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鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄の種類と選び方)

鋳鉄は、炭素を多く含み、その炭素の多くが黒鉛(グラファイト)として組織の中に出ている鉄の合金です(ウィキペディア)。

鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄の種類と選び方)
5件解決できる課題
5社紹介している企業
34点図と写真
26件出典

鋳鉄(ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄の種類と選び方)

作業台の上に、リブのある工作機械のベッド、自動車のナックル、通気孔のあるブレーキディスク、フランジ付きの短い管の鋳鉄部品を並べ、右に片状黒鉛と球状黒鉛の組織を拡大した2つの丸い図を置いたイラスト(AI で生成したイメージ)

コストダウン材料・部品・工法を置き換える金属防振・制振摩耗金属材料鋳造・鍛造自動車・モビリティ産業機械・ロボット

鋳鉄は、炭素を多く含み、その炭素の多くが黒鉛(グラファイト)として組織の中に出ている鉄の合金です(ウィキペディア)。鋳鋼より低い温度で鋳込めて湯流れがよく、固まるときに黒鉛が出て縮みを打ち消すので引け巣が少なく、小物から大物まで多くの鋳物部品に使われています(マルサン木型製作所)。黒鉛の形が細長い片状ならねずみ鋳鉄(FC)、球状なら球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄、FCD)で、ねずみ鋳鉄は振動を吸収し削りやすく、球状黒鉛鋳鉄は強さと伸びに優れます(山城製作所・適材適所・日本ダクタイル鉄管協会)。

出典:ねずみ鋳鉄|ウィキペディア、FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)、FC・FCDの特徴を活かした部品としての活用法|山城製作所、FC(ねずみ鋳鉄)|適材適所(部品加工の情報サイト)、ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会

このページでは、黒鉛の形と性質の関係、FC・FCD の種類(記号の読み方)、高合金鋳鉄、選び方、肉厚やチルなど鋳物ならではの注意、規格の値の見方をまとめ、得意な材質の違う鋳物の会社を紹介します。砂型鋳造・精密鋳造の工法そのものは技術「精密鋳造(ロストワックス)・砂型鋳造」で扱っています。

鋳鉄の企業(早見表)

企業ねずみ
鋳鉄(FC)
球状黒鉛
鋳鉄(FCD)
ニレジスト
(オーステ
ナイト)
高クロム
耐摩耗
大物
(トン単位)
小物の
量産
若月鋳工所工作機械・産業機械の鋳物を、単重10kg〜8トン(新潟県)●●●
武蔵キャスティング球状黒鉛鋳鉄の1〜3kg の小物を量産(京都府)●●
稲垣工業FC・FCD と、半導体用真空ポンプのニレジスト部品(愛知県)●●●
特殊メタルニッケル系鋳鉄(ニレジスト)の製造に特化(福島県)●
北川鉄工所FC・FCD から高シリコン・高クロムなど特殊材質まで(広島県)●●●●

●は、各社の公式サイトで扱いや事例を確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

目次

この技術で解決できる課題

鋳鉄が効くのは、複雑な形の部品を安く量産したい、機械の振動や歯車の音を抑えたい、よく削る部品の加工時間を短くしたいといった困りごとです。一方で、比重は約7.1と鋼(7.84)の約9割で、アルミよりはるかに重いので(三木プーリ)、軽くしたいときはアルミや樹脂と比べる側の材料として課題ページに出てきます。

複雑な形を安く量産したい、振動や騒音を抑えたい、削る時間を短くしたい、強さと粘りがほしい、熱や摩耗や腐食に強い鋳物がほしいという困りごとと、鋳鉄でできることの対応図
図1 困りごとと、鋳鉄でできること
出典:このページの出典(マルサン木型製作所・三木プーリ・山城製作所・日本ダクタイル鉄管協会)をもとに AI(Claude)で作成

出典:FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)、金属材料の物理的・機械的性質|三木プーリ、FC・FCDの特徴を活かした部品としての活用法|山城製作所

課題この技術での解決課題ページ
歯車の騒音を下げたい振動を吸収する鋳鉄を、歯車や歯車箱に使う材料で静かにする(樹脂・焼結・鋳鉄)
工程を減らせる設計にしたい鋳造で製品に近い形をつくり、削る量を減らす成形で製品に近い形にする
鉄をアルミ・樹脂・複合材に替えて軽くしたい重い鋳鉄の部品を、アルミ鋳物などに置き換えるときの比べる相手アルミニウム合金
ポンプのキャビテーションを防ぎたい壊れやすい所は、鋳鉄からステンレス鋳鋼などに材料を替える材料・表面処理で壊れにくくする
錆びる・腐食するステンレスなどと組み合わせるときは、鋳鉄の側の腐食に注意する耐食材料を選ぶ

右の列は、関係する課題ページの対策の節へのリンクです。

仕組み:黒鉛の形が性質を決める

日本ダクタイル鉄管協会のガイドブックによると、ねずみ鋳鉄は強さのない黒鉛を細長い片状に含むため、黒鉛を起点にひび割れを起こすのに対し、球状黒鉛鋳鉄は黒鉛が球状でほかの黒鉛とつながらないため、強度や延性に優れます。ねずみ鋳鉄の炭素はふつう 2.5〜3.5%程度で、ゆっくり冷やすとねずみ鋳鉄、急に冷やすと白鋳鉄になります(ウィキペディア)。急に冷えた所では炭素がセメンタイト(Fe₃C)として出て、硬くて脆い組織(チル)になります(岩手県工業技術センター・大阪産業技術研究所)。

片状の黒鉛が散らばるねずみ鋳鉄と、球状の黒鉛が散らばる球状黒鉛鋳鉄の組織を、円の中に模式的に描いて比べた図と、鋳鉄の定義の説明
図2 片状黒鉛と球状黒鉛(組織の模式図)
出典:日本ダクタイル鉄管協会のガイドブック・日本鋳造工学会の FAQ・ウィキペディア「ねずみ鋳鉄」をもとに AI(Claude)で作成

日本鋳造工学会の FAQ では、球状化率(黒鉛のうち球状のものの割合)が 80%以上のものが球状黒鉛鋳鉄とされ、その範囲では引張強さや伸びに大きな変化はみられないとしています。

出典:ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会、ねずみ鋳鉄|ウィキペディア、非破壊試験用チル試験片の作成(研究報告)|岩手県工業技術センター、技術シート No.99042 薄肉ダクタイルのチル化防止|大阪産業技術研究所、球状化率80%以上が球状黒鉛鋳鉄と規定されますが(FAQ)|日本鋳造工学会

性質の比べ:ヤング率・熱伝導率・重さ

三木プーリの表で、ヤング率(縦弾性係数)はねずみ鋳鉄が 73.6〜127.5×10³N/mm²、球状黒鉛鋳鉄が 161×10³N/mm² で、中炭素鋼の 205×10³N/mm² より小さい値です。日本鋳造工学会の FAQ は、球状黒鉛鋳鉄のヤング率を 140〜170GPa(鋼の約70〜80%)とし、ヤング率は基地の組織や強度よりも、黒鉛の形と分布で大きく変わるとしています。熱伝導率はねずみ鋳鉄が 44〜58.6W/(m・K) と、球状黒鉛鋳鉄(33.5〜37.7)より大きく、比重は 7.05〜7.3 と 7.10 で、鋼の 7.84 の約9割です。

ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、中炭素鋼の、ヤング率・熱伝導率・比重・熱膨張率を並べた横棒グラフ。ねずみ鋳鉄は範囲で示す
図3 ねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄・鋼の性質の比べ(代表値)
出典:三木プーリ「金属材料の物理的・機械的性質」の表をもとに AI(Claude)で作成

出典:金属材料の物理的・機械的性質|三木プーリ、球状黒鉛鋳鉄のヤング率は何GPaですか(FAQ)|日本鋳造工学会

振動を吸収する:減衰能

鋳鉄は、内部の黒鉛が振動を吸収するため、通常の鋼の5〜10倍の減衰能を持つと言われ、自動車部品や工作機械のベッドなど、揺れや振れが問題となる所に使われます(山城製作所)。マルサン木型製作所は、ねずみ鋳鉄の振動減衰能は主に片状黒鉛によるもので、炭素を多くした鋳鉄でオーディオ用スピーカーの台などがつくられているとしています。日本ダクタイル鉄管協会は、球状黒鉛鋳鉄の吸振性はねずみ鋳鉄と鋼の中間にあるとしています。

たたいたあとの振動が、鋼ではなかなか減らず、球状黒鉛鋳鉄・可鍛鋳鉄では中くらいに減り、ねずみ鋳鉄では早く止まる様子を示した3本の波形のイメージ
図4 振動の減り方の順(イメージ)
出典:日本ダクタイル鉄管協会のガイドブック(図表2-1-2-5)をもとに AI(Claude)で作成

出典:FC・FCDの特徴を活かした部品としての活用法|山城製作所、FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)、ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会

圧縮には強く、引張りには弱い

日本鋳造工学会の FAQ によると、JIS G 5501 のねずみ鋳鉄の引張強さは 100〜350MPa です。引張応力はき裂を開き、圧縮応力はき裂を押しつぶして閉じる働きがあるため、片状黒鉛鋳鉄の圧縮強さは引張強さの3〜4倍に達するとされ、引張強さの低い鋳鉄ほどその比が大きいようだとしています。台やベッドのように押される部品にねずみ鋳鉄が向き、引張り・曲げ・衝撃がかかる部品で球状黒鉛鋳鉄が選ばれる理由です(編集部)。

ねずみ鋳鉄の棒を引っ張ると黒鉛の先からき裂が開き、押すとき裂が閉じることを示す図と、圧縮強さが引張強さの3〜4倍であることを示す棒グラフ
図5 引張りと圧縮での違い
出典:日本鋳造工学会の FAQをもとに AI(Claude)で作成

出典:片状黒鉛鋳鉄の引張りと圧縮の機械的特性は、どう違いますか(FAQ)|日本鋳造工学会

種類と選び方:FC・FCD と高合金鋳鉄

ねずみ鋳鉄品は JIS G 5501(1995年版)で6種類が決められています。FC100 などの記号の数字は、直径30mm の別に鋳込んだ試験片での引張強さの下限を表します(マルサン木型製作所)。

FC100からFC350までの6種類の、引張強さの下限と硬さの上限を並べた横棒グラフ
図6 ねずみ鋳鉄の種類(JIS G 5501:1995)
出典:マルサン木型製作所の表(JIS G 5501:1995)をもとに AI(Claude)で作成

出典:FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)

球状黒鉛鋳鉄(FCD)の種類

球状黒鉛鋳鉄品は JIS G 5502 で決められています。日本ダクタイル鉄管協会のガイドブックに載っている 2001年版の表では、FCD350-22 から FCD800-2 まであり、3けたの数字が引張強さ(N/mm²)、ハイフンのあとが伸び(%)です。FCD350-22 は伸び22%以上と粘り強く、FCD800-2 は引張強さ 800N/mm² 以上と強い代わりに伸びは2%以上です。規格は改正されることがあるので、注文のときは最新版の値で確かめます。

FCD350-22からFCD800-2までの7種類の、引張強さの下限と伸びの下限を並べた横棒グラフと、主な基地組織(フェライト、パーライトなど)
図7 球状黒鉛鋳鉄の種類(JIS G 5502:2001)
出典:日本ダクタイル鉄管協会のガイドブック(図表2-1-1-2、JIS G 5502:2001)をもとに AI(Claude)で作成

出典:ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会

強さと粘りは、基地の組織で決まる

新潟県工業技術総合研究所によると、FCD の引張強さは黒鉛を除いた生地(基地)の金属組織で決まり、すべて軟らかいフェライトのときに小さく、硬いパーライトが増えるほど大きくなります。その代わり、パーライトが増えるほど靭性(粘り)は小さくなります。FCD800 のように大きな強さが要るときは、焼入れ焼戻しで焼戻しマルテンサイトにすることもあります。組織は主に CE 値(炭素とけい素の量)と接種で整え、強さが足りなければ銅・すず・マンガン・クロムなどを加えます。

フェライト、フェライトとパーライト、パーライトの3つの組織を並べ、右へ行くほど引張強さが大きく、左へ行くほど粘りが大きくなることを示す図
図8 基地の組織と、強さ・粘り
出典:新潟県工業技術総合研究所の技術トピックスをもとに AI(Claude)で作成

出典:球状黒鉛鋳鉄の金属組織と強度について(技術トピックス)|新潟県工業技術総合研究所

耐熱・耐食・耐摩耗の高合金鋳鉄

岩手県工業技術センターの報告によると、ニッケルを12〜36%含むオーステナイト鋳鉄は、少量のクロム・銅などを加え、耐食性が高く、非磁性です。クロムを 12〜35mass%含む高クロム鋳鉄は、炭素とクロムが炭化物をつくり、黒鉛が出ずに白銑となります。オーステナイト鋳鉄は JIS G 5510 で決められ、「ニレジスト」とも呼ばれ、低膨張性・耐熱性・非磁性・耐食性・超低温特性が要る装置や部品に使われます(特殊メタル)。

出典:オーステナイト鋳鉄の磁気特性に及ぼす各元素含有量の影響(研究報告)|岩手県工業技術センター、製造品(ニッケル系鋳鉄品)|特殊メタル

ほかに、球状黒鉛鋳鉄を熱処理(オーステンパ)したオーステンパ球状黒鉛鋳鉄(JIS G 5503、2024年3月に改正)、黒鉛が芋虫状になる CV 黒鉛鋳鉄(JIS G 5505、2020年7月に改正)も規格になっています。

出典:JIS G 5503:2024 オーステンパ球状黒鉛鋳鉄品(閲覧用の見本)|日本規格協会、JIS G 5505:2020 CV黒鉛鋳鉄品(閲覧用の見本)|日本規格協会

選ぶ順番:荷重 → 温度・腐食 → 摩耗

出典の内容を、材質を決める順番に並べると下の図のようになります。振動を抑えたい・よく削る部品ならねずみ鋳鉄、引張り・衝撃がかかるなら球状黒鉛鋳鉄が出発点で、高温・腐食・低い熱膨張・非磁性が要るならオーステナイト鋳鉄、激しい摩耗なら高クロム鋳鉄などの耐摩耗鋳鉄を候補にします(編集部が整理)。

引張り・曲げ・衝撃が大きくかかるか、耐熱・耐食・低い熱膨張・非磁性が要るか、激しい摩耗を受けるかを順に判断し、球状黒鉛鋳鉄、オーステナイト鋳鉄、高クロム鋳鉄、ねずみ鋳鉄を選ぶ流れ図
図9 鋳鉄の種類の選び方(編集部が整理)
出典:このページの出典(日本ダクタイル鉄管協会・岩手県工業技術センター・特殊メタル・北川鉄工所)をもとに AI(Claude)で作成

出典:ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会、オーステナイト鋳鉄の磁気特性に及ぼす各元素含有量の影響(研究報告)|岩手県工業技術センター、製造品(ニッケル系鋳鉄品)|特殊メタル、特殊素材編~私たちの誇れる鋳造技術|北川鉄工所

使う場面ごとの選び方

使う場面よく使われる種類選ぶときのポイント
工作機械・産業機械のベッドや台ねずみ鋳鉄(FC)減衰能・圧縮の強さ・削りやすさ。大物は肉厚と実体の強さ
機械の摺動面ねずみ鋳鉄耐摩耗性(黒鉛の潤滑)
自動車のデフケース・エンジンブラケットなど球状黒鉛鋳鉄(FCD)強さと伸び。小物は量産の体制
ブレーキディスクねずみ鋳鉄熱と振動
水道管・マンホールのふた球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鉄管)、ねずみ鋳鉄強さ・伸び・耐摩耗性
排気系・ターボチャージャーハウジング高シリコン球状黒鉛鋳鉄、オーステナイト鋳鉄使う温度と耐酸化性
半導体用の真空ポンプ・ガラスの金型オーステナイト鋳鉄低い熱膨張・耐食性
粉砕機のライナー・ミキサーの内張り高クロム鋳鉄など耐摩耗鋳鉄耐摩耗性。削りにくいので形と仕上げ

用途は山城製作所・ウィキペディア・日本ダクタイル鉄管協会・武蔵キャスティング・特殊メタル・稲垣工業・北川鉄工所から。種類とポイントの列は、このページの出典をもとに編集部が整理したものです。

工作機械・産業機械、自動車、ポンプ・バルブ・配管、高温・腐食・非磁性、摩耗に耐える所、音・振動の6つの場面と、使われる部品をまとめたカード
図10 鋳鉄が使われる場面
出典:このページの出典(各社の公式サイト・ウィキペディア・マルサン木型製作所)をもとに AI(Claude)で作成

出典:FC・FCDの特徴を活かした部品としての活用法|山城製作所、ねずみ鋳鉄|ウィキペディア、ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会、ダクタイル鋳鉄|武蔵キャスティング、製造品(ニッケル系鋳鉄品)|特殊メタル、ニレジスト鋳鉄|稲垣工業、特殊素材編~私たちの誇れる鋳造技術|北川鉄工所、FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)

大物の機械部品:ねずみ鋳鉄と球状黒鉛鋳鉄

若月鋳工所は、単重10kg から8トンまでの多品種少量生産で、普通鋳鉄とダクタイル鋳鉄の工作機械・産業機械・プレス金型・油圧機械の鋳物をつくっています。同社は、鋳物砂の粒度分布を調整して鋳肌がきれいで寸法精度も正確になるとし、溶解は高温出湯方式で強靭かつ緻密に仕上がるとしています。

若月鋳工所の製品案内のページに載っている、取鍋から鋳型へ、オレンジ色に光る溶けた鉄を注いでいる写真
溶けた鉄を鋳型に注ぐ(若月鋳工所)(出典:若月鋳工所)

出典:業務内容|若月鋳工所

自動車の小物部品:球状黒鉛鋳鉄の量産

武蔵キャスティングは、球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)を専門に、自動車・建機・農機・産業用ロボットなどの1〜3kg の手のひらサイズの部品を、月産数百個〜数十万個つくっています。材質は FCD450〜700 に、鋳造したまま(アズキャスト)で対応できるとしています。

武蔵キャスティングのダクタイル鋳鉄のページに載っている、黒い鋳肌と削った面のある、大小さまざまなダクタイル鋳鉄の部品を並べた写真
球状黒鉛鋳鉄の部品の例(武蔵キャスティング)(出典:武蔵キャスティング)

出典:ダクタイル鋳鉄|武蔵キャスティング

向いている条件と注意点

鋳鉄が向いている条件

  • 複雑な形を、鋳造で安くつくりたい
  • 振動を吸収したい(ねずみ鋳鉄)
  • 押される(圧縮の)部品
  • よく削る部品で、加工時間を短くしたい
  • 強さと伸びがほしいが、鋼の部品より形を自由にしたい(FCD)

注意点

  • ねずみ鋳鉄は伸びがほとんどなく、引張り・衝撃に弱い
  • 厚い所ほど弱く、薄い所はチル(硬く脆い組織)が出やすい
  • 溶接しにくい(特にねずみ鋳鉄)
  • 重さは鋼の約9割で、軽量化の材料にはならない
  • 規格の強さは試験片の値で、鋳物そのものとは違う

この一覧は、このページの出典(マルサン木型製作所・日本ダクタイル鉄管協会・日本鋳造工学会・岩手県工業技術センター・適材適所)をもとに編集部が整理したものです。

厚い所ほど弱い:肉厚と強さ

マルサン木型製作所によると、ねずみ鋳鉄は炭素量(CE 値)が多いほど、また冷える速さが遅いほど引張強さが下がるので、鋳物の肉厚によって引張強さが変わります。鋳物から試験片を切り出して評価するときは、肉厚ごとの引張強さが別に決められていて、FC200 では肉厚 2.5〜10mm 未満で 205N/mm² 以上、80〜150mm 未満では 115N/mm² 以上です。

FC200の鋳物の肉厚が2.5〜10mm未満で205、10〜20mmで180、20〜40mmで155、40〜80mmで130、80〜150mmで115N/mm²以上と、厚いほど引張強さの下限が下がることを示す横棒グラフ
図11 FC200 の肉厚と引張強さ(鋳物の実体)
出典:マルサン木型製作所の表2(FC200 の例)をもとに AI(Claude)で作成

出典:FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)

薄い所・急に冷える所の「チル」

岩手県工業技術センターの報告によると、鋳鉄は肉厚を薄くするとチルが生じやすく、冷える速さが速いと炭素がセメンタイト(Fe₃C)として出てチル組織になります。厚さ 6mm の試験片では FC250 の内部に引け巣ができやすく、FC150 はチルも引け巣も少なかった一方、厚さ 3mm ではどちらの材種にも多量のチルが出ました。大阪産業技術研究所の技術シートは、薄肉の球状黒鉛鋳鉄で急冷すると粗大な炭化物が出て硬くて脆い不良鋳物になり、マグネシウムの少ない球状化剤でチル化を抑えられた例(金型で鋳込んだ直径20〜30mm の試料)を紹介しています。

鋳物の断面で、表面や薄い所が急に冷えてチルになり、中心はゆっくり冷えて黒鉛が出ることを示す模式図と、チルを出やすくする要因・抑える要因の説明
図12 チルが出る所と、その要因
出典:岩手県工業技術センターの研究報告・大阪産業技術研究所の技術シートをもとに AI(Claude)で作成

出典:非破壊試験用チル試験片の作成(研究報告)|岩手県工業技術センター、技術シート No.99042 薄肉ダクタイルのチル化防止|大阪産業技術研究所

溶接・塑性加工は苦手

適材適所は、ねずみ鋳鉄は割れやすく、塑性加工や溶接には向いていないとしています。日本ダクタイル鉄管協会は、球状黒鉛鋳鉄はねずみ鋳鉄に比べてニッケル溶接性が良好で、適切な条件なら境界部にセメンタイトがごくわずかしか出ず、かなりの強度が得られるとしています。鋳物の補修や部品の追加を溶接で考えるときは、材質と方法を鋳物の会社に確かめます(編集部)。

出典:FC(ねずみ鋳鉄)|適材適所(部品加工の情報サイト)、ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会

カタログ値(規格・材料の表)の見方

項目見方
種類の記号FC250 の数字は引張強さの下限。FCD450-10 は引張強さ 450N/mm² 以上・伸び 10%以上
試験片の種類別に鋳込んだ供試材の値か、鋳物から切り出した値か。鋳物の主な肉厚
引張強さ・耐力・伸び規格の下限値か、会社の代表値か
硬さ(HB)FCD の表では参考値。強いほど硬い
基地組織・球状化率フェライトかパーライトか。FCD は球状化率 80%以上が目安
ヤング率・熱伝導率・熱膨張率たわみ・放熱・ほかの部品との伸びの差の計算に使う。FC は組成で幅がある

見方の列は、このページの出典をもとに編集部が整理したものです。

種類の記号、試験片の種類、引張強さ・耐力・伸び、硬さ、基地組織・黒鉛球状化率、ヤング率・熱伝導率・熱膨張の6つの項目と、それぞれの見方を並べた表
図13 鋳鉄の材料の表で見る項目
出典:このページの出典をもとに AI(Claude)で作成

出典:FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)、ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会、球状化率80%以上が球状黒鉛鋳鉄と規定されますが(FAQ)|日本鋳造工学会、金属材料の物理的・機械的性質|三木プーリ

規格の強さは「別に鋳込んだ試験片」の値

JIS G 5502 の強さは、鋳物とは別に鋳込んだ Y 形の供試材(原則 B号)から取った試験片の値で、鋳物の肉厚が大きく違うときは協定で A・C・D号も使えます(日本ダクタイル鉄管協会)。上の FC200 の例のように、厚い鋳物の実体は、記号の数字より弱くなることがあります。大事な部品は、実体から切り出した試験・硬さ・球状化率の確認を注文の条件に入れるか、鋳物の会社と相談します(編集部)。

鋳物とは別に鋳込むY形の供試材の模式図と、規格の値がこの試験片の値であること、鋳物そのものの強さは肉厚で違うことを説明した図
図14 別に鋳込んだ試験片と、鋳物の実体
出典:日本ダクタイル鉄管協会のガイドブック(図表2-1-1-3)・マルサン木型製作所をもとに AI(Claude)で作成

出典:ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会、FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)

加工・量産を頼むときの注意

  1. 肉厚をそろえる厚い所は弱く、薄い所はチル。主な肉厚を伝える
  2. 組織で削りやすさが変わるフェライトは削りやすく、パーライトは削りにくい
  3. 検査と強さの決め方供試材か実体か、硬さ・球状化率・鋳巣の検査

この3点は、このページの出典(マルサン木型製作所・岩手県工業技術センター・日本ダクタイル鉄管協会)をもとに編集部が整理したものです。

削る:組織と黒鉛で削りやすさが違う

日本ダクタイル鉄管協会によると、フェライト組織の球状黒鉛鋳鉄の切削性は良好ですが、パーライト組織に近づくほど悪くなります。旋盤で、冷間引抜鋼の切削性を100とすると、鋳造のまま(HB290〜300)の球状黒鉛鋳鉄は80〜90、焼鈍した(HB180〜200)ものは135〜155です。ねずみ鋳鉄は、片状黒鉛から小さな切りくずが出て、それが潤滑油の役割を果たすので切削加工性に優れるとされます(適材適所)。

冷間引抜鋼を100としたときの、鋳造のままの球状黒鉛鋳鉄80〜90と、焼鈍した球状黒鉛鋳鉄135〜155の削りやすさを比べた横棒グラフ
図15 削りやすさの比べ(旋盤)
出典:日本ダクタイル鉄管協会のガイドブック・適材適所をもとに AI(Claude)で作成

出典:ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会、FC(ねずみ鋳鉄)|適材適所(部品加工の情報サイト)

熱と摩耗:組織で耐える力が変わる

日本ダクタイル鉄管協会は、球状黒鉛鋳鉄はねずみ鋳鉄より耐熱性、とりわけ高温や加熱・冷却のくり返しで体積がふくらむ「鋳鉄の成長」が起きにくいとし、黒鉛が球状なことが外からの酸化性ガスの侵入を妨げるとしています。耐摩耗性は条件で違いますが、一般にパーライト組織が優れ、フェライト基地では劣るとしています。

出典:ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会

相談する前に整理すること

鋳鉄の鋳物の製作を相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。

使い方、求める性質、材質の候補、形と大きさ、強さの決め方、加工と仕上げ、検査、数と納期の8項目のチェック表
図16 鋳鉄の部品を相談する前に整理すること
出典:このページの出典をもとに AI(Claude)で作成
  • 使い方(荷重の向き:圧縮・引張・衝撃、振動、使う温度)
  • 求める性質(強さ・伸び・振動の吸収・削りやすさ・耐摩耗・耐食)
  • 材質の候補(FC か FCD か、高合金鋳鉄か。記号)
  • 形と大きさ(図面、重さ、主な肉厚、いちばん薄い所)
  • 強さの決め方(別に鋳込んだ供試材か実体か、硬さ・球状化率)
  • 加工と仕上げ(機械加工・熱処理・塗装まで頼むか)
  • 検査(超音波・X線・寸法の測定、鋳巣をどこまで許すか)
  • 数と納期(試作・量産の数、模型・金型の費用)

企業紹介(鋳鉄の技術)

大物のねずみ鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄、小物の量産、ニレジスト(オーステナイト鋳鉄)、耐摩耗の特殊材質まで、得意な材質と大きさの違う会社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。

企業ねずみ
鋳鉄(FC)
球状黒鉛
鋳鉄(FCD)
ニレジスト
(オーステ
ナイト)
高クロム
耐摩耗
大物
(トン単位)
小物の
量産
若月鋳工所工作機械・産業機械の鋳物を、単重10kg〜8トン(新潟県)●●●
武蔵キャスティング球状黒鉛鋳鉄の1〜3kg の小物を量産(京都府)●●
稲垣工業FC・FCD と、半導体用真空ポンプのニレジスト部品(愛知県)●●●
特殊メタルニッケル系鋳鉄(ニレジスト)の製造に特化(福島県)●
北川鉄工所FC・FCD から高シリコン・高クロムなど特殊材質まで(広島県)●●●●

●は、各社の公式サイトで扱いや事例を確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

株式会社若月鋳工所|工作機械・産業機械の鋳物を、単重10kg から8トンまで

若月鋳工所とは

新潟県長岡市の鋳物の会社です(創業1949年、設立1974年、従業員39名・2026年4月時点)。工作機械・産業機械・プレス金型・油圧機械の鋳鉄品をつくっています。

若月鋳工所の業務内容のページに載っている、ヘルメットをかぶった作業者が、黒い大きな鋳物に手をかけて吊り上げている写真
大物の鋳物を扱う作業(若月鋳工所)(出典:若月鋳工所)

若月鋳工所の得意技術

技術内容
材質普通鋳鉄とダクタイル鋳鉄など鉄系。耐磨耗・耐熱・耐圧の鋳造品も相談に応じるとしている
大きさ単重10kg から8トンまでの多品種少量生産
設備低周波誘導炉 4t、自硬性砂ミキサー(主型用 15・30t、中子型用 10t)、天井クレーン 15t×3基など。超音波探傷器、鋳造 CAE システム(JSCAST)、三次元測定機

鋳物砂の粒度分布を調整し、鋳肌がきれいで安定し寸法精度も正確になるとしている。

若月鋳工所が解決できる課題

  • 工作機械のベッドなど、大きくて重い鋳物を少量つくりたい
  • 鋳造 CAE や超音波探傷で、鋳物の内部まで確かめたい

公開されている実績・用途

  • 主要取引先に、芝浦機械・THKインテックス・ユニオンツールなどを挙げている(会社概要)

出典:会社概要|若月鋳工所、業務内容|若月鋳工所

武蔵キャスティング株式会社|球状黒鉛鋳鉄の手のひらサイズの部品を、月産数十万個まで

武蔵キャスティングとは

京都府福知山市に本社を置く、球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)を専門につくる会社です。大正5年に大阪市東成区で創業し、2018年にムサシグループと合併したとしています。

武蔵キャスティングのダクタイル鋳鉄のページに載っている、フランジにボルト穴のある鋳鉄のケースに窓が開いていて、中にかさ歯車と軸が組み込まれているのが見える写真
ダクタイル鋳鉄の加工例(武蔵キャスティング)(出典:武蔵キャスティング)

武蔵キャスティングの得意技術

技術内容
小物の量産1〜3kg の小物部品。月産数百個〜数十万個。多品種少ロットにも対応し、かんばん納入・小ロットの毎日納入もできるとしている
材質FCD450〜700 を鋳造したまま(アズキャスト)で対応。同社は、伸びや切削性がよいと客先から評価を得ているとしている
一体化と品質複数の部品の一体化、3D スキャナーでの形の比較、量産前の X線・CT による検査

武蔵キャスティングが解決できる課題

  • 自動車・建機・ロボットの小さな鋳鉄部品を、量産で安定して調達したい
  • いくつかの部品を、鋳物1つにまとめたい

公開されている実績・用途

  • デフケース・エンジンブラケット・エアコン用部品、ロアローラーカラー・エンジンプーリ・シフトフォーク、ロボット用減速機の部品(同社の製品例)

出典:武蔵キャスティング(トップページ)、ダクタイル鋳鉄|武蔵キャスティング

武蔵キャスティングのダクタイル鋳鉄のページに載っている、中央に丸い穴があり、腕が3方向に伸びた黒い鋳鉄の部品の写真
ダクタイル鋳鉄の加工例(武蔵キャスティング)(出典:武蔵キャスティング)

稲垣工業株式会社|FC・FCD と、半導体用真空ポンプのニレジスト鋳鉄の部品

稲垣工業とは

愛知県西尾市の鋳物の会社です(創業1933年、会社設立1952年、従業員100名)。1933年に木型製作所として創業したとしています。

稲垣工業の生産品(普通鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、合金鋳鉄、ニレジスト鋳鉄)と、半導体用真空ポンプの部品、高周波電気炉・フラン造型・フラン砂再生・仕上げ検査の設備の流れをまとめた図
図17 稲垣工業の生産品とニレジスト鋳鉄の設備
出典:稲垣工業「会社概要」「ニレジスト鋳鉄」をもとに AI(Claude)で作成

稲垣工業の得意技術

技術内容
生産品普通鋳鉄製品(FC)、ダクタイル鋳鉄製品(FCD)、合金鋳鉄製品(Hi-Si、Mo 等)、ニレジスト鋳鉄製品(FCDA-Ni)
ニレジスト鋳鉄半導体用真空ポンプのローター・ケーシング・サイドカバー・ヨークスリーブ、バルブ類。耐熱・耐摩耗・低膨張が特長としている
設備高周波電気炉、フラン造型(FCDANi20・Ni35 など複数の材質を同時に生産できるとしている)、バッチ式のフラン砂再生装置

稲垣工業が解決できる課題

  • 半導体製造装置などで、熱で伸びにくい鋳物の部品がほしい
  • 自動車・精密機械の FC・FCD の部品をつくりたい

公開されている実績・用途

  • 業務内容:自動車・精密機械等の鋳物部品製造(会社概要)

出典:会社概要|稲垣工業、ニレジスト鋳鉄|稲垣工業

特殊メタル株式会社|ニッケル系鋳鉄(ニレジスト)の製造に特化

特殊メタルとは

福島県相馬市に本社工場を置く鋳物の会社です。1959年に特殊鋳鉄株式会社として設立され、2011年の会社分割で鋳造事業を特殊メタル株式会社に承継し、川金ホールディングスグループの傘下になったとしています。

特殊メタルが製造するニレジストの5つの種類(FCA-Ni 35、FCDA-NiCr 20 2、FCDA-NiCr 30 3、FCDA-Ni 35、FCDA-NiSiCr 35 5 2)の、黒鉛の形、線膨張係数、特質と用途を並べた表
図18 特殊メタルのニレジストの種類と線膨張係数
出典:特殊メタル「製造品」の表をもとに AI(Claude)で作成

特殊メタルの得意技術

技術内容
ニレジストJIS G 5510 のオーステナイト鋳鉄品(ASTM A436・A439)。「ニッケル系鋳鉄品」の製造に特化しているとしている
低い熱膨張FCA-Ni 35 は熱膨張率が最も小さく、寸法安定性が高く振動吸収能力に優れるとしている(線膨張係数 5.0×10⁻⁶/K)
耐熱・耐食FCDA-NiSiCr 35 5 2 は 900℃の超高温でも高い耐酸化性を保つとし、FCDA-NiCr 20 2 はアルカリ環境での耐食性・耐摩耗性が高いとしている

特殊メタルが解決できる課題

  • 温度が変わっても寸法が変わりにくい部品がほしい(工作機械・ガラス用金型・理化学機器)
  • 排気系・ポンプなど、高温や腐食にさらされる鋳物がほしい

公開されている実績・用途

  • 用途の例:工作機械、成型機、ガラス用金型、半導体関連部品、ポンプ、バルブ、ターボチャージャーハウジング、エキゾーストマニホールド、ガスタービン、熱処理治具(同社の表)

出典:会社案内|特殊メタル、製造品(ニッケル系鋳鉄品)|特殊メタル

株式会社北川鉄工所|FC・FCD から、高シリコン・ニレジスト・高クロムなど特殊材質まで

北川鉄工所とは

広島県府中市の会社で、工作機器(チャックなど)・建設機械・金属素形材などの事業を持ちます(創業1918年、連結従業員2,221名・2026年3月)。金属素形材の事業で、自動車・建機・農機などの鋳物部品をつくっています。

北川鉄工所が扱う、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、KSC・KS550、高シリコン球状黒鉛鋳鉄、ニレジスト鋳鉄、高クロム・高マンガン耐摩耗鋳鉄の6つの材質をまとめたカード
図19 北川鉄工所が扱う鋳鉄の材質
出典:北川鉄工所「金属素形材」「特殊素材編」をもとに AI(Claude)で作成

北川鉄工所の得意技術

技術内容
FC・FCD片状黒鉛鋳鉄は加工性のよい材質として自動車・産業機械の部品に。球状黒鉛鋳鉄は FCD400〜FCD700 を、要望により鋳放し・焼鈍・焼準・焼入れ焼戻しで
独自の材質KSC は黒鉛を微細な片状にした被削性のよい鋳鉄で深穴加工に適するとし、KS550 は引張強さ 550N/mm² と FCD450 相当の被削性を兼ね備えるとしている
耐熱・耐摩耗高シリコン球状黒鉛鋳鉄とニレジスト鋳鉄は自動車の排気系部品に、高クロム耐摩耗鋳鉄はコンクリートミキサーの内張り・粉砕機のライナーに使っているとしている

北川鉄工所が解決できる課題

  • 自動車・建機の鋳鉄部品を、量産でも小ロットでも頼みたい
  • 削りやすさと強さを両立した鋳鉄や、耐熱・耐摩耗の鋳鉄を使いたい

公開されている実績・用途

  • 鋳鉄品のほか、鋳鋼品(耐熱鋳鋼を含む)も生産している(同社)

出典:会社情報|北川鉄工所、金属素形材|北川鉄工所、特殊素材編~私たちの誇れる鋳造技術|北川鉄工所

使われる製品・事例

ねずみ鋳鉄は、耐摩耗性を生かして機械の摺動面やマンホールのふた、耐熱性を生かして炉や防火戸、減衰性を生かして機械部品に使われ、ブレーキディスクにもよく使われます(ウィキペディア)。マルサン木型製作所によると、ねずみ鋳鉄品の用途は自動車用が最も多く、近年は軽量化のためにエンジンのシリンダーブロックなどでアルミ鋳物・アルミダイカストへの置き換えが進んでいます。球状黒鉛鋳鉄は水道などのダクタイル鉄管(日本ダクタイル鉄管協会)や、自動車・建機・ロボットの部品(武蔵キャスティング)に、オーステナイト鋳鉄はターボチャージャーハウジングや半導体関連部品(特殊メタル)に使われています。

出典:ねずみ鋳鉄|ウィキペディア、FC200など、「ねずみ鋳鉄品」の特性と用途|マルサン木型製作所(アルミ鋳物 課題解決センター)、ダクタイル鉄管のガイドブック 第2章 ダクタイル鉄管の特性|日本ダクタイル鉄管協会、ダクタイル鋳鉄|武蔵キャスティング、製造品(ニッケル系鋳鉄品)|特殊メタル

出典・確認日

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。

情報の確認日:2026年10月8日 本ページの内容は一般的な情報で、実際の材料の強さ・加工の可否・費用は、材質・形・肉厚・使う環境・鋳物の会社により異なります。規格の値は版により異なることがあるので、最新の規格で確かめてください。

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