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アルミニウム合金(A5052・A6061・A7075 の選び方)

アルミニウム合金は、鉄の約3分の1の重さで、さびにくく、熱と電気をよく通す金属です。

アルミニウム合金(A5052・A6061・A7075 の選び方)
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アルミニウム合金(A5052・A6061・A7075 の選び方)

明るい灰色の作業台の上に、重ねたアルミ合金の板3枚、丸棒2本、T溝のある四角いアルミ押出形材、削り出しのアルミのブラケット、紺色にアルマイトした小さな部品が並ぶイラスト(AI で生成したイメージ)

小型・軽量化材料・部品・工法を置き換えるコストダウン信頼性・長寿命金属金属(材料)腐食・防錆自動車・モビリティ航空・宇宙産業機械・ロボット

アルミニウム合金は、鉄の約3分の1の重さで、さびにくく、熱と電気をよく通す金属です。A5052・A6061・A7075 のように「A+4桁の番号」で呼ばれ、1000系から7000系までの系統と、O・H32・T6 などの質別(加工と熱処理の状態)の組み合わせで、強さ・溶接のしやすさ・耐食性・アルマイトの仕上がりが大きく変わります。設計では、板金・溶接なら A5052、切削なら A6061、強さ最優先なら A7075のように、形と加工のしかたから候補をしぼるのが近道です。

このページでは、製品の設計者・生産技術の担当者に向けて、アルミ合金の記号の読み方、系統ごとの特徴と強さ、A5052・A6061・A7075 の選び方、切削・溶接・アルマイトの注意、研究の知見、腐食や割れのトラブルと対策、図面で指定するときのチェックポイント、事例、相談できる会社までを1ページにまとめました。鉄からアルミへの置き換えの進め方は課題「鉄をアルミ・樹脂・複合材に替えて軽くしたい」、アルミと鉄の接合は課題「アルミと鉄など異種金属をしっかり接合したい」にもあります。

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ステンレスのボルトやほかの金属に触れた所だけさびた異種金属の接触と水分異種金属の接触でさびる
7075・2000系の部品が、時間がたってから割れた応力腐食割れ・湿気による脆化応力腐食割れ(7000系・2000系)・7075・7050 は湿った空気でも粒界から割れやすくなる
溶接した所の近くで強さが足りない・割れた熱影響部の軟化・溶接欠陥溶接:熱処理型は強さが下がる・溶接部の強さ不足・割れ
削ったら板が反った材料の残留応力削ると反る
アルマイトの色むら・ブツブツ・寸法ずれ合金と前処理の相性・膜厚アルマイト:合金で仕上がりが変わる・アルマイトの外観・寸法の不良
ねじ穴がなめた・ボルトが抜けたアルミのめねじの強さ不足ねじ穴がなめる・抜ける

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目次

アルミニウム合金の基本

アルミニウム合金とは

日本アルミニウム協会の資料によると、アルミニウムの比重は2.7で、鉄(7.8)や銅(8.9)の約3分の1です。純アルミニウムは軟らかいので、銅・マンガン・ケイ素・マグネシウム・亜鉛などを加えた合金にして強さを出します。合金は、圧延・押出・鍛造で形を作る展伸材と、溶かして型に流す鋳物・ダイカストに分かれます。このページでは、設計でよく使う展伸材を中心に扱います。

同じ資料の物性の表では、アルミ(1100-H18)の縦弾性係数は 68 kN/mm²、熱伝導度は 220 W/(m·℃)、線膨張係数は 23.6×10⁻⁶/℃ で、鉄(熱間圧延材)は 192 kN/mm²・60 W/(m·℃)・11.7×10⁻⁶/℃ です。軽くて熱をよく通す一方で、縦弾性係数が鉄の約3分の1なのでたわみやすく、温度による伸び縮みは鉄の約2倍になります。

比重、縦弾性係数、熱伝導度、線膨張係数の4つの棒グラフ。アルミ、鉄、銅を並べ、アルミはオレンジで示す
図1 アルミ・鉄・銅の物性の比較
出典:日本アルミニウム協会「アルミニウムとは」の物性の表をもとに AI(Claude)で作成

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会

記号の読み方(A+4桁+質別)

JIS のアルミ展伸材の記号は、「A」と4桁の番号、形を表す記号、質別を並べます。アルミテックの解説によると、4桁の1桁目は系統(1=純アルミ、2=Al-Cu、3=Al-Mn、4=Al-Si、5=Al-Mg、6=Al-Mg-Si、7=Al-Zn-Mg、8=その他)、2桁目は 0 が基本合金・1〜9 が改良型・N が日本独自の合金、下2桁は 1000系では純度(A1070 は 99.70%)を表します。形の記号は P=板、BE=押出棒、BD=引抜棒、S=押出形材などです。

日本アルミニウム協会は、展伸材の4桁の番号は国際的な協定で登録されていて、JIS の A5052 と欧州規格の EN AW-5052 のように4桁が同じなら化学成分は同じだとしています。鋳物用には国際的な登録の制度がなく、記号は国ごとに違います。

A5052P-H32 を A、5、0、52、P、-H32 に分けて意味を書いた図と、1000系から8000系の主な添加元素の表
図2 アルミ合金の記号の読み方
出典:日本アルミニウム協会「アルミニウムとは」・アルミテックの解説をもとに AI(Claude)で作成

出典:アルミ合金番号の意味|アルミテック、アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会

熱処理で強くする合金と、加工で強くする合金

アルミ合金は強くし方で2つに分かれます。2000系・6000系・7000系は熱処理型で、高温で合金元素を溶かし込み(溶体化)、急に冷やしてから、室温や加熱で細かい粒を析出させて(時効)強くします。1000系・3000系・5000系は非熱処理型で、圧延などの加工硬化で強さを出します。熱処理型は溶接などで熱を受けると強さが変わるので、溶接:熱処理型は強さが下がるの注意につながります。

出典:アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering、アルミニウムの調質、質別記号とは|コイケテクノ

質別記号(O・H・T)の意味

同じ合金でも質別で強さが変わるので、図面では合金の番号と質別をかならず一緒に書きます。主な質別の意味は次のとおりです(JIS H 0001 の定義をまとめたコイケテクノの解説から)。

質別意味よく見る例
F製造のまま鋳物・押出のまま
O焼なまし(いちばん軟らかい状態)A5052-O・A5083-O
H112積極的な加工硬化をせず、製造のままで機械的性質を保証したもの厚板・押出材
H14・H34 など加工硬化したもの。H のあとの数字は強さの程度を表すA1100-H14・A5052-H34
T4溶体化処理のあと、自然時効させたものA2017-T4
T5押出などの高温加工から冷やし、人工時効したものA6063-T5
T6溶体化処理のあと、人工時効したものA6061-T6・A7075-T6
T651溶体化処理のあと、引張で残留応力を除いてから人工時効したものA6061-T651・A7075-T651(厚板)
T73応力腐食割れに強くするため、過時効したもの7075 系の部品

出典:アルミニウムの調質、質別記号とは|コイケテクノ、アルミ合金番号の意味|アルミテック

アルミ合金の歩み

日本アルミニウム協会の年表によると、1886年にホールとエルーが電解製錬法を、1887年にバイヤーがアルミナの製造法を発明し、今のアルミの作り方ができました。日本では、1919年に住友伸銅所がジュラルミンの試作に成功し、1936年に住友金属工業が「超々ジュラルミン」を完成させています。1929年にはアルマイト処理が日本で発明され、1934年に日本での製錬が始まりました。

1886年の電解製錬法、1887年のバイヤー法、1919年のジュラルミンの試作、1929年のアルマイト、1934年の製錬開始、1936年の超々ジュラルミン、1996年の総需要400万トンを並べた年表
図3 アルミニウムとアルミ合金の歩み
出典:日本アルミニウム協会の「アルミニウムの歴史」・「アルミ産業の歩み」をもとに AI(Claude)で作成

出典:アルミニウムの歴史|日本アルミニウム協会、アルミ産業の歩み|日本アルミニウム協会

主な種類と特性

系統ごとの特徴

日本アルミニウム協会の資料から、展伸材の系統ごとの特徴をまとめました。

系統代表の合金特徴
1000系(純アルミ)A1050・A1100加工性・耐食性・導電性がよい。強さは低い
2000系(Al-Cu)A2017・A2024(ジュラルミン)鋼に近い強さ。耐食性は劣る
3000系(Al-Mn)A3003純アルミより少し強い。缶・屋根板(3004)
4000系(Al-Si)4032 など融点が低い。ろう材・溶接ワイヤ。4032 は鍛造ピストン
5000系(Al-Mg)A5052・A5083耐食性・溶接性がよい。船・タンク・板金
6000系(Al-Mg-Si)A6061・A6063・6N01押出しやすく構造材に。T6 で強くなる
7000系(Al-Zn-Mg)A7075(超々ジュラルミン)・7N017N01 は溶接構造用。7075 は応力腐食割れに注意
8000系(その他)Al-Li など日本では箔用の 8021・8079

熱処理で強くする型は 2000・6000・7000系、加工硬化で強くする型は 1000・3000・5000系です。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会

代表的な合金の強さ

Instant Engineering がまとめた JIS の規格の最小値では、引張強さは A1050-H24 の 110 MPa から A7075-T6 の 540 MPa まで約5倍の幅があります。設計で大事なのは、永久変形が始まる 0.2%耐力です。

A1050-H24 から A7075-T6 まで12種類の合金・質別の引張強さを並べた横棒グラフ。A5052-H32、A6061-T6、A7075-T6 をオレンジで示す
図4 代表的な合金の引張強さ(規格の最小値)
出典:Instant Engineering の JIS 規格値の表をもとに AI(Claude)で作成
合金・質別引張強さ(MPa)0.2%耐力(MPa)伸び(%)主な用途の例
A1050-H24110以上75以上6以上放熱板・反射板
A1100-H14120以上95以上5以上日用品・化学容器
A2017-T4390以上245以上12以上ねじ材・機械部品
A2024-T4425以上275以上10以上航空機の構造材
A3003-H14145以上120以上4以上缶材・屋根板
A5052-H32215以上160以上7以上船舶・車両パネル
A5083-O275以上125以上15以上LNG タンク・船体
A6061-T6295以上245以上8以上構造材・自転車
A6063-T5150以上110以上8以上サッシ・手すり
A6063-T6205以上170以上8以上構造用押出材
A7075-T6540以上470以上7以上航空機・金型
A7N01-T6440以上370以上8以上鉄道車両の構体

値は Instant Engineering の表(JIS の規格の最小値)で、板厚や形で変わります。メーカーのカタログには、これより高い代表値(例:トーヨーサクセスの表で A6061-T6 は引張強さ 310・耐力 275 N/mm²)が載っています。規格値と代表値を混ぜて比べないでください。

出典:アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering、アルミニウム特性表|トーヨーサクセス

熱・電気の通しやすさと密度

アルミテックの表では、純アルミに近い A1050 は熱伝導度 0.23 kW/(m·℃)・導電率 62%IACS、A5052 は 0.14・35%、A7075-T6 は 0.13・33%で、合金元素が多いほど熱も電気も通しにくくなります。密度は A5052 が 2.68、A6061 が 2.70、A7075 が 2.80 Mg/m³ です。

A1050、A1100、A6063-T5、A3003、A6061-T6、A5052、A7075-T6、A2017-T4、A5083 の熱伝導度と導電率の横棒グラフ
図5 合金ごとの熱伝導度と導電率
出典:アルミテックの「アルミ合金の物理的・化学的性質」をもとに AI(Claude)で作成

出典:アルミ合金の物理的・化学的性質|アルミテック

1000系(純アルミ)・3000系(Al-Mn)・4000系(Al-Si)

日本アルミニウム協会によると、1000系は加工性・耐食性・溶接性・電気と熱の伝導性がよい一方、強さが低く構造材には向かない系統です。3000系の 3003 はマンガンを加えて、純アルミの加工性・耐食性を落とさずに少し強くした合金で、3004・3104 はアルミ缶や屋根板に使われます。4000系はケイ素が多く融点が低いので、ろう材や溶接ワイヤに使い、4032 は鍛造のピストンに使います。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会

2000系(Al-Cu):ジュラルミン

2017(ジュラルミン)・2024(超ジュラルミン)が代表で、鋼に近い強さがある一方、耐食性は劣り、きびしい腐食環境では防食の処理が要ると日本アルミニウム協会は説明しています。2011 は切削性のよい快削合金です。溶接には向かず、ボルトやリベットでつなぐのが基本です(Instant Engineering)。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering

5000系(Al-Mg):A5052・A5083

5000系は耐食性と溶接性がよく、板金・溶接構造の定番です。日本アルミニウム協会によると、5052 は中くらいの強さの代表の合金で、強さのわりに疲労強度が高く、海水に強いとされます。5083 は非熱処理型の実用合金で強さが最も高い耐食合金で、船・LNG タンク・大型の構造物に使われます。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会

6000系(Al-Mg-Si):A6061・A6063

6000系は強さと耐食性のバランスがよく、押出しやすい構造用の系統です。日本アルミニウム協会によると、6063 はサッシなどの押出の代表の合金で、6061 より強さは低いが押出性・耐食性・表面処理性がよい合金です。6061 は T6 で高い耐力が出る一方、溶接継手の強さが低くなるので、ボルト・リベットの構造に使うとしています。6N01(6005C)は鉄道車両や自動車の部品に使われます。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会

7000系(Al-Zn-Mg):A7075・7N01

7000系は、銅を含まない溶接構造用(7N01=7204、7003)と、銅を含む 7075 に分かれます。日本アルミニウム協会によると、7075 は「超々ジュラルミン」の名で知られ、航空機やスポーツ用品に使われます。7N01 は、溶接した所の強さが常温に置くと母材に近い強さまで戻るので、鉄道車両などに使われます。7075 は溶接に向かず、応力腐食割れに注意が要ります(Instant Engineering)。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering

鋳物・ダイカスト用の合金

鋳物用は AC(例:AC4C)、ダイカスト用は ADC(例:ADC12)の記号で呼びます。日本アルミニウム協会によると、ダイカスト用は流れやすさのためにケイ素を多く含み、ふつうは熱処理しません。ADC10・ADC12 は Al-Si-Cu 系です。ダイカストの選び方は技術ページ「ダイカスト」で扱います。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会

アルミ合金の選び方

条件から候補をしぼる

合金を選ぶときは、①どの形(板・棒・押出形材)で手に入れるか、②溶接するか、③アルマイトするか、④使う環境(屋外・水・温度)の順に考えると、候補が少なくなります。各社の資料をもとに、よく使われる候補を並べました。

条件よく使われる候補
曲げ・板金・溶接して、屋外や水まわりで使うA5052(強さが要れば A5083)
切削して、ほどよい強さが欲しいA6061-T6・T651
とにかく強く・軽く(溶接しない)A7075-T6・T651、A2017・A2024
押出の形材(フレーム・サッシ・ヒートシンク)A6063(強さが要れば 6N01・6061)
溶接構造で強さも要る(車両・船)A5083・7N01(7204)
熱・電気をよく通したいA1050・A1100・A6063
切りくずを細かくして量産で削りたい2011 などの快削合金(鉛フリー材あり)

候補が決まったら、流通する形と寸法、表面処理、溶接後の強さを確かめます。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、非鉄金属材料の選び方(アルミニウム)|ヒテツキンゾク、A5052 と A6061 の違い(厚板の選び方)|萬世興業、鉛フリー快削合金(CB・KS シリーズ)|UACJ

A5052・A6061・A7075 のくらべ方

もっともよく比べられる3つの合金を、日本アルミニウム協会と各社の資料から並べました。A5052 は溶接・曲げ・耐食、A6061 は熱処理で強くでき切削向き、A7075 は強さ最優先という違いです。

項目A5052A6061A7075
系統・型5000系・非熱処理型6000系・熱処理型7000系・熱処理型
よく使う質別H32・H34・OT6・T651T6・T651
引張強さ(規格の最小値)215 MPa 以上(H32)295 MPa 以上(T6)540 MPa 以上(T6)
密度(Mg/m³)2.682.702.80
溶接よい(溶接割れしにくい)できるが継手の強さが下がる向かない
耐食性よい(海水に強い)よい劣る(応力腐食割れに注意)
価格の傾向供給が安定し比較的安いA5052 より高い傾向—
向く場面板金・溶接構造・屋外・水まわり切削部品・構造材高い強さが要る部品・治具

強さは Instant Engineering の JIS の規格値、密度はアルミテック、溶接・耐食性は日本アルミニウム協会・Instant Engineering、価格の傾向は萬世興業の解説です。価格は形・寸法・量・時期で変わります。

出典:アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering、アルミ合金の物理的・化学的性質|アルミテック、アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、A5052 と A6061 の違い(厚板の選び方)|萬世興業

形ごとに流通する合金

合金はどれでも好きな形で手に入るわけではありません。ヒテツキンゾクの扱いの表では、板は A5052・A5083・A6061・A2017・A7075 など、丸棒は A5052・A6061・A2017・A7075 など、角パイプやアングルなどの押出形材は A6063が中心です。日本アルミニウム協会も、6063 を押出の代表の合金としています。断面の形が特殊なら、白銅のように特注の押出型材を扱う会社に相談します(白銅株式会社)。

形よく流通する合金の例
板A5052・A5083・A6061・A1050・A1100・A2017・A7075(この店の板に A6063 はない)
丸棒A5052・A5056・A6061・A6063・A2017・A2024・A7075
押出形材(角パイプ・アングル)A6063 が大半。強さが要る形材は 6061・6N01・7003 などを特注で

通販店・素材商社の扱いの例です。在庫の寸法は店ごとに違うので、先に問い合わせます。

出典:非鉄金属材料の選び方(アルミニウム)|ヒテツキンゾク、アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、特注アルミニウム押出型材|白銅

鉄からアルミに置き換えるときの考え方

Instant Engineering は、A7075-T6 の比強度(強さ÷密度)が約 0.21 MPa·m³/kg で、一般構造用鋼 SS400 の約 0.051 の約4倍だと計算しています。一方で、縦弾性係数は鉄の約3分の1なので、同じ断面のままではたわみやすく、中空の断面やリブで断面二次モーメントを稼ぐ設計が要るとしています。また、アルミは約200℃から強さが落ち始めるとしています。置き換えの進め方は課題「鉄をアルミ・樹脂・複合材に替えて軽くしたい」で扱います。

出典:アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering

価格と供給

アルミの地金の国際価格は、ロンドン金属取引所(LME)の値が目安になります。Trading Economics によると、2026年10月28日の LME のアルミの価格は 1トンあたり 3,078.50 ドルで、過去の高値は2022年3月の 4,103 ドルです。日本アルミニウム協会は、日本は使う新地金のすべてを輸入しているとしています。部品の値段は、地金の価格に加えて、合金・形・寸法・量で決まります。

出典:Aluminum(LME の価格)|Trading Economics、アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会

再生地金は CO2 が約98%少ない

日本アルミニウム協会のサイトにあるアルミニウム WG 2025 の資料では、新地金(日本の輸入の平均)の CO2 排出量は1トンあたり 12.7 トン、展伸材のスクラップを溶かした再生地金は 0.303 トンで、約98%少ないとしています。同じ資料では、日本の展伸材(板・押出材)の出荷量 167万トンのうち再生材の利用率は 34%、鋳物・ダイカストは 125万トンのうち 83%です。日本アルミニウム協会と日本機械学会誌は、再生地金を作るエネルギーは新地金の約3%としています。

新地金、グリーン地金、再生地金の1トンあたりのCO2排出量の横棒グラフ
図6 アルミ地金1トンあたりの CO2 排出量
出典:日本アルミニウム協会のサイトのアルミニウム WG 2025 の資料をもとに AI(Claude)で作成

出典:アルミニウム WG 2025 の資料(再生材の利用率・CO2 原単位)|日本アルミニウム協会のサイト、アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、日本機械学会誌 2009年5月号(アルミニウムのリサイクル)

THE MAKING (16)アルミ缶のリサイクル(YouTube の動画)
動画 THE MAKING (16)アルミ缶のリサイクル
出典:SCIENCE CHANNEL(JST)(YouTube)

図面で指定するときのチェックポイント

図面や仕様書でアルミ合金を指定するときに、書き漏らしやすい項目です(編集部が整理した項目です)。

  • 合金と質別:A6061-T6 のように番号と質別を一緒に書く。形の記号(P・BE など)も
  • 形と寸法:流通する板厚・径・形材の断面か。特注の押出は金型とロットが要る
  • 溶接:溶接するなら非熱処理型か 7N01 などを選び、継手の強さを母材より低く見込む
  • 表面処理:アルマイトの種類(白・黒・硬質)、膜厚、色、マスキングする所
  • 異種金属:鉄・ステンレス・銅と触れる所の絶縁と、水がたまる経路
  • ねじ:めねじの長さ、ねじ山を補強するインサートの要否
  • 温度:使う最高温度。高温では強さが下がり、快削合金には脆くなる温度がある
  • 証明:材料の検査証明書(ミルシート)で、合金・質別・機械的性質を確かめる

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering、鉛フリー快削合金(CB・KS シリーズ)|UACJ、ヘリコイル(ねじ山の補強)|ベルホフ(イプロス)

加工・接合・表面処理

押出・圧延で形を作る

アルミの展伸材は、鋳造したかたまり(ビレット・スラブ)を圧延して板にしたり、ダイスから押し出して形材にしたりして作ります。押出なら、ヒートシンクのフィンやフレームの溝など複雑な断面を一度に作れます。三協立山(三協マテリアル社)の製造範囲では、A6063-T5 の形材で外接円 φ8mm から、肉厚 0.8mm から作れるとしています。日本軽金属の動画では、車いすラグビー用のハンドリムを作る工程のうち、アルミの押出を紹介しています。

出典:押出形材の製造範囲|三協マテリアル(三協立山)

【車いすラグビー・池崎大輔】ハンドリムができるまで②アルミ押出篇(YouTube の動画)
動画 【車いすラグビー・池崎大輔】ハンドリムができるまで②アルミ押出篇
出典:【公式】日本軽金属株式会社(YouTube)

切削:反りと切りくずに気をつける

Instant Engineering は切削加工なら A2017 や A7075 を挙げ、萬世興業は A6061 を精密なマシニング加工に向くとしています。厚板を削るときに困るのが反りで、素材の中の残留応力が削って開放されると反るため、引張で残留応力を除いた T651 や、残留応力を下げた精密板を選びます(削ると反る)。量産で切りくずを細かく分けたいときは快削合金を使います。UACJ の表では、従来の快削合金 2011-T8 と同じ引張強さ 440 N/mm²・耐力 330 N/mm² で、鉛やスズを使わない CB256-T8 があります。ただし同社は、低い融点の金属を含む2000系の快削合金は 120℃以上で脆くなるので温度の上がる所に注意するよう書いています。切削の基本は技術ページ「切削加工」にあります。

出典:アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering、A5052 と A6061 の違い(厚板の選び方)|萬世興業、鉛フリー快削合金(CB・KS シリーズ)|UACJ、半導体製造装置向けのアルミ厚板|神戸製鋼所、アルミニウムの調質、質別記号とは|コイケテクノ

溶接:熱処理型は強さが下がる

5000系は溶接しやすく、溶接構造の定番です。6061 などの熱処理型は、溶接の熱を受けた所(熱影響部)の強さが下がり、日本アルミニウム協会は 6061 を「溶接継手強度が低くなるため、ボルト・リベット構造用」としています。7N01 は溶接したあと常温に置くと母材に近い強さまで戻る合金で、鉄道車両に使われます。7075・2000系は溶接に向きません。溶接の方法の選び方は技術ページ「溶接」にあります。

母材、熱影響部、溶接金属の断面と、その下に熱影響部と溶接金属で硬さが下がる線を描いた模式図
図7 熱処理型の合金を溶接したときの、硬さの変わり方(模式図)
出典:日本アルミニウム協会「アルミニウムとは」(硬さの線は説明用の模式図)をもとに AI(Claude)で作成

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering

摩擦攪拌接合(FSW):溶かさずにつなぐ

摩擦攪拌接合(FSW)は、回転する工具を押し付けて、材料を溶かさずに軟らかくして練り混ぜる接合方法です。協友製作所は、押し付ける力 1.2t で深さ 4〜6mm まで接合し、A6061 の水冷板(コールドプレート)の溝と蓋をつなぐ事例を公開しています。同社は、真空ろう付けや電子ビーム溶接とくらべた長所・短所も説明しています。

出典:摩擦攪拌接合(FSW)|協友製作所

アルマイト:合金で仕上がりが変わる

アルミの代表的な表面処理がアルマイト(陽極酸化)です。日本アルミニウム協会は 6063 を表面処理性のよい合金とし、ヒテツキンゾクは A5056 を染色性がよい、A1100 をアルマイト後に白っぽくなるとしています。一方で、7075 は前処理しだいで表面にブツブツが出ることがあり、膜の厚みで寸法も変わるため、サン工業は前処理の改善と製品ごとの膜厚の管理で、A7075 の硬質アルマイト(30µm)の外観と寸法をそろえた事例を公開しています。UACJ の ZK75 は、7000系でアルマイト後の外観を 6063 に近づけることをめざした押出材です。詳しくは技術ページ「アルマイト」にあります。

出典:アルミニウムとは(2018年版 PDF)|日本アルミニウム協会、非鉄金属材料の選び方(アルミニウム)|ヒテツキンゾク、A7075 材の硬質アルマイト外観の改善|サン工業、ALmitas+ ZK75|UACJ

トラブルと対策

アルミ合金の部品で起きやすいトラブルと、考えられる原因・対策をまとめました。

異種金属の接触でさびる

アルミテックの腐食電位の表では、アルミ合金は −0.81〜−0.87 V で、軟鋼(−0.58 V)・銅(−0.20 V)・ステンレス鋼(−0.09 V)より卑です。水があるところでアルミとこれらの金属が触れると、アルミ側の腐食が進みます。竹中技術研究報告は、卑な金属の腐食が接合部で早まることを示し、絶縁の要否を判断する表をまとめています。絶縁ワッシャー・塗装・水がたまらない形にするなどで防ぎます。詳しくは課題「異種金属の接触で起きる腐食(電食)を防ぎたい」にあります。

マグネシウム、亜鉛、A5083、A5052、A6061、A7075、A2024、軟鋼、銅、ステンレス鋼の腐食電位を横に並べた図。アルミ合金をオレンジで示す
図8 アルミ合金とほかの金属の腐食電位
出典:アルミテックの「アルミ合金の物理的・化学的性質」(腐食電位の表)をもとに AI(Claude)で作成

出典:アルミ合金の物理的・化学的性質|アルミテック、建築設備配管系における異種金属接触腐食と対策|竹中技術研究報告 No.64(2008年)

応力腐食割れ(7000系・2000系)

引張の応力がかかったまま湿気や腐食の環境に置かれると、時間がたってから割れることがあります。Instant Engineering は、銅を含む 2000系・7000系で応力腐食割れに注意が要るとしています。7075 系では、応力腐食割れに強くするための過時効の質別 T73 がある(コイケテクノ)ほか、湿った空気でも割れやすくなる研究(7075・7050 は湿った空気でも粒界から割れやすくなる)があります。対策は課題「応力腐食割れ(SCC)を防ぎたい」にあります。

出典:アルミ合金の種類と特徴(番号体系・質別・強度一覧)|Instant Engineering、アルミニウムの調質、質別記号とは|コイケテクノ、安藤ほか「Cr または Zr を含有する Al–Zn–Mg–Cu 系合金の大気環境脆化」軽金属 57巻1号(2007年)

溶接部の強さ不足・割れ

熱処理型の合金は、溶接の熱で強さが下がります(溶接:熱処理型は強さが下がる)。さらに、溶接の欠陥は疲労き裂の起点になります。国民生活センターは、アルミ合金の自転車のフレームが、溶接部の欠陥を起点にした疲労き裂で破断した事故を報告しています(折りたたみ自転車のフレームが溶接部から破断(2024年の発表))。溶接の欠陥の対策は課題「溶接のブローホール・割れを減らしたい」にあります。

出典:折りたたみ自転車のフレームが走行中に破断した事故(2024年10月30日)|国民生活センター

削ると反る

厚い板やブロックを片側だけ大きく削ると、素材の中でつり合っていた残留応力がくずれて反ります。T651 は、溶体化処理のあとに引張で残留応力を除いてから時効した質別です(コイケテクノ)。神戸製鋼所は、JIS 規格品とくらべて平坦度と板厚の公差を上げ、残留応力を下げた精密板(アルハイス・アルジェイド)を、半導体製造装置などの切削部品向けに出しています。

残留応力がつり合った素材を片面だけ削ると反ることを示す模式図と、T651や精密板を選ぶ対策
図9 削ると反るしくみ(模式図)
出典:神戸製鋼所・コイケテクノの資料(模式図)をもとに AI(Claude)で作成

出典:アルミニウムの調質、質別記号とは|コイケテクノ、半導体製造装置向けのアルミ厚板|神戸製鋼所、アルハイス-83(A5083 の精密厚板)|神戸製鋼所

アルマイトの外観・寸法の不良

サン工業の事例では、A7075 は素材に腐食しやすい成分を含み、前処理やアルマイトの工程しだいで表面にブツブツが出るとしています。同社は表面を溶かさない処理と、製品ごとの膜厚の管理で改善しました。図面にはアルマイトの種類と膜厚を書き、膜の分の寸法を見込みます。

出典:A7075 材の硬質アルマイト外観の改善|サン工業

ねじ穴がなめる・抜ける

アルミのめねじは、鋼のボルトより軟らかいので、締め付けや着脱をくり返すとねじ山がいたみます。ベルホフは、ねじ山を補強するコイル(ヘリコイル)を入れると、補強しないねじ山より引き抜きの荷重が約40%上がる見込みだとしています(試験の条件は書かれていません)。ゆるみの対策は課題「ねじ・ボルトがゆるむのを防ぎたい」にあります。

出典:ヘリコイル(ねじ山の補強)|ベルホフ(イプロス)

研究からわかること:軽金属学会の論文誌「軽金属」から、割れと腐食に関わる3本の研究を紹介します。研究の結果は、論文の条件の中でのものです。

7075・7050 は湿った空気でも粒界から割れやすくなる

東京大学の安藤らは、市販の A7075 と A7050 を実験室の空気の中でゆっくり(ひずみ速度 10⁻⁷/s)引っ張ると、伸びが下がり、粒界で割れる「大気環境脆化」が起き、湿度が高いほど目立ったと報告しています(2007年)。どの湿度でも A7050 は A7075 より深刻だったとしています。

出典:安藤ほか「Cr または Zr を含有する Al–Zn–Mg–Cu 系合金の大気環境脆化」軽金属 57巻1号(2007年)

6000系でも、組織が残ると応力腐食割れの基準を超える

茨城大学とトヨタ自動車の梨木らは、6061 より強さの面で有利と考えられている 6110 系の合金で、銅とケイ素の量を規格の範囲で変えた4種を調べ、4種とも湿潤ガス応力腐食割れの試験でき裂の長さが判定の基準を超えたと報告しています(2025年)。塑性加工が足りず、凝固のときの組織が残って靭性が不足したためと考えています。

出典:梨木ほか「Al-Mg-Si-Cu 合金の湿潤ガス応力腐食割れ特性」軽金属 75巻10号(2025年)

アルカリの液でクラッド材に穴があくしくみ

三菱アルミニウムの江戸らは、自動車のラジエーターのチューブに使う、片面に犠牲陽極の層を貼り合わせたクラッド材について、アルカリの液では犠牲陽極がうまく働かず孔食で穴があくとされてきたことを受けて、そのしくみを調べました。犠牲陽極と芯材が電池をつくり、芯材の表面に強いアルカリの液ができて溶けるのが主な原因と考えられると報告しています(2003年)。

出典:江戸ほか「アルカリ水溶液中におけるアルミニウム合金クラッド材の局部腐食」軽金属 53巻2号(2003年)

事例:アルミ合金の材料と使い方が関わった例

国の機関の発表、報道、企業の発表から、アルミ合金の材料と使い方が関わる例を集めました。

折りたたみ自転車のフレームのヒンジ付近の溶接部に印を付け、溶接欠陥があり、欠陥を起点に疲労き裂が進み、走行中に破断した流れを書いた模式図
図10 折りたたみ自転車のフレームの破断:溶接部の欠陥から
出典:国民生活センターの発表(模式図)をもとに AI(Claude)で作成

折りたたみ自転車のフレームが溶接部から破断(2024年の発表)

国民生活センターは、走行中にアルミ合金のフレームが破損してけがをした事故を調べ、ヒンジ付近の溶接部に多種の溶接欠陥があり、新品から溶接部の強さが低く、欠陥を起点に疲労き裂が進んで破断したと考えられるとしました。同型の新品も、JIS D 9301 のペダル力による疲労の試験で、規定の回数の前に溶接ビードにき裂が生じました。

出典:折りたたみ自転車のフレームが走行中に破断した事故(2024年10月30日)|国民生活センター

同じ A6061 のフレームで、年式によって硬さが違った

NITE(製品評価技術基盤機構)は、A6061 のフレームのトップチューブが破断した自転車の同等品を調べ、2012年と2013年のモデルで成分に大きな差はないのに、ビッカース硬さに約30%の差があり、振動試験では硬さの低い2012年モデルに破損が集中したと報告しています。同じ合金の番号でも、硬さが違う製品があった例です(硬さの差の原因は資料の中で断定していません)。

出典:自転車フレームに使用されるアルミニウム合金のX線回折計測による物性評価について|NITE

アルミ製品の検査データの書き換え(2017年)

Aviation Wire によると、神戸製鋼所は2017年10月、アルミ板・押出品・鋳鍛造品などの検査証明書のデータ改ざんを発表しました。2016年9月〜2017年8月に出荷したアルミ製品約1万9300トン、アルミ鋳鍛造品約1万9400個などで、納入先は約200社としています。同社は2017年12月、グループ全体の不適合製品について、即時の使用停止や回収が要る事案は確認されていないとしています。材料の証明を受け入れの検査でどう確かめるかを見直すきっかけになりました。

出典:神戸製鋼のデータ改ざん、MRJ は問題なし(2017年10月8日)|Aviation Wire、不適切行為に係る「安全性の検証状況」の進捗について(2017年12月15日)|神戸製鋼所

アルミのサブフレームで鉄より約38%軽く(ホンダ・レジェンド)

本田技研工業のレジェンドの資料では、熱間バルジ成形(温めたアルミのパイプを空気の圧力でふくらませる)の部材と鋳造の部材を溶接でつないだサブフレームで、鉄で作った場合より約38%(約19kg)軽くしたとしています。形の作り方と接合を組み合わせて置き換えた例です。

出典:LEGEND FACT BOOK(ハイブリッド構造アルミサブフレーム)|本田技研工業

1・2件目は国の機関の発表、3件目は報道と企業の発表、4件目は企業の資料です(編集部の整理)。3件目の最後の一文は編集部の補足です。

企業紹介(アルミニウム合金の技術)

材料メーカーから、素材商社、押出形材、接合、表面処理まで、得意分野の違う会社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。各社のサイトの画像は使わず、公開されている情報をもとに図にしました。

相談する前に整理すること

材料メーカー・素材商社・加工会社に相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。

  • 部品の形と大きさ:板・丸棒・押出の断面、寸法
  • 必要な強さ・剛性:耐力・たわみの目標
  • 加工のしかた:切削・曲げ・溶接・FSW
  • 表面処理:アルマイトの種類と膜厚・色
  • 使う環境:屋外・水・薬品・温度
  • 数量と時期:試作と量産の数、納期

困りごとごとの相談先

困りごと相談先の種類このページで紹介した会社
板・押出材の合金や質別を選びたい、新しい合金を使いたいアルミの材料メーカーUACJ・日本軽金属
精密切削で反りを減らしたいアルミ厚板のメーカー神戸製鋼所・日本軽金属
市販にない断面の押出材がほしい素材商社・押出メーカー白銅・三協立山
水冷板を漏れなく、歪みを抑えて作りたいFSW・溶接の加工会社協友製作所
7075 などの硬質アルマイトの外観と寸法をそろえたい表面処理の会社サン工業

各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。各社の紹介は下にあります。

会社板押出
形材
精密
厚板
加工・
接合
表面
処理
UACJ板・押出・鍛造(東京都港区)●●
日本軽金属板・押出・加工(東京都港区)●●●
神戸製鋼所アルミ板・厚板(兵庫県神戸市)●●
白銅素材の販売・特注押出(東京都千代田区)●●●
三協立山押出形材(富山県高岡市)●
協友製作所FSW・水冷板の加工(神奈川県藤沢市)●
サン工業めっき・アルマイト(長野県伊那市)●

●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

株式会社UACJ|板・押出・鍛造まで扱い、鉛フリー快削合金や7000系の押出材も

東京都港区三田に本社を置く会社です(同社の会社データ)。製品情報では、アルミの板・押出・鋳物・鍛造・加工品を扱っています。

UACJの快削合金、ZK75、製品の幅の3枚のカードの図
図11 UACJ のアルミ押出材の例
出典:UACJ の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

UACJの得意技術

技術内容
鉛フリー快削合金(CB・KS)CB256-T8 は引張強さ 440・耐力 330 N/mm²・伸び 15%で、従来の 2011-T8 と同じ強さ(同社の表)
ALmitas+ ZK757000系の押出材。代表値で引張強さ 420・耐力 400 N/mm²、熱伝導率 158 W/(m·K)。6063 の約2倍の強さで、アルマイト後の外観を 6063 に近づけることをめざしたと同社は説明
製品の幅板・押出・鋳物・鍛造・加工品

UACJが解決できる課題

  • 鉛を使わずに、切削性のよい材料に替えたい
  • 7000系の強さで、アルマイトの外観もそろえたい

出典:会社データ|UACJ、鉛フリー快削合金(CB・KS シリーズ)|UACJ、ALmitas+ ZK75|UACJ、製品情報|UACJ

日本軽金属株式会社|熱処理型の板から装置・金型用の板まで

日本軽金属とは

東京都港区新橋に本社を置く会社です(同社の会社概要)。圧延品(板)のページでは、熱処理型の合金板、半導体・液晶の製造装置用の板、樹脂の金型用の板などを紹介しています。

日本軽金属の熱処理型の板、装置・金型用の板、大きさの3枚のカードの図
図12 日本軽金属の板製品の例
出典:日本軽金属の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

日本軽金属の得意技術

技術内容
熱処理型の合金板14S・24S・U74S・75S、デュラルミンの N17S(同社の表記)
装置・金型用の板半導体・液晶の製造装置用の 6000系の板 R61S、樹脂の成形金型用の TKF7、高耐熱の板 219S
製造範囲板厚 10〜200mm で幅 1,750mm・長さ 3,050mm まで(同社の表)。FSW の技術も紹介

日本軽金属が解決できる課題

  • 強い熱処理型の板を、装置部品に使いたい
  • 半導体・液晶の装置や金型に合う板を選びたい

出典:Corporate Profile|日本軽金属、Rolled Products(板製品)|日本軽金属

株式会社神戸製鋼所|平坦度と板厚の精度を上げたアルミ厚板

神戸製鋼所とは

兵庫県神戸市中央区と東京都港区に本社を置く会社です(同社の会社概要)。アルミの板・厚板を作っています。

神戸製鋼所のアルハイス-83、板厚の精度、残留応力の3枚のカードの図
図13 神戸製鋼所のアルミ厚板の例
出典:神戸製鋼所の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

神戸製鋼所の得意技術

技術内容
アルハイス-83A5083P-O の厚板。板厚 4〜30mm、1,525×3,050mm。代表値で引張強さ 323・耐力 144 N/mm²・伸び 22%、平坦度 0.4mm/m 以下
板厚の精度板厚の精度は JIS 規格の約5分の1と同社は説明
精密板アルハイス・アルジェイド(5052)は、JIS 規格品とくらべて平坦度と板厚の公差を上げ、残留応力を下げたと同社は説明

神戸製鋼所が解決できる課題

  • 厚板を精密に削るときの反りを減らしたい
  • 板厚の公差の小さい板で、削る量を減らしたい

公開されている実績・用途

  • 半導体・液晶・太陽電池パネルの製造装置、ロボット、医療機器、OA 機器、光学機器、モールド、治具(同社サイト)

出典:会社概要|神戸製鋼所、アルハイス-83(A5083 の精密厚板)|神戸製鋼所、半導体製造装置向けのアルミ厚板|神戸製鋼所

白銅株式会社|1000〜7000系の特注アルミ押出型材

東京都千代田区丸の内に本社を置く会社です(同社の事業所所在地)。アルミ・銅・ステンレスなどの素材を扱い、特注のアルミ押出型材も手がけています。

白銅の特注押出型材の合金、大きさ、ロットの3枚のカードの図
図14 白銅の特注アルミ押出型材
出典:白銅の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

白銅の得意技術

技術内容
合金A1050、A2011・A2017・A2024、A3003、A5052・A5056・A5083、A6061・A6063・A6N01、A7003・A7075・A7N01
大きさ最大の外接円は JIS 一般の平形状で φ550mm・中空で φ500mm、JIS 特殊級の平形状で φ600mm。単重 0.08〜40kg/m、長さ 20m まで
ロットと加工製造ロットは約300kg から。切断・機械加工・表面処理も

白銅が解決できる課題

  • 市販にない断面の押出材を作りたい
  • 削り出しの部品を押出材に替えて、削る量を減らしたい

公開されている実績・用途

  • 空圧機器・自動車・熱交換器・OA 機器の部品、住宅用の建材、新幹線の部品(同社サイト)

出典:事業所所在地(本社)|白銅、特注アルミニウム押出型材|白銅

三協立山株式会社(三協マテリアル社)|6063・6061・7N01 などのアルミ押出形材

三協立山とは

富山県高岡市に本社を置く会社です(同社の会社概要)。マテリアル事業を担う三協マテリアル社が、アルミの押出形材を作っています。

三協立山の6061-T6の規格値、製造範囲、採用事例の3枚のカードの図
図15 三協立山(三協マテリアル社)の押出形材
出典:三協立山(三協マテリアル社)の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

三協立山の得意技術

技術内容
扱う合金6061-T6・6063-T1・T5・7003・7204(7N01)-T5 など。6061-T6 は同社規格値で引張強さ 265・耐力 245 N/mm² 以上(肉厚 6mm 以下)
製造範囲A6063-T5 で外接円 φ8mm から、肉厚 0.8mm から
採用事例アルミの巻き芯、高トングのヒートシンクの押出形材など

三協立山が解決できる課題

  • 押出形材の強さの保証値を確かめて設計したい
  • ヒートシンクなど細かい断面の押出形材を作りたい

公開されている実績・用途

  • 高機能フィルムや製紙の巻き取り用のアルミ製巻き芯、ヒートシンク(同社サイト)

出典:会社概要|三協立山、アルミニウム 合金の種類|三協マテリアル(三協立山)、押出形材の製造範囲|三協マテリアル(三協立山)、技術採用事例|三協マテリアル(三協立山)

株式会社協友製作所|摩擦攪拌接合(FSW)の水冷板と真空部品

協友製作所とは

神奈川県藤沢市に本社を置く会社です(同社の会社概要)。コールドプレート(水冷板)・バッキングプレート・真空チャンバーの設計・製作をしています。

協友製作所のFSW、コールドプレート、一貫加工の3枚のカードの図
図16 協友製作所の摩擦攪拌接合
出典:協友製作所の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

協友製作所の得意技術

技術内容
摩擦攪拌接合(FSW)押し付ける力 1.2t で、深さ 4〜6mm まで接合する
コールドプレート水冷の溝と蓋を FSW でつなぐ。A6061 と銅の事例を公開
一貫加工切削から FSW までを同じ機械で加工すると同社は説明

協友製作所が解決できる課題

  • アルミの水冷板を漏れなく作りたい
  • ろう付けの代わりに、溶かさずに接合したい

出典:会社概要|協友製作所、摩擦攪拌接合(FSW)|協友製作所

サン工業株式会社|7075 の硬質アルマイトなど、めっき・アルマイトの表面処理

サン工業とは

長野県伊那市に本社を置く会社です(同社の概要・沿革)。めっき・硬質アルマイトなどの表面処理を手がけています。

サン工業のA7075の外観、膜厚の管理、表面処理の3枚のカードの図
図17 サン工業の硬質アルマイトの例
出典:サン工業の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

サン工業の得意技術

技術内容
A7075 の硬質アルマイト表面を溶かさない前処理で、素材の介在物によるブツブツを抑えた
膜厚の管理製品ごとの膜厚の管理の方法を標準化し、寸法の精度を上げた(硬質 30µm の事例)
表面処理めっき・硬質アルマイトなど

サン工業が解決できる課題

  • 7075 の硬質アルマイトで、外観と寸法をそろえたい
  • アルマイトの膜厚で寸法がずれるのを防ぎたい

出典:概要・沿革|サン工業、A7075 材の硬質アルマイト外観の改善|サン工業

よくある質問

種類と選び方

A5052 と A6061 は、どちらを選べばよいですか?
曲げ・溶接・屋外や水まわりなら A5052、切削で強さが欲しいなら A6061-T6 が基本です。A5052 は非熱処理型で溶接しやすく、A6061 は熱処理で強くなる一方、溶接すると継手の強さが下がります(A5052・A6061・A7075 のくらべ方)。
A7075 は溶接できますか?
Instant Engineering は、A7075 は溶接に向かないとしています。ボルトやリベットでつなぐのが基本です。溶接構造で強さが要るなら、5083 や 7N01 を使います(溶接:熱処理型は強さが下がる)。
T6 と T651 の違いは?
どちらも溶体化処理のあと人工時効したものですが、T651 は時効の前に引張で残留応力を除いています。厚板を削るときの反りを減らしたいなら T651 を選びます(質別記号(O・H・T)の意味・削ると反る)。
アルミは鉄より弱いですか?
合金と質別によります。A7075-T6 の引張強さ(規格の最小値 540 MPa)は一般構造用鋼 SS400 の 400 MPa を上回ります。ただし縦弾性係数は鉄の約3分の1なので、同じ断面ではたわみやすくなります(鉄からアルミに置き換えるときの考え方)。

加工・使い方・環境

アルマイトに向く合金は?
6063・6061 などの6000系は表面処理性がよく、A5056 は染色性がよいとされます。7075 は前処理しだいでブツブツが出ることがあるので、表面処理の会社と相談します(アルマイト:合金で仕上がりが変わる)。
ステンレスのボルトでアルミを止めても大丈夫ですか?
水がかかる所では、電位の差でアルミ側が腐食しやすくなります。絶縁ワッシャーや塗装で絶縁し、水がたまらない形にします(異種金属の接触でさびる)。
熱をよく通すアルミ合金は?
純アルミに近いほど熱をよく通します。アルミテックの表では、A1050 は 0.23 kW/(m·℃)、A6063-T5 は 0.21、A5052 は 0.14、A7075-T6 は 0.13 です(熱・電気の通しやすさと密度)。
アルミのリサイクル材は品質が落ちますか?
日本アルミニウム協会は、再生地金は新地金とほとんど同じ品質で、作るエネルギーは新地金の約3%としています。日本の展伸材の再生材の利用率は 34%(2025年の資料)です(再生地金は CO2 が約98%少ない)。

回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。

出典・確認日

※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図は転載していません。強さ・物性の数値は資料ごとに規格値と代表値、測り方と前提が違うため、資料をまたいで細かく比べないでください。

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。

情報の確認日:2026年10月29日 本ページの内容は一般的な情報です。材料の選定・使用の判断は、メーカーの資料と試験で確かめてください。各社の製品・サービスは、その会社の公開情報にもとづきます。

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