PLC(プログラマブルロジックコントローラ、プログラマブルコントローラ)は、センサーやスイッチの信号を取り込み、プログラムに従って、モーター・電磁弁・ランプなどの出力を順番に動かす、工場向けの制御用コンピューターです。日本では「シーケンサ」とも呼ばれます(三菱電機の製品の呼び名が広まったもの。編集部の補足)。もともとは、リレーを配線して組んだ制御盤を置き換えるために生まれました。いまは、搬送・組立・加工の機械から、ロボットの設備、加速器のような研究施設まで使われています。
このページでは、PLC のしくみ(スキャン)、プログラムの言語とラダーの基本、入出力の配線と通信、選び方、安全とセキュリティ、トラブルと更新・事例、相談できる会社までをまとめました。制御のしかた(PID・サーボの位置決め)は技術「PID制御・モーション制御」に、ロボットは技術「産業用ロボット」にあります。
知りたいことから読む
- PLC・シーケンサとは、リレー回路との違い → PLC とは(基本)
- スキャン・スキャンタイムのしくみ → PLC とは(基本)
- ラダー・ST など言語の違い → プログラムの言語
- センサー・電磁弁の配線(シンク・ソース、出力の種類) → 入出力と配線
- CC-Link・EtherCAT などネットワークの選び方 → 入出力と配線
- 一体型か拡張型か、PC 制御との違い → PLC の選び方
- 安全回路・サイバー攻撃への備え → 安全とセキュリティ
- 誤作動・古い PLC の更新・事例 → トラブルと保守
症状から探す
| 症状 | 考えられる原因 | 対策を書いた所 |
|---|---|---|
| センサーの信号が入らない | シンク・ソースの合わせ違い・電源 | DC 入力のシンクとソース |
| 短いパルスを読み落とす | スキャンタイムより短い信号 | スキャン:入力→演算→出力をくり返す |
| ときどき誤作動する | ノイズ・配線の分け方・接地 | よくあるトラブルと、まず見るところ |
| 出力が切れない・リレーが早く傷む | 出力の種類と負荷が合っていない | 出力の種類(リレー・トランジスタ) |
| 古い PLC が壊れて修理できない | 生産終了・修理の受付の終了 | 古い PLC の更新 |
| 工場のネットワークからの攻撃が心配 | 制御系と事務系がつながっている | サイバー攻撃への備え |
リンクを押すと、対策を書いた所へ移ります。
PLC とは(基本)
リレー盤を置き換えるために生まれた
Wikipedia(英語版)によると、1968年に GM(ゼネラルモーターズ)の Hydramatic 部門が、配線で組んだリレーの論理を電子式に置き換える装置の提案を募りました。これに応えて Bedford Associates の Dick Morley らがつくった Modicon 084 が、最初の PLC とされています。リレー盤では、動きを変えるたびに配線をやり直す必要がありました。PLC では、入出力の配線はそのままで、プログラムを書き換えれば動きを変えられます(編集部の補足)。
出典:Programmable logic controller|Wikipedia(英語版)
中のつくり:電源・CPU・入出力・通信
国際規格 IEC 61131 は、PLC とその周辺(プログラムをつくる装置や操作画面)を、機械や工業プロセスの制御に使うものとして扱っています(IEC 61131-1)。PLC は、電源・CPU(プログラムを実行する)・入力・出力・通信のユニットでできています。ベースや DIN レールにユニットを並べて点数や機能を足す「拡張型(ビルディングブロック型)」と、電源・CPU・入出力を1つの箱に入れた「一体型(パッケージ型)」があります(編集部の補足)。

出典:IEC 61131-1 の範囲・各社の製品の構成をもとに AI(Claude)で作成
出典:IEC 61131-1:2003 Programmable controllers – Part 1: General information|IEC Webstore
スキャン:入力→演算→出力をくり返す
PLC は、入力の状態をまとめて読み込み、プログラムを先頭から最後まで実行し、出力をまとめて書き込む、という1周(スキャン)を、電源が入っているあいだくり返します。1周にかかる時間がスキャンタイムで、Wikipedia(英語版)は、典型的には数十ミリ秒で、速い信号はカウンタやタイミング専用のユニットで扱う、としています。スキャンタイムより短い信号は読み落とすことがあるので、割込み入力・高速カウンタなどで受けます(編集部の補足)。横河電機の FA-M3V は、通常のスキャンとは別にもう1つのスキャン(入力→プログラム実行→出力)を回し、200μs の入出力応答を安定して得られるとしています(同社の説明)。

出典:Wikipedia(PLC)のスキャンの説明・横河電機のセンサコントロールの説明をもとに AI(Claude)で作成
出典:Programmable logic controller|Wikipedia(英語版)、シーケンスCPUモジュール F3SP□□|横河電機
どれくらい速いか
命令1つの処理時間は、メーカーの仕様では ns(ナノ秒)の単位です。三菱電機の MELSEC iQ-R の R32CPU は基本命令(LD X0)0.98ns、キーエンスの KV-8000 は基本命令で最小 0.96ns としています。ただし、スキャンタイムはプログラムの長さ・命令の種類・通信の量で決まるので、命令の速さの数字だけで、機械の応答の速さは決まりません(編集部の補足)。
出典:MELSEC iQ-R R32CPU 特長|三菱電機 FA 製品情報、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス
プログラムの言語(IEC 61131-3)
LD・FBD・SFC・IL・ST の違い
IEC 61131-3 は、図で書く3つ(LD:ラダー図、FBD:ファンクションブロック図、SFC:シーケンシャルファンクションチャート)と、文で書く2つ(IL:命令リスト、ST:構造化テキスト)の言語を決めています。MONOist の解説は、ラダー図はリレーシーケンスの回路に似ていて日本の制御の開発で最も使われ、ビット単位の処理に向くかわりに、大規模になると構造が追いにくいとしています。FBD は DCS(分散制御システム)に慣れた技術者に使われてきたとしています。Wikipedia(英語版)は、IL は第3版(2013年)で非推奨になったとしています。
| 言語 | 書き方 | 特徴・向く処理 |
|---|---|---|
| LD(ラダー図) | リレー回路のような図 | 電気の人に読みやすい。日本の現場で多く使われる |
| FBD(ファンクションブロック図) | 機能のブロックを線でつなぐ | プロセス・安全回路で使う |
| SFC(シーケンシャルファンクションチャート) | 工程(ステップ)と移る条件 | 順番に進む動作に向く |
| ST(構造化テキスト) | Pascal に似た文で書く | 計算・条件分岐・繰り返し、データ処理に向く |
| IL(命令リスト) | アセンブラに似た文 | 第3版(2013年)で非推奨になった |
言語の名前と分け方は IEC 61131-3 による。1つのプロジェクトの中で部品ごとに言語を選べる(対応はメーカーによる)。対応する言語は機種・ソフトで確かめてください。
出典:IEC 61131-3の5つのプログラミング言語|MONOist(2013年12月10日)、IEC 61131-3|Wikipedia(英語版)
MONOist の解説は、規格はメーカーにすべての言語への対応を求めていないとしています。使える言語は機種と開発ソフトで違うので、カタログで確かめます。キーエンスの KV-8000 は IEC 61131-3 準拠・ST 言語に対応し、三菱電機の MELSEC iQ-R のプロセス CPU は ST 言語の命令の処理時間も仕様に載せています。
出典:IEC 61131-3の5つのプログラミング言語|MONOist(2013年12月10日)、KV-8000 シリーズ|キーエンス、MELSEC iQ-R プロセスCPU|三菱電機
ラダーの基本:a接点・b接点・コイル
ラダー図は、左右の縦線(母線)のあいだに、接点とコイルを横に並べて書きます。a接点は信号が ON のときに通じ、b接点は信号が ON のときに切れ、左から通じるとコイル(出力)が ON になります。いちばん基本の形が「自己保持回路」で、起動のボタンを押すと出力が ON になり、出力自身の接点で ON を保ち、停止のボタンで切れます(編集部の補足)。

出典:IEC 61131-3 の書き方をもとにした模式図をもとに AI(Claude)で作成
非常停止は、ラダーのプログラムだけに頼らず、安全リレーや安全 PLC などのハードウエアで止めます(安全とセキュリティ)。
入出力と配線・通信ネットワーク
DC 入力のシンクとソース
センサーの出力には、NPN(電流を吸い込む)と PNP(電流を吐き出す)の2つの形があり、PLC の入力もそれに合わせてシンク・ソースの形があります。センサーの出力の形と PLC の入力の形が合っていないと、信号が入りません。呼び方が電流の向きを指すかつなぎ方を指すかはメーカーで違うので、配線図で確かめます(編集部の補足)。

出典:一般的な DC 入力の配線をもとに AI(Claude)で作成
出力の種類(リレー・トランジスタ)
出力には、接点で開け閉めするリレー出力と、半導体で開け閉めするトランジスタ出力などがあります。リレー出力は交流・直流のどちらの負荷にも使えるかわりに、開け閉めの回数に寿命があり、速く何度も切り替える用途には向きません。トランジスタ出力は速い開け閉めに向き、直流の負荷に使います。電磁弁などのコイル(誘導性の負荷)には、サージを吸収する部品を付けます(編集部の補足。寿命や応答の数値は機種のマニュアルで確かめる)。
| 出力の種類 | しくみ | 向く負荷・注意 |
|---|---|---|
| リレー出力 | 接点で開け閉めする | AC・DC どちらの負荷も可。開閉の回数に寿命があり、速い・頻繁な開閉は苦手 |
| トランジスタ出力 | 半導体で開け閉めする(DC) | 速い・頻繁な開閉に向く。寿命は回数で決まらない。電流は小さめ・漏れ電流あり |
| トライアック出力 | AC 負荷を半導体で開け閉めする | AC の負荷 |
| アナログ出力 | 0〜10V・4〜20mA | インバーターの速度指令、弁の開度・温度の指令 |
負荷の電圧・電流・開閉の回数と速さで選ぶ。誘導性の負荷には保護素子を付ける(編集部の整理)。
アナログ・高速カウンタ・位置決め
温度・圧力・流量などの量は、0〜10V や 4〜20mA のアナログ入力で取り込みます。エンコーダの速いパルスは高速カウンタ、サーボやステッピングモーターの位置決めは、位置決めやモーションのユニットで扱います。たとえば IDEC の FC6A 形は 100kHz の高速カウンタとアナログ入力を内蔵し、キーエンスの KV-XH16ML は MECHATROLINK-III で16軸(仮想軸を含む)を扱えるとしています(各社の仕様)。多軸の同期が主の機械では、PLC ではなくモーション専用のコントローラを選ぶこともあります(株式会社安川電機)。
出典:FC6A形 MICROSMART FC6A-C16K1CE|IDEC、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス
通信ネットワークの階層
PLC のネットワークは、上位(生産管理・クラウド)とつなぐ情報の層、PLC どうしや操作画面とつなぐ層、サーボ・インバーター・リモート I/O とつなぐフィールドの層に分けて考えると整理できます(編集部の整理)。上位とつなぐ規格として OPC UA があり、キーエンスの KV-8000 は OPC UA サーバを標準で載せています。
| 層 | つなぐもの | ネットワークの例 |
|---|---|---|
| 情報(上位) | 生産管理・MES・クラウド | Ethernet(TCP/IP)・OPC UA |
| コントローラ間 | PLC どうし・HMI | CC-Link IE・EtherNet/IP・PROFINET など |
| フィールド | サーボ・インバーター・リモート I/O・センサー | EtherCAT・CC-Link IE TSN・IO-Link など |
名前は代表例(編集部の整理)。
フィールドネットワークの広がり
CC-Link 協会(CLPA)は、2018年に TSN(時刻同期の Ethernet)を取り入れた CC-Link IE TSN を出し、認証製品は3,300超、導入台数は4,300万台超、会員は4,400社超としています(2025年の記事)。EtherCAT は、2026年4月の記事で導入ノードが1億520万、2025年だけで1,690万ノード増えたとされています。ネットワークは、つなぎたいサーボ・ロボット・インバーターが対応している方式から決めるのが近道です(編集部の補足)。キーエンスの KV-8000 は、専用ユニットで EtherNet/IP・PROFINET・EtherCAT・CC-Link IE Field にも対応するとしています。
出典:CLPA celebrates 25 years of open network innovation|IEN Europe(2025年)、EtherCAT passes the 100 million mark|Wiley Industry News(2026年4月21日)、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス
PLC の選び方
選ぶ順番
選ぶときは、入出力 → 特殊な機能 → 速さとメモリ → 通信 → 形 → 安全 → 長く使えるかの順に決めると、機種がしぼれます(編集部が整理した順番)。社内や客先で決まったメーカーがあれば、そこから考えるのが近道です。
- ① 入出力の点数と種類:DC入力・リレー/トランジスタ出力・アナログ。あとで足せるように 2〜3割の予備
- ② 特殊な機能:高速カウンタ・位置決め・温度調節・モーション
- ③ 処理の速さとメモリ:スキャンタイム・プログラムの大きさ・データの量
- ④ 通信:つなぐサーボ・ロボット・HMI・上位の方式
- ⑤ 形:一体型か拡張型か、盤の大きさ
- ⑥ 安全:安全 PLC・安全リレーが要るか(PL・SIL)
- ⑦ 長く使えるか:供給期間・後継機・社内の標準・技術者

出典:IDEC・三菱電機の製品仕様をもとに AI(Claude)で作成
規模の目安(各社の仕様)
同じ「PLC」でも、規模は大きく違います。各社の公式サイトの仕様から、代表的な機種の値を並べました(測り方や条件が違うので、細かく比べないでください)。
| 機種 | 形 | 入出力点数 | プログラム容量 | 基本命令 |
|---|---|---|---|---|
| IDEC FC6A-C16K1CE | 一体型(マイクロ) | 内蔵16点・最大404点 | 384KB | — |
| 三菱電機 MELSEC iQ-R R32CPU | 拡張型 | 4096点 | 320Kステップ | 0.98ns(LD X0) |
| キーエンス KV-8000 | 拡張型 | 拡張時 最大3072点(条件つき) | 約1500kステップ | 最小 0.96ns |
| 横河電機 FA-M3V F3SP76-7S | 拡張型 | — | ラダー 260Kステップ | 0.00375μs〜 |
出典:FC6A形 MICROSMART FC6A-C16K1CE|IDEC、MELSEC iQ-R R32CPU 特長|三菱電機 FA 製品情報、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス、シーケンスCPUモジュール F3SP□□|横河電機
PC 制御・マイコン・DCS との違い
PLC と似た役目のものに、産業用 PC(IPC)での制御、マイコンを載せた専用基板、プラント向けの DCS があります。機械の順序制御を、設備や電気の技術者が保守しやすい形で長く動かすなら PLC、画像処理や大量のデータ処理なら PC、数千台以上つくる製品の中なら専用のマイコン基板が選ばれやすい、というのがおおまかな傾向です(編集部の整理)。PC で組んだ制御は、作った人がいなくなると保守できなくなることがあり、PLC に置き換えた例もあります(事例「PC の制御から PLC へ」)。
| PLC | PC 制御(IPC) | マイコン(組込み) | DCS | |
|---|---|---|---|---|
| 得意なこと | 機械の順序制御 | 画像・データ処理 | 量産の小形機器 | プラントの連続制御 |
| 耐環境・長期供給 | 強い | 機種による | 設計しだい | 強い |
| 作る人 | 設備・電気の技術者 | ソフトの技術者 | 組込みの技術者 | 計装の技術者 |
| 向く台数 | 1台〜数百台 | 1台〜 | 数千台以上 | プラント単位 |
編集部が整理したおおまかな傾向です。最近は PLC で ST・データ処理、PC で PLC の言語、と重なりが増えています。
安全とセキュリティ
安全 PLC
人を守る機能(非常停止・安全扉・ライトカーテン)は、ふつうの PLC のプログラムではなく、安全の規格の認証を受けた安全 PLC・安全リレーで組みます。たとえば三菱電機の MELSEC iQ-R の安全 CPU は、IEC 61508 の SIL 3、ISO 13849-1 の PL eに対応し、ふつうの制御と安全の制御を1つの CPU で扱えます(安全のプログラムの容量は 40K ステップ)。どの性能が要るかは、機械のリスクアセスメントで決めます。

出典:三菱電機の安全 CPU の説明をもとに AI(Claude)で作成
出典:MELSEC iQ-R Safety CPU|Mitsubishi Electric
サイバー攻撃への備え
2010年に見つかった Stuxnet は、シーメンスの開発ソフトが動く PC を探して PLC のプログラムを書き換え、監視する人には正常な値を返しながら設備を誤動作させたマルウェアです(Wikipedia 英語版)。JPCERT/CC の講演を紹介した MONOist の記事では、脆弱性の届出の件数(JVN iPedia の産業用制御システム)が2010年の21件から2012年の173件に増え、マルウェアに感染した USB を制御の PC に挿すと数秒で PLC の制御が奪われる実演も紹介されています。
IPA(情報処理推進機構)は「制御システムのセキュリティリスク分析ガイド」(第2版)を公開し、資産ベースと事業被害ベースのリスク分析のしかたとシートを用意しています。制御系と事務系のネットワークを分ける、リモート接続を管理する、USB メモリの持ち込みを決める、などから始めます(編集部の補足)。
出典:Stuxnet|Wikipedia(英語版)、制御システムセキュリティの現状(JPCERT/CC の講演)|MONOist(2013年12月17日)、制御システムのセキュリティリスク分析ガイド 第2版|IPA(情報処理推進機構)
トラブルと保守・事例
よくあるトラブルと、まず見るところ
PLC 本体が壊れることより、配線・ノイズ・電源・バッテリーなど、まわりが原因のことが多くあります(編集部の補足)。よくある症状と、まず見るところを並べました。
| 症状 | まず見るところ |
|---|---|
| 入力が入らない・たまに抜ける | シンク/ソースの配線・センサーの電源・短い信号 |
| 出力が切れない・ON したまま | トランジスタの漏れ電流・リレー接点の溶着 |
| ときどき誤作動する・止まる | ノイズ(配線の分け方・サージ吸収・接地) |
| 電源を入れたらプログラムが消えた | バッテリーの寿命・メモリのバックアップ |
| 古い PLC が壊れて部品がない | 生産終了の機種・後継機への置き換え |
表示や対策は機種で違います。CPU のエラー表示と取扱説明書の表で確かめてください(編集部の整理)。
誤作動の多くはノイズが関係します。動力線と信号線を分けて配線する、コイルにサージ吸収の部品を付ける、接地をとるのが基本です。

出典:このページの本文をもとに AI(Claude)で作成
詳しくは課題「ノイズでセンサー値が乱れる」と技術「EMC対策」にあります。
古い PLC の更新
PLC は設備と一緒に長く使われるので、本体の生産終了と修理の終了が問題になります。三菱電機は、1985年に発売した MELSEC-A/QnA(大形)を2006年9月に生産中止し、修理の受付を2013年9月末で終えたと案内しています。修理は生産中止後7年間とし、MELSEC iQ-R への置き換えを勧めています。小形の AnS/QnAS は2014年9月末に生産中止、修理の受付は2021年9月末で終わりました。
更新では、プログラムの変換、入出力ユニットの配線の付け替え、通信先の機器との互換を確かめます。動いている設備を止められる時間が限られるので、図面とプログラムの控えを最新にしておき、予備品の在庫と更新の計画を早めに立てます(編集部の補足)。設備の状態を見張る方法は技術「予知保全」にあります。
出典:MELSEC-A/QnA シリーズのリニューアル(最終修理受付終了のお知らせ)|三菱電機
ここからは事例です。ロボット設備・研究施設・工場の更新から、PLC の使われ方の例を集めました。
ロボット設備を1台の PLC で(IHI)
キーエンスの導入事例によると、IHI は KV-8000 と位置決め・モーションユニットを使い、125μs の制御周期で5軸の高速な制御を組みました。周辺機器・センサー・安全扉・タッチパネルも含め、ロボットコントローラの機能まで1台の PLC でシステム化できた、としています。ドライブレコーダ機能でエラーの前後のデータを記録し、1日1回起きていたチョコ停の原因を装置に張り付かずに特定した例も載っています。
加速器の制御(KEK)
横河電機の導入事例によると、高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、入射器の制御だけで横河電機の PLC が200台ほど使われ、20年以上前の PLC も現役で動いているとしています。Linux を載せた CPU モジュール(F3RP61)で100μ秒の応答を実現している、という利用者の声も載っています。
出典:導入事例 高エネルギー加速器研究機構(KEK)|横河電機
PC の制御から PLC へ(トレーラーメーカーの工場)
Automation World(三菱電機の発表)によると、セミトレーラーのメーカー(3つの工場)では、PC で組んだ制御が頻繁に故障し、作った人が会社にいなくなり、ほかに保守のしかたを知る人がいなかったため、三菱電機の PLC に置き換えました。予期しない停止が大きく減り、手作業や書類の作業が減ったとしています(数値は記載なし)。
1件目と2件目はメーカーの導入事例、3件目はメーカーの発表を伝える業界誌の記事です(編集部の整理)。
企業紹介(PLC の技術)
汎用の PLC のメーカー4社と、モーションコントローラのメーカー1社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。5社ともサイトの規約で文章・画像の無断の複製・転載を認めていないため、各社の画像は使わず、公開されている情報をもとに図にしました。
相談する前に整理すること
PLC のメーカー・販売店・システムインテグレーター(制御盤や設備をつくる会社)に相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。
- 入出力:点数・種類(DC入力・リレー/トランジスタ出力・アナログ)・電圧
- 動き:順序とタイミング(タイムチャート)
- 速さ:応答の要る信号と、その時間
- つなぐ機器:サーボ・ロボット・インバーター・操作画面とその通信
- 安全:非常停止・安全扉・必要な PL や SIL
- 上位:記録・生産管理・クラウドとつなぐか
- 設置:盤の大きさ・周囲温度・ノイズ源
- 今の設備:更新か新設か、今の機種とプログラムの控え
困りごとごとの相談先
| 困りごと | 相談先の種類 | このページで紹介した会社 |
|---|---|---|
| 生産ライン全体を組みたい・古い PLC を更新したい | 汎用 PLC のメーカー | 三菱電機 |
| 立ち上げやチョコ停の原因を早くつかみたい | PLC とデータ活用のメーカー | キーエンス |
| 小さな装置を、小形の PLC で安く組みたい | マイクロ PLC のメーカー | IDEC |
| 速い応答・研究設備・リモート I/O | PLC のメーカー | 横河電機 |
| 多軸のサーボを同期させたい | モーションコントローラのメーカー | 安川電機 |
各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。各社の紹介は、この下にあります。
| 会社 | 一体型・ 小形 | 拡張型 | モーション | 安全 CPU | データ 活用 |
|---|---|---|---|---|---|
| 三菱電機MELSEC iQ-R(東京都千代田区) | ● | ● | |||
| キーエンスKV-8000(大阪市東淀川区) | ● | ● | ● | ||
| IDECFC6A 形 MICROSMART(大阪市淀川区) | ● | ||||
| 横河電機FA-M3V(東京都武蔵野市) | ● | ||||
| 安川電機MPX1000(北九州市八幡西区) | ● |
●は、このページで紹介した製品で扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。
三菱電機株式会社|生産システム全体を組む汎用 PLC MELSEC iQ-R
三菱電機とは
東京都千代田区に本社を置く会社です(同社のプロフィール)。PLC の MELSEC シリーズを扱い、1985年に発売した MELSEC-A/QnA から MELSEC iQ-R への置き換えも案内しています。

出典:三菱電機の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
三菱電機の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| MELSEC iQ-R R32CPU | 入出力点数 4096点、プログラム容量 320Kステップ、基本命令(LD X0)0.98ns |
| 安全 CPU | IEC 61508 SIL 3・ISO 13849-1 PL e。ふつうの制御と安全の制御を1つの CPU で |
| シリーズのねらい | 生産性・開発・保守・品質・ネットワーク・セキュリティ・互換性の課題に、TCO の削減・信頼性・継承の視点で応えると同社は説明 |
三菱電機が解決できる課題
- 生産ラインの PLC を、安全の制御も含めて1つのシリーズでそろえたい
- 古い MELSEC-A/QnA などを置き換えたい
出典:プロフィール|三菱電機、MELSEC iQ-R R32CPU 特長|三菱電機 FA 製品情報、MELSEC iQ-R Safety CPU|Mitsubishi Electric、MELSEC iQ-R シリーズ コンセプト|三菱電機、MELSEC-A/QnA シリーズのリニューアル(最終修理受付終了のお知らせ)|三菱電機
株式会社キーエンス|トラブルの前後を記録するドライブレコーダ機能の PLC
キーエンスとは
大阪市東淀川区に本社・研究所を置く会社です(同社の会社概要)。拡張型の PLC、KV-8000 シリーズを扱っています。

出典:キーエンスの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
キーエンスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| KV-8000 | 基本命令 最小 0.96ns、プログラム容量 約1500kステップ、CPU メモリ 64MB |
| ドライブレコーダ機能 | トラブルの前後の状態を記録し、再現しにくいトラブルを解決すると同社は説明(同社は「世界初」と記載) |
| 通信 | EtherNet/IP・OPC UA サーバを標準。専用ユニットで PROFINET・EtherCAT・CC-Link IE Field にも対応 |
キーエンスが解決できる課題
- 設備の立ち上げで、サイクルタイムや機器の状態を見える化したい
- たまにしか起きないチョコ停の原因を、張り付かずに特定したい
公開されている実績・用途
- IHI:125μs の周期で5軸を制御し、ロボットの機能を含めて1台の PLC でシステム化(同社の導入事例)
出典:会社概要|キーエンス、KV-8000 シリーズ|キーエンス、KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス、導入事例 株式会社IHI|キーエンス

出典:KEYENCE CORPORATION(YouTube)
IDEC株式会社|小さな装置向けの一体型マイクロ PLC
IDECとは
大阪市淀川区に本社を置く会社です(同社の会社概要)。マイクロ PLC の FC6A 形 MICROSMART を扱っています。

出典:IDEC の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
IDECの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| FC6A-C16K1CE | 内蔵入出力16点(入力9・出力7)、最大デジタル I/O 404点、増設モジュール最大12台 |
| 使える環境 | 使用周囲温度 -25〜65℃、DC24V。危険場所の Class I Div 2 の認証 |
| 書き方と通信 | ラダーとスクリプト。Ethernet・Modbus RTU、プログラム容量 384KB、高速カウンタ 100kHz |
IDECが解決できる課題
- 入出力が少ない装置を、一体型の PLC で小さくまとめたい
- 寒い所・暑い所で使う装置に PLC を組み込みたい
出典:会社概要|IDEC、FC6A形 MICROSMART FC6A-C16K1CE|IDEC
横河電機株式会社|速い応答と長い実績のレンジフリーコントローラ FA-M3V
横河電機とは
東京都武蔵野市に本社を置く会社です(同社の会社概要)。PLC の FA-M3V を扱い、高速な制御とネットワークの機能をうたっています。

出典:横河電機の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
横河電機の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| シーケンス CPU F3SP71-4S・F3SP76-7S | ラダー 60K・260Kステップ、基本命令 0.00375μs〜、USB2.0・Ethernet |
| センサコントロール機能 | 通常とは別のスキャンで、200μs の入出力応答を安定して得られると同社は説明 |
| ネットワーク | Ethernet・EtherNet/IP・FL-net・DeviceNet・Modbus などに対応 |
横河電機が解決できる課題
- 応答の速さが要る装置で、入出力のばらつきを抑えたい
- 研究設備のように、長い期間動かし続ける制御を組みたい
公開されている実績・用途
- KEK(高エネルギー加速器研究機構):入射器の制御だけで約200台が稼働、20年以上前の PLC も現役(同社の導入事例)
出典:会社概要|横河電機、PLC(レンジフリーコントローラ FA-M3V)|横河電機、シーケンスCPUモジュール F3SP□□|横河電機、導入事例 高エネルギー加速器研究機構(KEK)|横河電機
株式会社安川電機|多軸のサーボを同期させるマシンコントローラ
安川電機とは
北九州市八幡西区に本社を置く会社です(同社の会社データ)。サーボと組み合わせて使うマシンコントローラ MPX1000 シリーズ(MP3000 シリーズの後継)を扱っています。

出典:安川電機の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
安川電機の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| MPX1310 | MECHATROLINK-4 を2回線、最大128軸のサーボを同期制御(MP3000 シリーズは16軸) |
| 処理の速さ | モーション処理は MP3300 CPU-301 比で約8倍と同社は説明。高速スキャン 125μs〜 |
| 互換 | MP2000・MP3000 シリーズのアプリケーションが使える |
安川電機が解決できる課題
- 半導体・電子部品・電池の製造装置で、多くのサーボを同期させたい
- 前のコントローラのプログラムを生かして性能を上げたい
出典:会社データ|安川電機、マシンコントローラ MPX1000シリーズ 発売のお知らせ|安川電機(2024年)
よくある質問
しくみと言語
- PLC とは何ですか?
- センサーやスイッチの信号を取り込み、プログラムに従ってモーター・電磁弁などの出力を順番に動かす、工場向けの制御用コンピューターです。リレー盤を置き換えるために生まれました(PLC とは(基本))。
- PLC とシーケンサは違うものですか?
- 同じものを指すことが多い呼び名です。シーケンサは三菱電機の製品の呼び名が広まったもので、国際規格では「プログラマブルコントローラ」と呼びます(PLC とは(基本))。
- スキャンタイムとは?
- 入力を読み、プログラムを最後まで実行し、出力を書く1周にかかる時間です。これより短い信号は読み落とすことがあるので、高速カウンタや割込みで受けます(スキャン:入力→演算→出力をくり返す)。
- ラダーと ST はどちらで書けばよいですか?
- リレー回路のような順序の制御はラダー、計算や条件分岐の多い処理は ST が向きます。1つのプロジェクトで使い分けられる機種もあります(プログラムの言語(IEC 61131-3))。
配線・選び方・保守
- シンクとソースはどう選びますか?
- センサーの出力(NPN・PNP)と PLC の入力の形を合わせます。合っていないと信号が入りません(DC 入力のシンクとソース)。
- PLC と PC の制御はどちらがよいですか?
- 機械の順序制御を長く保守しやすく動かすなら PLC、画像やデータの処理が主なら PC が向きます。両方を組み合わせることもあります(PC 制御・マイコン・DCS との違い)。
- 非常停止をラダーで組んでもよいですか?
- 人を守る機能は、ふつうのプログラムだけに頼らず、安全リレーや安全 PLC で組みます。必要な性能(PL・SIL)はリスクアセスメントで決めます(安全とセキュリティ)。
- 古い PLC はいつ更新すべきですか?
- メーカーの生産終了と修理受付の終了の案内を確かめます。三菱電機は修理を生産中止後7年としています。プログラムと図面の控えを最新にし、早めに計画します(古い PLC の更新)。
回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。
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出典・確認日
- Programmable logic controller|Wikipedia(英語版)
- IEC 61131-1:2003 Programmable controllers – Part 1: General information|IEC Webstore
- シーケンスCPUモジュール F3SP□□|横河電機
- MELSEC iQ-R R32CPU 特長|三菱電機 FA 製品情報
- KV-8000 シリーズ 仕様|キーエンス
- IEC 61131-3の5つのプログラミング言語|MONOist(2013年12月10日)
- IEC 61131-3|Wikipedia(英語版)
- KV-8000 シリーズ|キーエンス
- MELSEC iQ-R プロセスCPU|三菱電機
- FC6A形 MICROSMART FC6A-C16K1CE|IDEC
- CLPA celebrates 25 years of open network innovation|IEN Europe(2025年)
- EtherCAT passes the 100 million mark|Wiley Industry News(2026年4月21日)
- MELSEC iQ-R Safety CPU|Mitsubishi Electric
- Stuxnet|Wikipedia(英語版)
- 制御システムセキュリティの現状(JPCERT/CC の講演)|MONOist(2013年12月17日)
- 制御システムのセキュリティリスク分析ガイド 第2版|IPA(情報処理推進機構)
- MELSEC-A/QnA シリーズのリニューアル(最終修理受付終了のお知らせ)|三菱電機
- 導入事例 株式会社IHI|キーエンス
- 導入事例 高エネルギー加速器研究機構(KEK)|横河電機
- Manufacturer Significantly Reduces Downtime with Mitsubishi Electric PLCs|Automation World(2021年11月2日)
- プロフィール|三菱電機
- MELSEC iQ-R シリーズ コンセプト|三菱電機
- 会社概要|キーエンス
- 会社概要|IDEC
- 会社概要|横河電機
- PLC(レンジフリーコントローラ FA-M3V)|横河電機
- 会社データ|安川電機
- マシンコントローラ MPX1000シリーズ 発売のお知らせ|安川電機(2024年)
※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図は転載していません。入出力点数・処理時間・容量の数値は各社の製品の値で、条件が違うため、資料をまたいで細かく比べないでください。
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。
情報の確認日:2026年10月30日 本ページの内容は一般的な情報です。機種の選定・配線・安全の設計は、メーカーの資料と規格で確かめてください。各社の製品・サービスは、その会社の公開情報にもとづきます。

