モーターのトルクが落ちた、センサーの出力が小さくなった、吸着力が弱くなった――原因を調べると、磁石の磁力が下がっていた(減磁していた)ということがあります。ネオジム磁石は強力ですが、熱や逆向きの磁界、錆、衝撃で磁力を失うことがあります。
減磁には、温度が戻れば元に戻るものと、戻らないものがあります。この記事では、本当に減磁したか、元に戻るか、いつ・どこで弱くなったかで原因を切り分ける流れを示し、原因ごとの対策と、相談できる企業を紹介します。
いつ・どこで弱くなったかで切り分ける
まず、着磁のしかたと測り方が同じかを確かめ、本当に減ったかを見ます。次に、常温に戻すと元に戻るかを見ます。戻らないときは、使った温度・流した電流の記録と、磁石の表面を見て原因をしぼります。

出典:相模化学金属「減磁」・ネオマグ「不可逆減磁」・JSOL「SPM モーターの減磁解析」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
原因は1つとは限りません。高い温度と大きな電流が同時にかかると減磁しやすく、錆や割れも重なります。条件を1つずつ変えて、どれで磁力が下がるかを記録すると、効いている原因がわかります(編集部の整理)。
原因ごとの見分け方と対策
原因(A〜E)ごとに、起きている現象、解決に使える技術、選ぶときの注意、相談できる企業をまとめました。
高い温度にさらされた後に弱くなった:熱減磁
モーターを高温で回した後、常温に戻してもトルクや誘起電圧が元に戻らない。夏場や連続運転のあとから弱くなった。
- 起きている現象
- 磁石は温度が上がると磁力が下がり、温度が戻れば戻る分(可逆減磁)と、戻らない分(不可逆減磁)があります(相模化学金属の解説)。ネオジム磁石は高温で不可逆減磁が起き、起きる温度は80℃から200℃までとされます(ニューマグの解説)。温度が上がると保磁力が下がり、動作点が減磁曲線の折れ曲りより下に入るためです(ネオマグの解説)。
- 解決に使える技術
- 耐熱グレード・材質を選ぶ保磁力の大きいグレード・サマコバ
- 磁石を厚くする・形を見直すパーミアンス係数を上げる
- 電磁界解析で前もって調べる温度と電流を重ねて
メーカーが示す使用温度は、決まった形の磁石の値です。ネオマグの表は φ10×5mm の円柱、相模化学金属の重希土フリー磁石のマップはパーミアンス係数2の値で、同じグレードでも薄い磁石はもっと低い温度で減磁します。実際の形で確かめます。
大きな電流・ロック・短絡の後に弱くなった:逆磁界による減磁
起動や急加速、ロック、短絡のような大きな電流が流れた後から、トルクが落ちた。特定の極だけ弱い。
- 起きている現象
- モーターに大きな電流を流すと、コイルの磁界(電機子反作用)が磁石に逆向きの磁界としてかかり、減磁することがあります(JSOL の解析事例)。電流を大きくするほど、減磁する範囲も減磁率も大きくなります(同)。磁石どうしの N極と N極を近づけることでも減磁が起きます(相模化学金属の解説)。
- 解決に使える技術
- 電磁界解析で前もって調べる最大の電流・最高の温度で
- 耐熱グレード・材質を選ぶ保磁力に余裕を持たせる
- 磁石を厚くする・形を見直す動作点を屈曲点から離す
逆磁界と高温が重なると、それぞれ単独のときより減磁しやすくなります。JSOL の解析例では、高温と逆磁界が重なって動作点が膝点を越え、60℃に戻しても平均トルクは16%低いままでした。最大の電流と最高の温度を同時に見ます。
表面が錆びて弱くなった:腐食
屋外や湿気の多い所で使ううちに、磁石の表面に錆が出て、磁力も落ちてきた。めっきがはがれている。
- 起きている現象
- ネオジム磁石は錆びやすく、めっきをかけて使います(マグテックの製品ページ)。錆びると磁石の中から壊れて減磁します(相模化学金属の解説)。マグファインは、通常のニッケルめっきを屋外で使うとすぐ錆びると説明しています。
- 解決に使える技術
- めっき・コーティングを選ぶ塩水噴霧・PCT の時間で比べる
- 組立で傷付けない被膜の傷・欠けから錆びる
被膜の性能は、塩水噴霧試験や PCT(プレッシャークッカー試験)の時間で比べます。マグファインの表では、ニッケル4時間に対し、エポキシ MF304 は500時間超、亜鉛ニッケル合金は720時間超です。接着で固定するなら、接着剤との相性も確かめます(編集部の整理)。
割れ・欠けがある:衝撃・取り扱い
組立のときに磁石が欠けた、割れていた。欠けた磁石を使っていたら、その極だけ弱い。
- 起きている現象
- ネオジム磁石は焼き固めて作るため衝撃に弱く、強い磁力で勢いよく吸着したときの衝撃で割れることがあります(国民生活センター)。サマリウムコバルト磁石も脆く欠けやすい磁石です(相模化学金属の解説)。衝撃でも磁力が落ちることがあります(同)。
- 解決に使える技術
- 組立の扱いを見直す勢いよく吸着させない
- めっき・コーティングを選ぶ内部応力の小さいめっき
清川メッキ工業は、銅の柔らかさで製品の内部応力を和らげる2層めっきや、低応力の無電解めっきを公開しています。欠けた磁石は、磁力のばらつきや錆のもとになるので、組み込む前に外して使わないようにします(編集部の整理)。
もともと弱い・比べ方が違う:着磁不足・測り方
新品のときから想定より弱い。2つの測定器、または納入先と自社で値が合わない。
- 起きている現象
- 磁石は、決まった強さ以上の磁界をかけて着磁しないと本来の力を出せません。日本電磁測器は、着磁に必要な磁界をNdFeB 系焼結磁石で30kOe、フェライトで10kOeとしています。測り方でも値は変わり、ガウスメーターは表面の磁束密度を、フラックスメーターは磁石の磁束量を測ります(アクタスの解説)。
- 解決に使える技術
- 着磁の条件を確かめる必要な磁界・電流
- 測り方をそろえる器具・位置・温度
ネオジムは同じコイルでフェライトの3倍の電流(27kA)が要るという例があります(日本電磁測器)。減磁したかを確かめる前に、着磁の条件と、測る器具・位置・温度が前と同じかを確かめます。
なぜ磁石は減磁するのか
減磁曲線と動作点:屈曲点を下回ると戻らない
磁石の性質は、逆向きの磁界をかけたときの磁束密度の下がり方を表す減磁曲線で表します(ヒステリシス曲線の第2象限。ニデックの用語解説)。磁石は自分の磁界の影響も受けていて、磁石の形で決まる線(パーミアンス係数)と減磁曲線が交わる点が、その磁石の動作点です(ネオマグの解説)。

出典:ニデック「減磁曲線」・ネオマグ「不可逆減磁」・ネオマグ「磁気特性の温度変化」・JSOL「SPM モーターの熱減磁解析」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
逆向きの磁界を大きくしていくと、磁束密度が急に下がり始める点(屈曲点)があります(ニデックの用語解説)。温度の変化で動作点がこの折れ曲りより下に移ると、温度が戻っても元に戻らず減磁します。ネオマグは、ネオジムは120℃、フェライトは−60℃で折れ曲りに達する例を示しています。
可逆減磁と不可逆減磁
高温に移すと磁力が落ちても、常温に戻すと回復するのが可逆減磁、常温に戻しても回復しないのが不可逆減磁です(相模化学金属の解説)。不可逆減磁には、温度の変化ですぐ起きる初期減磁と、時間とともに徐々に磁化が劣化する経時変化があり、錆や加工のひずみも経時変化の要因です(ネオマグの用語集)。

出典:相模化学金属「ネオジム磁石の特徴」・JSOL「SPM モーターの熱減磁解析」をもとに AI(Claude)で作成
JSOL の JMAG の解析例では、SPM モーターの磁石を60℃→140℃→60℃にすると、60℃に戻しても平均トルクは元より16%低いままでした。高温と逆磁界が重なり、動作点が膝点を越えたためです。
磁石の種類で、温度への強さが違う
磁石の磁力(残留磁束密度)は温度が上がると下がり、1℃あたりの変化はネオジム−0.12%、サマリウムコバルト−0.05%、フェライト−0.18%、アルニコ−0.02%です(ニューマグの解説)。ネオジムは高温で、フェライトは保磁力が下がる低温で不可逆減磁が起きることがあります(同)。

出典:ニューマグ「何℃から磁力の不可逆減磁が発生するか」・相模化学金属「減磁」・相模化学金属「永久磁石」をもとに AI(Claude)で作成
磁力を完全に失うキュリー温度は、ネオジム約300℃、サマリウムコバルト約700℃、アルニコ約750℃です。磁力が下がり始める使用温度とは別で、使用温度は材質・寸法・形状で変わります(相模化学金属の解説)。
計算例:温度で一時的に下がる分を見積もる
温度係数を使うと、温度が上がったときに一時的に下がる(可逆の)分を見積もれます。20℃から100℃に上がると、ネオジム磁石は −0.12%/℃ × 80℃ = 約9.6%磁力が下がります(編集部の計算。温度係数を一定とした目安)。

出典:ニューマグ「何℃から磁力の不可逆減磁が発生するか」と編集部の計算をもとに AI(Claude)で作成
この分は温度が戻れば戻りますが、モーターのトルクや吸着力が熱いときの磁力で足りるかは確かめておきます。グレードや形が合っていないと、これに戻らない分が加わります。
出典:何℃から磁力の不可逆減磁が発生するか|ニューマグ、減磁|相模化学金属、永久磁石|相模化学金属、ネオジム磁石の特徴|相模化学金属、不可逆減磁(磁石用語集)|ネオマグ、磁気特性の温度変化(熱減磁、低温減磁)|ネオマグ、減磁曲線|ニデック、ネオジム磁石|マグテック、[JAC120] SPM モーターの熱減磁解析|JMAG
対策の詳しい内容
耐熱グレード・材質を選ぶ
ネオジム磁石には、保磁力(Hcj)の大きさで分けたグレードがあり、保磁力が大きいほど高い温度まで使えます。ネオマグの特性表では、標準の N 系は75〜90℃、SH 系は150〜160℃、EH 系は205〜210℃が使用可能温度です(φ10×5mm の円柱の場合)。

出典:ネオマグ「ネオジム磁石の磁気特性」・相模化学金属「ネオジム磁石 耐熱性」をもとに AI(Claude)で作成
ネオジム磁石は80℃以下で使うのが一般的で、ジスプロシウム(Dy)・テルビウム(Tb)を加えて保磁力を上げると、最大で約200℃まで使えます(相模化学金属の解説)。さらに高い温度では、耐熱温度約300℃のサマリウムコバルト磁石を使う方法もあります(マグファイン)。

出典:相模化学金属「ネオジム磁石 耐熱性」・相模化学金属「重希土フリー材」・JST(2014年3月26日の発表)・JST news 2019年7月号をもとに AI(Claude)で作成
Dy・Tb は産地が限られる希少な金属で、ハイブリッド車のモーター用の磁石では耐熱のため Dy を約8%使っていました(JST の2014年の発表)。そのため、結晶の粒の境界から Dy を拡散させて少ない量で保磁力を上げる方法が実用化され(JST news 2019年7月号)、Dy を使わない磁石の開発も進んでいます。
磁石を厚くする・形を見直す
同じ材質でも、磁化の向きに薄い磁石ほどパーミアンス係数が小さく、動作点が屈曲点に近いので減磁しやすくなります。ネオマグは、磁化方向の厚みを大きくしてパーミアンス係数を大きくして使うことを対策に挙げています。

出典:ネオマグ「不可逆減磁」・相模化学金属「減磁」・ネオマグ「ネオジム磁石の磁気特性」・相模化学金属「重希土フリー材」の磁気特性マップをもとに AI(Claude)で作成
マグファインは、70℃で約10%減磁したという相談に、減り方は磁石の材質や寸法(磁石に加わる反磁界の大きさ)で違い、グレードが低いのではと答えています。グレードを上げるか形を変えるかは、必要な磁力・スペース・費用を比べて決めます(編集部の整理)。
電磁界解析で前もって調べる
モーターの磁石の減磁は、電磁界解析で試作の前に調べられます。JSOL の JMAG の事例では、有限要素法で磁石の各点の動作点とパーミアンス係数の分布を求め、膝点を超えた所を減磁と判定しています。

出典:JSOL「SPM モーターの減磁解析」・JSOL「SPM モーターの熱減磁解析」をもとに AI(Claude)で作成
解析では、起動・ロック・短絡など最も大きな電流が流れる条件と、最も高い磁石の温度を重ねて確かめます。回転中は鉄損・銅損で磁石の温度が上がるので(JSOL の解析事例)、磁石の温度を見積もる熱の解析と組み合わせると確かになります(編集部の整理)。
めっき・コーティングを選ぶ
ネオジム磁石の錆を防ぐには、使う環境に合う被膜を選びます。マグファインの比較表では、塩水噴霧の時間はニッケル4時間、Ni-Cu-Ni の3層48時間超、エポキシ MF304 500時間超、亜鉛ニッケル合金720時間超です。

出典:マグファイン「磁石のコーティング性能比較」・マグファイン「ネオジム磁石を外で使ったらすぐ錆びた」をもとに AI(Claude)で作成
清川メッキ工業は、Cu+Ni の2層めっきで腐食電位の原理を使って腐食の速さを抑え、銅の柔らかさで内部応力を和らげています。被膜は、膜厚が寸法に効くこと、モーターに接着するなら接着剤との相性、真空や高温などの環境にも合わせて選びます(編集部の整理)。
組立の扱いを見直す
焼結磁石の割れ・欠けは、組立のときの扱いで多くが防げます。国民生活センターは、ネオジム磁石を勢いよく吸着させない・落とさないことを呼びかけています。治具で位置を決め、ゆっくり近づけて組み付けます(編集部の整理)。

出典:国民生活センター「吸着により破損した磁石」・相模化学金属「減磁」・相模化学金属「永久磁石」・清川メッキ工業「磁石へのめっき」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
着磁の条件を確かめる
着磁の磁界が足りないと、磁石は本来の力を出せません。日本電磁測器は、着磁に必要な磁界を、アルニコ10kOe 程度、フェライトは保磁力の約3倍、NdFeB 系焼結磁石30kOe、SmFeN 40kOeとしています。

出典:日本電磁測器「モータ用磁石と着磁」・日本電磁測器「マグ研 Vol.1」・日本電磁測器「BH カーブトレーサー」をもとに AI(Claude)で作成
同じコイルでも、フェライトは2000µF・1000V・9kA、ネオジムは2000µF・3000V・27kA の例があり、ネオジムには大きな電流が要ります(日本電磁測器)。磁石の材質やグレードを変えたら、着磁の条件も合わせて見直します。
測り方をそろえる
ガウスメーターはホール効果を使って磁束密度(T・G)を測り、フラックスメーターはサーチコイルと組み合わせて磁束量(Wb・Mx)を測ります(アクタスの解説)。何を測っているかが違うので、違う器具の値は比べられません。

出典:アクタス「磁石製品の測定方法」・日本電気計器検定所「磁気の校正」・日本電磁測器「BH カーブトレーサー」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
減磁したかを確かめるときは、同じ器具・同じ位置・同じ温度で新品と比べます。ガウスメーターと磁束計は、日本電気計器検定所(JEMIC)で校正を受けられます。材料の保磁力まで確かめるには、BH カーブトレーサーで減磁曲線を測ります(日本電磁測器)。
出典:ネオジム磁石の磁気特性|ネオマグ、不可逆減磁(磁石用語集)|ネオマグ、ネオジム磁石 耐熱性|相模化学金属、重希土フリー材|相模化学金属、耐熱温度の高い磁石がほしいです|マグファイン、70℃で約10%減磁しました|マグファイン、磁石のコーティング性能比較|マグファイン、磁石へのめっき|清川メッキ工業、Dy フリーで高保磁力の磁石を実証(2014年3月26日)|JST、保磁力の謎を明らかに(JST news 2019年7月号)|JST、[JAC034] SPM モーターの減磁解析|JMAG、吸着により破損した磁石|国民生活センター、モータ用磁石と着磁|日本電磁測器、マグ研 Vol.1|日本電磁測器、BH カーブトレーサー|日本電磁測器、磁石製品の測定方法|アクタス、標準磁石・ガウスメータ・磁束計の校正|日本電気計器検定所
磁石の減磁を相談できる企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。耐熱グレードの磁石、錆を防ぐめっき・コーティング、着磁と測定、減磁の解析の会社を挙げました。
ネオマグ株式会社|グレードの選び方と減磁のしくみを公開する、ネオジム磁石・サマコバ磁石の加工と販売
ネオマグとは
ネオマグは、東京都江戸川区に本社がある、永久磁石の加工と販売の会社です(1995年設立)。ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石などを、在庫品と特注品の両方で扱っています。
ネオマグの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| グレードの一覧 | ネオジム磁石の特性表で、N 系(標準)75〜90℃、H 系120〜130℃、SH 系150〜160℃、UH 系180〜190℃、EH 系205〜210℃の使用可能温度と、Br・Hcj などを公開。温度は φ10×5mm の円柱の場合で、形やサイズで変わると注記している |
| 減磁のしくみの解説 | 不可逆減磁を、初期減磁(温度の変化で動作点が B-H 曲線の折れ曲りより下に移る)と経時変化に分けて説明。ネオジムは120℃、フェライトは−60℃で折れ曲りに達する例を示す |
| 対策の考え方 | Hcj・Hcb が十分大きな材質を選ぶか、磁化方向の厚みを大きくしてパーミアンス係数を大きくして使う。錆や加工ひずみも経時変化の要因で、めっきなどの防錆で実用上ほぼ問題なくなっていると説明している |
画像は、公開されている内容をもとに編集部が図にしました(記事の図「ネオジム磁石のグレードと使用可能温度の例」)。
ネオマグが解決できる課題
- 使う温度に合うネオジム磁石のグレードを選びたい
- 薄い磁石が高温で減磁するので、形と材質を見直したい
- 特注の寸法の磁石を手配したい
出典:会社概要|ネオマグ、ネオジム磁石の磁気特性|ネオマグ、不可逆減磁(磁石用語集)|ネオマグ、磁気特性の温度変化(熱減磁、低温減磁)|ネオマグ
株式会社相模化学金属|耐熱グレードから重希土フリー材までそろえる、ネオジム磁石のメーカー
相模化学金属とは
相模化学金属は、神奈川県相模原市に本社がある、ネオジム磁石などの永久磁石のメーカーです。磁石の性質や減磁について、一般向けの解説も公開しています。
相模化学金属の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 耐熱グレード | ネオジム磁石は80℃以下で使うのが一般的で、ジスプロシウム(Dy)・テルビウム(Tb)を加えて保磁力を上げると、最大で約200℃まで使えると説明。耐熱の温度は実際の磁石の寸法で変わるとしている |
| 重希土フリー材 | Dy・Tb・Ho を使わず、粉末を0.5〜1µm 細かくするなどで保磁力を保ったネオジム焼結磁石。H 材は約120℃、SH 材は約140℃の目安(UH・EH は開発中) |
| 減磁の解説 | 減磁の原因として、外部の磁界(N極どうしを近づけるなど)、熱、自分の磁界による自己減磁を挙げ、錆や衝撃でも減磁するとしている。キュリー温度はネオジム約300℃、サマコバ約700℃、フェライト約450℃ |
相模化学金属が解決できる課題
- 80℃を超える所で使えるネオジム磁石がほしい
- Dy・Tb を使わない磁石で、供給の不安を減らしたい
- 磁石が弱くなった原因の見当をつけたい

出典:相模化学金属「重希土フリー材」
出典:会社案内|相模化学金属、ネオジム磁石 耐熱性|相模化学金属、重希土フリー材|相模化学金属、減磁|相模化学金属
株式会社マグファイン|塩水噴霧500時間超のエポキシなど、錆びにくいコーティングをかける磁石メーカー
マグファインとは
マグファインは、埼玉県越谷市に本社がある、磁石の製造販売とコーティング加工の会社です(1987年設立)。越谷市に工場があり、磁気設計の開発も行っています。
マグファインの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| コーティングの比較 | 同社の表で、塩水噴霧の時間はニッケル4時間、Ni-Cu-Ni の3層48時間超、エポキシ MF304 500時間超、亜鉛ニッケル合金720時間超。PCT は MF304・MF305 が100時間超 |
| 屋外での防錆 | 通常のニッケルめっきは屋外ですぐ錆びるとし、中性塩水噴霧試験(5%塩化ナトリウム、35℃、JIS Z2371)で0・72・312・504時間の比較の写真を公開している |
| 耐熱の磁石 | ネオジム磁石の耐熱温度(80℃)以上で使うなら、耐熱温度約300℃のサマリウムコバルト磁石をすすめている |
画像は、公開されている内容をもとに編集部が図にしました(記事の図「磁石の表面処理と塩水噴霧試験の時間の例」)。
マグファインが解決できる課題
- 屋外・湿気の多い所で、磁石の錆を防ぎたい
- ニッケルめっきより錆びにくい被膜にしたい
- 80℃を超える所で使う磁石を選びたい
出典:会社概要|マグファイン、磁石のコーティング性能比較|マグファイン、ネオジム磁石を外で使ったらすぐ錆びた|マグファイン、耐熱温度の高い磁石がほしいです|マグファイン
清川メッキ工業株式会社|ネオジム磁石のめっきを1991年に量産化した、Cu+Ni の2層めっき
清川メッキ工業とは
清川メッキ工業は、福井県福井市に本社がある、めっき加工の会社です(1963年創業)。電子部品、マグネット、半導体ウエハなどに、電解めっき・無電解めっきをかけています。
清川メッキ工業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 磁石へのめっき | 1991年に、世界で初めて Nd 系磁石のめっきの量産化に成功したと説明。磁石の表面の損傷を抑えながら、密着性の高いニッケルめっきをかける |
| Cu+Ni の2層めっき | 腐食電位の原理を使って腐食の速さを抑え、銅の柔らかさで製品の内部応力を和らげて耐久性を上げる |
| 用途に合わせた組み合わせ | 無電解の銅/ニッケルは低応力・低磁性、電解ニッケルと電解の銅/ニッケルは耐食性・耐熱性・抗折強度の向上に対応する |
清川メッキ工業が解決できる課題
- ネオジム磁石の錆を、めっきで防ぎたい
- めっきの内部応力を小さくして、磁石の耐久性を上げたい
- 磁石の耐熱性・抗折強度を上げたい

出典:清川メッキ工業「磁石へのめっき」
出典:会社概要|清川メッキ工業、磁石へのめっき|清川メッキ工業
日本電磁測器株式会社|着磁装置から BH カーブトレーサーまで、着磁と磁気の測定
日本電磁測器とは
日本電磁測器は、東京都立川市に本社がある、着磁・脱磁の装置と磁気の測定器のメーカーです(1953年設立)。技術解説「マグ研」で、着磁の考え方を公開しています。
日本電磁測器の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 着磁に必要な磁界 | 必要な磁界の目安を、アルニコ10kOe 程度、フェライトは保磁力の約3倍、NdFeB 系焼結磁石30kOe、SmFeN 40kOe としている |
| コンデンサー式の着磁 | 同じコイルで、フェライトは2000µF・1000V・9kA、ネオジムは2000µF・3000V・27kA の例を示す。着磁ヨークには1000〜5000V・5〜40kA を流すので、耐電圧・耐発熱・耐振動に注意して設計する |
| BH カーブトレーサー | 直流式の6700BH(最大1.59MA/m)、パルス式の PBH-1000(最大9.57MA/m、室温〜200℃)、超電導コイルの SBH-1000(最大4.78MA/m、室温〜200℃)などで、Br・HcB・HcJ・(BH)max を測る |
画像は、公開されている内容をもとに編集部が図にしました(記事の図「着磁に必要な磁界と、磁石の特性を測る装置」)。
日本電磁測器が解決できる課題
- ネオジム磁石を、着磁不足なく着磁したい
- 磁石の減磁曲線(保磁力)を、温度を変えて測りたい
- 受け入れた磁石の特性がグレードどおりか確かめたい
出典:会社情報|日本電磁測器、モータ用磁石と着磁(マグ研 Vol.3)|日本電磁測器、マグ研 Vol.1|日本電磁測器、BH カーブトレーサー|日本電磁測器
株式会社JSOL|電磁界解析ソフト JMAG で、モーターの磁石の減磁を前もって調べる
JSOLとは
JSOL は、東京都千代田区に東京本社がある、システム開発とエンジニアリングの会社です。電磁界解析ソフト JMAG を開発・販売し、解析の事例集を公開しています。
JSOLの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 逆磁界による減磁の解析 | SPM モーターで、大きな電流を流すと磁石に逆磁界がかかって減磁することを解析。電流を大きくすると、減磁する範囲と減磁率が大きくなることを、減磁率の分布と誘起電圧の波形で示す |
| 熱減磁の解析 | 磁石を60℃→140℃→60℃にした例で、60℃に戻しても平均トルクは元より16%低い。動作点が膝点を越えて不可逆減磁が起き、元の B-H 曲線に戻らないことを確かめている |
| 動作点での判定 | 有限要素法で磁石の各点の動作点とパーミアンス係数の分布を求め、膝点を超えるかで減磁を判定する |
画像は、公開されている内容をもとに編集部が図にしました(記事の図「電磁界解析で減磁を前もって調べる」)。
JSOLが解決できる課題
- 試作の前に、最大電流で磁石が減磁しないか確かめたい
- 高温で使うモーターの磁石の、厚みとグレードを決めたい
- 減磁したモーターのトルクの低下を見積もりたい
出典:東京本社|JSOL、[JAC034] SPM モーターの減磁解析|JMAG、[JAC120] SPM モーターの熱減磁解析|JMAG
選ぶ前に確かめる条件
磁石を選び直す前、またはメーカーに相談する前に、次のことを整理しておくと話が早く進みます。
- 磁石の材質・グレード・寸法(特に磁化の向きの厚み)と、着磁の方法
- 使う温度の範囲(最高・最低)と、その温度にさらされる時間
- モーターなら、最大の電流(起動・ロック・短絡)と、そのときの磁石の温度
- 使う環境(湿気・屋外・薬品・真空)と、今の表面処理
- 減磁を確かめた方法(器具・位置・温度)と、新品のときの値
- 許される磁力の低下(何%まで)と、寸法・重さ・費用の制約
関連する課題
この課題に関係する分野・技術・製品のページ
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・設備ではありません。
情報の確認日:2026年10月7日
