客先の仕様書に「安全回路は ISO 13849-1 の PLd 以上」と書かれていた。EU に輸出する装置で、機能安全の対応を求められた。非常停止や扉のインターロックを汎用の PLC で組んでいるが、これで足りているのかわからない――。こうした制御で人を守る部分の「どこまでやればよいか」を決めるのが、機能安全の規格です。
この記事では、産業機械・装置の設計者向けに、どの規格に当たるか、安全機能ごとに必要な水準(PLr・SIL)をどう決めるか、カテゴリーと MTTFd・DC で PL をどう示すか、安全部品の選び方、検証と文書、第三者認証が要るかの判断を、流れに沿って切り分けます。設計の段階で故障を洗い出す手法は「設計の段階で故障を洗い出したい(FMEA・FTA)」、防爆は「防爆エリアで電気機器を安全に使いたい」、人や食品に触れる部品の安全は「人や食品に触れても安全にしたい」で扱っています。
機能安全とは:制御で実現する安全の、信頼性の水準
機械の安全は、ISO 12100(JIS B 9700)のリスクアセスメントから始まります。危険源を洗い出してリスクを見積もり、①本質的安全設計、②安全防護と付加保護方策、③使用上の情報の順にリスクを下げます。順番に行い、情報の提供で設計や防護の代わりにはできません(厚生労働省「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説)。

出典:厚生労働省「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説・IDEC「ISO13849-1」の解説・IEC「IEC 62061」・IEC「IEC 61508-1」・TÜV Rheinland「Functional Safety in Automotive」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
②の中で、ライトカーテン・インターロック・非常停止のように制御システムで安全機能を実現するとき、その制御が故障しにくく、故障しても危険にならない度合いを決めるのが機能安全の規格です。機械では、ISO 13849-1(JIS B 9705-1。PL a〜e)か IEC 62061(JIS B 9961。SIL 1〜3)を使います。どちらも、機械の安全関連の制御システムの設計に使える規格です(DGUV の解説)。IEC 62061 は、電気・電子・プログラマブル電子の安全関連系の基本の規格 IEC 61508 の枠組みの中の、機械分野の規格です(IEC)。
自動車の電気・電子システムは ISO 26262 で、IEC 61508 を自動車向けにしたものです。安全の水準は ASIL A〜D の4段階で、D が最も高い水準です(TÜV ラインランド)。この記事では、産業機械・装置の ISO 13849-1 と IEC 62061 を中心に扱います。
出典:機械の包括的な安全基準に関する指針(用語解説)|厚生労働省 職場のあんぜんサイト、IEC 62061:2021|IEC、IEC 61508-1|IEC、Functional Safety in Automotive (ISO 26262)|TÜV Rheinland、Fourth edition of EN ISO 13849-1|DGUV(IFA)
どの規格で、どこまでやるかを切り分ける流れ
まず、リスクを下げるのに制御(安全機能)に頼るかどうかを見ます。頼らないなら、PL・SIL を決める対象はありません。頼るなら、規格と水準を確かめ、回路の構造と部品で満たせるか、計算で示せるか、ロボットなどを組み込むか、第三者の認証が要るかを順に見ていきます。

出典:編集部の整理(IDEC「ISO13849-1」の解説・厚生労働省「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」)をもとに AI(Claude)で作成
A は規格の当てはめと水準の決定、B・C は設計と計算、D はロボットを組み込む装置、E は検証と認証の判断です。どの段階でつまずいているかで、相談する先も変わります(編集部の整理)。
状況ごとの見分け方と対策
状況(A〜E)ごとに、何が求められているか、使える方法、選ぶときの注意、相談できる企業をまとめました。
客先や輸出先から「PLd 以上で」と言われたが、何から始めればよいかわからない
装置の仕様書に「安全回路は ISO 13849-1 の PLd 以上」と書かれていた。いまの設計で足りているのか、どの規格のどこを見ればよいのかがわからない。
- 起きている現象
- 求められているのは、制御で実現する安全機能ごとの信頼性の水準です。PL(パフォーマンスレベル)は a〜e の5段階で、1時間あたりの危険側故障の頻度で区分されます(IDEC)。まず ISO 12100 のリスクアセスメントで、どの危険を制御で守るかを決め、その安全機能ごとに必要な水準(PLr)を決めます。
- 解決に使える技術
- 規格を当てはめるISO 13849-1 か IEC 62061 か
- PLr をリスクグラフで決めるS・F・P の3つで
PL は装置全体に1つではなく、非常停止・扉のインターロックなど、安全機能ごとに決めます。指定の PL を全部の機能に当てはめると、過剰な設計になることもあります(編集部の解説)。
非常停止や扉のインターロックを、汎用の PLC とふつうのスイッチで組んでいる
扉のスイッチの信号を汎用の PLC に入れ、PLC の出力でコンタクタを切っている。規格に合っているのか、どこを替えればよいのかがわからない。
- 起きている現象
- PL は、回路の構造(カテゴリー)・部品の信頼性(MTTFd)・診断の範囲(DC)・共通原因故障の対策(CCF)で決まります(IDEC)。1本の経路で診断のない構造では、1つの故障で安全機能を失うことがあります。PL の計算に使える値が示されていない汎用の部品では、根拠を示しにくくなります。
イーエムテクノロジーは、汎用のリミットスイッチの信号を汎用の PLC に入れてコンタクタを開く回路を、高リスクの危険源の例として挙げ、規格に沿った安全回路の設計を解説しています。どこまで替えるかは、その安全機能の PLr で決まります。
PL を計算したいが、MTTFd や DC の値がわからない・計算が合わない
部品の B10d はカタログにあるが、MTTFd にどう直せばよいかわからない。計算すると PL が PLr に届かない。
- 起きている現象
- 機械的に動く部品は、B10d と年あたりの動作回数(nop)から MTTFd を求めます(MTTFd = B10d ÷(0.1 × nop))。動作回数が多い装置ほど MTTFd は短くなります。値が見つからないときの優先順位は、メーカーの値、規格の附属書の値、の順です(IDEC)。
- 解決に使える技術
- MTTFd・DC を求めて PL を計算B10d・SISTEMA
- カテゴリーを見直す二重化・診断を足す
- 安全部品を選び直す値のそろった部品に
チャネルの MTTFd は計算で100年を超えても100年で頭打ちです(カテゴリー4 は2500年まで。IDEC)。部品の寿命を延ばすだけでは届かないときは、構造と診断を見直します。
ロボット・協働ロボット・AGV を組み込んだ装置の安全をどう示すか迷う
ロボット本体は安全規格に対応している、と聞いて導入した。でも、装置としてどこまで評価すればよいのか、安全柵を外しても大丈夫なのかがわからない。
第三者の認証を取るべきか、自己宣言でよいのか判断できない
EU に輸出する装置の CE マーキングで、認証機関に頼む必要があるのか。客先から「認証書はあるか」と聞かれたが、何を取ればよいのか。
- 起きている現象
- 法規で第三者が必須の場合と、客先・自社の判断で取る場合があります。EU では 2027年1月20日から機械規則 (EU) 2023/1230 が適用され(欧州委員会)、附属書I 第A部の機械は、認証機関(ノーティファイドボディ)の関与が必須です(TÜV ラインランド)。それ以外は、規格に沿った評価と記録で自己宣言する道があります。
認証には、製品(安全機能)の認証、機能安全マネジメントの認証、人の資格があり、目的で選びます(テュフ ラインランド ジャパン)。取引の条件で必要なものを先に確かめます(編集部の解説)。
なぜ、安全機能ごとに安全度水準を決めるのか
故障したときのリスクに見合う信頼性を、数字で示すため
安全機能を制御で実現すると、その制御が故障したときに危険が生じます。そこで、守るリスクが大きい安全機能ほど、故障しにくく、故障を見つけられる制御にします。その目安が PL や SIL で、1時間あたりの危険側故障の平均頻度(PFH)で区分されます。たとえば PL a は、1時間動かすと10万分の1回以上1万分の1回未満の割合で危険側の故障が起きうる水準です(IDEC)。

出典:IDEC「ISO13849-1」の解説・キーエンス「PL(パフォーマンスレベル)」・厚生労働省「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」をもとに AI(Claude)で作成
PL と SIL の関係は、厚生労働省の指針の別紙に示されています。PL b・c が SIL 1、PL d が SIL 2、PL e が SIL 3 に当たり、PL a に当たる SIL はありません。客先の指定が PL か SIL かで、使う規格の言葉を合わせます。
日本でも、製造者が要求安全度水準を決めることが指針で示されている
厚生労働省は「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(平成28年 厚生労働省告示第353号)で、機械等を製造する者が行うこととして、①危険性を特定して要求安全機能を決める、②安全関連システムの要求安全度水準を決める、③その水準を満たすための事項を決めて製造する、を挙げています。水準の指標には IEC 61508 の SIL か ISO 13849 の PL を用います。
同じ指針は、機能安全によるリスク低減より、包括指針の本質的安全設計方策を優先して検討することが望ましい、としています(厚生労働省の指針)。また、労働安全衛生規則 第24条の13(平成24年4月施行)は、機械を譲り渡す者に、残ったリスクなどを使う人に通知することを努力義務としています(厚生労働省のリーフレット)。機能安全は、リスクアセスメントの一部として進めます(編集部の解説)。
出典:ISO13849-1 の解説|IDEC、機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針(参考資料)|厚生労働省、機能安全指針の施行通達(基発0930第32号)|厚生労働省、機械譲渡者等が行う危険性等の通知のリーフレット|厚生労働省
対策の詳しい内容
規格を当てはめる:ISO 13849-1 か IEC 62061 か
まず、客先・輸出先の指定と、その機械の個別の規格(C 規格)があるかを確かめます。個別の規格があれば、そこで求める安全機能や水準が示されていることがあります(編集部の解説)。ISO 13849-1 は電気・電子だけでなく油圧・空圧のシステムにも使える規格で、制御システムの安全関連部の設計と評価に使われます(IDEC)。
どちらの規格を使っても、安全機能ごとに水準を決め、設計し、達成を示す流れは同じです。使う安全部品のデータが PL で示されているか SIL で示されているか、社内の設計の標準がどちらか、で選ぶとまとめやすくなります(編集部の解説)。ISO 13849-1 は、制御システムの安全関連部だけを扱う規格で、安全柵の設計や設置などは別の規格による点にも注意します(IDEC)。
PLr をリスクグラフで決める
ISO 13849-1 の附属書 A のリスクグラフで、安全機能ごとに要求パフォーマンスレベル(PLr)を決めます。安全機能が故障したときを想定し、傷害のひどさ S(S1 軽い/S2 重い)、危険にさらされる頻度と時間 F(F1 まれで短い/F2 頻繁で長い)、避けられる可能性 P(P1 特定の条件で可能/P2 ほとんど不可能)を選ぶと、a〜e のどれかに決まります(キーエンス・IDEC)。

出典:IDEC「ISO13849-1」の解説・キーエンス「PL(パフォーマンスレベル)」・福田隆文「安全度水準やパフォーマンスレベルの計算方法」(厚生労働省)・DGUV(IFA)「Fourth edition of EN ISO 13849-1」をもとに AI(Claude)で作成
キーエンスの評価例では、重傷(S2)・まれ(F1)・回避できる(P1)なら PLr は c です。編集部の例で考えると、材料の補充で頻繁に扉を開け、開けると回転する刃物に手が届き、刃物が急に動き出して避けられない場合は、S2・F2・P2 で PLr e になります。年に数回の保守でゆっくり動くコンベヤに近づき、はさまれても軽いケガで、見て避けられる場合は、S1・F1・P1 で PLr a です。実際の判断は、規格の定義と自社の条件で行います。
2023年版(第4版)では、危険事象が起きる確率を P から分け、ふつうは高いとみなし、低いと見積もれるときはPLr を1段下げてよい(理由を文書に残す)ことになりました。P の判断も5つの要因で補われ、危険が生じる速さ・空間的に避けられるか・危険に気づけるかは、1つが不利なだけで P2 にできます(DGUV の解説)。
カテゴリーを選ぶ:構造と診断
カテゴリーは、安全関連部の構造の型で、B・1・2・3・4 の5つがあります。B・1 は1本の経路で診断がなく、2 は試験装置で定期的に確かめ、3・4 は経路を二重にして互いに監視します。4 は 3 と同じ構造で、診断の性能が高いものです(IDEC)。

出典:IDEC「ISO13849-1」の解説をもとに AI(Claude)で作成
同じ PLr でも、選べるカテゴリーは1つではありません。たとえば PL c のシステムは、カテゴリー1〜3のどれでも組めます(IDEC)。部品の信頼性(MTTFd)と診断の範囲(DC)との組み合わせで、PL が決まるからです。カテゴリー2 以上では、共通原因故障(CCF)の対策が65点以上必要です(キーエンス)。

出典:IDEC「ISO13849-1」の解説・キーエンス「パフォーマンスレベルのパラメータ」・福田隆文「安全度水準やパフォーマンスレベルの計算方法」(厚生労働省)をもとに AI(Claude)で作成
MTTFd・DC を求めて PL を計算する
部品の MTTFd は、メーカーの値、規格の附属書 C・D の値、附属書に値がなければ10年、の順で決めます(IDEC)。スイッチ・リレー・バルブのように機械的に動く部品は、メーカーの B10d と年あたりの動作回数から MTTFd を計算します。

出典:福田隆文「安全度水準やパフォーマンスレベルの計算方法」(厚生労働省)・IDEC「ISO13849-1」の解説をもとに AI(Claude)で作成
厚生労働省のサイトに載っている長岡技術科学大学の福田隆文氏の講義資料の例では、B10d が100万回のスイッチを、365日24時間、900秒に1回開けると、nop は年35,040回、MTTFd は約285年です。ただしチャネルの MTTFd は100年で頭打ちなので、区分は「高」として扱います(IDEC)。こうした計算は、ドイツ労災保険の研究所 IFA が無料で出しているソフト SISTEMA で行えます(DGUV)。
安全部品を選ぶ
安全関連部は、入力(非常停止・安全スイッチ・ライトカーテン)、論理(安全リレー・セーフティコントローラ)、出力(コンタクタ・バルブ・サーボアンプの停止機能)に分けて考えます(IDEC)。それぞれ、PL・SIL・PFH・B10d など、計算に使える値と使う条件が示された部品を選ぶと、計算と説明がしやすくなります(編集部の解説)。

出典:IDEC「ISO13849-1」の解説・キーエンス「PL(パフォーマンスレベル)」・インテリスク「PL計算支援・SRS作成支援サービス」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成

出典:IDEC株式会社(YouTube)
論理部にセーフティコントローラを使うと、複数の入力の監視や停止の順番を、配線を増やさずに組めます。ロボットやサーボの停止に、モーターの動力を切る STO(安全トルクオフ)などの安全機能を使うときは、その機能の PL・SIL と停止までの時間も確かめます(編集部の解説)。サーボとモーション制御のしくみは技術ページ「PID制御・モーション制御」、ノイズで安全回路が誤動作しないための対策は「EMC対策」で解説しています。
出典:ISO13849-1 の解説|IDEC、PL(パフォーマンスレベル)|キーエンス 安全知識.com、パフォーマンスレベルのパラメータ|キーエンス 安全知識.com、Fourth edition of EN ISO 13849-1: Most important new features|DGUV(IFA)、安全度水準やパフォーマンスレベルの計算方法(福田隆文)|厚生労働省、SISTEMA|DGUV(IFA)、ISO13849-1 安全回路の設計|イーエムテクノロジー
検証と文書、第三者認証の判断
妥当性確認と文書を残す
設計の前に、安全機能ごとの安全要求仕様(SRS)を書きます。安全機能の名前、起動する事象、反応、PLr、応答時間、運転モードなどです(DGUV の解説)。設計したら PL を計算し、仕様どおりに動くかを分析と試験で確かめます(妥当性確認)。妥当性確認は ISO 13849-2 で扱われ、2023年版の ISO 13849-1 では要求が本文に入りました(DGUV の解説)。

出典:DGUV(IFA)「Fourth edition of EN ISO 13849-1」・DGUV(IFA)「SISTEMA」・厚生労働省「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」・厚生労働省「機械譲渡者等が行う危険性等の通知」のリーフレットをもとに AI(Claude)で作成
厚生労働省の指針は、要求安全機能・安全関連システム・要求安全度水準などを記録し、保管することを求めています。機械を使う人には、残ったリスクを残留リスクマップや一覧で、取扱説明書の目につく所に載せて知らせます(厚生労働省のリーフレット)。
第三者認証が要るかを判断する
EU では、2027年1月20日から機械指令 2006/42/EC に代わって機械規則 (EU) 2023/1230 が適用されます(欧州委員会)。TÜV ラインランドの解説では、附属書I 第A部の機械は、認証機関(ノーティファイドボディ)の関与が必須です。対象かどうかは、輸出の前に規則の本文と認証機関で確かめます(編集部の解説)。

出典:欧州委員会「Machinery」・TÜV Rheinland「New Machinery Regulation (EU) 2023/1230」・テュフ ラインランド ジャパン「機能安全 評価・認証」・NECA「セーフティアセッサ資格」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
法規で必須でなくても、客先が認証書を求める、安全部品として他社に売る、設計する組織の力量を示したい、といった場合は、第三者の評価を使います。認証には、製品の評価・認証、機能安全マネジメントの評価・認証があり(テュフ ラインランド ジャパン)、国内の機関による ISO 13849-1 に基づく適合性証明の例もあります(JQA)。人の力量の資格には、日本電気制御技術工業会(NECA)がスキームを持ち、日本認証が試験を行うセーフティアセッサ資格があります(NECA)。

出典:IDECファクトリーソリューションズ株式会社(YouTube)
出典:Fourth edition of EN ISO 13849-1: Most important new features|DGUV(IFA)、機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針(参考資料)|厚生労働省、機械譲渡者等が行う危険性等の通知のリーフレット|厚生労働省、Machinery|European Commission、New Machinery Regulation (EU) 2023/1230|TÜV Rheinland、機能安全 評価・認証|テュフ ラインランド ジャパン、ISO 13849-1 に基づく適合性証明書の発行|JQA、セーフティアセッサ資格|NECA
機能安全の対応を相談できる企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。安全機器のメーカー、リスクアセスメントと PL の計算を支援する会社、第三者の認証機関を挙げました。
IDEC株式会社|安全コンサルティングと安全機器
IDECとは
IDEC は、大阪府大阪市淀川区に本社を置く、制御機器・安全機器の会社です(1945年創業、1947年設立)。安全機器と、機械設備の安全化を支援する安全コンサルティングを扱っています。
IDECの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 安全コンサルティング | 2005年に開始し、自動車・半導体・食品などの設備製造の顧客に合計200件以上(2020年4月現在)の実績がある、としている。リスクアセスメント支援・保護方策の策定支援・制御システムの安全関連部の評価支援・CE マークの適合性確認支援 |
| 規格の解説 | ISO 13849-1 の PL と PFH の区分、リスクグラフによる PLr の決め方、カテゴリー、MTTFd(チャネルの値は100年で頭打ち、カテゴリー4は2500年まで)を解説し、計算ソフト SISTEMA の使い方も載せている |
| 安全機器 | セーフティコマンダ HT4P 形などの安全機器を扱う。公式の YouTube チャンネルでは、状態監視の機能をもつセーフティコントローラ FS3A 形を紹介している |
IDECが解決できる課題
- 自社の装置のリスクアセスメントや、安全関連部の評価が正しいか確かめたい
- 非常停止・インターロックの論理部を、セーフティコントローラで組みたい

出典:IDEC「安全コンサルティング」・IDEC「ISO13849-1」の解説・IDEC「安全機器」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|IDEC、安全コンサルティング|IDEC、ISO13849-1 の解説|IDEC、SISTEMA とは|IDEC、安全機器|IDEC
IDECファクトリーソリューションズ株式会社|PL の計算結果の確認と協働ロボットの安全化
IDECファクトリーソリューションズとは
IDECファクトリーソリューションズは、愛知県一宮市に本社を置く、IDEC の100%子会社です(1972年設立)。制御盤・ロボットシステムと、海外規格への適合や安全化の「安全コンサルティング」サービスを扱っています。
IDECファクトリーソリューションズの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 海外規格への適合 | 北米・EU に輸出する装置の規格適合、技術文書(TCF)の作り方、制御盤を載せる装置全体の電気面・ハード面の相談に対応する、としている |
| PL の計算結果の確認 | 活用の場面として、リスクアセスメントが正しく行えているか、パフォーマンスレベルの計算結果に自信が持てない、を挙げている |
| 協働ロボット・AGV の安全化 | 協働ロボットのシステムインテグレータとして、システムの安全化を支援。規格の基礎として IEC 61508・IEC 62061・ISO 13849-1/-2、ロボットの ISO 10218-1/-2・ISO/TS 15066 を挙げる。無人搬送車システムの ISO 3691-4 にも対応 |
IDECファクトリーソリューションズが解決できる課題
- 協働ロボットを組み込んだ装置の安全を、第三者の目で確かめたい
- 北米・EU に輸出する装置の規格適合を、何から始めればよいかわからない

出典:IDECファクトリーソリューションズ「安全コンサルティング」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|IDECファクトリーソリューションズ、「安全コンサルティング」サービス|IDECファクトリーソリューションズ
株式会社キーエンス|ライトカーテン・セーフティコントローラ
キーエンスとは
キーエンスは、大阪府大阪市東淀川区に本社を置く、センサー・計測機器の会社です(1974年設立)。セーフティライトカーテン・セーフティレーザースキャナ・セーフティコントローラなどの安全機器を扱い、解説サイト「安全知識.com」で規格を説明しています。
キーエンスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| PL の解説 | ISO 13849-1 の PL の定義と、PLr を決める S・F・P の3つのパラメーターを評価例とともに解説。重傷(S2)・まれ(F1)・回避できる(P1)なら PLr は c、という例を挙げている |
| パラメーターの解説 | MTTFd・DCavg・CCF(カテゴリー2 以上の構造には65点以上)と、PL の求め方を説明している |
| 安全機器 | セーフティライトカーテン・セーフティレーザースキャナ・セーフティコントローラ。ライトカーテンの設置と安全距離の考え方も解説している |
キーエンスが解決できる課題
- 人が近づく開口部を、ライトカーテンやレーザースキャナで守りたい
- PLr の決め方と PL の求め方を、設計者どうしでそろえたい

出典:キーエンス「PL(パフォーマンスレベル)」・キーエンス「パフォーマンスレベルのパラメータ」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|キーエンス、PL(パフォーマンスレベル)|キーエンス 安全知識.com、パフォーマンスレベルのパラメータ|キーエンス 安全知識.com
インテリスク株式会社|SISTEMA による PL 計算と SRS の作成支援
インテリスクとは
インテリスクは、大阪市中央区を拠点とする、機械安全のコンサルティングに特化した会社です(2023年10月設立)。リスクアセスメント・PL の計算・CE マーキングの自己宣言を支援しています。
インテリスクの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| PL 計算支援 | ISO 13849-1 の PL の計算に SISTEMA を使い、結果を SISTEMA のプロジェクトファイル(.ssm)で、安全関連部のブロック図を PDF で納める。計算の修正は最大3回まで無料、としている |
| SRS の作成支援 | 安全要求仕様(SRS)の作成を支援する。PL の計算は、単純な回路から、STO・SS1 などの機能安全の技術や安全コントローラを使う複雑なシステムまで扱う、としている |
| リスクアセスメント支援 | ISO 12100・ISO/TR 14121-2・ISO 13849-1・SEMI S10 などに沿って、既存の生産ライン、新しい機械の設計段階、ガードとインターロック、ロックアウト・タグアウト(LOTO)のリスクアセスメントを行う |
インテリスクが解決できる課題
- PL の計算を外に頼み、SISTEMA のファイルで受け取りたい
- EU に輸出する機械の、リスクアセスメントと自己宣言の書類をそろえたい

出典:インテリスク「PL計算支援・SRS作成支援サービス」・インテリスク「リスクアセスメント支援サービス」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|インテリスク、ISO 13849-1 PL計算支援・SRS作成支援サービス|インテリスク、リスクアセスメント支援サービス|インテリスク
イーエムテクノロジー株式会社|安全回路の設計と CE マーキングの支援
イーエムテクノロジーとは
イーエムテクノロジーは、三重県松阪市にある、CE マーキングの技術サポートの会社です。機械指令・EMC 指令・低電圧指令への適合を支援しています。
イーエムテクノロジーの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 安全回路の設計 | ISO 13849-1(設計のための一般原則)で安全回路の設計と PL の計算を、ISO 13849-2(妥当性確認)で設計した安全回路が妥当かの確認を行う、という整理で解説している |
| CE マーキングの支援 | 産業機械・小型機器の CE マーキング適合支援、規格適合コンサルティング、取扱説明書の作成 |
| 試験 | EMC 試験・安全試験も案内している |
イーエムテクノロジーが解決できる課題
- 汎用の PLC とスイッチで組んだ安全回路を、規格に合う形に直したい
- CE マーキングのために、安全回路の設計から書類までまとめて相談したい

出典:イーエムテクノロジー「ISO13849-1 安全回路の設計」・イーエムテクノロジー公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|イーエムテクノロジー、ISO13849-1 安全回路の設計|イーエムテクノロジー
テュフ ラインランド ジャパン株式会社|機能安全の製品・マネジメントの認証
テュフ ラインランド ジャパンとは
テュフ ラインランド ジャパンは、横浜市港北区に本社を置く、第三者の試験・認証機関です(1983年設立)。機能安全では、製品の評価・認証と機能安全マネジメントの評価・認証を行っています。
テュフ ラインランド ジャパンの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 評価・認証 | IEC 61508・IEC 61511・IEC 62061・ISO 13849 について、機能安全に関する製品の評価・認証と、機能安全マネジメントの評価・認証を行う |
| 国内で完結 | 国内に検査員が常駐し、評価・立会試験・レポート作成も日本国内で完結する、としている |
| 人材育成 | 機能安全規格(IEC 61508/62061/61511・ISO 13849/26262)の FSE 資格コースを提供している |
テュフ ラインランド ジャパンが解決できる課題
- 安全部品・安全機能付きの製品に、第三者の認証を付けたい
- 設計する組織の機能安全マネジメントや、設計者の力量を示したい

出典:テュフ ラインランド ジャパン「機能安全 評価・認証」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要・沿革|テュフ ラインランド ジャパン、機能安全 評価・認証|テュフ ラインランド ジャパン
一般財団法人日本品質保証機構|ISO 13849-1 に基づく適合性証明
JQAとは
日本品質保証機構(JQA)は、東京都千代田区に本部を置く、第三者の認証・試験・検査の機関です(1957年設立)。ロボット安全ソリューションとして、機能安全の評価も行っています。
JQAの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 適合性証明 | 2024年3月15日付で、パナソニック アドバンストテクノロジーの「無線非常停止デバイス(受信機)」に、ISO 13849-1 に基づき安全性を評価し、適合性証明書を発行した、と公表している |
| 規格の解説 | ISO 13849-1 の要求事項のポイントを、リスクアセスメント・パフォーマンスレベル・カテゴリーを中心に解説している |
JQAが解決できる課題
- 開発した安全機器が ISO 13849-1 に合うことを、第三者に証明してもらいたい
- 国内の機関で、機能安全の評価を相談したい

出典:JQA のニュースリリース・JQA「ISO 13849-1とは」・JQA「組織情報」をもとに AI(Claude)で作成
出典:組織情報|JQA、ISO 13849-1 に基づく適合性証明書の発行(ニュースリリース)|JQA、ISO 13849-1とは|JQA
選ぶ前に確かめる条件
機能安全の対応を相談する前に、次のことを整理しておくと話が早く進みます。
- 売り先と規格:国内か、EU・北米か。客先の仕様書が指定する規格(ISO 13849-1・IEC 62061)と水準(PL・SIL)
- 機械の種類:個別の機械の規格(C 規格)があるか。EU の機械規則の附属書I に当たるか
- リスクアセスメント:危険源の一覧と、制御で守る安全機能(非常停止・インターロック・速度の監視など)の一覧
- 安全機能ごとの条件:近づく頻度と時間、ケガのひどさ、避けられるか、止まるまでの時間
- 部品とデータ:使う安全部品の型番、PL・SIL・PFH・B10d、動作回数
- 残したい書類:安全要求仕様・計算の結果・妥当性確認の記録・取扱説明書、第三者の認証が要るか
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・設備ではありません。
情報の確認日:2026年10月23日
