製品を10年使えるか確かめたいが、10年も試験はできない。85℃で1,000時間の試験を通ったが、それが使用条件で何年に当たるのか説明できない。高い温度で試験したら、市場では起きない壊れ方をした。試作品が数個しかなく、寿命のばらつきがわからない。加速試験で寿命を見積もるときの悩みの多くは、「どの壊れ方を、どのストレスで早めて、どう換算するか」が決まっていないことが原因です。
加速試験は、使用条件より厳しいストレスで、同じ壊れ方を短い時間で起こし、加速係数で使用条件の寿命に換算する方法です。まずは次のマトリクスで、自分の課題に近いものと、使える技術を確かめてください。
課題と解決技術のマトリクス
| 課題(症状) | 故障の仕組みと加速モデル | 環境試験装置 | HALT・ステップストレス | ワイブル解析・統計 | 故障解析 |
|---|---|---|---|---|---|
| A試験に時間がかかりすぎ、開発に間に合わない | ◎ | ◎ | ○ | △ | |
| B加速係数がわからず、市場の寿命に換算できない | ◎ | ○ | ○ | ○ | |
| C加速試験で、市場では起きない壊れ方が出る | ○ | △ | △ | ◎ | |
| D試料が少なく、寿命のばらつきや根拠を示せない | △ | ◎ | ○ | ||
| E温度・湿度・振動が重なる環境で壊れ、何で加速すればよいかわからない | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効
※記号は一般的な傾向に基づく目安です。実際の効果は、製品と材料、故障の仕組み、使用環境、求める寿命と信頼水準によって異なります。HALT・ステップストレスは弱点と限界を見つける試験で、寿命の年数を直接出すものではありません。
記号の理由と出典(19件)
マトリクスの記号ごとに、理由と出典をまとめました。出典が「編集部の解説」のものは、この記事の本文の説明をもとにした編集部の評価です。症状の記号を押すと、その症状の説明へ移ります。
| 症状 | 技術 | 記号 | 理由 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| A | 故障の仕組みと加速モデル | ◎ | 壊れ方に効くストレスと加速係数から試験時間を決められ、日程の短縮の第一候補 | JEITA(電子情報技術産業協会) |
| A | 環境試験装置 | ◎ | HASTのように強い条件をかけられ、85℃・85%に対し加速係数20倍の例があり第一候補 | 平山製作所 |
| A | HALT・ステップストレス | ○ | 弱点を早く見つけ試験のやり直しを減らせるが、寿命の年数は出ないため有効止まり | エスペック |
| A | ワイブル解析・統計 | △ | 全数が壊れる前に打ち切って推定できるが、試験時間の短縮は補助的で条件つき | 編集部の解説 |
| B | 故障の仕組みと加速モデル | ◎ | 故障モードと故障メカニズムから加速性を予測し、使用条件に換算する土台になるため第一候補 | JEITA(電子情報技術産業協会) |
| B | 環境試験装置 | ○ | 3つ以上の温度など条件を変えた試験で、自社製品の加速係数を確かめられるため有効 | 編集部の解説 |
| B | ワイブル解析・統計 | ○ | 複数温度のワイブルプロットで故障モードの同一性を確かめ、寿命を求められるため有効 | アイテス |
| B | 故障解析 | ○ | どの条件でも壊れ方が同じと確かめられれば、換算に使えるため有効 | 編集部の解説 |
| C | 故障の仕組みと加速モデル | ○ | 材料の限界温度などを調べ、加速の上限を決められるため有効 | 編集部の解説 |
| C | 環境試験装置 | △ | 振動の加えすぎは過剰試験になるため、制御で蓄積疲労を目標に合わせる場合に限り有効 | IMV |
| C | HALT・ステップストレス | △ | 限界を調べれば、壊れ方が変わらない範囲で条件を選べるが、直接の対策ではなく条件つき | 編集部の解説 |
| C | 故障解析 | ◎ | 壊れた品を調べ、市場の故障と同じ壊れ方かを確かめられるため第一候補 | 編集部の解説 |
| D | 故障の仕組みと加速モデル | △ | 加速係数で試験時間を実質的に延ばせるが、試料数の少なさ自体は解決しないため条件つき | 編集部の解説 |
| D | ワイブル解析・統計 | ◎ | ばらつきを含めた寿命を求められ、試料が少ない場合の下限推定もできるため第一候補 | Stat Lab Analytics |
| D | 故障解析 | ○ | 壊れた1つ1つの壊れ方を確かめ、同じ仕組みのデータだけで解析できるため有効 | 編集部の解説 |
| E | 故障の仕組みと加速モデル | ○ | 見つかった壊れ方ごとに効くストレスとモデルを決められるため有効 | 編集部の解説 |
| E | 環境試験装置 | ◎ | 温湿度と振動などの複合環境試験を行える装置・受託があり第一候補 | IMV |
| E | HALT・ステップストレス | ◎ | 温度・温度サイクル・振動を段階的に強めて複合でもかけ、弱点を見つけられるため第一候補 | 編集部の解説 |
| E | 故障解析 | ○ | 壊れた箇所から、どのストレスで壊れたかを推定できるため有効 | 編集部の解説 |
課題の診断と解決策
試験に時間がかかりすぎ、開発に間に合わない
製品を10年使えるか確かめたいが、10年も試験はできない。使用条件のままの寿命試験では、開発の日程に間に合わない。

- 起きている現象
- 使用条件のままでは、故障が起きるまでに長い時間がかかります。加速試験は、使用条件より厳しいストレス(温度、湿度、温度サイクル、振動、電圧など)をかけて、同じ壊れ方を短い時間で起こす試験です。どのくらい縮められるかは、故障の仕組みと、かけるストレスの大きさで決まります。
- 解決に使える技術
- 故障の仕組みと加速モデル壊れ方に効くストレスを選び、加速係数から試験時間を決める
- 環境試験装置HASTなど、より強い条件をかけられる装置を使う
- HALT・ステップストレス開発の早い段階で弱点を見つけ、後の試験でのやり直しを減らす
- ワイブル解析・統計全数が壊れる前に打ち切り、途中までのデータで寿命を推定する
ストレスを強くするほど試験は短くなりますが、強くしすぎると、市場では起きない壊れ方が出ます。縮める時間だけで条件を決めず、壊れ方が変わらない範囲で選びます。
加速係数がわからず、市場の寿命に換算できない
85℃で1,000時間もったが、それが使用温度で何年に当たるのかわからない。規格の条件で試験したが、根拠を説明できない。

- 起きている現象
- 加速係数は、試験条件での寿命と使用条件での寿命の比です。温度の加速なら、アレニウスの式の活性化エネルギーで決まり、その値は材料と故障の仕組みで変わります。規格で試験時間が決まっていても、その時間が自社の製品の使用条件で何年に当たるかは、別に考える必要があります。
- 解決に使える技術
- 故障の仕組みと加速モデル壊れ方に合うモデル(アレニウス、温湿度、温度サイクルなど)を選ぶ
- ワイブル解析・統計複数の条件で試験し、条件ごとの寿命をそろえて求める
- 環境試験装置3つ以上の温度など、条件を変えた試験を行う
- 故障解析どの条件でも同じ壊れ方かを確かめる
活性化エネルギーを文献の値で決めると、見積もった寿命が大きく変わることがあります。できれば3つ以上の条件で試験して、自社の製品での値を確かめます。
加速試験で、市場では起きない壊れ方が出る
高い温度で試験したら、樹脂が軟らかくなって壊れた。振動を強くしたら、部品どうしがぶつかって壊れた。市場の故障とは違う。

- 起きている現象
- ストレスを上げすぎると、使用条件では働かない別の故障の仕組みが先に働きます。例えば、樹脂のガラス転移温度を超える温度では、材料の性質が変わります。振動を強くしすぎると、フィールドでは起きない跳ねや叩き合いが起きることがあります。こうした壊れ方で出た寿命は、使用条件の寿命に換算できません。
- 解決に使える技術
- 故障解析壊れた品を調べ、市場の故障と同じ壊れ方かを確かめる
- 故障の仕組みと加速モデル材料の限界温度などを調べ、加速の上限を決める
- HALT・ステップストレス限界を先に調べ、加速試験の条件をその内側で選ぶ
- 環境試験装置振動の加えすぎを防ぐ制御を使う
ワイブルプロットの傾きが、条件によって大きく変わるときは、壊れ方が変わっている可能性があります。試験の途中で壊れたものは、捨てずに解析に回します。
試料が少なく、寿命のばらつきや根拠を示せない
試作品が数個しかない。全部壊れるまで待てない。1つも壊れなかったが、それで寿命を保証できるのかわからない。

- 起きている現象
- 寿命には、ばらつきがあります。少ない試料で平均的な寿命だけを見ると、早く壊れるものを見落とします。1つも壊れなかった試験からも、信頼水準を決めれば「少なくともこれだけの寿命はある」という下限を推定できますが、試料の数と試験時間で、言える範囲は限られます。
- 解決に使える技術
- ワイブル解析・統計ワイブルプロットで、ばらつきとB10寿命などを求める。故障ゼロの試験から下限を推定する
- 故障解析壊れた1つ1つの壊れ方を確かめ、同じ仕組みのデータだけで解析する
- 故障の仕組みと加速モデル加速係数を使い、同じ試料数でも試験時間を実質的に延ばす
1個の故障と0個の故障では、推定できる寿命が大きく変わります。必要な試料数と試験時間は、求める寿命と信頼水準から、試験を始める前に計算しておきます。
温度・湿度・振動が重なる環境で壊れ、何で加速すればよいかわからない
車載や屋外の製品で、温度の変化と湿度、振動が同時にかかる。1つずつ試験すると問題がないのに、市場では壊れる。

- 起きている現象
- 市場では、複数のストレスが同時にかかります。温度サイクルで接合部に割れが入り、そこから湿気が入る、というように、ストレスが重なると壊れ方が変わることがあります。どのストレスが効いているかがわからないと、加速する条件を決められません。
- 解決に使える技術
- HALT・ステップストレス温度、温度サイクル、振動を段階的に強め、複合でもかけて、弱点を見つける
- 環境試験装置温湿度と振動を組み合わせた複合環境試験を行う
- 故障の仕組みと加速モデル見つかった壊れ方ごとに、効くストレスとモデルを決める
- 故障解析どのストレスで壊れたかを、壊れた箇所から推定する
複合環境の試験は、1つのストレスの試験より、加速係数の計算が難しくなります。まず弱点を見つけ、壊れ方ごとに、効くストレスを1つずつ確かめると整理しやすくなります。
加速試験で寿命を見積もる仕組み
加速試験と加速係数
加速試験は、温度、湿度、温度サイクル、振動、電圧などのストレスを使用条件より強くして、劣化や故障を早める試験です。試験条件での寿命と使用条件での寿命の比を「加速係数」と呼び、試験で得た寿命に加速係数を掛けて、使用条件の寿命を見積もります。
JEITA(電子情報技術産業協会)の「電子部品の加速寿命試験運用ガイドライン」(2024年2月)は、対象とする故障モードとその故障メカニズムから適正な加速性を予測し、試験条件と想定される使用条件から算出した加速係数で、適正な試験時間を導き出す必要があるとしています。つまり、最初に決めるのは試験の条件ではなく、「どの壊れ方を見るか」です。
温度で加速する:アレニウスの式と「10℃2倍則」
化学反応や拡散で進む劣化は、温度が高いほど速く進みます。この関係を表すのがアレニウスの式で、寿命の対数と絶対温度の逆数は直線の関係になります。いくつかの高い温度で寿命を測り、この直線を使用温度まで延ばすと、使用温度での寿命を見積もれます。直線の傾きは活性化エネルギーで決まり、活性化エネルギーは材料と故障の仕組みで変わります。

AI(Claude)で作成
よく使われる「10℃2倍則」は、温度が10℃上がると劣化の速さが2倍になる(寿命が半分になる)という経験則です。製品設計知識(田口技術士事務所)の解説では、アレニウスの式から見ると、この関係は温度と活性化エネルギーの値によって成り立ったり成り立たなかったりするとしています。絶縁材料では、A種は8℃、B種は10℃、H種は12℃で2倍になるとされ、化学反応で劣化するゴムやプラスチックではよく成り立つ一方、拡散が主な劣化や絶縁紙では成り立たないとしています。
湿度で加速する:85℃・85%とHAST

湿気による劣化(腐食、絶縁の低下、樹脂の吸湿など)は、温度と湿度の両方で加速します。電子部品や基板では、85℃・85%RHの高温高湿試験がよく使われます。さらに時間を縮めるのが、100℃を超える温度で高い湿度をかけるHAST(不飽和加圧水蒸気試験)です。JIS C 60068-2-66は、主に気密封止されていない小形の電子部品を対象に、85%RHで110℃、120℃、130℃の3つの温度の条件を定めています。平山製作所は、プリント基板(FR4)で85℃・85%の試験に対し、120℃・85%のHASTの加速係数を20倍と示しています。
ただし、同じJISは、供試品の最大定格温度や、封止材料の臨界温度(例えばガラス転移温度)に達しないように注意するよう求めています。HASTで時間を縮められるのは、壊れ方が85℃・85%と同じ場合だけです。
温度サイクル・振動で加速する:疲労の考え方

はんだ接合部の割れや金属の疲労のように、くり返しの力で進む壊れ方は、温度サイクルの温度差や、振動の大きさで加速します。塑性変形をともなう低サイクル疲労では、塑性ひずみの範囲と破断までのくり返し数の関係を表すコフィン・マンソン則が使われます。日本機械学会の機械工学辞典では、指数は多くの金属で0.5〜0.6としています。温度差を大きくすると、1回あたりのひずみが大きくなり、少ないサイクル数で割れます。
加速しすぎると、壊れ方が変わる

加速試験の前提は、試験条件でも使用条件でも、同じ仕組みで壊れることです。ストレスを上げすぎると、使用条件では働かない別の仕組みが先に働きます。樹脂ならガラス転移温度を超えると性質が変わります。IMVは、振動の加速試験で加速をしすぎると、フィールドでは発生しない「とび跳ね」「叩き合い」などの非線形な現象が起き、想定以上の振動ストレスがかかる過剰試験になる、としています。

AI(Claude)で作成
壊れ方が変わったかどうかは、壊れた品を解析して確かめます。条件ごとのワイブルプロットの傾きを比べる方法もあります。アイテスは、各温度の故障時間をワイブルプロットにし、傾きを比べて故障モードが同じかを確かめてから、寿命をアレニウスプロットにしています。
出典:電子部品の加速寿命試験運用ガイドライン|JEITA、10℃2倍則|製品設計知識、JIS C 60068-2-66(高温高湿,定常(不飽和加圧水蒸気))|kikakurui.com、HAST試験・高加速寿命試験装置|平山製作所、コフィン・マンソン則|日本機械学会 機械工学辞典、K2 Fatigue|IMV、アレニウスモデルによる電子部品の寿命予測|アイテス
解決技術の詳細
加速試験で寿命を見積もるための技術は、大きく分けて、①故障の仕組みと加速モデル、②環境試験装置、③HALT・ステップストレス、④ワイブル解析・統計、⑤故障解析、の5つです。①でどの壊れ方をどう早めるかを決め、②で条件をかけ、④でばらつきを含めた寿命を求め、⑤で壊れ方を確かめます。③は、その前に弱点と限界を調べる試験です。

AI(Claude)で作成
故障の仕組みから加速モデルを選ぶ
はじめに、市場で起きている(または起きそうな)壊れ方を挙げ、それぞれに効くストレスを決めます。化学反応や拡散で進む劣化なら温度、腐食や絶縁の低下なら温度と湿度、接合部や金属の疲労なら温度サイクルや振動、というように、壊れ方によって使うモデルが変わります。温度にはアレニウスの式、温度サイクルによる疲労にはコフィン・マンソン則をもとにした式がよく使われます。
モデルの定数(活性化エネルギーや指数)は、見積もる寿命を大きく左右します。文献の値を使う場合も、できれば3つ以上の条件で試験して、自社の製品での値を確かめます。あわせて、材料のガラス転移温度や部品の定格温度など、加速の上限も決めておきます。
環境試験装置で、決めた条件を正確にかける

条件が決まったら、それを正確にかける装置を使います。温度なら恒温槽、温度と湿度なら恒温恒湿槽やHAST装置、温度サイクルなら冷熱衝撃装置、振動なら振動試験装置です。装置を持たない場合は、受託試験所を使えます。IMVは、国内外10拠点でISO/IEC 17025認定の試験所を展開し、振動、衝撃、複合環境、冷熱衝撃、塩水噴霧などの試験を受託しています。
振動の加速試験では、振動を強くしすぎると過剰試験になるため、IMVのK2 Fatigueのように、試験時間内に製品の受ける蓄積疲労が目標値に達するよう、振動台の制御目標を自動で求める方法もあります。
HALT・ステップストレスで、弱点と限界を先に見つける
HALT(Highly Accelerated Limit Test。日本語では「高加速寿命試験」と呼ばれることもあります)は、温度や振動のストレスを段階的に強めて、製品の弱点と限界を短い期間で見つける試験です。低温、高温、温度サイクル、ランダム振動、それらの複合、という順にステップを進めます。エスペックは、HALT/HASSは製品の信頼性(寿命)予測を行うものではなく、製品の稼働限界と破壊限界を見つける、設計者のための設計プロセスツールだとしています。

AI(Claude)で作成
HALTで見つけた弱点を直してから加速寿命試験をすると、試験のやり直しを減らせます。また、動作限界や破壊限界がわかれば、加速寿命試験の条件を、壊れ方が変わらない範囲で選びやすくなります。
ワイブル解析で、ばらつきを含めた寿命を求める
寿命には、ばらつきがあります。ワイブル解析は、故障までの時間をワイブルプロットにして、ばらつきを含めた寿命を求める方法です。Stat Lab Analyticsの解説によると、プロットの傾きである形状パラメータが1より小さければ初期故障型、1なら偶発故障型、1より大きければ摩耗故障型で、尺度パラメータは累積故障確率が約63.2%になる時間です。ただし、形状パラメータだけで物理的な故障原因を断定することはできないとしています。

AI(Claude)で作成
寿命の指標には、全体の10%が故障するまでの時間であるB10寿命などがよく使われます。試料が少ない場合や、1つも壊れなかった場合でも、信頼水準を決めれば、寿命の下限を推定できます。技術コンサルタントの英知継承の解説は、1個の故障と0個の故障とで、予測に大きな差が出るとしています。必要な試料の数と試験時間は、試験を始める前に計算しておきます。
故障解析で、壊れ方が同じかを確かめる

加速試験で壊れた品は、どこが、どう壊れたかを調べます。壊れ方が市場の故障と同じなら、その試験で得た寿命を換算に使えます。違えば、加速のしすぎか、別の弱点が見つかったことになります。東芝ナノアナリシスは、半導体の故障解析の手順として、故障モードの把握、外観検査と電気特性の測定、X線や超音波による非破壊の観察、故障箇所の絞り込み、断面の観察と元素分析、という段階で故障の仕組みを明らかにするとしています。
出典:電子部品の加速寿命試験運用ガイドライン|JEITA、テスト&ソリューション|IMV、K2 Fatigue|IMV、HALT(高加速寿命試験)|クオルテック、HALT/HASSとは|エスペック、ワイブル分析とは|Stat Lab Analytics、B10ライフ|TQM+QC用語辞典、信頼性寿命予測の方法|技術コンサルタントの英知継承、半導体故障解析の手順|東芝ナノアナリシス
加速試験と寿命推定の技術を持つ企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。
| 企業 | 解決できる課題 | 種類 | 何ができるか | 合う症状 |
|---|---|---|---|---|
| エスペック | 環境試験器・受託試験 | HALT/HASSの受託試験で、製品の稼働限界と破壊限界を短期間で見つける。試験条件や治具の作り方から相談できる。 | A 試験に時間がかかりすぎ、開発に間に合わない E 温度・湿度・振動が重なる環境で壊れ、何で加速すればよいかわからない | |
| 平山製作所 | 試験装置メーカー | HAST試験装置で、85℃・85%の高温高湿試験を短い時間に縮める。電子部品や基板の湿気による劣化を早く評価する。 | A 試験に時間がかかりすぎ、開発に間に合わない B 加速係数がわからず、市場の寿命に換算できない | |
| クオルテック | 受託試験・故障解析 | HALTで稼働限界を探り、試験で壊れた部品を故障解析で調べる。 | C 加速試験で、市場では起きない壊れ方が出る E 温度・湿度・振動が重なる環境で壊れ、何で加速すればよいかわからない | |
| IMV | 振動試験装置・受託試験 | 蓄積疲労を目標にした振動制御で、振動の加速試験のかけすぎを防ぐ。温度・湿度と振動を組み合わせた試験も受託する。 | A 試験に時間がかかりすぎ、開発に間に合わない C 加速試験で、市場では起きない壊れ方が出る E 温度・湿度・振動が重なる環境で壊れ、何で加速すればよいかわからない | |
| アイテス | 分析・評価 | 複数の温度で試験し、ワイブルとアレニウスで使用温度の寿命を予測する。壊れた部品の断面を見て故障の原因を調べる。 | B 加速係数がわからず、市場の寿命に換算できない C 加速試験で、市場では起きない壊れ方が出る D 試料が少なく、寿命のばらつきや根拠を示せない |
エスペック株式会社|HALT/HASSの受託試験で、製品の弱点と限界を短期間で見つける
エスペックとは
エスペックは、大阪市北区に本社を置く、環境試験器の会社です。1947年に創業しました。環境試験器、HALT/HASS試験装置、計測・評価システムなどの製造と、受託試験やコンサルティングを行っています。

出典:エスペックの公開情報をもとに AI(Claude)で作成
エスペックの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| HALT/HASS受託試験 | 神戸試験所の Typhoon 2.5+Inferno で、製品の仕様を超える温度と振動をかけ、弱点を見つける。試験条件の決め方や固定治具の相談にも応じる |
| 試験装置の仕様 | 温度範囲 −100〜+250℃(温度変化速度は平均70℃/min)、振動5〜75Grms(6自由度)、テーブル762×762mm、積載質量145kg |
| 試験期間 | 一般的には全ステップで5日程度(試料や条件によって変わる) |
同社は、HALT/HASSは製品の信頼性(寿命)予測を行うものではなく、製品の稼働限界と破壊限界を見つける、設計者のための設計プロセスツールだとしています。寿命の年数を見積もるには、別に加速寿命試験を組み合わせます。
エスペックが解決できる課題
- 開発の早い段階で、製品の弱点を短期間で見つけたい
- 温度と振動が重なる環境で壊れる箇所を知りたい
- HALTの試験条件や治具の作り方から相談したい
出典:HALT/HASS受託試験|エスペック、HALT/HASSとは|エスペック、会社概要|エスペック
株式会社平山製作所|高温高湿の試験を、HASTで短い時間に縮める試験装置
平山製作所とは
平山製作所は、埼玉県春日部市に本社を置く、1924年創業の会社です。滅菌器、医療機器、理化学機器、環境試験装置の製造・販売と修理を行っています。HAST試験装置(高度加速寿命試験装置)とPCT装置をつくっています。

平山製作所の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| HAST試験装置 | PC-R9シリーズ、PC-R8シリーズ、PC-242HSR2 など。100℃を超える温度と高い湿度を、加圧した容器の中でつくる |
| 加速係数の例 | プリント基板(FR4)の恒温恒湿バイアス試験(85℃・85%)に対して、HAST試験(120℃・85%)を行った場合の加速係数を20倍としている |
| 対象と導入前テスト | シリコンウエハー、IC・LSI、電子部品、LED、プリント配線板、コネクター、プラスチック材料、接着剤など。無料の導入前テストを行っている |
加速係数は、材料と故障の仕組みで変わります。20倍という値は、同社が示すプリント基板(FR4)の例です。自社の製品で使うときは、85℃・85%の試験との対応を確かめます。
平山製作所が解決できる課題
- 85℃・85%の高温高湿試験に時間がかかりすぎる
- 電子部品や基板の、湿気による劣化を早く評価したい
- HAST装置を導入する前に、試験を試したい
出典:HAST試験・高加速寿命試験装置|平山製作所、会社概要|平山製作所
株式会社クオルテック|HALTで稼働限界を探り、壊れた箇所を故障解析で調べる受託試験
クオルテックとは
クオルテックは、大阪府堺市に本社を置く、1993年設立の会社です。電子部品の故障解析・信頼性試験の受託、レーザ加工・表面処理、試験装置の設計・製造・販売を行っています。

クオルテックの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| HALT試験 | 短時間にストレスを増大させていき、強制的にサンプルの破壊領域に到達させ、故障を発生させる試験。低温、高温、温度サイクル、ランダム振動、複合の各ステップで行う |
| 試験の条件 | 温度 −100〜200℃(温度変化速度70℃/min)、ランダム振動100Grms、周波数0〜10,000Hz、6自由度の加振 |
| 故障解析・信頼性試験 | 電子部品の故障解析と信頼性試験を受託している |
クオルテックが解決できる課題
- 温度と振動が重なる環境で、どこが最初に壊れるかを知りたい
- 試験で壊れた部品を、どう壊れたか調べたい
出典:HALT(高加速寿命試験)|クオルテック、会社概要|クオルテック
IMV株式会社|振動の加速試験で「かけすぎ」を防ぐ、蓄積疲労を目標にした振動制御
IMVとは
IMVは、大阪市西淀川区に本社を置く、1957年設立の振動試験の会社です。振動試験装置・複合環境試験装置の開発・製造・販売と、振動(環境)試験を中心とした受託試験、計測解析サービスを行っています。

出典:IMVの公開情報をもとに AI(Claude)で作成
IMVの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 受託試験所 | 国内6拠点・海外2拠点のテストラボを持ち、国内外10拠点でISO/IEC 17025認定の試験所を展開している。正弦波、ランダム波、衝撃、複合環境試験、冷熱衝撃試験、塩水噴霧試験などを行う |
| K2 Fatigue(蓄積疲労振動制御) | 試験時間内に製品の受ける蓄積疲労が目標値に達するように、振動台の制御目標を自動で求める |
| 過剰試験を防ぐ | 加速をしすぎると、フィールドでは起きない「とび跳ね」「叩き合い」などの非線形な現象が起き、想定以上の振動ストレスがかかる過剰試験になる、という課題に対応する |
IMVが解決できる課題
- 輸送や使用中の振動に耐えるかを、短い時間で確かめたい
- 振動を強くして試験時間を縮めたいが、かけすぎが心配
- 温度・湿度と振動を組み合わせた試験を外部に頼みたい
出典:テスト&ソリューション|IMV、K2 Fatigue|IMV、会社概要|IMV
株式会社アイテス|複数の温度で試験し、ワイブルとアレニウスで使用温度の寿命を予測する
アイテスとは
アイテスは、滋賀県大津市に本社を置く、1993年設立の会社です。日本アイ・ビー・エム野洲事業所の品質保証部門を母体に設立されました。部品のデータ収集から故障解析までの分析・評価、太陽電池パネルの検査装置、装置の修理などを行っています。

出典:アイテスの公開情報をもとに AI(Claude)で作成
アイテスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| アレニウスモデルによる寿命予測 | 異なる温度(T1、T2、T3)で信頼性試験を行い、抵抗値などをその場で連続して測る |
| ワイブルプロット | 各温度の故障時間をワイブルプロットにし、傾きを比べて故障モードが同じかを確かめる。求める累積故障率(例:0.1%)での各温度の寿命を決める |
| アレニウスプロット | 各温度の寿命をアレニウスプロットにして、目的の温度での寿命を予測する |
アイテスが解決できる課題
- 加速試験の結果を、使用温度での寿命に換算したい
- 試験の温度で、故障の仕組みが変わっていないかを確かめたい
- 壊れた部品の断面を見て、故障の原因を調べたい
出典:アレニウスモデルによる電子部品の寿命予測|アイテス、会社概要|アイテス、会社・事業の沿革|アイテス
選ぶ前に確かめる条件
企業に相談したり、試験を組んだりする前に、次の条件を整理しておくと、試験の設計が早くなります。
- 見積もりたい寿命(年数、使用時間、サイクル数)と、その寿命で許せる故障の割合(例:10%、0.1%)、信頼水準
- 市場での使われ方(温度、湿度、温度変化の回数、振動、電圧、使用時間)と、最も厳しい条件
- 市場で起きている、または起きそうな壊れ方。過去の不具合や、似た製品の故障のデータ
- 材料や部品の限界(ガラス転移温度、定格温度、定格電圧など)
- 使える試料の数と、試験にかけられる期間
- 故障をどう判定するか(特性値の変化量、動作の停止など)と、試験中に測り続けられるか
- 規格や顧客から求められている試験条件があるか。その条件と、自社の使用条件との対応
- 壊れた品を解析する体制(社内か、外部に頼むか)
関連する課題
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年9月29日





