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冷却塔(クーリングタワー)とは:しくみ・開放式と密閉式の違い・選び方・冷却水の管理

冷却塔(クーリングタワー)とは、冷凍機などで温まった冷却水を外気に触れさせ、水の一部を蒸発させて、その蒸発の熱で残りの水を冷やす装置です(日本冷却塔工業会)。

冷却塔(クーリングタワー)とは:しくみ・開放式と密閉式の違い・選び方・冷却水の管理
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冷却塔(クーリングタワー)とは:しくみ・開放式と密閉式の違い・選び方・冷却水の管理

開放式・向流形の冷却塔を切り欠き、上から温かい水をまき、外気が両側から入って充てん材を上へ抜け、冷えた水が下の水槽からポンプへ送られるようすを示したイラスト(AI で生成したイメージ)

信頼性・長寿命安全・規制・環境対応コストダウン熱伝熱(放熱・冷却)腐食・防錆洗浄・コンタミ加熱・冷却熱交換器・ヒートシンクポンプ・ファン建築・インフラ化学・素材製造産業機械・ロボット

冷却塔(クーリングタワー)とは、冷凍機などで温まった冷却水を外気に触れさせ、水の一部を蒸発させて、その蒸発の熱で残りの水を冷やす装置です(日本冷却塔工業会)。冷やした水はまた冷凍機などへ戻し、くり返し使います。ビルの空調や地域冷暖房、工場の設備の冷却に使われています。

この記事では、冷却塔のしくみと部品の名前、開放式と密閉式・向流形と直交流形の違い、能力の表し方(レンジ・アプローチ・湿球温度・冷却トン)と選び方、冷却水の管理(蒸発・飛散・ブロー・濃縮倍数・水質の基準)、レジオネラ属菌・スケール・白煙・騒音・凍結などのトラブルと対策を、図と表で順に説明します。冷却塔と冷却水処理の4社も紹介します。

知りたいことから読む

目次

冷却塔とは

冷却塔とは:冷却水を冷やして、くり返し使う装置

日本冷却塔工業会によると、冷却塔はビル空調や地域冷暖房設備の冷凍機の冷却水を冷やすために用いられる装置です。冷凍機で使われて温度が上がった冷却水は、冷却塔の中で送風機が送り込んだ外気と触れて冷え、再び冷凍機に送られます。

空研工業の「冷却塔大学」は、ターボ冷凍機の例で、冷凍機から 37℃ で冷却塔へ送られた冷却水が、冷えて 32℃ で冷凍機に戻ると説明しています。冷凍機は、この冷却水で冷媒の熱を捨てて(凝縮させて)冷水をつくります。工場では、空調のほかに、設備や製造工程の冷却水を冷やす用途にも使われ、新日本レイキは製鉄・石油精製・化学プラント・発電などへの導入実績を挙げています。冷凍機と同じ原理の機械は 基礎知識「ヒートポンプ」で説明しています。

出典:冷却塔とは?|日本冷却塔工業会、冷却塔の温度差はなぜ必要?|冷却塔大学(空研工業)、新日本レイキ(冷却塔の設計・販売・補修)

蒸発で冷えるしくみ:1%の蒸発で約6℃下がる

開放式の冷却塔では、冷却水と外気を直接触れさせ、一部の冷却水が蒸発することで残りの冷却水を冷やします。日本冷却塔工業会は、常温での水の蒸発潜熱は約 2,500 kJ/kg、比熱は 4.2 kJ/(kg・K) なので、1%の水が蒸発すると残りの水の温度は約6℃下がると説明しています。

開放式・向流形の冷却塔の断面で、上から送風機、エリミネーター、散水装置、充てん材、両側のルーバー、下部水槽を示し、温かい水が上からまかれ、外気が横から入って上へ抜けるようすを示した模式図
図1 冷却塔のしくみと部品の名前(開放式・向流形の例)
出典:日本冷却塔工業会「冷却塔とは?」と、冷却塔の一般的な構造(開放式・向流形)をもとに AI(Claude)で作成

空研工業は、冷却水を冷やす熱のうち、水の蒸発(潜熱)によるものが約80%、空気と水の温度差(顕熱)によるものが約20%と言われていると説明しています。日本冷却塔工業会は、水を滴状にして表面積の大きな充填材に流し、冷却水と外気が触れる時間を長くしていると説明しています。比熱と熱容量の考え方は 基礎知識「比熱(熱容量)」で説明しています。

出典:冷却塔とは?|日本冷却塔工業会、冷却塔の温度差はなぜ必要?|冷却塔大学(空研工業)

湿球温度:冷却水はこれより冷えない

空研工業は、湿球温度を蒸発による冷却で到達できる最低の温度と定義し、冷却塔の出口水温は外気の湿球温度より下げることはできないと説明しています。湿球温度は気温(乾球温度)より高くなることはありません。湿度が高いほど湿球温度は気温に近づくので、夏の蒸し暑い日ほど冷却塔は水を冷やしにくくなります(編集部の補足)。

出典:外気湿球温度とは|冷却塔大学(空研工業)、冷却塔の温度差はなぜ必要?|冷却塔大学(空研工業)

冷却塔の種類と違い

開放式と密閉式:冷却水が外気に触れるかどうか

日本冷却塔工業会は、開放式を「外気と冷却水が直接接触し、冷却水の一部の蒸発によって残りの冷却水を冷やすもので、空調用として広く使われている」、密閉式を「冷却水を熱交換器の管内に通し、管外側に外気と散布水を散水して冷却する」もので、冷却水の汚れを嫌う設備に採用されていると説明しています。

左に開放式(冷却水を充てん材に直接まく)、右に密閉式(冷却水はコイルの中を通り、外側に別の散布水をまく)の冷却塔の断面を並べた模式図
図2 開放式と密閉式の違い
出典:日本冷却塔工業会「冷却塔とは?」と空研工業の製品説明をもとに AI(Claude)で作成
開放式密閉式
冷却水の通り道冷却水を充てん材にまき、外気と直接触れさせる冷却水はコイル(管)の中を通り、管の外に散布水と外気を当てる
空研工業の説明密閉式に比べ、高効率、コンパクト、メンテナンスが容易で、初期費用を抑えられる循環水が空気と触れないので、濃縮や水質の変化が起きにくく、水の管理が容易
水質の管理冷却水そのものが外気に触れ、蒸発で濃縮するので、冷却水の水質を管理する冷却水の水質は変わりにくいが、管の外にまく散布水は外気に触れるので、散布水の水質を管理する(編集部の補足)
向いている所空調用として広く使われる(日本冷却塔工業会)冷却水の汚れを嫌う設備(日本冷却塔工業会)

出典:冷却塔とは?|日本冷却塔工業会、冷却塔(クーリングタワー)|空研工業

向流形と直交流形:空気と水の向き

開放式は、空気の当て方で2つに分かれます。日本冷却塔工業会によると、上から落ちる冷却水に外気を下から上へ当てる向流形(カウンターフロー)と、直角に当てる直交流形(クロスフロー)があります。

左に向流形(空気が下から上へ、水は上から下へ)、右に直交流形(空気が両側から横に、水は上から下へ)の冷却塔の断面を並べた模式図
図3 向流形と直交流形の違い
出典:日本冷却塔工業会「冷却塔とは?」と新日本レイキ「タイプ別 冷却塔紹介」をもとに AI(Claude)で作成

新日本レイキは、直交流形について、塔の上の散水装置が開放式なので異物の除去や清掃がしやすく、側面がルーバー付きで充填物の状態を点検しやすい、塔内に点検歩廊を設ければ運転中に保守点検ができる、と説明しています。向流形は、上部のノズル付きの散水配管から下へ水をまき、塔の下部から外気を取り入れる形です。どちらが有利かは設置場所や容量で変わるので、メーカーの選定条件で比べます。

出典:冷却塔とは?|日本冷却塔工業会、タイプ別 冷却塔紹介|新日本レイキ

形と材料:丸形・角形、鉄骨・FRP・木・コンクリート

小形の冷却塔には、丸い胴の中心に送風機を載せた丸形もあり、日本スピンドル製造の丸形開放式(NE シリーズ)は冷却熱量 13.60 kW(3 形式)から 793.6 kW(175 形式)までをそろえています。大きな工場やプラントでは、角形のセルを並べた大型の冷却塔が使われます。新日本レイキは、構造材として、溶融亜鉛めっきの型鋼の鉄骨製(要望でステンレス製)、耐食性と軽さに優れる FRP 製、低 pH の水質などに適した特殊防腐処理の木製、冷水槽と一緒に造るコンクリート製を挙げています。めっきの選び方は課題「亜鉛めっきの種類を選びたい」で説明しています。

出典:丸形開放式冷却塔 NE・NL シリーズ|日本スピンドル製造、タイプ別 冷却塔紹介|新日本レイキ

冷却塔の能力と選び方

レンジとアプローチ

冷却塔の性能は、入口水温・出口水温・外気の湿球温度・循環水量で表します。入口水温と出口水温の差をレンジ、出口水温と湿球温度の差をアプローチといいます。空研工業は、ターボ冷凍機の一般的な条件を入口水温 37℃・出口水温 32℃・湿球温度 27℃としています(レンジ 5℃、アプローチ 5℃)。

左に冷凍機と冷却塔のあいだを冷却水が37℃で行き32℃で戻る回路、右に温度の目盛りで入口水温37℃、出口水温32℃、湿球温度27℃と、レンジ5℃・アプローチ5℃を示した図
図4 レンジとアプローチ(ターボ冷凍機の一般的な条件の例)
出典:空研工業「冷却塔大学」の温度差・外気湿球温度の解説(ターボ冷凍機の一般的な条件)をもとに AI(Claude)で作成

空研工業は、アプローチが大きいほど冷却塔は小さく、小さいほど大きくなると説明しています。設計の湿球温度は地域で変わり、同社は東京 27℃・沖縄 28℃・北海道 26℃ の例を挙げ、同じ水温・水量なら東京の塔体の大きさを 100 として沖縄は 120、北海道は 85(概算)になる、としています。入口水温を一定にした場合、湿球温度が下がる冬はレンジが大きくなります。

出典:外気湿球温度とは|冷却塔大学(空研工業)、冷却塔の温度差はなぜ必要?|冷却塔大学(空研工業)

冷却トンと能力の見積もり

冷却塔の能力は冷却トンで表すことがあります。空研工業によると、ターボ式冷凍機用の冷却塔の1冷却トンは、13 L/min の水を 37℃から 32℃へ 5℃冷やす熱量で、約 4.535 kWです(13 L/min × 60 × 5℃ × 4.186 kJ/(kg・℃) ÷ 3,600)。吸収式冷凍機用の冷却塔では、17 L/min の水を 5.5℃冷やす熱量を1冷却トンとしていて、定義が違います。

冷却塔が受け持つ熱量は、水の比熱から見積もれます。水の密度を 1,000 kg/m³、比熱を 4.186 kJ/(kg・K) とすると、熱量[kW]≒ 1.163 × 循環水量[m³/h]× レンジ[℃]です(編集部の計算)。例えば 100 m³/h の水を 5℃冷やすなら、約 580 kW です。冷却塔が捨てる熱は、冷凍機が冷やした熱に冷凍機の動力が加わった分なので、冷凍機の冷凍能力より大きくなります。

小形の冷却塔の性能試験の方法は、JIS B 8609(冷却塔の性能試験)に決められています。概要によると、設計標準冷却能力 233 kW 以下の機械通風式冷却塔が対象です。

出典:冷却塔の「冷却トン」、冷凍機の「冷凍トン」とは?|冷却塔大学(空研工業)、JIS B 8609:2008 Performance tests of mechanical draft cooling tower(規格の概要)|Standards Ireland

選ぶ順番

各社の資料をもとに編集部が整理すると、冷却塔は次の順で選びます。

  1. 冷やす熱量と水量を決める:冷凍機・設備のメーカーが指定する冷却水量と、入口・出口の水温
  2. 設計の湿球温度を決める:設置する地域の夏の値(例:東京 27℃)。温暖化で高めにとる傾向もある(空研工業)
  3. 開放式か密閉式かを決める:冷却水の汚れを嫌う設備(熱交換器の細い流路など)なら密閉式
  4. 置き場所と騒音を確かめる:近くに住宅や病院がないか、外気取入口や窓との距離(後の章のレジオネラ対策)、低騒音型が要るか
  5. 冬の運転と凍結を確かめる:冬も運転するか、凍結防止のヒーターなどが要るか
  6. 水の管理を計画する:補給水の水質、ブロー、水処理剤、点検・清掃の体制(次の章)

出典:外気湿球温度とは|冷却塔大学(空研工業)、冷却塔とは?|日本冷却塔工業会、丸形開放式冷却塔 NE・NL シリーズ|日本スピンドル製造、レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針(平成15年厚生労働省告示第264号)

冷却水の管理

冷却水の出入り:蒸発・飛散・ブローと補給水

開放式の冷却塔では、冷却水が蒸発、水滴としての飛散(キャリーオーバー)、濃くなった水を捨てるブロー(ブローダウン)で減っていくので、減った分を補給水で足します。

冷却塔の上から蒸発と飛散で水が出ていき、下部水槽からブローで濃くなった水を捨て、横から補給水を足すようすを示し、補給水=蒸発+飛散+ブローと書いた図
図5 冷却水の出入り
出典:日本冷却塔工業会「冷却塔とは?」、日本スピンドル製造の仕様、本間(2025)の報告書をもとに AI(Claude)で作成

国立保健医療科学院の本間(2025)の報告書は、設計上の目安として、蒸発水量は循環水量の 1%、飛散損失は 0.1%、ブローダウン量は通常 0.1〜0.5%としています。日本スピンドル製造の丸形開放式冷却塔の仕様では、蒸発損失は 0.87%(入口水温 37℃・出口水温 32℃のとき)、水滴損失は 0.1%以下です。

出典:本間義規「冷却塔の稼働時モニタリングとその特性把握」令和7年度 厚生労働科学研究 分担研究報告書、丸形開放式冷却塔 NE・NL シリーズ|日本スピンドル製造

濃縮倍数:蒸発で水が濃くなる

蒸発では水だけが出ていき、水に溶けたカルシウムやシリカなどの塩類は残ります。そのため、冷却水は補給水より濃く(濃縮)なります。補給水に比べて冷却水が何倍に濃くなったかを濃縮倍数といいます。塩類が出ていくのは飛散とブローだけなので、濃縮倍数 ≒ 補給水量 ÷(飛散量 + ブロー量)になります(編集部の補足。塩類の出入りの釣り合いから)。ブローを減らすと水は節約できますが、濃縮が進んでスケールや腐食が起きやすくなります。

厚生労働省の指針は、冷却水の熱が放出されて一部が蒸発するため、炭酸カルシウムやケイ酸マグネシウムなどの塩類が濃縮されたスケールが充てん材などに析出し、微生物が付着しやすい環境をつくるとしています。栗田工業は、薬品の効果で濃縮倍数を高くできれば、補給水やブローの水量を減らして節水できる、と説明しています。スケールの対策は課題「配管・熱交換器のスケール(水あか)を防ぎたい」で詳しく説明しています。

出典:レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針(平成15年厚生労働省告示第264号)、中規模冷却塔向け冷却水薬品「KURITA NA」|栗田工業

水質の基準と、水の管理の方法

冷却水の水質の目安には、日本冷凍空調工業会の「JRA GL-02 冷凍空調機器用水質ガイドライン」があります。環境省の資料に載っている1994年版の冷却水の基準値は次のとおりです。

項目冷却水の基準値主に防ぐもの
pH(25℃)6.5〜8.2腐食・スケール
電気伝導率(25℃)80 mS/m 以下(800 µS/cm 以下)腐食・スケール
塩化物イオン200 mg/L 以下腐食
硫酸イオン200 mg/L 以下腐食
酸消費量(pH4.8)100 mg/L 以下(CaCO₃)スケール
全硬度200 mg/L 以下(CaCO₃)スケール
カルシウム硬度150 mg/L 以下(CaCO₃)スケール
イオン状シリカ50 mg/L 以下(SiO₂)スケール

出典:環境省「冷却水の水質の適正な管理」(日本冷凍空調工業会規格 JRA GL-02 1994 より作成)。参考項目(鉄・銅・残留塩素など)は出典を見てください。

環境省の資料は、水の管理の代表的な方法として、①冷却水への水処理剤の添加、②水処理装置の使用、③ブロー(排出)の調整の3つを挙げ、組み合わせて使うことが多いとしています。栗田工業は、冷却水系ではスライム・スケール・腐食の「三大障害」が起きると説明しています。腐食のしくみは 基礎知識「腐食」で説明しています。

出典:冷却水の水質の適正な管理(JRA GL-02 の基準値を掲載)|環境省、冷却水処理のトータルソリューション|栗田工業

冷却塔のトラブルと対策

冷却塔の断面に、送風機の騒音・振動、エリミネーターからの飛散、充てん材のスケール・スライム、水槽の汚れとレジオネラ属菌、冬の凍結、出口の白煙の位置を示した図
図6 冷却塔のトラブルが起きる所
出典:厚生労働省のレジオネラ症の予防の指針と、新日本レイキ・日本スピンドル製造の製品説明をもとに AI(Claude)で作成

レジオネラ属菌:飛散したしぶきで感染する

厚生労働省の指針は、冷却塔を発生源とするレジオネラ症について、冷却塔の排気に含まれるエアロゾル(細かいしぶき)が外気取入口や窓から屋内に入ったり、地上に飛散したりするとし、冷却塔の中は日射・酸素の供給・大気への開放などで微生物や藻類が増えやすい環境だと説明しています。千葉市は、冷却水の温度は 5〜9月にかけて、レジオネラ属菌の増殖に最適な 36℃前後になるとしています。

指針は、設置するときはエアロゾルの飛散が少ない構造のものを選び、風向きなどを考えて、外気取入口・居室の窓・人が活動する場所から十分に距離を置くこととしています。建築物衛生法の施行規則(第3条の18)は、特定建築物の冷却塔について、次の管理を決めています。

管理の内容頻度
冷却塔と冷却水の汚れの点検(必要に応じて清掃・換水)使用開始時と、使用期間中は1か月以内ごとに1回
冷却塔と冷却水の水管の清掃1年以内ごとに1回
冷却塔に供給する水水道法の水質基準に適合させる

千葉市は、このほかレジオネラ属菌の検査を使用開始後7日以内に1回と、使用中に1回以上行うこと、化学洗浄を行うこと、殺菌剤の継続的な添加を併用するとより効果的であることを挙げています。仙台市は、毎月1回程度の物理的洗浄と、バイオフィルムを除くための化学的洗浄を勧めています。本間(2025)の報告書は、冷却塔からのレジオネラ属菌を含むエアロゾルは、①循環水への混入、②循環水中での増殖、③ファンによる大気中への飛散の3段階を経て発生するとし、気候変動による夏の高温高湿化で、対策が適切に実行されない場合のリスクが高まりつつある、としています。

出典:レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針(平成15年厚生労働省告示第264号)、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(第3条の18)|厚生労働省、冷却塔を設置した施設の管理者へ適切な維持管理のお願い|千葉市、冷却塔のレジオネラ属菌対策|仙台市、本間義規「冷却塔の稼働時モニタリングとその特性把握」令和7年度 厚生労働科学研究 分担研究報告書

スケール・スライムの付着:冷えなくなり、冷凍機の電力が増える

充てん材や冷凍機の熱交換器にスケール(塩類の析出物)やスライム(微生物の膜)が付くと、熱が伝わりにくくなり、冷却水が十分に冷えなくなります。栗田工業は、冷却水処理でチラーの消費エネルギーを約17%削減した導入効果を紹介しています。対策は、前の章のブローの調整、水処理剤、定期の清掃です。

出典:冷却水処理のトータルソリューション|栗田工業、レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針(平成15年厚生労働省告示第264号)

冷却水が設計どおりに冷えない

空研工業は、冷却水の温度が設定どおりに下がらないとき、実際の湿球温度が設計値より高くなっている、入口水温が設定値より高くなっている、メンテナンス不足などが考えられる、と説明しています。また、吐き出した湿った空気をまた吸い込む(ショートサーキット)と、入る空気の湿球温度が上がって冷えにくくなります(編集部の補足)。日本スピンドル製造は、排気の向きを変えてショートサーキットを防ぐダクトをオプションに用意しています。

出典:冷却塔の温度差はなぜ必要?|冷却塔大学(空研工業)、丸形開放式冷却塔 NE・NL シリーズ|日本スピンドル製造

白煙・騒音・飛散水・凍結

新日本レイキは、冷却塔から出る空気は高温で湿度100%なので、外気で冷やされると過飽和になり白煙(湯気)になる、白煙は外気温度が低いほど多く、冬に目立つと説明しています。白煙は純粋な水蒸気ですが、地域への配慮から、外気を加熱した空気と混ぜて不飽和にして出す加熱方式(DRY&WET)などの白煙防止策がとられることがあります。

同社は、冷却塔の騒音は送風機の音と水の落下音が音源で、対策には低騒音型送風機の使用(音源を小さくする)と、吸音ルーバー・吸音ダクト・遮音壁(吸音で減らす)がある、としています。腐食性の高い循環水では、送風機から出る水滴が周りの機器を腐食させることがあり、エリミネーターで対策します。冬の凍結には、日本スピンドル製造は凍結防止のヒーターと、水温を検知してファンやヒーターを制御するサーモスイッチを用意しています。騒音の大きさの表し方は 基礎知識「デシベル」で説明しています。

出典:タイプ別 冷却塔紹介|新日本レイキ、丸形開放式冷却塔 NE・NL シリーズ|日本スピンドル製造

冷却塔が原因とされたレジオネラ症の集団発生

病院の冷却塔:21人が発症(宮城県、2023年)

宮城県大崎保健所の報告(厚生労働省の研修資料)

2023年6月28日に1例目の届出があり、病院の利用歴のある患者8人と近隣住民など13人の計21人(うち2人死亡)がレジオネラ症と届け出られた。病院の冷却塔2基の水から、レジオネラ属菌が 100 mL あたり 6,800万と 9,700万 CFU 検出され(建築物における維持管理マニュアルの指針値は 100 CFU/100 mL)、冷却塔と患者の菌の血清型と遺伝子型が一致した。

報告は、原因として、清掃は春と秋の2回で充填材の中心の汚れを落とせていなかったこと、稼働前に化学的洗浄をしておらず循環配管の汚れが残っていたこと、冷却水処理剤を入れていることを過信して汚れがあっても清掃していなかったこと(水槽の内壁に生物膜と思われるぬめり)を挙げている。水滴損失は説明書で循環水量の約0.1%で、計算上1基あたり1時間に120 L が飛散していたと推測している。物理的清掃の徹底と、処理剤と併用できる殺菌洗浄剤による循環配管の化学的洗浄で、8月4日に菌が検出されなくなった。

出典:病院の冷却塔に起因したレジオネラ症集団発生事例について(宮城県大崎保健所)|厚生労働省の研修資料

報告は、同じような事例を防ぐには、稼働前と終了後に物理的清掃と化学的洗浄を徹底し、稼働中は汚れの点検と必要に応じた清掃、殺菌剤の投入、レジオネラ属菌の水質検査を行うことをまとめとしています。水処理剤だけに頼らず、清掃と検査を組み合わせることが大切です。

企業紹介(冷却塔の技術)

相談先は、困りごとで変わります。

困りごと相談先の例
ビルや工場の空調の冷却塔を選びたい・更新したい空調用冷却塔のメーカー
製鉄所・化学プラントなどの大きな冷却塔、白煙や騒音の対策工業用冷却塔のメーカー
工場の機械や小さな冷凍機の冷却水を冷やしたい小形の丸形冷却塔のメーカー
スケール・スライム・レジオネラ属菌を抑えたい冷却水処理の会社

ここでは、冷却塔と冷却水処理の4社を紹介します。得意な分野が重ならないように選びました。写真は、規約で複製を制限している会社と、転載の可否を確認できなかった会社があるため載せていません。

会社開放式密閉式工業用・
大型
補修・
能力回復
冷却水
処理
空研工業空調用・工業用の冷却塔(福岡市中央区)●●●
新日本レイキ工業用冷却塔(福岡県筑紫野市)●●●
日本スピンドル製造丸形開放式冷却塔(兵庫県尼崎市)●
栗田工業冷却水処理(東京都中野区)●

●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

空研工業株式会社|空調用から工業用までの冷却塔

空研工業とは

福岡市中央区に本社を置く会社です(同社の会社概要)。1956年設立。事業案内に、空調機器の製造販売と機械設備工事を挙げています。冷却塔の知識をまとめた情報サイト「冷却塔大学」も運営しています。

空研工業の得意技術

技術内容
開放式・密閉式の冷却塔空調用冷却塔に加え、大規模な工業用・プラント用冷却塔も納入している、と同社は説明
低騒音の仕様騒音基準に合わせて「低騒音型/超低騒音型/省エネ超低騒音型」で対応し、さらに静かにしたい場合は特殊遠心ファン「エアロフォイルファン」を使う、と同社は説明
ユニット搬入現地作業を減らすため、ユニット組みして出荷し、搬入・据付の時間を短くする、と同社は説明

空研工業が解決できる課題

  • ビル・工場の空調の冷却塔を選びたい・更新したい
  • 住宅地などで冷却塔の騒音を下げたい
  • 現地の工期を短くしたい

公開されている実績・用途

  • 納入実績に、本田技研工業 鈴鹿製作所、シャープ亀山工場第1工場、ソニーセミコンダクター九州 熊本工場、六本木ヒルズ、東京スカイツリーなどを挙げている(同社の納入・施工実績)

出典:会社概要|空研工業、冷却塔(クーリングタワー)|空研工業、納入・施工実績|空研工業

新日本レイキ株式会社|製鉄・化学・発電向けの工業用冷却塔

新日本レイキとは

福岡県筑紫野市に本社を置く会社です(同社の会社概要)。営業種目は工業用冷却塔と軸流送風機の設計・製作・施工・販売、既設冷却塔の補修・改修工事、点検補修で、株主は空研工業(100%)です。

新日本レイキの得意技術

技術内容
直交流形・向流形・ハイブリッド形クロスフロー型は散水装置が開放式で清掃しやすく、塔内の点検歩廊から運転中に保守点検できる。ハイブリッド型は白煙対策、と同社は説明
構造材鉄骨製(溶融亜鉛めっき。ステンレス製も)、FRP 製、木製、コンクリート製
補修・能力回復他社製品の補修、能力回復(増強)、点検・補修も行い、ドローンによる点検もしている

新日本レイキが解決できる課題

  • 製鉄所・化学プラントなどの大きな冷却塔を計画したい
  • 白煙・騒音・飛散水の対策をしたい
  • 古くなった冷却塔を補修して能力を戻したい

公開されている実績・用途

  • 製鉄・鉄鋼・金属、石油精製、化学プラント、発電、ガス精製、地域冷暖房、排水・活性汚泥設備などへの導入実績を挙げている

出典:会社概要|新日本レイキ、タイプ別 冷却塔紹介|新日本レイキ、新日本レイキ(冷却塔の設計・販売・補修)

日本スピンドル製造株式会社|丸形開放式の冷却塔

日本スピンドル製造とは

兵庫県尼崎市に本社を置く会社です(同社の会社概要)。1918年創立です。冷却塔の製品として、丸形の開放式冷却塔 NE・NL シリーズを出しています。

日本スピンドル製造の得意技術

技術内容
丸形開放式冷却塔 NE・NL シリーズNE シリーズは 3 形式(13.60 kW)から 175 形式(793.6 kW)まで(循環水量 13 L/min/形式、入口 37℃・出口 32℃・湿球 27℃、1形式=4.535 kW)。蒸発損失 0.87%、水滴損失 0.1%以下
貯水圧式の散水散水圧がほとんどゼロでポンプの揚程が低く、回転部にシールが要らない、と同社は説明
特殊仕様凍結防止ヒーター、48℃以上の高温水に使える耐熱形、塩害防止塗装やステンレスの耐食形、防振装置など

日本スピンドル製造が解決できる課題

  • 工場の機械・小さな冷凍機の冷却水を冷やしたい
  • 寒い地域で冬の凍結を防ぎたい
  • 高温の冷却水や塩害のある場所で使いたい

出典:会社概要|日本スピンドル製造、丸形開放式冷却塔 NE・NL シリーズ|日本スピンドル製造

栗田工業株式会社|冷却水の水処理(スケール・スライム・腐食・レジオネラ)

栗田工業とは

東京都中野区に本社を置く、水処理の会社です(同社の採用情報の会社概要)。冷却水系の水処理薬品と、薬品・制御技術・ろ過装置を組み合わせた冷却水処理を出しています。

栗田工業の得意技術

技術内容
冷却水処理冷却水系ではスライム・スケール・腐食の「三大障害」が起きるとし、薬品と制御技術で冷凍機の省エネ運転に貢献する、と同社は説明
中規模冷却塔向けの薬品 KURITA NA濃縮倍数を高くして補給水やブロー水を減らせ、生菌率を従来処理の1/10に低下させる能力を確認した(同社の従来処理との比較)、と同社は説明
導入効果の例冷却水処理の導入でチラーの消費エネルギーを約17%削減

栗田工業が解決できる課題

  • 冷凍機の熱交換器にスケール・スライムが付いて冷えない・止まる
  • レジオネラ属菌の対策の手間を減らしたい
  • 濃縮倍数を上げて補給水とブローを減らしたい

出典:採用情報(会社概要)|栗田工業、冷却水処理のトータルソリューション|栗田工業、中規模冷却塔向け冷却水薬品「KURITA NA」|栗田工業

よくある質問

冷却塔とは、わかりやすく言うと?
冷凍機などで温まった冷却水を外気に触れさせ、水の一部を蒸発させて残りの水を冷やす装置です。冷えた水はまた冷凍機に戻して使います(冷却塔とは)。
クーリングタワーと冷却塔は違うものですか?
同じものです。英語の cooling tower を訳したのが冷却塔です。
なぜ水が冷えるのですか?
水が蒸発するときに熱(蒸発潜熱)を奪うからです。日本冷却塔工業会は、1%の水が蒸発すると残りの水の温度は約6℃下がると説明しています(蒸発で冷えるしくみ)。
開放式と密閉式の違いは?
開放式は冷却水を直接外気に触れさせて冷やし、密閉式は冷却水をコイルの中に通して外から冷やします。開放式は効率がよく小さくでき、密閉式は冷却水が汚れにくいのが特徴です(開放式と密閉式)。
冷却水は何℃まで冷やせますか?
外気の湿球温度より下げることはできません。ターボ冷凍機の一般的な条件は、入口 37℃・出口 32℃・湿球温度 27℃です(レンジとアプローチ)。
1冷却トンは何 kW ですか?
ターボ式冷凍機用の冷却塔では約 4.535 kW です(13 L/min の水を 37℃から 32℃へ冷やす熱量)。吸収式冷凍機用では定義が違います(冷却トン)。
冷却塔の水はどれくらい減りますか?
設計上の目安は、蒸発が循環水量の約1%、飛散が約0.1%、ブローが通常0.1〜0.5%です(本間 2025)。減った分は補給水で足します(冷却水の出入り)。
冷却塔の点検・清掃はどれくらいの頻度で必要ですか?
建築物衛生法の施行規則では、汚れの点検を使用開始時と使用期間中1か月以内ごとに1回、冷却塔と冷却水の水管の清掃を1年以内ごとに1回と決めています(レジオネラ属菌)。

回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。

出典・確認日

※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図・写真は転載していません。

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。

情報の確認日:2026年10月31日 本ページの内容は一般的な情報です。温度条件・損失の割合・水質の基準値は出典の例で、実際の値は機種・地域・水質で変わります。設計では各メーカーの最新のカタログと技術資料、管理では所管の保健所などの指導を確かめてください。各社の製品は、その会社の公開情報をもとに紹介しています。

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