共振(きょうしん)は、物が自然に揺れやすい速さ(固有振動数)と同じ速さで揺らされると、揺れがどんどん大きくなる現象です。ブランコを揺れに合わせて押すと大きく揺れるのも、モーターをある回転数で回したときだけ機械がガタガタ揺れるのも、共振です。このページでは、共振のしくみ、固有振動数の求め方、揺れの大きさを決める「減衰」、ものづくりでのトラブルと対策、測り方、共振を役に立てる技術を、できるだけやさしく説明します。
ひとことで言うと
共振とは
物には、それぞれ揺れやすい速さ(固有振動数)があります。その速さで外から揺らし続けると、小さな力でも揺れが大きくなります。これが共振です。
音の場合は「共鳴」とも呼びます。固有振動数は、1秒間に何回揺れるかで表し、単位は Hz(ヘルツ)です。

出典:日本建設業連合会をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
日本建設業連合会の建築音響用語集は、ばねと質量からなる振動系など、すべての物体や空間は、固有振動数とよばれる揺れやすい周波数を持っているとし、止まっている物に固有振動数の外力を加え続けると、振動し始め、やがて大きく振動するようになる現象を共振と呼ぶとしています。固有振動数は共振する周波数(共振周波数)と同じです。MONOist の解説も「全てのモノには『固有振動数』があります」とし、固有振動数は、振動している物が1秒間にくり返し運動する回数で、単位は Hz としています。
出典:建築音響用語集「共振周波数、共振/固有周波数、固有振動数」|日本建設業連合会、固有振動数解析の流れを“ステップ・バイ・ステップ”で理解する:構造解析、はじめの一歩(6)|MONOist
身近な例:ブランコと音叉

出典:沼津工業高等専門学校をもとに AI(Claude)で作成
ブランコは、揺れて戻ってきたときにちょうど押すと、1回ごとに少しずつ揺れが大きくなります(編集部の解説)。沼津工業高等専門学校の物理の教材は、ブランコの揺れの周期に合わせてこぐことで大きく揺らすことができることを、共振の例に挙げています。タイミングがずれて、揺れと逆向きに押してしまうと、揺れは大きくなりません(編集部の解説)。
同じ教材は、同じ振動数の音叉(おんさ)を2つ並べ、片方を鳴らすと、たたいていないもう片方も鳴り始める例も紹介しています。空気を伝わってきた音の振動が、もう1つの音叉の固有振動数とぴったり合うためです(編集部の解説)。このページのいちばん上の絵は、そのようすを描いたイメージです。
出典:物理2 第10回 共振(2023年度)|沼津工業高等専門学校
固有振動数は、かたさと重さで決まる
いちばん簡単なモデルは、ばねにおもりを1つ下げたもの(ばね-質量系)です。このときの固有振動数 f は、ばね定数 k(ばねのかたさ、N/m)と質量 m(kg)から、f =(1 ÷ 2π)× √(k ÷ m)で求めます。東京電機大学出版局『はじめての振動工学』の演習の解答にも、この式が使われています。

出典:東京電機大学出版局をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
計算してみよう

質量10kg の機械が、ばね定数100N/mm(=10万 N/m)のばねで支えられているとします。
| 条件 | 固有振動数 | 基準との比 |
|---|---|---|
| 基準:m = 10kg、k = 100N/mm | 約 15.9Hz | 1 |
| ばねを4倍に硬くする(400N/mm) | 約 31.8Hz | 2倍 |
| 質量を2倍にする(20kg) | 約 11.3Hz | 約 0.71倍 |
| 質量を半分にする(5kg) | 約 22.5Hz | 約 1.41倍 |
√(100,000 ÷ 10)= 100、100 ÷ 2π ≒ 15.9 なので、この機械は1秒間に約15.9回の速さで揺れやすい、ということです。1分間に直すと約955回なので、この台に載せたモーターが毎分 約955回転で回ると、回転の速さが固有振動数と重なって共振します(計算は編集部)。かたいほど・軽いほど固有振動数は高く、柔らかいほど・重いほど低くなります。MONOist の解説も、剛性を高くすると機械の固有振動数も高くなる一方、板厚を厚くすると重くなるぶん固有振動数が下がる面もあるとしています。剛性については 基礎知識 「剛性」 で解説しています。
出典:『はじめての振動工学』付録 第3章 演習問題解答|東京電機大学出版局、同(4/5ページ)|MONOist
揺れの大きさを決める「減衰」
揺らす速さを少しずつ変えながら、揺れの大きさを調べてグラフにすると、固有振動数のところで山になります。この山の形をした線を共振曲線といいます。

出典:東京電機大学出版局をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
山の高さを決めるのが、揺れを止めようとするはたらき(減衰)です。減衰の大きさは減衰比 ζ(ゼータ)で表します。『はじめての振動工学』の解答の式から、減衰が小さいとき、共振したときの揺れは、ゆっくり押したときの揺れのおよそ 1 ÷(2ζ)倍になります(近似は編集部)。減衰比が0.05 なら約10倍、0.1 なら約5倍です。MONOist の解説も、減衰比 ζ を大きくする(粘性減衰を大きくする)と、共振点の振幅は見る見る低下するとしています。
山の鋭さは Q値 で表すこともあります。世界大百科事典の解説は、半値幅(山の高さの半分のところの幅)が小さいほど、または Q値が大きいほど共振は鋭いとしています。ブリタニカ国際大百科事典の解説は、Q値が大きいと、外から揺らす振動数が固有振動数にほぼ一致したときだけ共振して大きな振幅を示すとしています。
出典:『はじめての振動工学』付録 第6章 演習問題解答|東京電機大学出版局、同(5/5ページ)|MONOist、Q値(世界大百科事典・ブリタニカ国際大百科事典)|コトバンク
物には、固有振動数がいくつもある

出典:MONOistをもとに AI(Claude)で作成
ばねとおもり1つのモデルでは固有振動数は1つですが、実際の部品や機械には、揺れ方の形(振動モード)ごとに、いくつもの固有振動数があります。低いほうから1次、2次…と呼び、MONOist の解説は、固有モード形状を「固有振動数でどのようなカタチで振動するかを表したもの」としています。次数が上がるほど、揺れの節(ほとんど動かない所)が増えます(編集部の解説)。
MONOist の別の解説も、機械の固有振動数はたくさんあるとしています。そのため「この回転数なら絶対に共振しない」とは言いにくく、よく使う運転の範囲で、どの次数の固有振動数が近いかを調べるのが実際的です(編集部の解説)。
出典:固有振動数解析の流れを“ステップ・バイ・ステップ”で理解する:構造解析、はじめの一歩(6)|MONOist、同(5/5ページ)|MONOist
ものづくりでどう効くか
回転を上げ下げすると、途中で共振を通る

出典:日立評論 1967年4月号をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
モーターやファン、洗濯機の脱水槽のように回る物は、少しのアンバランス(重さのかたより)が、回転の速さで揺らす力になります。回転の速さが固有振動数と重なる回転数を危険速度といいます。日立評論の全自動洗たく機の論文は、脱水のときに布のかたよりで起きる振れまわり運動は、特に起動と停止のときに、危険速度を通過するとき(共振時)に大きくなるとしています。脱水の始めと終わりにガタガタしやすいのは、このためと考えられます(編集部の解説。論文は1967年のもの)。
出典:全自動洗たく機の脱水時の振動|日立評論 1967年4月号
事例:ファンのモーターが、いつもの回転数で大きく振れ回った

日本機械学会の講習会資料の振動事例では、大型の恒温槽で、定格回転数1,800rpm のモーターにつないだシロッコファン(10台)を回すと、全部のモーターが目で見てわかるほど大きく振れ回りました。揺れの主な成分は29.5Hz でした。ファン1台だけを外殻に取り付けて止めた状態で、モーターの端をインパルスハンマーでたたくと、固有振動数は35Hz と47.5Hz でしたが、回した状態で同じ試験をすると、35Hz の固有振動数が16%下がって、定格の回転の周波数29.5Hz と一致していました(共振)。モーターを留めている外殻の内側をリブで補強して剛性を上げた結果、共振が避けられ、定格回転数での振幅は8分の1未満になったとしています。
止めた状態で測った固有振動数が、回したときには変わることがある、という点も、この事例からわかります。
出典:振動事例「シロッコファンモータの振れ回り振動」(講習会資料、2010年2月10日)|日本機械学会
軽くすると、共振しやすくなることがある

部品を薄く・軽くすると、重さが減って固有振動数が上がる一方で、かたさ(剛性)がそれ以上に下がると、固有振動数は下がります。固有振動数が、モーターの回転や歯車のかみ合いなど、揺らす力の周波数に近づくと、共振して振動や騒音が大きくなります(編集部の解説)。課題ページ「軽くすると振動・騒音が増える」、「歯車の騒音を下げたい」も参照してください。
共振の対策:ずらす・止める・元を減らす・伝えない

出典:MONOist、日本建設業連合会をもとに AI(Claude)で作成
- ずらす:MONOist の解説は、「共振を避ける」アクションは、加振源の周波数と機械の固有振動数を比べて、どちらかを変えることとしています。はりを短くする、板厚を上げるなどで固有振動数を上げる方法も挙げています。上の事例のリブの補強も、この方法です。
- 止める(減衰を足す):インバーターで動かす機械のように、揺らす力に多くの周波数がふくまれていて共振を避けきれないときは、共振していることを前提にした対策が必要になるとし、振動している板に制振材を貼り付ける対策がとられることが多いとしています(MONOist)。
- 元を減らす:MONOist の解説は、振動を減らす戦略として、振動源の振幅を下げる(振動源対策)と、振動を伝わりにくくする(振動絶縁)の2つを挙げています。回る部品のつり合いをとる、歯車の精度を上げるなどが振動源対策です(例は編集部)。
- 伝えない(防振):日本建設業連合会の用語集は、機器をゴムなどの上に載せて共振周波数を十分低い周波数に設定すると、機器から出る振動が伝わりにくくなるとしています。詳しくは技術ページ「防振ゴム・制振材」で解説しています。
出典:振動低減の戦略 〜ばね−マス系の振動【1】〜:CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(8)|MONOist、同(4/5ページ)|MONOist、同(5/5ページ)|MONOist、建築音響用語集「共振周波数、共振/固有周波数、固有振動数」|日本建設業連合会
共振する振動数の調べ方

出典:福島県をもとに AI(Claude)で作成
よく使われるのが、たたいて調べるハンマリング試験です。福島県の設備の紹介は、加速度センサーを貼り付けた測定サンプルをハンマーでたたき、生じた振動を解析することで固有振動数を導き出す試験としています。郡山の施設に、インパルスハンマーと加速度センサーのついた装置を置き、構造物・モーター・家電などの固有振動数の測定に使えるとしています。
たたいた力と揺れを同時に測り、周波数ごとに「力に対してどれだけ揺れたか」を計算すると、固有振動数のところに山が出ます(グラフの説明は編集部の解説)。上の日本機械学会の事例のように、止めた状態と運転中で結果が変わることもあるので、必要なら運転中にも確かめます。設計の段階では、CAE の解析(固有値解析)で、作る前に固有振動数と揺れ方を予測することもできます。MONOist の解説は、固有振動数の解析の流れを手順ごとに紹介しています。課題ページ「作る前に性能を予測したい」も参照してください。
出典:ハンマリング振動測定システム(郡山、令和5年4月)|福島県、振動事例「シロッコファンモータの振れ回り振動」(講習会資料、2010年2月10日)|日本機械学会、固有振動数解析の流れを“ステップ・バイ・ステップ”で理解する:構造解析、はじめの一歩(6)|MONOist
共振は、役に立てることもできる

出典:理科の資料(center.esnet.ed.jp)、村田製作所、日本建設業連合会、EE Times Japanをもとに AI(Claude)で作成
- 電気の共振(LC 回路):コイルとコンデンサーを直列につないだ回路では、決まった周波数 f = 1 ÷(2π√(LC))で大きな電流が流れます。理科の資料は、この現象を共振と呼び、共振回路はラジオやテレビの受信のときの選局に利用されるとしています。
- 水晶振動子:村田製作所は、水晶振動子を「水晶の持つ圧電現象を利用し、その機械的共振から一定の周波数を生み出す素子」と説明しています。
- 防振:上の対策のとおり、支えの共振周波数をわざと低くしておくと、それより高い周波数の振動は伝わりにくくなります(日本建設業連合会)。
- ワイヤレス給電(磁界共鳴):EE Times Japan の記事は、送る側のコイルと受ける側のコイルを共鳴させることで、離れた所へ効率よく電力を伝える方式を紹介しています。課題ページ「配線をなくしたい」も参照してください。
出典:共振と電気振動(ゲルマニウムラジオの製作)|理科の資料(center.esnet.ed.jp)、水晶振動子|村田製作所、建築音響用語集「共振周波数、共振/固有周波数、固有振動数」|日本建設業連合会、ワイヤレス給電(共鳴方式)の解説(2011年4月28日)|EE Times Japan
共振が出てくるページ
出典
- 建築音響用語集「共振周波数、共振/固有周波数、固有振動数」|日本建設業連合会
- 固有振動数解析の流れを“ステップ・バイ・ステップ”で理解する:構造解析、はじめの一歩(6)|MONOist
- 物理2 第10回 共振(2023年度)|沼津工業高等専門学校
- 『はじめての振動工学』付録 第3章 演習問題解答|東京電機大学出版局
- 同(4/5ページ)|MONOist
- 『はじめての振動工学』付録 第6章 演習問題解答|東京電機大学出版局
- 同(5/5ページ)|MONOist
- Q値(世界大百科事典・ブリタニカ国際大百科事典)|コトバンク
- 全自動洗たく機の脱水時の振動|日立評論 1967年4月号
- 振動事例「シロッコファンモータの振れ回り振動」(講習会資料、2010年2月10日)|日本機械学会
- 振動低減の戦略 〜ばね−マス系の振動【1】〜:CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(8)|MONOist
- ハンマリング振動測定システム(郡山、令和5年4月)|福島県
- 共振と電気振動(ゲルマニウムラジオの製作)|理科の資料(center.esnet.ed.jp)
- 水晶振動子|村田製作所
- ワイヤレス給電(共鳴方式)の解説(2011年4月28日)|EE Times Japan
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年10月2日
