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断熱材(保温材の種類と選び方:グラスウール・ロックウール・けい酸カルシウム・ウレタン・エアロゲル)

断熱材は、熱を通しにくい材料で物を包み、熱が逃げる・入るのを小さくする材料です。

断熱材(保温材の種類と選び方:グラスウール・ロックウール・けい酸カルシウム・ウレタン・エアロゲル)
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断熱材(保温材の種類と選び方:グラスウール・ロックウール・けい酸カルシウム・ウレタン・エアロゲル)

手前の端を輪切りにした横向きの鋼管で、内側の管、黄みがかった繊維の保温材の厚い層、外側の銀色の金属の外装が同心円に重なり、管の中のオレンジの熱の矢印が保温材で止まり、右に繊維・多孔質・独立気泡の3種類の断熱材の小さなブロックが並ぶイラスト(AI で生成したイメージ)

コストダウン信頼性・長寿命安全・規制・環境対応加熱・冷却機能性材料熱断熱資源循環・省エネルギー化学・素材製造産業機械・ロボット

断熱材は、熱を通しにくい材料で物を包み、熱が逃げる・入るのを小さくする材料です。工場では、蒸気配管・塔槽・乾燥炉・工業炉の保温、冷水配管や冷凍設備の保冷、人が触れる所の火傷防止などに使われます。しくみは共通で、細い繊維や小さな泡で空気を小さく区切り、熱を伝えにくい空気に熱を通させることです。選ぶときは、まず使う温度で候補をしぼり、次に水・湿気、強さ、燃えにくさ、厚さを決めるのが基本です。

このページでは、断熱材のしくみ、グラスウール・ロックウール・けい酸カルシウム・発泡プラスチック・エアロゲル・真空断熱材などの種類と違い、選び方、水を含んだときの性能の低下と保温材下腐食(CUI)、省エネ、トラブルと事例、相談できる会社までをまとめました。住宅の断熱は少しだけ触れます。配管・装置の保温・保冷の工事と診断は、課題「配管・装置の保温・保冷を効率よくしたい(断熱)」にもあります。

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症状考えられる原因対策を書いた所
保冷材が溶けた・変形した使用温度を超えた(スチーム洗浄など)まず使う温度で候補をしぼる
保温の外側が熱い・燃料代が上がった保温材の含水・脱落、外装の破れ水を含むと、断熱性能が大きく下がる
保温の下で配管が錆びた・漏れた保温材下腐食(CUI)保温材下腐食(CUI)のしくみ
保冷の表面が結露する・霜が付くすき間・防湿の切れ保冷は、独立気泡と防湿で選ぶ
振動する所で保温材がなくなった繊維系のバインダの分解と振動振動で繊維系の保温材が崩れた
厚く巻けないすき間が狭い薄くしたい・すき間が狭いとき

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目次

断熱材とは(基本)

熱の伝わり方:伝導・対流・放射

熱は、物の中を伝わる「伝導」、空気や水が動いて運ぶ「対流」、表面から赤外線で出る「放射」の3つで伝わります。断熱材は、この熱の移動を小さくする材料です。気体は分子の密度が低いので熱伝導率が低い一方、動くと対流で熱を運びます(ウィキペディア「断熱材」)。東北大学の講義資料の表(常温近傍)では、空気の熱伝導率は 0.0261 W/(m·K)で、ウレタンフォームは 0.030、発泡スチロールは 0.038 です。

出典:断熱材|ウィキペディア日本語版、伝熱工学の基礎と応用 2-1 定常熱伝導と物質の熱伝導率|東北大学 圓山重直(日本機械学会『伝熱工学資料 改訂第5版』より抜粋の表を含む)

熱伝導率の意味と計算は、基礎知識「熱伝導率」、表面から出る熱は「放射率」「熱伝達率」にあります。

中のつくり:繊維・多孔質・独立気泡・真空

断熱材は、空気を区切るつくりで性格が分かれます。ニチアス技術時報(2023 No.2)は、人造鉱物繊維保温材や無機多孔質保温材は連通構造のため、水が浸入すると容易に吸水する一方、発泡プラスチック保温材は内部が独立した微細な気泡でできていて、熱伝導率が低く、透湿性と吸水性も低いので「保冷材」として広く使われるとしています。真空断熱材は、多孔質の芯材を外被材で覆って内部を減圧したもので、パナソニックの報告では、常温で使う真空断熱材の伝熱は、わずかな残存ガスによる気体の伝導と、芯材の固体の伝導が中心です。

繊維系、多孔質、独立気泡、真空の4つの断熱材の中のつくりを並べた模式図
図1 断熱材の中のつくり(模式図)
出典:ニチアス技術時報 2023 No.2・Panasonic Technical Journal Vol.60 No.2をもとに AI(Claude)で作成

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)、湯淺明子ほか「高性能真空断熱材の開発および冷蔵庫への適用」Panasonic Technical Journal Vol.60 No.2(2014)

保温と保冷の違い

プラントの保温保冷工事は JIS A 9501(保温保冷工事施工標準)に沿って行われます。ニチアス技術時報が紹介する JIS A 9501 の定義では、「保温」は常温以上・約1000℃以下の物を覆い、熱の放散を少なくするか表面温度を下げること、「保冷」は常温以下の物を覆い、入る熱を小さくするか表面温度を露点温度以上にして結露させないことです。保冷では低温側が負圧(圧力が低い側)になるため、外気の湿気が保冷材の中へ入りやすく、入った水分は中で結露して吸水され、断熱性能を下げます。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

露点の考え方は基礎知識「露点(と相対湿度)」にあります。

熱伝導率は、温度が上がると大きくなる

断熱材の熱伝導率は一定ではありません。省エネルギーセンターのデーターシート(環境省の資料に掲載)では、グラスウール保温筒の熱伝導率を λ=0.0324+1.05×10⁻⁴θ+4.62×10⁻⁷θ²(θ:平均温度 ℃、−20〜200℃)としています。この式では 0℃ で約 0.032、100℃ で約 0.048、200℃ で約 0.072 W/(m·K) です。日本インシュレーションのけい酸カルシウム保温材(ダイパライト)も、200〜300℃ で λ=0.0407+1.28×10⁻⁴θ の式で、温度とともに大きくなります。

グラスウール保温筒、けい酸カルシウム1号と2号の熱伝導率が、平均温度が上がるにつれて大きくなるグラフ
図2 熱伝導率は、温度が上がると大きくなる
出典:環境省の資料(省エネルギーセンターのデーターシートの表)・日本インシュレーションの製品ページをもとに AI(Claude)で作成

このため、カタログの熱伝導率は、どの温度で測った値かを必ず確かめます。日本インシュレーションは、保温材の厚さを出すなどの伝熱計算には、JIS A 9501 の熱伝導率算出参考式を使うよう注記しています。

出典:不要時の蒸気供給バルブの閉止等による蒸気の有効利用(省エネルギーセンター「エネルギー管理のためのデーターシート」の表を含む)|環境省、ダイパライト・ニューベストライト|日本インシュレーション

主な種類と特徴

JIS の区分:人造鉱物繊維・無機多孔質・発泡プラスチック

ニチアス技術時報は、プラントで使う保温保冷材を人造鉱物繊維保温材(JIS A 9504)、無機多孔質保温材(JIS A 9510)、発泡プラスチック保温材(JIS A 9511)に大別しています。常温〜約1000℃ で使う「保温材」には、有機質が使えない高温域で無機質の人造鉱物繊維・無機多孔質が基本的に使われ、「保冷材」には発泡プラスチックが広く使われます。JIS A 9501 にない材料として、エアロゲル(エアロジェル)、高温断熱ウール、泡ガラスも紹介しています。

区分主な材料性格
人造鉱物繊維(JIS A 9504)ロックウール保温材・グラスウール保温材柔らかく、複雑な形にも施工しやすい
無機多孔質(JIS A 9510)けい酸カルシウム保温材・はっ水性パーライト保温材硬く、乗っても変形しにくい
発泡プラスチック(JIS A 9511)硬質ウレタン・ポリスチレン・フェノール独立気泡で、保冷に多い
JIS A 9501 にないものエアロゲル、高温断熱ウール(RCF・AES など)、泡ガラス—

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

種類ごとの比較

代表的な保温保冷材の上限の温度と特徴を並べました。上限の温度は材料で指標が違い、繊維系は熱間収縮温度(規格値)、けい酸カルシウムは最高使用温度、発泡プラスチックは最高使用温度の目安です。

種類上限の温度(目安)特徴(出典の説明)主な使い道
グラスウール250〜400℃ガラス原料を溶かして繊維にしたもの。原料はビンガラス・板ガラスのリサイクル材料が80%以上機器・配管・空調ダクトの保温と防露
ロックウール400〜650℃高炉スラグや玄武岩などを溶かして繊維にしたもの。耐火・防火・遮音・吸音にも配管・機器の保温
けい酸カルシウム1号 1000℃以下、2号 650℃以下比強度が高く、乗っても変形・損傷しにくい。柔軟性は乏しい石油化学・電力・ガスプラントの配管・機器
硬質ウレタンフォーム100℃−200℃近くまで寸法が安定。現場で発泡できるLNG など極低温の保冷
ポリスチレンフォーム(ビーズ法・押出法)70〜80℃軽く、耐水性。−50〜70℃で広く使う。有機溶剤・石油類に弱い保冷・水道管の凍結防止・冷凍倉庫
高温断熱ウール(RCF・アルミナ・AES)1000℃以上でも使えるけい酸カルシウムやロックウールで対応できない高温域で使う1000℃以上の高温域
泡ガラス最高約400℃独立気泡で不燃。極低温から使える液体酸素の配管・LNG タンクの底

ニチアス技術時報 2023 No.2 の表1と本文をもとに編集部がまとめた比較です。製品ごとの値は各社のカタログで確かめてください。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

熱伝導率の区分(国土交通省)

国土交通省の断熱材の区分(住宅用の断熱材が例に並ぶ表)では、熱伝導率で断熱材を A-1(0.052〜0.051 W/(m·K))から F(0.022 以下)まで分けています。たとえば、住宅用グラスウール 16K・20K 相当は B(0.045〜0.041)、押出法ポリスチレンフォーム保温板 3種と硬質ウレタンフォーム保温板 2種は E(0.028〜0.023)、フェノールフォーム保温板 1種 2号は F(1種 1号は E)です。同じ材料でも、密度や種類(号・種)で区分が変わります。

国土交通省の断熱材の区分A-1からFまでの熱伝導率の範囲を横棒で示し、それぞれの代表的な断熱材を並べた図
図3 熱伝導率による断熱材の区分
出典:国土交通省「断熱材の熱伝導率による区分(別添2)」をもとに AI(Claude)で作成

出典:断熱材の熱伝導率による区分(別添2)|国土交通省

グラスウールとロックウールの違い

どちらも人造鉱物繊維保温材で、柔らかく複雑な形にも施工しやすく、吸音材としても使えます。違いは原料と耐熱で、グラスウールはガラス、ロックウールは高炉スラグや玄武岩などの天然鉱物が原料で、熱間収縮温度はグラスウール 250〜400℃、ロックウール 400〜650℃です。JIS A 9501 には、ロックウールはウール・保温板・フェルト・ブランケット・保温帯・保温筒の6種類、グラスウールはウール・保温板・保温帯・保温筒・ブランケット・波形保温板の形状品があります。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

けい酸カルシウム保温材

けい酸カルシウム保温材は、けい酸質と石灰質を水熱反応(オートクレーブ反応)させてできる「けい酸カルシウム水和物」を主な材料にし、補強繊維を加えたものです。JIS の1号はゾノトライト系で 1000℃以下、2号はトバモライト系で 650℃以下で使います。比強度が高く、点検で外装の上に人が乗っても変形・損傷しにくいため、国内の石油化学・電力・ガスプラントの配管・機器にもっとも多く使われているとニチアス技術時報は説明しています。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

発泡プラスチック(ウレタン・ポリスチレン・フェノール)

発泡プラスチック保温材は、硬質ウレタンフォーム・ビーズ法ポリスチレンフォーム・押出法ポリスチレンフォーム・ポリエチレンフォーム・フェノールフォームの総称です。硬質ウレタンフォームは−200℃近くまで寸法が安定し、LNG(−162℃)など極低温の保冷に使われ、現場で原液を混ぜて発泡させると、継ぎ目のない断熱層をつくれます。ポリスチレンフォームは軽く耐水性があり、−50〜70℃ の温度域で広く使われますが、有機溶剤・石油類に侵されやすいので、接着剤や塗料は指定の水系・アルコール系を使います。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

高温断熱ウール(RCF・AES)と耐火断熱れんが

1000℃ を超える炉では、リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)・アルミナファイバー・アルカリアースシリケート(AES)ウールなどの高温断熱ウールを使います(ニチアス技術時報)。RCF は、2015年(平成27年)11月1日から、特定化学物質障害予防規則などの規制の対象に加わりました(厚生労働省)。AES ウールについて、イソライト工業は自社の BSSR 製品を特化則の対象外と説明しています。炉の内張り・裏張りには、耐火断熱れんがも使われます。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)、平成27年11月の特定化学物質障害予防規則・作業環境測定基準等の改正(リフラクトリーセラミックファイバー)|厚生労働省、イソウールBSSR ブランケット|イソライト工業

エアロゲル・高性能断熱板・真空断熱材

薄くても断熱したいときの材料です。ニチアス技術時報は、エアロゲル(エアロジェル)ブランケット「パイロジェル XTE」(米 Aspen Aerogels 社)について、150℃ での熱伝導率はロックウール保温材やけい酸カルシウム保温材の約1/2で、厚さ1/2で同等の保温性能としています。ニチアスが「静止空気を上回る優れた断熱性」をうたう断熱板「ロスリム ボード H」は、400℃ で 0.027 W/(m·K)(代表値)、最高使用温度 1000℃ です。真空断熱材は、パナソニックの報告では、同社の真空断熱材「U-Vacua」の Ver.Ⅴ の断熱性能が汎用のグラスウールの約45倍、硬質ウレタンフォームの約24倍で、冷蔵庫の箱に使われています。真空断熱材は真空を保つ必要があるため、現場で切ったり穴を開けたりする使い方には向きません(編集部の補足)。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)、ロスリム ボード|ニチアス、湯淺明子ほか「高性能真空断熱材の開発および冷蔵庫への適用」Panasonic Technical Journal Vol.60 No.2(2014)

断熱材の選び方

まず使う温度で候補をしぼる

ニチアス技術時報は、使用温度範囲は保温保冷材を選ぶうえで最も重要な因子の一つで、合わない材料を使うと、変形・融解・発火・脱落など重大なトラブルにつながるおそれがあるとしています。常用の温度だけでなく、洗浄・立ち上げ・異常時の最高温度も確かめます。

グラスウール、ロックウール、けい酸カルシウム1号と2号、硬質ウレタン、ポリスチレン、泡ガラス、高温断熱ウールの上限の温度を横棒で比べた図
図4 何度まで使えるか(上限使用温度の目安)
出典:ニチアス技術時報 2023 No.2 の表1・本文をもとに AI(Claude)で作成

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

条件から候補をしぼる

温度で候補をしぼったら、①保温か保冷か ②屋外か・水がかかるか ③人が乗る・振動するか ④燃えにくさ ⑤すき間(厚さ)の順に見ると、材料と形(保温筒・板・ブランケット・現場発泡)が決まります。ニチアス技術時報は、選ぶときの条件として、使用温度範囲・使用年数、断熱性能・透湿性・燃焼性、機械的性能・化学的安定性、屋内でのホルムアルデヒドの放散による等級、単位体積あたりの価格、工事現場への適応性、配管・機器の腐食への配慮を挙げています。

条件よく使われる候補
常温以下・保冷(冷水・冷凍・LNG)独立気泡の発泡プラスチック(ウレタンなど)+防湿
空調・〜200℃程度の配管・ダクトグラスウール・ロックウール保温筒
〜650℃の配管・機器ロックウール・けい酸カルシウム 2号
〜1000℃(乾燥炉・塔槽・炉のバックアップ)けい酸カルシウム 1号・高性能断熱板
1000℃を超える炉の内張り高温断熱ウール(AES・アルミナ)・耐火断熱れんが
すき間が狭く、厚く巻けないエアロゲル・高性能断熱板
人が乗る・ぶつかる所けい酸カルシウム(比強度が高い)

このページの出典をもとに編集部が整理した目安です。製品の使用温度はカタログで確かめてください。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

保冷は、独立気泡と防湿で選ぶ

常温より低い機器・配管を保冷すると、外気の湿気が低温側へ入り込み、中で結露して断熱性能を下げます。そのため保冷材には、高い防湿性を持ち、吸水しにくい独立気泡の発泡プラスチックが広く使われ、冷気が漏れて表面に結露・結氷しないよう、外気に通じるすき間を設けない構造にします(ニチアス技術時報)。現場発泡のウレタンですき間を埋める工法も、このために使われます。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

厚さは計算で決める

ニチアス技術時報は、保温保冷材の厚さは、経済性・凍結防止・結露防止・火傷防止などの観点から計算で決めるとしています。保温していても熱は出ます。省エネルギーセンターのデーターシートでは、グラスウール保温筒(年間 8,000 時間使用)で、管内 150℃・呼び径 80A の配管は、保温厚さ 65mm で放散熱量 40 W/mです。

管内150度のグラスウール保温筒で、15A、50A、80A、100A、200Aの1メートルあたりの放散熱量を比べた横棒グラフ
図5 保温していても熱は出る(グラスウール保温筒・管内 150℃)
出典:環境省の資料(省エネルギーセンターのデーターシートの表)をもとに AI(Claude)で作成

出典:不要時の蒸気供給バルブの閉止等による蒸気の有効利用(省エネルギーセンター「エネルギー管理のためのデーターシート」の表を含む)|環境省

薄くしたい・すき間が狭いとき

厚く巻けない所には、熱伝導率の小さい材料を使います。エアロゲルブランケットは、150℃ で従来の保温材の約1/2 の熱伝導率で、厚さ1/2で同等の保温性能とされています(ニチアス技術時報)。冷蔵庫の箱のように、形が決まっていて切らない所では真空断熱材も使われます。課題「配管・装置の保温・保冷を効率よくしたい」には、エアロゲルを使った断熱ジャケットの例もあります。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)、湯淺明子ほか「高性能真空断熱材の開発および冷蔵庫への適用」Panasonic Technical Journal Vol.60 No.2(2014)

選ぶ・仕様を書くときのチェックポイント

断熱材を選ぶとき、仕様書に書き漏らしやすい項目です(編集部が整理した項目です)。

  • 温度:常用と最高・最低(洗浄・立ち上げ・異常時も)
  • 目的:保温・保冷・火傷防止・凍結防止
  • 厚さ:経済性・結露防止・凍結防止・表面温度から計算
  • 水:屋外か・雨や洗浄の水がかかるか(はっ水性・外装・防湿)
  • 強度:人が乗る・ぶつかる・振動する(けい酸カルシウムは比強度が高い)
  • 燃えにくさ:不燃・難燃が要るか(発泡プラスチックの燃焼性)
  • 腐食:CUI・ステンレスへの塩化物(低ハロゲンの材料)
  • 取り外し:点検の多いバルブ・フランジは着脱式にするか

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)、MGマイティカバー|ニチアス

水と保温材下腐食(CUI)

水を含むと、断熱性能が大きく下がる

保温材は気孔率が大きく、特に人造鉱物繊維保温材や無機多孔質保温材は連通構造なので、水が入ると吸水しやすくなります。吸水すると、中の空気が熱伝導率の大きい水に置き換わり、断熱性能は大きく下がります。ニチアス技術時報(2023 No.2)の測定では、20℃ でのけい酸カルシウム保温材の熱伝導率は、含水率に対してほぼ直線的に増え、近似式は y=0.0048x+0.0561 です。同社の別の報告(2022 No.3)は、含水率 0vol% で 0.05 W/(m·K)、10vol% で2倍の 0.1、20vol% で3倍になるとしています。

けい酸カルシウム保温材の含水率が増えると、熱伝導率がほぼ直線で大きくなるグラフ
図6 けい酸カルシウム保温材は、水を含むと熱を通しやすくなる(20℃)
出典:ニチアス技術時報 2023 No.2 の図6をもとに AI(Claude)で作成

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)、黒坂和弥「エアロジェル保温材による『増し保温工法』の紹介」ニチアス技術時報 2022 No.3

保温材下腐食(CUI)のしくみ

保温材が含んだ水は、保温材に直接触れる配管や機器の金属の腐食も進めます。保温した配管の表面に起きる腐食を「保温材下配管外面腐食(CUI:Corrosion Under Insulation)」と呼びます(ニチアス技術時報)。外から見えないまま進むのが問題です。ニチアスの別の報告は、1973年の第一次オイルショックのあと、それまで内部温度 149℃ 以上の機器・配管で使っていた保温材が、省エネのため 100℃ 以下の温度域まで使われるようになり、保温材に水が長く滞留しやすくなって CUI が問題になったと説明しています。

外装の継ぎ目から雨水が入り、保温材の中で配管の下側に水がたまって錆びる、配管サポートのまわりでも起きる、という保温材下腐食の模式図
図7 保温材下腐食(CUI)が起きるしくみ(模式図)
出典:ニチアス技術時報 2023 No.2・2022 No.3、神奈川県の高圧ガス事故事例情報シートをもとに AI(Claude)で作成

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)、黒坂和弥「エアロジェル保温材による『増し保温工法』の紹介」ニチアス技術時報 2022 No.3

防水と点検で防ぐ

ニチアス技術時報は、熱ロスと腐食の対策として防水が有効とし、①輸送・保管・施工中の防水 ②できるだけはっ水性の保温材を使う(ただし、無機多孔質保温材のはっ水剤は約200〜250℃で分解し、それ以上でははっ水性を保てない)③外装板の切欠き部をシーリング材で雨水対策し、外装板を定期的に点検する、の3点を挙げています。ニチアスの屋外暴露試験(化学薬品設備の 300A・内部温度 55℃ の配管、2020年5〜8月)では、センサーの表面に人工海水を塗った加速試験として、ACM センサーから求めた炭素鋼の腐食速度は、ロックウール 50mm で 302.2 µm/年、けい酸カルシウム 50mm で 104.1 µm/年に対し、エアロゲル 20mm では 26.1 µm/年でした(同社の試験。加速試験の値で、実際の配管の腐食速度そのものではありません)。

ロックウール、外気、けい酸カルシウム、それぞれにエアロゲルを重ねたもの、エアロゲルだけの6条件で、炭素鋼の腐食速度を比べた横棒グラフ
図8 屋外暴露試験での炭素鋼の腐食速度(同社の試験)
出典:ニチアス技術時報 2022 No.3 の表2をもとに AI(Claude)で作成

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)、黒坂和弥「エアロジェル保温材による『増し保温工法』の紹介」ニチアス技術時報 2022 No.3

ステンレスの配管では、保温材から溶け出す塩化物による応力腐食割れにも注意します。ニチアスは、ロックウール保温筒「MGマイティカバー」を低ハロゲンでステンレスの応力腐食割れの防止に優れると説明しています。腐食のしくみは課題「錆びる・腐食する」「応力腐食割れ(SCC)を防ぎたい」にあります。

出典:MGマイティカバー|ニチアス

省エネ:保温からの熱の損失を減らす

保温していても、熱は出ている

環境省の資料は、配管は、保温されている状態でも外部への放熱を完全に防ぐことはできないとして、使わない系統の蒸気供給バルブを閉めて、放熱する配管の長さを減らす対策を紹介しています。試算(呼び径 80A・総延長 400m・放散熱量 40 W/m・年 5,000 時間・ボイラー効率 90%・都市ガス 128 円/Nm³)では、放熱量は年 288GJ で、止めればエネルギー消費量 年 9kL(原油換算)・CO₂ 年 18t・エネルギーコスト 年 1,009 千円がなくなるとしています。

出典:不要時の蒸気供給バルブの閉止等による蒸気の有効利用(省エネルギーセンター「エネルギー管理のためのデーターシート」の表を含む)|環境省

劣化した保温を戻す

保温材は、雨水などで含水して劣化します。ニチアス技術時報(2022 No.3)の施工例では、化学工場の蒸気配管(約650m、80A〜200A、けい酸カルシウム保温材 75mm、内部温度 175℃)で、設計時に約40万 kWh/年と推測される放散熱量が、施工前には約3倍の約112万 kWh/年に増えていました。劣化した保温材の上にエアロゲルを巻いて新しい外装を付けた(同社の「増し保温工法」)後は約44万 kWh/年になり、10年後の追跡調査でも約39万 kWh/年でした。

設計時約40万、施工前約112万、施工後約44万、10年後約39万キロワット時毎年の放散熱量を比べた横棒グラフ
図9 劣化した保温の上にエアロゲルを巻いた例(同社の施工例)
出典:ニチアス技術時報 2022 No.3 の表1をもとに AI(Claude)で作成

出典:黒坂和弥「エアロジェル保温材による『増し保温工法』の紹介」ニチアス技術時報 2022 No.3

どこから熱が逃げているかを熱画像で見つける方法、バルブ・フランジの着脱式の保温ジャケットは、課題「配管・装置の保温・保冷を効率よくしたい」にあります。工場全体の省エネは課題「工場の電力を減らしたい」にあります。

トラブルと事例

よくあるトラブルと、まず見るところ

左はスチーム洗浄の高温で溶けて形が崩れた保冷材、中央は振動で砕けて落ちたロックウール保温材、右は保冷材のすき間から冷気が漏れて表面に水滴が付いた様子を、配管の断面で描いた模式図
図10 保温・保冷材のよくあるトラブル(配管の断面の模式図)
出典:ニチアス技術時報 2023 No.2をもとに AI(Claude)で作成
症状まず見るところ
保冷材が溶けた・変形した使用温度(スチーム洗浄などの高温)
振動の大きい高温の所で、保温材がなくなった繊維系のバインダの分解(約180℃以上)
保温の外側が熱い・燃料代が上がった保温材の含水・脱落、外装の破れ
保温の下で配管が錆びた・漏れたCUI:外装の継ぎ目・サポートの雨水
保冷の表面に結露・霜が出るすき間・防湿層の切れ
古い保温材を外す石綿を含むおそれ(調べてから作業)

このページの出典をもとに編集部が整理したものです。

使用温度を超えて溶けた

ニチアス技術時報は、過去のトラブルとして、低温機器に保冷材としてポリスチレンフォーム保温材を取り付けたところ、定期的に高温でスチーム洗浄する機器であることを確認できておらず、スチームを流したときに保冷材が溶けた例を挙げています。再発防止として、保温仕様の設計や変更の前に、温度などの使用条件を確実に確かめてから選ぶことを徹底したとしています。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

振動で繊維系の保温材が崩れた

人造鉱物繊維保温材は、約180℃以上ではバインダ(繊維をつなぐ結合剤)が分解し始め、形を保てなくなる場合があります。ニチアス技術時報は、振動の大きい高温の対象にロックウール保温材を取り付けたところ、運転時の振動で粉砕し、点検時には保温材が消えていた例を挙げています。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

保冷の表面が結露・結氷する

保冷では、すき間から冷気が漏れると、保冷材の表面に結露や結氷が起きます。外気に通じるすき間を設けない構造にし、継ぎ目・目地は現場発泡で埋めるなどの方法がとられます(ニチアス技術時報)。盤や筐体の中の結露は課題「制御盤・筐体の中の結露を防ぎたい」にあります。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

繊維・古い保温材の健康への配慮

厚生労働省の資料では、グラスウール・ロックウール・スラグウールの IARC(国際がん研究機関)の評価は「3」です。リフラクトリーセラミックファイバーは、2015年11月から特定化学物質障害予防規則などの対象です。また、厚生労働省は、配管・ボイラーの保温材の作業で、古い設備にはけい酸カルシウム系の石綿保温材などの石綿製品があり、劣化・破損に伴って石綿にばく露するおそれがあるとしています。古い保温材を外すときは、石綿の有無を調べてから作業します(編集部の補足)。

出典:石綿の代替繊維の種類と有害性(石綿の代替化等検討委員会報告書 資料3)|厚生労働省、平成27年11月の特定化学物質障害予防規則・作業環境測定基準等の改正(リフラクトリーセラミックファイバー)|厚生労働省、配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業(石綿製品)|厚生労働省

ここからは事例です。自治体の事故事例と、メーカーの技術報告から、断熱材が関わる例を集めました。

保温材下腐食で LPG・エチレンが漏えい(川崎市)

神奈川県の高圧ガス事故事例情報シートには、川崎市内の製造事業所で、2012年9月に LPG 揚荷配管、2013年1月にエチレンの返送ラインから、保温材下腐食(CUI)による配管の外面腐食でガスが漏れた2件があります。1件目は保温(冷)材を外すと配管サポート部を中心に湿食が進み、最大で直径 7mm 程度の開孔がありました。板金の劣化で雨水が入りやすく、サポートの接触部に雨水がたまったと考えられています。2件目はスチームトレースで局部的に加温され、温度範囲が変わって腐食が進んだと考えられています。対策は、配管の更新、すき間ができにくい保温材の形への変更、炭素鋼から耐食性の高いステンレス鋼(SUS304)への材質変更などです。

出典:高圧ガス事故事例情報シート「配管の保温材下腐食によるガス漏えい(2件)」|神奈川県

劣化した保温の上にエアロゲルを巻く(化学工場)

「劣化した保温を戻す」の節のとおり、化学工場の蒸気配管で、施工前に約112万 kWh/年だった放散熱量が、施工後は約44万 kWh/年になり、10年後も約39万 kWh/年を保ったとニチアスは報告しています(劣化した保温を戻す)。

出典:黒坂和弥「エアロジェル保温材による『増し保温工法』の紹介」ニチアス技術時報 2022 No.3

保冷材が溶けた・保温材が粉砕した(プラント)

ニチアス技術時報は、スチーム洗浄でポリスチレンフォームの保冷材が溶けた例と、振動の大きい高温の対象でロックウール保温材が粉砕して消えていた例を挙げ、温度などの使用条件を確実に確かめてから選ぶことを再発防止策としています(使用温度を超えて溶けた)。

出典:小野寺和也「プラント設備における保温保冷材の種類と特徴 選定基準とトラブル事例」ニチアス技術時報 2023 No.2(配管技術 2022年12月号の転載)

真空断熱材で冷蔵庫の消費電力を下げる(家電)

パナソニックの報告では、真空断熱材の芯材の繊維の向きをそろえる・バインダーをなくす・中の水分と空気を吸着材で取り除くなどの改良で、断熱性能を当初の約2.4倍にし、2013年度の冷蔵庫で、真空断熱材の使い方の工夫と合わせて消費電力を 6kWh/年 下げた(2012年度の同等機種比)としています。

出典:湯淺明子ほか「高性能真空断熱材の開発および冷蔵庫への適用」Panasonic Technical Journal Vol.60 No.2(2014)

1件目は自治体の事故事例、2〜4件目はメーカーの技術報告です(編集部の整理)。

企業紹介(断熱材の技術)

保温保冷材を幅広く扱う会社、けい酸カルシウム保温材、耐火断熱れんがと高温断熱ウール、グラスウール、硬質ウレタンフォームまで、得意分野の違う会社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。各社のサイトの画像は使わず、公開されている情報をもとに図にしました。

相談する前に整理すること

断熱材のメーカー・保温工事の会社に相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。

  • 対象:配管・機器・炉・筐体・ダクト
  • 温度:中の温度(常用・最高・最低)と外気の温度
  • 寸法:口径・長さ・面積、使えるすき間
  • 目的:保温・保冷・火傷防止・凍結防止
  • 環境:屋外か、雨・洗浄の水がかかるか、振動するか
  • 今の状態:材料・厚さ・年数・劣化や錆び
  • 制約:燃えにくさ・重さ・ホルムアルデヒドの等級
  • 点検:外す頻度(バルブ・フランジ)

困りごとごとの相談先

困りごと相談先の種類このページで紹介した会社
配管・機器の保温・保冷、炉の断熱を全体で相談したい保温保冷材の総合メーカー・工事会社ニチアス
プラントの配管・塔槽を 1000℃ 級まで保温したいけい酸カルシウム保温材のメーカー日本インシュレーション
1000℃ を超える炉の内張り・裏張り耐火断熱れんが・高温断熱ウールのメーカーイソライト工業
空調・ダクト・配管を保温したいグラスウールのメーカーパラマウント硝子工業
冷凍・冷蔵の設備を薄く断熱したい硬質ウレタンフォームのメーカーアキレス

各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。各社の紹介は、この下にあります。

会社繊維系
(GW・RW)
けい酸
カルシウム
高温断熱
ウール
耐火断熱
れんが
発泡
プラスチック
高性能
断熱板
ニチアス保温保冷材の総合(東京都中央区)●●●●●
日本インシュレーションけい酸カルシウム(大阪市中央区)●
イソライト工業高温断熱材(大阪市北区)●●
パラマウント硝子工業グラスウール(福島県須賀川市)●
アキレス硬質ウレタンフォーム(東京都新宿区)●

●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

ニチアス株式会社|極低温から高温までの保温保冷材と断熱工事

ニチアスとは

東京都中央区に本社を置き、1896年4月9日に設立された会社です(同社の会社概要)。産業用断熱材として、ロックウールの保温筒、高性能断熱板、AES ウール、アルミナファイバー系の断熱材などを扱い、保温保冷・耐火・防音の工事も事業の領域としています(同社の事業概要)。

ニチアスのロスリムボード、MGマイティカバー、ファインフレックスBIOの3枚のカードの図
図11 ニチアスの産業用断熱材
出典:ニチアスの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

ニチアスの得意技術

技術内容
ロスリム ボード静止空気を上回る断熱性をうたう断熱板。400℃ で 0.027、800℃ で 0.040 W/(m·K)(H・代表値)、最高使用温度 1000℃。工業炉のバックアップ材・燃焼機器・溶解保持炉用
MGマイティカバーロックウールの保温筒。低ハロゲンで、ステンレスの応力腐食割れの防止に優れると同社は説明
ファインフレックスBIOAES ウールのブランケット。最高耐熱温度 1300℃(実測値・規格値ではない)。窯炉の天井・炉壁の断熱ライニング材

ニチアスが解決できる課題

  • 工業炉の断熱を薄く・軽くしたい
  • ステンレスの配管を、応力腐食割れに配慮して保温したい
  • 保温保冷の材料と工事をまとめて相談したい

公開されている実績・用途

  • 化学工場の蒸気配管(約650m)で、劣化した保温の上にエアロゲルを巻き、放散熱量を約112万から約44万 kWh/年に(同社の技術時報の施工例)

出典:会社概要|ニチアス、事業概要|ニチアス、ロスリム ボード|ニチアス、MGマイティカバー|ニチアス、ファインフレックスBIO ブランケット|ニチアス、黒坂和弥「エアロジェル保温材による『増し保温工法』の紹介」ニチアス技術時報 2022 No.3

日本インシュレーション株式会社|けい酸カルシウム保温材(JIS A 9510)

日本インシュレーションとは

大阪市中央区に本社を置く会社で、1914年4月8日に創業、1949年1月14日に設立されました(同社の企業概要)。同社のトップページは、1914年の創業以来、けい酸カルシウムを基材とした耐火・保温材のパイオニアとして、防災と省エネルギーに貢献してきたとしています。

日本インシュレーションのダイパライト、ニューベストライト、1914年の創業の3枚のカードの図
図12 日本インシュレーションのけい酸カルシウム保温材
出典:日本インシュレーションの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

日本インシュレーションの得意技術

技術内容
ダイパライトJIS A 9510 けい酸カルシウム保温材 1号-15 認証品。ゾノトライト結晶が基材。密度 130 kg/m³、最高使用温度 1000℃
ニューベストライトJIS A 9510 2号-17。密度 150 kg/m³、最高使用温度 650℃。ボード材
形パイプカバー・ボード・アーチカバーなど、保温対象の形に合わせた製品(ダイパライト)

日本インシュレーションが解決できる課題

  • コンビナートプラント・発電設備の配管・塔槽・タンクを保温したい
  • 乾燥炉や築炉材のバックアップ材を選びたい

出典:会社概要|日本インシュレーション、トップページ|日本インシュレーション、ダイパライト・ニューベストライト|日本インシュレーション

イソライト工業株式会社|耐火断熱れんがと高温断熱ウール

イソライト工業とは

大阪市北区に本社を置き、1927年11月25日に設立された会社です(同社の会社概要)。製品情報には、耐火断熱れんが、AES ウールなどの RCF 規制対策製品、RCF、建築用不燃材料、高機能セラミックスなどが並び、用途に工業炉の内張り・裏張りがあります。

イソライト工業の耐火断熱れんが、イソウールBSSR、熱伝導率の3枚のカードの図
図13 イソライト工業の高温断熱材
出典:イソライト工業の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

イソライト工業の得意技術

技術内容
耐火断熱れんが工業炉の内張り・裏張りなどの用途(同社の製品情報)
イソウールBSSR ブランケットAES ウール。温度グレード 1200・1300・1400℃。特化則の対象外の製品と同社は説明
熱伝導率(JIS A 1412-1)かさ密度 128 kg/m³ で、400℃ で 0.10〜0.11、600℃ で 0.16〜0.19 W/(m·K)。熱履歴で急な収縮を起こすことがあると注記

イソライト工業が解決できる課題

  • 1000℃ を超える工業炉の内張り・裏張りを選びたい
  • リフラクトリーセラミックファイバーの規制に対応した断熱材にしたい

出典:会社概要|イソライト工業、製品情報|イソライト工業、イソウールBSSR ブランケット|イソライト工業

パラマウント硝子工業株式会社|グラスウールの保温筒と汎用グラスウール

パラマウント硝子工業とは

福島県須賀川市に本社を置く会社で、事業の目的は硝子繊維と加工品の製造販売、主要株主は日東紡績です(同社の会社概要)。

パラマウント硝子工業のパラカバー、フェザーグラス、グラスウール専業の3枚のカードの図
図14 パラマウント硝子工業のグラスウール
出典:パラマウント硝子工業の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

パラマウント硝子工業の得意技術

技術内容
パラカバーグラスウール保温筒。密度 45〜64 kg/m³、長さ 1,000mm。空調用パイプの保温・保冷、プラント・工場のパイプ断熱カバー
フェザーグラス汎用のグラスウール。ダクトの保温・保冷、冷凍・冷蔵倉庫の断熱、船舶・車両の保温・保冷・吸音など

パラマウント硝子工業が解決できる課題

  • 空調・給湯の配管やダクトを保温・保冷したい
  • 冷凍・冷蔵倉庫や車両を断熱・吸音したい

出典:会社概要|パラマウント硝子工業、パラカバー(グラスウール保温筒)|パラマウント硝子工業、フェザーグラス|パラマウント硝子工業

アキレス株式会社|硬質ウレタンフォームの断熱材

アキレスとは

東京都新宿区に本社を置き、1947年5月に設立された会社です(同社の会社概要)。断熱資材は第二事業部の製品です。

アキレスのアキレスボード、使える温度、ノンフロンの3枚のカードの図
図15 アキレスの硬質ウレタンフォーム
出典:アキレスの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成

アキレスの得意技術

技術内容
アキレスボード硬質ウレタンフォーム。熱伝導率 0.024 W/(m·K) 以下(JIS A 9521 の試験法)、密度 25 kg/m³ 以上
使える温度一般に 100℃ くらいまで安定して使え、低温では補強などで −70℃ 程度まで(同社の説明。湿度条件などで異なる)
独立気泡独立した気泡で断熱材の厚さを薄くでき、水や水蒸気が入りにくいと同社は説明。発泡剤はノンフロン

アキレスが解決できる課題

  • 冷凍・冷蔵の設備や倉庫を、薄い断熱材で断熱したい
  • 水や湿気で断熱性能が落ちにくい断熱材を選びたい

出典:会社概要|アキレス、アキレスボードの性能|アキレス

よくある質問

種類と性能

断熱材とは何ですか?
熱を通しにくい材料で物を包み、熱が逃げる・入るのを小さくする材料です。細い繊維や小さな泡で空気を区切り、対流を止めて、熱を伝えにくい空気に熱を通させます(断熱材とは(基本))。
断熱材の種類は?
プラントでは、人造鉱物繊維(グラスウール・ロックウール)、無機多孔質(けい酸カルシウム)、発泡プラスチック(ウレタン・ポリスチレンなど)に大きく分かれます。ほかに高温断熱ウール、エアロゲル、真空断熱材、泡ガラスがあります(主な種類と特徴)。
グラスウールとロックウールの違いは?
原料がガラスか、高炉スラグや玄武岩などの鉱物かの違いで、熱間収縮温度はグラスウール 250〜400℃、ロックウール 400〜650℃ です(グラスウールとロックウールの違い)。
断熱材の熱伝導率はどのくらい?
住宅用の区分では 0.052〜0.022 W/(m·K) 以下まで分かれ、グラスウール 16K 相当は 0.045〜0.041、硬質ウレタンフォーム 2種は 0.028〜0.023 です。熱伝導率は温度が上がると大きくなります(熱伝導率の区分(国土交通省))。

選び方・水・安全

何度まで使えますか?
目安は、発泡プラスチックが 70〜100℃、グラスウール 250〜400℃、ロックウール 400〜650℃、けい酸カルシウム 1号 1000℃ 以下、高温断熱ウールは 1000℃ 以上です。製品の値はカタログで確かめます(まず使う温度で候補をしぼる)。
保冷にはどの断熱材を使いますか?
吸水しにくく防湿性の高い、独立気泡の発泡プラスチック(硬質ウレタンフォームなど)が広く使われます。すき間を作らないことが大切です(保冷は、独立気泡と防湿で選ぶ)。
保温材が濡れるとどうなりますか?
空気が水に置き換わり、熱伝導率が大きくなります。けい酸カルシウム保温材では含水 10vol% で約2倍になるという報告があります。保温の下の配管の腐食(CUI)も進みます(水と保温材下腐食(CUI))。
古い保温材を外しても大丈夫ですか?
古い設備の保温材には石綿を含むものがあります。外す前に石綿の有無を調べます(繊維・古い保温材の健康への配慮)。

回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。

出典・確認日

※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図は転載していません。熱伝導率・使用温度の数値は各社の製品や資料の目安で、測り方と温度の条件が違うため、資料をまたいで細かく比べないでください。

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。

情報の確認日:2026年10月30日 本ページの内容は一般的な情報です。材料の選定・厚さの計算は、メーカーの資料と JIS A 9501 などで確かめてください。各社の製品・サービスは、その会社の公開情報にもとづきます。

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