化は伸ばした方向と直角にき裂が入り、酸化による劣化はき裂の断面がもろく粉のようになる、と見分け方を挙げています。ゴムの種類を調べるには、ふつうの FT-IR では足りず、熱分解して測る IR や GC-MS を使うとしています。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK、ゴム成形部品の不具合原因調査・解析|JFEテクノリサーチ、Omoda ほか「Corrosion Behavior of Silver by Outgassed Sulfur Species from Vulcanized Rubber (1)」(材料と環境 Vol.57 No.8、2008年)|J-STAGE
保管でも劣化する
NOK は、O リングの保管で直射日光と湿気を避け、オゾンの出やすい電動機(コピー機など)の近くや、伸ばしたままの保管は避けるよう注意しています。保管期限の目安は、標準の包装・屋内で、EPDM・FKM・ACM・シリコーンが 20年、NBR・HNBR・SBR・ウレタンが 10年としています。
出典:Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
研究:高圧水素を急に抜くと、ゴムの中から割れる
九州大学の古賀の博士論文(2014年)は、高圧の水素ガスを急に減圧したときにゴムの内部が激しく壊れる現象をブリスタ破壊と呼び、O リングの中のようすをその場で観察しました。ガス(水素・ヘリウム・窒素)とゴム(エチレンプロピレンゴム・シリコーンゴム)を変えて調べ、ブリスタの出方はガスとゴムの種類で違い、ガスの拡散係数と相関があることを示しています。

出典:九州大学の古賀の博士論文(2014年)をもとに AI(Claude)で作成
論文は対策として、拡散係数に着目した材料選び、減圧の時間を長くすること、O リングに溶けるガスの量を減らすことを挙げています。水素ステーションの圧力は 35MPa か 70MPa で実証が進められている、とも書いています。古賀らの別の論文(2011年)は、実験計画法で調べ、材料・温度・O リングの溝への充填率・減圧時間が効く因子だったとしています。
出典:古賀 敦「高圧水素用Oリングのシール耐久性に関する研究」(博士論文、2014年)|九州大学、Koga ほか「Evaluation on High-Pressure Hydrogen Decompression Failure of Rubber O-ring Using Design of Experiments」(IJAE Vol.2 No.4、2011年)|J-STAGE
研究:硫黄加硫のゴムは、近くの銀を硫化させる
Omoda らの論文(2008年)は、加硫ゴムから出るガスによる銀の腐食を調べ、試験でできた腐食生成物は硫化銀だけだったと報告しています。腐食は時間とともに直線的に進み、湿度の影響はなく、温度とゴムの量の影響が大きく、ゴムの種類によっても違いました。硫黄のガスはゴムの中の遊離した硫黄から出る、と考えています。
銀めっきの接点や銅の配線の近くにゴムを置くときは、硫黄で加硫していない(過酸化物で加硫した)材料を選ぶなど、ゴムから出るものも確かめます(編集部の整理)。
研究:劣化しても、漏れは急に起きる
ドイツ連邦材料試験研究所(BAM)の Jaunich らは、HNBR・EPDM・FKM の O リングを 75〜150℃で最長2年間おいて、圧縮応力の緩和・圧縮永久ひずみ・漏れの量を調べました。材料の物性や圧縮永久ひずみは大きく変わるのに、漏れの量は壊れる直前まで変わらないか減り、そのあと急に漏れたと報告しています(会議の発表の要旨)。漏れを見ているだけでは劣化に気づきにくい、ということです。
研究:ゴムの破壊が進むようすを見る
東北大学 多元物質科学研究所は、高速の 4D-CT(X 線 CT の連続撮影)で、ゴムの中で破壊が進んでいくようすを観察した映像を公開しています。

出典:東北大学多元物質科学研究所 Tohoku University, IMRAM(YouTube)
事例:ゴムの材料と劣化が関わった例
公的な事故の調査・リコールの届出・製品事故の情報と、企業の保守の事例から、ゴムの材料と劣化が関わる例を集めました。

出典:チャレンジャー号の大統領調査委員会の報告書をもとに AI(Claude)で作成
スペースシャトル・チャレンジャー号:低温で O リングが戻らない(1986年)
大統領の調査委員会の報告書によると、1986年1月28日の打上げのときの気温は華氏36度(約2℃)で、それまでで最も寒い打上げより華氏15度低いものでした。報告書は、低温では O リングの戻る力(復元力)が大きく落ち、元の丸い形に戻るのがとても遅くなるため、継ぎ目のすき間が開くのに追いつけなかった、としています。報告書は、比べた2つのロケットモーターの O リングがどちらも Viton ゴムだったと書いています。
出典:Report of the Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Vol.1 Chapter I|NASA、Report of the Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Vol.1 Chapter IV|NASA、Report of the Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Vol.1 Chapter VI|NASA
燃料レールの O リング:材質が不適切で燃料漏れのおそれ(2002年)
国土交通省へのリコールの届出(2002年10月8日、ダイムラー・クライスラー日本)によると、クライスラーのボイジャーなど 6,418台で、燃料レールの接続部の O リングの材質が不適切で、長い期間エンジンの熱で劣化し、燃料が漏れて、最悪の場合は火災に至るおそれがありました。外部シールを追加するか、燃料レールを対策品に替えるとしています。
出典:リコールの届出(クライスラー ボイジャー ほか、平成14年10月8日)|国土交通省
ブレーキのカップ:ホースの可塑剤で膨潤(2018年)
本田技研工業のリコールの届出(2018年5月31日、届出番号4274)によると、ステップワゴン・フリードのブレーキのマスターシリンダーで、セカンダリーカップの材質と形状が不適切で、リザーバータンクのホースから溶け出した可塑剤でカップが膨潤し、エンジンの熱でさらに膨らんで変形し、ブレーキ液が漏れることがある、としています。
出典:リコール届出番号4274(ステップワゴン・フリード、平成30年5月31日)|本田技研工業
ブレーキのダイヤフラム:添加剤が溶け出して膨潤(2024年)
国土交通省のリコール届出一覧(2024年10月17日、届出番号5557)によると、スズキのハヤブサ 4,752台で、ダイヤフラムの原材料に含まれる添加剤が不適切で、ブレーキ液に溶け出した添加剤によりシールが膨潤し、ブレーキレバーの遊びが大きくなるおそれがありました。前のリコールの対策が不十分だったため、対象と改善の方法を変えて届け出たものです。
出典:リコール届出一覧表(スズキ ハヤブサ、令和6年10月17日、届出番号5557)|国土交通省
石油給湯機:O リングの劣化から出火
製品評価技術基盤機構(NITE)の資料は、約10年使った石油給湯機で、電磁ポンプの部品の O リング(パッキン)が劣化で硬くなり縮んで、器具の中に灯油が漏れ、引火したと考えられる事故(2008年11月、高知県)を挙げています。メーカーは無償の点検をしています。
出典:石油給湯機からの出火|製品評価技術基盤機構(NITE)
熱交換器の EPDM ガスケット:熱で硬くなり、約11か月で漏れ
日阪製作所の保守の事例では、発電用の給水予熱器のプレート式熱交換器で、蒸気側 160℃の入口の EPDM のガスケットが硬くなり厚みも減って、約11か月で外に漏れたとしています。原因は空気中の酸素との反応による熱(酸化)劣化で、同社は熱劣化は避けられないので、定期的なガスケットの交換が必要としています。
出典:メンテナンスサポート事例 ガスケットの熱劣化による漏洩|日阪製作所
水素ステーション:漏えいの4分の3が締結部とシール部
NEDO の成果報告会(2022年)の九州大学などの発表は、高圧ガス保安協会に報告された水素ステーションの事故が 2011〜2015年度に28件で、原因はすべて水素の漏えい、漏えいした部位の4分の3が締結部とシール部だったとしています。事業を始める前のシール・継手の耐久性は充填 2,200回相当で、最終の目標を 30,000回相当(約2年)としています。
出典:長寿命高圧水素シール部材・継手部材及び機器開発に関する研究開発(NEDO 水素・燃料電池成果報告会2022 C-7、九州大学・水素供給利用技術協会)|NEDO
1件目は国の調査委員会の報告書、2〜4件目はリコールの届出、5件目は国の機関の資料、6件目は企業の保守の事例、7件目は国の研究開発の成果報告です(編集部の整理)。
企業紹介(合成ゴムの技術)
原料ゴムのメーカーから、配合(コンパウンド)、精密な成形・試作まで、得意分野の違う会社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。各社のサイトの画像は使わず、公開されている情報をもとに図にしました。
相談する前に整理すること
ゴムの部品メーカー・材料メーカー・配合の会社に相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。
- 使う温度:最高・最低と、その時間
- 触れるもの:流体の名前・濃度、洗浄剤・グリース
- 環境:屋外・オゾン・圧力・真空
- 形と寸法:図面、つぶし代、相手の溝
- 硬さ:目安の数値(デュロメータ A)
- 規格・法令:ASTM D2000・JIS・食品衛生法・RoHS など
- 数量:試作と量産の数
- 今の不具合:現物と、使った期間・条件
困りごとごとの相談先
| 困りごと | 相談先の種類 | このページで紹介した会社 |
|---|---|---|
| 油に強い NBR・HNBR の原料を選びたい | 原料ゴムのメーカー | 日本ゼオン |
| 屋外・水まわりの EPDM の原料を選びたい | 原料ゴムのメーカー | 三井化学 |
| 薬品・高温のシールにパーフルオロゴムを使いたい | 原料ゴムのメーカー | ユニマテック |
| 小さな精密ゴム部品を1個から試作したい | ゴムの成形メーカー | ダブレス |
| スポンジや金属との一体成形、PFAS 対応のフッ素ゴムを相談したい | ゴム材料の開発・成形メーカー | 右川ゴム製造所 |
| 自社の仕様のコンパウンドを作りたい | 混練(練り)の会社・ゴム原料の商社 | 福和ゴム商事 |
各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。紹介は下にあります。
| 会社 | NBR・ HNBR | EPDM | FKM・ FFKM | ACM | 配合 (材料) | 成形・ 試作 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本ゼオンNBR・HNBR の原料ゴム(東京都千代田区) | ● | |||||
| 三井化学EPDM の原料ゴム(東京都中央区) | ● | |||||
| ユニマテックFFKM・ACM の原料ゴム(東京都港区) | ● | ● | ||||
| ダブレス精密ゴム成形(東京都足立区) | ● | ● | ● | ● | ||
| 右川ゴム製造所ゴム材料の開発と製造(埼玉県八潮市) | ● | ● | ● | ● | ||
| 福和ゴム商事コンパウンドの混練(東京都荒川区) | ● | ● |
●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。
日本ゼオン株式会社|結合 AN 量で選べる NBR と、水素化した HNBR の原料ゴム
日本ゼオンとは
東京都千代田区丸の内に本社を置く会社です(同社の拠点一覧)。合成ゴム・合成ラテックス・化成品・高機能樹脂などを手がけています。

出典:日本ゼオンの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
日本ゼオンの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| NBR(Nipol) | 結合アクリロニトリル量で、極高ニトリル(43%以上)から低ニトリルまで区分。例:DN003 は 50.0%、1041 は 40.5%(設計値) |
| HNBR(Zetpol) | 極高・高・中高ニトリルと耐寒のタイプ。例:0020 は結合 AN 量 49.2%、耐寒の 3300 は 23.6%(設計値) |
| Zeoforte | Zetpol にメタクリル酸亜鉛塩を細かく分散させた HNBR のゴムアロイ(同社サイト) |
日本ゼオンが解決できる課題
- 油に触れるシール・ホースで、耐油と耐寒のバランスのよい原料を選びたい
- NBR では耐熱・耐オゾンが足りない部品を、HNBR に替えたい
出典:本社(拠点一覧)|日本ゼオン、NBR(Nipol)|日本ゼオン、HNBR(Zetpol・Zeoforte)|日本ゼオン、Zetpol HNBR|Zeon Chemicals(日本ゼオンの米国の会社)
三井化学株式会社|初めて国産化に成功した EPDM「三井EPT」
三井化学とは
東京都中央区八重洲に本社を置く会社です(同社の会社概要)。

出典:三井化学の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
三井化学の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 三井EPT | 同社のポリオレフィン重合技術で、初めて国産化に成功した EPDM と同社は説明 |
| 特性 | 主鎖が飽和炭化水素で、日光や高濃度のオゾンに長くさらされても主鎖が切れる劣化が起きない、と同社は説明。加工性・耐熱性・耐寒性・耐薬品性・電気特性 |
| 新しいグレード | 耐久性・低温での柔らかさに優れる VNB-EPT/EBT(同社サイト) |
三井化学が解決できる課題
- 屋外で日光・オゾンにさらされるシールやホースの原料を選びたい
- 電線の被覆や、水・不凍液に触れる部品の材料を探したい
公開されている実績・用途
- 用途の例:グラスランチャネル、ウエザーストリップのスポンジ、OA ロール、ラジエーターホース、電線被覆(同社サイト)
ユニマテック株式会社|過酷な環境のシール向けパーフルオロゴムと、アクリルゴム
ユニマテックとは
東京都港区芝大門に本社を置く会社です(2002年4月設立)(同社の会社概要)。合成ゴム・ファインケミカル・合成ゴムの成型用の化学薬品・接着剤の製造を事業としています。

出典:ユニマテックの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
ユニマテックの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| パーフルオロエラストマー ELTAS | 過酷な環境の下でも信頼性の高いシール性能を発揮する FFKM と同社は説明 |
| アクリルゴム NOXTITE | 耐熱性・耐油性・耐候性のバランスに優れた ACM と同社は説明 |
| PFPE オイル AFLUNOX | 過酷な環境で潤滑性を保つパーフルオロポリエーテルの油(ゴムではない) |
ユニマテックが解決できる課題
- FKM では耐えられない薬品・温度のシールに、パーフルオロゴムを使いたい
- 高い温度の油に触れる部品に、アクリルゴムを使いたい
株式会社ダブレス|NBR・EPDM・FKM の精密成形を、試作1個から量産まで
ダブレスとは
東京都足立区に本社、宮城県岩沼市に仙台工場を置く会社です(1962年創業)(同社の会社概要)。複雑で精密なゴムの成形、大きな径の O リングを作る送り加硫成形、樹脂の加工などを手がけています。

出典:ダブレスの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
ダブレスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 扱う材質 | NBR・HNBR・シリコーン・EPDM・FKM など。高性能フッ素ゴム(FFKM)の成形も対応すると同社は説明 |
| 極小の成形 | 内径 0.5mm・外径 1.5mm の O リング(同社の製品寸法の表) |
| 品質 | 加硫試験機やムーニー粘度計で、加硫特性・加工性などを分析して材料を確かめる(同社サイト) |
ダブレスが解決できる課題
- 医療機器・分析機器の小さく複雑なゴム部品を作りたい
- 図面のない開発の段階から、量産のコストを考えて相談したい
公開されている実績・用途
- 試作品は1個から、数百万個の量産品にも対応すると同社は説明。業界の実績に医療機器・分析機器・FA 機器・建設機械・油圧ポンプ・食品関連機器などを挙げている
株式会社右川ゴム製造所|へたりにくい EPDM スポンジと、PFAS 対応のフッ素ゴム材料
右川ゴム製造所とは
埼玉県八潮市に本社、福島県南相馬市に福島工場を置く会社です(明治30年創業)(同社の会社概要)。ゴム製品の製造・販売を事業としています。

出典:右川ゴム製造所の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
右川ゴム製造所の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| スーパーセットフォーム SSF | 柔らかさや追従性、耐水・耐薬・耐候性はそのままに、圧縮永久ひずみを限りなく0%に近づけた高復元性の EPDM スポンジと同社は説明 |
| THE PENTAGON FKM | POPs 条約で規制されている特定 PFAS に対応したフッ素ゴム材料(同社サイト) |
| U-tite | 金属側への特殊な加工と成形技術で、接着剤を使わずにゴムと金属を一体にする接合成形(同社サイト) |
右川ゴム製造所が解決できる課題
- 防水のシールが、へたって漏れるのを防ぎたい
- 特定 PFAS の規制に対応したフッ素ゴムに切り替えたい
出典:会社概要・アクセス|右川ゴム製造所、製品から探す(トップページ)|右川ゴム製造所
福和ゴム商事株式会社|客先の仕様のコンパウンドを練り、フッ素ゴムの配合品も扱う
福和ゴム商事とは
東京都荒川区南千住に本社を置く会社です(1950年設立)(同社の会社概要)。ゴム原料・ゴム薬品・プラスチック樹脂原料を扱い、ゴムの混練も行っています。

出典:福和ゴム商事の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
福和ゴム商事の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| オリジナルコンパウンド | インターミックスで、客先のオリジナルのコンパウンドを作ると同社は説明。試作・試験にも対応 |
| フッ素ゴムのコンパウンド | HKD F シリーズ、食品衛生法に対応した FGS-F シリーズ(同社サイト) |
| トレーサビリティ | 受注から生産・検査・出荷まで自社で一貫して管理すると同社は説明 |
福和ゴム商事が解決できる課題
- 自社の部品に合わせた配合のゴム生地(コンパウンド)を作りたい
- フッ素ゴムの配合品を、少しずつ試したい
出典:会社概要|福和ゴム商事、オリジナルコンパウンド|福和ゴム商事
よくある質問
種類と選び方
- NBR・EPDM・フッ素ゴムは、どう使い分けますか?
- 油(鉱物油・燃料)なら NBR、水・水蒸気・ブレーキ液・屋外なら EPDM、高い温度の油や燃料・薬品ならフッ素ゴム(FKM)が出発点です。温度と流体で候補をしぼり、試験で確かめます(合成ゴムの選び方(膨潤のしくみ・図面の指定))。
- EPDM に鉱物油のグリースを使ってもよいですか?
- 避けます。EPDM と鉱物油は性質(SP 値)が近く、大きく膨潤します(膨潤のしくみ:性質が近い油ほど、ゴムに入り込む)。
- フッ素ゴムなら、どんな薬品にも強いですか?
- いいえ。FKM は有機酸・ケトン・エステル・アミン系の薬品が苦手で、低温も苦手です。用途に合うグレードや FEPM・FFKM を比べます(フッ素ゴム(FKM)と FFKM・FEPM)。
- HNBR は NBR と何が違いますか?
- NBR の二重結合を水素化したゴムで、耐熱・耐油・強度・耐圧縮永久ひずみ・耐オゾンに優れます(NBR と HNBR)。
- 寒い所で使えるゴムは?
- NOK の表では、EPDM(−40〜−49℃)・IIR・SBR・シリコーン系の TR10 が −40℃以下で、汎用の NBR・FKM は −15〜−26℃です。NBR・FKM にも低温用の材料があります(使える温度の目安)。
規格・劣化・寿命
- 図面の「M2BG714」はどういう意味ですか?
- ASTM D2000 の呼び方で、B は 100℃の熱老化(タイプ)、G は油で膨らむのが 40%まで(クラス)、7 は硬さ 70、14 は引張強さ 14MPa 以上です(ASTM D2000(SAE J200)の読み方)。
- ゴムの交換の時期は、漏れたらでよいですか?
- 漏れは急に起きることがあり、漏れだけでは劣化に気づきにくいと報告されています。硬さや圧縮永久ひずみ、使用期間で交換を決めます(研究:劣化しても、漏れは急に起きる)。
- 銀めっきの近くでゴムを使ってもよいですか?
- 硫黄で加硫したゴムから出る硫黄で銀が硫化することがあります。過酸化物で加硫した材料を検討します(研究:硫黄加硫のゴムは、近くの銀を硫化させる)。
回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。
関連する技術・ページ
関係する課題ページ
| 課題 | このページでの解決 | 課題ページ |
|---|---|---|
| 液漏れ・気密不良を防ぎたい | 流体と温度に合うゴムを選ぶ(合成ゴムの選び方(膨潤のしくみ・図面の指定)) | O リング・パッキンの材質と溝の設計 |
| ゴム部品がへたる・硬くなる | 加硫のしかたと材料で圧縮永久ひずみを減らす(配合と加硫) | 使う条件に合うゴム材料を選ぶ |
| 紫外線・薬品で劣化する | 主鎖に二重結合のないゴムを選ぶ(主鎖の二重結合で、強さの傾向が分かれる) | 耐候・耐薬品の材料を選ぶ |
| 医療機器の部品を滅菌に耐えるようにしたい | 耐熱水・耐蒸気のゴムを選ぶ(主な種類と、使える温度) | ゴム・シールの材料を選ぶ |
| 電子機器を防水・防じんにしたい | 屋外に強い EPDM・CR を選ぶ(触れる流体・環境から候補をしぼる) | 筐体のシール(ガスケット・O リング) |
| 真空機器のアウトガスを減らしたい | 可塑剤の少ない配合・二次加硫(配合と加硫) | 低アウトガスの材料を選ぶ |
| 人や食品に触れても安全にしたい | 規格に合う配合を相談する(相談する前に整理すること) | 食品・肌に触れても使える材料を選ぶ |
右の列は、関係する課題ページ(対策の節)へのリンクです。
関連する技術・基礎知識
- Oリング・ガスケット
- シリコーンゴム
- ウレタンゴム・熱可塑性エラストマー
- 防振ゴム・制振材
- グリース・固体潤滑
- フッ素樹脂コーティング
- ガラス転移点(Tg)
- アレニウスの式
- クリープ
- 硬さ
- 液漏れ・気密不良を防ぎたい
- ゴム部品がへたる・硬くなるのを防ぎたい
- 紫外線・薬品で劣化する
- 医療機器の部品を滅菌・消毒に耐えるようにしたい
- バルブ・シール(製品)
出典・確認日
- 三井EPT(EPDM)|三井化学
- Standard Abbreviations for Rubbery Materials(ISO 1629 の略号)|Elastoproxy
- Oリング(Cat.No.051、2025年4月)表3-1 材料の選定・不具合事例・膨潤メカニズム|NOK
- Oリングカタログ LC01(2019年4月)表2・表7|バルカー
- HPフッ素ゴム押出品(2021年10月)|ホッティポリマー
- アクリロニトリル・ブタジエンゴム(日本大百科全書・世界大百科事典)|コトバンク
- Zetpol HNBR|Zeon Chemicals(日本ゼオンの米国の会社)
- NBR(Nipol)|日本ゼオン
- リコール届出番号4274(ステップワゴン・フリード、平成30年5月31日)|本田技研工業
- Jaunich ほか「Characterisation of degradation and determination of end-of-lifetime criterion for O-ring seals」(RubberCon 2017)|BAM
- ASTM D2000-01 Standard Classification System for Rubber Products in Automotive Applications(規格の写し)|COI Rubber Products
- ASTM D2000 Standards(材料の記号の例)|Global O-Ring and Seal
- 品質News Vol.033 ゴムの試験(2026年3月)|松本産業
- 加硫(化学辞典 第2版・世界大百科事典・日本大百科全書)|コトバンク
- ゴム成形部品の不具合原因調査・解析|JFEテクノリサーチ
- Omoda ほか「Corrosion Behavior of Silver by Outgassed Sulfur Species from Vulcanized Rubber (1)」(材料と環境 Vol.57 No.8、2008年)|J-STAGE
- 古賀 敦「高圧水素用Oリングのシール耐久性に関する研究」(博士論文、2014年)|九州大学
- Koga ほか「Evaluation on High-Pressure Hydrogen Decompression Failure of Rubber O-ring Using Design of Experiments」(IJAE Vol.2 No.4、2011年)|J-STAGE
- Report of the Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Vol.1 Chapter I|NASA
- Report of the Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Vol.1 Chapter IV|NASA
- Report of the Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Vol.1 Chapter VI|NASA
- リコールの届出(クライスラー ボイジャー ほか、平成14年10月8日)|国土交通省
- リコール届出一覧表(スズキ ハヤブサ、令和6年10月17日、届出番号5557)|国土交通省
- 石油給湯機からの出火|製品評価技術基盤機構(NITE)
- メンテナンスサポート事例 ガスケットの熱劣化による漏洩|日阪製作所
- 長寿命高圧水素シール部材・継手部材及び機器開発に関する研究開発(NEDO 水素・燃料電池成果報告会2022 C-7、九州大学・水素供給利用技術協会)|NEDO
- 本社(拠点一覧)|日本ゼオン
- HNBR(Zetpol・Zeoforte)|日本ゼオン
- 会社概要|三井化学
- 会社概要|ユニマテック
- 製品一覧|ユニマテック
- 会社概要|ダブレス
- 精密ゴム成形|ダブレス
- 会社概要・アクセス|右川ゴム製造所
- 製品から探す(トップページ)|右川ゴム製造所
- 会社概要|福和ゴム商事
- オリジナルコンパウンド|福和ゴム商事
※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図は転載していません。温度・物性の数値は各社の製品(配合)の目安で、試験の条件が違うため、資料をまたいで細かく比べないでください。
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。
情報の確認日:2026年10月25日 本ページの内容は一般的な情報です。ゴム材料の選定・使用の判断は、メーカーの資料と試験で確かめてください。各社の製品・サービスは、その会社の公開情報にもとづきます。

