屋外の装置のフレームやボルトが赤く錆びる。ステンレスなのに点状の錆が出た。ボルトのまわりだけが腐食した。倉庫に置いていた部品が錆びた。こうした症状の多くは、金属の表面の水と酸素、塩分によって進む電気化学的な反応(腐食)が原因です。
錆や腐食は、金属の種類と、使う環境・置く期間によって効く対策が変わります。まずは次のマトリクスで、自分の課題に近いものと、使える技術を確かめてください。
課題と解決技術のマトリクス
| 課題(症状) | 耐食材料の選定 | めっき・化成処理 | 塗装・ライニング | 防錆油・気化性防錆剤 | 設計の見直し・電気防食 |
|---|---|---|---|---|---|
| A屋外や湿気の多い場所で、鉄の部品が赤く錆びる | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ |
| B異なる金属が接するところ・ボルトのまわりが腐食する | ○ | △ | ○ | ◎ | |
| Cステンレスなのに錆びる・点状の孔があく | ◎ | △ | ○ | ||
| D保管中・輸送中に部品や製品が錆びる | △ | ◎ | |||
| E海水・冷却水にふれる配管や設備が腐食する | ○ | ○ | ◎ |
◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効
※記号は一般的な傾向に基づく目安です。実際の効果は、金属の種類、水や塩分の量、温度、部品の形、求める寿命によって異なります。防錆油・気化性防錆剤は、保管・輸送中の一時的な防錆に使うもので、使用中の部品を長く守るものではありません。
記号の理由と出典(17件)
マトリクスの記号ごとに、理由と出典をまとめました。出典が「編集部の解説」のものは、この記事の本文の説明をもとにした編集部の評価です。症状の記号を押すと、その症状の説明へ移ります。
| 症状 | 技術 | 記号 | 理由 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| A | 耐食材料の選定 | ○ | 錆びてはならない部品は材料そのものを耐食性の高いものに替えられるため有効 | 編集部の解説 |
| A | めっき・化成処理 | ◎ | 亜鉛めっきは傷があっても亜鉛が先に溶けて鉄を守る犠牲防食が働くため第一候補 | 日本溶融亜鉛鍍金協会 |
| A | 塗装・ライニング | ◎ | 塗膜で水と酸素を遮れ、亜鉛末入りの塗料なら犠牲防食も働くため第一候補 | 日新インダストリー |
| A | 防錆油・気化性防錆剤 | △ | 保管・輸送中の一時的な防錆に限られるため、使用中の屋外部品には条件つきで有効 | 編集部の解説 |
| A | 設計の見直し・電気防食 | ○ | 水がたまる形やすき間をなくせば錆びる条件を減らせるため有効 | 編集部の解説 |
| B | 耐食材料の選定 | ○ | ボルトなど小さい部品を本体と同じか貴な材料にすれば面積比の悪い組み合わせを避けられるため有効 | 編集部の解説 |
| B | めっき・化成処理 | △ | めっきで接する金属どうしの電位の差を小さくできる場合に限り有効 | 編集部の解説 |
| B | 塗装・ライニング | ○ | 貴な金属の側か両方を塗る場合に有効。卑な側だけだと傷に腐食が集中する | 編集部の解説 |
| B | 設計の見直し・電気防食 | ◎ | 同じ系統の金属で組むか絶縁材で切り離せば、電池ができないため第一候補 | 宮坂松甫氏の解説(材料と環境) |
| C | 耐食材料の選定 | ◎ | 塩分で不働態皮膜が壊れる孔食には、CrやMoの多い鋼種を選ぶのが第一候補 | ステンレス協会 |
| C | 塗装・ライニング | △ | 材料を替えられない場合に限り、塗装やライニングで環境から切り離すことが有効 | 編集部の解説 |
| C | 設計の見直し・電気防食 | ○ | すき間構造をなくせばすき間腐食を避けられるため有効 | ステンレス協会 |
| D | めっき・化成処理 | △ | 長期保管や錆が許されない部品に限り、表面処理を検討する価値があるため条件つきで有効 | 編集部の解説 |
| D | 防錆油・気化性防錆剤 | ◎ | 防錆剤が金属表面に吸着して皮膜をつくり、結露する包装内でも守れるため第一候補 | アドコート |
| E | 耐食材料の選定 | ○ | 海水にふれる部品は耐食性の高い材料を選べば腐食を抑えられるため有効 | 編集部の解説 |
| E | 塗装・ライニング | ○ | ライニングなどで金属を海水から切り離せるため有効 | 編集部の解説 |
| E | 設計の見直し・電気防食 | ◎ | 水中の金属には防食電流を流す電気防食が使えるため第一候補 | 日本防蝕工業 |
課題の診断と解決策
屋外や湿気の多い場所で、鉄の部品が赤く錆びる
屋外に置いた装置のフレームやカバー、ボルトが赤く錆びる。海の近くや、融雪剤をまく地域で使うと、錆びるのが早い。

- 起きている現象
- 鉄は、表面に水の膜があり、そこに空気中の酸素が溶け込むと錆びます。鉄が溶ける場所(アノード)と、酸素が反応する場所(カソード)が表面にでき、電池のように電流が流れて腐食が進みます。塩分が付くと水が電気を通しやすくなり、腐食が速くなります。
- 解決に使える技術
- めっき・化成処理亜鉛めっきで、傷があっても亜鉛が先に溶けて鉄を守る(犠牲防食)
- 塗装・ライニング水と酸素を遮る膜をつくる。亜鉛末を多く含む塗料なら犠牲防食も働く
- 耐食材料の選定錆びてはならない部品は、ステンレスなどの耐食材料に替える
- 設計の見直し・電気防食水がたまる形やすき間をなくし、水はけをよくする
亜鉛めっきや塗装の寿命は、環境で大きく変わります。同じ溶融亜鉛めっきでも、海岸地帯では田園地帯より亜鉛の減りが4倍以上速いとされています。使う場所の環境を先に確かめてから、方法と厚さを決めます。
異なる金属が接するところ・ボルトのまわりが腐食する
ステンレスの板を鉄のボルトで留めたら、ボルトだけが早く錆びた。アルミの部品と鋼の部品の接するところが白く腐食した。

- 起きている現象
- 電位の異なる金属が、水などを介して電気的につながると、電位の低い(卑な)金属が溶けやすくなり、高い(貴な)金属は溶けにくくなります。これを異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)と呼びます。貴な金属の面積が大きく、卑な金属の面積が小さいほど、卑な金属の腐食は激しくなります。
- 解決に使える技術
- 設計の見直し・電気防食同じ系統の金属で組む。避けられないときは、絶縁材をはさんで電気的に切り離す
- 塗装・ライニング卑な金属だけを塗るのではなく、貴な金属の側、または両方を塗る
- 耐食材料の選定ボルトなど小さい部品は、本体と同じか、より貴な材料にする
- めっき・化成処理亜鉛めっきなどで、接する金属どうしの電位の差を小さくする
卑な金属の側だけを塗装すると、塗膜の小さな傷に腐食が集中して、かえって深い孔があくことがあります。塗るなら、貴な金属の側か両方を塗ります。
ステンレスなのに錆びる・点状の孔があく
ステンレスの表面に点状の赤い錆が出た。海の近くや、塩素を含む水にふれるところで、小さな孔があいた。すき間の奥だけが腐食していた。

- 起きている現象
- ステンレスは、表面にごく薄い不働態皮膜ができることで錆びにくくなっています。しかし、塩化物イオン(塩分)の多い環境では、この皮膜が局部的に壊れ、点状に深く掘れる孔食や、すき間の奥で進むすき間腐食が起きます。表面に付いた鉄粉が錆びる「もらい錆」もあります。
- 解決に使える技術
- 耐食材料の選定塩分が多い環境では、Mo(モリブデン)を含む SUS316 など、耐孔食性の高い鋼種にする
- 設計の見直し・電気防食すき間や、水・汚れがたまる形をなくす。表面の鉄粉や汚れを取り除く
- 塗装・ライニング材料を替えられないところは、塗装やライニングで環境から切り離す
「ステンレスなら錆びない」わけではありません。同じステンレスでも、鋼種によって耐えられる塩分や温度が違います。使う環境の塩化物の量、温度、すき間の有無を先に整理します。
保管中・輸送中に部品や製品が錆びる
加工したばかりの部品が、倉庫に置いている間に錆びた。海外に送った製品が、届いたときには錆びていた。

- 起きている現象
- 保管中や輸送中は、昼と夜の温度差や、船での移動中の温度の変化で、包装の中の湿気が結露します。空気は冷えると含める水蒸気の量が減り、あふれた分が水になって金属の表面に付きます。手で触れたときの汗の塩分や、加工油の残りも錆の原因になります。
- 解決に使える技術
- 防錆油・気化性防錆剤防錆油で表面をおおう。気化性防錆剤(防錆紙など)で包み、包装の中のすき間まで防錆剤を行きわたらせる
- めっき・化成処理長く保管する部品や、錆が許されない部品は、表面処理を検討する
気化性防錆紙は、結露に対して効く材料です。洗浄が足りず、汗の塩分や汚れが残っていると、防ぎきれないことがあります。包む前に表面をきれいにし、ポリ袋などで外を密封します。
海水・冷却水にふれる配管や設備が腐食する
海水や工業用水を使う冷却設備で、配管やポンプ、ストレーナが腐食して薄くなった。ステンレスの部品と鋼の部品が組み合わさったところが特に傷む。

- 起きている現象
- 海水は塩分を多く含み、電気をよく通すため、鋼は腐食しやすくなります。流れの速いところでは腐食がさらに進みます。ステンレスの本体と鋼の支持材、銅合金やチタンの冷却管と鋼の水室など、異なる金属の組み合わせも多く、異種金属接触腐食が起きやすい環境です。
- 解決に使える技術
- 設計の見直し・電気防食犠牲陽極や外部電源で防食電流を流し、金属の腐食を止める(電気防食)
- 塗装・ライニング塗装やライニングで、金属を海水から切り離す
- 耐食材料の選定海水にふれる部品は、耐食性の高い材料を選ぶ
電気防食は、電流が届く水中や土中の金属にしか効きません。また、チタン合金などは電位を下げすぎると水素脆化を起こすおそれがあるため、電位を正確に管理する必要があります。
なぜ金属は錆びる・腐食するのか
鉄が錆びるには、水と酸素の両方が必要です。名古屋工業大学の川崎晋司氏の解説によると、鉄がイオンになって水に溶け出すときに電子が生じ、その電子を使って水の中の酸素が還元され、水酸化物イオンができます。このとき電子は鉄の中を移動し、鉄の内部に電流が流れます。この状態を局部電池と呼びます。溶け出した鉄のイオンと水酸化物イオンが反応して水酸化鉄ができ、さらに酸化されて錆になります。
酸素が補給されやすいところほど、錆は激しく進みます。また、真水よりも塩水のほうが錆びる速さは大きくなります。

AI(Claude)で作成
異なる金属が接すると、卑な金属が溶ける
電位の異なる金属が、水などを介して電気的につながると、電位の低い(卑な)金属がアノード、高い(貴な)金属がカソードになる電池ができます。アノード側の腐食は速くなり、カソード側の腐食はおさえられます。これが異種金属接触腐食です。
腐食防食学会の腐食センターの解説(宮坂松甫氏)は、影響を減らすうえで最も重要なのは、カソードとアノードの面積比を小さくすることだとしています。カソードの面積が大きいと、そこで生じる大きな電流を、小さいアノードが受け持つことになり、腐食が速くなるためです。鋳鉄とステンレス鋼(SUS304)を組み合わせて海水に98日間浸した実験では、面積比が大きくなるほど鋳鉄の腐食は深くなり、自然海水の中では最大5.2mm(年19mmの速さに相当)に達しました。

AI(Claude)で作成
ステンレスが錆びるとき
ステンレス鋼の耐食性は、表面にできる10nm程度の薄い不働態皮膜によるものです。旭化成エンジニアリングの解説によると、この皮膜をつくる主な成分はクロム(Cr)とモリブデン(Mo)で、Moの効果はCrのおよそ3倍とされています。SUS304は約18%のCrを含みますがMoを含まず、SUS316はさらに約2%のMoを含むため、耐食性が高くなります。

ステンレス協会によると、塩素イオンなどを含む環境では、不働態皮膜が局部的に壊れ、その部分から腐食が進みます。自由な表面で点状・虫食い状に進むのが孔食、すき間の部分で進むのがすき間腐食です。また、表面に付いた鉄粉などが錆びる「もらいさび」も、長く放置するとステンレス自身の錆に進展します。
原因の切り分け方
まず、腐食がどこに、どんな形で出ているかを見ます。表面全体が同じように錆びているなら全面腐食で、水と酸素、塩分の多い環境が原因です。異なる金属の接するところだけが傷んでいるなら異種金属接触腐食、点状の深い孔ならステンレスの孔食、すき間の奥ならすき間腐食を疑います。
次に、使っている間に錆びたのか、保管中・輸送中に錆びたのかを分けます。保管中の錆は、結露や汗、加工油の残りなど、包装と保管の条件を見直します。対策を比べるときは、塩水噴霧試験などの腐食試験を使います。ただし、腐食試験を受託する神戸工業試験場は、塩水噴霧試験は加速試験ではなく、試験の時間を屋外の年数に換算することはできないとしています。試験は、対策どうしを同じ条件で比べるために使います。
腐食による損失は大きく、日本防錆技術協会と腐食防食学会の調査では、2015年の日本の腐食コストは、Uhlig方式で算定すると約4兆3千億円(国民総所得の0.78%)と報告されています。
出典:さびと電気化学-金属の腐食のメカニズム|名古屋工業大学 川崎晋司、異種金属接触腐食の機構と対策|材料と環境 72巻8号(宮坂松甫)、化学装置材料の基礎講座 第5回|旭化成エンジニアリング、ステンレスの耐食性と腐食現象について|ステンレス協会、ステンレス建材の手入れ方法について|ステンレス協会、塩水噴霧試験|神戸工業試験場、わが国における腐食コスト|材料と環境 69巻11号
解決技術の詳細
錆・腐食の対策は、大きく分けて、①耐食材料を選ぶ、②めっき・化成処理で表面を守る、③塗装・ライニングで環境から切り離す、④保管・輸送中は防錆油や気化性防錆剤で守る、⑤設計の見直しと電気防食、の5つです。腐食の種類と、使う環境・期間に合わせて組み合わせます。

AI(Claude)で作成
耐食材料を選ぶ
錆びては困る部品や、塗装やめっきの補修ができない部品は、材料そのものを耐食性の高いものにします。ステンレス協会は、孔食やすき間腐食の対策として、塩素イオンの濃度や温度を下げる、すき間構造をなくすことに加え、クロムやモリブデンを多く含む材料を選ぶことを挙げています。耐孔食性の目安には、孔食指数(PI=Cr(%)+3.3Mo(%))がよく使われます。
ただし、旭化成エンジニアリングの解説によると、SUS316はSUS304より厳しい条件まで耐える場合が多いものの、その差は決定的に大きいわけではなく、SUS304に起きた局部腐食をすべてSUS316で解決できるわけではありません。硝酸などの強い酸化性の溶液では、両者の耐食性が逆転する場合もあります。
また、耐食材料に替えると、ボルトや相手部品との間で異種金属接触腐食が起きることがあります。組み合わせる部品の材料も一緒に見直します。
めっき・化成処理で表面を守る
鉄の部品に最も広く使われるのが亜鉛めっきです。亜鉛は鉄より卑なため、めっきに傷が付いて鉄が露出しても、まわりの亜鉛が先に溶けて鉄を守ります(犠牲防食)。日本溶融亜鉛鍍金協会によると、溶融亜鉛めっきの耐用年数は、亜鉛の付着量を、その環境での亜鉛の腐食速度で割って求められ(安全率0.9を掛ける)、同じ環境なら付着量に比例します。

出典:日本溶融亜鉛鍍金協会の表の値をもとに AI(Claude)で作成
電気亜鉛めっきの上には、耐食性を補うクロメート(化成処理)を重ねます。有害な六価クロムを使わない三価クロメートは、RoHS指令に対応した処理です。さらに耐食性が必要な部品には、亜鉛ニッケル合金めっきや、めっきの上に塗装を重ねる方法があります。
塗装・ライニングで環境から切り離す

一般的な錆止め塗料は、塗膜で鋼材を水分や酸素から切り離して守ります(被膜防食)。亜鉛末を多く含む亜鉛塗料(ジンクリッチペイント)は、これに加えて亜鉛の犠牲防食も働くため、溶融亜鉛めっきの傷の補修にも使われます。
塗装の寿命は、塗る前の下地処理で大きく変わります。錆、古い塗膜、油分を取り除いてから塗ります。薬品や海水にふれる配管やタンクの内面には、樹脂などの厚い層でおおうライニングを使います。
保管・輸送中は防錆油と気化性防錆剤で守る

部品の保管中や輸送中は、防錆油や気化性防錆剤で一時的に錆を防ぎます。気化性防錆紙を製造するアドコートの解説によると、鉄鋼用の防錆剤は、水になじむ部分と、なじまない部分をあわせ持つ物質が、金属の表面に吸着して皮膜をつくります。金属との結合は強くないため、自然に気化して消えたり、溶剤でふき取ったりできます。
包装の中では、温度が下がると湿気が結露します。同社の解説では、気温30℃で湿度100%の空気が20℃まで下がると、体積1m³あたり13.08gの水蒸気が結露する例を示しています。部品は洗浄して汚れや汗を取り除いてから包み、外側を密封します。
設計を見直し、電気防食を使う

設計では、水や汚れがたまる形、すき間をなくし、水はけをよくします。異なる金属を組み合わせるときは、同じ系統の金属どうしにするか、絶縁材をはさんで電気的に切り離します。宮坂氏の解説では、軟鋼・普通鋳鉄・低合金鋼などの鉄系材料どうしや、銅合金どうしであれば、異種金属接触腐食の心配は少ないとしています。

水中や土中にある金属には、電気防食が使えます。日本防蝕工業によると、電気防食には、アルミニウム・亜鉛・マグネシウムなどイオン化傾向の大きい金属を接続して防食電流を流す流電陽極方式(犠牲陽極方式)と、直流電源装置と耐久性のある電極を使って電流を流す外部電源方式があります。船舶、港湾施設、埋設配管などで広く使われています。
出典:溶融亜鉛めっきの耐食性|日本溶融亜鉛鍍金協会、ステンレスの耐食性と腐食現象について|ステンレス協会、三価クロメートとは?|meviy(ミスミ)、亜鉛塗料のよくある誤解10選|日新インダストリー、気化性防錆紙ガイダンス Ver.1|アドコート、金属の腐食と電気防食法|日本防蝕工業
錆・腐食を防ぐ技術を持つ企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。
| 企業 | 解決できる課題 | 種類 | 何ができるか | 合う症状 |
|---|---|---|---|---|
| 日本冶金工業 | ステンレス・合金メーカー | 塩分や薬品に強いステンレス鋼・高ニッケル合金をつくり、塩分の多い環境で SUS304 に孔食が出たときの鋼種の選び直しに使える。 | C ステンレスなのに錆びる・点状の孔があく E 海水・冷却水にふれる配管や設備が腐食する | |
| 大協製作所 | 表面処理(めっき・塗装) | 亜鉛めっき・亜鉛ニッケル合金めっきとカチオン電着塗装を受託し、六価クロムを使わない防錆や、めっきに塗装を重ねる処理ができる。 | A 屋外や湿気の多い場所で、鉄の部品が赤く錆びる | |
| 日新インダストリー | 補修塗料メーカー | 高濃度の亜鉛末塗料などの補修剤で、溶融亜鉛めっきの搬送や溶接で付いた傷を現場で部分的に補修する。 | A 屋外や湿気の多い場所で、鉄の部品が赤く錆びる | |
| アドコート | 防錆包装材メーカー | 気化性防錆紙で、倉庫での保管中や海外への輸送中の部品・製品の錆を防ぐ。 | D 保管中・輸送中に部品や製品が錆びる | |
| 日本防蝕工業 | 防食・腐食調査 | 電気防食・被覆防食と腐食調査・診断で、海水を使う冷却設備の配管やポンプ、ステンレスと鋼の組み合わせの腐食を防ぐ。 | B 異なる金属が接するところ・ボルトのまわりが腐食する E 海水・冷却水にふれる配管や設備が腐食する |
日本冶金工業株式会社|塩分や薬品に強いステンレス鋼・高ニッケル合金
日本冶金工業とは
日本冶金工業は、東京都中央区に本社を置く、ステンレス鋼と高ニッケル合金のメーカーです。1925年に設立され、板・帯などの製品をつくっています。

出典:日本冶金工業の鋼種一覧をもとに AI(Claude)で作成
日本冶金工業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 汎用のステンレス鋼 | NAS304(SUS304相当、18Cr-8Ni)など、用途に合わせた多くの鋼種をそろえる |
| 耐孔食性を高めた鋼種 | NAS316(SUS316相当、17Cr-12Ni-2.5Mo)は、304より耐食性・耐孔食性に優れる。NAS317(SUS317相当、18Cr-12Ni-3.5Mo)は、316よりさらに耐孔食性を高めた材料 |
| 鋼種の対応表 | 自社の鋼種ごとに、JIS・ASTM などの規格との対応と、特長・用途を公開している |
日本冶金工業が解決できる課題
- 塩分の多い環境で、SUS304 に点状の錆や孔食が出た
- 使う環境に合わせて、ステンレスの鋼種を選び直したい
株式会社大協製作所|亜鉛めっき・亜鉛ニッケル合金めっきと電着塗装の受託加工
大協製作所とは
大協製作所は、横浜市に本社を置く、金属の表面処理の会社です。1954年に創業し、自動車の機能部品を中心に、亜鉛めっき、亜鉛ニッケル合金めっき、カチオン電着塗装を手がけています。

大協製作所の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 亜鉛めっき+三価クロメート | 三価クロメートは、六価に比べて皮膜の含水率が低く熱に強い。耐食性は塩水噴霧試験(SST)72時間で白錆なし、または5%未満 |
| 亜鉛ニッケル合金めっき | ニッケル共析率12〜18%の高ニッケルタイプを処理。三価有色クロメートを行うことで、赤錆が出るまでの時間が1,000時間を超えるとしている |
| 複合処理 | 亜鉛めっきや亜鉛ニッケル合金めっきの上にカチオン電着塗装を重ね、耐食性を高める |
大協製作所が解決できる課題
- 鉄の部品に、六価クロムを使わない防錆めっきをかけたい
- 亜鉛めっきより耐食性の高いめっきが必要になった
- めっきだけでは足りない部品に、塗装を重ねたい
出典:亜鉛めっき|大協製作所、亜鉛ニッケル合金めっき|大協製作所、複合処理|大協製作所、企業概要|大協製作所
日新インダストリー株式会社|溶融亜鉛めっきの傷を補修する亜鉛塗料
日新インダストリーとは
日新インダストリーは、東京都新宿区に本社を置く、溶融亜鉛めっきの補修剤の専門メーカーです。1982年に設立され、高濃度の亜鉛末塗料(ジンクリッチペイント)をはじめとする補修剤と塗料を製造・販売しています。

出典:日新インダストリーの公開情報をもとに AI(Claude)で作成
日新インダストリーの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 高濃度亜鉛末塗料 | 塗料の中に亜鉛末を高い濃度で含み、塗膜で水と酸素を遮るだけでなく、亜鉛の犠牲防食で鋼材を守る |
| ジンクプラスS | 乾燥塗膜中の亜鉛含有率90%、推奨膜厚80μm の1液形(共重合アクリル系)の補修剤。色調はシルバーグレー |
| 補修の技術情報 | 補修用と新設用の塗料の違い、下地処理、膜厚など、選び方と使い方をコラムで公開している |
日新インダストリーが解決できる課題
- 溶融亜鉛めっきの部材に、搬送や溶接で付いた傷から錆が出る
- 現場で、めっきの傷を部分的に補修したい
出典:ジンクプラスS|日新インダストリー、亜鉛塗料のよくある誤解10選|日新インダストリー、会社案内|日新インダストリー
アドコート株式会社|保管・輸送中の錆を防ぐ気化性防錆紙
アドコートとは
アドコートは、京都府相楽郡精華町に本社を置く、気化性防錆紙のメーカーです。1968年に創業し、6,500社以上に納入してきたとしています。

アドコートの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| アドパック-G(鉄鋼用含浸タイプ) | クラフト紙に防錆剤を含浸させた気化性防錆紙。JIS Z 1535 に規定された試験に合格し、鉄鋼、自動車部品、機械部品などに使われている |
| 大物・輸出品の防錆包装 | 建機部品の輸出では、強化段ボールの中にポリエチレンシートと防錆紙を敷いて包む。重量物に対応したクロス貼りタイプの防錆紙もある |
| 防錆の技術解説 | 錆の原理、結露、防錆紙の使い方と注意点をまとめたガイダンスを公開している |
アドコートが解決できる課題
- 加工した部品が、倉庫での保管中に錆びる
- 海外へ送る部品や製品を、輸送中の錆から守りたい
公開されている実績
- 電磁鋼帯のスリット加工を行う松本ESテックが、スリットした電磁鋼板をアドパック-Gで包帯のように巻いて包装している(ゲートル巻)
出典:アドパック-G|アドコート、梱包事例(電磁鋼帯)|アドコート、梱包事例(建機部品輸出)|アドコート、気化性防錆紙ガイダンス Ver.1|アドコート、会社案内|アドコート、気化性防錆紙 adpack|アドコート
日本防蝕工業株式会社|電気防食と腐食調査で、海水・冷却水の設備を守る
日本防蝕工業とは
日本防蝕工業は、東京都品川区に本社を置く、防食技術の専門会社です。1951年に創業し、電気防食、被覆防食、腐食調査・診断を手がけています。

出典:日本防蝕工業の公開情報をもとに AI(Claude)で作成
日本防蝕工業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 工場・発電所の電気防食 | 海水や工業用水を冷却水に使う設備(取水管、ストレーナ、循環水ポンプ、配管、復水器、熱交換器)に、流電陽極方式または外部電源方式の電気防食を設計・施工する |
| 犠牲陽極 | 海水環境では主にアルミニウム合金陽極を使い、耐用年数は一般に10年ごとで50年までの製品が採用される |
| 腐食調査・診断 | 埋設配管や貯蔵タンクなどで、自然電位、孔食深さ、肉厚、土壌抵抗率、塩化物イオン濃度などを測り、腐食の要因を調べる |
同社は、ステンレス鋼の本体と鋼製の支持材でできたストレーナや、銅合金・チタン合金の冷却管と鋼製の水室をもつ復水器では、異種金属接触腐食が起こりやすいとしています。チタン合金を過度に防食すると水素脆化の危険があるため、電位を正確に管理する電源装置を使います。
日本防蝕工業が解決できる課題
- 海水を使う冷却設備の配管やポンプが腐食する
- ステンレスと鋼の組み合わせで、鋼の側が腐食する
- 埋設配管やタンクの腐食の状態と原因を調べたい
出典:発電所・工場設備|日本防蝕工業、腐食調査・診断|日本防蝕工業、海洋・港湾施設の電気防食|日本防蝕工業、会社概要|日本防蝕工業
選ぶ前に確かめる条件
企業に相談したり、対策を選んだりする前に、次の条件を整理しておくと、対策選びが早くなります。
- 錆びた金属の種類(鋼、鋳鉄、ステンレスの鋼種、アルミ、銅合金など)と、今の表面処理
- 錆・腐食が出た場所と形(全体に一様、接触部だけ、点状の孔、すき間の奥など)
- 使う環境(屋内・屋外、海からの距離、融雪剤、水・海水・薬品にふれるか、温度)
- 使っている間に錆びたのか、保管中・輸送中に錆びたのか
- 組み合わせている部品の材料(ボルト、相手部品、支持材)
- 求める寿命と、補修や交換ができるかどうか
- 寸法の制約(めっきや塗装の膜厚を足せるか)、外観、導電性などの条件
- 対策を比べる試験(塩水噴霧試験などの種類と時間)と合否の基準
関連する課題
この課題に関係する分野・技術・製品のページ
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年9月29日





