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EMC対策(ノイズの伝わり方・規格・フィルタとシールドの選び方・EMC試験)

EMC(電磁両立性)は、機器が、まわりに耐えられないほどの電磁的な妨害を出さず、まわりの電磁的な環境の中で問題なく動く能力です(EU の EMC 指令の定義の要旨)。

EMC対策(ノイズの伝わり方・規格・フィルタとシールドの選び方・EMC試験)
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EMC対策(ノイズの伝わり方・規格・フィルタとシールドの選び方・EMC試験)

電波吸収体のパネルが並ぶ部屋の作業台で、ふたを外した金属の箱の中の基板に近傍界プローブを当て、ケーブルにフェライトコアを付け、スペクトラムアナライザの画面でノイズの山を見ている様子を描いたイラスト(AI で生成したイメージ)

安全・規制・環境対応信頼性・長寿命品質の安定電気・磁気ノイズ・EMC電磁波シールド静電気EMC設計回路・電源設計基板・電子部品電源・インバーター半導体・電子機器自動車・モビリティ

EMC(電磁両立性)は、機器が、まわりに耐えられないほどの電磁的な妨害を出さず、まわりの電磁的な環境の中で問題なく動く能力です(EU の EMC 指令の定義の要旨)。出すノイズを抑える「エミッション」と、受けても誤作動しない「イミュニティ」の2つがそろって、はじめて EMC を満たします。EMC 対策は、ノイズの発生源・伝わる道・受け手のどこで止めるかを決め、規格の試験で確かめる作業です。

出典:Directive 2014/30/EU(EMC 指令)の本文|legislation.gov.uk

このページでは、設計の現場で必要になることを1ページにまとめました。ノーマルモードとコモンモード、VCCI・CISPR・IEC 61000-4 などの規格と限度値、フィルタ・フェライト・シールド・グラウンドの使い分け、公設試の研究からわかること、電波暗室での試験の進め方、誤作動のしくみ、公的な発表に見る障害の事例、相談できる会社まで扱います。誤作動や試験の不合格から対策を選ぶ話は、課題「ノイズで誤作動する・EMCに通らない」でも詳しく扱っています。

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症状から探す

症状考えられる原因対策を書いた所
放射妨害波の試験で、ある周波数だけ限度値を超えたクロックやスイッチングの高調波が、ケーブル・すき間から出ている(コモンモード)ノーマルモードとコモンモード・空間を伝わる道で止める:シールドとすき間
電源端子の妨害波電圧(伝導)で落ちたスイッチング電源・インバーターのノイズが電源線に戻っている線を伝わる道で止める:フィルタとフェライト・限度値の例
ケーブルをシールドしたのに下がらない、かえって上がったシールドが筐体と電気的につながっていない公設試の実験:ケーブルのシールドは、筐体と全周でつなぐ
自社の 3m の測定では通ったのに、10m の本試験で落ちた3m法の結果が10m法より低く出ることがある公設試の実験:3m法の結果は、10m法より低く出ることがある・電波暗室と測定のしかた
人が触ると止まる・リセットする静電気放電誤作動の原因になるノイズと試験
近くのモーター・リレーが動くと誤作動するEFT/バースト、電源・信号線に乗るノイズ誤作動の原因になるノイズと試験
ラジオ・無線に雑音が入ると言われた機器からの不要な電波(エミッション)事例:公的な発表に見る、ノイズの障害

このページの出典をもとに編集部が整理したものです。リンクを押すと、対策を書いた所へ移ります。

目次

EMC の基本:エミッションとイミュニティ

ノイズの発生源・伝わる道・受け手

ノイズの問題は、発生源・伝わる道・受け手の3つがそろったときに起きます。どれか1つを断てば止まるので、対策は「どこで止めるのが一番安く確実か」を選ぶことから始まります。EU の EMC 指令は、エミッション側を「耐えられないほどの電磁的な妨害を出さない」こと、イミュニティを「電磁的な妨害があっても、性能を落とさずに意図したとおりに動く能力」としています。

要素例
発生源スイッチング電源・インバーター、クロック・高速信号、モーター、リレー・静電気・雷
伝わる道電線を伝わる(伝導)、空間を伝わる(放射)。グラウンド・すき間・ケーブル
受け手センサー・マイコン・通信、ラジオ・無線機、医療機器など
性能意味確かめ方
エミッション(EMI)機器が出すノイズを、まわりの機器を妨げない大きさに抑える性能規格の限度値と比べる(伝導妨害波・放射妨害波)
イミュニティ(EMS)まわりのノイズを受けても、意図したとおりに動き続ける性能静電気・サージ・電界を決まった強さで当てて確かめる

出典:Directive 2014/30/EU(EMC 指令)の本文|legislation.gov.uk

伝導と放射

ノイズの伝わり方は2つあります。電源線・信号線を電流として伝わる「伝導」と、空間を電波として伝わる「放射」です。規格の試験もこの2つに分かれ、伝導は電源端子の妨害波電圧(150kHz〜30MHz など)、放射は電波暗室での放射妨害波(30MHz〜1GHz など)を測ります。電線を伝わったノイズが、長いケーブルをアンテナにして放射に変わることも多く、両者はつながっています(編集部の解説)。

出典:情報通信審議会 電波利用環境委員会報告(案)概要(CISPR 11 ISM 装置)|総務省、An overview of radiated EMI specifications for power supplies(slyy142)|Texas Instruments

ノーマルモードとコモンモード

電線を伝わるノイズには、往きと帰りの2本の線で逆向きに流れる「ノーマルモード(ディファレンシャルモード)」と、2本の線に同じ向きに流れて大地や筐体を通って戻る「コモンモード」があります。村田製作所の技術講座は、ノーマルモードは電磁界が打ち消し合うので放射はごく少ないのに対し、コモンモードは同じ大きさの電流でも格段に強い(場合によっては1000倍程度の)電波を放射すると説明しています。

左にノーマルモード(2本の線で電流が逆向き)、右にコモンモード(2本の線で同じ向きに流れ、浮遊容量を通って大地・筐体から戻る)を並べ、それぞれの特徴を書いた図
図1 ノーマルモードとコモンモード
出典:村田製作所「ノイズ対策基礎講座 第5章」をもとに AI(Claude)で作成

同じ講座は、コモンモードノイズの多くは不完全なグラウンドから生じるとし、回路の電流のループ面積を小さくする設計はノーマルモードには効くが、コモンモードにはあまり効果がないとしています。また、ノーマルモードの電流は回路を動かす電流でもあるので、フィルタで完全には取り除けません。

出典:ノイズ対策基礎講座 第5章 ノーマルモードとコモンモード|村田製作所、ノイズ対策基礎講座 第5章 コモンモードノイズの対策|村田製作所

規格と規制:VCCI・CISPR・IEC 61000-4

国際規格と各国の規制のつながり

EMC の規格は、IEC の中の CISPR(国際無線障害特別委員会)が製品の種類ごとに作る「製品群規格」が中心です。CISPR 11 は工業・科学・医療用(ISM)装置、CISPR 14-1 は家電、CISPR 15 は照明、CISPR 25 は車載の受信機を守るための車載機器、CISPR 32 はマルチメディア機器のエミッションを扱い、情報技術装置の CISPR 22 は CISPR 32 に統合されて 2017年3月に廃止されました。日本では、総務省の答申として国内に取り入れた内容が、電波法・電気用品安全法などに引用され、VCCI の自主規制にも反映されます。

地域主な規制
日本VCCI(情報技術装置などの自主規制。クラス A/B、届出と市場抜取試験)、電気用品安全法(雑音の強さの基準)、電波法(高周波利用設備)
EUEMC 指令 2014/30/EU(機器は附属書 I の必須要求を満たす。CE マーキング)
米国FCC Part 15(クラス A(事業用)/クラス B(住宅用)。15.109 に放射の限度値)

出典:VCCIだより連載 第12回 CISPR の製品群規格(徳田正満)|VCCI協会、Directive 2014/30/EU(EMC 指令)の本文|legislation.gov.uk、47 CFR 15.109 Radiated emission limits(2012年版)|米国政府 govinfo

日本の VCCI(自主規制)

VCCI 協会は、情報技術装置などの不要な電波を自主的に規制する団体です。測定設備等の登録、会員による適合確認の届出と自己適合宣言、公正な市場抜取試験の3つを柱としています。2024年度の報告では、31か国・地域の約 1,200 の会員からなり、適合確認の新規届出は年間 5,000件前後で推移しているとしています。2016年11月からは、CISPR 32 にもとづく運用規程を使っています。

クラスは2つで、VCCI 協会のよくある質問は、基本的には住宅の環境で使うことを意図して開発・販売する機器はクラス Bとし、住宅の環境での使用を意図していなければクラス A として扱えると案内しています。限度値はクラス B のほうが厳しくなっています(次の節)。

出典:アニュアルレポート 2024(2024年4月〜2025年3月)|VCCI協会、よくある質問:クラス分け|VCCI協会、VCCI Self-Regulation Flow|VCCI協会

限度値の例

放射妨害波の限度値は、CISPR 22/32 の準尖頭値で、測定距離 10m のときクラス B が 30〜230MHz で 30dBμV/m、230MHz〜1GHz で 37dBμV/m、クラス A がそれぞれ 40・47dBμV/m です(TI の白書の整理)。3m で測るときは 10.5dB を足した値(クラス B で 40.5・47.5dBμV/m)になります。

横軸を周波数30MHz〜1GHzの対数目盛、縦軸をdBμV/mとして、クラスA(40から230MHzで47へ)とクラスB(30から230MHzで37へ)の限度値の階段状の線を描いたグラフ
図2 放射妨害波の限度値の例(CISPR 22/32、10m)
出典:TI の白書「An overview of radiated EMI specifications for power supplies」の表をもとに AI(Claude)で作成

出典:An overview of radiated EMI specifications for power supplies(slyy142)|Texas Instruments

電源端子の妨害波電圧の限度値は、総務省の資料にある CISPR 11(ISM 装置)のグループ2 装置のクラス B で、準尖頭値が 0.15〜0.5MHz で 66〜56dBμV、0.5〜5MHz で 56dBμV、5〜30MHz で 60dBμV です。平均値は 56〜46・46・50dBμV です。

横軸を周波数0.15〜30MHzの対数目盛、縦軸をdBμVとして、準尖頭値(66〜56、56、60)と平均値(56〜46、46、50)の限度値の線を描いたグラフ
図3 電源端子の妨害波電圧の限度値の例(CISPR 11 グループ2 のクラス B)
出典:総務省「電波利用環境委員会報告(案)概要(CISPR 11)」の表をもとに AI(Claude)で作成

出典:情報通信審議会 電波利用環境委員会報告(案)概要(CISPR 11 ISM 装置)|総務省

限度値は規格・版・クラス・機器の種類で違います。設計の目標にするときは、合わせる規格の最新の版の原文で確かめてください。

イミュニティの試験レベル

イミュニティの試験方法は IEC 61000-4 シリーズにまとまっています。静電気放電(IEC 61000-4-2)は、レベル1〜4 で接触放電 2・4・6・8kV、気中放電 2・4・8・15kVです。EFT/バースト(IEC 61000-4-4)は、電源ポートでレベル1〜4 が 0.5・1・2・4kV、信号・制御ポートで 0.25・0.5・1・2kV、繰り返し周波数は 5kHz または 100kHz です。どのレベルで試すかは、製品群規格や顧客の仕様で決まります。

静電気放電のレベル1〜4(接触2・4・6・8kV、気中2・4・8・15kV)と、EFT/バーストのレベル1〜4(電源ポート0.5・1・2・4kV、信号ポート0.25・0.5・1・2kV)を横棒で並べた図
図4 イミュニティ試験のレベルの例
出典:ノイズ研究所の IEC 61000-4-2・IEC 61000-4-4 の規格情報をもとに AI(Claude)で作成

出典:IEC 61000-4-2 静電気放電イミュニティ試験の概要|ノイズ研究所、IEC 61000-4-4 EFT/B 試験の規格情報|ノイズ研究所

自社で試験設備を持つときの注意

総務省は 2025年6月、10kHz 以上の高周波電流を使うイミュニティ試験設備は電波法の高周波利用設備にあたり、高周波出力が 50W を超えるものは、設置に許可が要ると案内しています。放射イミュニティの試験設備を自社に入れるときは、設置の前に確かめます。

出典:各種イミュニティ試験設備の電波法における扱いについて(令和7年6月27日)|総務省

対策の種類と選び方(フィルタ・フェライト・シールド・グラウンド)

どこで止めるかで、手段が変わる

対策は、発生源で減らす、線を伝わる道で止める、空間を伝わる道で止める、受け手を強くするの4つに分けると選びやすくなります。どれが効くかは、ノイズがノーマルモードかコモンモードか、どの周波数かで変わります。

対策効くもの例注意
スペクトラム拡散クロッククロックの高調波(放射)クロックの周波数をわずかに揺らして、ピークを下げる信号のタイミングの余裕を確かめる
ノイズフィルタ電源線の伝導ノイズ電源の入口に、X・Y コンデンサとコモンモードチョークY コンデンサをつなぐグラウンドが汚れていると効きにくい
フェライトコア・ビーズケーブル・配線の高周波ケーブルに挟む・巻く。基板の配線に入れる効く周波数帯が部品で違う
シールド空間を伝わる放射金属の筐体・導電ガスケット・シールド材すき間・合わせ目・ケーブルの穴で性能が決まる
グラウンド・ケーブルコモンモード、受け手の誤作動グラウンドの強化、ツイストペア、シールドの全周接続つなぎ方を誤ると、かえって悪くなる

村田製作所の技術講座・公設試の報告などをもとに編集部が整理したものです。

発生源で減らす:スペクトラム拡散クロック

クロックの周波数をわずかに揺らして、特定の周波数に集まったノイズのエネルギーを広げる方法がスペクトラム拡散クロックです。Cypress Semiconductor の担当者が 2003年に EE Times に書いた記事では、ハードディスクの例で、±1.75% ほど変調して、5次高調波の電界強度を 10dB 以上下げられるとし、変調の周波数は一般に 30〜90kHz としています。

出典:Spread spectrum clock reduces EMI for hard disks(Cypress Semiconductor、2003年4月)|EE Times

線を伝わる道で止める:フィルタとフェライト

電源の入口のノイズフィルタは、線どうしの間の X コンデンサでノーマルモードを、グラウンドとの間の Y コンデンサとコモンモードチョークでコモンモードを止めるのが基本の形です。村田製作所の講座は、コモンモード用のフィルタはコンデンサをグラウンドに対してつなぎ(Y コンデンサ)、インピーダンスの素子にはできるだけコモンモードチョークコイルを使うとしています。ケーブルの線が複数あるときは、ケーブルごとフェライトコアに巻き付けると、コモンモードチョークを作ることになります。

電源のL線とN線に、Xコンデンサ、コモンモードチョーク、大地へ逃がすYコンデンサを入れた電源の入口のノイズフィルタの回路図
図5 電源の入口のノイズフィルタの基本の形
出典:村田製作所「ノイズ対策基礎講座 第5章」をもとに AI(Claude)で作成

一方で、Y コンデンサをつなぐグラウンドにもノイズが出ていると、適切なグラウンドにつなげないので効果が小さくなるとしています。フィルタはグラウンドとセットで考えます。

出典:ノイズ対策基礎講座 第5章 ノーマルモードとコモンモード|村田製作所

空間を伝わる道で止める:シールドとすき間

村田製作所の講座は、厚さ 0.1mm の銅板なら 0.1〜1000MHz のすべての周波数で 100dB 以上のシールド効果が得られる計算例を示したうえで、実際の筐体では合わせ目やすき間が性能を決めるとしています。すき間の長さが波長の 1/2 になる周波数で電波が特に漏れやすく、12cm の CD のスロットなら約 1.2GHz になります。ねじや接触点でつなぐときは、その間隔を波長の 1/20 程度に小さくします。

左にスリットとねじのある金属の筐体、右にすき間の長さ30cm・12cm・5cm・1cmと、漏れやすくなる周波数(約500MHz・1.2GHz・3GHz・15GHz)の対応表を並べた図
図6 シールドのすき間と、漏れやすくなる周波数
出典:村田製作所「ノイズ対策基礎講座 第4章」と編集部の計算をもとに AI(Claude)で作成

出典:ノイズ対策基礎講座 第4章 シールド|村田製作所

グラウンドとケーブル

コモンモードの対策の土台はグラウンドです。村田製作所の講座は、コモンモードが流れているグラウンドにシールドをつないでも、ノイズは遮蔽できないとしています。ケーブルのシールドも、筐体とのつなぎ方で効き方が大きく変わります(下の公設試の実験)。信号線は往きと帰りをより合わせたツイストペアにすると、磁界を打ち消し合うので、ノイズを出しにくく受けにくくなります(編集部の解説)。

出典:ノイズ対策基礎講座 第5章 ノーマルモードとコモンモード|村田製作所

公設試の実験:ケーブルのシールドは、筐体と全周でつなぐ

埼玉県産業技術総合センターは 2009年の研究報告で、10MHz の水晶発振器とロジック IC の簡易な基板に長さ 120cm のケーブルをつなぎ、10m の距離で 30MHz〜1GHz の放射を測りました。ケーブルにシールド材をかぶせても、筐体とシールドが電気的につながっていないと、ノイズはシールドなしより高くなった一方、1点(1mm)、半周(2cm)、全周(4cm)とつなぐ範囲を広げるほど下がり、全周でつなぐと測定の限界まで下がりました。

ケーブルのシールド放射のノイズ
シールドなし基準
シールドあり・筐体と導通なしシールドなしより高くなった
1点(1mm)でつなぐ下がる
半周(2cm)でつなぐさらに下がる
全周(4cm)でつなぐ測定の限界まで下がった

同じ報告は、ケーブル用のシールド材2種の間で、周波数帯によって遮蔽の効果が 5〜30dB 違い、KEC 法で測った遮蔽能力(ほぼ全域で 30〜35dB)と、電波暗室で測ったケーブルからの放射の遮蔽能力は同じではなかったとしています。フェライトコアをシールド材と併用するときは、シールド材の外側より内側に付けるほうが効果的でした。そのうえで、ケーブルからの放射かどうか確かめるために、ケーブルをおおまかにシールドしてみる方法は、必ずしも適切ではないと結論づけています。

出典:放射電磁ノイズにおける対策手法の評価と適用方法に関する研究(研究報告 第7巻、2009年)|埼玉県産業技術総合センター

設計の段階で確かめること(設計のチェック)

EMC は、部品を後から足すほど費用・大きさ・重さが増えます。次の点は、設計の段階で確かめておきたいことです(このページの出典をもとに編集部が整理した項目です)。

  • 規格:製品群規格・クラス・売る国を、仕様の段階で決めた
  • 基板:信号の帰り道(グラウンド)が途切れていない
  • クロック:高速の信号と発振源を、基板の端やケーブルの近くに置いていない
  • 電源:入口のフィルタとデカップリングの置き場がある
  • グラウンド:筐体・フレームとの接続点を決め、低いインピーダンスでつなぐ
  • 筐体:すき間・合わせ目・穴の長さを、効かせたい周波数で確かめた
  • ケーブル:シールドを筐体と全周でつなぐ。フェライトの場所を確保した
  • 保護:静電気・サージの入口に、保護素子と逃がし道がある

EMC 試験と測定

試験と対策の流れ

EMC の試験は、合わせる規格を決め、設計で手を打ち、事前に測ってから本試験に臨む流れです。宮城県産業技術総合センターは、回路設計のセミナーの案内で、製品開発の終盤の EMC 試験で不具合が見つかると、後付けでできる対策は限られ、大きな手戻りが発生するとしています。

  • ① 規格を決める:売る国・製品の種類から、製品群規格とクラスを決める
  • ② 設計で手を打つ:基板・グラウンド・筐体・ケーブル・フィルタ
  • ③ 事前に測る:近傍界プローブ・簡易の測定・TEM セルで傾向をつかむ
  • ④ 本試験:登録・認定の試験所や暗室で、規格どおりに測る
  • ⑤ 届出・宣言:VCCI の届出、EU の適合宣言など。本試験で超えたら、どこから出ているかを探して対策し、測り直す

出典:回路設計セミナーの案内(2026年)|宮城県産業技術総合センター

電波暗室と測定のしかた

放射妨害波は、壁と天井に電波吸収体を貼った電波暗室で、供試品をターンテーブルで回し、アンテナの高さと偏波を変えて最大値を探します。測定距離は 3m(3m法)と 10m(10m法)があり、10m法の暗室は大きくなります(編集部の解説)。たとえば OKIエンジニアリングの 10m法電波暗室は室内の有効寸法が L19m×W10m×H8m などで、日本シールドエンクロージャーの 3m法電波暗室の標準仕様は外寸が W6,044×D9,300×H5,700mm です。

電波吸収体を貼った電波暗室の中で、ターンテーブルの上の供試品と、高さ1〜4mで上下するアンテナを、3mまたは10m離して置いた測定の配置図と、見るところのメモ
図7 電波暗室での放射妨害波の測定
出典:宮城県産業技術総合センターの調査・日本シールドエンクロージャーと OKIエンジニアリングの設備のページをもとに AI(Claude)で作成

出典:EMC 試験設備|OKIエンジニアリング、3m法電波暗室|日本シールドエンクロージャー、10m法電波暗室を用いた放射電磁ノイズの測定環境依存に関する調査研究|宮城県産業技術総合センター

公設試の実験:3m法の結果は、10m法より低く出ることがある

宮城県産業技術総合センターは、同じセンターの 10m法と 3m法の電波暗室で放射電磁ノイズを測って比べ、3m法の結果が過小評価になり、特に垂直偏波で差が大きかったとしています。3m法で評価したものを 10m法に持ち込むと、場合によっては 10m法で限度値を超える可能性がある、としています。同じ報告は、同じ距離にそろえれば2つの暗室の結果は同等だったともしています。自社や 3m の暗室で事前に測るときは、限度値に対する余裕を大きめにとります(編集部の解説)。

出典:10m法電波暗室を用いた放射電磁ノイズの測定環境依存に関する調査研究|宮城県産業技術総合センター

事前に測る

本試験の前には、近傍界プローブで基板やケーブルのどこから強く出ているかを探したり、簡易の暗室・シールドテント・TEM セルで傾向をつかんだりします(編集部の解説)。ただし上の実験のとおり、測る距離や設備で結果は変わるので、事前の測定は「どこから出ているか」「対策で何 dB 下がったか」を比べる道具として使い、合否の判断は規格どおりの本試験で行います。

出典:10m法電波暗室を用いた放射電磁ノイズの測定環境依存に関する調査研究|宮城県産業技術総合センター

トラブルのしくみと対策(誤作動・試験の不合格・事例)

誤作動の原因になるノイズと試験

誤作動の多くは、外から入ったノイズで起きます。ノイズ研究所の規格の解説は、EFT/バーストを誘導性負荷の開閉時の逆起電力や、リレーのチャタリングなどで繰り返し生じる高周波のノイズとしています。静電気放電は人や物にたまった電荷が放電するもので、IEC 61000-4-2 の試験器は 150pF・330Ω(代表値)で人体の放電を模します。起きた症状と、そのとき近くで動いていたものから、どの試験で再現できるかを絞ります。

金属の筐体に入った基板の機器に、人の指先からの静電気、無線機の電波、リレー・モーターの開閉で電源線に乗るバースト、雷のサージ、信号ケーブルに乗る高周波、電源の電圧低下が入ってくる道を描いた模式図
図8 外からのノイズが機器に入る道と、IEC 61000-4 の試験
出典:ノイズ研究所の IEC 61000-4-2・IEC 61000-4-4 の規格情報と、このページの出典をもとに AI(Claude)で作成
起きること試験主な対策
人や物の静電気が放電する静電気放電(-4-2)接地・ESD 保護素子・すき間の距離
無線機・携帯電話の電波を受ける放射無線周波電磁界(-4-3)シールド・ケーブルのフェライト・フィルタ
リレーのチャタリング、誘導性負荷の開閉EFT/バースト(-4-4)電源・信号の入口のフィルタ、配線の分離
雷(誘導雷)による過電圧サージ(-4-5)サージ保護素子・接地
ケーブルに乗った高周波伝導無線周波(-4-6)フェライト・フィルタ・シールドの全周接続
瞬時の電圧低下・停電電圧ディップ・停電(-4-11)電源の保持時間・リセットの設計

出典:IEC 61000-4-4 EFT/B 試験の規格情報|ノイズ研究所、IEC 61000-4-2 静電気放電イミュニティ試験の概要|ノイズ研究所

試験で限度値を超えたとき

放射の試験で超えたときは、まず超えた周波数が、どのクロック・スイッチングの何倍の高調波かを見て発生源の見当をつけ、ケーブルを外す・フェライトを付けるなどで、どの道から出ているかを切り分けます(編集部の解説)。コモンモードが原因のときは、ケーブルのフェライトやコモンモードチョーク、グラウンドの強化が候補です。すき間から出ているときは、合わせ目の導通を増やします。

出典:ノイズ対策基礎講座 第5章 ノーマルモードとコモンモード|村田製作所、ノイズ対策基礎講座 第4章 シールド|村田製作所

事例:公的な発表に見る、ノイズの障害

身近な電気製品が出す不要な電波が、重要な無線通信を妨げた例が、総務省から公表されています。

LED 電球の電波で列車無線に混信(2012年)

総務省の発表によると、2012年4月、東京都内で鉄道の列車無線に混信が起き、現地の調査で店舗で使われていた LED 電球からの電波が原因と突き止めました。店舗に頼んで LED 電球を交換し、混信は解消しました。同じ年の8月には、宮城県内で空港の航空保安用の装置にノイズが混じり、モニタ用ディスプレイの不具合による電波が原因とされました。

出典:平成25年度 電波利用環境保護周知啓発強化期間の実施(別紙 対応事例)|総務省

太陽光発電の設備から無線への障害(2021年以降)

総務省は 2024年5月、日本電機工業会と太陽光発電協会に障害の防止を依頼しました。2021年以降、太陽光発電が原因と疑われるものも含めて 44件の障害の報告があり、住宅用の一部の機器が、地方公共団体の防災行政無線や消防・救急のデジタル無線などに障害を与えたとしています。対策として、CISPR 11 第6.2版の基準に整合していることの認証を受けた装置を選ぶ、電力線を遮蔽する、障害が出た場合はノイズフィルタを入れるなどで障害を除く、といった方法を挙げています。

出典:太陽光発電システムを原因とする無線通信への障害防止について(依頼)(令和6年5月14日)|総務省

混信・妨害の申告は年に2千件を超える(2022年度)

令和5年版の情報通信白書によると、2022年度の混信・妨害の申告などは 2,432件で、前の年度より13件増えました。そのうち、消防・救急・航空などの重要無線通信の妨害は 385件で、87件(29.2%)増えています。

出典:令和5年版 情報通信白書 電波監視|総務省

植込み型医療機器と携帯電話の距離の見直し(2012年度の検討)

総務省の指針は、植込み型の心臓ペースメーカーなどと携帯電話を「22cm 程度以上離す」としていましたが、この 22cm は測定調査での最大の干渉距離 15cm に安全の余裕を足した値でした。最大の影響を示した方式の携帯電話(第二世代)が 2012年7月にサービスを終えたことを受けて検討し、国際的な整合も考えて、離す距離を 15cm に見直しました。

出典:各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針の改訂(別紙1)|総務省

市場の製品を買って測る VCCI の抜取試験(2024年度)

VCCI 協会は、市場で買った製品の不要な電波を測る抜取試験をしています。2024年度は 65件のうち 63件が一次判定で合格、2件が不合格水準で、詳しい調査の結果、最終的には合格 63件、不合格 1件、会員側で調査中が 1件でした(2025年3月末時点)。前の年度の2件も、2024年度に会員が不合格を認め、2024年度に不合格と判定された件数は合わせて3件としています。

出典:アニュアルレポート 2024(2024年4月〜2025年3月)|VCCI協会

事例の多くは、照明・ディスプレイ・発電設備のような身近な機器です。製品を出したあとで障害がわかると、交換や改修で大きな費用がかかります(編集部の整理と解説)。

企業紹介(EMC対策の技術)

ノイズフィルタ、フェライトなどの対策部品、シールド材とシールドテント、電波暗室の設計・施工、受託試験所まで、得意分野の違う会社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。

相談する前に整理すること

EMC の試験や対策を相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。

  • 製品と売る国(製品の種類、住宅で使うか工場で使うか、出荷する国)
  • 規格とクラス(合わせたい規格・クラス・顧客の社内基準)
  • いまの結果(測った値、超えた周波数・偏波、どの動作状態で超えたか)
  • 構成(基板・電源・モーター・ケーブルの長さと本数・筐体の材料)
  • 症状(誤作動なら、いつ・何をしたとき・頻度、再現の方法)
  • 試験の条件(大きさ・重さ・電源の電圧と電流・動作のさせ方)
  • 日程(いつまでに合格したいか、試験所の予約の時期)
  • 手を入れられる所(基板の改版・部品の追加・筐体の変更ができるか)

困りごとごとの相談先

困りごと相談先の種類このページで紹介した会社
電源線の伝導ノイズを下げたいノイズフィルタのメーカーコーセル・星和電機
ケーブル・筐体の放射を下げたいフェライト・シールド材のメーカー星和電機・富山電気ビルデイング
社内で測れる場所をつくりたいシールドテント・シールドルーム・電波暗室の会社富山電気ビルデイング・日本シールドエンクロージャー
規格どおりの試験をしたい受託試験所OKIエンジニアリング・UL Japan・星和電機
測って、対策まで手伝ってほしい暗室を持つ部品メーカー星和電機・コーセル
車載の EMC 試験をしたい車載に対応する試験所UL Japan・OKIエンジニアリング

各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。会社の紹介は、この下にあります。

企業フィルタ・
部品
シールド
材
電波暗室・
シールドルーム
受託
試験
対策の
相談
コーセルノイズフィルタと EMI 測定サービス(富山県)●●●
星和電機フェライトコアなどの部品と EMC Lab(京都府)●●●●
富山電気ビルデイングシールド生地・シールドテント・シールドルーム(富山県)●●
日本シールドエンクロージャー電波暗室・シールドルームの設計・施工(大阪府)●●
OKIエンジニアリング10m法電波暗室などの受託試験(東京都)●
UL Japan国内6か所の EMC 試験所(三重県)●

●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

コーセル株式会社|電源の入口のノイズフィルタを、選定・貸出・測定まで

コーセルとは

富山県富山市に本社を置く、スイッチング電源などの直流安定化電源のメーカーです(1969年7月設立、従業員数 717名・連結、2026年5月期)。ノイズフィルタも作っています。

コーセルのノイズフィルタ(25シリーズ、単相250V 3〜30Aから三相500V 400〜1000AのTSDシリーズまで)、EMI測定サービス(3m法準拠の電波暗室、放射30MHz〜1GHz、雑音端子電圧150kHz〜30MHz)、選定の支え(フローチャート・テスト機の無償貸出・技術相談)の3枚のカードの図
図9 コーセルのノイズフィルタと EMI 測定サービス
出典:コーセルのノイズフィルタ・EMI 測定サービスのページをもとに AI(Claude)で作成

コーセルの得意技術

技術内容
ノイズフィルタ同社サイトの検索で 25件。単相 250V・3〜30A の機種から、モータドライブシステム向けの三相 500VAC・400〜1000A の TSD シリーズまで。三相4線式 500VAC・25〜300A の YAC シリーズは 150kHz〜1MHz で高減衰としている
EMI 測定サービス3m法準拠の電波暗室(室内有効寸法 W8.5×D5.0×H5.2m、サイト・アッテネーション ±4.0dB 以内)で、放射電界強度(30MHz〜1GHz)と雑音端子電圧(150kHz〜30MHz)を測れる
選ぶための支えノイズフィルタの選定のフローチャート、テスト機の無償貸出、オンラインの技術相談

EMI 測定サービスは、同社の電源評価用の設備で、原則1日の利用としています。

コーセルが解決できる課題

  • 電源線の伝導ノイズで、雑音端子電圧の試験に通らない
  • インバーター・モーター駆動の大電流のラインにノイズフィルタを入れたい
  • 本試験の前に、フィルタを入れた効果を測って確かめたい

出典:会社概要|コーセル、ノイズフィルタ|コーセル、EMI 測定サービス|コーセル、テスト機の無償貸出|コーセル

星和電機株式会社|フェライトコアからシールドテントまでの対策部品と、10m電波暗室の EMC Lab

星和電機とは

京都府城陽市に本社を置く会社です(1949年1月設立、従業員数 527名・2025年12月末現在)。事業の一つにノイズ対策製品があり、情報表示システムや照明機器なども手がけています。

星和電機のノイズ対策部品(フェライトコア、コモンモードチョークE24CMC、ガスケット)、EMC Lab(10m電波暗室はISO/IEC 17025認定試験所、3m電波暗室とシールドルーム)、試験の範囲(10m暗室で放射9kHz〜18GHz、静電気〜30kV、サージ〜15kV)の3枚のカードの図
図10 星和電機のノイズ対策部品と EMC Lab
出典:星和電機の EMC 製品・EMC Engineering Service のページをもとに AI(Claude)で作成

星和電機の得意技術

技術内容
ノイズ対策部品分割・非分割のフェライトコア、GHz 帯対応のフェライトコア、コモンモードチョークコイル(例:E24CMC301835SNH は単相 18A・3.5mH 以上)、ガスケット・導電性布テープ・シールドチューブ、EMI フィルター、磁界プローブ、シールドテント「E25」シリーズ
EMC Lab本社工場内に 10m電波暗室(ISO/IEC 17025:2017 認定試験所)、3m電波暗室とシールドルーム(VCCI 設備登録)。立会測定・依頼測定・出張試験
試験の範囲10m 電波暗室で放射妨害波 9kHz〜18GHz・伝導妨害波 9kHz〜30MHz、3m 電波暗室で車載の CISPR 25(150kHz〜6GHz)。静電気放電 〜30kV、サージ 〜15kV など

星和電機が解決できる課題

  • ケーブル・基板からの放射を、フェライトやシールド材で下げたい
  • 測定・解析から対策まで、同じ会社に相談したい
  • 規格の試験を、認定試験所で受けたい

出典:会社概要|星和電機、EMC 製品|星和電機、コモンモードチョークコイル E24CMC シリーズ|星和電機、EMC Engineering Service|星和電機

富山電気ビルデイング株式会社|シールド生地・シールドテントで、遮蔽した場所を手軽につくる

富山電気ビルデイングとは

富山県富山市に本社を置く会社です(1936年2月設立、従業員数 149名・2025年3月現在)。商事・不動産・食堂の3つの部門があり、商事部門で電設資材・電子機器部品などとともに EMC 事業を手がけています。

富山電気ビルデイングの電磁波シールド生地ILS-R(1MHz −70dB、100MHz −110dB、500MHz −125dB、1GHz −115dB)、シールドテント(〜40GHz、約80dB)、シールドルーム(国内で調達・製造、不燃認定)の3枚のカードの図
図11 富山電気ビルデイングのシールド材とシールドテント
出典:富山電気ビルデイングの製品ページをもとに AI(Claude)で作成

富山電気ビルデイングの得意技術

技術内容
電磁波シールド生地ILS-R:2重・KEC 法で 1MHz −70dB、10MHz −92dB、100MHz −110dB、500MHz −125dB、1GHz −115dB。90g/㎡ の軽さで、生地でも買える
シールドテントイキソルラボ:EMC の帯域〜40GHz に対応し、約 80dB の遮蔽としている
シールドルーム主な部材を国内で調達し、国内の工場で加工・製造する。パネルは不燃認定。EMC 測定室・研究開発・情報漏えいの遮蔽などに

富山電気ビルデイングが解決できる課題

  • 暗室を建てる前に、社内で電波を遮った場所をつくりたい
  • 無線機器の評価で、外の電波の影響をなくしたい

出典:会社概要|富山電気ビルデイング、電磁波シールド生地|富山電気ビルデイング、シールドテント イキソルラボ|富山電気ビルデイング、シールドルーム|富山電気ビルデイング

日本シールドエンクロージャー株式会社|電波暗室・シールドルームを設計・施工する専門メーカー

日本シールドエンクロージャーとは

大阪府守口市に本社を置く、電波暗室・シールドルームの専門メーカーです(1972年6月創業)。電波暗室・シールドルーム・オープンサイトの設計・施工、各種の環境雑音の測定とコンサルティング、測定の補助設備・治具の開発・製造を事業としています。

日本シールドエンクロージャーの電波暗室のページに載っている、白い電波吸収体が格子状に並んだ電波暗室の中に、アンテナのマストと供試品を置く白い台がある写真2枚を左右に並べた画像
電波暗室の内部(日本シールドエンクロージャー)(出典:日本シールドエンクロージャー)

日本シールドエンクロージャーの得意技術

技術内容
3m法電波暗室(標準仕様)外寸 W6,044×D9,300×H5,700mm。サイトアッテネーション(ANSI C63.4)30MHz〜1GHz で ±3.5dB 以内、シールド特性 150kHz〜10GHz で 80dB。電波吸収体はフェライトタイル+誘電型
製品の幅10m法電波暗室、リバブレーションチャンバー、シールドルーム・シールドテント、電波暗箱、電波吸収体
実績1972年の創業以来の納品は累計 4,800件を超え、国内47都道府県すべてと海外14の国・地域に納めたとしている

日本シールドエンクロージャーが解決できる課題

  • 自社に電波暗室・シールドルームを建てたい
  • 測る周波数・規格・供試品の大きさに合わせて、暗室の寸法や吸収体を決めたい
  • 暗室の性能(サイトアッテネーション・シールド特性)の仕様を相談したい

出典:会社概要|日本シールドエンクロージャー、電波暗室|日本シールドエンクロージャー、3m法電波暗室|日本シールドエンクロージャー、納入実績|日本シールドエンクロージャー

OKIエンジニアリング株式会社|10m法電波暗室で、規格の試験から開発段階の評価まで

OKIエンジニアリングとは

東京都練馬区に本社を置く会社です(正式な社名は沖エンジニアリング株式会社。1973年12月創立、従業員数 174名・2026年4月現在)。EMC 試験所は埼玉県本庄市の OKI 本庄工場内にあり、ISO/IEC 17025(JAB)認定の EMC 試験所としています。

OKIエンジニアリングの10m法電波暗室(第一L19.5×W11.5×H7.2m、第二L19×W10×H8m)、対応する規格の例(CISPR 11・14-1・15・32・35、IEC 61000-6、IEC 60601-1-2、IEC 62236)、そのほかの設備(放射妨害9kHz〜40GHz、リバブレーションチャンバー、シールドルーム100dB以上、車載用の電波暗室)の3枚のカードの図
図12 OKIエンジニアリングの EMC 試験設備
出典:OKIエンジニアリングの EMC 試験・設備のページをもとに AI(Claude)で作成

OKIエンジニアリングの得意技術

技術内容
10m法電波暗室第一は室内有効寸法 L19.5×W11.5×H7.2m、第二は L19×W10×H8m(ターンテーブル直径 5m)。エミッション・イミュニティ全般
対応する規格放射妨害は 9kHz〜40GHz(距離 3m/10m)。CISPR 11・14-1・15・32・35、IEC 61000-6-1〜6-4、医療機器の IEC 60601-1-2、鉄道の IEC 62236 など
そのほかの設備リバブレーションチャンバー(1〜6GHz)、シールド効果 100dB 以上のシールドルーム、車載用の電波暗室

OKIエンジニアリングが解決できる課題

  • 規格の EMC 試験を、10m法の暗室で受けたい
  • 医療機器・鉄道・車載など、分野ごとの規格で試験したい

出典:会社概要|OKIエンジニアリング、EMC 試験|OKIエンジニアリング、EMC 試験設備|OKIエンジニアリング

株式会社UL Japan|国内6か所の EMC 試験所で、各国の規格と車載の試験まで

三重県伊勢市に本社を置く、試験・認証の会社です(2003年4月設立、従業員数 約600名・2025年1月現在)。事業の一つに EMC・無線関連のサービスがあります。

UL Solutionsの国内のEMC試験所の規模(6か所、電波暗室33基、シールドルーム32基)、認定(ISO/IEC 17025に基づきJABとA2LA)、車載のEMC(UN Regulation No.10、EN 50498)の3枚のカードの図
図13 UL Japan の EMC 試験所
出典:UL Japan のサイトの EMC 試験所のページ(UL Solutions の説明)をもとに AI(Claude)で作成

UL Japanの得意技術

技術内容
試験所の規模同社サイトの説明では、UL Solutions(UL Japan が属するグループ)は 2026年7月時点で、国内6か所の EMC 試験所に電波暗室 33基・シールドルーム 32基を持ち、商用施設として国内最大規模としている
認定ISO/IEC 17025 に基づき、日本適合性認定協会(JAB)と米国試験所認定協会(A2LA)の認定
対象IT・AV 機器から無線機器、医療機器、自動車や建設機械まで。車載機器の EMC 試験(UN Regulation No.10、EN 50498)

UL Japanが解決できる課題

  • 海外へ出す製品の EMC 試験と、無線の認証をまとめて頼みたい
  • 自動車・建設機械など、大きな物の EMC 試験をしたい

出典:会社概要|UL Japan、EMC 試験所のご案内|UL Japan

よくある質問

基本と規格

EMC・EMI・EMS の違いは?
EMC(電磁両立性)は、ノイズを出しすぎない(エミッション、EMI)ことと、ノイズを受けても誤作動しない(イミュニティ、EMS)ことの両方を満たすことです(ノイズの発生源・伝わる道・受け手)。
クラス A とクラス B は、どちらで届け出ればいいですか?
基本的には、住宅の環境で使うことを意図して開発・販売する機器はクラス B、そうでなければクラス A として扱えます。クラス B の限度値のほうが厳しくなっています(日本の VCCI(自主規制))。
VCCI は法律ですか?
VCCI は業界の自主規制です。電波法・電気用品安全法など法令で決まっている EMC の要求とは別に、情報技術装置などの不要な電波を自主的に規制しています(国際規格と各国の規制のつながり)。
静電気の試験は、何 kV で行いますか?
IEC 61000-4-2 のレベル1〜4 で、接触放電は 2〜8kV、気中放電は 2〜15kV です。どのレベルにするかは製品群規格や顧客の仕様で決まります(イミュニティの試験レベル)。
イミュニティの試験設備を自社に入れるとき、注意することは?
高周波出力が 50W を超える設備は、電波法の高周波利用設備として設置に許可が要ると総務省が案内しています(自社で試験設備を持つときの注意)。

対策と試験

ノーマルモードとコモンモード、どちらを先に対策しますか?
放射で問題になるのは多くがコモンモードです。同じ電流でも格段に強い電波を出すため、ケーブルのフェライト・コモンモードチョーク・グラウンドの強化が先の候補になります(ノーマルモードとコモンモード)。
フェライトコアは、どこに付ければいいですか?
ケーブルが筐体から出るすぐ近くが基本です(編集部の解説)。シールド材と一緒に使うときは、公設試の実験ではシールドの内側に付けるほうが効きました(公設試の実験:ケーブルのシールドは、筐体と全周でつなぐ)。
金属の筐体にしたのに、放射が下がりません。
金属の板そのものより、すき間・合わせ目・ケーブルの穴で性能が決まります。すき間の長さが波長の 1/2 になる周波数で特に漏れます(空間を伝わる道で止める:シールドとすき間)。
ケーブルをシールドしたら、かえって悪くなりました。
シールドが筐体と電気的につながっていないと、シールドなしより高くなることがあります。筐体と全周でつなぎます(公設試の実験:ケーブルのシールドは、筐体と全周でつなぐ)。
自社の 3m の測定で通れば、本試験も大丈夫ですか?
3m法の結果は 10m法より低く出ることがあり、特に垂直偏波で差が大きかったという公設試の比較があります。余裕を大きめにとります(公設試の実験:3m法の結果は、10m法より低く出ることがある)。

回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。

課題このページでの解決課題ページ
ノイズで誤作動する・EMCに通らない発生源・道・受け手のどこで止めるかを決め、試験で確かめる(対策の種類と選び方(フィルタ・フェライト・シールド・グラウンド)・EMC 試験と測定)ノイズ対策部品
ノイズでセンサー値が乱れるケーブル・接地・フィルタで、受け手側を強くする(グラウンドとケーブル)シールド・ツイストペアのケーブル
電磁波シールドを軽く・薄くしたいすき間・合わせ目から先に設計する(空間を伝わる道で止める:シールドとすき間)シールドフィルム・導電テープ
静電気のトラブルを防ぎたい静電気放電の試験レベルと、接地・保護(誤作動の原因になるノイズと試験)接地と作業者の対策
再現しない不具合の原因を突き止めたいノイズを当てて再現させる(トラブルのしくみと対策(誤作動・試験の不合格・事例))ノイズや電源の変動を当てる
高周波・高速信号の伝送損失を減らしたい高い周波数ほど、すき間・配線の影響が大きくなる(空間を伝わる道で止める:シールドとすき間)低損失の積層板

右の列は、関係する課題ページの対策の節へのリンクです。

出典・確認日

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・設備ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。

情報の確認日:2026年10月21日 本ページの内容は一般的な情報です。限度値・試験レベルは規格・版・クラス・機器の種類で変わります。設計や試験には、合わせる規格の最新の版の原文と、試験所・メーカーの資料で確かめてください。各社の技術・実績は、その会社の公開情報にもとづきます。

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