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PLC(しくみ・ラダー・シーケンサとの違い・選び方)

PLC(プログラマブルロジックコントローラ、プログラマブルコントローラ)は、センサーやスイッチの信号を取り込み、プログラムに従って、モーター・電磁弁・ランプなどの出力を順番に動かす、工場向けの制御用コンピューターです。

PLC(しくみ・ラダー・シーケンサとの違い・選び方)
7件解決できる課題
5社紹介している企業
27点図と写真
28件出典

PLC(しくみ・ラダー・シーケンサとの違い・選び方)

扉を開けた制御盤の中に、DIN レールに並んだ電源、CPU、4つの入出力ユニットと、その下のリレーと端子台。左のノートパソコンの画面にはラダー図、右のコンベヤの上の箱に光電センサーの光が当たり、端のモーターとセンサーのケーブルが制御盤につながるイラスト(AI で生成したイメージ)

開発・評価を速く確かに品質の安定コストダウン安全・規制・環境対応制御IoT計測・制御制御(位置・力)センサーモーター産業機械・ロボット自動車・モビリティ

PLC(プログラマブルロジックコントローラ、プログラマブルコントローラ)は、センサーやスイッチの信号を取り込み、プログラムに従って、モーター・電磁弁・ランプなどの出力を順番に動かす、工場向けの制御用コンピューターです。日本では「シーケンサ」とも呼ばれます(三菱電機の製品の呼び名が広まったもの。編集部の補足)。もともとは、リレーを配線して組んだ制御盤を置き換えるために生まれました。いまは、搬送・組立・加工の機械から、ロボットの設備、加速器のような研究施設まで使われています。

このページでは、PLC のしくみ(スキャン)、プログラムの言語とラダーの基本、入出力の配線と通信、選び方、安全とセキュリティ、トラブルと更新・事例、相談できる会社までをまとめました。制御のしかた(PID・サーボの位置決め)は技術「PID制御・モーション制御」に、ロボットは技術「産業用ロボット」にあります。

知りたいことから読む

症状から探す

症状考えられる原因対策を書いた所
センサーの信号が入らないシンク・ソースの合わせ違い・電源DC 入力のシンクとソース
短いパルスを読み落とすスキャンタイムより短い信号スキャン:入力→演算→出力をくり返す
ときどき誤作動するノイズ・配線の分け方・接地よくあるトラブルと、まず見るところ
出力が切れない・リレーが早く傷む出力の種類と負荷が合っていない出力の種類(リレー・トランジスタ)
古い PLC が壊れて修理できない生産終了・修理の受付の終了古い PLC の更新
工場のネットワークからの攻撃が心配制御系と事務系がつながっているサイバー攻撃への備え

リンクを押すと、対策を書いた所へ移ります。

目次

PLC とは(基本)

リレー盤を置き換えるために生まれた

Wikipedia(英語版)によると、1968年に GM(ゼネラルモーターズ)の Hydramatic 部門が、配線で組んだリレーの論理を電子式に置き換える装置の提案を募りました。これに応えて Bedford Associates の Dick Morley らがつくった Modicon 084 が、最初の PLC とされています。リレー盤では、動きを変えるたびに配線をやり直す必要がありました。PLC では、入出力の配線はそのままで、プログラムを書き換えれば動きを変えられます(編集部の補足)。

出典:Programmable logic controller|Wikipedia(英語版)

中のつくり:電源・CPU・入出力・通信

国際規格 IEC 61131 は、PLC とその周辺(プログラムをつくる装置や操作画面)を、機械や工業プロセスの制御に使うものとして扱っています(IEC 61131-1)。PLC は、電源・CPU(プログラムを実行する)・入力・出力・通信のユニットでできています。ベースや DIN レールにユニットを並べて点数や機能を足す「拡張型(ビルディングブロック型)」と、電源・CPU・入出力を1つの箱に入れた「一体型(パッケージ型)」があります(編集部の補足)。

入力機器から、電源、CPU、入力、出力、通信のユニットが並ぶPLCを通って、出力機器へつながる模式図
図1 PLC の構成
出典:IEC 61131-1 の範囲・各社の製品の構成をもとに AI(Claude)で作成

出典:IEC 61131-1:2003 Programmable controllers – Part 1: General information|IEC Webstore

スキャン:入力→演算→出力をくり返す

PLC は、入力の状態をまとめて読み込み、プログラムを先頭から最後まで実行し、出力をまとめて書き込む、という1周(スキャン)を、電源が入っているあいだくり返します。1周にかかる時間がスキャンタイムで、Wikipedia(英語版)は、典型的には数十ミリ秒で、速い信号はカウンタやタイミング専用のユニットで扱う、としています。スキャンタイムより短い信号は読み落とすことがあるので、割込み入力・高速カウンタなどで受けます(編集部の補足)。横河電機の FA-M3V は、通常のスキャンとは別にもう1つのスキャン(入力→プログラム実行→出力)を回し、200μs の入出力応答を安定して得られるとしています(同社の説明)。

入力の読み込み、プログラムの演算、出力の書き込みの3つを矢印で回る円で示したスキャンの模式図
図2 スキャンのしくみ
出典:Wikipedia(PLC)のスキャンの説明・横河電機のセンサコントロールの説明をもとに AI(Claude)で作成

出典:Programmable logic controller|Wikipedia(英語版)、シーケンスCPUモジュール F3SP□□|横河電機

どれくらい速いか

命令1つの処理時間は、メーカーの仕様では ns(ナノ秒)の単位です。三菱電機の MELSEC iQ-R の R32CPU は基本命令(LD X0)0.98ns、キーエンスの KV-8000 は基本命令で最小 0.96ns としています。ただし、スキャンタイムはプログラムの長さ・命令の種類・通信の量で決まるので、命令の速さの数字だけで、機械の応答の速さは決まりません(編集部の補足)。

出典:MELSEC iQ-R R32CPU 特長|三菱電機 FA 製品情報、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス

プログラムの言語(IEC 61131-3)

LD・FBD・SFC・IL・ST の違い

IEC 61131-3 は、図で書く3つ(LD:ラダー図、FBD:ファンクションブロック図、SFC:シーケンシャルファンクションチャート)と、文で書く2つ(IL:命令リスト、ST:構造化テキスト)の言語を決めています。MONOist の解説は、ラダー図はリレーシーケンスの回路に似ていて日本の制御の開発で最も使われ、ビット単位の処理に向くかわりに、大規模になると構造が追いにくいとしています。FBD は DCS(分散制御システム)に慣れた技術者に使われてきたとしています。Wikipedia(英語版)は、IL は第3版(2013年)で非推奨になったとしています。

言語書き方特徴・向く処理
LD(ラダー図)リレー回路のような図電気の人に読みやすい。日本の現場で多く使われる
FBD(ファンクションブロック図)機能のブロックを線でつなぐプロセス・安全回路で使う
SFC(シーケンシャルファンクションチャート)工程(ステップ)と移る条件順番に進む動作に向く
ST(構造化テキスト)Pascal に似た文で書く計算・条件分岐・繰り返し、データ処理に向く
IL(命令リスト)アセンブラに似た文第3版(2013年)で非推奨になった

言語の名前と分け方は IEC 61131-3 による。1つのプロジェクトの中で部品ごとに言語を選べる(対応はメーカーによる)。対応する言語は機種・ソフトで確かめてください。

出典:IEC 61131-3の5つのプログラミング言語|MONOist(2013年12月10日)、IEC 61131-3|Wikipedia(英語版)

MONOist の解説は、規格はメーカーにすべての言語への対応を求めていないとしています。使える言語は機種と開発ソフトで違うので、カタログで確かめます。キーエンスの KV-8000 は IEC 61131-3 準拠・ST 言語に対応し、三菱電機の MELSEC iQ-R のプロセス CPU は ST 言語の命令の処理時間も仕様に載せています。

出典:IEC 61131-3の5つのプログラミング言語|MONOist(2013年12月10日)、KV-8000 シリーズ|キーエンス、MELSEC iQ-R プロセスCPU|三菱電機

ラダーの基本:a接点・b接点・コイル

ラダー図は、左右の縦線(母線)のあいだに、接点とコイルを横に並べて書きます。a接点は信号が ON のときに通じ、b接点は信号が ON のときに切れ、左から通じるとコイル(出力)が ON になります。いちばん基本の形が「自己保持回路」で、起動のボタンを押すと出力が ON になり、出力自身の接点で ON を保ち、停止のボタンで切れます(編集部の補足)。

起動のa接点、停止のb接点、モーターのコイルと、コイル自身の接点を並列にした自己保持回路のラダー図
図3 ラダーの基本:自己保持回路
出典:IEC 61131-3 の書き方をもとにした模式図をもとに AI(Claude)で作成

非常停止は、ラダーのプログラムだけに頼らず、安全リレーや安全 PLC などのハードウエアで止めます(安全とセキュリティ)。

入出力と配線・通信ネットワーク

DC 入力のシンクとソース

センサーの出力には、NPN(電流を吸い込む)と PNP(電流を吐き出す)の2つの形があり、PLC の入力もそれに合わせてシンク・ソースの形があります。センサーの出力の形と PLC の入力の形が合っていないと、信号が入りません。呼び方が電流の向きを指すかつなぎ方を指すかはメーカーで違うので、配線図で確かめます(編集部の補足)。

NPN出力のセンサーとシンク入力、PNP出力のセンサーとソース入力の電流の向きを比べた模式図
図4 DC 入力のシンクとソース
出典:一般的な DC 入力の配線をもとに AI(Claude)で作成

出力の種類(リレー・トランジスタ)

出力には、接点で開け閉めするリレー出力と、半導体で開け閉めするトランジスタ出力などがあります。リレー出力は交流・直流のどちらの負荷にも使えるかわりに、開け閉めの回数に寿命があり、速く何度も切り替える用途には向きません。トランジスタ出力は速い開け閉めに向き、直流の負荷に使います。電磁弁などのコイル(誘導性の負荷)には、サージを吸収する部品を付けます(編集部の補足。寿命や応答の数値は機種のマニュアルで確かめる)。

出力の種類しくみ向く負荷・注意
リレー出力接点で開け閉めするAC・DC どちらの負荷も可。開閉の回数に寿命があり、速い・頻繁な開閉は苦手
トランジスタ出力半導体で開け閉めする(DC)速い・頻繁な開閉に向く。寿命は回数で決まらない。電流は小さめ・漏れ電流あり
トライアック出力AC 負荷を半導体で開け閉めするAC の負荷
アナログ出力0〜10V・4〜20mAインバーターの速度指令、弁の開度・温度の指令

負荷の電圧・電流・開閉の回数と速さで選ぶ。誘導性の負荷には保護素子を付ける(編集部の整理)。

アナログ・高速カウンタ・位置決め

温度・圧力・流量などの量は、0〜10V や 4〜20mA のアナログ入力で取り込みます。エンコーダの速いパルスは高速カウンタ、サーボやステッピングモーターの位置決めは、位置決めやモーションのユニットで扱います。たとえば IDEC の FC6A 形は 100kHz の高速カウンタとアナログ入力を内蔵し、キーエンスの KV-XH16ML は MECHATROLINK-III で16軸(仮想軸を含む)を扱えるとしています(各社の仕様)。多軸の同期が主の機械では、PLC ではなくモーション専用のコントローラを選ぶこともあります(株式会社安川電機)。

出典:FC6A形 MICROSMART FC6A-C16K1CE|IDEC、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス

通信ネットワークの階層

PLC のネットワークは、上位(生産管理・クラウド)とつなぐ情報の層、PLC どうしや操作画面とつなぐ層、サーボ・インバーター・リモート I/O とつなぐフィールドの層に分けて考えると整理できます(編集部の整理)。上位とつなぐ規格として OPC UA があり、キーエンスの KV-8000 は OPC UA サーバを標準で載せています。

層つなぐものネットワークの例
情報(上位)生産管理・MES・クラウドEthernet(TCP/IP)・OPC UA
コントローラ間PLC どうし・HMICC-Link IE・EtherNet/IP・PROFINET など
フィールドサーボ・インバーター・リモート I/O・センサーEtherCAT・CC-Link IE TSN・IO-Link など

名前は代表例(編集部の整理)。

出典:KV-8000 シリーズ|キーエンス

フィールドネットワークの広がり

CC-Link 協会(CLPA)は、2018年に TSN(時刻同期の Ethernet)を取り入れた CC-Link IE TSN を出し、認証製品は3,300超、導入台数は4,300万台超、会員は4,400社超としています(2025年の記事)。EtherCAT は、2026年4月の記事で導入ノードが1億520万、2025年だけで1,690万ノード増えたとされています。ネットワークは、つなぎたいサーボ・ロボット・インバーターが対応している方式から決めるのが近道です(編集部の補足)。キーエンスの KV-8000 は、専用ユニットで EtherNet/IP・PROFINET・EtherCAT・CC-Link IE Field にも対応するとしています。

出典:CLPA celebrates 25 years of open network innovation|IEN Europe(2025年)、EtherCAT passes the 100 million mark|Wiley Industry News(2026年4月21日)、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス

PLC の選び方

選ぶ順番

選ぶときは、入出力 → 特殊な機能 → 速さとメモリ → 通信 → 形 → 安全 → 長く使えるかの順に決めると、機種がしぼれます(編集部が整理した順番)。社内や客先で決まったメーカーがあれば、そこから考えるのが近道です。

  • ① 入出力の点数と種類:DC入力・リレー/トランジスタ出力・アナログ。あとで足せるように 2〜3割の予備
  • ② 特殊な機能:高速カウンタ・位置決め・温度調節・モーション
  • ③ 処理の速さとメモリ:スキャンタイム・プログラムの大きさ・データの量
  • ④ 通信:つなぐサーボ・ロボット・HMI・上位の方式
  • ⑤ 形:一体型か拡張型か、盤の大きさ
  • ⑥ 安全:安全 PLC・安全リレーが要るか(PL・SIL)
  • ⑦ 長く使えるか:供給期間・後継機・社内の標準・技術者
左は電源・CPU・入出力が1つの箱に入った一体型のPLC、右はベースの上に電源・CPU・入力・出力・通信・位置決めのユニットを並べた拡張型のPLCの模式図
図5 PLC の形:一体型(パッケージ型)と拡張型(ビルディングブロック型)
出典:IDEC・三菱電機の製品仕様をもとに AI(Claude)で作成

規模の目安(各社の仕様)

同じ「PLC」でも、規模は大きく違います。各社の公式サイトの仕様から、代表的な機種の値を並べました(測り方や条件が違うので、細かく比べないでください)。

機種形入出力点数プログラム容量基本命令
IDEC FC6A-C16K1CE一体型(マイクロ)内蔵16点・最大404点384KB—
三菱電機 MELSEC iQ-R R32CPU拡張型4096点320Kステップ0.98ns(LD X0)
キーエンス KV-8000拡張型拡張時 最大3072点(条件つき)約1500kステップ最小 0.96ns
横河電機 FA-M3V F3SP76-7S拡張型—ラダー 260Kステップ0.00375μs〜

出典:FC6A形 MICROSMART FC6A-C16K1CE|IDEC、MELSEC iQ-R R32CPU 特長|三菱電機 FA 製品情報、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス、シーケンスCPUモジュール F3SP□□|横河電機

PC 制御・マイコン・DCS との違い

PLC と似た役目のものに、産業用 PC(IPC)での制御、マイコンを載せた専用基板、プラント向けの DCS があります。機械の順序制御を、設備や電気の技術者が保守しやすい形で長く動かすなら PLC、画像処理や大量のデータ処理なら PC、数千台以上つくる製品の中なら専用のマイコン基板が選ばれやすい、というのがおおまかな傾向です(編集部の整理)。PC で組んだ制御は、作った人がいなくなると保守できなくなることがあり、PLC に置き換えた例もあります(事例「PC の制御から PLC へ」)。

PLCPC 制御(IPC)マイコン(組込み)DCS
得意なこと機械の順序制御画像・データ処理量産の小形機器プラントの連続制御
耐環境・長期供給強い機種による設計しだい強い
作る人設備・電気の技術者ソフトの技術者組込みの技術者計装の技術者
向く台数1台〜数百台1台〜数千台以上プラント単位

編集部が整理したおおまかな傾向です。最近は PLC で ST・データ処理、PC で PLC の言語、と重なりが増えています。

安全とセキュリティ

安全 PLC

人を守る機能(非常停止・安全扉・ライトカーテン)は、ふつうの PLC のプログラムではなく、安全の規格の認証を受けた安全 PLC・安全リレーで組みます。たとえば三菱電機の MELSEC iQ-R の安全 CPU は、IEC 61508 の SIL 3、ISO 13849-1 の PL eに対応し、ふつうの制御と安全の制御を1つの CPU で扱えます(安全のプログラムの容量は 40K ステップ)。どの性能が要るかは、機械のリスクアセスメントで決めます。

非常停止ボタンの信号が安全リレー・安全PLCに入り、モーターの動力を切る。ふつうのPLCは、ふだんの運転の指令だけを出す、という模式図
図6 非常停止は、安全リレー・安全 PLC のハードウエアで止める(模式図)
出典:三菱電機の安全 CPU の説明をもとに AI(Claude)で作成

出典:MELSEC iQ-R Safety CPU|Mitsubishi Electric

サイバー攻撃への備え

2010年に見つかった Stuxnet は、シーメンスの開発ソフトが動く PC を探して PLC のプログラムを書き換え、監視する人には正常な値を返しながら設備を誤動作させたマルウェアです(Wikipedia 英語版)。JPCERT/CC の講演を紹介した MONOist の記事では、脆弱性の届出の件数(JVN iPedia の産業用制御システム)が2010年の21件から2012年の173件に増え、マルウェアに感染した USB を制御の PC に挿すと数秒で PLC の制御が奪われる実演も紹介されています。

IPA(情報処理推進機構)は「制御システムのセキュリティリスク分析ガイド」(第2版)を公開し、資産ベースと事業被害ベースのリスク分析のしかたとシートを用意しています。制御系と事務系のネットワークを分ける、リモート接続を管理する、USB メモリの持ち込みを決める、などから始めます(編集部の補足)。

出典:Stuxnet|Wikipedia(英語版)、制御システムセキュリティの現状(JPCERT/CC の講演)|MONOist(2013年12月17日)、制御システムのセキュリティリスク分析ガイド 第2版|IPA(情報処理推進機構)

トラブルと保守・事例

よくあるトラブルと、まず見るところ

PLC 本体が壊れることより、配線・ノイズ・電源・バッテリーなど、まわりが原因のことが多くあります(編集部の補足)。よくある症状と、まず見るところを並べました。

症状まず見るところ
入力が入らない・たまに抜けるシンク/ソースの配線・センサーの電源・短い信号
出力が切れない・ON したままトランジスタの漏れ電流・リレー接点の溶着
ときどき誤作動する・止まるノイズ(配線の分け方・サージ吸収・接地)
電源を入れたらプログラムが消えたバッテリーの寿命・メモリのバックアップ
古い PLC が壊れて部品がない生産終了の機種・後継機への置き換え

表示や対策は機種で違います。CPU のエラー表示と取扱説明書の表で確かめてください(編集部の整理)。

誤作動の多くはノイズが関係します。動力線と信号線を分けて配線する、コイルにサージ吸収の部品を付ける、接地をとるのが基本です。

制御盤の中で、PLCにつながる信号線と、インバーターにつながる動力線を別のダクトに分け、PLCを接地し、盤の外の電磁弁のコイルにサージを吸収する部品を付けた模式図
図7 ノイズによる誤作動を防ぐ、制御盤の中の基本(模式図)
出典:このページの本文をもとに AI(Claude)で作成

詳しくは課題「ノイズでセンサー値が乱れる」と技術「EMC対策」にあります。

古い PLC の更新

PLC は設備と一緒に長く使われるので、本体の生産終了と修理の終了が問題になります。三菱電機は、1985年に発売した MELSEC-A/QnA(大形)を2006年9月に生産中止し、修理の受付を2013年9月末で終えたと案内しています。修理は生産中止後7年間とし、MELSEC iQ-R への置き換えを勧めています。小形の AnS/QnAS は2014年9月末に生産中止、修理の受付は2021年9月末で終わりました。

更新では、プログラムの変換、入出力ユニットの配線の付け替え、通信先の機器との互換を確かめます。動いている設備を止められる時間が限られるので、図面とプログラムの控えを最新にしておき、予備品の在庫と更新の計画を早めに立てます(編集部の補足)。設備の状態を見張る方法は技術「予知保全」にあります。

出典:MELSEC-A/QnA シリーズのリニューアル(最終修理受付終了のお知らせ)|三菱電機

ここからは事例です。ロボット設備・研究施設・工場の更新から、PLC の使われ方の例を集めました。

ロボット設備を1台の PLC で(IHI)

キーエンスの導入事例によると、IHI は KV-8000 と位置決め・モーションユニットを使い、125μs の制御周期で5軸の高速な制御を組みました。周辺機器・センサー・安全扉・タッチパネルも含め、ロボットコントローラの機能まで1台の PLC でシステム化できた、としています。ドライブレコーダ機能でエラーの前後のデータを記録し、1日1回起きていたチョコ停の原因を装置に張り付かずに特定した例も載っています。

出典:導入事例 株式会社IHI|キーエンス

加速器の制御(KEK)

横河電機の導入事例によると、高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、入射器の制御だけで横河電機の PLC が200台ほど使われ、20年以上前の PLC も現役で動いているとしています。Linux を載せた CPU モジュール(F3RP61)で100μ秒の応答を実現している、という利用者の声も載っています。

出典:導入事例 高エネルギー加速器研究機構(KEK)|横河電機

PC の制御から PLC へ(トレーラーメーカーの工場)

Automation World(三菱電機の発表)によると、セミトレーラーのメーカー(3つの工場)では、PC で組んだ制御が頻繁に故障し、作った人が会社にいなくなり、ほかに保守のしかたを知る人がいなかったため、三菱電機の PLC に置き換えました。予期しない停止が大きく減り、手作業や書類の作業が減ったとしています(数値は記載なし)。

出典:Manufacturer Significantly Reduces Downtime with Mitsubishi Electric PLCs|Automation World(2021年11月2日)

1件目と2件目はメーカーの導入事例、3件目はメーカーの発表を伝える業界誌の記事です(編集部の整理)。

企業紹介(PLC の技術)

汎用の PLC のメーカー4社と、モーションコントローラのメーカー1社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。5社ともサイトの規約で文章・画像の無断の複製・転載を認めていないため、各社の画像は使わず、公開されている情報をもとに図にしました。

相談する前に整理すること

PLC のメーカー・販売店・システムインテグレーター(制御盤や設備をつくる会社)に相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。

  • 入出力:点数・種類(DC入力・リレー/トランジスタ出力・アナログ)・電圧
  • 動き:順序とタイミング(タイムチャート)
  • 速さ:応答の要る信号と、その時間
  • つなぐ機器:サーボ・ロボット・インバーター・操作画面とその通信
  • 安全:非常停止・安全扉・必要な PL や SIL
  • 上位:記録・生産管理・クラウドとつなぐか
  • 設置:盤の大きさ・周囲温度・ノイズ源
  • 今の設備:更新か新設か、今の機種とプログラムの控え

困りごとごとの相談先

困りごと相談先の種類このページで紹介した会社
生産ライン全体を組みたい・古い PLC を更新したい汎用 PLC のメーカー三菱電機
立ち上げやチョコ停の原因を早くつかみたいPLC とデータ活用のメーカーキーエンス
小さな装置を、小形の PLC で安く組みたいマイクロ PLC のメーカーIDEC
速い応答・研究設備・リモート I/OPLC のメーカー横河電機
多軸のサーボを同期させたいモーションコントローラのメーカー安川電機

各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。各社の紹介は、この下にあります。

会社一体型・
小形
拡張型モーション安全 CPUデータ
活用
三菱電機MELSEC iQ-R(東京都千代田区)●●
キーエンスKV-8000(大阪市東淀川区)●●●
IDECFC6A 形 MICROSMART(大阪市淀川区)●
横河電機FA-M3V(東京都武蔵野市)●
安川電機MPX1000(北九州市八幡西区)●

●は、このページで紹介した製品で扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

三菱電機株式会社|生産システム全体を組む汎用 PLC MELSEC iQ-R

三菱電機とは

東京都千代田区に本社を置く会社です(同社のプロフィール)。PLC の MELSEC シリーズを扱い、1985年に発売した MELSEC-A/QnA から MELSEC iQ-R への置き換えも案内しています。

三菱電機MELSEC iQ-RのR32CPUの入出力点数、基本命令の処理時間、ねらいの3枚のカードの図
図8 三菱電機の PLC(MELSEC iQ-R)
出典:三菱電機の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

三菱電機の得意技術

技術内容
MELSEC iQ-R R32CPU入出力点数 4096点、プログラム容量 320Kステップ、基本命令(LD X0)0.98ns
安全 CPUIEC 61508 SIL 3・ISO 13849-1 PL e。ふつうの制御と安全の制御を1つの CPU で
シリーズのねらい生産性・開発・保守・品質・ネットワーク・セキュリティ・互換性の課題に、TCO の削減・信頼性・継承の視点で応えると同社は説明

三菱電機が解決できる課題

  • 生産ラインの PLC を、安全の制御も含めて1つのシリーズでそろえたい
  • 古い MELSEC-A/QnA などを置き換えたい

出典:プロフィール|三菱電機、MELSEC iQ-R R32CPU 特長|三菱電機 FA 製品情報、MELSEC iQ-R Safety CPU|Mitsubishi Electric、MELSEC iQ-R シリーズ コンセプト|三菱電機、MELSEC-A/QnA シリーズのリニューアル(最終修理受付終了のお知らせ)|三菱電機

株式会社キーエンス|トラブルの前後を記録するドライブレコーダ機能の PLC

キーエンスとは

大阪市東淀川区に本社・研究所を置く会社です(同社の会社概要)。拡張型の PLC、KV-8000 シリーズを扱っています。

キーエンスKV-8000の処理の速さ、ドライブレコーダ機能、つなぐの3枚のカードの図
図9 キーエンスの PLC(KV-8000)
出典:キーエンスの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

キーエンスの得意技術

技術内容
KV-8000基本命令 最小 0.96ns、プログラム容量 約1500kステップ、CPU メモリ 64MB
ドライブレコーダ機能トラブルの前後の状態を記録し、再現しにくいトラブルを解決すると同社は説明(同社は「世界初」と記載)
通信EtherNet/IP・OPC UA サーバを標準。専用ユニットで PROFINET・EtherCAT・CC-Link IE Field にも対応

キーエンスが解決できる課題

  • 設備の立ち上げで、サイクルタイムや機器の状態を見える化したい
  • たまにしか起きないチョコ停の原因を、張り付かずに特定したい

公開されている実績・用途

  • IHI:125μs の周期で5軸を制御し、ロボットの機能を含めて1台の PLC でシステム化(同社の導入事例)

出典:会社概要|キーエンス、KV-8000 シリーズ|キーエンス、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス、導入事例 株式会社IHI|キーエンス

”いつもと違うがわかる”【データ活用ユニット】KV-8000シリーズ コンセプトムービー(YouTube の動画)
動画 ”いつもと違うがわかる”【データ活用ユニット】KV-8000シリーズ コンセプトムービー
出典:KEYENCE CORPORATION(YouTube)

IDEC株式会社|小さな装置向けの一体型マイクロ PLC

大阪市淀川区に本社を置く会社です(同社の会社概要)。マイクロ PLC の FC6A 形 MICROSMART を扱っています。

IDEC FC6A形の小形の一体型、使える環境、書き方・通信の3枚のカードの図
図10 IDEC のマイクロ PLC(FC6A 形)
出典:IDEC の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

IDECの得意技術

技術内容
FC6A-C16K1CE内蔵入出力16点(入力9・出力7)、最大デジタル I/O 404点、増設モジュール最大12台
使える環境使用周囲温度 -25〜65℃、DC24V。危険場所の Class I Div 2 の認証
書き方と通信ラダーとスクリプト。Ethernet・Modbus RTU、プログラム容量 384KB、高速カウンタ 100kHz

IDECが解決できる課題

  • 入出力が少ない装置を、一体型の PLC で小さくまとめたい
  • 寒い所・暑い所で使う装置に PLC を組み込みたい

出典:会社概要|IDEC、FC6A形 MICROSMART FC6A-C16K1CE|IDEC

横河電機株式会社|速い応答と長い実績のレンジフリーコントローラ FA-M3V

横河電機とは

東京都武蔵野市に本社を置く会社です(同社の会社概要)。PLC の FA-M3V を扱い、高速な制御とネットワークの機能をうたっています。

横河電機FA-M3Vの処理の速さ、センサコントロール、実績の例の3枚のカードの図
図11 横河電機の PLC(FA-M3V)
出典:横河電機の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

横河電機の得意技術

技術内容
シーケンス CPU F3SP71-4S・F3SP76-7Sラダー 60K・260Kステップ、基本命令 0.00375μs〜、USB2.0・Ethernet
センサコントロール機能通常とは別のスキャンで、200μs の入出力応答を安定して得られると同社は説明
ネットワークEthernet・EtherNet/IP・FL-net・DeviceNet・Modbus などに対応

横河電機が解決できる課題

  • 応答の速さが要る装置で、入出力のばらつきを抑えたい
  • 研究設備のように、長い期間動かし続ける制御を組みたい

公開されている実績・用途

  • KEK(高エネルギー加速器研究機構):入射器の制御だけで約200台が稼働、20年以上前の PLC も現役(同社の導入事例)

出典:会社概要|横河電機、PLC(レンジフリーコントローラ FA-M3V)|横河電機、シーケンスCPUモジュール F3SP□□|横河電機、導入事例 高エネルギー加速器研究機構(KEK)|横河電機

株式会社安川電機|多軸のサーボを同期させるマシンコントローラ

安川電機とは

北九州市八幡西区に本社を置く会社です(同社の会社データ)。サーボと組み合わせて使うマシンコントローラ MPX1000 シリーズ(MP3000 シリーズの後継)を扱っています。

安川電機MPX1000シリーズの多軸の同期、処理の速さ、周期の3枚のカードの図
図12 安川電機のマシンコントローラ(MPX1000)
出典:安川電機の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

安川電機の得意技術

技術内容
MPX1310MECHATROLINK-4 を2回線、最大128軸のサーボを同期制御(MP3000 シリーズは16軸)
処理の速さモーション処理は MP3300 CPU-301 比で約8倍と同社は説明。高速スキャン 125μs〜
互換MP2000・MP3000 シリーズのアプリケーションが使える

安川電機が解決できる課題

  • 半導体・電子部品・電池の製造装置で、多くのサーボを同期させたい
  • 前のコントローラのプログラムを生かして性能を上げたい

出典:会社データ|安川電機、マシンコントローラ MPX1000シリーズ 発売のお知らせ|安川電機(2024年)

よくある質問

しくみと言語

PLC とは何ですか?
センサーやスイッチの信号を取り込み、プログラムに従ってモーター・電磁弁などの出力を順番に動かす、工場向けの制御用コンピューターです。リレー盤を置き換えるために生まれました(PLC とは(基本))。
PLC とシーケンサは違うものですか?
同じものを指すことが多い呼び名です。シーケンサは三菱電機の製品の呼び名が広まったもので、国際規格では「プログラマブルコントローラ」と呼びます(PLC とは(基本))。
スキャンタイムとは?
入力を読み、プログラムを最後まで実行し、出力を書く1周にかかる時間です。これより短い信号は読み落とすことがあるので、高速カウンタや割込みで受けます(スキャン:入力→演算→出力をくり返す)。
ラダーと ST はどちらで書けばよいですか?
リレー回路のような順序の制御はラダー、計算や条件分岐の多い処理は ST が向きます。1つのプロジェクトで使い分けられる機種もあります(プログラムの言語(IEC 61131-3))。

配線・選び方・保守

シンクとソースはどう選びますか?
センサーの出力(NPN・PNP)と PLC の入力の形を合わせます。合っていないと信号が入りません(DC 入力のシンクとソース)。
PLC と PC の制御はどちらがよいですか?
機械の順序制御を長く保守しやすく動かすなら PLC、画像やデータの処理が主なら PC が向きます。両方を組み合わせることもあります(PC 制御・マイコン・DCS との違い)。
非常停止をラダーで組んでもよいですか?
人を守る機能は、ふつうのプログラムだけに頼らず、安全リレーや安全 PLC で組みます。必要な性能(PL・SIL)はリスクアセスメントで決めます(安全とセキュリティ)。
古い PLC はいつ更新すべきですか?
メーカーの生産終了と修理受付の終了の案内を確かめます。三菱電機は修理を生産中止後7年としています。プログラムと図面の控えを最新にし、早めに計画します(古い PLC の更新)。

回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。

出典・確認日

※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図は転載していません。入出力点数・処理時間・容量の数値は各社の製品の値で、条件が違うため、資料をまたいで細かく比べないでください。

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。

情報の確認日:2026年10月30日 本ページの内容は一般的な情報です。機種の選定・配線・安全の設計は、メーカーの資料と規格で確かめてください。各社の製品・サービスは、その会社の公開情報にもとづきます。

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