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防振ゴム・制振材

防振ゴムは、モーターやポンプなど揺れる機械をゴムで支えて、床や周りに揺れを伝えにくくする部品です。

防振ゴム・制振材
6件解決できる課題
5社紹介している企業
36点図と写真
33件出典

防振ゴム・制振材

防振ゴムの上に載せたモーター駆動のポンプと、制振シートと拘束箔を貼った鋼板の断面のイメージ

小型・軽量化信頼性・長寿命振動・音防振・制振樹脂・ゴムポンプ・ファン筐体・ケース

防振ゴムは、モーターやポンプなど揺れる機械をゴムで支えて、床や周りに揺れを伝えにくくする部品です。制振材は、揺れている板に貼ったり塗ったりして、振動を熱に変えて早く止める材料です。防振は「伝えない」、制振は「止める」と、効き方が違います。自動車、空調設備、家電、精密機器などで使われています。

このページでは、防振ゴム・ばね・ゲルと、貼る制振材・制振鋼板について、しくみ、種類と選び方、使う場面ごとの選び方、カタログ値の見方、へたり・温度などの注意点をまとめ、この技術を扱う企業を紹介します。

防振ゴム・制振材の企業(早見表)

企業防振
ゴム
ばね・
空気ばね
除振台・
ゲル
制振材
(貼る)
制振
塗料
測定・
調査
特許機器防振装置・除振台●●●●
日本特殊塗料メルシート・NTダンピングコート●●
シーシーアイ住設建材ダイポルギー●●●
エクシールゲルダンパー●
丸五ゴム工業自動車用の防振ゴム●

●は、各社の公式サイトで取り扱いを確認できた種類です(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。日本特殊塗料の「制振塗料」は塗布型の制振材 NTダンピングコート、シーシーアイ住設建材の「防振ゴム」は天然ゴムの防振材 FAV、エクシールの「ゲル」はウレタンゲルの防振ダンパーです。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

目次

この技術で解決できる課題

振動の困りごとは、揺れの元を支えて伝えない(防振)、受ける側を守る(除振)、揺れている板を止める(制振)のどれで手を打つかで、使う材料が変わります。騒音制御の解説では、ばね・防振ゴムのように振動のエネルギーを反射するものを防振材料、吸収するものを制振材料と分けています。

防振は振動源の機械を防振ゴムで支えて床へ伝えない、除振は揺れている床の上の精密機器を守る、制振は板に貼った粘弾性の層で揺れを早く止めることを示した図
図1 防振・除振・制振の違い
出典:騒音制御 15巻1号・エクシール・昭和サイエンスの記載をもとに AI(Claude)で作成
課題この技術での解決課題ページ
軽くしたら、機械の揺れが床や周りに伝わるモーター・ファン・ポンプを防振ゴム・ばねで支え、伝わる力を減らす防振(防振ゴム・ばねで支える)
薄くした板・カバーが鳴る、ビビる板に制振材を貼る・塗る、または制振鋼板に替えて、振動を熱に変える制振(制振材・制振鋼板)
床の揺れで、精密機器がうまく測れない除振台・ゲルのダンパーで、床から機器へ伝わる揺れを減らす—
空調・ポンプの振動が建物に伝わる(固体音)防振架台・防振吊金具で機器を支える。空気ばねで低い固有振動数にする—

「—」は、まだ課題ページがないものです。

出典:制振ゴムの特性と応用|騒音制御 15巻1号(1991年)、ゲルダンパー|エクシール、防振技術|特許機器

仕組み

左はゴムの防振材で支えた機械の揺れが床に伝わらず、右は制振材を貼った薄い板の揺れがすぐに小さくなる様子を並べたイメージ
防振と制振:ばねで伝えない、減衰で止めるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

防振と制振は、似た言葉ですが、効かせ方が違います。防振は、支えの「ばね」で振動を伝わりにくくする方法です。制振は、材料の「減衰」で揺れのエネルギーを熱に変える方法です。

防振:支えの固有振動数を、揺れの周波数より十分低くする

機械をばねで支えたとき、床へ伝わる力と機械に加わる力の比を振動伝達率といいます。日本建設機械施工協会の資料では、振動数比(加振の周波数÷支えの固有振動数)が1のとき共振し、振動数比が √2 を超えると伝達率が常に1以下になり、防振の効果が出るとしています。支えの固有振動数を低くするほど、伝達率は小さくなります。東京消防庁の研究報告は、一般には振動数比を2〜3にすれば防振の目的を達成できるとしています。

振動伝達率と振動数比の関係。振動数比が√2を超えると伝わる力が加わる力より小さくなり、1の近くでは共振する
図2 振動伝達率と振動数比
出典:建設機械施工 66巻10号の振動伝達率の式をもとに AI(Claude)で作成

同じ資料では、ダンパー(減衰)は、起動・停止のときに共振の範囲を通り過ぎる間の揺れを抑える役割で、定常の運転ではかえって防振の効果を悪くするとしています。図の「減衰が大きい」線が√2より右で少し高いのは、このためです。

出典:都市土木現場における防振対策|建設機械施工 66巻10号(日本建設機械施工協会、2014年)、救急車の振動等に関する研究(第2報)|消防科学研究所報 32号(東京消防庁)

制振:揺れている板の振動を、熱に変えて止める

制振材は、粘弾性(ゴムや樹脂のように、伸び縮みのときにエネルギーを失う性質)の層を板に付けたものです。計測と制御誌の解説では、板に貼るだけの「非拘束型」は層の伸び縮みで、2枚の板で挟む「拘束型」は層のずれ(せん断)で減衰するとしています。日本特殊塗料は、制振材を鋼板に直接貼ると、伸縮変形する鋼板をダンピング(粘性減衰)し、振動を熱エネルギーに変えると説明しています。

非拘束型・拘束型の制振材と制振鋼板の構造と、制振の有無による揺れの減り方を示した図
図3 非拘束型・拘束型の制振材と制振鋼板
出典:日本特殊塗料・シーシーアイ住設建材・日本製鉄の記載をもとに AI(Claude)で作成

減衰の大きさは損失係数(η)で表し、大きいほど揺れが早く止まります。日本製鉄のカタログでは、室温での比較として、冷延鋼板(1.6mm)の損失係数が約0.0005なのに対し、制振鋼板は0.2程度の値を示しています(同社のグラフの値)。

出典:ダンピングと制振の技術―制振材料と新しいダンパ|計測と制御 37巻8号(1998年)、制振とは|日本特殊塗料、制振鋼板 バイブレス(カタログ)|日本製鉄

種類と選び方

支える材料(防振)と、貼る材料(制振)に分けて、代表的な種類をまとめました。防振では「どこまで低い固有振動数にできるか」、制振では「使う温度で減衰が出るか」が選ぶ軸になります。

空気ばね0.7〜3Hz、防振ゴム4〜15Hz、金属ばねはその中間の固有振動数にできることを示した図
図4 支える材料と固有振動数の範囲
出典:建設機械施工 66巻10号(日本建設機械施工協会)をもとに AI(Claude)で作成
種類形と特徴数値の例(出典)向いている場面注意
防振ゴムゴムを金具で挟んだマウント・ブッシュ。形を自由に選べ、内部の減衰がある固有振動数 4〜15Hz(日本建設機械施工協会)自動車のエンジンマウント、機械の脚低い周波数の揺れは苦手。へたり・温度・油に注意
金属ばね(コイルばね)防振ゴムと空気ばねの中間の固有振動数にできる防振ゴムと空気ばねの中間(同)空調機器・チラーなどの防振架台ばね自身の共振(サージング)が概ね100Hz 以上に出る(特許機器)
空気ばね空気の圧縮でばねにする。荷重が変わっても固有振動数をほぼ一定にできる0.7〜3Hz(日本建設機械施工協会)、除振台で垂直 2.5Hz(昭和サイエンス)精密機器の除振台、重い機械の防振空気の供給や高さの調整のしくみが要る
ゲル(ウレタン・シリコーン)柔らかいゲルのブロック・シート。1個あたりの適正荷重(例:2〜200kg)が機種ごとに決まっているエクシールのゲルダンパー:防振周波数 23.8Hz から(最大荷重時の参考値)計測機器・3Dプリンターなどの脚決まった荷重の範囲で使う。熱・屋外に弱い製品がある
制振材(貼る・塗る)粘弾性のシート(非拘束型)、アルミ箔などで挟んだシート(拘束型)、塗布型シーシーアイ住設建材の FDC:損失係数 25〜30℃付近で約0.3(同社のグラフ)車体・家電・筐体の板の鳴き効く温度の範囲がある。貼った分だけ重くなる
制振鋼板2枚の鋼板の間に約40μm の粘弾性樹脂を挟んだ板。プレスで形にできる損失係数 0.20(常温用、500Hz)(日本製鉄)オイルパン・洗濯機のボディなど温度で品種を選ぶ

数値は各社・各機関の資料の値で、測った条件が違うので、表の数値どうしを比べないでください。FDC の損失係数は、同社のグラフ(鋼板厚さ1mm、160Hz)から編集部が読み取った値です。「向いている場面」の一部(防振ゴムの機械の脚、金属ばねの防振架台)と「注意」の一部(低い周波数が苦手、重くなる)は、出典の内容をもとに編集部が整理したものです。

出典:都市土木現場における防振対策|建設機械施工 66巻10号(日本建設機械施工協会、2014年)、防振技術|特許機器、小型卓上型パッシブ除振台 PB-3040|昭和サイエンス、救急車の振動等に関する研究(第2報)|消防科学研究所報 32号(東京消防庁)、ゲルダンパー|エクシール、ダイポルギー FDC|シーシーアイ住設建材、制振鋼板 バイブレス(カタログ)|日本製鉄

防振ゴムは、ゴムの種類で強い環境が違う

日本ゴム協会の表では、天然ゴム(NR)は反発弾性に優れる一方、耐オゾン性・耐ガソリン性は「悪い」とされています。クロロプレン(CR)は耐老化・耐候・耐オゾン性に優れ、主な用途に防振ゴムが挙げられています。ブチルゴム(IIR)は反発弾性が低い(△)ゴムで、騒音制御誌の解説では、反発弾性が低く減衰の大きいブチルゴムなどは制振材料として使われることが多いとしています。耐熱が要る所ではシリコーンゴム(使用可能温度 −120〜280℃)があります。

天然ゴム、クロロプレン、ニトリル、ブチル、EPDM、シリコーンの使用可能温度範囲と、反発弾性・耐老化・耐オゾン・耐ガソリンの評価を並べた図
図5 ゴムの種類と使える温度・強い環境
出典:日本ゴム協会「ゴム技術の基礎」の表(ニチアス掲載)をもとに AI(Claude)で作成

出典:ゴムの特性と用途(日本ゴム協会「ゴム技術の基礎」の表)|ニチアス、制振ゴムの特性と応用|騒音制御 15巻1号(1991年)

防振ゴムは、圧縮かせん断で使う

日立評論(1973年)の電気機関車用防振ゴムの資料では、防振ゴムは形を自由に選べ、上下・前後・左右のばね定数を設計できるとし、引張の変形では使わず、圧縮・せん断で使うことを原則としています。同じ資料の天然ゴムの疲労試験では、圧縮は1×10⁷回まで異常がなく、引張では全数にき裂が出ました。東京消防庁の研究報告は、防振ゴムの固有振動数はゴムの種類・形・かかる荷重の3つで決まるとしています。

防振ゴムを上下の金具で挟んで圧縮で使う形、ゴムをずらす向きのせん断で使う形と、引張では使わないことを示した図
図6 防振ゴムの使い方(圧縮・せん断・引張)
出典:日立評論 1973年2月号・消防科学研究所報 32号をもとに AI(Claude)で作成

出典:電気機関車用防振ゴムの特性|日立評論(1973年2月号)、救急車の振動等に関する研究(第2報)|消防科学研究所報 32号(東京消防庁)

使う場面ごとの選び方

同じ防振・制振でも、揺れの周波数・載せる重さ・使う環境で、合う材料が変わります。公開されている例と解説から、代表的な場面をまとめました。

自動車、空調・設備、精密機器、家電、建設機械・工場、鉄道で防振ゴム・制振材が使われている例を並べた図
図7 防振ゴム・制振材が使われている場所
出典:この記事の出典の用途の記載をもとに AI(Claude)で作成
使う場面よく使われる種類選ぶときのポイント公開されている例
自動車防振ゴム(マウント・ブッシュ)、貼る・塗る制振材、制振鋼板高い温度・油の環境。乗り心地と操縦性の両立エンジンマウント・液体封入マウント(丸五ゴム工業)、メルシート(日本特殊塗料)、オイルパン(日本製鉄)
空調・設備防振ゴム、コイルばね、空気ばね機器の回転数と重さから固有振動数を決める防振吊金具の計算例(三菱電機)、チラー・破砕機の空気ばね(特許機器)
精密機器空気ばね・ゴム・ゲルの除振台床の揺れの周波数より十分低い固有振動数顕微鏡・電子天秤の除振台(昭和サイエンス)、計測機器のゲルダンパー(エクシール)
家電貼る制振材、防振材、制振鋼板薄い板の鳴き。重さとコスト洗濯機の防振材 FAV(シーシーアイ住設建材)、洗濯機ボディの制振鋼板(日本製鉄)

「よく使われる種類」と「選ぶときのポイント」は、公開されている例と解説をもとに編集部が整理したものです。

出典:防振ゴム|丸五ゴム工業、制振とは|日本特殊塗料、制振鋼板 バイブレス(カタログ)|日本製鉄、防振吊金具防振計算書|三菱電機、041 清掃工場破砕機の空気ばねによる防振対策事例|特許機器、小型卓上型パッシブ除振台 PB-3040|昭和サイエンス、ゲルダンパー|エクシール、ダイポルギー FAV|シーシーアイ住設建材

計算例:空調機を防振吊金具で吊る

三菱電機の防振計算書では、質量78kg の機器を4本の防振吊金具で吊る例を示しています。動的ばね定数から固有振動数 10.3Hz を求め、回転数 1,390min⁻¹(23.2Hz)に対して振動伝達率 24.4%、防振効果 75.6%としています。振動数比は約2.25で、√2 より大きい範囲に入っています。

78kgの機器を4本で吊る計算例。1本あたり19.5kg、動的ばね定数8.26×10³kg/m、固有振動数10.3Hz、加振23.2Hz、伝達率24.4%、防振効果75.6%
図8 防振吊金具の計算例
出典:三菱電機「防振吊金具防振計算書」をもとに AI(Claude)で作成

この計算書では、動的ばね定数を静的ばね定数の1.4倍と置いています。実際の値は、ゴムの種類や配合で変わります(次の節)。

出典:防振吊金具防振計算書|三菱電機

重い機械・低い揺れには、空気ばね

重い振動ふるいを、四隅の空気ばねで基礎の上に支えたイメージ
空気ばね:重い振動ふるいを低いばねで支えるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

日本建設機械施工協会の資料では、空気ばねによる対策では20〜30dB の防振効果が期待できるとし、振動ふるいを空気ばねで支えた例で27dB が得られたとしています。東京消防庁の救急車の研究でも、空気ばねは荷重が変わっても固有振動数がほぼ一定で、低い固有振動数が得られるとしています。

出典:都市土木現場における防振対策|建設機械施工 66巻10号(日本建設機械施工協会、2014年)、救急車の振動等に関する研究(第2報)|消防科学研究所報 32号(東京消防庁)

向いている条件と注意点

向いている条件

  • 揺れの周波数がはっきりしていて、支えの固有振動数を十分低くできる(防振)
  • 薄い板・カバーが共振して鳴る(制振)
  • 機械の形を大きく変えずに、後から対策したい
  • 床の揺れから精密機器を守りたい(除振)

注意点

  • 支えの固有振動数が揺れの周波数に近いと、共振してかえって大きく伝わる
  • 防振ゴムだけでは、低い周波数の揺れは防振しにくい
  • 制振材は効く温度の範囲がある。貼った分だけ重くなる
  • ゴムは時間・熱・オゾン・油で性質が変わる

この一覧は、このページの出典をもとに編集部が整理したものです。

よくある失敗:共振の近くに固有振動数を置く

防振ゴムで支えたポンプの揺れが共振で大きくなり、床にも強く伝わっているイメージ
共振の近く:防振ゴムでかえって揺れが大きくなるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

防振ゴムを入れたのに、かえって揺れが大きくなることがあります。日本建設機械施工協会の資料のとおり、振動数比が1の近く(√2 より小さい範囲)では、伝わる力が加わる力より大きくなります。防振ゴムは小さいものほどばね定数と許容荷重が小さくなり、東京消防庁の報告では、許容荷重の制約から、ゴムだけでは低い固有振動数(2Hz)を得られない例を示しています。固有振動数を下げたいときは、ばね・空気ばねも候補に入れます。

出典:都市土木現場における防振対策|建設機械施工 66巻10号(日本建設機械施工協会、2014年)、救急車の振動等に関する研究(第2報)|消防科学研究所報 32号(東京消防庁)

制振材は、使う温度で選ぶ

粘弾性の材料は、温度・周波数で性質が大きく変わります。日本製鉄の制振鋼板は、常温用(20〜40℃)・中温用(40〜80℃)・高温用(70〜100℃)の品種に分けています。シーシーアイ住設建材の拘束型制振材 FDC のグラフでも、損失係数は温度で変わり、25〜30℃付近で大きくなっています。

制振鋼板の常温用20〜40℃・損失係数0.20、中温用40〜80℃・0.15、高温用70〜100℃・0.15の適用温度を示した図
図9 制振鋼板の品種と適用温度
出典:日本製鉄「制振鋼板 バイブレス」カタログをもとに AI(Claude)で作成

出典:制振鋼板 バイブレス(カタログ)|日本製鉄、ダイポルギー FDC|シーシーアイ住設建材、ダンピングと制振の技術―制振材料と新しいダンパ|計測と制御 37巻8号(1998年)

カタログ値の見方

防振ゴムのカタログには、ばね定数・許容荷重・使用温度などが、制振材のカタログには損失係数が並びます。どの値も、測った条件(荷重・周波数・温度)とあわせて読みます。

項目見方
静的ばね定数・荷重とたわみかける荷重でのたわみから、固有振動数の見当をつける
動倍率(動的ばね定数)動的なばね定数と静的なばね定数の比。防振の計算には動的ばね定数を使う
許容荷重1個に載せてよい荷重。荷重が小さすぎても大きすぎても、ねらいの固有振動数にならない
使用温度・耐油・耐オゾンゴムの種類で決まる。使う環境に合うかを見る
損失係数(制振材)測った温度・周波数・基材の板厚とセットで読む。半値幅法などで求める

この表は、JIS K 6386、三菱電機の計算書、エクシール・日本製鉄の資料をもとに編集部が整理したものです。

動倍率:揺れているときのばね定数は、静的な値と違う

JIS K 6386 は、動倍率を防振ゴムの動的状態におけるばね定数と、静的状態におけるばね定数との比と定義しています。ハリマ化成グループの技術レポートは、ゴムが静止時に硬く振動時に柔らかい(動倍率が小さい)ほど、よい防振ゴムであるとしています。三菱電機や東京消防庁の計算例では、動的ばね定数を静的の1.4倍と置いています。

静的ばね定数と動的ばね定数の傾きの違いを示した模式図と、カタログで見る5つの項目を並べた図
図10 動倍率とカタログで見る項目
出典:JIS K 6386・三菱電機の防振計算書をもとに AI(Claude)で作成

出典:JIS K 6386:2019 防振ゴム-ゴム材料の区分(日本規格協会のプレビュー)、防振ゴム用軟化剤の開発|HARIMA TECHNOLOGY REPORT(ハリマ化成グループ、2022年)、防振吊金具防振計算書|三菱電機、救急車の振動等に関する研究(第2報)|消防科学研究所報 32号(東京消防庁)

損失係数は、測り方とセットで読む

恒温槽の中で、はり状の試験片の中央を加振器で揺らし、両端が上下に振れるイメージ
中央加振法:はりの中央を揺らし、温度を変えて測るイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

制振材の損失係数は、はり状の試験片の中央を揺らす「中央加振法」で、共振の山の幅(半値幅)から求めます。日本製鉄は JIS G 0602 に準じた中央支持定常加振法による測定例を示しています。JFEテクノリサーチや神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)は、恒温槽の中で温度を変えて損失係数を測る試験を受託しています(JFEテクノリサーチは −40〜+120℃)。

出典:制振鋼板 バイブレス(カタログ)|日本製鉄、中央加振法による高温下での振動減衰測定|JFEテクノリサーチ、制振材料の特性評価|神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)

組み込み・量産・信頼性の注意

  1. 共振を避ける起動・停止で共振の範囲を通るときの揺れと、運転中の固有振動数の位置を確かめる
  2. へたりと劣化を見込む時間・熱・オゾン・油で性質が変わる。使う環境に合うゴムを選ぶ
  3. 温度で効きを確かめる制振材は使う温度・周波数で損失係数を確かめる

ゴムは、時間とともにへたる

JFEテクノリサーチは、ゴムなどの高分子材料は時間がたつと荷重が下がる応力緩和を示すとし、汎用の防振ゴムシートを圧縮したまま(60℃、80時間)荷重を測った事例を示しています。JIS K 6385「防振ゴム-試験方法」には、静的・動的なばね特性のほか、熱老化、オゾン劣化、耐久(定変位・定荷重・衝撃・共振)、塩害、浸せきの試験があります。

防振ゴムのへたり(時間とともに押し返す力が下がる)、熱による老化、オゾン・油と、対応するJISの試験を並べた図
図11 防振ゴムの劣化と試験
出典:JIS K 6385・JFEテクノリサーチの資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:ゴム部品の応力緩和試験|JFEテクノリサーチ、JIS K 6385:2012 防振ゴム-試験方法(日本規格協会のプレビュー)、JIS K 6386:2019 防振ゴム-ゴム材料の区分(日本規格協会のプレビュー)

コイルばねは、ばね自身の共振に注意

コイルばねで支えた機械で、1本のばね自身が細かく揺れている(サージング)イメージ
サージング:コイルばね自身が揺れるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

特許機器は、コイルばねに衝撃や繰り返し荷重が加わると、ばね自身の固有振動が大きく励起される「サージング」が起き、概ね100Hz 以上の周波数帯で防振性能が劣化するとしています。同社は、ばねに減衰を付加する「サージレス対策」で、空気ばねと同等の高性能な防振を実現しているとしています。

出典:防振技術|特許機器

相談する前に整理すること

防振ゴム・制振材のメーカーや、振動の測定会社に相談するときは、次の条件をできるだけ具体的にそろえておくと、材料や形を絞りやすくなります。

揺れの元、重さと支え方、困っていること、使う環境、許せる大きさ、目標と確認の6つの条件を並べた図
図12 メーカーや測定会社に伝える条件
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
  • 揺れの元(モーター・ポンプ・ファンなど)と回転数(加振の周波数)
  • 機器の質量・重心の位置・支える点の数・取付け方向(床置きか吊りか)
  • 困っていること(床へ伝わる・板が鳴る・精密機器が揺れる)と、困っている周波数(わかれば)
  • 使う温度の範囲と、油・オゾン・水・屋外などの環境
  • 許せるたわみ・高さ、増やしてよい重さ、制振材を貼れる場所
  • 下げたい量(dB・伝達率)と、効果をどう測るか

この一覧は、このページの出典をもとに編集部が整理したものです。

企業紹介(防振ゴム・制振材技術)

防振ゴム・ばね・ゲル・制振材を扱う企業を、得意な種類が重ならないように選びました。自動車用の防振ゴムの専業メーカー、設備の防振装置と調査の会社、貼る・塗る制振材のメーカー、ゲルの中小メーカーを入れています。内容は各社の公式サイトで確認できる範囲です。各社が扱っている種類は、次の早見表のとおりです。

企業防振
ゴム
ばね・
空気ばね
除振台・
ゲル
制振材
(貼る)
制振
塗料
測定・
調査
特許機器防振装置・除振台●●●●
日本特殊塗料メルシート・NTダンピングコート●●
シーシーアイ住設建材ダイポルギー●●●
エクシールゲルダンパー●
丸五ゴム工業自動車用の防振ゴム●

●は、各社の公式サイトで取り扱いを確認できた種類です(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。日本特殊塗料の「制振塗料」は塗布型の制振材 NTダンピングコート、シーシーアイ住設建材の「防振ゴム」は天然ゴムの防振材 FAV、エクシールの「ゲル」はウレタンゲルの防振ダンパーです。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

特許機器株式会社|設備の防振装置・除振台と、振動の調査・測定

特許機器とは

兵庫県尼崎市に本社を置き、1969年に設立された会社です(資本金4,840万円)。事業内容は、OS式防振装置をはじめ各種防振装置・防振システム、精密機器除振システム、構造物制振システム、振動監視システムの設計・製造・販売と、振動・騒音に関する測定及びコンサルティングです。

機械を防振装置で弾性支持し、床へ伝わる力を減らす防振の構成
図13 防振装置で機械を支える構成
出典:特許機器「防振技術」の記載をもとに AI(Claude)で作成

特許機器の得意技術

技術内容
設備機器・配管・ダクトの防振OS式防振装置。床支持用の防振ユニット・スプリングパッド・ゴムパッド・丸形防振ゴムと、天吊り用の防振部材
コイルばねのサージレス対策コイルばねに減衰を付加して、概ね100Hz 以上に出るサージングを抑え、空気ばねと同等の高性能な防振を実現しているとしている
精密機器の除振台空圧アクティブ微振動制御ユニット、電子顕微鏡用の低床アクティブ除振台、デスク型・卓上型の除振台、パッシブ除振ユニット

特許機器が解決できる課題

  • 空調機器・チラーなどの振動が、床や下の階に伝わる(固体音)
  • 電子顕微鏡などの精密機器が、床の揺れで使いにくい
  • 対策の前に、振動を測って原因を知りたい(現場調査測定・シミュレーション)

公開されている実績・用途

  • 清掃工場の破砕機を空気ばねで防振した事例、水冷チラーの固体音を空気ばねで対策した事例などを公開している

出典:会社概要|特許機器、防振技術|特許機器、防振部材-床支持用途|特許機器、ナノテクノロジー対策(除振台)|特許機器、041 清掃工場破砕機の空気ばねによる防振対策事例|特許機器

日本特殊塗料株式会社|自動車の車体に貼る・塗る制振材

日本特殊塗料とは

東京都北区に本社を置き、1929年に創業した会社です(資本金47億53百万円、連結従業員1,079人)。自動車用の防音材などをつくる自動車製品事業と、塗料事業を行っています。

車体のフロアに貼られた制振材メルシート
車体のフロアに使われる制振材 メルシート(出典:制振とは|日本特殊塗料)

日本特殊塗料の得意技術

技術内容
シートの制振材 メルシートアスファルトを主原料としたシート状の粘弾性樹脂。主に車体のフロアパネルやダッシュパネルに使い、パネルの形にフィットさせて熱で融着させて取り付ける
塗布型の制振材 NTダンピングコート主にフロアパネルやトランク部に使う。複雑な形状部や垂直面・背面を効率的に制振処理できるとしている
身近な製品の制振洗濯機・流し台・事務用キャビネット、室外機、PC ケースなどの振動音を抑える防音シート「オトナシート」

日本特殊塗料が解決できる課題

  • 鋼板のパネルが鳴る・びびる(ドア閉じ音、ルーフ裏のびびり振動など)
  • 形が複雑で、シートを貼りにくい所も制振したい
  • 家電・機器のケースの振動音を、後から抑えたい

出典:会社概要|日本特殊塗料、制振とは|日本特殊塗料

シーシーアイ住設建材株式会社|高減衰の材料「ダイポルギー」の制振材・防振材

シーシーアイ住設建材とは

岐阜県関市に本社を置き、2025年4月に創立された会社です(資本金1億円)。シーシーアイグループの会社で、事業内容は住設・建材事業の開発、製造・販売です。制振・吸音材のブランド「ダイポルギー」を扱っています。

ダイポルギーFDCの損失係数の温度依存性。鋼板厚さ1mm、測定周波数160Hz
ダイポルギー FDC の損失係数の温度依存性(鋼板厚さ1mm、160Hz)(出典:ダイポルギー FDC|シーシーアイ住設建材)

シーシーアイ住設建材の得意技術

技術内容
ダイポルギーの技術高分子材料に特殊な添加剤を混練・分散して、高減衰性の材料をつくる。音・振動・衝撃のエネルギーを吸収し、熱エネルギーに変えるとしている
拘束型の制振材 FDC拘束板のアルミ箔(0.1mm)と制振材のブチルゴム(1.7mm)を重ねたシート。面密度 2.9kg/m²。曲面にも貼れ、粘着力があるので接着剤なしで施工できるとしている
防振材 FAV天然ゴム(NR)の防振材。硬度 shore A 56、引張強度 18.9MPa、厚さ10mm・100×100mm。洗濯機の騒音を測った比較のグラフを公開している

シーシーアイ住設建材が解決できる課題

  • 薄い鋼板・パネルの鳴きやびびりを抑えたい
  • 曲面の部品に、後から制振材を貼りたい
  • 機器の脚から床へ伝わる振動の音を減らしたい

公開されている実績・用途

  • 制振材・吸音フォーム・制振塗料・遮音シート・防振材をそろえている

出典:会社概要|CCI、ダイポルギーとは|シーシーアイ住設建材、ダイポルギー FDC|シーシーアイ住設建材、ダイポルギー FAV|シーシーアイ住設建材、製品情報|ダイポルギー

洗濯機の騒音測定結果。防振材なしとダイポルギーFAV厚さ10mmの騒音レベルを周波数ごとに比べたグラフ
洗濯機の騒音測定結果(防振材なしと FAV 厚さ10mm)(出典:ダイポルギー FAV|シーシーアイ住設建材)

株式会社エクシール|ウレタンゲルの防振・除振ダンパー

エクシールとは

岐阜県美濃市にある、1963年創業・1967年設立の会社です(資本金3,000万円)。事業内容は、ウレタンゲルを使用した製品の企画・開発・販売、シール・ラベル印刷、クリスタルドームの受注加工です。

機器の脚の下に置いた赤いゲルダンパー
ゲルダンパーを機器の脚の下に置いた例(出典:ゲルダンパー|エクシール)

エクシールの得意技術

技術内容
ゲルダンパーハイパーゲルを厚く成型した防振ブロック。50mm角・100mm角(厚さ25mm)の2サイズと、アスカーC15〜65 の4つの硬度で計8種類。1個あたりの適正荷重は2〜200kg
公開している値防振周波数は 23.8Hz からなど(最大荷重時の測定値。参考値で保証値ではない)。適正荷重はウレタンゲルが15%程度ひずむときの荷重。素材に方向性がなく、垂直・水平とも同等の効果としている
使えない条件60℃以上の場所では使えず、屋外では劣化が激しいため屋内で使うとしている。特注サイズやノンシリコーン仕様も受注生産で対応

エクシールが解決できる課題

  • 計測機器・精密機器が、床からの振動で計測不良になる
  • 振動する機器(3Dプリンターなど)の揺れを床に伝えたくない
  • 機器の重さに合ったダンパーを選びたい

公開されている実績・用途

  • 機器の脚に置いて計測不良が減った、3Dプリンターの床への振動が減った、などの利用者の声を掲載している

出典:会社案内|エクシール、ゲルダンパー|エクシール

ハイパーゲルの振動特性。硬度HG15からHG70までの伝達率と周波数の関係のグラフ
ハイパーゲルの振動特性(ウェイト4kg、試験片50mm角・厚さ30mm。参考データ)(出典:ハイパーゲルシート|エクシール)

丸五ゴム工業株式会社|自動車のエンジンマウント・ブッシュ

丸五ゴム工業とは

岡山県倉敷市にある、1919年創立・1954年設立の工業用ゴム部品のメーカーです(資本金96百万円、従業員数980名)。主要製品は、防振ゴム、ラバーホース、ゴム・樹脂成形品です。会社概要の主要取引先には自動車メーカーが並んでいます。

丸五ゴム工業のエンジンマウントの製品群
丸五ゴム工業のエンジンマウント(出典:防振ゴム|丸五ゴム工業)

丸五ゴム工業の得意技術

技術内容
エンジンマウント・液体封入マウントエンジンを車体に取り付ける防振ゴム。角型・円筒型など取り付け方で選べる。液体封入マウントは、ゴムと液体を併用して、エンジンやトラックのキャブの揺れを早く静めるとしている
ブッシュサスペンションブッシュ・ステアリングブッシュなど。高機能ブッシュは、上下方向の柔らかさと横方向の剛性を両立させたものとしている
その他の防振ゴムマフラーハンガー、バンプラバー、錘とゴムを組み合わせたダイナミックダンパ、ストラットマウントなど

丸五ゴム工業が解決できる課題

  • エンジンや排気管の振動・騒音を車体に伝えたくない
  • 乗り心地と走行安定性を両立させるブッシュがほしい
  • エンジンルームの高い温度に耐えるマウントがほしい

出典:会社概要|丸五ゴム工業、防振ゴム|丸五ゴム工業

使われる製品・事例

エンジンと変速機を、ゴムのエンジンマウントで車体のフレームに支えたイメージ
エンジンマウント:エンジンの揺れを車体に伝えないイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

公開されている例には、自動車のエンジンマウント・ブッシュ・マフラーハンガー(丸五ゴム工業)、車体のフロアに貼る制振材(日本特殊塗料)、オイルパンや洗濯機のボディの制振鋼板(日本製鉄)、空調機の防振吊金具(三菱電機)、破砕機・チラーの空気ばね(特許機器)、顕微鏡・電子天秤の除振台(昭和サイエンス)、電気機関車の防振ゴム(日立評論)があります。JFEテクノリサーチは、車載の防振ゴムの用途としてエンジン・ボディ・サスペンション・排気を挙げています。

出典:防振ゴム|丸五ゴム工業、制振とは|日本特殊塗料、制振鋼板 バイブレス(カタログ)|日本製鉄、防振吊金具防振計算書|三菱電機、041 清掃工場破砕機の空気ばねによる防振対策事例|特許機器、小型卓上型パッシブ除振台 PB-3040|昭和サイエンス、電気機関車用防振ゴムの特性|日立評論(1973年2月号)、車載ゴム部品の総合評価|JFEテクノリサーチ

防振ゴム・制振材とあわせて検討される技術です。

出典・確認日

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。

情報の確認日:2026年10月1日 本ページの内容は一般的な情報で、実際の性能は材料・形・荷重・使用条件により異なります。

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