ペルチェ素子(サーモモジュール、熱電素子)は、直流の電流を流すと、片方の面が熱を吸い、反対の面から熱を出す半導体の部品です。ヒートシンクやファンではできない「周りの温度より低く冷やす」ことができ、電流の向きを逆にすれば加熱にも使えます。可動部がなく、小さく静かで、電流で吸熱量を細かく変えられるので、レーザーやセンサー、分析機器の温度調節に使われています。
このページでは、ペルチェ素子の仕組み、仕様の値(Qcmax・ΔTmax など)の読み方と選び方、放熱と取り付け、結露・寿命・電流の流し方の注意をまとめ、素子とペルチェを使った温調機器の企業を紹介します。
ペルチェ素子の企業(早見表)
| 企業 | 素子 (モジュール) | 多段 モジュール | 冷却 ユニット | コント ローラー | 温調装置 (チラー・ 恒温槽) | 技術資料 (選定・ 取り付け) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| KELKサーモ・モジュールの製造販売。光通信向けの微小品から多段まで | ● | ● | ||||
| フェローテックシングル〜多段の素子と、取り付け・選定の資料 | ● | ● | ● | ● | ● | |
| ジーマックス素子から冷却ユニット・電子除湿器まで | ● | ● | ● | ● | ||
| 光伸舎機器に組み込むペルチェユニット・盤用クーラー | ● | ● | ● | |||
| SMCペルチェ式の高精度サーモ恒温槽 | ● | |||||
| 日本ミック海外メーカーの素子・チラーの代理店と技術記事 | ● | ● | ● | ● |
●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。フェローテックの冷却ユニット・コントローラーは標準ASSY・ペルチェコントローラ、日本ミックの冷却ユニットは熱交換器と組み合わせたアセンブリ品、温調装置はペルチェ式チラーの掲載によるものです。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。
この技術で解決できる課題
ペルチェ素子は、周りより低く冷やす・温度を細かく一定に保つ・冷却と加熱を切り替えるための部品です。フェローテックは、電圧・電流の制御で ±0.05℃レベルの温度制御(PID 制御)ができ、可動部がないので振動・騒音がなく、冷媒(フロン)を使わないことを特長に挙げています。

出典:フェローテック・KELK の資料をもとに AI(Claude)で作成
| 課題 | この技術での解決 | 課題ページ |
|---|---|---|
| 小型化で部品の温度が上がる | ヒートシンクやファンで足りないとき、周りより低く冷やす冷却部品の候補になる | 冷却部品(ヒートシンク・ファン・ヒートパイプ) |
| 制御盤・筐体の中の結露を防ぎたい | 外気を入れずに盤を冷やすクーラーにペルチェ式がある(冷えた面での結露とドレン水に注意) | 冷やし方の見直し(盤用クーラー) |
| 加熱・冷却の温度むらで品質がばらつく | 電流で吸熱量を細かく変え、冷却と加熱を切り替えて温度を一定に保つ | 昇温・保持・冷却の条件と温度制御 |
右の列は、関係する課題ページの対策の節へのリンクです。
出典:フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)、KELK「サーモ・モジュール製品」、光伸舎「冷熱機器」
仕組み
フェローテックの技術情報によると、サーモモジュールは一般に Bi₂Te₃(ビスマス・テルル)を材料とする N 型と P 型の半導体素子からなり、素子は電気的には直列に、熱的には並列につながれて、メタライズした2枚のセラミック基板に接合されています。直流を流すと片側から反対側へ熱が移動し、極性を入れ替えると熱の移動も逆になります。熱の流れは直流電流の大きさに比例し、同社の製品は通常7〜128対(391対を超えるものもある)としています。

出典:フェローテックの技術情報・営業技術資料をもとに AI(Claude)で作成
逆に、素子の両面に温度差を与えると電圧が生じます(ゼーベック効果)。同じ素子は、排熱を使った発電にも使われます(フェローテック)。
出典:フェローテック「サーモモジュール テクノロジー 技術情報」、フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)
出ていく熱は、吸った熱と使った電力の合計
ペルチェ素子は熱を運ぶ「小さなヒートポンプ」で、熱を消すわけではありません。フェローテックは、放熱量 Qh は吸熱量 Qc と消費電力の和で、成績係数 COP は吸熱量と消費電力の商(吸熱量÷消費電力)としています。たとえば、15W を吸熱し、COP が0.5の条件で動かすと、電力は30W、放熱側から出る熱は45W になります(編集部の計算)。

出典:フェローテックの技術情報(Qh=Qc+電力、COP=吸熱量÷消費電力)をもとに AI(Claude)で作成
東洋大学の資料は、ペルチェ素子を使った冷却装置は、冷媒方式の装置に比べて冷却効率が低いことが課題だったとしています。
出典:フェローテック「サーモモジュール テクノロジー 技術情報」、東洋大学 研究シーズ「電子冷却装置の冷却効率の向上」(佐野勇司 教授)
材料と性能指数 ZT
熱電材料の良さは、性能指数 ZT で表します。NEDO・産総研の発表は、ZT が高いほど発電性能と冷却性能が高くなるとし、テルル化ビスマス(Bi₂Te₃)を室温付近(100℃以下)で使える唯一の実用熱電変換材料としています。同じ発表では、セレン化銀(Ag₂Se)で Bi₂Te₃ と同等の ZT=1.0 を達成したと報告しています。
出典:NEDO・産総研「セレン化銀を使用した室温付近で高性能を示す熱電変換材料を開発」(2020年5月28日)
種類と選び方
ペルチェ素子は、大きさ(吸える熱の量)と段数(つくれる温度差)で選びます。KELK は、光通信のレーザー向けの微小モジュール・Mini-TEC、赤外線センサやレーザー・理化学機器向けの汎用モジュール、CCD や光センサ向けの多段モジュールを分けて載せています。
| 種類 | 形と特徴 | 数値の例(出典の製品) | 向いている場面 | 注意 |
|---|---|---|---|---|
| 小型(微小・Mini-TEC) | 数 mm 角。光通信の規格(Telcordia)に準拠した製品もある | KSHH012:1.6mm 角、Qcmax 0.9W・ΔTmax 87℃(Th=50℃、KELK) | 光通信のレーザーダイオードなど、小さな部品の温調 | 吸える熱は小さい |
| 1段の汎用 | 10〜55mm 角程度(各社の標準品の例) | 72001/127/060B:39.7mm 角、Qcmax 57W・ΔTmax 83℃(フェローテック) | 機器の冷却・温調、小型の冷蔵庫・チラー | 放熱側の熱が大きい |
| ハイパワー | 大電流・大面積で吸熱量を増やす | FPH1-24108BC:54mm 角、Qmax 160W(Th=50℃、ジーマックス) | 大きな熱を運ぶ冷却ユニット | 電源とヒートシンクも大きくなる |
| 多段(カスケード) | 素子を重ねて温度差を大きくする | K4MA010:ΔTmax 145℃、Qcmax 6.9W(Th=50℃、KELK) | CCD・光センサなど、低い温度まで冷やす | 吸える熱は小さい。加熱用途には使えない(フェローテック) |
数値は各社の仕様表の値です。放熱側の温度(Th)などの条件が違うので、表の数値どうしを比べないでください。

出典:KELK の仕様表(Th=50℃)をもとに AI(Claude)で作成
出典:KELK「サーモ・モジュール製品」、フェローテック「シングルステージ サーモモジュール」、ジーマックス「ペルチェ素子(ペルチェモジュール)」、フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)
仕様の4つの値:Qcmax・ΔTmax・Imax・Vmax
日本ミックは、カタログの特性値を次のように説明しています。Qcmax は Imax で温度差 ΔT=0 のときの吸熱量、ΔTmax は Imax で吸熱量 Qc=0 のときの温度差、Imax は ΔTmax・Qc=0 のときの電流、Vmax は Imax・Qc=0 のときの電圧です。どれも実際には使わない端の条件の値で、実際の使い方では、吸熱量と温度差はこのあいだになります。

出典:KELK の仕様表(KSM-06127E、Th=50℃)をもとに AI(Claude)で作成
フェローテックの特性図(72001/127/060B、Th=50℃)でも、同じ電流では温度差 ΔT が大きいほど吸熱量 Qc は小さくなります。
出典:日本ミック「ペルチェモジュールの選定」、KELK「サーモ・モジュール製品」、フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)
仕様の値は、放熱側の温度(Th)で変わる
KELK の仕様表は、同じ型式の値を放熱側の温度 Th=27℃・50℃・70℃ の3つで載せています。汎用の KSM-06127E では、ΔTmax が67・76・83℃、Qcmax が51.9・56.7・60.3W と、Th が高いほど大きな値になります。T-Global の仕様表も Qmax を Th=27℃ と50℃ で併記しています。メーカーや型式を比べるときは、同じ Th の値どうしで比べます。

出典:KELK の仕様表をもとに AI(Claude)で作成
出典:KELK「サーモ・モジュール製品」、T-Global Technology「TEC ペルチェ素子」仕様(Version20、2025年1月)
使う場面ごとの選び方
選び方の基本は、冷やす熱の量と温度差から、必要な Qcmax を出すことです。日本ミックは、ペルチェモジュールは一般的に Imax の70%付近の電流で使うとし、吸熱量 Qc=15W、吸熱側 Tc=5℃、放熱側 Th=50℃、ΔTmax 78℃(Th=50℃)の例で、Qcmax 45.2W 以上の素子を選ぶ計算を示しています。

出典:日本ミック「ペルチェモジュールの選定」をもとに AI(Claude)で作成
| 使う場面 | よく使われる種類 | 選ぶときのポイント | 公開されている例 |
|---|---|---|---|
| 光通信・レーザー | 微小・Mini-TEC | 部品が小さく、精密な温調が要る | 光通信用レーザダイオードの温調(KELK) |
| センサー・カメラ | 多段・汎用 | 低い温度まで冷やすと、必要な温度差が大きい | CCD・光センサ(KELK)、赤外線センサ(KELK) |
| 分析・医療の機器 | 汎用・冷却ユニット | 冷却と加熱の切り替え、温度の安定 | 遺伝子増幅器(PCR)・血液分析装置(フェローテック)、理化学・分析機器向けの恒温槽(SMC) |
| 半導体の製造装置 | 汎用・温調装置 | 冷却プレートやチラーとして使う | チラー・サーキュレーター・クーリングプレート(フェローテック) |
| 制御盤・小型の冷蔵庫 | 冷却ユニット | 外気を入れずに冷やす。放熱と結露 | 制御盤クーラー(フェローテック・光伸舎)、電子冷蔵庫(ジーマックス) |
「よく使われる種類」と「選ぶときのポイント」は、公開されている例と解説をもとに編集部が整理したものです。
出典:日本ミック「ペルチェモジュールの選定」、KELK「サーモ・モジュール製品」、フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)、SMC「サーモ恒温槽(ペルチェ式温調装置)HEB・INR」、光伸舎「冷熱機器」、ジーマックス「会社案内」
冷やし方の比較:ペルチェ素子が向く所
フェローテックの技術情報は、サーモモジュールは雰囲気温度を下回る冷却(アクティブ・クーリング)ができる点でヒートシンク単体の冷却と大きく異なり、同等の能力のコンプレッサーなどに比べてコンパクト・軽量で静かだとしています。一方で、すべての熱対策に理想的なわけではなく、ヒートシンクなどのシンプルな放熱対策が有効な場合もあるとしています。

出典:フェローテックの技術情報と東洋大学の資料をもとに AI(Claude)で作成
出典:フェローテック「サーモモジュール テクノロジー 技術情報」、東洋大学 研究シーズ「電子冷却装置の冷却効率の向上」(佐野勇司 教授)
向いている条件と注意点
向いている条件
- 周りの温度より低く冷やしたい
- 温度を細かく一定に保ちたい(電流で吸熱量を変えられる)
- 冷却と加熱を同じ部品で切り替えたい
- 小さな部品だけを冷やしたい。振動・音を出したくない
注意点
- 吸った熱と電力の両方を、放熱側で捨てる放熱器が要る
- 大きな熱を運ぶと効率が低い(冷媒方式より低い)
- 冷やす面が露点より低いと結露する
- 締め付けの荷重・熱サイクル・電流の流し方で寿命が変わる
この一覧は、このページの出典をもとに編集部が整理したものです。
よくある失敗:ヒートシンクが小さく、放熱側が熱くなる
放熱が足りないと放熱側の温度が上がり、冷やす面もそのぶん冷えなくなります。フェローテックは、主な故障原因の一つに放熱器との接触不良や放熱器の能力不足による過加熱(はんだの融解)を挙げ、ヒートシンクなどの熱交換器を付けない状態で通電しないよう注意しています。
日本ミックは、ヒートシンクの熱抵抗 Rth と、放熱側の温度 Th・放熱量 Qh・周囲温度(冷却水温度)Ta の関係を Rth=(Th−Ta)÷Qh で示し、ヒートシンクの温度は一般的な使い方で周囲温度より5〜20℃高くなるとしています。上の例(放熱45W)で、周囲35℃・Th を50℃以下にしたいなら、ヒートシンクの熱抵抗は(50−35)÷45=約0.33K/W 以下が要ります(編集部の計算)。熱抵抗は自然空冷>強制空冷>水冷の順に小さくなります(日本ミック)。
出典:フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)、日本ミック「ペルチェモジュールの放熱器について」
カタログ値の見方
ペルチェ素子のカタログには、Qcmax・ΔTmax・Imax・Vmax と、特性図(グラフ)が載っています。どの値も、放熱側の温度 Th の条件つきで読みます。
| 項目 | 見方 |
|---|---|
| Qcmax(最大吸熱量) | 温度差0のときの値。実際の温度差では、これより小さい(日本ミック) |
| ΔTmax(最大温度差) | 吸熱量0のときの値。熱を吸わせると、つくれる温度差は小さくなる(日本ミック) |
| Imax・Vmax | 最大の電流と、そのときの電圧。一般的には Imax の70%付近で使う(日本ミック) |
| Th(放熱側の温度) | 仕様の値の条件。27℃・50℃などで併記される(KELK・T-Global) |
| 特性図(Qc-I・V-I・Qh-I・COP-I) | Qc-I で電流を決め、V-I で必要な電源を、Qh-I で放熱量を、COP-I で効率を見る(フェローテック) |
この表は、このページの出典をもとに編集部が整理したものです。
カタログ値と実際の使い方の違い
カタログの値は素子の両面の温度で決めたものです(KELK の ΔTmax は低温側と高温側のセラミックの温度差)。実際の装置では、素子とヒートシンク・冷却板のあいだのグリスやすき間、ヒートシンク自体の熱抵抗で温度差が増えるので、冷やす物の温度は、素子の吸熱面より高く、周りの温度と放熱側の温度差はカタログより大きくなります(編集部の解説)。
出典:日本ミック「ペルチェモジュールの選定」、KELK「サーモ・モジュール製品」、T-Global Technology「TEC ペルチェ素子」仕様(Version20、2025年1月)、フェローテック「サーモモジュール テクノロジー 技術情報」
組み込み・量産・信頼性の注意
- 均一に締める平らな面・薄いグリス・決めた荷重で取り付ける
- 水分を入れない露点より低く冷やすなら、シールと断熱を
- 電流をなめらかに温度の上下と自己発熱を減らす流し方を選ぶ
この3点は、このページの出典(フェローテック・日本ミック・東洋大学)をもとに編集部が整理したものです。
取り付け:平らな面、薄いグリス、均一な荷重
フェローテックの資料は、ねじで固定する場合、冷却板とヒートシンクの面を洗浄し、熱伝導性グリースに空気が残らないように塗り、ねじは素子の各辺の中心を通る位置に置いて、断熱ブッシュ・平ワッシャ・スプリングワッシャを通し、1-2-3-4の順に少しずつトルクをかけるとしています。同社の素子の垂直許容荷重は15.0kgf/cm² で、5〜10kgf/cm² を目安に荷重を決めます。ねじのトルクは T=K・d・F(K は一般に0.2)で求め、M4 のねじ4本で100kgf の荷重なら1本あたり2.0kgf·cm です。基板面積4.0cm² 未満の小型の素子は、ねじでは荷重が大きくなりすぎるので、バネや接着で固定します。

出典:フェローテックの営業技術資料(取り付け方法)をもとに AI(Claude)で作成
日本ミックは、取り付け面の平面度を0.05mm 以内に加工し、金属のねじを使うときは、ねじが熱の通り道にならないよう樹脂の断熱ブッシュを使うとしています。フェローテックは、素子は(均一に荷重が加わる場合)圧縮には比較的強いが、引っ張りには弱いので、素子が機械的な構造部材になる設計は避けるとしています。
出典:フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)、日本ミック「ペルチェモジュール取り付け時の確認について」
故障の原因:荷重・過加熱・水分・熱サイクル
フェローテックは、主な故障原因として、偏った荷重や締めすぎ・振動・熱ひずみによる過荷重、落下などの衝撃、過電圧・過電流や放熱不良による過加熱、シール層を通った水蒸気の結露による内部の腐食、そして繰り返しの熱応力によるはんだ接合部の金属疲労(断線)を挙げています。素子の瞬間耐熱温度は200℃で、100℃以上で長く使うと素子の劣化が早まる場合があるとしています。

出典:フェローテックの営業技術資料(主な故障原因)をもとに AI(Claude)で作成
日本ミックも、落下、リード線の引っ張り、取り付け時の過荷重・片締め、薄いベースのヒートシンクによるゆがみ、高温・高湿での保管、結露による水分の侵入を故障要因に挙げています。
出典:フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)、日本ミック「ペルチェモジュールの故障要因」
結露:冷やす面が露点より低いとき
フェローテックは、素子の内部に水や導電性の液体が入ると、ショート・性能低下・破損の原因になるとし、水分が付きやすい環境ではシールタイプを勧めています。同社の標準オプションには、RTV シリコーンシール品とエポキシシール品があります。冷やす面のまわりは断熱材ですき間をふさぎ、湿った空気を近づけないようにします(編集部の解説)。

出典:フェローテックの営業技術資料(取り扱い上の注意)をもとに AI(Claude)で作成
出典:フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)
電流の流し方:リニア・PWM・ON/OFF
フェローテックの資料は、3つの制御方法を比べています。リニア制御は回路が PWM より高価だが COP が高く、制御精度も最も高い。PWM 制御は回路が安価だがリニア制御より COP が低い。ON/OFF 制御は最も安価で、精度は最も低い。東洋大学の研究は、パルス制御しながら直流の電流で駆動する方式で、従来のチョッパ駆動に比べて自己発熱を30.6%以上減らし、COP が1.68倍以上になったと報告しています(50.8mm 角の素子での測定)。

出典:フェローテックの営業技術資料と東洋大学の資料をもとに AI(Claude)で作成
ON/OFF 制御では温度の上下が大きくなり、熱サイクルの回数が増えます。寿命を考えるなら、温度の上下を小さくする制御を選びます(編集部の解説)。
出典:フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)、東洋大学 研究シーズ「電子冷却装置の冷却効率の向上」(佐野勇司 教授)
相談する前に整理すること
フェローテックは、サーモモジュールの選定とアドバイスのために、用途・周囲温度・冷やす物・希望温度などを記入する用紙を用意しています。次の条件をできるだけ具体的にそろえておくと、素子と放熱の方法を絞りやすくなります。

出典:フェローテックの営業技術資料(INFORMATION SHEET)をもとに AI(Claude)で作成
- 使う目的・用途と、周りの温度(雰囲気)
- 冷やす物の形・大きさ・容量と、発熱量(比熱)
- 目標の温度と、そこまでの時間
- 使う断熱材とその厚さ
- 使える電源(電圧・電流)と消費電力
- 放熱の方法(自然空冷・強制空冷・水冷)
- 試作・量産の台数と、取り付けの構想図
この一覧は、フェローテックの INFORMATION SHEET の項目をもとに編集部が整理したものです。
出典:フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)
企業紹介(ペルチェ素子技術)
ペルチェ素子のメーカーと、ペルチェを使った冷却ユニット・温調装置のメーカー、海外メーカーの代理店を、得意なものが重ならないように選びました。光通信向けの微小品から多段までの素子のメーカー、素子の大手、素子から冷却ユニットまで作るメーカー、機器に組み込む冷却ユニットのメーカー、高精度の恒温槽のメーカー、代理店を入れています。内容は各社の公式サイトで確認できる範囲です。各社が扱うものは、次の早見表のとおりです。
| 企業 | 素子 (モジュール) | 多段 モジュール | 冷却 ユニット | コント ローラー | 温調装置 (チラー・ 恒温槽) | 技術資料 (選定・ 取り付け) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| KELKサーモ・モジュールの製造販売。光通信向けの微小品から多段まで | ● | ● | ||||
| フェローテックシングル〜多段の素子と、取り付け・選定の資料 | ● | ● | ● | ● | ● | |
| ジーマックス素子から冷却ユニット・電子除湿器まで | ● | ● | ● | ● | ||
| 光伸舎機器に組み込むペルチェユニット・盤用クーラー | ● | ● | ● | |||
| SMCペルチェ式の高精度サーモ恒温槽 | ● | |||||
| 日本ミック海外メーカーの素子・チラーの代理店と技術記事 | ● | ● | ● | ● |
●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。フェローテックの冷却ユニット・コントローラーは標準ASSY・ペルチェコントローラ、日本ミックの冷却ユニットは熱交換器と組み合わせたアセンブリ品、温調装置はペルチェ式チラーの掲載によるものです。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。
株式会社KELK|光通信向けの微小品から多段までのサーモ・モジュール
KELKとは
神奈川県平塚市に本社・工場を置く会社です(1966年設立、資本金3億9千万円)。事業内容は、半導体製造装置用の温度調節機器と、サーモ・モジュールの製造販売です。

出典:KELK の製品ページをもとに AI(Claude)で作成
KELKの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 高性能の焼結材料 | 独自に開発した高性能焼結材料(ホットフォージ材)を使い、高性能・高信頼性と評価されているとしている。標準の汎用モジュールは溶製材で、大きい温度差や低消費電力が要るときはホットフォージ材も使える |
| 微小モジュール・Mini-TEC | 1.6mm 角からの小型品。光通信用レーザダイオードの温調向けで、光通信業界の信頼性基準(Telcordia)に準拠。サイズ・電流・吸熱量・はんだコーティングのカスタマイズにも対応 |
| 多段モジュール | 何段も重ねて大きな温度差をつくる。CCD や光センサ向け。仕様表には Th=27・50・70℃の3つの条件の値を載せている |
KELKが解決できる課題
- 光通信のレーザーなど、数 mm の部品の温度を精密に保ちたい
- CCD・赤外線センサーなどを、周りより大きく下げた温度で使いたい
- 1.6mm〜40mm 角の範囲で、標準品やカスタム品を選びたい
出典:KELK「会社概要」、KELK「サーモ・モジュール製品」
株式会社フェローテック|シングル〜多段の素子と、取り付け・選定の技術資料
フェローテックとは
東京都中央区に本社を置く会社です(1980年設立、資本金295億4,942万円、2026年3月31日現在、東証スタンダード上場)。サーモモジュールは、営業技術資料ではグループのフェローテックマテリアルテクノロジーズが担当し、材料を中国の子会社で製造し、組立も中国の子会社で行う一貫生産としています。

出典:フェローテックの製品ページをもとに AI(Claude)で作成
フェローテックの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| サーモモジュールの品ぞろえ | ミニチュア・マイクロ・AuSn・シングルステージ・ハイパワー・サーマルサイクリング・センターホール・マルチホール・マルチステージ・エポキシシールなど。最小4mm 角、最大55mm 角としている |
| 標準オプション | 基板はアルミナ(標準)と窒化アルミニウム、メタライズは Cu・Ni・Au、シールは RTV シリコーンとエポキシ |
| 関連製品と技術資料 | 標準ASSY、ペルチェコントローラ、水冷ヒートシンク、高熱伝導性オイルコンパウンド。取り付け方法・取り扱い上の注意・主な故障原因・選定の用紙をまとめた資料を公開している |
フェローテックが解決できる課題
- ±0.05℃レベルの精密な温度制御をしたい(PID 制御、同社の説明)
- 熱サイクルの多い使い方に合う素子を選びたい(サーマルサイクリング)
- 取り付け・荷重・故障原因の資料を見ながら設計したい
公開されている実績・用途
- 用途として、CCD・半導体レーザー、ヒートクールシート・ヘッドアップディスプレイ、チラー・クーリングプレート、遺伝子増幅器(PCR)・血液分析装置、制御盤クーラー、小型冷蔵庫などを挙げている
- 製造拠点で ISO14001・ISO9001・ISO13485・IATF16949 を取得しているとしている
出典:フェローテック「会社概要」、フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)、フェローテック「シングルステージ サーモモジュール」
株式会社ジーマックス|素子から冷却ユニット・電子除湿器・小型冷蔵庫まで
ジーマックスとは
東京都港区に本社を置く会社です(2009年設立、資本金1,000万円)。京都市伏見区に京都支社があります。事業内容は、ペルチェ関連商品の研究・製造・販売、厨房機器や小型冷蔵庫・電子冷蔵庫の製造・販売などで、関連会社(中国)がペルチェモジュールとセラミックを生産しています。

出典:ジーマックスの製品ページをもとに AI(Claude)で作成
ジーマックスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| GL-II シリーズ | 冷却部品として採用が増えている「GL構造」のペルチェ素子で、信頼性が向上したとしている。共通仕様は、保証温度範囲 −40〜100℃、許容最大圧縮荷重 1MPa、耐湿シールつき |
| ハイパワーペルチェモジュール | 54mm 角で Qmax 146W(Th=27℃)・160W(Th=50℃)の FPH1-24108BC など |
| ユニット・完成品 | 高信頼性冷却ユニット(ペルチェクーラー)、ペルチェコントローラー、電子除湿器。会社案内には、ワインセラー・小型冷蔵庫・ミルククーラー・恒温装置・卓上小型チラーも載せている |
ジーマックスが解決できる課題
- 8〜54mm 角の標準品から、必要な吸熱量の素子を選びたい
- 素子だけでなく、冷却ユニットやコントローラーまでまとめて相談したい
- 素子の供給元に、小型冷蔵庫・恒温装置などの完成品もあわせて相談したい
出典:ジーマックス「会社案内」、ジーマックス「ペルチェ素子(ペルチェモジュール)」
株式会社光伸舎|機器に組み込むペルチェユニットと、制御盤用ペルチェクーラー
光伸舎とは
京都府京都市南区に本社を置く会社です(1978年設立、資本金5,000万円)。計数機などの製品に加えて、ペルチェを使った冷熱機器をつくっています。2023年に京都中小企業優秀技術賞を受賞しています。

出典:光伸舎の製品ページをもとに AI(Claude)で作成
光伸舎の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 機器組込用のペルチェユニット | プレート冷却・冷風撹拌冷却・流体冷却の3つの冷やし方と、空冷放熱(FP・FF・FL 型)・水冷放熱(LP・LF・LL 型)をそろえている |
| 盤用クーラー・除湿機 | 制御盤用・屋外制御盤用のペルチェクーラー、ペルチェ除湿機、ペルチェチラーユニット |
| 制御と周辺 | ペルチェ温度コントローラー、温度制御ソフト、ペルチェ用電源、温度センサー。回路設計の相談にも応じるとしている |
光伸舎が解決できる課題
- 装置に組み込む冷却部を、素子からではなくユニットで用意したい
- 外気を入れずに制御盤を冷やしたい(ペルチェ式の盤用クーラー)
- 液体・気体・板の上の物を、決めた温度に保ちたい
公開されている実績・用途
- ペルチェ冷却の用途として、半導体製造装置、分析装置、医療機器、食品用の一時冷蔵庫や保管庫を挙げている
SMC株式会社|ペルチェ式の高精度サーモ恒温槽
SMCとは
東京都中央区に本社を置く、自動制御機器のメーカーです(1959年設立、資本金610億円)。温調機器の一つとして、ペルチェ式温調装置(サーモコン・サーモ恒温槽)を扱っています。

出典:SMC の製品ページをもとに AI(Claude)で作成
SMCの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| サーモ恒温槽 HEB | ペルチェ素子を使った高精度の温調恒温槽。設定温度範囲 −15〜60℃、冷却能力140W・280W、温度安定性0.01℃、ペルチェ式水冷 |
| オーダーメイドの INR | 設定温度範囲 −15〜60℃または0〜60℃、最大冷却能力140〜320W、温度安定性 ±0.02〜±0.03℃ |
| 特長 | 小型・低騒音で、独自の撹拌方式により上下の温度分布が小さいとしている。貸出サンプルも用意している |
SMCが解決できる課題
- 理化学・医療の機器で、液体の温度を0.01℃台で安定させたい
- −15〜60℃の範囲で、小型で静かな恒温槽を使いたい
出典:SMC「会社概要」、SMC「サーモ恒温槽(ペルチェ式温調装置)HEB・INR」
日本ミック株式会社|海外メーカーのペルチェ素子・チラーの代理店と、選定・取り付けの技術記事
日本ミックとは
東京都新宿区にある、電子部品・熱対策部品の商社です(1974年設立、資本金1,000万円)。ペルチェ素子の世界的なメーカー Tark Thermal Solutions(旧 Laird Thermal Systems)の日本正規代理店です。

出典:日本ミックの技術記事をもとに AI(Claude)で作成
日本ミックの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ペルチェ素子とアセンブリ品 | Tark Thermal Solutions の標準品のペルチェ素子のほか、熱交換器と組み合わせたアセンブリ品。試験の実施・サンプルの提供、錫めっきやはんだ処理、リード線の長さ変更、コネクタ付きでの納入、カスタムにも対応するとしている |
| チラー | Fガス規制に対応した冷却能力149〜400W のペルチェ式チラーを紹介している |
| 技術記事 | ペルチェモジュールの選定・放熱器・取り付け時の確認・故障要因・はんだ付けの記事を公開している |
日本ミックが解決できる課題
- 必要な吸熱量から、素子の大きさを計算して選びたい
- 素子と熱交換器を組み合わせたアセンブリ品で、組み込みを簡単にしたい
- 海外メーカーの素子を、国内の窓口で試験・カスタムまで相談したい
出典:日本ミック「会社概要」、日本ミック「Tark Thermal Solutions(旧 Laird Thermal Systems)」、日本ミック「サーマルソリューション(熱対策)」、日本ミック「ペルチェモジュールの選定」
使われる製品・事例
公開されている例には、光通信用レーザダイオードの温調・CCD や光センサ・赤外線センサ(KELK)、CCD 温度制御・半導体レーザー・プロジェクター、ヒートクールシート・ヘッドアップディスプレイ、半導体のチラー・クーリングプレート、分光光度計・ガス分析装置・除湿器、遺伝子増幅器(PCR)・血液分析装置、CPU 冷却・バーンインテスター、制御盤クーラー、小型冷蔵庫・食品ショーケース(フェローテック)、理化学・医療向けの恒温槽(SMC)、半導体製造装置・分析装置・医療機器・食品用の保冷(光伸舎)があります。
出典:KELK「サーモ・モジュール製品」、フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)、SMC「サーモ恒温槽(ペルチェ式温調装置)HEB・INR」、光伸舎「冷熱機器」
関連する技術
ペルチェ素子とあわせて検討される技術です。
出典・確認日
- フェローテックマテリアルテクノロジーズ「Thermoelectric Modules」営業技術資料(2024年)
- KELK「サーモ・モジュール製品」
- 光伸舎「冷熱機器」
- フェローテック「サーモモジュール テクノロジー 技術情報」
- 東洋大学 研究シーズ「電子冷却装置の冷却効率の向上」(佐野勇司 教授)
- NEDO・産総研「セレン化銀を使用した室温付近で高性能を示す熱電変換材料を開発」(2020年5月28日)
- フェローテック「シングルステージ サーモモジュール」
- ジーマックス「ペルチェ素子(ペルチェモジュール)」
- 日本ミック「ペルチェモジュールの選定」
- T-Global Technology「TEC ペルチェ素子」仕様(Version20、2025年1月)
- SMC「サーモ恒温槽(ペルチェ式温調装置)HEB・INR」
- ジーマックス「会社案内」
- 日本ミック「ペルチェモジュールの放熱器について」
- 日本ミック「ペルチェモジュール取り付け時の確認について」
- 日本ミック「ペルチェモジュールの故障要因」
- KELK「会社概要」
- フェローテック「会社概要」
- 光伸舎「会社概要」
- SMC「会社概要」
- 日本ミック「会社概要」
- 日本ミック「Tark Thermal Solutions(旧 Laird Thermal Systems)」
- 日本ミック「サーマルソリューション(熱対策)」
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。
情報の確認日:2026年10月6日 本ページの内容は一般的な情報で、実際の冷却能力は、素子・放熱器・取り付け・電源・周りの条件により異なります。

