電磁弁が閉まるたびに配管が「ドン」と鳴る。ポンプを止めると逆止弁が「バーン」と鳴る。蒸気を通すと配管がカンカン鳴り、フランジから漏れた。ウォーターハンマー(水撃)は、管の中の流れが急に変わったときに、圧力が急に上がったり下がったりする現象です。
同じ「ドン」という音でも、弁の閉め方、ポンプの止まり方、蒸気配管のドレンなど、起きる場所によって効く対策が違います。困っていることから、次のマトリクスで候補になる対策を確かめてください。
課題と解決技術のマトリクス
| 課題(症状) | 弁の閉め方(閉める時間を延ばす) | 水撃防止器・空気槽・サージタンク | 逆止弁とポンプの止まり方 | 蒸気配管のドレン排出 | 計算・解析と圧力の測定 |
|---|---|---|---|---|---|
| A電磁弁・水栓・バルブを急に閉めると「ドン」と鳴り、配管が揺れる | ◎ | ◎ | ○ | ||
| Bポンプが止まったとき、逆止弁が「バーン」と鳴る | ○ | ○ | ◎ | ○ | |
| Cポンプが止まると高い所で圧力が下がる(負圧・水柱分離) | ◎ | ○ | ◎ | ||
| D蒸気配管でカンカン・ドーンと鳴る(スチームハンマー) | ○ | ◎ | △ | ||
| E継手の漏れや破損がくり返し、どこで起きているか分からない | △ | △ | △ | ◎ |
◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効
※記号は一般的な傾向に基づく目安です。どの対策が合うかは、流体(水・蒸気)、管路の長さと高低差、管の材質、流速、ポンプの大きさ、弁の種類によって変わります。症状Aの「弁の閉め方」の「◎」は、水栓をゆっくり閉止すれば緩和できるとする解説(水道技術研究センター)と、バルブの開閉時間を長く取る必要があるとする資料(日本ダクタイル鉄管協会)、「水撃防止器」の「◎」は、閉止する器具の直近に水撃防止器を付けるとする解説(水道技術研究センター、ベン)、「計算・解析」の「○」は、閉める時間と圧力波の往復時間(2L/a)で急閉か緩閉かを判定する方法(農林水産省の技術書、日本ダクタイル鉄管協会)を示しています。症状Bの「逆止弁とポンプの止まり方」の「◎」は、逆流が始まる前にチャッキ弁が閉じればよいとし、カウンタウェイトやスプリング式の逆止弁への交換を挙げる解説(水道技術研究センター)、緩閉逆止弁・急閉そく式逆止め弁(農林水産省の技術書)とスイングチャッキの交換で衝撃音が消えた事例(イシザキ)、「弁の閉め方」の「○」は、逆止弁を省いて主吐出し弁を油圧・水圧で自動緩閉する方法(農林水産省の技術書)、「サージタンク」の「○」は、通常のサージタンクが負圧を軽減するとともに圧力上昇も吸収するとする説明(同)、「計算・解析」の「○」は、ポンプの急停止の水撃圧の検討の事例(日本水工コンサルタント)を示しています。症状Cの「空気槽・サージタンク」の「◎」は、負圧の防止対策として空気槽・ワンウェイサージタンク・サージタンクを挙げる表(農林水産省の技術書)と、負圧が5〜7m 以上ならサージタンクなどの対策が必要とする資料(日本ダクタイル鉄管協会)、「ポンプの止まり方」の「○」は、フライホイールで回転体のはずみ車効果を大きくする方法(農林水産省の技術書。小型機に有効で、大型機や長い管路には不適とされる)、「計算・解析」の「◎」は、最低圧力勾配線で負圧を確かめる方法(日本ダクタイル鉄管協会)とフライホイールの要否を解析で決めた事例(日本水工コンサルタント)を示しています。症状Dの「ドレン排出」の「◎」は、スチームトラップを適切に設置して蒸気輸送管内のドレンを素早く確実に排除することが肝要とする解説(TLV)と、復水を速やかに排出させるとする解説(ミヤワキ)、「弁の閉め方」の「○」は、バルブをゆっくり開くとする解説(TLV)と、蒸気量を徐々に増やすとする解説(ミヤワキ)、「計算・解析と測定」の「△」は、温度が大きく変わる場所をサーモビジョンで見つけるとする解説(TLV)を示しています。症状Eの「計算・解析と測定」の「◎」は、水圧を測って原因を絞り込んだ事例(横浜市水道局、水道技術研究センター)と、実測と解析を比べた事例(日本水工コンサルタント)を示し、そのほかの「△」は、原因が分かったあとに、その原因に合う対策として使うことを示しています(編集部の解説)。◎は、業界の資料や企業の情報で、その症状に直接はたらくとされている対策、○は効果が期待できる対策、△は条件によって有効な対策を示します(記号の根拠は、下の「解決技術の詳細」と企業紹介の各出典です)。空欄は、その対策だけでは直接の対策になりにくいことを示します。
課題の診断と解決策
ウォーターハンマーは、弁を閉める所、ポンプと逆止弁、管路の高い所、蒸気配管のドレンのたまる所で起きやすく、場所によってまず見る対策の見当をつけられます(編集部の整理)。症状ごとの詳しい見方は、下のカードで確かめてください。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
電磁弁・水栓・バルブを急に閉めると「ドン」と鳴り、配管が揺れる
電磁弁が閉まるたびに配管がドンと鳴る。洗浄機の給水を止めると、壁の中の配管が揺れる。

- 起きている現象
- 流れている水を急に止めると、水の運動エネルギーが圧力に変わり、弁の直前で高い圧力が生じて上流へ伝わります。水道技術研究センターは、閉止する前の流速が速いほど、閉止する時間が短いほど、高い圧力が発生するとしています。
- 解決に使える技術
- 閉める時間を延ばす2L/a より長くかけて閉める
- 水撃防止器を器具の直近に付ける空気・窒素が縮んで吸収する
- 急閉かどうかを計算で確かめる管の長さと圧力波の速さから
水撃防止器は付ける場所で効き方が変わります。水道技術研究センターとベンは、閉止する器具の直近に付けることを挙げています。適用する流速・圧力の範囲も確かめます。
ポンプが止まったとき、逆止弁が「バーン」と鳴る
ポンプを止めるたびに、逆止弁のあたりでバーンと大きな音がする。停電のあとに配管の継手から漏れた。

- 起きている現象
- スイングチャッキやリフトチャッキは、構造上、流体が逆流を始めてから閉止されるため、ポンプが止まると逆向きの流れで急に閉まり、ウォーターハンマーを生じることがあります。二次側の高置水槽が高いほど、圧力タンクの圧力が高いほど大きくなります(水道技術研究センター)。
- 解決に使える技術
- 逆流の前に閉まる逆止弁にするスプリング式・カウンタウェイト
- ゆっくり閉まる逆止弁にするダッシュポット付きの緩閉式
- ポンプの急停止を解析するフライホイールの要否など
ばねで閉める急閉式の逆止弁は、農林水産省の技術書では、スプリング付きのものが多く弁の抵抗が大きいので所要全揚程の計算に注意が要り、小型ポンプ用に適すとされています。ポンプの大きさで向く方式が変わります。
ポンプが止まると高い所で圧力が下がる(負圧・水柱分離)
長い送水管の途中の高い所で、ポンプ停止のたびに配管が鳴る。空気弁から空気を吸い込む。

- 起きている現象
- 動力が止まるとポンプの回転は急に落ち、吐出量が減って管路の水圧が下がり、水柱分離が起こることがあります(日本ダクタイル鉄管協会)。同協会の資料は、最低圧力勾配線で負圧が約10m になると水柱分離が生じるので、負圧が5〜7m 以上ならサージタンクの設置や管路の縦断位置を下げるなどの対策が必要としています。
- 解決に使える技術
- 空気槽・サージタンクで水を補う負圧を防ぐ
- フライホイールでポンプの止まり方をゆっくりにする小型機に有効
- 最低圧力勾配線を求めるどこが負圧になるか
吸気弁は、空気を吸い込ませて異常な負圧を和らげますが、農林水産省の技術書は、空気を吸い込む地点より下流が自然流下になっていない場合は、吸い込んだ空気によってかえって水撃圧が助長されるとしています。
蒸気配管でカンカン・ドーンと鳴る(スチームハンマー)
朝の立ち上げで蒸気を通すと、配管がカンカン鳴る。ドレンを回収する配管でドーンと音がする。

- 起きている現象
- TLV は、蒸気配管のウォーターハンマーには、高速の蒸気に押されたドレンの塊が曲がりやバルブに衝突する型と、蒸気が冷たいドレンに触れて急に凝縮し、ドレンどうしが衝突する型があるとしています。どちらにも、配管にたまったドレンが関わっています。
- 解決に使える技術
- ドレンを素早く抜くスチームトラップ・勾配・ポケット
- 弁をゆっくり開く立ち上げで蒸気量を徐々に増やす
- 温度が急に変わる所を探すサーモカメラ
TLV は、逆勾配の配管では、予定しているトラップに向かってドレンが流れないため、想定外の箇所でドレンの水位が高くなっていることがあるとしています。トラップを付けるだけでなく、配管の勾配も確かめます。
継手の漏れや破損がくり返し、どこで起きているか分からない
フランジのガスケットが何度も漏れる。音はするが、どこで起きているか分からない。

- 起きている現象
- ウォーターハンマーは、配管だけでなく、つながっている建物の設備などが原因で起きることもあります。横浜市水道局の事例では、最初の連絡から原因の特定まで3カ月かかり、原因はマンションの受水槽の定水位弁(FM バルブ)のストレーナーの目詰まりと、減圧弁の不具合が重なったものと考えられています(水道技術研究センター)。
- 解決に使える技術
- 圧力を測って絞り込む反応の強い方へ測る所を移す
- 解析と実測を比べる非定常流解析
- 原因に合う対策をとる防止器・逆止弁・ドレン排出
ふつうの圧力計は、短い時間の圧力の変化を読み取れないことがあります(編集部の解説)。圧力を記録するときは、変化の速さに合う計測器を使います。
なぜ、ウォーターハンマーが起きるのか
流れを急に止めると、運動エネルギーが圧力に変わる

水道技術研究センターは、管を流れている水の先の水栓を急に閉じると、流れている水の運動エネルギーが急に止まって圧力エネルギーに変わり、水栓の直前で高圧が発生し、この高圧の領域が上流へ進むと説明しています。上流の本管で反射して戻り、今度は負圧となって往復し、これを繰り返します。満員電車が急停車したとき、一番前の乗客に後ろの乗客の体重が一気にかかる様子に似ている、としています。

出典:水道技術研究センター「ウォーターハンマ(水撃)の発生要因と対策について」をもとに AI(Claude)で作成
どれくらいの圧力になるか
流れを一瞬で止めたときの圧力の上がり方は、ジューコフスキーの式で求められます。農林水産省の技術書は、水頭で ΔH=-(a/g)ΔV(a:圧力波の伝播速度、g:重力の加速度、ΔV:流速の変化)としています。圧力で書くと、圧力の上がり方≒水の密度×圧力波の速さ×流速の変化です(編集部の解説)。
圧力波の速さは、水の圧縮のしやすさと管のかたさで決まります。農林水産省の技術書の式と値(水の体積弾性係数2.03×10⁶kN/m²、管のヤング係数 鋼管200×10⁶kN/m²・硬質ポリ塩化ビニル管3×10⁶kN/m²)で編集部が計算すると、内径50mm で厚さ3mm の鋼管では約1,320m/s、厚さ4mm の塩ビ管では約460m/s です。鋼管で流速1m/s を一瞬で止めると、圧力は約1.3MPa 上がり、2m/s なら約2.6MPa です(編集部の計算)。管がやわらかいほど、同じ流速でも圧力の上がり方は小さくなります(編集部の計算にもとづく解説)。

出典:編集部が計算し、農林水産省「設計『パイプライン』技術書 8. 非定常的な水理現象の解析」をもとに AI(Claude)で作成
閉める時間が、圧力波の往復時間より短いと「急閉」
弁で起きた圧力波は、水槽などで反射して戻ってきます。管の長さを L、圧力波の速さを a とすると、往復にかかる時間は 2L/a です。農林水産省の技術書は、弁を閉める時間がこれより短い場合を「急閉そく」、長い場合を「緩閉そく」と呼び、急閉そくの水撃圧はジューコフスキーの式、緩閉そくでは逐次計算などで求めるとしています(日本ダクタイル鉄管協会は、緩閉塞にはアリエビの式が用いられるとしています)。
鋼管で長さ10m なら 2L/a は約0.015秒、100m でも約0.15秒です(編集部の計算)。電磁弁やワンタッチの水栓は、これより速く閉まる場合があります(編集部の解説)。

出典:農林水産省「設計『パイプライン』技術書」・日本ダクタイル鉄管協会「ダクタイル鉄管の設計」をもとに AI(Claude)で作成
ポンプが止まったときは、高い圧力と負圧の両方が出る
ポンプが止まると、しばらくは慣性で回っても吐出量が減り、管路の水圧が下がって水柱分離が起こることがあります。逆流が始まると、ほぼ同時に逆止弁が閉まるので、急激に圧力が上昇します(日本ダクタイル鉄管協会)。横浜市水道局の解説は、ウォーターハンマーを、流速が急に変わることで管内の圧力が急に上がったり下がったりし、水柱分離が生じて管内に衝撃が発生し、音や振動が発生する現象としています(水道技術研究センター)。

出典:水道技術研究センター・農林水産省「設計『パイプライン』技術書」・日本ダクタイル鉄管協会をもとに AI(Claude)で作成
蒸気配管では、たまったドレンが原因になる

蒸気配管のウォーターハンマーは、スチームハンマーとも呼ばれます。TLV は、蒸気配管の中では瞬時に10MPa 以上もの急激な圧力変化が起こることがあり、配管の接合部のガスケットやバルブ、フランジが破壊されることがあるとしています。蒸気とドレンの比体積の差は1,000倍以上で、冷たいドレンに触れた蒸気は体積がほぼゼロになり、一時的な真空ができてドレンどうしが衝突します。同社の実験では、ドレンの水位が管の高さの約8割を越えるとウォーターハンマーが始まったとしています。

出典:TLV「ウォーターハンマー1」・同「ウォーターハンマー2」をもとに AI(Claude)で作成
原因の切り分け方
次は編集部の整理です。まず、いつ鳴るか(弁を閉めたとき、ポンプを止めたとき、蒸気を通し始めたとき)を確かめます。弁を閉めたときなら閉め方と水撃防止器、ポンプを止めたときなら逆止弁と負圧、蒸気なら配管のドレンを疑います。いつ鳴るかが決まらないときは、つながっている設備も含めて、圧力を測りながら場所を絞り込みます。
出典:ウォーターハンマ(水撃)の発生要因と対策について(水道技術ジャーナル2008年7月)|水道技術研究センター、ウォーターハンマーへの対応事例について(横浜市水道局)|水道技術研究センター、土地改良事業計画設計基準 設計「パイプライン」技術書 8. 非定常的な水理現象の解析|農林水産省、ダクタイル鉄管の設計(Chapter5)|日本ダクタイル鉄管協会、ウォーターハンマー1(発生のメカニズム)|TLV、ウォーターハンマー2(対策総論)|TLV
解決技術の詳細
ウォーターハンマーの対策は、圧力の変化そのものを小さくする(閉め方・逆止弁とポンプの止まり方)、出た圧力を吸収する(水撃防止器・空気槽)、原因のドレンをなくす(蒸気配管)、そして計算・解析と測定で確かめる、の4つの考え方に分けられます。ここでは5つの技術に分けて説明します(編集部の整理)。
弁の閉め方(閉める時間を延ばす)
日本ダクタイル鉄管協会は、自然流下の管路でもポンプの管路でも、バルブを急開・急閉塞するとウォーターハンマーが発生するので、開閉時間を長く取る必要があるとしています。農林水産省の技術書は、バルブの操作時間を、バルブの特性や管理の条件を考えて緩閉そくとなる範囲にするとしています。
ポンプの管路では、逆止弁を省いて、仕切弁・バタフライ弁などの主吐出し弁を油圧・水圧で自動緩閉する方法もあり、農林水産省の技術書は高揚程・大容量のポンプに適すとしています。蒸気配管でも、TLV はバルブをゆっくり開いて蒸気の流速を遅くするとしています。
水撃防止器・空気槽・サージタンク
水撃防止器は、ゴムのダイヤフラムやホース、金属ベローズ、ピストンの接液部と反対側に、所定の圧力に調整した空気や窒素を封入し、水撃を吸収するものです(ベン)。水道技術研究センターは、閉止する器具の直近に取り付けることが重要としています。封入する空気の圧力も大切で、ベンの WHA-6 型は動水圧力の70〜80%としています。
ポンプの管路では、大きな空気槽(エアチャンバ)やサージタンクを使います。農林水産省の技術書は、空気槽は蓄えた圧力エネルギーを放出して圧力の低下を防ぐ(保守がわずらわしいのが難点)、通常のサージタンクは負圧を軽減するとともに圧力上昇も吸収し、効果は理想的だが送水中の圧力が高いと背が高くなって建設費がかさむ、としています。負圧を防ぐワンウェイサージタンクは、高揚程のポンプでも背の低いタンクで済むとしています。

出典:ベン「よくあるご質問」・同「WHA-6 型 カタログ」・農林水産省「設計『パイプライン』技術書」をもとに AI(Claude)で作成
逆止弁とポンプの止まり方
ポンプの逆止弁の水撃は、逆流が始まる前に逆止弁が閉じればよいので、スイングチャッキにカウンタウェイトを付けたり、スプリング式のウェーハチャッキや単式逆止弁に替えたりして防げます(水道技術研究センター)。農林水産省の技術書は、急閉そく式の逆止め弁(スモレンスキ形など)はスプリング付きのものが多く弁の抵抗が大きいので、小型ポンプ用に適すとしています。別の方法として、逆止め弁を自動でゆっくり閉める方法も挙げ、小型ポンプでは逆止め弁を直接緩閉し、中型以上は逆止め弁に大きなバイパスを設けて途中のバイパス弁を自動緩閉するとしています。日本ダクタイル鉄管協会は、油圧ダッシュポットを付けた緩閉逆止弁で圧力の上昇を低減できるとしています。
負圧には、ポンプの止まり方をゆっくりにする方法もあります。フライホイールを付けてポンプの回転体の慣性(GD²)を大きくすると、水柱分離を低減できます(日本ダクタイル鉄管協会)。農林水産省の技術書は、フライホイールは小型機には有効だが、大型機や管長の長いものではフライホイールが過大になり不適としています。

出典:農林水産省「設計『パイプライン』技術書」・水道技術研究センターをもとに AI(Claude)で作成
蒸気配管のドレン排出
TLV は、適切にスチームトラップを設置し、蒸気輸送管内のドレンを素早く確実に排除することが肝要としています。逆勾配の配管や先止まりの分岐配管は、ドレンがたまる原因になります。ミヤワキは、復水(ドレン)が配管や装置に比較的大量に残る場合は、蒸気量を徐々に増やしながら(例えば1時間程度かけて)ゆっくり行うのが安全としています。
どこで起きているかを探すときは、TLV は、高温の蒸気と低温のドレンの接触で温度が大きく変わっている場所を見つけることが対策の近道で、サーモビジョンでの可視化が有効としています。小さなハンマーでも、ゆっくりでも破壊に進んでいくため、予防保全として取り組むことが重要としています。

出典:TLV「ウォーターハンマー2」・同「ウォーターハンマー3」・同「ウォーターハンマー6」・ミヤワキ「スチームトラップの選定」をもとに AI(Claude)で作成
計算・解析と圧力の測定
簡単な管路なら、圧力波の速さ a と 2L/a を計算し、急閉か緩閉かを判定して水撃圧の見当をつけられます。日本ダクタイル鉄管協会は、複雑な管路やバルブ制御などを含む場合は、専用ソフトなどにより計算を行うのが一般的とし、簡単な管路系では簡易計算図表で最低圧力を予測できるとしています。農林水産省の技術書は、弾性体理論に基づく非定常流況の解析の手順をまとめています。
実際の管路では、測って確かめます。横浜市水道局の事例では、連絡のあった箇所の周辺の消火栓で水圧を測り、反応の強い方へ測る所を移して原因を絞り込み、建物の周辺だけを一時的に断水して系統を切り替えるなどして検証しました(水道技術研究センター)。

出典:日本ダクタイル鉄管協会「ダクタイル鉄管の設計」・農林水産省「設計『パイプライン』技術書」をもとに AI(Claude)で作成

出典:農林水産省「設計『パイプライン』技術書」・水道技術研究センター(横浜市水道局の事例)・日本水工コンサルタント「管路の非定常流解析」をもとに AI(Claude)で作成
出典:ダクタイル鉄管の設計(Chapter5)|日本ダクタイル鉄管協会、土地改良事業計画設計基準 設計「パイプライン」技術書 8. 非定常的な水理現象の解析|農林水産省、ウォーターハンマ(水撃)の発生要因と対策について(水道技術ジャーナル2008年7月)|水道技術研究センター、ウォーターハンマーへの対応事例について(横浜市水道局)|水道技術研究センター、よくあるご質問|ベン、WHA-6 型 カタログ|ベン、ウォーターハンマー2(対策総論)|TLV、ウォーターハンマー3(蒸気輸送配管の対策)|TLV、ウォーターハンマー6(まとめ)|TLV、スチームトラップの選定|ミヤワキ
ウォーターハンマーの対策技術を持つ企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。器具の近くなら水撃防止器、ポンプなら逆止弁や空気槽、蒸気ならスチームトラップ、原因が分からなければ解析、というように、困りごとで合う相談先が変わります。
| 企業 | 解決できる課題 | 種類 | 何ができるか | 合う症状 |
|---|---|---|---|---|
| ベン | バルブメーカー | 電磁弁や水栓の直近、給水本管に付ける水撃防止器で、閉めたときの衝撃を吸収する。 | A 電磁弁・水栓・バルブを急に閉めると「ドン」と鳴り、配管が揺れる E 継手の漏れや破損がくり返し、どこで起きているか分からない | |
| イシザキ | 逆止弁メーカー | ばねで逆流の前に閉まる逆止弁で、ポンプが止まったときの衝撃音を抑える。 | B ポンプが止まったとき、逆止弁が「バーン」と鳴る E 継手の漏れや破損がくり返し、どこで起きているか分からない | |
| 山商エンジニアリング | 圧力容器メーカー | ポンプ管路のエアチャンバ(空気槽)で、ポンプ停止時の圧力の急な変化を和らげる。 | B ポンプが止まったとき、逆止弁が「バーン」と鳴る C ポンプが止まると高い所で圧力が下がる(負圧・水柱分離) | |
| ミヤワキ | 蒸気機器メーカー | スチームトラップとドレン排出で、蒸気配管にドレンを残さない。 | D 蒸気配管でカンカン・ドーンと鳴る(スチームハンマー) | |
| 日本水工コンサルタント | 建設コンサルタント | 管路の非定常流解析で水撃圧を求め、漏水の原因の究明や水槽の大きさの決定に使う。 | A 電磁弁・水栓・バルブを急に閉めると「ドン」と鳴り、配管が揺れる B ポンプが止まったとき、逆止弁が「バーン」と鳴る C ポンプが止まると高い所で圧力が下がる(負圧・水柱分離) E 継手の漏れや破損がくり返し、どこで起きているか分からない |
株式会社ベン|水撃防止器(器具の直近・給水本管)
ベンとは
ベンは、神奈川県横浜市に本社がある、流体制御弁の専門企業です(1950年にフシマンバルブ製作所として設立)。自動制御弁を中心に製造・販売しているバルブメーカーで、減圧弁・電磁弁・スチームトラップなどとあわせて水撃防止器をそろえています。
ベンの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| WHA-1N 型 水撃防止器(水・温水用) | 集合住宅・高層ビルなどの給水・給湯ラインの水撃を吸収する小型の水撃防止器。呼び径15〜25、流体温度5〜90℃、適用流速3m/s 以下、適用圧力1.0MPa 以下で、水道法性能基準認証登録製品としている |
| WHA-6 型(給水本管ライン・受水槽用) | ブラダ(EPDM)に空気を封入する形で、封入空気圧は動水圧力の70〜80%とし、最大水撃圧力を1.96MPa(水撃防止器を付けない状態での値)としている。ブラダは交換できるとしている |
| 取り付ける所 | 同社の FAQ は、水撃防止器を「ゴムのダイヤフラムやホース、金属ベローズ、ピストン」の接液部と反対側に空気や窒素を封入して水撃を吸収するものとし、基本的にはウォーターハンマーを発生させる機器の直近に設置するとしている |
水撃防止器は、適用する流速と圧力の範囲の中で使います。WHA-1N は流速3m/s 以下が条件です。
ベンが解決できる課題
- 電磁弁やワンタッチの水栓を閉めたときの「ドン」という音と配管の揺れを抑えたい
- 給水本管や受水槽まわりのウォーターハンマーを吸収したい

出典:ベン「WHA-1N 型 水撃防止器」・同「WHA-6 型 カタログ」・同「よくあるご質問」をもとに AI(Claude)で作成
出典:本社・営業所|ベン、会社情報|ベン、WHA-1N 型 水撃防止器|ベン、WHA-6 型 カタログ|ベン、よくあるご質問|ベン
株式会社イシザキ|ばねで逆流の前に閉まる逆止弁
イシザキとは
イシザキは、東京都大田区に東京本社がある会社です(1935年設立)。事業内容は「スモレンスキ チャッキ、フートバルブの開発・製造・販売」とリフォーム商材の専門商社で、茨城県に工場があります。
イシザキの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| スモレンスキ チャッキバルブ | スプリングを内蔵した急閉鎖型のリフト式逆止弁。管内の流体が逆流に転ずる瞬間には、内蔵したスプリングの作用で弁体が完全に閉まっているため、ウォーターハンマーを起こさないとしている。1953年に特許を取得 |
| スイング式との違い | スイング式は逆流によって弁体が閉まるため、閉鎖が遅れて大きな水撃が出るのに対し、スモレンスキ チャッキはスプリングの作用で閉まる、と説明している |
| 材質 | 本体は鋳鉄・ダクタイル鋳鉄・鋳鋼・ステンレス・青銅、シートは NBR・EPDM・FKM・PTFE をそろえ、高温・薬液の流体にも対応できるとしている(使う場合は問い合わせ) |
イシザキが解決できる課題
- ポンプが止まったときに、逆止弁が「バーン」と鳴る
- スイング式の逆止弁を、水撃の出にくい逆止弁に替えたい
公開されている実績
- 水再生センターの送水ポンプ(吐出圧力0.35MPa)で、停止時に圧力タンクの背圧でスイングチャッキが急閉鎖し、大きな衝撃音が出ていた。スモレンスキ チャッキバルブに交換したところ、激しい衝撃音は消えたとしている

出典:イシザキ「スモレンスキ チャッキバルブ」・同「導入事例」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|イシザキ、スモレンスキ チャッキバルブ|イシザキ、導入事例(水再生センターの送水ポンプ)|イシザキ
山商エンジニアリング株式会社|ポンプ管路のエアチャンバ(空気槽)
山商エンジニアリングとは
山商エンジニアリングは、東京都江戸川区にある会社です(1953年設立)。営業品目に、給排水設備機器の第二種圧力容器・水撃防止装置・空気槽・真空タンクの設計・製造販売・保守点検を挙げています。
山商エンジニアリングの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 自動空気補給式エアチャンバ(ATZ 型) | 自動で空気を補給するタイプのエアチャンバで、ウォーターハンマー防止装置として、管路及び付帯設備の保全に広く利用されているとしている。同じページの系統図には、用途として上水道送配水施設・大規模畑地かんがい・下水施設が書かれている |
| 蓄圧式エアチャンバ(VSD 型・ARZ 型) | ブラダゴムを内蔵し、空気の補給が要らないタイプ |
| コンプレッサー式エアチャンバ(ACZ 型) | コンプレッサーで空気を補うタイプ |
どの型が合うか、どれくらいの容量が要るかは、管路の条件で変わります。型ごとの系統図を公開しています。
山商エンジニアリングが解決できる課題
- ポンプが止まったときの圧力の急な低下・上昇を、空気槽で和らげたい
- 送水・配水の管路の水撃対策の設備を選びたい

出典:山商エンジニアリング「水撃防止装置(エアチャンバ)」
出典:会社概要|山商エンジニアリング、水撃防止装置(エアチャンバ)|山商エンジニアリング
株式会社ミヤワキ|スチームトラップとドレン排出
ミヤワキとは
ミヤワキは、大阪府大阪市淀川区に本社・工場がある会社です(1933年創業、1953年設立)。スチームトラップ、蒸気用減圧弁など蒸気関連の流体制御機器と、スチームトラップの診断・管理システムの製造・販売、蒸気・温水関連の省エネルギーのコンサルティングを行っています。
ミヤワキの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| スチームトラップの役割の解説 | 蒸気システムの復水(ドレン)や空気を速やかにシステムの外へ排出させなければならないとし、復水が残ると運転再開時などにウォーターハンマーを起こす可能性があるとしている |
| 立ち上げのときの注意 | 復水が配管や装置に比較的大量に残る場合は、蒸気を一気に流すとウォーターハンマーが懸念されるため、蒸気量を徐々に増やしながら(例えば1時間程度かけて)ゆっくり行うのが安全としている |
| 製品 | バケット式・ボールフロート式・温調式などのスチームトラップと、トラップの診断機器をそろえている |
ミヤワキが解決できる課題
- 蒸気配管でカンカン・ドーンと鳴る
- スチームトラップの選び方と、ドレンを残さない運転を知りたい

出典:ミヤワキ「スチームトラップの機能と作動」・同「スチームトラップの選定」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|ミヤワキ、スチームトラップの機能と作動|ミヤワキ、スチームトラップの選定|ミヤワキ
株式会社日本水工コンサルタント|管路の非定常流解析(水撃圧)
日本水工コンサルタントとは
日本水工コンサルタントは、埼玉県さいたま市大宮区に本社がある建設コンサルタントです(1965年設立)。農業土木・上下水道などの分野で、管路の非定常流解析(水撃圧・サージング)の事例を公開しています。
日本水工コンサルタントの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 管路の非定常流解析 | ポンプやバルブの操作で起きる水撃圧とサージングを、非定常流解析で検討する |
| ポンプの急停止の対策 | 停電によるポンプの急停止で、発生する水撃圧が設計内圧・負圧の許容値未満となるよう、フライホイールの要否と規模を検討した事例を紹介している |
| 実測との比較 | 漏水事故や制御バルブの誤作動のときの圧力異常の調査で、実測した水撃圧と解析結果を比べてモデルの適用性を確かめ、継続計測による異常の早期発見と原因究明を行った事例を紹介している |
日本水工コンサルタントが解決できる課題
- 管路の漏水の原因が、水撃圧かどうかを確かめたい
- ポンプの急停止に備えて、フライホイールや水槽の大きさを決めたい
公開されている実績
- 老朽管路の漏水事故の原因究明で、下流側の水槽の流入制御システムの動作によって水撃圧が頻繁に発生していることが分かり、制御システムの改造を提案した
- 自然圧送のパイプラインの調圧水槽で、水槽が小さいほどバルブ閉塞が速く水撃圧が増えることを確かめ、水槽の規模を決めた

出典:日本水工コンサルタント「管路の非定常流解析」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|日本水工コンサルタント、管路の非定常流解析|日本水工コンサルタント
選ぶ前に確かめる条件
相談する前に、次の条件を整理しておくと、話が早くなります。
- 流体(水・温水・蒸気)と温度
- いつ鳴るか(弁を閉めたとき・ポンプを止めたとき・蒸気を通し始めたとき)
- 管の材質・内径・厚さと、弁から水槽などまでの長さ
- ふだんの流速と圧力、弁の閉まる時間
- ポンプの大きさ、逆止弁の種類、管路の高低差
- 漏れや破損が出た場所と、その時期
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年10月2日





