制御盤・筐体の中の結露を防ぎたい

扉を開けた屋外の制御盤で、扉の裏と天井の内側に結露した水滴、下部の盤内ヒーターとサーモスタット、側面の通気口、下からのケーブルの引き込み(AI で生成したイメージ)

明け方に屋外の制御盤を開けたら、天井から水がしたたっていた。盤用クーラーの下に水がたまる。地下につながる電線管の出口だけが錆びる。盤の中の結露は、湿った空気が、露点より冷えた面に触れたところで起きます。

外から入る雨や水しぶき(電子機器を防水・防じんにしたい)と違い、結露は盤の中の空気から生まれる水です。どこが冷えるのか、湿った空気がどこから入るのかを切り分けると、効く対策が見えてきます。困っていることから、次のマトリクスで候補になる対策を確かめてください。

目次

課題と解決技術のマトリクス

課題(症状)盤内ヒーター(温める)除湿・通気(結露防止器・通気プラグ)冷やし方の見直し(盤用クーラー)すき間・引き込み口をふさぐ基板の防湿コーティング
A夜や冬の朝、盤の天井・扉の裏に水滴が付く◎○○
B盤用クーラーで冷やすと、結露やドレン水が出る◎○△
C電線管・ピット・ダクトから、湿気や水が上がってくる△○◎○
D換気口・ファンで、湿った外気を取り込んでしまう○◎○○
E結露で端子・基板が腐食する・ショートする○○○◎

◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効

※記号は一般的な傾向に基づく目安です。どの対策が合うかは、盤の置き場所(屋外・地下・冷凍倉庫の近く)、盤の大きさと気密、中の発熱、電源の取りやすさ、点検のしやすさによって変わります。症状Aの「盤内ヒーター」の「◎」は、盤内の結露防止・湿気防止用のスペースヒーター(篠原電機)と、温めると相対湿度が下がる計算(編集部の計算)、「除湿・通気」の「○」は、結露防止器なしの箱に比べて、結露防止器付きの箱の相対湿度を60%前後に保ったとする比較(西日本工芸社)、「防湿コーティング」の「○」は、結露が避けられない所で基板の絶縁を守る対策(フロロテクノロジー、編集部の解説)を示しています。症状Bの「冷やし方の見直し」の「◎」は、急速冷却は露点温度を下回って結露が発生しやすく、マイルド冷却は露点温度を超えにくいとする説明と、ドレン水を気化させるノンドレンのクーラー(アピステ)、「すき間をふさぐ」の「○」は、盤の中に入る外気が湿気を多く含むと盤内の湿度が上がるとする記述(富士電機の特許公報の背景技術)から、湿った空気の入り口を減らすこと、「防湿コーティング」の「△」は、ドレン水やしずくがかかる場所の部品を守る場合(編集部の解説)を示しています。症状Cの「すき間をふさぐ」の「◎」は、ダクトとのすき間をコーキングしなかったため結露水が電源接続子に入り、トラッキングで発火した事例(NITE)と、地下電気室・ピットの貫通部の止水パテ(EPJ)、「除湿・通気」の「○」は、温度変化による内外の圧力差をそろえる通気プラグ(ハギテック)、「盤内ヒーター」の「△」は、入ってくる湿気が少ない場合に限って相対湿度を下げられること(編集部の解説)、「防湿コーティング」の「○」は、上がってきた水分から基板を守る場合(編集部の解説)を示しています。症状Dの「除湿・通気」の「◎」は、盤に簡便な気密性を持たせて水蒸気を外へ出す結露防止器(西日本工芸社)と、水やほこりを防いで通気性を保つ通気プラグ(ハギテック)、「盤内ヒーター」の「○」は、盤内の結露防止・湿気防止用のヒーター(篠原電機)、「冷やし方の見直し」の「○」は、外気を入れずに盤を冷やす盤用クーラー(アピステ)、「すき間をふさぐ」の「○」は、湿った外気の入り口を減らすこと(富士電機の特許公報の背景技術)を示しています。症状Eの「防湿コーティング」の「◎」は、結露などで生じやすいイオンマイグレーションの説明(村田製作所)と、防湿・防水コーティング剤(フロロテクノロジー)、「盤内ヒーター」「除湿・通気」「すき間をふさぐ」の「○」は、水分が入る・とどまる原因を減らす対策であること(編集部の解説)を示しています。◎は、業界の資料や企業の情報で、その症状に直接はたらくとされている対策、○は効果が期待できる対策、△は条件によって有効な対策を示します(記号の根拠は、下の「解決技術の詳細」と企業紹介の各出典です)。空欄は、その対策だけでは直接の対策になりにくいことを示します。

課題の診断と解決策

盤の中の水は、冷え込みで天井・扉の裏に、クーラーで冷えた面に、電線管や換気口から入った湿気で、のように生まれる場所ごとに分けて考えると、まず見る対策の見当をつけられます。症状ごとの詳しい見方は、下のカードで確かめてください。

制御盤の側面の断面で、天井の結露・クーラーの冷えた面・電線管・換気口・基板の5か所に症状A〜Eを付け、まず見る対策を並べた早見図
図1 盤の中の水が生まれる場所と、まず見る対策
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
A

夜や冬の朝、盤の天井・扉の裏に水滴が付く

明け方に盤を開けたら、天井から水がしたたっていた。冬になると、屋外の盤の扉の裏が濡れている。

雪の夜、屋外の制御盤の扉を開けると、天井の内側と扉の裏に水滴が付き、中の機器に垂れているイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
空気は、露点より冷えた面に触れると、その面で水になります。屋外の盤は、夜や雪の日に屋根と壁が冷え、盤の中の空気より先に壁の温度が露点を下回ります(編集部の解説)。富士電機の特許公報は、積雪時には配電盤の天井壁の温度低下が大きく、天井壁に結露が発生しやすいとしています。
解決に使える技術
選ぶときの注意

ヒーターは、いちばん冷える面(天井・扉)まで温まる場所と容量で選びます。盤の底に1つ置いても、天井の温度が露点より低いままなら結露は残ります(編集部の解説)。サーモスタットや湿度スイッチで、必要なときだけ動かすと電気のむだも減ります。

B

盤用クーラーで冷やすと、結露やドレン水が出る

盤用クーラーを付けたら、クーラーの近くに水がたまるようになった。ドレン水の行き場がない。

盤用クーラーの冷えたコイルで空気中の水分が水になり、ドレン受けからホースを伝って床に水がたまるイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
盤用クーラーは、冷えた面に盤の中の空気を当てて冷やします。冷えた面が露点より低いと、そこで空気中の水分が水になり、ドレン水として出ます(編集部の解説)。アピステは、急速冷却は露点温度を下回って結露が発生しやすく、マイルド冷却は露点温度を超えにくいとしています。
解決に使える技術
選ぶときの注意

盤の中に外気が入り続けると、クーラーは外から入る湿気まで除湿し続けることになり、ドレン水が増えます(編集部の解説)。すき間をふさぐことも合わせて考えます。

C

電線管・ピット・ダクトから、湿気や水が上がってくる

盤の底の端子台だけが錆びる。地下のピットからつながる電線管の出口が濡れている。

地下のピットから盤の底へつながる電線管の中を、ケーブルとのすき間から湿気と水が上がり、端子台が錆びているイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
電線管やダクトは、ほかの場所の空気や水を盤の中まで運ぶ通り道になります(編集部の解説)。制御盤ではなく家庭の浴室の換気扇の例ですが、NITE の事故情報には、天井の取付け穴とダクトが接する部分のすき間をコーキングしなかったため、ダクトで生じた結露水が電源接続子に入り、トラッキング現象で発火した事例があります。
解決に使える技術
選ぶときの注意

ふさぐ材料は、あとでケーブルを入れ替えるかどうかで選びます。固まる材料は、入れ替えのときに壊して作り直すことになります(編集部の解説)。

D

換気口・ファンで、湿った外気を取り込んでしまう

熱を逃がすために換気扇を付けたら、梅雨時に盤の中が湿るようになった。

雨の日に、盤の下の換気口から湿った外気が入り、ファンから出ていくあいだに盤の中に水滴が付くイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
換気口やファンは、盤の中の熱を外へ出しますが、外の空気をそのまま入れます(編集部の解説)。富士電機の特許公報は、盤の中に通る外気が多くの湿気を含んでいると、盤の中の湿度が上がるとしています。
解決に使える技術
選ぶときの注意

発熱が大きい盤は、密閉すると今度は温度が上がります。冷やす必要がある盤は、外気を入れない盤用クーラーなども候補にして、熱と湿気の両方で考えます(編集部の解説)。

E

結露で端子・基板が腐食する・ショートする

端子台が緑青で覆われていた。基板の配線の間に白い跡があり、誤動作した。

結露で端子台のねじの周りが腐食し、基板の配線のあいだに金属が枝のように伸びてショートしかけているイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
村田製作所は、電極間に水分がある状態で電圧がかかると金属がイオン化して移り、最終的にショートにいたるイオンマイグレーションが、特に結露などで生じやすいとしています。大阪産業技術研究所は、汚染物質があると低い湿度でも腐食が生じるとしています。
解決に使える技術
選ぶときの注意

コーティングは基板を守りますが、端子台やねじの接続部は覆えないことが多いので、盤の中で結露しない状態を作ることが先です(編集部の解説)。

なぜ、盤の中で結露するのか

空気は、露点より冷えた面で水を落とす

空気が含むことのできる水蒸気の量には、温度ごとに上限があります。上限の圧力を飽和水蒸気圧といい、相対湿度は「空気中の水蒸気圧÷その温度の飽和水蒸気圧×100」です(岩手県教育委員会の地学基礎の実験プリント)。空気を冷やしていくと、ある温度で水蒸気が水になり始めます。この温度が露点(露点温度)です。

同じプリントの飽和水蒸気圧の表で、編集部が計算してみます。30℃の飽和水蒸気圧は42.4hPa なので、30℃・湿度60%の空気の水蒸気圧は 42.4×0.6=約25.4hPa です。表で25.4hPa になるのは21℃(24.9hPa)と22℃(26.4hPa)の間なので、この空気の露点は約21℃です。この空気が21℃より冷えた壁や部品に触れると、そこで結露します。アピステも、35℃・60%の空気の露点温度を約26℃としています。

18〜30℃の飽和水蒸気圧の曲線と、30℃・湿度60%の空気の水蒸気圧約25.4hPaから露点約21℃を読む例
図2 飽和水蒸気圧の表から露点を読む例
出典:編集部が計算し、岩手県教育委員会「湿度(相対湿度)の測定」をもとに AI(Claude)で作成

屋外の盤は、夜と雪の日に壁から冷える

昼のあいだに盤の中に入った水蒸気は、夜に冷えた壁や屋根で水になります(編集部の解説)。先の例で、盤の中が30℃・60%のまま、壁や屋根が21℃より冷えれば、壁の内側に結露します。富士電機の特許公報も、外から入った湿気が盤の内外の温度差によって、絶縁物や盤の内壁の表面に結露することがあり、積雪時には天井壁の温度低下が大きいため天井壁に結露が発生しやすいとしています。

昼は盤の中が30℃・湿度60%、夜や明け方に屋根と壁が21℃より冷えて内側に結露する様子を比べた図
図3 昼に入った水蒸気が、夜に冷えた壁で水になる
出典:編集部が計算し、富士電機の特許公報(特許第6260103号)をもとに AI(Claude)で作成

湿った空気は、すき間・電線管・換気口から入る

扉のパッキンの切れ目、床下からの電線管、換気口とファンの3か所から、湿った空気が盤の中に入るイメージ
湿気の入り口:すき間・電線管・換気口から湿った空気が入るイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

盤の中に湿気が入る道は、大きく3つに分けられます(編集部の整理)。1つ目は、扉のパッキンの切れや浮きなどのすき間、2つ目は、地下のピットやほかの部屋とつながる電線管・ダクト、3つ目は、熱を逃がすための換気口・換気扇です。富士電機の特許公報は、盤の中に通る外気が多くの湿気を含んでいると盤の中の湿度が上がるとしています。

入った水は、トラッキング・腐食・マイグレーションにつながる

NITE の事故情報には、ダクトで生じた結露水が電源接続子に入り、トラッキング現象が生じて発火、焼損したと判断された換気扇の事例があります(家庭の浴室の換気扇の例で、制御盤の例ではありません)。村田製作所は、イオンマイグレーションが結露などで生じやすいとし、大阪産業技術研究所の技術シートは、汚染物質があると低い湿度でも腐食が生じ、イオン性の物質があると腐食反応が清浄な金属に比べて数十から数百倍の速さで進むとしています。

結露した水がトラッキング・腐食・イオンマイグレーションの3つの道で故障につながることを示した図
図4 結露した水が故障につながる3つの道
出典:NITE 事故情報・村田製作所(2015年)・大阪産業技術研究所 技術シート No.97001をもとに AI(Claude)で作成

原因の切り分け方:まず測る

次は編集部の整理です。結露するかどうかは、いちばん冷たい面の温度と、中の空気の露点の比べっこで決まります。盤の中の温度と湿度、外の温度と湿度、天井や扉の表面温度を、夜から明け方を含めて記録し、壁の温度が露点を下回る時間があるかを見ます。水の跡が天井や扉の裏なら冷え込み、クーラーの下ならクーラー、盤の底や電線管の出口なら引き込み口、季節(梅雨)で増えるなら換気口からの外気を疑います。

湿度の測り方にも注意が要ります。アズビルの技術報告は、湿度の計量標準の説明で、高い湿度の領域は、水分が結露を生じる温度である露点で表すのが一般的だとしています。湿度計の値だけで判断せず、温度とあわせて露点に直して比べると、どの面で結露するかが分かりやすくなります(編集部の解説)。

盤の中に温湿度計を置き壁の表面温度を測る模式図と、記録することと判断の目安
図5 まず測る:盤の中の温度・湿度と、壁の温度
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成

出典:地学基礎 実験・実習プリント 湿度(相対湿度)の測定(平成26年度)|岩手県教育委員会、特許第6260103号 閉鎖形配電盤(2018年)|富士電機、事故情報(2008年受付分)|製品評価技術基盤機構(NITE)、結露環境下でのイオンマイグレーションを抑制する撥水コンデンサを開発(2015年)|村田製作所、技術シート No.97001 電子部品の腐食損傷と分析|大阪産業技術研究所、制御盤用クーラーの構造と仕組み|アピステ、ドライガス測定ニーズに応える低露点計測技術の向上(azbil Technical Review 2011年1月号)|アズビル

解決技術の詳細

結露の対策は、①盤の中を温めて露点より上に保つ、②中の水蒸気を減らす(外へ出す・入れない)、③冷やすときに露点を下回る面をつくらない、④それでも残る水から基板を守る、の4つの考え方に分けられます。1つの盤でも、引き込み口をふさぎ、ヒーターか結露防止器で湿度を下げ、基板はコーティングで守る、のように組み合わせて使います(編集部の解説)。

盤内ヒーター(温める)

屋外の盤の底に付けたスペースヒーターの暖かい空気が、天井や扉の裏まで回り、水滴が付いていないイメージ
盤内ヒーター:盤の中を温めて、温度を露点より上に保つイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

盤内ヒーター(スペースヒーター)は、盤の中の空気と壁を温め、温度を露点より上に保ちます。篠原電機は、カバー付スペースヒーターを盤内の結露防止・湿気防止用としています。

温めると相対湿度が下がる理由を、編集部が計算してみます。20℃・湿度90%の空気の水蒸気圧は 23.4×0.9=約21.1hPa です。水蒸気の量が同じまま23℃に温めると 21.1÷28.1=約75%、25℃に温めると 21.1÷31.7=約66%になります(飽和水蒸気圧は岩手県教育委員会のプリントの表)。ただし、ヒーターは水蒸気を外へ出すわけではないので、外から湿気が入り続ける盤では、すき間の対策と組み合わせます(編集部の解説)。

20℃・湿度90%の空気を23℃に温めると約75%、25℃で約66%に相対湿度が下がることを示す棒グラフ
図6 温めると相対湿度が下がる(20℃・湿度90%の空気の例)
出典:編集部が計算し、岩手県教育委員会「湿度(相対湿度)の測定」をもとに AI(Claude)で作成

除湿・通気(結露防止器・通気プラグ)

盤の中の空気は、温度が上がるとふくらみ、下がると縮みます。西日本工芸社は、盤に簡便な気密性を持たせ、盤外の温度変化による盤内の空気の膨張と収縮を利用して、水蒸気を盤外へ排出する結露防止器を作っています。同社の動作原理の図は、これを「呼吸現象」と呼び、外の空気が入るときは水蒸気の侵入を特殊膜で抑えるとしています。同社の冬季の山間部(電力会社施設付近)での比較では、結露防止器なしの箱の中は相対湿度90〜100%を頻繁に計測し、結露防止器付きの箱の中は60%前後を保ったとしています。ヒーターを使った盤では、湿度計でオン・オフするたびに相対湿度85%付近が連発したとしています。

ハギテックの排気用防水保護プラグは、外からの水・ほこりの侵入を防ぎながら通気性を保ち、温度変化による内外の圧力差をそろえるとしています。冷えて中の圧力が下がると、すき間から湿った空気を吸い込みやすくなるので、内圧の差を小さくすることが入り口の対策にもなります(編集部の解説)。一方、換気口や換気扇は熱を逃がしますが、外が湿っていれば湿気も一緒に入れます(編集部の解説)。

換気口・換気扇、防水の通気プラグ、結露防止器の3つで、盤の中の水蒸気の出入りの違いを比べた模式図
図7 換気・通気プラグ・結露防止器の違い(模式図)
出典:ハギテック「排気用防水保護プラグ」・西日本工芸社「結露防止器」をもとに AI(Claude)で作成
外気の温度が下がると箱内の圧力が増えて水蒸気を排出し、外気の温度が上がると特殊膜で水蒸気の侵入を抑える結露防止器の動作原理の図
図8 結露防止器の動作原理(呼吸現象)
出典:西日本工芸社「結露防止器」

冷やし方の見直し(盤用クーラー)

盤用クーラーは、冷えた面に盤の中の空気を当てて冷やすので、その面で除湿もします。アピステは、急速冷却は過冷却のため露点温度を下回って結露が発生しやすく、急にドレン水が出ることがあるとし、盤内の温度が上がったら少しずつゆっくり冷やすマイルド冷却は、露点温度を超えにくく、結露のリスクが非常に低いとしています。

同社の結露条件のグラフ(外気温度25℃)では、空気と冷えた面の温度差が大きいほど、低い湿度でも結露します。たとえば湿度70%の空気なら、6℃ほど冷えた面で結露する領域に入ります(同社のグラフを編集部が読み取り)。ドレン水の処理が難しい所には、特殊気化フィルターで一時的にドレン水を保持し、クーラーの排熱で気化させるノンドレンのクーラーもあります(アピステ)。

盤用クーラーの冷えた面で空気が除湿されドレン水が出る模式図と、急に冷やす場合とゆっくり冷やす場合の比較
図9 盤用クーラーの冷えた面と、急冷・マイルド冷却の違い
出典:アピステ「制御盤用クーラーの構造と仕組み」をもとに AI(Claude)で作成
外気温度25℃で、相対湿度と、気温と固体表面の温度差から、結露する領域と結露しない領域を分けたグラフ
図10 結露条件のグラフ(外気温度25℃)
出典:アピステ「制御盤用クーラーの構造と仕組み」

すき間・引き込み口をふさぐ

電線管やダクトの中は、ケーブルとのあいだにすき間が残ります(編集部の解説)。NITE の事例(家庭の浴室の換気扇)では、工事説明書で指示されていたコーキングがされておらず、ダクトで生じた結露水が電源接続子に入り、トラッキング現象が生じて発火しました。盤の底の引き込み口、電線管の中、ダクトや配管の貫通部、扉のパッキンの切れや浮きを、まず点検します(編集部の整理)。

ふさぐ材料には、パテ、コーキング、シール材などがあります。EPJ の止水パテ「とめ太郎」は、地下電気室や地下ピットの貫通部の施工例を紹介し、非硬化型で、ケーブルの入れ替えを考えて撤去作業が楽だとしています(パテ単独で水密性能0.05MPa)。ケーブルを入れ替える頻度に合わせて、固まる材料か固まらない材料かを選びます(編集部の解説)。

盤の底の電線管から湿った空気や水が上がる様子と、パテでふさいだ電線管、ふさぐ所の例を示した図
図11 電線管やダクトのすき間は、湿気と水の通り道になる
出典:NITE 事故情報・EPJ「とめ太郎」をもとに AI(Claude)で作成

基板の防湿コーティング

防湿コーティングをした基板の上で、水滴が玉になって銅の配線に触れていないイメージ
防湿コーティング:結露が避けきれない所で基板を守るイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

盤の中で結露が避けきれない所では、基板そのものを防湿コーティング(コンフォーマルコーティング)で守ります。フロロテクノロジーは、フッ素系の防湿コーティング剤を、同じ膜厚でウレタン系・アクリル系に比べて4倍、シリコーン系に比べて10倍以上の防湿性としています(同社の比較)。

コーティングは基板を守る最後の守りで、端子台やねじの接続部、ヒューズなどは覆えないことが多くあります。結露しない状態をつくる対策と組み合わせて使います(編集部の解説)。防水・防湿の筐体の対策は、電子機器を防水・防じんにしたいでも整理しています。

防湿コーティング・ポッティング・低圧成形の違いを比べた図と表
図12 防湿コーティングと封止の違い
出典:DigiKey「コンフォーマルコーティングの種類」・松本加工「ホットメルトモールディングとは」・フロロテクノロジー「フロロサーフ FG-3650 シリーズ」をもとに AI(Claude)で作成

出典:カバー付スペースヒーター(イプロス)|篠原電機、地学基礎 実験・実習プリント 湿度(相対湿度)の測定(平成26年度)|岩手県教育委員会、結露防止器|西日本工芸社、ヒーターとの比較データ|西日本工芸社、メタル製排気用防水保護プラグ VBA/VSA(イプロス)|ハギテック、制御盤用クーラーの構造と仕組み|アピステ、ノンドレン制御盤用クーラー ENC-GR-LE-eco|アピステ、事故情報(2008年受付分)|製品評価技術基盤機構(NITE)、止水パテ とめ太郎|EPJ、フロロサーフ FG-3650 シリーズ(イプロス)|フロロテクノロジー

盤の結露対策の技術を持つ企業

各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。温めるならヒーター、電源なしで湿気を出すなら結露防止器、内圧をそろえるなら通気プラグ、冷やしながら結露を抑えるなら盤用クーラー、引き込み口なら止水パテ、基板ならコーティング、というように、困りごとで合う相談先が変わります。

企業解決できる課題種類何ができるか合う症状
篠原電機盤用機材メーカー盤内の結露防止・湿気防止用のカバー付スペースヒーターで、盤の中を温める。A 夜や冬の朝、盤の天井・扉の裏に水滴が付く
E 結露で端子・基板が腐食する・ショートする
西日本工芸社結露防止器メーカー盤の内外の温度変化による空気の膨張・収縮を使い、電気を使わずに水蒸気を盤の外へ出す結露防止器。A 夜や冬の朝、盤の天井・扉の裏に水滴が付く
B 盤用クーラーで冷やすと、結露やドレン水が出る
D 換気口・ファンで、湿った外気を取り込んでしまう
E 結露で端子・基板が腐食する・ショートする
ハギテック配線部品メーカー水・ほこりを防ぎながら通気し、温度変化による内外の圧力差をそろえる防水保護プラグ・ケーブルグランド。C 電線管・ピット・ダクトから、湿気や水が上がってくる
D 換気口・ファンで、湿った外気を取り込んでしまう
アピステ盤用クーラーメーカー露点を下回りにくいマイルド冷却の制御盤用クーラーで、結露とドレン水を抑えて盤を冷やす。B 盤用クーラーで冷やすと、結露やドレン水が出る
D 換気口・ファンで、湿った外気を取り込んでしまう
EPJ止水材非硬化型の止水パテで、地下ピットや電線管の貫通部をふさぎ、ケーブルを入れ替えられるようにする。B 盤用クーラーで冷やすと、結露やドレン水が出る
C 電線管・ピット・ダクトから、湿気や水が上がってくる
フロロテクノロジーコーティング剤フッ素系の防湿コーティング剤で、結露が避けきれない所の基板の絶縁を守る。A 夜や冬の朝、盤の天井・扉の裏に水滴が付く
C 電線管・ピット・ダクトから、湿気や水が上がってくる
E 結露で端子・基板が腐食する・ショートする
企業名を押すと各社の紹介へ、症状を押すと上の症状の説明へ移ります(各社の公開情報をもとに編集部で整理。課題の絵は AI[ChatGPT]で生成したイメージ)

篠原電機株式会社|盤内の結露防止用スペースヒーター

篠原電機とは

篠原電機は、大阪市北区に本社がある、配電盤・制御盤の機材の会社です(1967年設立)。高圧・低圧用の配線機材と筐体、分電盤・配電盤・制御盤用の機器と機構部品、端子台などを扱っています。

篠原電機の得意技術

技術内容
カバー付スペースヒーター打抜鋼板の放熱カバーにスペースヒーターを組み込んだもので、盤内の結露防止・湿気防止用としている。ビス止めで取り付けられるとしている
安全への配慮熱源に直接触れるおそれがないように設計しているとし、耐電圧2000V(1分間)、絶縁抵抗100MΩ以上(DC500V)を挙げている

ヒーターは盤の中の温度を上げて相対湿度を下げるもので、中の水蒸気そのものを外へ出すわけではありません(編集部の解説)。外から湿気が入り続ける盤では、すき間の対策と組み合わせます。

篠原電機が解決できる課題

  • 冬や夜の冷え込みで、盤の天井・扉の裏に結露する
  • 盤の中の湿度を下げて、絶縁の低下を防ぎたい
篠原電機のカバー付スペースヒーターの模式図と公開情報の整理
図13 篠原電機のカバー付スペースヒーター(公開情報の整理)
出典:篠原電機「カバー付スペースヒーター」をもとに AI(Claude)で作成

出典:会社概要|篠原電機、カバー付スペースヒーター(イプロス)|篠原電機

株式会社西日本工芸社|電気のいらない結露防止器

西日本工芸社とは

西日本工芸社は、福岡市西区にある、結露防止器の会社です。事業内容に、結露防止器の企画・設計・製造・販売、FA 用電子制御機器の販売などを挙げています。

西日本工芸社の得意技術

技術内容
結露防止器(電源なし)盤に簡便な気密性を持たせ、盤外の温度変化による盤内の空気の膨張と収縮を利用して、水蒸気を盤外へ排出するとしている。動作原理の図では、これを「呼吸現象」と呼び、外の空気が入るときは水蒸気の侵入を特殊膜で抑えるとしている
性能の目安盤内の相対湿度を60%前後でキープするとし、1個で125L(50cm×50cm×50cm)の容量まで対応するとしている
比較データ冬季の山間部(電力会社施設付近)の比較で、結露防止器なしの箱の中は相対湿度90〜100%を頻繁に計測し、結露防止器付きの箱の中は60%前後をキープしたとしている。ヒーターを使った盤では、湿度計でオン・オフするたびに相対湿度85%付近が連発したとしている(同社の比較)

同社は、結露防止器を使う盤には簡便な気密性が必要としています。すき間が大きい盤では、先にすき間をふさぎます。

西日本工芸社が解決できる課題

  • 電源を取らずに、盤の中の湿気を下げたい
  • 屋外の制御盤・端子箱・電柱の盤などの結露を防ぎたい

公開されている実績

  • 同社の実績写真(画像)では、水力発電所の非常用電話、電柱の制御盤、屋外制御盤、半導体工場の手元盤、化学薬品工場の浄水装置中継箱などを紹介している
結露防止器を取り付けた屋外制御盤・電柱の制御盤・沿線電話・半導体工場の手元盤などの実績写真の一覧
図14 結露防止器の実績写真と納入先
出典:西日本工芸社「結露防止器」

出典:会社概要|西日本工芸社、結露防止器|西日本工芸社、ヒーターとの比較データ|西日本工芸社

株式会社ハギテック|通気しながら水を止めるプラグ・グランド

ハギテックとは

ハギテックは、千葉県四街道市に本社・工場がある、ケーブルグランドや配線保護部品などを扱う会社です(1974年創業、1980年設立)。

ハギテックの得意技術

技術内容
排気用防水保護プラグ VBA/VSA金属製の通気プラグで、外からの水・ほこりの侵入を防いで通気性を保ち、温度変化による内外の圧力差をそろえるとしている。用途に、機器類の結露対策・内圧調整・曇り止めを挙げている(M12×1.5)
ベントグランド(結露防止用)ケーブルグランドに微孔性の ePTFE メンブレンを内蔵したもので、使用温度 -40〜100℃、IP69K(同社の表記)としている

通気プラグは内圧の差をそろえて、すき間から湿った空気を吸い込みにくくする部品です。中にある水蒸気を積極的に外へ出すものではありません(編集部の解説)。

ハギテックが解決できる課題

  • 温度の変化で、ケーブルのすき間などから湿気を吸い込む
  • 防水を保ったまま、筐体の内圧をそろえたい
ハギテックの排気用防水保護プラグとベントグランドの模式図と公開情報の整理
図15 ハギテックの通気プラグとベントグランド(公開情報の整理)
出典:ハギテック「ケーブルグランド」・同「排気用防水保護プラグ」をもとに AI(Claude)で作成

出典:会社概要|ハギテック、ケーブルグランド(ベントグランド)|ハギテック、メタル製排気用防水保護プラグ VBA/VSA(イプロス)|ハギテック

株式会社アピステ|結露を抑える冷やし方の盤用クーラー

アピステとは

アピステは、大阪市北区に本社がある、制御盤用クーラーなどの会社です(1992年設立)。事業内容は「環境改善機器・冷却機器・温調機器の開発、販売」です。

アピステの得意技術

技術内容
マイルド冷却盤内の温度が上がったら少しずつゆっくり冷やす考え方で、急速冷却は過冷却で露点温度を下回って結露が発生しやすく、急にドレン水が出ることがあるのに対し、マイルド冷却は露点温度を超えにくく、結露のリスクが非常に低いとしている。35℃・60%の空気の露点温度を約26℃としている
空気線図での比較35℃・60%の空気を、急速冷却で約20℃まで冷やすと露点温度(約26℃)を下回ってドレン水が出るのに対し、マイルド冷却では約27℃にとどめる例を、空気線図で示している
ノンドレンの盤用クーラー特殊気化フィルターでドレン水を一時的に保持し、クーラーの排熱で気化させるので、追加の消費電力も要らないとしている。外気35℃・湿度85%でもノンドレンとしている

盤用クーラーは、冷えた面で空気を除湿するので、ドレン水はどこかに出ます。ドレンの出口と、冷えた面より下にある部品にかからないかを確かめます(編集部の解説)。

アピステが解決できる課題

  • 盤用クーラーで冷やすと、結露やドレン水が出る
  • ドレン水の処理が難しい場所で盤を冷やしたい
空気線図で、35℃・60%の空気を急速冷却で約20℃まで冷やすと露点26℃を下回ってドレン水が出るのに対し、マイルド冷却では約27℃にとどめる比較
図16 急速冷却とマイルド冷却の違い(空気線図)
出典:アピステ「制御盤用クーラーの構造と仕組み」

出典:会社概要|アピステ、制御盤用クーラーの構造と仕組み|アピステ、ノンドレン制御盤用クーラー ENC-GR-LE-eco|アピステ

EPJ株式会社|貫通部・電線管を止水するパテ

EPJ は、東京都中央区に本社がある会社です(2017年設立)。事業内容に、ゴム製品・プラスチック製品の企画・製造・販売などを挙げ、止水パテ「とめ太郎」を扱っています。

EPJの得意技術

技術内容
止水パテ「とめ太郎」漏水予防・漏水補修用のパテ剤で、ハンドホール・マンホール、地下電気室や地下ピットの貫通部などの施工例を紹介している。非硬化型の止水材で、樹脂が固まるときの体積収縮がないとしている
性能パテ単独で水密性能0.05MPa、耐熱90℃としている。ケーブルの入れ替えを考えて、撤去作業が楽な点も挙げている

とめ太郎は、ケーブルや貫通部を伝ってくる水を止める材料です。盤の中で生まれる結露そのものを防ぐものではないので、盤の中の湿度の対策と組み合わせます(編集部の解説)。

EPJが解決できる課題

  • 地下のピットや電線管から、ケーブルを伝って水や湿気が上がってくる
  • ケーブルを入れ替えられるように、貫通部をふさぎたい

公開されている実績

  • 民間教育施設で、貫通部のケーブルを伝う漏水に施工した例を紹介している
容器に入った灰色の止水パテと、袋に入った白い材料の写真
図17 止水パテ「とめ太郎」
出典:EPJ「とめ太郎」

出典:会社概要|EPJ、止水パテ とめ太郎|EPJ

株式会社フロロテクノロジー|基板の防湿・防水コーティング剤

フロロテクノロジーとは

フロロテクノロジーは、愛知県春日井市にある、フッ素コーティング剤の会社です(2003年設立)。プリント基板の防水・防湿コーティング(コンフォーマルコーティング)の解説と製品を公開しています。

フロロテクノロジーの得意技術

技術内容
フロロサーフ FG-3650 シリーズ電子部品の防水・絶縁保護、実装基板の防湿・防水コーティングに使うコーティング剤で、非引火性・有機溶剤非該当としている
防湿性同じ膜厚でウレタン系・アクリル系の防湿コート剤に比べて4倍、シリコーン系に比べて10倍以上の防湿性としている(同社の比較)
扱いやすさ塗ったあと常温で5〜20分で乾き、コーティング後のリペアもできるとしている

防湿コーティングは、結露が起きても基板の絶縁を保つための最後の守りです。盤の中で結露が続く状態をそのままにしてよいわけではありません(編集部の解説)。

フロロテクノロジーが解決できる課題

  • 結露が避けられない所で、基板の絶縁を守りたい
  • 基板のマイグレーションや腐食を防ぎたい
フロロサーフFG-3650の防湿性を、ウレタン系・アクリル系とシリコーン系に比べた同社の比較
図18 フロロテクノロジーの防湿コーティング剤(同社の比較)
出典:フロロテクノロジー「フロロサーフ FG-3650 シリーズ」・同「プリント基板の防水・防湿コーティング」をもとに AI(Claude)で作成

出典:会社概要|フロロテクノロジー、プリント基板の防水・防湿コーティング|フロロテクノロジー、フロロサーフ FG-3650 シリーズ(イプロス)|フロロテクノロジー

選ぶ前に確かめる条件

相談する前に、次の条件を整理しておくと、話が早くなります。

  • 盤の置き場所(屋外・屋内・地下・冷凍倉庫や温水洗浄の近く)と、日当たり・雪
  • 水の跡の場所(天井・扉の裏・クーラーの下・盤の底・電線管の出口)と、出る季節・時間帯
  • 盤の中・外の温度と湿度、壁や天井の表面温度の記録(夜から明け方を含む)
  • 盤の大きさ・材料と、扉のパッキン・換気口・換気扇の有無
  • ケーブルの引き込み方(電線管・ピット・ダクト)と、ケーブルを入れ替える頻度
  • 中の発熱と冷却のしかた(換気扇・盤用クーラー)、ヒーターに使える電源の有無
  • 基板の種類と、コーティングしてよいか(修理・部品交換のしかた)

この課題に関係する分野・技術・製品のページ

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。

情報の確認日:2026年10月2日

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