モーターの回転を歯車に伝える、車輪を支える、エンジンの力をタイヤまで送る。機械の中で「回るもの」の中心には、たいていシャフト(軸)があります。このページでは、シャフトとは何か、各部の名前、おもな種類、自動車のドライブシャフトとプロペラシャフトの違い、部品のつなぎ方、ねじりの強さの考え方と計算例、折れやすい所を、図で順に解説します。
シャフト(軸)とは:ひとことで言うと
シャフト(軸)とは
シャフト(軸)は、機械の回転の中心になり、回る部品を支える棒状の部品です。伝動軸は原動機の力(トルク)を伝え、車軸は車輪を支えます(ウィキブックス「高等学校工業 機械設計」)。
自動車用語辞典『大車林』も、シャフトを、ギヤなどを回転させたり固定したりして支える棒状の部品で、軸受(ブッシュやボールベアリング)で支えられ、スプラインを通してトルクを伝えるもの、と説明しています。

出典:ウィキブックス、Weblio辞書をもとに AI(Claude)で作成
実際の機械の軸は、ただの丸い棒ではなく、場所ごとに太さを変えた段付き軸になっていることがよくあります。図は一つの例です。両側の細い段に軸受(ベアリング)をはめて軸を支え、太い段に歯車をはめ、つば(段)で歯車の位置を決めます。歯車が軸の上で空回りしないように、キー溝とキーで回り止めをします。軸端には、モーターとつなぐカップリング(軸継手)やプーリーを付けます(図は編集部の模式図)。
出典:高等学校工業 機械設計/機械要素と装置/軸|ウィキブックス、Shaft(出典:自動車用語辞典『大車林』三栄書房)|Weblio辞書
シャフト(軸)のおもな種類

出典:ウィキブックス、Weblio辞書、カーナリズム(IID)をもとに AI(Claude)で作成
軸は、何をするかで呼び名が変わります。ウィキブックスの解説は、伝動軸はおもにねじりの力を、車軸は重さによるおもに曲げの力を受けるとしています。形で分けると、軸心がまっすぐな真直軸、往復運動と回転運動を変えるクランク軸、向きを少し変えたり衝撃をやわらげたりできるたわみ軸があります。
| 呼び名 | おもな役目 | おもに受ける力 |
|---|---|---|
| 伝動軸 | 原動機(モーター・エンジン)の回転を、歯車・プーリーなどへ伝える | ねじり |
| 車軸 | 車輪を支える | 曲げ |
| クランク軸(クランクシャフト) | ピストンの往復運動と回転運動を変える | ねじりと曲げ |
| たわみ軸 | 軸の向きを少し変えて伝える・衝撃をやわらげる | ねじり |
| 主軸(スピンドル) | 工作機械で工具や材料をつかんで回す | ねじりと曲げ |
※表の「おもに受ける力」は、伝動軸と車軸がウィキブックスの記述、ほかの行と主軸の役目は編集部の補足です。
『大車林』は、トルクを伝える軸の中にも、車軸(アクスルシャフト)のように曲げの荷重を分担するものがある、としています。ウィキブックスの解説も、軸ではねじりだけでなくさまざまな応力を考える必要がある、としています。
出典:高等学校工業 機械設計/機械要素と装置/軸|ウィキブックス、Shaft(出典:自動車用語辞典『大車林』三栄書房)|Weblio辞書
ドライブシャフトとプロペラシャフトの違い(自動車)

出典:カーナリズム(IID)をもとに AI(Claude)で作成
「ドライブシャフト」は、自動車の部品の名前としてよく検索されます。カーナリズムの解説によると、日本では車の左右方向に伸びて、駆動輪(タイヤ)に回転を伝えるシャフトをドライブシャフトと呼び、FR車(後輪駆動)や4WD車で前後方向に伸びるシャフトをプロペラシャフトと呼びます。どの駆動方式でも、駆動輪にいちばん近い軸がドライブシャフトです。
両端の等速ジョイントとブーツ
走っているあいだ、タイヤはでこぼこで上下に動き、前輪はハンドルで向きも変わります。そのため、ドライブシャフトの両端には等速ジョイントが付いていて、角度が変わっても回転を一定に伝えます。ジョイントの中はグリースで満たされ、ゴムや樹脂のブーツで覆われています。ブーツは消耗品で、破れるとグリースが漏れ、異音や振動の原因になります(カーナリズム)。
出典:ドライブシャフトとは?交換時期や修理費用もご紹介|カーナリズム(IID)

出典:NTN株式会社(YouTube)
等速ジョイントなどを手がける NTN が、2022年“超”モノづくり部品大賞で大賞を受けた固定式等速ジョイント「CFJ」を紹介する動画です。
軸に部品をつなぐ方法:キー・スプライン・圧入

出典:ウィキブックスをもとに AI(Claude)で作成
歯車やプーリーを軸に付けただけでは、トルクをかけると空回りしてしまいます。ウィキブックスの解説から、おもな方法をまとめます。
- キー:軸と相手の部品の両方に溝(キー溝)を切り、そこにキーをはめて回り止めにする。平行キー・こう配キーなどの沈みキー、接線キー、半月キーがある。キーはせん断と圧縮の力を受け、大きくすると軸の溝も大きくなって軸が弱くなるので、JIS の規格の寸法を使うことが多い
- スプライン:軸のまわりに等間隔の歯を直接削り出したもの。キーより大きな力に耐え、部品を軸方向に動かすこともできる。角形(JIS B 1601)とインボリュート(JIS B 1603)がある
- セレーション:山形の細かい歯を削り出したもの。スプラインより歯が小さく数が多く、ふつうは軸方向に動かさない所に使う
- 圧力ばめ(圧入)・焼きばめ:軸を穴より少し太くして押し込む、または穴のある部品を温めて広げてからはめ、冷えて縮む力で締め付ける
このほか、ねじの先で軸を押さえる止めねじは、小さな力の所に使われます(編集部の補足)。圧入のはめあいの決め方は課題「圧入・焼きばめの部品が抜ける・割れる」、はめあいの記号は技術の基礎知識「公差・はめあい」で解説しています。
出典:高等学校工業 機械設計/機械要素と装置/軸|ウィキブックス
軸の強さの考え方:トルクとねじり応力

出典:ウィキブックスをもとに AI(Claude)で作成
軸を回す力の大きさはトルク(ねじりモーメント)で表します。トルクは「力 × 回転の中心からの距離」です。ウィキブックスの解説では、モーターなどの動力 P[W]と回転数 n[rpm]から、T[N·mm]= 9.55×10³ × P / n でトルクを求めます。
トルクを受けた丸い軸の中には、ねじれる向きのせん断応力が生まれます。中まで詰まった丸い軸(中実軸)では、τ = 16T /(πd³)(d は軸の直径)です。直径の3乗で割るので、軸を少し太くするだけで応力は大きく下がります。
計算例:1kW・1000rpm のモーターの軸
| 条件 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 動力 1kW(1,000W)、回転数 1,000rpm | T = 9.55×10³ × 1,000 / 1,000 | 9,550 N·mm(9.55 N·m) |
| 直径 10mm の中実軸 | τ = 16 × 9,550 /(π × 10³) | 約 48.6 MPa |
| 直径 20mm の中実軸 | τ = 16 × 9,550 /(π × 20³) | 約 6.1 MPa(10mm の8分の1) |
| 外径 20mm・内径 12mm の中空軸 | τ = 16 × 9,550 × 20 /(π ×(20⁴ − 12⁴)) | 約 7.0 MPa(重さは中実の 64%) |
表は、ウィキブックスの式に編集部が数値を入れて計算した例です。直径を2倍にすると、応力は8分の1になります。また、外径20mm の軸の中を直径12mm だけくりぬいても、応力は約6.1MPa から約7.0MPa に上がるだけで、重さ(断面積)は64%に減ります。ねじりの力は軸の外側ほど大きく受け持ち、中心の近くはあまり働かないので、軽くしたい軸には中空軸が使われます(この理由の説明は編集部の補足。中空軸の式はウィキブックスに載っています)。
実際の設計では、ねじりと同時にかかる曲げの力(中実軸の曲げ応力は σ = 32M /(πd³))、くり返しの力による疲労、軸のたわみ、そして危険速度(共振を起こす回転数)も考えます(ウィキブックス)。危険速度は共振の一つで、その近くの回転数で回し続けると軸が大きく振れます。
出典:高等学校工業 機械設計/機械要素と装置/軸|ウィキブックス
軸が折れやすい所:段の角とキー溝

出典:MONOist、ウィキブックスをもとに AI(Claude)で作成
軸は回りながら何度も力を受けるので、疲労で折れることがあります。疲労の起点になりやすいのは、力が集中しやすい所、つまり太さが急に変わる段の角や、キー溝のように形が急に変わる所です。こうした所では力が集中し(応力集中)、ウィキブックスの解説も、キー溝は応力集中の原因になるとしています。
対策の一つは、段の角に丸み(隅R)を付けて、形の変わり方をなだらかにすることです。MONOist の連載(CAE と疲労強度の計算)では、隅R を付けたモデルの解析で、隅R を 3.6mm から 4.5mm に広げると、最大応力が約128MPa から約102MPa に下がる例が示されています。隅R が小さいほど、角に力が集中しやすくなります(編集部の補足)。
ただし、隅R を大きくすると、そこに当てる軸受や部品の角との取り合いも変わります。軸の材料の選び方は技術「炭素鋼・合金鋼(S45C・SCM440 などの選び方)」、表面を硬くして摩耗や疲労に強くする方法は技術「表面硬化(窒化・浸炭・高周波焼入れ)」で解説しています(『大車林』は、軸にはクロム鋼などに浸炭焼入れをして強度を上げるのが一般的としています)。
出典:応力集中があるときの金属の疲労強度:CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる(8)|MONOist、高等学校工業 機械設計/機械要素と装置/軸|ウィキブックス、Shaft(出典:自動車用語辞典『大車林』三栄書房)|Weblio辞書
シャフト(軸)が出てくるページ
出典
- 高等学校工業 機械設計/機械要素と装置/軸|ウィキブックス
- Shaft(出典:自動車用語辞典『大車林』三栄書房)|Weblio辞書
- ドライブシャフトとは?交換時期や修理費用もご紹介|カーナリズム(IID)
- 応力集中があるときの金属の疲労強度:CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる(8)|MONOist
※図は、出典の説明をもとに編集部がまとめた模式図です。
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年10月30日
