温度・圧力・荷重のセンサーの値が、細かく揺れる。インバーターを動かしたときだけ値が乱れる。リレーが切り替わった瞬間に値が跳ねる。記録計をつなぎ足したら、値がずれた。センサーそのものではなく、信号線に入り込むノイズが原因のことも少なくありません。
ノイズの対策は、ノイズがどこから、どの経路で入っているかによって変わります。まず、揺れ方と、揺れが出るタイミングを確かめ、そのうえで、ケーブル・配線と接地・絶縁・伝送のしかた・フィルタのどれが効くかを考えます。次のマトリクスで、自分の課題に近いものと、使える技術を確かめてください。
課題と解決技術のマトリクス
| 課題(症状) | シールド・ツイストペアのケーブル | 配線の分離・接地・発生源の対策 | 絶縁(アイソレーター・信号変換器) | 伝送のしかたを変える(4〜20mA・センサーの近くでデジタル化) | フィルタと平均化 |
|---|---|---|---|---|---|
| Aインバーター・モーターを動かすと、値が細かく揺れる | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
| B電源の周波数(50/60Hz)で、値がゆっくり波打つ | ◎ | ○ | △ | ○ | ◎ |
| Cリレー・電磁弁が動いた瞬間に、値が跳ねる | ○ | ◎ | △ | △ | △ |
| D機器をつなぐ・増やすと、値がずれる・揺れる(グランドループ) | △ | ◎ | ◎ | △ | |
| E熱電対・ひずみゲージなど小さな信号や、長い配線ほど乱れる | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ○ |
◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効
※記号は一般的な傾向に基づく目安です。実際に効く方法は、ノイズの発生源、配線の長さと通り道、接地のしかた、信号の大きさと速さ、計測器の入力回路によって異なります。「絶縁」の「△」(症状B・C)は、コモンモードのノイズには効くものの、信号線どうしの間に乗ったノイズは通ってしまうことを示します。「伝送のしかたを変える」の「△」(症状C・D)は、4〜20mA やデジタル信号でも、接地や配線の問題が残る場合があることを示します。「フィルタ」の「△」(症状C)は、速い跳ねを消すには信号の応答まで遅くなることを、「シールド」の「△」(症状D)は、シールドの接地の取り方を直す場合を示します。空欄は、その技術だけでは直接の対策になりにくいことを示します。
記号の理由と出典(24件)
マトリクスの記号ごとに、理由と出典をまとめました。出典が「編集部の解説」のものは、この記事の本文の説明をもとにした編集部の評価です。症状の記号を押すと、その症状の説明へ移ります。
| 症状 | 技術 | 記号 | 理由 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| A | シールド・ツイストペアのケーブル | ◎ | インバーターのノイズは電磁誘導などで信号線に入るため、より合わせて誘導電圧を打ち消すケーブルが有効 | JMACS |
| A | 配線の分離・接地・発生源の対策 | ◎ | 動力線と信号線を離すことで、動力線から入るノイズを直接減らせるため | モーノポンプ |
| A | 絶縁(アイソレーター・信号変換器) | ○ | コモンモードのノイズは絶縁で断てるが、発生源や経路そのものの対策ではないため補助的 | 編集部の解説 |
| A | 伝送のしかたを変える(4〜20mA・センサーの近くでデジタル化) | ○ | センサーの近くでデジタル化すれば長い配線でノイズの影響を受けにくくなるため | 共和電業 |
| A | フィルタと平均化 | ○ | 入ってしまった高い周波数のノイズをローパスフィルタで落とせるが、後処理のため補助的 | キーエンス |
| B | シールド・ツイストペアのケーブル | ◎ | 静電シールドは1点で接地すると効果が出るため、50Hz の静電誘導には第一にシールドの使い方を見直す | JMACS |
| B | 配線の分離・接地・発生源の対策 | ○ | 計装用と動力用のアースを分けると、アース電流によるノイズ電圧を避けられるため | エムジー |
| B | 絶縁(アイソレーター・信号変換器) | △ | コモンモードには効くが、信号線どうしの間に乗ったノイズは通ってしまうため条件つき | 編集部の解説 |
| B | 伝送のしかたを変える(4〜20mA・センサーの近くでデジタル化) | ○ | 電流信号はノイズに強いが、電源周波数の誘導を減らす直接の対策ではないため補助的 | エムジー |
| B | フィルタと平均化 | ◎ | 積分時間を電源の周期(20ms/16.7ms)に合わせれば、電源周波数のノイズを減らせるため | キーエンス |
| C | シールド・ツイストペアのケーブル | ○ | 開閉サージは静電結合・電磁誘導で入るため、シールドとツイストが使えるが、発生源の対策が先のため有効止まり | 編集部の解説 |
| C | 配線の分離・接地・発生源の対策 | ◎ | 開閉サージは発生そのものを接点保護回路で断つのがもっとも望ましいため | エムジー |
| C | 絶縁(アイソレーター・信号変換器) | △ | コモンモードには効くが、信号線どうしの間に乗った跳ねは通るため条件つき | 編集部の解説 |
| C | 伝送のしかたを変える(4〜20mA・センサーの近くでデジタル化) | △ | 4〜20mA やデジタルでも接地や配線の問題が残る場合があるため条件つき | 編集部の解説 |
| C | フィルタと平均化 | △ | フィルタで跳ねを消すと信号の応答まで遅くなるため、条件つき | 編集部の解説 |
| D | シールド・ツイストペアのケーブル | △ | シールドの接地の取り方を直す場合に限って効くため条件つき | 編集部の解説 |
| D | 配線の分離・接地・発生源の対策 | ◎ | アースのつなぎ方を変えてループを小さくする・切ることが、グランドループの直接の対策になるため | 三協インタナショナル |
| D | 絶縁(アイソレーター・信号変換器) | ◎ | 入力と出力を絶縁して電流が流れ込まないようにでき、電位差によるグランドループの電流を断てるため | エムジー |
| D | 伝送のしかたを変える(4〜20mA・センサーの近くでデジタル化) | △ | 4〜20mA やデジタルでも接地や配線の問題が残る場合があるため条件つき | 編集部の解説 |
| E | シールド・ツイストペアのケーブル | ◎ | 小さな信号は、シールド線を使い1点接地の場所を正しく選ばないと正確に測れないため | エムジー |
| E | 配線の分離・接地・発生源の対策 | ○ | 配線を短くすればノイズを拾いにくくなるが、小さな信号の根本策ではないため有効止まり | 編集部の解説 |
| E | 絶縁(アイソレーター・信号変換器) | ○ | 変換器・アイソレーターで受ける側と絶縁できるが、長い配線で拾う分は防げないため有効止まり | 編集部の解説 |
| E | 伝送のしかたを変える(4〜20mA・センサーの近くでデジタル化) | ◎ | 小さな信号は、測定点の近くで4〜20mA に変えれば長い配線でも乱れにくくなるため | エムジー |
| E | フィルタと平均化 | ○ | フィルタで乱れを落とせるが、応答が遅くなるため補助的 | エムジー |
課題の診断と解決策
揺れ方と、揺れが出るタイミングから、疑う原因と、まず試す対策の見当をつけられます。症状ごとの詳しい見方は、下のカードで確かめてください。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
インバーター・モーターを動かすと、値が細かく揺れる
モーターを止めているときは落ち着いている温度や圧力の値が、インバーターを動かすと細かく揺れ出す。表示がちらつき、しきい値を誤って超える。

- 起きている現象
- インバーターは、直流の電圧を高速でスイッチングしてモーターに電力を送ります。このときに出る高い周波数のノイズが、動力線から信号線へ、電磁誘導・静電誘導・電線を伝わる伝導・放射で入り込みます。日本電機工業会の資料では、インバーターの電磁ノイズの周波数帯を10kHz〜30MHz 程度とし、現象の例に「センサ類の誤検出/誤動作」を挙げています。
- 解決に使える技術
- シールド・ツイストペア信号線をシールド付きのツイストペアにする
- 配線の分離動力線と信号線を離す・仕切る・金属管に入れる
- フィルタ測りたい変化より速い成分をローパスフィルタで落とす
- デジタル化センサーの近くでデジタル信号に変えて送る
インバーターの設定(キャリア周波数)を下げると放射ノイズが減る場合がありますが、モーターの磁気騒音が増えます。まず、どこから入っているかを確かめます。
電源の周波数(50/60Hz)で、値がゆっくり波打つ
記録した波形を拡大すると、1秒間に50回(または60回)の周期で値が揺れている。熱電対の温度が、いつも少しだけ上下している。

- 起きている現象
- 交流電源の電圧が、線と線の間の浮遊容量を通って入る静電結合や、トランス・モーター・動力線の電流がつくる磁界による電磁誘導で、電源の周波数のノイズが乗ります。数mV の小さな電圧信号ほど、影響を受けやすくなります。
シールドは、つなぎ方で効果が変わります。静電シールドは1点で接地するのが基本で、両端で接地するとかえって誘導を拾うことがあります。
リレー・電磁弁が動いた瞬間に、値が跳ねる
ふだんは安定している値が、電磁弁やリレーが切り替わった瞬間だけ、とがったように跳ねる。異常値として記録されてしまう。

- 起きている現象
- 電磁接触器・リレー・ソレノイドなどのコイルを入り切りすると、磁束が急に減ることで高いサージ(開閉サージ)が出ます。このスパイク性のノイズは、高い電圧・大きな電流・高い周波数を含むため、静電結合や電磁誘導で信号線に入りやすくなります。
- 解決に使える技術
- 発生源の対策接点保護回路を付け、ノイズの発生を断つ
- シールド・ツイストペア静電結合・電磁誘導の対策をそのまま使う
フィルタで跳ねを消そうとすると、計器の応答が遅くなります。速い応答が必要な信号やパルスの信号には向きません。
機器をつなぐ・増やすと、値がずれる・揺れる
新しい記録計を並列につないだら、元の計器の値がずれた。センサーを別の架台に付け替えたら、値がふらつき始めた。

- 起きている現象
- センサー側と計測器側の両方で接地していると、2つの接地点の電位の差で電流が回る「グランドループ」ができます。その電流が信号線やシールドを流れて、値がずれたり、ノイズが乗ったりします。2台の計器のマイナス側がどちらも接地されていて、片方の計器に信号が入らなくなる例もあります。
- 解決に使える技術
- 絶縁(アイソレーター)入力と出力を絶縁して、電流の道を断つ
- 接地の見直し接地の取り方を変えてループを小さくする・切る
- シールドの接地静電シールドは片側(1点)で接地する
アースを外してループを切ると、安全の面で問題が出ることがあります。その場合は、アイソレーターで信号の側を分ける方法もあります。
熱電対・ひずみゲージなど小さな信号や、長い配線ほど乱れる
熱電対の温度が、配線を延ばした所だけ不安定になった。ロードセルの値が、ケーブルを引き回した現場で安定しない。

- 起きている現象
- 熱電対(K 型)の起電力は1℃あたり約40μV と小さく、わずかなノイズの電圧でも温度の誤差になります。エムジーの解説では、0〜10mV の電圧信号は数mの配線でも、シールド線を使い、1点接地の場所を正しく選ばなければ正確な計測は難しいとしています。
- 解決に使える技術
- 伝送のしかたを変えるセンサーの近くで4〜20mA やデジタル信号に変える
- シールド・ツイストペアシールド線とツイストペアを使い、接地点も選ぶ
- 絶縁変換器・アイソレーターで受ける側と絶縁する
配線を短くできるなら、ノイズを拾いにくくなります。変換器をセンサーの近くに置く場合は、置き場所の温度や振動にも気をつけます。
なぜ、センサーの値にノイズが乗るのか
ノイズが入る経路は、主に4つ
ノイズは、電流や電圧が急に変わる所で出ます。富士電機テクニカの解説では、インバーターなどで出たノイズが電線を伝わって入る「伝導ノイズ」、平行な電線の一方に流れる電流で他方に電圧が起きる「電磁誘導ノイズ」、電位の変動が浮遊容量を通って入る「静電誘導ノイズ」、空中に放射される「放射ノイズ」に分けています。経路によって効く対策が違うので、まず経路を見当づけます。

出典:富士電機テクニカ「ノイズは、どうして発生するのですか?」の分け方をもとに AI(Claude)で作成(線の位置は模式)
エムジーの解説では、静電結合によるノイズは電源の電圧が原因で、電磁誘導によるノイズは電流が原因であり、しくみが違うため対策も違うとしています。信号線に対してノイズがどう乗るかでも分けられ、信号源に直列に加わる「ノーマルモード」と、信号線と大地の間に加わって2本の信号線に同じように伝わる「コモンモード」があります(富士電機テクニカ)。
小さな信号ほど、ノイズに弱い

同じ大きさのノイズでも、信号が小さいほど、値の乱れは大きくなります。K 型熱電対の起電力は1℃あたり約40μV なので、わずか22μV の余計な電圧でも約0.55℃の誤差になります(エムジーの計算例。ノイズではなく、断線検出用の電流と100m の補償導線の抵抗で生じる電圧の例)。これに対して、4〜20mA の電流信号は信号のレベルが高く、受ける計器から見たインピーダンスが低いため、ノイズに強い信号です(エムジー)。
原因の切り分け方
原因を切り分けるには、まず揺れの周期と、揺れが出るタイミングを見ます。次は編集部の目安です。インバーターやモーターを止めると収まるなら、動力線からの高い周波数のノイズを疑います。50Hz・60Hz の周期で揺れるなら電源の周波数のノイズ、リレーや電磁弁の動作と同時に跳ねるなら開閉サージ、機器をつなぎ足したとき・付け替えたときから始まったならグランドループを疑います。配線を短くしたとき、センサーの近くで測ったときに収まるかどうかも、手がかりになります。
出典:ノイズは、どうして発生するのですか?|富士電機テクニカ、ノーマルモードノイズとコモンモードノイズ|富士電機テクニカ、配線とノイズ(1)|エムジー 計装豆知識、配線とノイズ(2)|エムジー 計装豆知識、熱電対・変換器間の導線による温度測定誤差と対策|エムジー 計装豆知識、インバータを使用した制御盤の設計にあたって|日本電機工業会
解決技術の詳細
ノイズの対策は、入れない(ケーブル・配線・接地)、断つ(絶縁)、強い信号で送る(伝送のしかた)、残ったものを落とす(フィルタ)の順に考えます。エムジーの解説は、フィルタは計器の応答を遅くするため、もっとも望ましいのはノイズを信号に混入させないことだとしています。
シールド・ツイストペアのケーブル

静電誘導のノイズには、金属テープや銅線編組で信号線を覆う静電シールドが効きます。JMACS の技術資料では、静電しゃへいは1点で接地し、接地しなかったり両端で接地したりすると、しゃへい効果が著しく減ったり、かえって誘導を拾ったりするとしています。エムジーは、信号が絶縁されている場合、シールドは信号を受ける計器の側で接地するとしています。

出典:JMACS「ケーブルのノイズ対策」、エムジー「配線とノイズ(1)」などをもとに AI(Claude)で作成(より・電界の線は模式)

磁界によるノイズ(電磁誘導)には、信号線の2本をより合わせるツイストペアが効きます。発生した誘導電圧が互いに打ち消し合うためです(JMACS)。JMACS の資料は、並行線を基準にした雑音除去率を、よりのピッチ4インチで14:1、1インチで141:1 と示しています。銅テープだけのシールドでは電磁遮蔽の効果は期待できず、銅テープの上に鉄テープを重ねたケーブルを使い、鉄テープは両端で接地するとされます(エムジー)。

出典:JMACS「ケーブルのノイズ対策」の表をもとに AI(Claude)で作成(元の出典は『ノイズ対策ハンドブック』日刊工業新聞社。インチの換算は編集部)
配線の分離・接地・発生源の対策

動力線と信号線を離すのは、もっとも基本の対策です。モーノポンプの技術コラムでは、インバーターの動力線と相手機器の信号線は分離し、分離できない場合でも、できれば30cm(最低でも10cm)以上離すとし、近くの制御線にはツイストペア線を使うことが必須としています。三菱電機の用語集では、静電誘導の対策として、電線を太さの40倍以上離すか、シールドするとしています。

出典:モーノポンプ、三菱電機 FA 用語集、JMACS、東芝産業機器システムの記載をもとに AI(Claude)で作成(絵は模式)
接地にも注意が要ります。エムジーの解説では、アースに電流が流れると接地抵抗によってノイズの電圧が出るため、計装用と動力用のアースは分けて設置することが必要だとしています。東芝産業機器システムの FAQ も、インバーターと他の機器は別々に接地し、接地線はできるだけ太く、機器の近くで短くするとしています。リレーや電磁弁の開閉サージは、接点保護回路を付けて、発生そのものを断つのがもっとも望ましい方法です(エムジー)。
絶縁(アイソレーター・信号変換器)

グランドループや、信号線と大地の間に加わるコモンモードのノイズには、入力と出力を電気的に絶縁するアイソレーターが効きます。エムジーのアイソレーターは、入力部と出力部の間を100MΩ以上(500VDC)で絶縁し、入力と出力に電位差があっても互いに電流が流れ込まないとしています。デュージャパンの解説も、複数の接地経路による電位差で電流のループが生じて信号が歪むとし、絶縁で解決する方法を紹介しています。

出典:三協インタナショナル「グランドループ」、デュージャパン、エムジーの解説をもとに AI(Claude)で作成
計測器の側で絶縁する方法もあります。キーエンスの解説では、入力回路の各チャンネルの間を半導体リレーで絶縁すると、コモンモードノイズの影響を減らせ、各信号のグラウンドに電位差があっても計測できるとしています。
伝送のしかたを変える(4〜20mA・センサーの近くでデジタル化)
配線が長いときは、ノイズに強い信号に変えて送ります。4〜20mA の電流信号では、10V のノイズ電圧が加わっても、変換器の出力側の抵抗が1MΩ以上あるため、流れるノイズの電流は約0.01mA で、信号20mA の1/2,000以下になるとされます(エムジー、三協インタナショナル)。測定値0で4mA を出すため、断線して0mA になれば異常とわかります。

出典:エムジー「4〜20mA DC 電流信号」、三協インタナショナルの計算例をもとに AI(Claude)で作成

熱電対のように小さな信号は、測定点のすぐ近くに変換器を置き、4〜20mA に変えてから計器室まで送るのも良い方法です(エムジー)。ひずみゲージ式のセンサーでは、センサーの近くに置く変換ユニットでデジタル信号(RS-485・CAN)に変える製品もあり、共和電業はデジタル信号は長距離伝送・分散配置ができ、ノイズ影響の低減に有効としています。
フィルタと平均化
入ってしまったノイズは、フィルタや平均化で減らします。測りたい変化より速い成分はローパスフィルタで落とします。キーエンスの解説では、動ひずみの計測で不要な高い周波数のノイズを落とすローパスフィルタの設定は不可欠とし、遮断周波数5kHz・-30dB/oct の場合、10kHz・1V の入力は0.03V 以下になる例を示しています。

出典:キーエンス「温度解析の改善」、エムジー「配線とノイズ(1)」をもとに AI(Claude)で作成(波形は模式)
電源の周波数のノイズには、積分(平均化)の時間を電源の周期に合わせる方法があります。キーエンスの温度レコーダの解説では、ノイズの周波数は商用電源と同じ場合が多いため、一定時間の単純平均を行い、積分時間を50Hz 地域では20ms、60Hz 地域では16.7ms に設定するとしています。ただし、フィルタは計器の応答を遅くするため、速い応答が要る信号やパルスの信号には向きません(エムジー)。
出典:配線とノイズ(1)|エムジー 計装豆知識、配線とノイズ(2)|エムジー 計装豆知識、ケーブルのノイズ対策(技術資料)|JMACS、インバーターのノイズ対策|モーノポンプ 技術コラム、静電誘導ノイズ|三菱電機 FA 用語集、ノイズ対策について|東芝産業機器システム インバータ FAQ、アナログ信号インタフェースの必須アイテム|エムジー MGTrend、計測におけるアイソレーションの重要性|デュージャパン、温度解析の改善|キーエンス 計測器ラボ、4〜20mA DC 電流信号|エムジー 計装豆知識、なぜ4-20mA信号はノイズに強いのか?|三協インタナショナル、熱電対・変換器間の導線による温度測定誤差と対策|エムジー 計装豆知識、デジタル変換ユニット NC-100A を発売(共和電業)|PR TIMES、ひずみ解析の改善|キーエンス 計測器ラボ
センサーのノイズ対策の技術を持つ企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。ケーブルを替えたいのか、信号を絶縁したいのか、強い信号やデジタル信号で送りたいのか、フィルタで落としたいのかによって、相談先が変わります。
| 企業 | 解決できる課題 | 種類 | 何ができるか | 合う症状 |
|---|---|---|---|---|
| 三協インタナショナル | センサー・計測器の商社 | 4〜20mA の信号の周辺機器を扱い、シールドの接地やグランドループの減らし方を解説で支える。 | A インバーター・モーターを動かすと、値が細かく揺れる D 機器をつなぐ・増やすと、値がずれる・揺れる E 熱電対・ひずみゲージなど小さな信号や、長い配線ほど乱れる | |
| JMACS | 電線メーカー | 計装・制御用のシールドケーブルやツイストペアのケーブルで、静電・電磁のノイズを防ぐ。 | A インバーター・モーターを動かすと、値が細かく揺れる B 電源の周波数(50/60Hz)で、値がゆっくり波打つ C リレー・電磁弁が動いた瞬間に、値が跳ねる | |
| エムジー | 信号変換器メーカー | アイソレーターと信号変換器で、グラウンドの回り込みやコモンモードのノイズを断つ。 | B 電源の周波数(50/60Hz)で、値がゆっくり波打つ C リレー・電磁弁が動いた瞬間に、値が跳ねる D 機器をつなぐ・増やすと、値がずれる・揺れる E 熱電対・ひずみゲージなど小さな信号や、長い配線ほど乱れる | |
| 渡辺電機工業 | 計測制御機器メーカー | 絶縁変換器(アイソレーター)で、センサー・計器・PLC の間の信号を絶縁する。 | D 機器をつなぐ・増やすと、値がずれる・揺れる | |
| 共和電業 | センサー・測定器メーカー | ひずみゲージ式センサーの信号を、センサーの近くの変換ユニットでデジタル化して送る。 | A インバーター・モーターを動かすと、値が細かく揺れる E 熱電対・ひずみゲージなど小さな信号や、長い配線ほど乱れる | |
| エヌエフ回路設計ブロック | 電子計測器メーカー | ローパスフィルタで、測りたい変化より速いノイズを測定の前に落とす。 | A インバーター・モーターを動かすと、値が細かく揺れる B 電源の周波数(50/60Hz)で、値がゆっくり波打つ |
三協インタナショナル株式会社|4〜20mA・シールド・グランドループを、センサーの周辺機器と解説で支える
三協インタナショナルとは
三協インタナショナルは、東京都中央区日本橋に本社を置く、1962年設立の会社です(資本金9,000万円)。事業内容は、電子部品と各種センサー・計測器などの輸入販売、周辺機器の設計・製造です。
三協インタナショナルの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 4〜20mA の信号 | 4〜20mA は、電流の4〜20mA を0〜100%として表す信号で、大きなノイズ電圧に対しても安定した高い精度で伝送でき、長距離伝送に向くと解説している。0-10V の回路に10V のノイズが乗ると信号に匹敵するノイズが現れるのに対し、4-20mA ではノイズは信号20mA の1/2,000以下になるという |
| シールドケーブルの使い分け | 外からのノイズを防ぐ静電シールドケーブルは片端だけ、磁束を外に出さないための電磁シールドケーブルは両端を接地するのが一般的で、どちらも小さい抵抗値で接地すると効果が期待できるとしている |
| グランドループの対策 | シールドケーブルの両端が接地され、機器のアースに電位差があると、シースに微弱な電流が流れてノイズの原因になりうるとし、アースのつなぎ方を変えてループを小さくする・切る、アイソレーション装置を使う、などの対処を挙げている |
三協インタナショナルが解決できる課題
- センサーの信号を、ノイズに強い 4〜20mA で送りたい
- シールドケーブルの接地のしかたを見直したい
- 機器をつないだら出てきたノイズ(グランドループ)を減らしたい

出典:なぜ4-20mA信号はノイズに強いのか?|三協インタナショナル、『シールドケーブル』について|三協インタナショナル、グランドループ|三協インタナショナル、会社概要・沿革|三協インタナショナル
JMACS株式会社|計装・制御用のケーブルで、静電・電磁のノイズを防ぐ
JMACSとは
JMACS は、兵庫県加東市に本社・本社工場を置く、1965年設立の電線メーカーです(東証スタンダード上場、従業員112名)。計装・制御・通信・防災用の各種ケーブル、光ファイバーケーブルの企画・製造・販売などを行っています。
JMACSの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 静電しゃへいのケーブル | 銅やアルミなどの金属テープや銅線編組でケーブルをしゃへいし、静電誘導などの外来ノイズを軽減する。静電しゃへいは1点で接地し、接地しなかったり両端で接地したりすると、しゃへい効果が著しく減ったり、かえって誘導を拾ったりするとしている |
| 電磁しゃへいとツイストペア | 磁界によるノイズには、銅と鉄のテープを使った電磁しゃへい(両端で接地)と、信号線の2本をより合わせたツイストペア構造が有効としている。よりのピッチを小さくするほどノイズを減らす効果が大きいとして、並行線と比べた雑音除去率の表を示している |
| 配線のしかた | 電源線と信号線は可能な限り離し、同じ金属ダクトに入れるときは金属セパレーターで分けてダクトを接地する、信号線を金属の電線管に入れる、といった方法を示している |
JMACSが解決できる課題
- インバーターや動力線の近くを通る信号線のノイズを減らしたい
- 静電シールドと電磁シールドのどちらが要るか、接地をどうするか決めたい
- 計装用のケーブルを、ノイズの条件に合わせて選びたい

出典:JMACS「ケーブルのノイズ対策」の記載をもとに AI(Claude)で作成
出典:ケーブルのノイズ対策(技術資料)|JMACS、会社概要|JMACS
株式会社エムジー(旧 エム・システム技研)|アイソレーターと信号変換器で、グラウンドの回り込みとノイズを断つ
エムジーとは
エムジーは、大阪市中央区に本社を置く、1972年創立の会社です(資本金9,600万円、従業員292名)。2024年1月にエム・システム技研から社名を変えました。計装用信号変換器、電子機器専用避雷器、遠隔測定・多重伝送・自動制御用などの各種電子機器の製造販売を行っています。
エムジーの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| アイソレーター(信号絶縁器) | 入力部と出力部の間を高インピーダンス(100MΩ以上/500VDC)で絶縁し、入力と出力に電位差があっても互いに電流が流れ込まないようにする。信号の回り込み防止、ノイズの影響の除去、機器の保護などに使うとしている |
| 現場に置く2線式の変換器 | 熱電対の配線が長いときの対策として、測定点のすぐ近くに現場設置形の2線式変換器を置き、ノイズに強い4〜20mA DC の電流信号に変えて計器室まで送る方法を紹介している |
| 配線とノイズの解説 | 技術情報誌の「計装豆知識」で、静電結合・電磁誘導・スパイク性ノイズ・接地によるノイズの原因と、シールドの接地、ツイストペア、計装用と動力用のアースを分けることなどの対策を解説している |
エムジーが解決できる課題
- 2台の計器をつないだら、片方に信号が入らない・値がずれる
- コモンモードのノイズを、受ける側の機器に入れたくない
- 熱電対の配線が長く、途中でノイズを拾う

出典:エムジー MGTrend「アナログ信号インタフェースの必須アイテム」の説明をもとに AI(Claude)で作成
出典:アナログ信号インタフェースの必須アイテム|エムジー MGTrend、4〜20mA DC 電流信号|エムジー 計装豆知識、熱電対・変換器間の導線による温度測定誤差と対策|エムジー 計装豆知識、配線とノイズ(1)|エムジー 計装豆知識、配線とノイズ(2)|エムジー 計装豆知識、沿革・会社概要|エムジー
渡辺電機工業株式会社|絶縁変換器(アイソレーター)で、機器の間の信号を絶縁する
渡辺電機工業とは
渡辺電機工業は、東京都渋谷区に本社を置く、1940年創業・1951年設立の会社です(資本金4,500万円、従業員184名)。計測制御機器の開発・製造・販売を行っています。
渡辺電機工業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 絶縁変換器(アイソレーター)WSP-IS | 直流電圧・直流電流の信号を入力し、直流電圧・直流電流で出力する絶縁変換器。耐電圧は AC3000V、許容差は ±0.1%fs、応答速度(0→90%)は25ms としている |
| 電源の選択肢 | 電源は AC100〜240V、DC24V、DC10.8〜30V、DC110V から選べるとしている |
渡辺電機工業が解決できる課題
- センサー・計器・PLC の間の信号を絶縁したい
- 既存の直流電圧・電流の信号を、絶縁したうえで別の機器に渡したい

出典:渡辺電機工業の製品ページのスペックをもとに AI(Claude)で作成
出典:絶縁変換器(アイソレータ) WSP-IS|渡辺電機工業、会社概要・沿革|渡辺電機工業
株式会社共和電業|ひずみゲージ式センサーの信号を、センサーの近くでデジタル化する
共和電業とは
共和電業は、東京都調布市に本社を置く、ひずみゲージとそれを使ったセンサー・測定器のメーカーです(東証スタンダード上場、従業員523名)。ひずみゲージを日本で最初に商品化したとしています。
共和電業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| デジタル変換ユニット NC-100A | ロードセル・圧力センサーなど、ひずみゲージ式センサーのアナログ信号を RS-485・CAN のデジタル信号に変えて出力する。デジタル信号はアナログ信号と比べて長距離伝送・分散配置ができ、省配線化やノイズ影響の低減に有効としている |
| センサーの近くに置ける大きさ | 名刺サイズで軽く、センサーの近くなど狭い場所にも置けるとしている(2026年2月2日発売) |
共和電業が解決できる課題
- ロードセル・圧力センサーの微小なアナログ信号を、ノイズを拾う前にデジタル化したい
- センサーが離れた場所に散らばっていて、長いアナログ配線を減らしたい

出典:共和電業のプレスリリース(NC-100A)の記載をもとに AI(Claude)で作成(機器の絵は模式)
出典:デジタル変換ユニット NC-100A を発売(共和電業のプレスリリース)|PR TIMES、会社概要|共和電業
株式会社エヌエフ回路設計ブロック|ローパスフィルタで、必要な周波数より上のノイズを落とす
エヌエフ回路設計ブロックとは
エヌエフ回路設計ブロックは、横浜市港北区に本社を置く、1959年創業の電子計測器メーカーです(資本金4億円、エヌエフホールディングスの100%子会社)。2020年に持株会社から電子計測制御機器などの事業を承継しました。
エヌエフ回路設計ブロックの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ローパスフィルタの考え方 | ローパスフィルタは直流と低い周波数の信号を取り出し、高い周波数を抑える。主な用途はランダムノイズ(ホワイトノイズ)の除去で、必要な周波数帯がわかっていれば、それより上の成分を抑えたほうが良い測定結果を得やすいとしている |
| 帯域とノイズの関係 | 1µVrms/√Hz のホワイトノイズでは、測る帯域を100倍に広げると、ノイズが10倍になるとしている |
| プログラマブルフィルタ 3344 | 最大8個のフィルタを内蔵し、遮断周波数をロジック信号で設定できる卓上型のローパスフィルタ。多チャネルの A/D 変換のアンチエイリアシングに適するとしている |
エヌエフ回路設計ブロックが解決できる課題
- 測りたい変化より速いノイズを、測定の前に落としたい
- 多チャネルの計測で、A/D 変換の前にフィルタをかけたい

出典:エヌエフ回路設計ブロック「アナログフィルタの基本」の説明をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
出典:アナログフィルタの基本|エヌエフ回路設計ブロック、プログラマブルフィルタ 3344|エヌエフ回路設計ブロック、会社概要|エヌエフ回路設計ブロック
選ぶ前に確かめる条件
メーカーや商社に相談する前に、次の条件を整理しておくと、話が早くなります。
- センサーの種類と出力(熱電対・測温抵抗体・ひずみゲージ・0〜10V・4〜20mA など)と、計測器・PLC の入力の種類
- 乱れ方(細かい揺れ・50/60Hz の波・一瞬の跳ね・ずれ)と、乱れが出るタイミング(インバーターの運転、リレーの動作、機器の追加など)
- 配線の長さと通り道(動力線との距離、同じダクトかどうか)、使っているケーブルの種類
- 接地の場所(センサー側・計測器側・シールドの接地)と、近くの大きな負荷(インバーター・モーター・溶接機など)
- 測りたい変化の速さ(どこまでの周波数を残す必要があるか)と、求める精度
- 盤や現場に変換器・アイソレーターを置く場所と電源があるか、防爆などの制約
関連する課題
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年9月30日





