食品機械の部品を新しい樹脂に替えたいが、食品に触れる所に使ってよいのか分からない。容器や部品に触れた食品に、においや味が移る。機械の角やすき間に食品が残り、洗浄で部品が傷む。肌に触れる金属やゴムの部分で、かぶれが出た。樹脂のヘラが欠けて、破片が食品に混ざった。人や食品に触れる部品の安全は、「法律に合うか」「成分が溶け出さないか」「洗って清潔に保てるか」「肌に害がないか」「欠けても見つけられるか」に分けて考えると、打つ手が見えてきます。
食品に触れる合成樹脂は、2020年6月に始まったポジティブリスト制度の経過措置が終わり、2025年6月1日から、リストに載っていない原材料は原則として使えなくなりました。材料を選ぶのか、試験で確かめるのか、洗いやすい形にするのか、コーティングするのか、肌への影響を評価するのか。次のマトリクスで、自分の課題に近いものと、使える技術を確かめてください。
課題と解決技術のマトリクス
| 課題(症状) | 食品・肌に触れても使える材料を選ぶ(適合品の樹脂・ゴム、ステンレス、検知できる樹脂) | 溶出試験と適合の確認(規格試験・ポジティブリスト・証明書) | 衛生設計(洗いやすい形・電解研磨) | 食品用のコーティング(フッ素樹脂など) | 肌への安全性の評価(皮膚刺激性・感作性・ニッケル溶出) |
|---|---|---|---|---|---|
| A食品に触れる部品の材料が、法律に合っているか分からない | ◎ | ◎ | |||
| Bにおいや成分が、食品に移る(溶出・移行) | ◎ | ◎ | △ | ||
| C洗いにくく、汚れや菌が残る・洗浄や薬品で傷む | ○ | ◎ | ○ | ||
| D肌に触れる部分で、かぶれ・かゆみが出る | ○ | ◎ | |||
| E道具や部品が欠けて、破片が食品に混ざる | ◎ | ○ |
◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効
※記号は一般的な傾向に基づく目安です。実際に必要な対策は、触れる食品の種類(油脂性・酸性など)、温度と時間、洗浄・殺菌の方法、肌に触れる時間、販売する国の規制によって異なります。「食品用のコーティング」の「△」(症状B)は、樹脂の被膜で食品と素地を隔てられる一方、被膜そのものも食品衛生法の規格に合っている必要があり、使い方(過度の加熱など)にも条件があることを示します。◎は、出典の公的資料や技術資料で、その症状の原因に直接はたらくとされている対策、○は効果が期待できる対策を示します(記号の根拠は、下の「解決技術の詳細」の各出典です)。空欄は、その技術だけでは直接の対策になりにくいことを示します。この記事は法律の解釈を示すものではありません。適合の判断は、所管の保健所や登録検査機関に確かめてください。
課題の診断と解決策
困っていること(法律・溶出・洗浄・肌・破片)から、確かめる制度や試験と、まず試す対策の見当をつけられます。症状ごとの詳しい見方は、下のカードで確かめてください。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
食品に触れる部品の材料が、法律に合っているか分からない
食品機械の部品や容器を新しく作る・材料を変えるときに、その樹脂やゴムを食品に触れる所に使ってよいのか、取引先に何を示せばよいのかが分からない。

- 起きている現象
- 食品用の器具・容器包装の合成樹脂にはポジティブリスト制度があり、2020年6月に施行され、2025年5月31日に経過措置が終わりました。2025年6月1日以降は、リストに載っていない原材料は原則として使えません。合成樹脂の器具・容器包装を販売する営業者は、販売先に適合を情報提供する必要があります(原材料の営業者は努力義務)。これとは別に、材質ごとの規格基準(材質試験・溶出試験)があります。
- 解決に使える技術
- 適合品の材料を選ぶポジティブリストに適合し、規格試験に合格した材料・部品を選ぶ
- 規格試験と適合の確認登録検査機関で規格試験を行い、材料メーカーから適合の情報を受け取る
ゴム(熱硬化性エラストマー)と金属は、ポジティブリスト制度の対象外です。ただし、材質ごとの規格基準は別にあります。「制度の対象外」と「確かめなくてよい」は違います。金属の上に付けた樹脂のコーティングは、別に確かめます。
においや成分が、食品に移る(溶出・移行)
樹脂やゴムの部品に触れた食品に、においや味がつく。油の多い食品や酸性の食品、熱い食品に触れる所で、成分が溶け出していないか心配。

- 起きている現象
- 容器包装から溶け出した化学物質は、食品を汚染して人体に影響を及ぼしたり、食品の風味を害したりすることがあります。溶け出す量は、触れる食品の種類と、温度・時間で変わります。そのため、溶出試験では、水・4%酢酸・20%エタノール・ヘプタンなどの試験溶液を使い分け、食品の種類ごとに温度・時間の条件を置きます。
- 解決に使える技術
- 用途に合う材料を選ぶ触れる食品の種類と温度に合った、規格に適合した材料を選ぶ
- 溶出試験実際に近い食品の種類と温度・時間の条件で、溶出試験を行う
- 樹脂の被膜で隔てる食品衛生法に合ったコーティングで、食品と素地を隔てる
室温で問題がなくても、熱い食品や油の多い食品では溶出の条件が変わります。使う温度の上限と、触れる食品の種類を、材料メーカーや検査機関にそのまま伝えます。
洗いにくく、汚れや菌が残る・洗浄や薬品で傷む
機械の角やすき間に食品が残る。分解して洗うのに手間がかかる。洗剤や殺菌剤で、部品が錆びたり傷んだりする。

- 起きている現象
- 食品の成分が機械に付着すると、熱で変性して食品に混ざったり、付着物に微生物が繁殖して食品を汚染したりすることがあります。木本プロエンジは、洗浄しやすくするために、表面の凸凹をなくすこと、接液部にねじを露出させないこと、角・隅に丸みを付けることなどを挙げています。材料の腐食や老化も、微生物汚染の原因になるとしています。
粉の残りやすさでは、Ra=0.07μm 程度のバフ研磨面より、Ra=0.2μm の電解研磨面のほうが残留する粉末が少ないという加工会社の報告があります。表面粗さの数値だけでなく、仕上げの方法も確かめます(編集部の解説)。
肌に触れる部分で、かぶれ・かゆみが出る
人が身につける・握る製品の金属やゴムの部分で、かぶれやかゆみが出たという声がある。新しい材料を肌に触れる部分に使いたい。

- 起きている現象
- 金属のニッケルは、皮膚への長期の接触でアレルギーなどを引き起こすといわれ、欧州では皮膚に直接かつ長時間触れる製品のニッケル溶出量に規制があります。ゴム製品では、加硫促進剤などによる遅延型のアレルギーと、天然ゴムの蛋白質による即時型のアレルギーが知られています。
- 解決に使える技術
- 皮膚刺激性・感作性の評価ヒト培養表皮などで、材料や成分の皮膚刺激性・感作性を評価する
- ニッケル溶出試験欧州規格 EN 1811 に沿って、人工汗へのニッケル溶出量を測る
- 材料を選び直す溶け出しにくい材料、アレルギーの原因になりにくい材料を選ぶ
ニッケルの規制は含有量ではなく溶出量です。同じ材料でも、表面の状態やめっきで溶出量が変わるため、製品の形で試験します。
道具や部品が欠けて、破片が食品に混ざる
樹脂のヘラやかご、ゴムのパッキンが欠けて、破片が食品に混ざった。金属検出機では見つからなかった。

- 起きている現象
- 金属検出機は金属の異物を見つける装置なので、ふつうの樹脂やゴムの破片は、検知の対象になりません(編集部の解説)。そこで、樹脂・ゴムの道具に金属検知機で検知できる素材を使い、自動化されたラインで破損しても確認できるようにする製品があります。
- 解決に使える技術
- 検知できる樹脂・ゴムを使う金属検知機・X線検知機で検知できる素材の道具や部品を使う
- 欠けにくく、外れにくい構造露出したねじ・ナットを避け、軸受類は接液部の外に設ける
検知できる素材でも、小さな破片やささくれ状の破片は検知できないことがあります。使う検知機と食品で、事前に試験します。
なぜ、人や食品に触れる部品の安全が問題になるのか
食品に触れる合成樹脂は、ポジティブリストに載った物質だけが使える
消費者庁によると、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度は、2018年に公布された改正食品衛生法に基づいて導入され、2020年6月1日に施行されました。2025年5月31日に経過措置が満了しています。器具・容器包装に政令で定める材質を使う場合に、ポジティブリストに個別に規格が定められた物質だけの使用を認める制度で、政令で定める材質は、2025年6月1日時点で合成樹脂です。ポジティブリストは、基材と添加剤の表からなります。
広島県の案内では、2025年6月1日以降、食品の器具・容器包装に使う合成樹脂は、原則としてポジティブリストに載っていない原材料は使えないとしています。また、合成樹脂の器具・容器包装とその原材料を販売する営業者は、ポジティブリストへの適合について販売先に情報提供する必要があり(原材料の営業者は努力義務)、提供する内容は適合している事実だけでよく、成分などを開示する必要はないとしています。

出典:消費者庁、広島県、日本食品分析センター、厚生労働省の資料をもとに AI(Claude)で作成
日本食品分析センターの Q&A では、この制度の対象はいわゆるプラスチックと熱可塑性エラストマーで、ゴム(熱硬化性エラストマー)は対象に含まないとしています。ポジティブリストに載っていない物質を食品に直接触れない部分に使う場合でも、「人の健康を損なうおそれのない量(0.01mg/kg 食品)」を超えて食品に移行するなら、リストへの収載が必要になるとしています。
制度とは別に、材質ごとの規格基準がある
食品衛生法には、ポジティブリストとは別に、器具・容器包装の規格基準があります。厚生労働省の資料では、一般規格として、器具は銅・鉛やその合金が削り取られるおそれのない構造であること、食品に触れる部分のメッキ用のスズ、製造・修理に使う金属は鉛0.1%以下(金属はアンチモン5%未満)、ハンダは鉛0.2%以下であることなどを挙げています。材質ごとの規格では、合成樹脂の一般規格は材質試験(カドミウム・鉛)と溶出試験(重金属・過マンガン酸カリウム消費量)で、このほかに樹脂ごとの個別規格があります。また、ゴム製は、材質試験(カドミウム・鉛・2-メルカプトイミダゾリン)と溶出試験(フェノール・ホルムアルデヒド・亜鉛・重金属・蒸発残留物)が定められています。
トヨックスは食品用ホースについて、「溶出試験」と「ポジティブリスト制度」の2つの適合を、それぞれ証明する必要があると説明しています。ポジティブリストに適合しているだけでは、食品用途には使えません。
溶け出す量は、食品の種類と温度・時間で変わる
千葉県薬剤師会検査センターは、食品の包装容器から溶け出した化学物質が食品を汚染し、人体に影響を及ぼすことや、食品の風味を害することがあるため、食品衛生法で規格基準が定められていると説明しています。食品安全委員会の溶出試験の報告の様式では、食品を「通常の食品」「乾燥食品」「酸性食品」「酒類」「乳・乳製品」「油脂及び脂肪性食品」に分け、それぞれに「高温・短時間」と「低温・長時間」の条件を置いています。

出典:食品安全委員会、厚生労働省、千葉県薬剤師会検査センターの資料をもとに AI(Claude)で作成
すき間や角に残った食品に、菌が増える

木本プロエンジの解説では、食品の成分が機械に付着して熱で変性し、食品に混ざることや、付着物に微生物が繁殖して食品を汚染することがあるとしています。そのため食品機械は、食品が付着しにくく、液溜まりが少なく、洗浄しやすい構造と、殺菌・消毒ができる構造が求められるとしています。材料の腐食や老化も微生物汚染の原因になるため、耐食性と耐久性を考えて材料を選ぶ必要があるとしています。
肌に触れる金属やゴムで、アレルギーが起きる
JFEテクノリサーチの資料では、ニッケル製品は皮膚などへの長期の接触でアレルギーなどを引き起こすといわれ、欧州では、皮膚に直接かつ長時間触れる可能性のある製品のニッケル溶出量が 0.5μg/cm²/week を超えてはならないとしています(対象はアクセサリー、腕時計、衣類に付けた金属製のものなど)。規制は含有量ではなく溶出量です。
日本産業衛生学会の許容濃度の提案理由(チウラム)では、ゴム製品によるアレルギーには、チウラムなどの加硫促進剤による IV型(遅延型)アレルギーと、天然ゴムの蛋白質による I型(即時型)アレルギーがあるとしています。加硫促進剤のチウラムは、ゴム手袋を着けて作業する人でも汗の中に溶け出し、皮膚が曝露する危険性の報告があるとしています。

出典:JFEテクノリサーチ、日本産業衛生学会の資料をもとに AI(Claude)で作成(大きさは模式)
原因の切り分け方
原因を切り分けるには、まず「何に触れるか(食品か、肌か)」と「何が問題か(法律・溶出・汚れ・かぶれ・破片)」を分けます。次は編集部の目安です。食品に触れる新しい部品なら、材質(合成樹脂・ゴム・金属)ごとに、ポジティブリストと規格基準のどちらが関わるかを確かめます。においや味の問題なら、触れる食品の種類と温度で溶出を疑います。汚れや菌なら形と表面を、肌のかぶれなら金属の溶出とゴムの添加剤を、破片の混入なら道具の材料と検知の方法を見直します。
出典:食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について|消費者庁、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度|広島県、器具・容器包装おもちゃ|日本食品分析センター、器具・容器包装の概要|厚生労働省、食品健康影響評価の要請に係る溶出試験及び食事中濃度に関する情報について(参考)|食品安全委員会、食品衛生法に関わる容器包装の検査|千葉県薬剤師会検査センター、ポジティブリスト制度とホース・継手について|トヨックス、食品機械の衛生とは?衛生設計の基礎知識|木本プロエンジ、ニッケル製品の安全性評価|JFEテクノリサーチ、チウラム(許容濃度の提案理由、産衛誌50巻)|日本産業衛生学会
解決技術の詳細
対策は、触れても使える材料を選ぶ、試験と書類で適合を確かめる、洗いやすい形と表面にする、コーティングする、肌への影響を評価するの5つに分けて考えます。多くの場合、材料の選択と適合の確認を組み合わせて使います。
食品・肌に触れても使える材料を選ぶ
適合品の樹脂・ゴムと、耐食性のある金属
食品に触れる合成樹脂は、ポジティブリストに適合した材料を選び、材料メーカーや部品メーカーから適合の情報を受け取ります。ゴムや金属は制度の対象外ですが、材質ごとの規格基準に合ったものを選びます。木本プロエンジの解説では、食品機械の材料は、有毒・有害な物質を含まないこと、吸収・浸透性がないこと、接液部は食品に、非接液部は水や洗剤に対して耐食性があることを考えて選ぶとし、一般にステンレス鋼、またはこれと同等以上の耐食性のある材質を使うとしています。塩化物のある環境での孔食・すき間腐食への耐食性は、クロム・モリブデン・窒素の含有量から計算する孔食指数(PRE=%Cr+3.3×%Mo+16×%N)で選ぶとしています。
金属検知機で見つかる樹脂・ゴム
食品工場で使う樹脂やゴムの道具には、金属検知機や X線検知機に反応する素材を混ぜたものがあります。アラムの「MPフーズ」は、樹脂製のざるカゴやヘラ、ゴムのスクレイパーなどに、金属検知機で検知できる素材を使っています。ただし同社は、ささくれ状の小さな破片は検知できないこと、検知できる破片の大きさは検知機の設定や食品の物性でばらつくことを明記しています。

出典:アラム(MPフーズ)の製品情報の記載をもとに AI(Claude)で作成
溶出試験と適合の確認(規格試験・ポジティブリスト・証明書)
食品衛生法の規格試験は、登録検査機関で行えます。千葉県薬剤師会検査センターは、合成樹脂では一般規格(着色料の溶出、カドミウム・鉛)と個別規格(溶出する物質の総量、原料モノマーの残存など)、ゴム製の器具では一般用とほ乳器具の2種類の基準値があり、ほ乳器具の基準は一般用より厳しく、蒸発残留物の溶出試験の条件も合成樹脂と違うとしています。厚生労働省の試料の目安の資料では、合成樹脂の蒸発残留物の溶出試験に、水・4%酢酸・20%エタノール・ヘプタンの試験溶液が挙げられています。
ポジティブリストへの適合は、原材料の供給者から製造者、販売先へと、適合している事実を伝える形で確かめます。日本食品分析センターは、リストに載っていない物質が食品に移行する量を確かめる溶出試験も受けています。書類で示すときは、トヨックスのように、溶出試験とポジティブリストの両方の適合を示します。

広島県、トヨックス、千葉県薬剤師会検査センターの資料をもとに編集部がまとめた例。AI(Claude)で作成
衛生設計(洗いやすい形・電解研磨)
木本プロエンジの解説では、食品機械の接液部で構造的に考える点として、すべての表面が容易に排水できること(凹凸をなくし、配管・タンク底部にこう配を取る)、工具をできるだけ使わずに分解・組立ができること、接液部に三角ねじを露出させないこと、角・隅に丸みを付けること、軸受類は接液部の外に設けてシールすることを挙げています。日本では、JIS B 9650-1・-2(2011年)で衛生対策の指針が示されているとしています。

出典:木本プロエンジ「食品機械の衛生とは?衛生設計の基礎知識」の記載をもとに AI(Claude)で作成(形は模式)
接液部の表面を滑らかに仕上げると、液切れがよくなり、洗浄性がよくなります。同じ解説では、IDF(国際酪農連盟)が接液部の表面粗さを平均粗さ Ra<0.63μm と規定していると紹介しています。電解研磨は、金属に電流を流して表面を溶かす研磨で、石田電解研磨工業所は、表面が滑らかで不純物がつきにくく、不動態被膜ができて錆びにくくなるとしています。
食品用のコーティング(フッ素樹脂など)

フッ素樹脂のコーティングは、食品が付着しにくく、すべりやすい表面をつくります。フロロコートは、業務用炊飯釜や餅のウス、大型の攪拌羽根などにフッ素樹脂加工をして、食品の付着を防いでいます。金属がポジティブリスト制度の対象外でも、その上の樹脂の被膜は食品に触れる材料です。コーティング材が食品衛生法の規格やポジティブリストに合っているかを、コーティングの会社に確かめます(編集部の解説)。同社は、フッ素樹脂のコーティング品を高温で加熱すると、熱分解で分解ガスが出て、誤って吸うと呼吸障害などを起こすことがあるとし、過度の加熱・空焚きをしないよう注意しています。
肌への安全性の評価(皮膚刺激性・感作性・ニッケル溶出)

肌に触れる材料は、皮膚刺激性(触れた所が赤くなるなど)と皮膚感作性(アレルギーを起こすか)を評価します。J-TEC のヒト3次元培養表皮「LabCyte EPI-MODEL24」は、OECD の試験ガイドライン TG439(in vitro 皮膚刺激性試験)と、ISO 10993-23(医療機器の in vitro 皮膚刺激性試験)に収載されています。これを使う皮膚感作性試験「EpiSensA」は、OECD TG442D に収載されています。

金属のニッケルは、欧州規格 EN 1811 に沿って溶出量を測ります。JFEテクノリサーチの資料では、人工汗に試料を 30±2℃ で 168±2 時間浸し、溶け出したニッケルを ICP-MS などで測るとしています。規制は溶出量なので、対象の製品で溶出試験をして、規制基準を満たすかを確かめる必要があるとしています。
出典:食品機械の衛生とは?衛生設計の基礎知識|木本プロエンジ、MPフーズ(公式サイト)|アラム、MPフーズ ざるカゴ|アラム、食品衛生法に関わる容器包装の検査|千葉県薬剤師会検査センター、器具・容器包装の概要|厚生労働省、器具・容器包装の規格基準等における試験に必要な試料の重量及び表面積の目安|厚生労働省、器具・容器包装おもちゃ|日本食品分析センター、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度|広島県、ポジティブリスト制度とホース・継手について|トヨックス、電解研磨|石田電解研磨工業所、食品製造機械・調理器具|フロロコート、安全な取扱について|フロロコート、ヒト3次元培養表皮 EPI-MODEL/EPI-KIT/EpiSensA|J-TEC、ニッケル製品の安全性評価|JFEテクノリサーチ
人や食品に触れても安全にする技術を持つ企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。法規への適合を確かめたいのか、洗いやすくしたいのか、食品の付着を防ぎたいのか、破片を見つけられるようにしたいのか、肌への影響を評価したいのかによって、相談先が変わります。
| 企業 | 解決できる課題 | 種類 | 何ができるか | 合う症状 |
|---|---|---|---|---|
| トヨックス | ホース・継手メーカー | 食品用ホース・継手の「溶出試験」と「ポジティブリスト」の2つの適合を、製品ごとの適合証明書で示す。 | A 食品に触れる部品の材料が、法律に合っているか分からない B においや成分が、食品に移る(溶出・移行) | |
| 千葉県薬剤師会検査センター | 検査機関 | 食品衛生法の登録検査機関として、合成樹脂・ゴム・金属缶など材質ごとに器具・容器包装の規格検査を行う。 | A 食品に触れる部品の材料が、法律に合っているか分からない B においや成分が、食品に移る(溶出・移行) | |
| アラム | ゴム・樹脂製品の販売 | 金属検知機・X線検知機で検知できる素材を使った樹脂・ゴムの道具「MPフーズ」で、欠けた破片を見つけられるようにする。 | A 食品に触れる部品の材料が、法律に合っているか分からない E 道具や部品が欠けて、破片が食品に混ざる | |
| 石田電解研磨工業所 | 表面処理 | ステンレスなどを電解研磨し、滑らかで不純物や粉が残りにくく、錆びにくい表面にする。 | C 洗いにくく、汚れや菌が残る・洗浄や薬品で傷む E 道具や部品が欠けて、破片が食品に混ざる | |
| フロロコート | コーティング | 業務用炊飯釜や餅のウスなどにフッ素樹脂コーティングをして、食品の付着を防ぐ。 | B においや成分が、食品に移る(溶出・移行) C 洗いにくく、汚れや菌が残る・洗浄や薬品で傷む | |
| ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC) | 試験・研究用組織 | ヒトの培養表皮「LabCyte」で、動物を使わずに皮膚刺激性を評価する。 | D 肌に触れる部分で、かぶれ・かゆみが出る |
株式会社トヨックス|食品用ホース・継手の「溶出試験」と「ポジティブリスト」の2つの適合を、製品ごとの証明書で示す
トヨックスとは
トヨックスは、富山県黒部市に本社を置く会社です(1963年に同市で創業、資本金9,880万円、従業員300名)。耐圧樹脂ホースと専用継手の開発・製造・販売を行っています。
トヨックスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 食品用ホース・継手の法規対応 | ポジティブリスト制度とホース・継手の関係を、資料とともに解説している。ゴム・金属などの素材は制度の対象外で、対象・対象外の製品リストを公開している |
| 適合証明書 | 各製品ごとに「ポジティブリスト制度適合証明書」を用意し、2025年4月14日からダウンロードできるようにした |
トヨックスが解決できる課題
- 食品の配管に使うホース・継手が、ポジティブリスト制度と溶出試験の両方に合っているかを確かめたい
- 取引先に、ホース・継手の適合を書類で示したい
- ホースのどの部分(樹脂・ゴムのガスケットなど)が制度の対象かを知りたい
公開されている実績
- 食品用ホース・継手について、「溶出試験」と「ポジティブリスト制度」の2つの適合を、それぞれ証明する必要があると説明し、製品ごとの適合証明書を公開

出典:トヨックスの記載をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|トヨックス、ポジティブリスト制度とホース・継手について(改正食品衛生法)|トヨックス
一般財団法人千葉県薬剤師会検査センター|食品衛生法の登録検査機関として、器具・容器包装の規格検査を行う
千葉県薬剤師会検査センターとは
千葉県薬剤師会検査センターは、千葉市中央区に本館を置く検査機関です(1973年設立、2013年に一般財団法人に移行)。水・大気・食品・医薬品・生活用品などの検査を行っており、食品衛生法第26条第1〜3項の規定に基づく検査機関の登録を受けています。
千葉県薬剤師会検査センターの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 器具・容器包装の検査 | ガラス・陶磁器・ホウロウ、合成樹脂、ゴム製の器具、金属缶など、材質ごとの規格基準に沿った検査を行う |
| 信頼性の確保 | 厚生労働省が定める業務規程に準じ、食品衛生法の基準に適合する方法で検査する(食品衛生法 GLP 準拠)。短納期の相談にも応じる |
千葉県薬剤師会検査センターが解決できる課題
- 新しく作った食品用の器具・容器が、食品衛生法の規格基準に合っているかを確かめたい
- 合成樹脂・ゴム・金属缶など、材質ごとにどの検査が要るかを知りたい
公開されている実績
- 合成樹脂は一般規格(着色料の溶出、カドミウム・鉛)と個別規格(溶出する物質の総量、原料モノマーの残存など)、ゴム製の器具は一般用とほ乳器具の2種類の基準値、金属缶は合成樹脂で塗装されたものの基準値(フェノール・ホルムアルデヒドなど)を検査項目として説明

出典:千葉県薬剤師会検査センターの記載をもとに AI(Claude)で作成
出典:センター概要|千葉県薬剤師会検査センター、アクセス|千葉県薬剤師会検査センター、食品衛生法に関わる容器包装の検査|千葉県薬剤師会検査センター
アラム株式会社|樹脂・ゴムの道具が欠けても、金属検知機で見つけられるようにする
アラムとは
アラムは、大阪市北区に本社を置く会社です(1971年設立、資本金5,000万円、従業員53名。会社概要の2021年6月時点の値)。工業理化学用のゴム・プラスチック製品を販売しています。食品工場向けに、金属検知機・X線検知機で検知できるゴム・樹脂の製品「MPフーズ」を展開しています。
アラムの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 金属検知機で検知できるゴム・樹脂 | ヘラ・スクレイパー・ざるカゴ・ブラシ・結束バンド・シート・板材などに、金属検知機や X線異物検知機に反応する素材を使う |
| 特注品 | 客の要望に応じた特注品も受ける |
同社は、ささくれ状の小さな破片は検知できないこと、使う検知機の設定や食品の物性によって検知できる破片の大きさにばらつきがあることを明記し、使う前に客の責任で事前テストをするよう求めています。
アラムが解決できる課題
- 食品工場で使う樹脂・ゴムの道具が欠けたとき、その破片を製品から見つけられるようにしたい
- 自動化したラインで、道具の破損に気づきにくい
公開されている実績
- ポリプロピレン製の「MPF ざるカゴ」は、樹脂製だが金属検知機で検知できる素材を使い、自動化された製造ラインで破損しても金属検知機で確認できるとしている
- EPDM(合成ゴム)製のスクレイパーは、使用可能温度100℃まで(芯材は高強度ナイロン)

出典:アラム「MPフーズ」公式サイトの記載をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|アラム、MPフーズ(公式サイト)|アラム、MPフーズ ざるカゴ|アラム、MPフーズ EPDMスクレイパー|アラム
有限会社石田電解研磨工業所|ステンレスを電解研磨して、汚れや粉が残りにくい表面にする
石田電解研磨工業所とは
石田電解研磨工業所は、埼玉県川口市にある会社です(資本金500万円)。ステンレス・ハステロイ・アルミ・インコネルの電解研磨、化学研磨、酸洗処理、不動態化処理、バフ研磨を行っています。取引内容には、医療器具・理化学機械・厨房品・タンク内面・バイオタンクなどがあります。
石田電解研磨工業所の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 電解研磨 | 電解液を満たした電解槽で、研磨する金属に直流電流を流して表面を溶かす。ステンレスを研磨すると、クリーンで光輝のある面が得られる |
| 大きな部品の処理 | 電解槽は 1700×2000×5000mm など3つを持つ |
石田電解研磨工業所が解決できる課題
- 食品・医薬品の製造設備の接液部を、汚れや不純物がつきにくい表面にしたい
- 粉を扱う容器や機械で、粉が残りにくい表面にしたい
- ステンレスの表面を錆びにくくしたい
公開されている実績
- 電解研磨の特徴として、表面が滑らかで不純物がつきにくいこと、電解研磨によって不動態被膜ができ錆びにくいことを挙げている
- 見た目にはバフによる準鏡面研磨(Ra=0.07μm 程度)であっても、Ra=0.2μm の電解研磨面のほうが残留する粉末は少ないとしている

出典:会社概要|石田電解研磨工業所、電解研磨|石田電解研磨工業所
株式会社フロロコート|食品機械・調理器具にフッ素樹脂コーティングをして、食品の付着を防ぐ
フロロコートとは
フロロコート(通称 フロロコート・新潟)は、新潟県長岡市にヘッドオフィスと北長岡工場を置く会社です(1977年創立、従業員12名)。機能樹脂コーティング加工を行っており、日本弗素樹脂工業会の正会員です。試作品は1個から受けています。
フロロコートの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| フッ素樹脂コーティング | 難付着性(非粘着性)、低摩擦(すべり性)、化学的不活性(耐食性など)、耐熱性などの機能を、用途に合わせて加工材料を選んで付ける |
| 大きな部品の加工 | Φ1100×2500L の大型の攪拌羽根にも、食品生地の付着防止のためのフッ素樹脂加工をしている |
同社は、食品調理用のフッ素樹脂塗膜自体は、米食品医薬品局(FDA)と厚生省告示20号の食品衛生法に合格しているため安全としたうえで、使用時に過度の加熱・空焚きをしないことなどを守るよう注意しています。
フロロコートが解決できる課題
- 食品機械の部品や型に食品が付着し、洗浄や手入れに手間がかかる
- 炊飯・製菓などの設備で、食品の離型をよくしたい
公開されている実績
- 業務用炊飯釜(角型食缶):ごはんの離型がよくなり、メンテナンスが簡単で、自動炊飯設備に使われている
- 餅のウス:餅の付着防止。食品の粘着や汚れを防ぎ、衛生の向上と自動化による合理化に役立つとしている



出典:会社案内|フロロコート、加工品のご紹介 食品製造機械・調理器具|フロロコート、安全な取扱について|フロロコート
株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)|ヒトの培養表皮で、動物を使わずに皮膚刺激性を評価する
J-TECとは
J-TEC は、愛知県蒲郡市にある会社です(1999年設立、資本金39億9,767万円、従業員200名)。培養技術を使った再生医療等製品(自家培養表皮・自家培養軟骨など)の開発・製造販売を行い、その培養技術を応用して、研究用のヒト培養組織「LabCyte(ラボサイト)」を販売しています。
J-TECの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ヒト3次元培養表皮 LabCyte EPI-MODEL | ヒト正常表皮細胞を重層培養した表皮モデル。主に、実験動物による皮膚刺激性試験の代替材料として開発された |
| 試験ガイドラインへの収載 | EPI-MODEL24 は、OECD TG439(in vitro 皮膚刺激性試験)、TG431(皮膚腐食性試験)、ISO 10993-23(医療機器の in vitro 皮膚刺激性試験)に収載されている |
EPI-MODEL24 を使う皮膚感作性試験「EpiSensA」は花王が開発し、OECD TG442D に収載されました。J-TEC での EpiSensA の受託は、帝人構造解析センターに移管されています。
J-TECが解決できる課題
- 肌に触れる製品の材料や成分の皮膚刺激性を、動物を使わずに評価したい
- 医療機器の材料の皮膚刺激性を、ISO 10993-23 に沿って評価したい
公開されている実績
- ヒト細胞を使うため、動物実験と比べて種差がなく、ウェル間・ロット間のばらつきが少なく、再現性の高い試験結果が得られるとしている

出典:J-TECの記載をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|J-TEC、ヒト3次元培養表皮 EPI-MODEL/EPI-KIT/EpiSensA|J-TEC、LabCyte(研究用ヒト培養組織)|J-TEC
選ぶ前に確かめる条件
メーカーや検査機関に相談する前に、次の条件を整理しておくと、話が早くなります。
- 触れるのは食品か、人の肌か。食品なら、どの部分が直接触れるか
- 触れる食品の種類(油脂性・酸性・酒類・乳製品・乾燥食品など)と、温度・時間
- 部品の材質(合成樹脂・ゴム・金属・コーティング)と、材料メーカーから受け取れる書類
- 洗浄・殺菌の方法(洗剤・殺菌剤の種類、温度、分解して洗うか、定置洗浄か)
- 肌に触れる場合、触れる時間(短時間か、長時間・毎日か)と、使う人(子ども・医療など)
- 販売する国・地域(日本の食品衛生法、欧州・米国の規制)
関連する課題
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年9月30日





