駆動・伝動

モーター

ブラシレス・サーボ・ステッピングなど

モーターに関係する課題と、使える技術・製品・企業をまとめた入口です。

ブラシレスモーターの分解図。軸受付きのブラケット、磁石を貼った回転子、コイルを巻いた固定子、ハウジング、後ろのカバー
AI(ChatGPT)で生成したイメージ画像

モーターの課題から探す

課題目的困りごと
モーターの損失を減らしたい高効率化発熱を抑え、効率を上げたい
小型のまま出力を上げたい高出力化サイズを変えずにトルク・出力を高めたい
ステッピングモーターが脱調する安定駆動位置ずれや脱調を防ぎたい
レアアースを使わずに作りたい材料代替レアアースに頼らないモーターにしたい
磁石の減磁を防ぎたい(熱減磁・逆磁界・錆)信頼性高温や大きな電流で磁石が弱くなるのを防ぎたい
状態を検知したい予知保全モーターや軸受の異常を、壊れる前に見つけたい
寸法・位置の精度を上げたい高精度化モーターで動かす軸の止まる位置をそろえたい
軽くすると振動・騒音が増える静音化軽くしたら振動や音が大きくなった
エアシリンダーを電動に置き換えたい置き換えエアの電気代や位置決めの不便さを、電動シリンダーなどで解決したい
工場の電力を減らしたい(コンプレッサー・ポンプ・空調の省エネ)省エネコンプレッサー・ポンプ・ファンのモーターの電気代を減らしたい
機械の異音の原因を突き止めたい(軸受・歯車・モーター・ファン)保全モーターや機械から異音がするが、原因が分からない
ロボットの関節を小さく軽くしたい(協働ロボット・ヒューマノイド)小型・軽量化関節のモーター・減速機を薄く軽くまとめたい
防爆エリアで電気機器を安全に使いたい安全・規制可燃性ガス・粉じんのある場所で、モーターを回したい(耐圧防爆・安全増防爆)
インバーター・電源の損失と発熱を減らしたい(SiC・GaN への置き換え)省エネ・置き換えモーターを回すインバーターの損失と発熱を、SiC・GaN の素子で減らしたい
サーボ・ステッピングモーターの容量を負荷から計算して選びたい選定装置の軸に合うモーターの大きさを、負荷と動かし方から計算で決めたい

課題ごとに効く技術は、下の「課題と技術のマトリクス」にまとめています。

モーターは、電気の力を回る力に変える部品です。ファンやポンプ、ロボット、自動車まで、動くものの多くに使われています。一方で、効率・大きさ・制御のしやすさ・材料の調達のどれを優先するかで、選ぶ種類も効く技術も変わります。

このページでは、モーターでよくある課題と、それを解決する技術(電磁鋼板・磁石・駆動制御・熱対策・CAE)、種類ごとの特徴、選ぶときに確かめることをまとめ、関係する技術を持つ企業を紹介します。

モーターの企業(早見表)

企業電磁鋼板・
鉄心
磁石駆動制御熱対策CAEモーター
本体
松山精機積層鉄心の加工●
相模化学金属ネオジム磁石●
サーボランドサーボドライバ●
ユニテックカスタムモーター●●
IDAJ磁界・熱の解析●
コアレスモータコアレスブラシレス●●

●は、各社の公式サイトで確認できた得意分野です(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

モーターでよくある課題

モーターの課題は、どの部品で何が起きているかで原因が分かれます。鉄心では鉄損、巻線では銅損と発熱、磁石では熱による磁力の低下、駆動回路では電流の流し方が効いてきます。

表面磁石形のブラシレスモーターの断面図に、固定子の鉄心の鉄損、巻線の銅損と発熱、回転子の磁石の減磁とレアアース、軸受の機械損、駆動回路の役割を示した図
図1 モーターの課題と、原因になる部品
AI(Claude)で作成
課題何が起きているか主に効く技術
モーターの損失を減らしたい損失の大部分は銅損と鉄損。回転が速いほど鉄損の割合が増える電磁鋼板、駆動制御
小型のまま出力を上げたい小さくするとトルクが落ちる。回転数で補うと鉄損が増え、出力を上げると発熱が増える磁石、熱対策
ステッピングモーターが脱調する負荷や加減速に対してトルクが足りず、パルスに追いつけなくなる駆動制御
レアアースを使わずに作りたいネオジム磁石と、耐熱のための重希土類(Dy・Tb)は産地がかたよる磁石、電磁鋼板

出典:脱調レスステッピングモーターユニット ARシリーズの低損失化技術(RENGA No.170)|オリエンタルモーター、JFEスチールのHEV, EV用無方向性電磁鋼板の最近の進歩(JFE技報 No.52)|JFEスチール、第九回 ネオジム磁石を使う小型モータの高出力化の動向|ニデック、第9回 ステッピングモーターの誤動作|マブチモーターNPM、ネオジム磁石とは?特徴や課題、高性能化のポイント|プロテリアル

このほか、モーターを使う装置の課題として、「状態を検知したい」、「寸法・位置の精度を上げたい」、「軽くすると振動・騒音が増える」、「エアシリンダーを電動に置き換えたい」、「工場の電力を減らしたい」、「機械の異音の原因を突き止めたい」、「ロボットの関節を小さく軽くしたい」、「防爆エリアで電気機器を安全に使いたい」、「インバーター・電源の損失と発熱を減らしたい(SiC・GaN への置き換え)」、「サーボ・ステッピングモーターの容量を負荷から計算して選びたい」も解説しています。

課題と技術のマトリクス

よくある課題に対して、どの技術が効くかをまとめました。記号の理由と出典は表の下にあります。

よくある課題電磁鋼板(鉄心材料)磁石(磁性材料)回路・電源設計(駆動制御)加熱・冷却(熱対策)CAE(解析・最適化)
モーターの損失を減らしたい◎◎△○
小型のまま出力を上げたい○◎◎○
ステッピングモーターが脱調する◎
レアアースを使わずに作りたい◎◎○○○

◎:第一候補 ○:有効 △:条件によって有効 空欄:公開資料で直接の関係を確認できなかった組み合わせ。一般的な傾向で、効果を保証するものではありません。

記号の理由と出典

課題技術記号理由と出典
モーターの損失を減らしたい電磁鋼板(鉄心材料)◎渦電流損は板厚の2乗に比例する。0.35 mm から 0.20 mm にすると、400 Hz の鉄損が 17.2 から 11.0 W/kg に下がる。ステッピングモーターでは最大損失の94%が鉄損だった例がある(出典:JFEスチールのHEV, EV用無方向性電磁鋼板の最近の進歩(JFE技報 No.52)|JFEスチール、脱調レスステッピングモーターユニット ARシリーズの低損失化技術(RENGA No.170)|オリエンタルモーター)
モーターの損失を減らしたい回路・電源設計(駆動制御)◎ステッピングモーターのユニットで、鉄損の低減(モーター損失73%減)とドライバの改良(ドライバ損失26%減)を合わせ、損失を最大67%減らした例がある。クローズドループでは電流を負荷に合わせて発熱を抑える(出典:脱調レスステッピングモーターユニット ARシリーズの低損失化技術(RENGA No.170)|オリエンタルモーター、脱調しないステッピングモーター PULSERVO特集|マブチモーターNPM)
モーターの損失を減らしたい加熱・冷却(熱対策)△冷却は損失そのものを減らすものではない。ただし巻線の抵抗は温度で変わるので、解析では温度の影響も見る(出典:第3回 モータ詳細設計の進め方|JMAG(JSOL))
モーターの損失を減らしたいCAE(解析・最適化)○銅損・鉄損や回転数ごとの効率を、試作の前に計算して比べられる(出典:第3回 モータ詳細設計の進め方|JMAG(JSOL))
小型のまま出力を上げたい電磁鋼板(鉄心材料)○小型化で落ちるトルクを回転数で補うと、高い周波数の鉄損が増える。薄い電磁鋼板は高速域の効率を上げる(出典:JFEスチールのHEV, EV用無方向性電磁鋼板の最近の進歩(JFE技報 No.52)|JFEスチール)
小型のまま出力を上げたい磁石(磁性材料)◎最大トルクは極対数・磁石の体積・磁石の強さ((BH)max)の積で決まる。ネオジム磁石は高温で磁力が下がるので耐熱の工夫が要る(出典:第九回 ネオジム磁石を使う小型モータの高出力化の動向|ニデック、ネオジム磁石とは?特徴や課題、高性能化のポイント|プロテリアル)
小型のまま出力を上げたい加熱・冷却(熱対策)◎出力を上げると発熱が増える。発熱が大きい高出力のモーターでは、水冷・油冷が使われる(出典:モータの冷却方法|ユニテック)
小型のまま出力を上げたいCAE(解析・最適化)○磁界と熱をいっしょに解析して、磁石の温度や減磁のリスクを設計の早い段階で確かめられる(出典:モータ|JMAG(JSOL))
ステッピングモーターが脱調する回路・電源設計(駆動制御)◎脱調の対策として、高速に対応したモーターの採用、電圧を上げる、電流の調整、エンコーダで位置を見て補正するクローズドループが挙げられている。低速の振動(乱調)にはマイクロステップが使われる(出典:第9回 ステッピングモーターの誤動作|マブチモーターNPM、脱調しないステッピングモーター PULSERVO特集|マブチモーターNPM、2-4-3 ステッピングモータの特性|ニデック)
レアアースを使わずに作りたい電磁鋼板(鉄心材料)◎磁石を弱くする・なくす分を鉄心で補う。フェライト磁石とアモルファスの鉄心で IE4 に適合させた 11 kW モーターの例がある(2012年発表)(出典:レアアースを用いない産業用11kW高効率永久磁石同期モーターを開発|日立製作所)
レアアースを使わずに作りたい磁石(磁性材料)◎重希土類(Dy・Tb)を使わないネオジム磁石や、フェライト磁石で約102 kW を出す EV 用モーターの試作が公表されている(出典:EV駆動モーター用高性能重希土類フリーネオジム焼結磁石を開発|プロテリアル、「レアアースフリー」のEVモーター、フェライト磁石をプロテリアルが提案|日経クロステック)
レアアースを使わずに作りたい回路・電源設計(駆動制御)○磁石を使わない同期リラクタンスモーターは、パワーエレクトロニクスの進歩で見直されている(2010年の解説)(出典:モータの基礎と永久磁石シリーズ(9)|ネオマグ)
レアアースを使わずに作りたい加熱・冷却(熱対策)○レアアースを使わない EV 用の同期リラクタンスモーター(主駆動用はフェライト磁石を補助的に使う)で、冷却油に浸す構造でコイルの発熱の増加を抑えた例がある(出典:レアアースフリーで資源リスクを低減する新型モーターを開発|アステモ)
レアアースを使わずに作りたいCAE(解析・最適化)○フェライト磁石とアモルファスの鉄心の特性をふまえ、三次元の磁界解析・熱解析で設計した例がある(2012年発表)(出典:レアアースを用いない産業用11kW高効率永久磁石同期モーターを開発|日立製作所)

表が画面に収まらないときは、横にスクロールできます。

主な解決技術

モーターの課題を解決する代表的な技術です。技術ごとに、しくみと効き方を下で説明します。

技術概要解決できる課題
電磁鋼板(鉄心材料)薄く・電気を通しにくい鋼板で鉄損を減らすモーターの損失を減らしたいレアアースを使わずに作りたい
磁石(磁性材料)強い磁石でトルクを上げる。重希土類を減らす・使わない磁石もある小型のまま出力を上げたいレアアースを使わずに作りたい磁石の減磁を防ぎたい
回路・電源設計(駆動制御)ドライバ・インバーターの電流の流し方で、効率・振動・脱調を改善するステッピングモーターが脱調するモーターの損失を減らしたい
加熱・冷却(熱対策)巻線と磁石の温度を上限の内側に保つ小型のまま出力を上げたい
CAE(解析・最適化)磁界と熱を計算し、試作の前に性能と温度を確かめる小型のまま出力を上げたいレアアースを使わずに作りたい

電磁鋼板(鉄心材料):薄くして鉄損を減らす

厚い鋼板の鉄心では大きな渦電流が流れ、薄い電磁鋼板を重ねた鉄心では渦電流が小さく分かれているイメージ
電磁鋼板:薄い板を重ねて渦電流を小さくするイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

鉄心の中で磁束が変わると、鉄損(ヒステリシス損と渦電流損)が出ます。渦電流損は板厚の2乗と周波数の2乗に比例するので、回転が速い(周波数が高い)ほど、薄い電磁鋼板が効きます。JFE スチールの例では、0.35 mm の材料から 0.20 mm の材料にすると、1.0 T・400 Hz の鉄損が 17.2 から 11.0 W/kg に下がります。インバーターで駆動すると、正弦波で励磁したときより鉄損が大きく、板厚による差も大きくなると報告されています。

電磁鋼板の板厚0.35ミリ、0.30ミリ、0.25ミリ、0.20ミリで、1.0テスラ400ヘルツの鉄損が17.2、14.2、12.4、11.0ワット毎キログラムと下がることを示す横棒グラフ
図2 電磁鋼板の板厚と高い周波数での鉄損(JFE スチールの例)
AI(Claude)で作成

出典:JFEスチールのHEV, EV用無方向性電磁鋼板の最近の進歩(JFE技報 No.52)|JFEスチール、無方向性電磁鋼板の鉄損に及ぼすインバータ励磁の影響(JFE技報 No.52)|JFEスチール

磁石(磁性材料):強さと、熱・資源のバランス

モーターの回転子の中に V 字に埋め込んだ磁石が熱くなっているイメージ
磁石:温度が上がると磁力が下がるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

ネオジム磁石は、プロテリアルが「実用化されている最も強力な磁石」と説明する磁石で、モーターのトルクと小型化を支えています。ただし温度が上がると磁力が下がる(熱減磁)ため、耐熱が要る用途では重希土類(Dy・Tb)を加えます。相模化学金属は、ネオジム磁石の使用温度の目安を通常 80℃以下、Dy・Tb を加えた品で最大約 200℃ としています。重希土類は産地がかたよるため、結晶の粒の境界にだけ拡散させて使用量を減らす方法(プロテリアルは、従来の粒界拡散法と比べてテルビウムを約1/5 にできると記載)や、重希土類を使わない磁石の開発が進んでいます。

ネオジム磁石の使える温度の目安が通常の品で80度以下、DyやTbを加えた品で約200度までであることと、重希土類を結晶の粒の境界に集める粒界拡散のしくみを示した図
図3 ネオジム磁石の耐熱と粒界拡散
AI(Claude)で作成

出典:ネオジム磁石とは?特徴や課題、高性能化のポイント|プロテリアル、ネオジム磁石 耐熱性|相模化学金属、EV駆動モーター用高性能重希土類フリーネオジム焼結磁石を開発|プロテリアル

回路・電源設計(駆動制御):電流の流し方で決まること

ブラシレスモーターが3本の線でドライバの基板につながり、基板が電流の向きを切り替えているイメージ
駆動制御:ドライバが電流の向きを切り替えて回すイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

ブラシレスモーターは、ドライバ(インバーター回路)が電流の向きを切り替えて回します。ステッピングモーターは、速く回すほど巻線に電流が流れにくくなり、出せるトルクが下がります。必要なトルクがこの曲線を超えると、パルスに追いつけず脱調します。脱調の対策には、高速に対応したモーターを使う、電圧を上げる・電流を調整する、エンコーダで位置を見て補正するクローズドループにする、などがあります。低速で起きやすい振動(乱調)には、細かく刻むマイクロステップが使われます。

ステッピングモーターの回転速度とトルクのグラフ。脱出トルクと引き込みトルクが速度とともに下がり、曲線の内側の運転点は余裕があり、曲線の外の運転点は脱調することを示す
図4 ステッピングモーターの回転速度とトルク
AI(Claude)で作成

脱調の症状の見分け方と対策は、課題ページ「ステッピングモーターが脱調する」で詳しく解説しています。

出典:ブラシレスDCモーターとは?特徴・構造・駆動制御・用途を解説|ミネベアミツミ、2-4-3 ステッピングモータの特性|ニデック、第9回 ステッピングモーターの誤動作|マブチモーターNPM、脱調しないステッピングモーター PULSERVO特集|マブチモーターNPM

加熱・冷却(熱対策):巻線と磁石の温度を守る

水冷のジャケットを持つモーターの断面で、ハウジングの壁の中を冷却水が流れ、巻線の端が熱くなっているイメージ
冷却:巻線の温度を耐熱クラスの上限より下に保つイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

モーターの巻線の絶縁物には耐熱クラスがあり、クラスごとに使える温度の上限が決まっています(JIS C 4003:E 120℃、B 130℃、F 155℃、H 180℃ など)。一般用の三相誘導電動機では、周囲温度 40℃以下で、0.75〜37 kW の巻線の温度上昇の限度が E 75 K、B 80 K、F 105 K とされています(JIS C 4210、抵抗法)。ステッピングモーターでは、巻線 130℃以下(クラス B)、ケース中央 100℃以下を目安にする例があります。冷却方式には、自然空冷、ファンによる強制空冷、水冷、油冷があり、水冷や油冷は、出力が高く発熱が大きい EV 用などの特殊な場合に使われる方式だと解説されています。

耐熱クラスE、B、F、Hの温度120度、130度、155度、180度と、一般用の三相誘導電動機の周囲温度40度に温度上昇限度75ケルビン、80ケルビン、105ケルビンを足した温度を並べた横棒グラフ
図5 巻線の耐熱クラスと温度上昇の限度
AI(Claude)で作成

出典:耐熱クラスと温度上昇限度(JIS C 4003:2010・JIS C 4210:2010 の表)|eng-book 掲載資料、技術セミナーテキスト ステッピングモーターの基礎から使い方まで|オリエンタルモーター、モータの冷却方法|ユニテック

CAE(解析・最適化):試作の前に性能と温度を確かめる

画面に、要素に分けたモーターの断面と磁束の線が表示され、固定子の歯の先に磁束が集まっているイメージ
電磁界解析:作る前にトルク・損失・減磁を計算するイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

電磁界解析(有限要素法)では、トルク、コギングトルク、銅損・鉄損、回転数ごとの効率、磁石の減磁のリスクなどを、作る前に計算できます。損失は温度を上げ、温度は巻線の抵抗と磁石の強さを変えるため、磁界と熱をいっしょに解析して設計を詰めていきます。解析の条件の正しさと、実機とのずれを理解しておくことが大切だと解説されています。

形と材料を決め、磁界解析でトルクと損失を求め、熱解析で巻線と磁石の温度を求め、耐熱クラスと減磁を確かめ、足りなければ形や材料を変えて繰り返す流れの図
図6 CAE で性能と温度を確かめる流れ
AI(Claude)で作成

出典:モータ|JMAG(JSOL)、第3回 モータ詳細設計の進め方|JMAG(JSOL)、モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その1)|IDAJ

種類と特徴

代表的なモーターの種類と特徴です。何を制御したいか(速度か、位置か)と、使える電源で選ぶ種類が変わります。

ブラシ付きDC、ブラシレスDC、ステッピング、ACサーボ、三相誘導の5種類について、電源やドライバ、エンコーダなど動かすのに必要なものをブロック図で比べた図
図7 種類ごとの動かし方
AI(Claude)で作成
項目ブラシ付きDCブラシレスDCステッピングACサーボ三相誘導
しくみブラシと整流子で電流の向きを切り替えるドライバ(インバーター回路)で電流の向きを切り替えるパルス1つで決まった角度だけ回るエンコーダで位置・速度を測り、アンプがずれを直す交流の回転磁界につられて回転子が回る
得意な用途紙送り、玩具など単純な動き空調・家電、プリンター、工場設備、自動車部品3Dプリンター、半導体製造装置、医療機器高精度な位置決め・追従ポンプ、ファンなど汎用の動力
メリット構造が単純で安い。電圧を変えるだけで速度を変えられる寿命が長く、静かで効率がよい。低速から高速まで安定エンコーダなしで位置決めでき、システムが簡単位置・速度・トルクを高精度に制御できる構造が丈夫で、汎用の動力として広く使われる
留意点ブラシが摩耗し、交換が要る。ノイズが出る専用のドライバが要り、導入コストが高い高速でトルクが下がる。脱調・振動コストが高く、機構が複雑直入れ始動では定格の6〜8倍の電流が流れる

出典:ブラシ付DCモーターとは?原理・種類・メリット・選定を解説|ミネベアミツミ、ブラシレスDCモーターとは?特徴・構造・駆動制御・用途を解説|ミネベアミツミ、ステッピングモーターの仕組み・種類・制御・用途|ミネベアミツミ、サーボモータはどのようなモータ?|パナソニック インダストリー、サーボモータとは|ナブテスコ、三相交流かご形誘導モーターの原理・構造と運転特性|兵神装備(モーノポンプ)、JFEスチールのHEV, EV用無方向性電磁鋼板の最近の進歩(JFE技報 No.52)|JFEスチール

効率クラス(IE コード)とトップランナー制度

三相誘導電動機などの効率は、IEC 60034-30-1 の効率クラス(IE1〜IE4)で比べられます。4極・50 Hz・15 kW の最低効率は、IE1 88.7%、IE2 90.6%、IE3 92.1%、IE4 93.9% です。日本では2015年4月から、産業用の三相誘導電動機(0.75〜375 kW など)にIE3 相当のトップランナー基準が適用されています。産業用のモーターをすべて IE3 にすると、年間155億 kWh(国内の消費電力量の約1.5%)の削減が見込まれると説明されています。

4極50ヘルツ15キロワットのモーターの最低効率がIE1で88.7パーセント、IE2で90.6、IE3で92.1、IE4で93.9パーセントであることを示す横棒グラフ
図8 効率クラス IE1〜IE4 の最低効率(4極・50 Hz・15 kW)
AI(Claude)で作成

出典:IEC 60034-30-1 standard on efficiency classes for low-voltage AC motors|ABB、トップランナーモータ 2015年度スタート!!|日本電機工業会、トップランナーモータが2015年度からスタートします。|J-Net21(中小企業基盤整備機構)

選ぶときに確かめること

モーターが継手とボールねじを介して、重いおもりを載せたテーブルを直動ガイドの上で動かすイメージ
選び方:負荷のトルクと加速のトルクを足して確かめるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

モーターは、必要なトルクと回転数を、カタログのトルク特性図の内側に置けるかで選びます。加速するときは、負荷のトルクに加速のためのトルクが足されます。

トルクと回転数のグラフにモーターが出せるトルクの範囲を示し、加速するときと一定の速さで回るときの必要なトルクの点が範囲の内側にあることを示した図と、必要なトルク、回転数、特性図、慣性比の4つの確認点
図9 必要なトルクと回転数を特性図に置く
AI(Claude)で作成
  • トルク:負荷のトルク+加速のトルク。サーボでは定格トルク・瞬時最大トルク・実効トルクも
  • 回転数:機構から換算する(例:リード 20 mm のボールねじで 100 mm/s なら 300 rpm)
  • 慣性比:負荷とモーターの慣性の比が大きすぎると、動きが不安定になり、振動や行き過ぎが出る
  • 使い方:連続で回すか、動かしたり止めたりをくり返すか(定格の種類)
  • 寸法・取付:装置に収まるか、取付方法
  • 電源と制御:直流か交流か、電圧、制御したいもの(位置・速度・トルク)とドライバ
  • 使用環境:温度・湿度・振動、保護の等級(IP44 など)
  • 寿命・信頼性:巻線の耐熱クラス、軸受、ブラシの有無

出典:モーター選定の基本のき|4つのポイントを押えよう|MONO塾、サーボモータの選定|パナソニック インダストリー、技術セミナーテキスト ステッピングモーターの基礎から使い方まで|オリエンタルモーター、モーターの保護方式と冷却方式、耐熱クラスについて|兵神装備(モーノポンプ)

企業紹介(モーター技術)

モーターの技術を持つ企業を、得意分野が重ならないように選びました。内容は各社の公式サイトで確認できる範囲です。各社の得意分野は、次の早見表のとおりです。

企業電磁鋼板・
鉄心
磁石駆動制御熱対策CAEモーター
本体
松山精機積層鉄心の加工●
相模化学金属ネオジム磁石●
サーボランドサーボドライバ●
ユニテックカスタムモーター●●
IDAJ磁界・熱の解析●
コアレスモータコアレスブラシレス●●

●は、各社の公式サイトで確認できた得意分野です(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

松山精機株式会社|モーターコア(積層鉄心)の試作・加工

松山精機とは

大阪府豊中市の会社で、1971年に創業、1981年に法人化しました。ワイヤカット放電加工機やレーザー加工機を使い、モーターのコア(積層した鉄心)を作っています。

松山精機がレーザー溶接で積層したモーターコア
松山精機の電気炉による接着積層のようす

左:レーザー溶接で積層したコア、右:電気炉による接着積層(出典:積層(溶接・カシメ・接着)|松山精機)

松山精機の得意技術

技術内容
レーザー溶接積層YAG レーザーとファイバーレーザー(出力 1 kW)で溶接して積層する。細いビードで深く溶け込み、熱による歪みや変形がほとんどないと同社は説明
カシメ積層・接着積層カシメで留める方法と、接着コート材を使い電気炉で接着する方法にも対応
電磁鋼板の在庫JFE スチール・日本製鉄の電磁鋼板の銘柄を保有材料として公開している

松山精機が解決できる課題

  • 試作のモーターコアを、少ない数で作りたい
  • 積層の方法(溶接・カシメ・接着)を比べて選びたい
  • EV・HEV 用の大きなコアを溶接で積層したい

公開されている実績・用途

  • EV や HEV 用の大型コアでも溶接強度に問題はない、と同社は記載している

出典:会社概要|松山精機、積層(溶接・カシメ・接着)|松山精機、保有材料|松山精機

株式会社相模化学金属|重希土類を使わないネオジム磁石

相模化学金属とは

神奈川県相模原市の会社で、1968年に設立されました。希土類磁石の製造・販売と、磁気を応用した製品の開発を行っています。

相模化学金属の重希土フリーのネオジム焼結磁石の磁気特性マップ
重希土フリーのネオジム焼結磁石の磁気特性マップ(出典:重希土フリー材|相模化学金属)

相模化学金属の得意技術

技術内容
重希土フリーのネオジム磁石重希土類(Dy・Tb)を含まずに保磁力を保つ材料。H 材は約 120℃、SH 材は約 140℃ までの使用を想定したもの
耐熱の解説ネオジム磁石の使用温度の目安(通常 80℃以下、Dy・Tb 添加で最大約 200℃)を公開している

相模化学金属が解決できる課題

  • 重希土類を減らして、磁石の調達リスクを下げたい
  • 使う温度に合う耐熱のネオジム磁石を選びたい

出典:会社概要|相模化学金属、重希土フリー材|相模化学金属、ネオジム磁石 耐熱性|相模化学金属

サーボランド株式会社|サーボドライバと周波数応答解析

サーボランドとは

神奈川県相模原市の会社で、1969年に設立されました。創業以来、モータードライバやコントローラーなどのサーボ製品を中心に手がけています。

サーボランドの周波数応答解析ツールの画面
同社の周波数応答解析ツールの画面(出典:周波数応答解析|サーボランド)

サーボランドの得意技術

技術内容
汎用サーボドライバ MOVOリニアモーター・回転モーター・DC モーターに対応し、位置・速度・トルクを制御する
周波数応答解析オプションのツールで、ボード線図・ベクトル軌跡・FFT によるスペクトル解析を、高価な外部の計測器なしで行える
ノッチフィルタの評価仮想モーターの機能で、ノッチフィルタの効きを実機なしで試せる

サーボランドが解決できる課題

  • サーボの共振やゲインの調整を、測定器をそろえずに確かめたい
  • 機械ができる前に、フィルタの設定を試しておきたい

出典:トップページ|サーボランド、会社情報|サーボランド、周波数応答解析|サーボランド

ユニテック株式会社|カスタムモーターと冷却の提案

ユニテックとは

東京都品川区の会社で、1999年に設立されました。用途に合わせたカスタムモーターの開発・製造を行っています。

自然空冷、強制空冷、水冷、油冷の4つの冷却方式と、それぞれの特徴を並べた図
図10 ユニテックが解説しているモーターの冷却方式(同社ページの説明をもとに作成)
AI(Claude)で作成

ユニテックの得意技術

技術内容
発熱の原因の整理発熱の主な原因として、巻線の抵抗による損失(銅損)、鉄損、ドライバ、軸受の摩擦を挙げている
冷却方式の解説自然空冷・強制空冷・水冷・油冷などを、モーターの種類に合わせて解説している
冷却方法の提案モーターの使用条件に合わせた冷却方法を提案すると同社は記載

ユニテックが解決できる課題

  • 小型モーターが熱くなる原因を整理したい
  • 使い方に合う冷却方式を選びたい

出典:会社概要|ユニテック、モータの冷却方法|ユニテック

株式会社IDAJ|モーターの磁界解析と熱の解析

横浜市の CAE(解析)ソフトウェアとエンジニアリングサービスの会社です。モーターの設計に使う電磁界解析と、熱流体解析の活用方法を技術ブログで解説しています。

磁界解析で銅損と鉄損の分布を求め、損失を熱源として熱流体解析に渡し、巻線と磁石の温度を予測する流れの図
図11 IDAJ が紹介している、磁界解析から温度を予測する流れ(同社の技術ブログをもとに作成)
AI(Claude)で作成

IDAJの得意技術

技術内容
設計の段階ごとの電磁界解析概略設計・詳細設計・量産(ばらつき)の段階ごとに、JMAG による解析の使い方を解説している
磁界と熱の連成磁界解析で求めた銅損・鉄損を熱流体解析に渡し、温度を予測する
詳細設計での確認コギングトルク、減磁、損失、磁気飽和、電磁力・騒音などを確認する

IDAJが解決できる課題

  • 試作の前に、損失と温度を予測したい
  • 回転中は測りにくい磁石の温度を見積もりたい

出典:モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その1)|IDAJ、どうする!?モータの温度評価(その1)|IDAJ

コアレスモータ株式会社|鉄心のないブラシレスモーター

コアレスモータとは

神奈川県大和市の会社で、2017年に設立されました。鉄心(コア)を使わないコアレスのブラシレスモーターと、その駆動用のドライバを手がけています。

コアレスモータのコアレスブラシレスモーター CPHB80H
同社のコアレスブラシレスモーター CPHB80H(出典:コアレスブラシレスモーター|コアレスモータ)

コアレスモータの得意技術

技術内容
コアレスブラシレスモーター鉄心がないため、コギング(回転のひっかかり)がない
小型・高出力同社の比較で、標準型(CPH)は同じ体積で出力 1.8 倍・重量あたり 3.4 倍、パワーアップ型(CPHB)は同じ体積で 4.4 倍・重量あたり 5.0 倍
製品の例CPHB80H は 80×80×159 mm・2,600 g で、最大定格トルク 2.0 N·m、連続定格出力 890 W(48 V 時)。専用のドライバもそろえる

比較の対象と条件は、同社ページのグラフで示されています。

コアレスモータが解決できる課題

  • コギングをなくして、滑らかに回したい
  • 軽く小さいまま出力を上げたい

出典:会社概要|コアレスモータ、コアレスブラシレスモーター|コアレスモータ

ほかの課題の記事で紹介した企業もあわせて、モーターの企業の一覧にまとめています。困りごと・技術・地方から探せます。

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出典・参考

情報の確認日:2026年9月29日 本ページの内容は一般的な情報で、実際の性能は製品・使用条件により異なります。図はAI(Claude)で作成した概念図、冒頭の画像はAI(ChatGPT)で生成したイメージ画像です。

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