露点(露点温度)は、空気を冷やしていったときに、ふくまれている水蒸気が水滴になりはじめる温度です。冷たい飲み物のコップの外側や、冬の窓ガラスに水滴がつくのは、その表面の温度がまわりの空気の露点より低いからです。ものづくりでは、制御盤や装置の中の結露、圧縮空気の乾燥(エアドライヤー)、塗装や接着の前の表面、熱処理の炉の雰囲気、電池や電子部品の乾燥した部屋など、水分を管理する多くの場面で使います。このページでは、露点と相対湿度・絶対湿度の関係、飽和水蒸気量、早見表、空気線図での読み方、結露のしくみ、圧縮空気の露点、測り方、ものづくりでの効き方を、できるだけやさしく説明します。
ひとことで言うと
露点とは
露点=その空気を冷やしたとき、水滴(露)ができはじめる温度です。ふくまれる水蒸気が多いほど露点は高く、少ないほど低くなります。
物の表面がまわりの空気の露点より冷たいと、その面に水滴がつきます(結露)。
相対湿度(%)は温度が変わると変わりますが、露点は水蒸気の量だけで決まるので、空気の「乾き具合」をそのまま比べられます。

出典:ウィキペディア日本語版をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
ウィキペディア日本語版(露点)は、露点温度を、気体を冷やしていくときに結露が起こる温度としています。相対湿度が100%のときは、そのときの気温がそのまま露点温度になり、露点温度が高いことは空気が湿っていること、低いことは空気が乾いていることを意味するとしています。上の図は、25℃・相対湿度60%の空気の例で、露点は約16.7℃です(Tetens の式で編集部が計算)。
空気にふくめる水蒸気には上限がある(飽和水蒸気量)

出典:ウィキペディア日本語版をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
空気がふくむことのできる水蒸気の量には、温度ごとに上限があります。ウィキペディア日本語版(飽和水蒸気量)は、飽和水蒸気量を、1m³ の空間に存在できる水蒸気の質量(g)とし、温度が下がると小さくなるとしています。同じページの表では、0℃で4.8g/m³、10℃で9.4g/m³、20℃で17.3g/m³、30℃で30.4g/m³です。温度が10℃上がるごとに、上限はおよそ1.8〜2倍になります(編集部の計算)。
同じページは、飽和水蒸気圧 eₛ(hPa)を求める近似式として Tetens の式 eₛ = 6.1078 × 10^(7.5t ÷ (t + 237.3))(t は℃)を、飽和水蒸気量 a(g/m³)を a = 217 × eₛ ÷ (t + 273.15) で求める式を載せています。このページの図と早見表は、この2つの式で編集部が計算した値で、ウィキペディアの表と小数点以下が少し違うところがあります(たとえば0℃は4.9g/m³)。
相対湿度と絶対湿度

出典:ウィキペディア日本語版をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
ウィキペディア日本語版(湿度)は、相対湿度を、ある気温の飽和水蒸気圧に対する、実際の空気の水蒸気分圧の比(%)とし、100%に達すると結露が生じるとしています。つまり、相対湿度=いまの水蒸気の量 ÷ その温度の上限です。上限は温度で変わるので、同じ空気でも、温めると相対湿度は下がり、冷やすと上がります。上の図のように、20℃・60%の空気は、30℃に温めると約33%、約12℃まで冷やすと100%(露点)になります(計算は編集部)。
これに対して、空気にふくまれる水蒸気の量そのものを表すのが絶対湿度です。同じページは、絶対湿度には、空気1m³ あたりの水蒸気の質量で表す容積絶対湿度(g/m³)と、乾いた空気の質量に対する水蒸気の質量の比で表す重量絶対湿度があり、後者は日本の空気調和工学で使われるとしています。重量絶対湿度の単位は kg/kg(DA)(DA は乾いた空気)や g/kg です。同じ圧力のもとでは、露点はこの絶対湿度(水蒸気の量)と1対1で対応します(編集部の解説)。
空気線図で露点を読む

出典:ウィキペディア日本語版をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
ウィキペディア日本語版(湿り空気線図)は、湿り空気線図(空気線図)を、乾球温度・湿球温度・露点温度・絶対湿度・相対湿度・比エンタルピーなどの関係を1枚に示した図としています。空気線図では、いまの空気の点から、絶対湿度を変えずに(真横に)温度を下げていき、相対湿度100%の線とぶつかった温度が露点です(編集部の解説)。空気を冷やしても、露点より上なら水蒸気の量は変わらないので、点は真横に動きます。
同じページは、空気を冷やしながら除湿もするときは、冷やすだけのときより多くのエネルギーが要るという例を挙げています。空調や除湿機の能力を考えるときにも、空気線図を使います。上の図は、大気圧で、Tetens の式から編集部が描いた簡略な図です(実際の空気線図には、湿球温度やエンタルピーの線もあります)。
露点の早見表

出典:ウィキペディア日本語版をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成
| 気温・相対湿度 | 露点(約) |
|---|---|
| 10℃・60% | 2.6℃ |
| 20℃・50% | 9.3℃ |
| 20℃・60% | 12.0℃ |
| 25℃・60% | 16.7℃ |
| 30℃・70% | 23.9℃ |
| 35℃・80% | 31.0℃ |
気温と相対湿度がわかれば、露点を計算できます。ウィキペディア日本語版(露点)は、JIS Z 8806 の飽和水蒸気圧の表や空気線図から近い値を求められるとし、10℃・60%の露点は約2.6℃という例を挙げています。上の表は Tetens の式で編集部が計算した値です。ウィキペディア日本語版(結露)は、20℃・50%の露点を9.6℃としていて、使う式や表によって少し違う値になります。
表を見ると、夏の30℃・70%のような蒸し暑い空気は露点が約24℃もあり、冷房で冷えた部品や配管にはすぐ水滴がつくことがわかります。逆に、冬の乾いた空気は露点が0℃以下になることもあります。0℃以下では、水滴ではなく霜ができる温度(霜点)として扱うことがあります(次の節)。
出典:露点|ウィキペディア日本語版、結露|ウィキペディア日本語版
霜点:0℃以下の露点
ウィキペディア日本語版(露点)は、霜点温度を、気体を冷やしていくときに、水蒸気が昇華して物の表面に固体の結晶(霜)ができる温度で、氷についての飽和水蒸気圧に達した時点としています。産業技術総合研究所の記事(産総研 TODAY)は、露点は気体にふくまれる水蒸気量が少ないほど低温になり、氷点以下で霜となって現れる場合は霜点とよぶと説明しています。
アズビルの技術論文(azbil Technical Review)は、湿度の表し方を、常湿度・高湿度の領域は「露点」、低湿度の領域は「霜点」、微少水分の領域は「モル分率」と分けています。産総研の記事は、半導体などの製造で使うガスでは、水分の管理が 1000nmol/mol(大気圧の霜点で約−75℃)以下と考えられているとし、さらに 10nmol/mol(霜点約−100℃)付近の湿度標準を開発したとしています。ものづくりで「露点−40℃」「−70℃」のような低い値が出てきたら、それはとても乾いた気体のことです。
出典:露点|ウィキペディア日本語版、微量水分領域の湿度標準(産総研 TODAY 2007年7月号)|産業技術総合研究所、ドライガス測定ニーズに応える低露点計測技術の向上(azbil Technical Review 2011年1月号)|アズビル
結露のしくみと防ぎ方

出典:ウィキペディア日本語版をもとに AI(Claude)で作成
ウィキペディア日本語版(結露)は、結露を、物の表面や内部で空気中の水蒸気が凝縮する現象とし、室温20℃・湿度50%では露点が9.6℃で、壁や窓がこの温度以下になると結露するとしています。窓ガラスやアルミサッシで起きやすいとしています。冷たい飲み物のコップの外側につく水滴も同じしくみです(編集部の解説)。
防ぎ方は、同じページが挙げる換気・除湿・断熱と暖房の調整のように、①表面を露点より温かく保つ、②空気の水蒸気を減らして露点を下げる、③湿った空気を冷たい面に触れさせないの3つに分けて考えるとわかりやすくなります(整理は編集部)。屋外の制御盤や装置の中の結露は、課題「制御盤・筐体の中の結露を防ぎたい」で、盤内ヒーター・除湿・すき間をふさぐなどの対策を詳しく扱っています。外から入る水は課題「電子機器を防水・防じんにしたい」を参照してください。
結露した水は、金属の腐食(さび)や、電子回路の絶縁不良・ショートの原因になります。腐食は課題「錆びる・腐食する」、湿度で出たり消えたりする不具合は課題「再現しない不具合の原因を突き止めたい」も参照してください。
圧縮空気の露点(加圧下露点と大気圧露点)

出典:オリオン機械、ヴァイサラをもとに AI(Claude)で作成
工場の圧縮空気では、露点がよく出てきます。ヴァイサラのページは、空気を圧縮すると露点も上がり、測るときに空気を大気圧に戻すと、使っている圧力のときとは違う露点になると注意しています。そこで、圧縮したままの空気の露点を「加圧下露点(圧力下露点)」、大気圧に戻したときの露点を「大気圧露点(大気圧下露点)」と分けて書きます。配管の中で水がたまるかどうかは、加圧下露点と配管の温度を比べて判断します(編集部の解説)。
オリオン機械のカタログに載っている ISO 8573-1(1991)/JIS B 8392-1(2000)の品質等級の表では、圧力0.69MPa のとき、加圧下露点+10℃は大気圧下露点−17℃、+3℃は−23℃、−40℃は−58℃、−70℃は−83℃に当たります。同じカタログは、この規格がいまは ISO 8573-1(2010)/JIS B 8392-1(2012)に改正されているとも書いています。
ヴァイサラのページは、ドライヤーで除湿しないと圧縮空気は周りの温度で飽和していて、冷凍式ドライヤーではふつう+5℃以上、乾燥剤式(吸着式)ドライヤーでは−40℃、必要ならさらに低い露点の空気が得られるとしています。空気圧の機器・塗装・計装など、使い方に合わせて必要な露点を決め、ドライヤーのカタログの露点が加圧下か大気圧かを確かめます(編集部の解説)。
出典:露点とは?露点の測定方法|ヴァイサラ、クリーンエアーシステム 組み合わせ例(ISO 8573-1/JIS B 8392-1 の品質等級の表)|オリオン機械
露点・湿度の測り方

出典:アズビルをもとに AI(Claude)で作成
露点の測り方には、大きく分けて、鏡を冷やして実際に露(霜)がつく温度を測る「鏡面冷却式」と、湿度センサーで相対湿度を測って温度といっしょに露点を計算する方法があります(整理は編集部)。鏡面冷却式は、露がつく温度そのものを測るので基準器にも使われ(鏡の汚れには注意が要ります)、アズビルの技術論文でも、同社の鏡面冷却式露点計を低い露点まで校正できるようにする開発が紹介されています。静電容量式の湿度センサーは、小さく扱いやすい一方、長く使うとずれることがあるので、定期的な校正が必要です(編集部の解説)。
アズビルの技術論文は、日本の湿度の国家標準は産総研が実現し、産業界がその標準と測定結果を照らし合わせる(校正する)しくみが成り立っているとし、2010年8月時点で、同社を含め6社が湿度の区分で JCSS 登録事業者になっていると書いています。品質の記録に使う湿度計・露点計は、校正の証明書がある計器を使うと安心です(編集部の解説)。
出典:ドライガス測定ニーズに応える低露点計測技術の向上(azbil Technical Review 2011年1月号)|アズビル
ものづくりでどう効くか

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
- 結露(盤・装置・配管):表面温度が露点より下がる時間帯(夜・冬の朝・冷房の吹き出し口)を見つけ、ヒーター・除湿・断熱で防ぎます。課題「制御盤・筐体の中の結露を防ぎたい」を参照してください。
- 圧縮空気:加圧下露点で配管の中の水を管理し、使い方に合わせて冷凍式・吸着式のドライヤーを選びます(上の節)。
- 塗装・接着・めっき:結露した面や湿った面に塗ると、ふくれ・はがれ・くもりの原因になります。塗る前に、素地の温度が露点より十分高いかを確かめます(編集部の解説)。
- 熱処理・ろう付の雰囲気:炉の中のガスにふくまれる水分を露点で管理します。課題「熱処理で歪む・割れる(焼入れの歪み・焼割れ・脱炭)を減らしたい」では、水素の雰囲気で露点が高いと脱炭することを扱っています。
- 電池・電子部品・樹脂:水分をきらう材料は、露点の低い乾燥した部屋(ドライルーム)や除湿した保管庫で扱います。課題「全固体電池など次世代電池を製品に採り入れたい」も参照してください。
- 静電気・クリーンルーム:群馬県立産業技術センターの報告は、温度20℃で相対湿度40%より65%のほうが糸の静電電位が小さく、作業環境の湿度を高めると静電気を抑える効果があったとしています。課題「静電気のトラブルを防ぎたい」・「クリーンルームの清浄度を保ちたい」も参照してください。
出典:かせ糸に発生する静電気の評価(令和6年度 研究報告)|群馬県立産業技術センター
似ている言葉との違い

出典:ウィキペディア日本語版をもとに AI(Claude)で作成
露点と相対湿度:相対湿度は温度で変わる「割合」、露点は水蒸気の量で決まる「温度」です。同じ空気を温めても冷やしても(露点より上なら)露点は変わりません。
露点と霜点:0℃より下では、水滴ではなく霜(氷)ができる温度を霜点とよび、低い湿度の領域では霜点で表すのが一般的です。
絶対湿度(容積)と絶対湿度(重量):容積絶対湿度は空気1m³ あたりの水蒸気の質量(g/m³)、重量絶対湿度は乾いた空気1kg あたりの水蒸気の質量(kg/kg(DA))です。空気線図では重量絶対湿度を使います。
加圧下露点と大気圧露点:圧縮空気の露点は、圧縮したままか、大気圧に戻したときかで数字が大きく違います。カタログや仕様では、どちらの値かを必ず確かめます。
出典:露点|ウィキペディア日本語版、湿度|ウィキペディア日本語版、微量水分領域の湿度標準(産総研 TODAY 2007年7月号)|産業技術総合研究所
露点が出てくるページ
出典
- 露点|ウィキペディア日本語版
- 飽和水蒸気量|ウィキペディア日本語版
- 湿度|ウィキペディア日本語版
- 湿り空気線図|ウィキペディア日本語版
- 結露|ウィキペディア日本語版
- 微量水分領域の湿度標準(産総研 TODAY 2007年7月号)|産業技術総合研究所
- ドライガス測定ニーズに応える低露点計測技術の向上(azbil Technical Review 2011年1月号)|アズビル
- 露点とは?露点の測定方法|ヴァイサラ
- クリーンエアーシステム 組み合わせ例(ISO 8573-1/JIS B 8392-1 の品質等級の表)|オリオン機械
- かせ糸に発生する静電気の評価(令和6年度 研究報告)|群馬県立産業技術センター
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年10月7日
