カバーを外すのに何種類ものねじを外している。樹脂と金属を強い接着剤で貼っていて、分けられない。何の樹脂か分からず、回収しても再生材にならない。分解とリサイクルのしやすさは、製品を設計する段階の留め方と材料の選び方に、大きく左右されます。
2026年4月に改正資源有効利用促進法が施行され、再生プラスチックの利用の計画と報告が求められ、解体・分別しやすい設計には認定制度が設けられました。ねじが多いのか、接着やインサートで分けられないのか、材質が分からないのか、塗装や異物で再生材の質が落ちるのか。次のマトリクスで、自分の課題に近いものと、使える方法を確かめてください。
課題と解決技術のマトリクス
| 課題(症状) | 分解しやすい留め方(ねじをそろえる・スナップフィット) | 解体性接着剤(熱・電気・液で剥がせる) | 材料をそろえる(異種の結合・インサート・塗装を減らす) | 材質表示と判別(表示・近赤外・ラマン分光) | 再生材の品質を上げて使う(選別・異物除去・コンパウンド) |
|---|---|---|---|---|---|
| Aねじが多く、外すのに時間がかかる | ◎ | ○ | ○ | ||
| B接着・溶着・インサートで、材料を分けられない | ○ | ◎ | ◎ | ||
| C樹脂の種類が多く、材質が分からないので選別できない | ◎ | ◎ | ○ | ||
| D塗装・めっき・難燃剤・異物で、再生材の品質が落ちる | ◎ | ○ | ◎ | ||
| E再生材の利用や、解体・分別しやすい設計を求められている | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ |
◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効
※記号は一般的な傾向に基づく目安です。実際に使える方法は、製品の種類・大きさ、使う材料、使用中の温度や環境、回収とリサイクルのしくみ、作る数によって異なります。「材質表示と判別」の「○」(症状A)は、取り外すねじの位置を表示して手解体を助ける方法(家電製品協会のガイドライン)を示します。「分解しやすい留め方」の「○」(症状B)は、スナップフィットでは接着剤が要らないこと(日本機械学会誌)をもとにした編集部の見立てです。症状Cの「再生材の品質を上げて使う」の「○」と、症状Dの「材質表示と判別」の「○」は、再生材の工程に選別や異物の除去が含まれることを示します。◎は、公的機関・業界団体・学会の資料や企業の事例で、その症状に直接はたらくとされている方法、○は効果が期待できる方法を示します(記号の根拠は、下の「解決技術の詳細」と企業紹介の各出典です)。空欄は、その方法だけでは直接の対策になりにくいことを示します。
課題の診断と解決策
困っていること(ねじ、分けられない結合、材質の判別、再生材の品質、求められていること)から、使える方法の見当をつけられます。症状ごとの詳しい見方は、下のカードで確かめてください。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
ねじが多く、外すのに時間がかかる
カバーを外すのに何種類ものねじを外し、製品を何度もひっくり返している。ねじの位置が分からず、解体に時間がかかる。

- 起きている現象
- 家電製品協会の製品アセスメントマニュアルは、手解体・分別の作業の時間と、取り外すねじの数と種類を、従来の同等の機種と比べて減らしたかを確かめる項目にしています。取り外すねじの近くに位置を表示する例も挙げています(同協会の表示のガイドライン)。
スナップフィットは、繰り返し使うなら疲労破壊を考え、高温・低温での使用に注意が必要です(日本機械学会誌)。修理のために何度も開ける所は、繰り返し外せる留め方にします(編集部の解説)。
接着・溶着・インサートで、材料を分けられない
樹脂のケースに金属のナットが埋まっている。樹脂と金属を強い接着剤で貼っていて、外れない。破砕すると、金属と何種類もの樹脂が混ざる。

- 起きている現象
- 製品アセスメントマニュアルは、分離が難しい異種結合の部品の質量、プラスチック部品への金属インサートを確かめる項目にしています。三菱電機技報によると、手作業で選別・回収しにくい部品や複合プラスチックは、破砕して金属を取り除いても、多種類のプラスチックが混ざった混合プラスチックになり、素材の価値がほとんどありませんでした。
解体性接着剤は、剥がす条件(温度・電気・液)が、使っているあいだの温度や環境と重ならないようにします。接着の強さと剥がしやすさは、添加剤の量などで両立しにくい面があります(日本火薬学会誌の論文)。
樹脂の種類が多く、材質が分からないので選別できない
部品ごとに違う樹脂を使っていて、何の樹脂か表示がない。黒い部品が多く、選別の装置でも判別できない。

- 起きている現象
- 製品アセスメントマニュアルは、似た物性の異種材料の種類の数を減らすことと、質量100g(できれば25g)以上のプラスチック部品に材質を表示することを求めています。表示がない部品は光で判別しますが、黒色のプラスチックは、近赤外分光方式では判別が難しいとされています(MONOist)。
JIS C 9912 の FAQ によると、材質表示に法律の義務はありません。表示は金型の成形で入れることが多いため、金型を作る段階で決めておきます(編集部の解説)。
塗装・めっき・難燃剤・異物で、再生材の品質が落ちる
回収した樹脂を再生しても、色むらや異物が出て、外観の部品に使えない。物性がロットごとにばらつき、採用できない。

- 起きている現象
- 環境省の実証事業(平成27年度)では、塗膜の付いたバンパーは再生材の用途が限られ、塗膜による色むらも出るため、外から見える部品には使いにくいとされました。回収した PP 部品の買取価格は、内装部品が50円/kg、異物を除いたバンパーが30円/kg、異物を除かないバンパーが20円/kg でした。
自動車向けの再生 PP の評価では、全項目の目標値を満たしたサンプルは14%で、物性のばらつきと異物・環境負荷物質・臭気が課題とされています(環境省の産官学コンソーシアム)。再生材は、使う部品に必要な物性を決めてから試します(編集部の解説)。
再生材の利用や、解体・分別しやすい設計を求められている
法改正や取引先から、再生プラスチックの利用や、解体しやすい設計を求められた。何から始めればよいか分からない。

- 起きている現象
- 改正資源有効利用促進法(2026年4月1日施行)は、自動車・家電4品目・容器包装を対象に再生プラスチックの利用の計画と定期報告を求め、解体・分別しやすい設計などの特に優れた環境配慮設計を認定する制度をつくりました(環境省)。EU の ELV 規則案も、新車の再生プラスチックの含有率を定める方向で暫定合意しています。
認定の基準は、業界団体の提案をもとに製品ごとに順次つくられます(環境省)。自社の製品の分野の業界団体の動きを確かめます(編集部の解説)。
なぜ、分解・リサイクルしにくくなるのか
分けられないと、混ざって価値が下がる
環境省の中央環境審議会の資料は、家電のプラスチックのリサイクルのしやすさに影響する要素として、分離のしやすさ(部品の解体のしやすさ)、素材の種類(単一素材の PP・PS・ABS)、表面塗装がないこと、異物の混入、汚れ、劣化、難燃剤などを挙げています。再生プラスチックの品質は、同じ種類の製品に戻す水平リサイクルが高く、雑貨やパレット、焼却・熱回収、埋立処分の順に低くなります。

出典:環境省 中央環境審議会の資料をもとに AI(Claude)で作成

三菱電機技報は、手作業で選別・回収しにくい部品や複合プラスチックは、破砕したあとに金属を取り除いても、金属と多種類のプラスチックでできた混合プラスチックとして扱われ、素材の価値がほとんどなかったとしています。同社はこの混合プラスチックから PP・PS・ABS を純度99%以上で選別する自動選別のラインを開発し、ルームエアコンの外郭の意匠部品ではなく内部の部品に使う検討をしました。
環境省の平成27年度の実証事業(自動車の PP 部品)でも、塗膜の付いたバンパーは再生材の用途が限られ、塗膜による色むらが出るため、外から見える部品には使いにくいとされました。回収した部品の買取価格は、塗膜のない内装部品と、塗膜や異物のあるバンパーとで差がありました。

出典:環境省「平成27年度 低炭素型3R技術・システム実証事業 報告書」をもとに AI(Claude)で作成
再生材の利用が求められ、解体しやすい設計は認定で後押しされる
2025年に改正された資源有効利用促進法は、2026年4月1日に施行されました。環境省の資料によると、自動車・家電4品目・容器包装を対象に、再生プラスチックの利用に関する計画の提出(令和9年度から)と定期報告(令和10年度から)を求めます。また、解体・分別しやすい設計や長寿命化につながる設計など、特に優れた環境配慮設計の認定制度をつくりました。対象は50品目(主に自動車・小型家電・家電)で、業界団体の提案をもとに製品別の認定基準が順次つくられます。認定製品はその旨を表示でき、リサイクルの設備投資への金融支援などの特例があります。
EU では、ELV(廃自動車)規則案が2025年12月12日に暫定合意され、新車の再生プラスチックの含有率を、規則の施行6年後に15%、10年後に25%とする内容です(環境省の産官学コンソーシアムの資料)。

出典:環境省(令和7年9月)・環境省(令和8年3月)・産官学コンソーシアムの資料をもとに AI(Claude)で作成
原因の切り分け方
まず、今の製品を、家電製品協会の製品アセスメントマニュアルの手解体・分別の項目で数えてみます。手解体・分別の作業の時間、取り外すねじの数と種類、分離が難しい異種結合の部品の質量、金属インサート、塗装・めっき、剥がせないラベル、リサイクル性を損なう添加物、似た物性の異種材料の種類の数、材質表示です。マニュアルは、これらを従来の同等の機種と比べて改善したかを確かめるとしています。

家電製品協会「製品アセスメントマニュアル 第5版」から抜粋して作図。AI(Claude)で作成
分解の時間は、設計の段階で見積もる方法もあります。日立評論(2001年)が紹介する日立製作所の「リサイクル・分解性評価法」は、部品ごとの分解の動作・材質・質量などを入力し、構造の条件から分解の工程を推定して、標準の時間値を当てはめて分解の作業時間を算出します。リサイクル・分解の費用、リサイクル可能率、評点を出し、改良すべき箇所とその理由も示すとしています。

出典:日立評論 2001年3月号の記載をもとに AI(Claude)で作成
次は編集部の目安です。ねじの数と時間が問題なら留め方、分けられない結合が多いなら解体性接着剤と材料の組み合わせ、材質が分からないなら表示と判別、再生材の品質が問題なら材料をそろえることと再生材の工程から考えます。
出典:家電製品 製品アセスメントマニュアル 第5版|家電製品協会、家電リサイクルプラントにおいて発生するプラスチックの分類(中央環境審議会 資料)|環境省、家電製品における自己循環リサイクル(三菱電機技報 2010年6月号)|三菱電機、平成27年度 低炭素型3R技術・システム実証事業 報告書|環境省、資源の有効な利用の促進に関する法律の一部改正について(令和7年9月)|環境省、改正資源有効利用促進法の施行に向けた関係法令の整備について(令和8年3月)|環境省、自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアム 開催結果(令和8年3月)|環境省、「モノづくり」から見た設計評価法(日立評論 2001年3月号)|日立評論
解決技術の詳細
方法は、外しやすく留める、剥がせるようにつなぐ、分けなくてよいように材料をそろえる、材質が分かるようにする、再生材の品質を上げて使うの5つに分けて考えます。前の3つは製品の設計で、あとの2つは回収とリサイクルの工程と組み合わせて効きます。
分解しやすい留め方(ねじをそろえる・スナップフィット)
ねじの数と種類を減らし、外す位置を示す
製品アセスメントマニュアルは、手解体で取り外すねじの数と種類を従来の同等の機種と比べることと、手解体・分別の作業に要る工具や熟練度を確かめることを挙げています。家電製品協会の表示のガイドライン(第3版、2013年)は、手解体の効率を上げる表示の例として、取り外すねじの近くに位置を表示することや、プラスチック部品の中に金属がインサートされていることの表示を挙げています。

出典:家電製品協会・日本機械学会誌・シャープ技報 第88号の記載をもとに AI(Claude)で作成(形は模式)
スナップフィット:工具なしで組み立て・分解する

スナップフィットは、樹脂の弾性変形を利用して部品を留める方法です。日本機械学会誌の記事は、利点として、部品点数を少なくできること、特殊な工具なしで組み立てられること、分解もしやすく保守・修理・リサイクルに優れること、接着剤などが要らないことを挙げています。注意点は、繰り返し使う場合は疲労破壊を考える必要があること、高温・低温での使用に注意が必要なことです。
加熱すると外れる締結部品(研究の例)

シャープ技報(第88号、2004年)の論文は、形状記憶材料を使った締結部品で、製品をコンベヤーに載せて加熱装置を通すと、締結が外れた状態で出てくる自動解体のシステムを提案しています(NEC トーキン・三菱重工業の協力による基礎的な検討)。形状記憶合金(Ti-Ni 系)で頭部を作ったねじは、加熱すると頭部の形が戻ってねじ部から外れ、形状記憶樹脂で作ったスナップフィットは、加熱すると曲げる前の平らな形に戻って係止が外れます。
液晶テレビの試作品を電気炉で加熱(設定温度100℃、8分)した実験では、すべての締結部品が設計どおりに形が戻った一方、PS など耐熱性の低い材料の部品は熱で変形し、解体を妨げることがありました。課題として、真夏の車内の温度なども考えた回復温度の最適化と、締結部だけを選んで加熱する方法を挙げています。
解体性接着剤(熱・電気・液で剥がせる)

解体性接着剤は、使用期間のあとに何らかの処置で接合部分を分離できる接着剤です(日本火薬学会誌の論文)。代表的な例は、熱膨張性の粉体を接着剤に混ぜて、加熱で膨らませて分ける方式です。ただし、この論文は、解体の機構が熱膨張の力を使った物理的なものなので、強度が高い接着剤の解体は難しいと推定されるとしています。論文では、エポキシ樹脂に酸化剤(過塩素酸アンモニウム)を加え、加えないものより低い温度で解体できることを示しました。

出典:火薬学会誌の論文・日本接着学会誌・MONOist・ナガセケムテックスの記載をもとに AI(Claude)で作成(形は模式)

電気で剥がす方式もあります。接着学会誌の論文は、通電によって接着界面の強度が下がる通電剥離接着剤を取り上げ、通電後の残存強度は、通過した電気量の面密度に依存し、印加電圧には依存しないことを示しました。
加熱で接着し、再加熱で解体できる接着剤の例として、産業技術総合研究所は旭化成と共同で、ミドリムシ由来の多糖から厚さ0.05mm のフィルム状の接着剤を開発しました(2024年12月、MONOist)。アルミニウム合金の板をつないだ試験片で30MPa の引張せん断強度を示し、再加熱すると容易に解体でき、接着と解体を繰り返しても接着力を保ったとしています。
材料をそろえる(異種の結合・インサート・塗装を減らす)
製品アセスメントマニュアルは、材料をリサイクルしやすくする設計として、分離が難しい異種結合の部品、プラスチック部品への金属インサート、プラスチック部品への塗装・めっきを減らしているか、ラベルなどの接着剤は剥がせるタイプか、リサイクル性を損なう添加物(難燃剤など)を加えていないか、似た物性の異種材料の種類の数を減らしたか、を確かめる項目にしています。

出典:家電製品協会「製品アセスメントマニュアル 第5版」の評価項目をもとに AI(Claude)で作成
環境省の資料が挙げる、リサイクルのしやすさに影響する要素(単一素材、表面塗装なし、難燃剤など)と重なります。材料の種類を減らすと、解体したあとの選別の手間も減ります(編集部の解説)。
材質表示と判別(表示・近赤外・ラマン分光)
プラスチック部品の材質表示は、不等号の中に樹脂の略号を入れる形(例:>PP<)で、ISO 11469(JIS K 6999)で定められています。電気・電子機器のプラスチック部品の識別と表示は JIS C 9912 で、家電製品協会の FAQ は、この表示によりリサイクルプラントなどでの分別が効率的に、正確に行われるとしています。法律の義務はありません。製品アセスメントマニュアルは、質量100g(できれば25g)以上のプラスチック部品に、表示が難しい場合を除いて材質を表示することを求めています。

出典:家電製品協会・JIS C 9912 の FAQ・MONOistの記載をもとに AI(Claude)で作成

表示のない部品は、光で樹脂の種類を判別します。MONOist によると、黒色のプラスチックは可視光を通さず反射もしないため、近赤外分光方式では種類の判別が難しく、リサイクルされていない場合が多かったとしています。キヤノンは、レーザーを当てて分子の情報を得るラマン分光法で、黒色も含めたプラスチック片を選別する装置を開発しました。ラマン散乱光は微弱で、レーザーを強くすると対象物が燃えることもあり、プラスチック片の色に合わせて計測時間を確保する技術で解決したとしています。
再生材の品質を上げて使う(選別・異物除去・コンパウンド)
再生材を使うには、回収した樹脂を選別し、異物を除き、物性をそろえる工程が要ります。環境省の産官学コンソーシアムの資料は、自動車向けの再生 PP について、日本自動車工業会(JAMA)の汎用 PP の目標値を全項目で満たしたサンプルは14%だったとしています(評価したサンプルに限った結果)。物性ごとに目標値を満たした割合は、曲げ強度で約91%、MFR(流れやすさ)で約26%でした。同じ由来の材料でも数値が広く分布し、異物・環境負荷物質・臭気にも課題があるとしています。

出典:環境省「自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアム」の資料をもとに AI(Claude)で作成
家電では、パナソニックが、家電リサイクル工場で回収した樹脂を選別・改質し、品質を保証して使う循環の仕組みをつくり、水平リサイクルで年0.8万t、カスケードリサイクルで年1.7万t の樹脂の循環を実現したとしています(産業環境管理協会の資源循環技術・システム表彰、令和3年度)。
出典:家電製品 製品アセスメントマニュアル 第5版|家電製品協会、JIS C 9912 に関する FAQ|家電製品協会、スナップフィットの設計標準化(日本機械学会誌 2019年5月号)|J-STAGE、形状記憶材料を利用した製品の自動解体システムに関する基礎的検討(シャープ技報 第88号)|シャープ、酸化剤の分解効果を利用した解体性接着剤の開発(Sci. Tech. Energetic Materials Vol.73 No.3)|火薬学会、通電剥離接着剤接合部の解体特性に及ぼす通電条件の影響(日本接着学会誌 45巻10号)|J-STAGE、ミドリムシ由来の多糖から、高い接着力と易解体性を兼ね備えた接着剤を開発|MONOist、リサイクル率1.5倍の例も、黒色プラスチックを同時判別可能な装置を受注開始|MONOist、家電リサイクルプラントにおいて発生するプラスチックの分類|環境省、自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアム 開催結果|環境省、家電リサイクル樹脂の循環型サプライチェーンの構築(資源循環技術・システム表彰)|産業環境管理協会
分解・リサイクルしやすくする技術を持つ企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。剥がせる接着にしたいのか、材質を判別したいのか、再生材を使いたいのか、解体して材料を調べたいのかによって、相談先が変わります。
| 企業 | 解決できる課題 | 種類 | 何ができるか | 合う症状 |
|---|---|---|---|---|
| ナガセケムテックス | 化学メーカー(接着剤) | 分解液に浸すと結合が切れて剥がれる易解体性接着剤を開発。強く貼った部品を、使い終わったあとや工程中の不具合のときに剥がせる。 | A ねじが多く、外すのに時間がかかる B 接着・溶着・インサートで、材料を分けられない | |
| ニフコ | 樹脂ファスナー・成形品 | 工業用の樹脂ファスナーの会社。TPO のモノマテリアル化で、リサイクルしやすいカバーを量産している。 | B 接着・溶着・インサートで、材料を分けられない D 塗装・めっき・難燃剤・異物で、再生材の品質が落ちる | |
| 山本製作所 | 機械メーカー(判別装置) | 近赤外分光法で、表示のない樹脂部品の材質をその場で判別する装置「ぷらしる」を作っている。 | C 樹脂の種類が多く、材質が分からないので選別できない E 再生材の利用や、解体・分別しやすい設計を求められている | |
| キヤノン | 精密機器メーカー(選別装置) | トラッキング型のラマン分光で、近赤外では判別しにくい黒色を含むプラスチック片を選別する装置を扱っている。 | C 樹脂の種類が多く、材質が分からないので選別できない | |
| 近江物産 | 再生プラスチック原料 | 回収した廃プラスチックを粉砕・ペレット加工し、2軸押出機のコンパウンドで品質を高めた再生材にする。 | D 塗装・めっき・難燃剤・異物で、再生材の品質が落ちる E 再生材の利用や、解体・分別しやすい設計を求められている | |
| 共栄化成 | 樹脂成形 | 再生原料の配合を選べる射出成形(Re_プラ100/75%/50)で、製品や部品に再生プラスチックを使える。 | D 塗装・めっき・難燃剤・異物で、再生材の品質が落ちる E 再生材の利用や、解体・分別しやすい設計を求められている |
ナガセケムテックス株式会社|分解液に浸すと結合が切れて剥がれる、易解体性接着剤を開発
ナガセケムテックスとは
ナガセケムテックスは、大阪市西区に本社を置く化学メーカーです(1970年設立)。エポキシ樹脂の変性品などの高機能樹脂、フォトリソグラフィ用の材料などの開発・製造を行っています。
ナガセケムテックスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 易解体性接着剤 | 通常の使用環境では強い接着性能を保ち、剥がしたいときに被着体へのダメージを抑えて分解・解体できる接着剤。樹脂に組み込んだジスルフィド結合を、専用の分解液が繰り返し切断し、分子の鎖が短くなって溶けやすくなる。分解液もリサイクルできるとしている |
| 剥がし方 | 分解液に浸すだけで剥がれ、接着剤が残らずに被着体だけを回収できる。溶解時間は25℃で24時間、60℃で4時間 |
| 強さ | せん断接着強度は17MPa で、一般的なポリウレタン系(2液)の10MPa、シリコーン系の4MPa より高いとしている(ほかの接着剤の値は一般的な測定値の参考値) |
| 使える組み合わせ | 「樹脂と金属」「金属と金属」「樹脂と樹脂」など、さまざまな基材で使える易解体性接着剤の開発を進めている |
ナガセケムテックスが解決できる課題
- 強い接着で貼った部品を、使い終わったあとに分けたい
- 使い終わった製品を、接着部分から分離してリサイクルしたい
- 貼り付けの失敗など、工程中の不具合品を剥がして部品を再利用したい

出典:ナガセケムテックス「易解体性接着剤」の記載をもとに AI(Claude)で作成(形は模式)
出典:会社概要|ナガセケムテックス、易解体性接着剤|ナガセケムテックス
株式会社ニフコ|工業用の樹脂ファスナーの会社が、TPO のモノマテリアル化でリサイクルしやすいカバーを量産
ニフコとは
ニフコは、神奈川県横須賀市に本社を置く、工業用ファスナーと精密成形品などのエンジニアリングプラスチック製品の会社です(1967年設立)。
ニフコの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| モノマテリアル化したサービスホールカバー | ドアミラーを車体に組み付けるときに必要な作業用の孔をふさぐ樹脂製のカバーで、オレフィン系エラストマー(TPO)を採用し、モノマテリアル化によってリサイクル性を高めた製品を2022年に商品化し、量産を始めた |
| シールスポンジの廃止 | 従来のシールスポンジをなくし、二重のリップの形でシールする構造にした。部品点数とコストを減らし、板金への追従性と静音性も上がった(52.7dB → 40.6dB、同社の製品単体の測定値) |
ニフコが解決できる課題
- 樹脂部品とスポンジ・シール材など、材料の違う部品の組み合わせを減らしたい
- 樹脂の留め具やカバーを、リサイクルしやすい材料でそろえたい

出典:会社概要|ニフコ、リサイクルが容易なドアミラー・サービスホールカバーの商品化(2022年12月15日)|ニフコ
株式会社山本製作所|近赤外分光法で、プラスチックの材質をその場で判別する装置「ぷらしる」
山本製作所とは
山本製作所は、山形県天童市に本社(本社登記地)を置く機械メーカーです(1918年創業、1961年会社設立)。農機・精米機器と、プラスチックのリサイクル機器などの環境機器を作っています。
山本製作所の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ハンディ型の材質判別装置「ぷらしる」PI-100 | 近赤外線を当てて反射した光の波形を測り、登録された12種類のプラスチックの波形と照合して、最も近い材質を表示する。登録していない波形は「不明」と表示する。センサー部とタブレットを合わせて400g で、防滴・防塵 |
| 据置型の「ぷらしる TAct」PIS-080 | 反射と透過の2つの光源で測り、対象物をかざすだけで1秒以内に判別する。判別する材質は PE・PP・PVC・PS・ABS・PET・PC・PMMA の8種類。透明なものや凹凸のあるものにも対応しやすいとしている |
山本製作所が解決できる課題
- 表示のない樹脂部品の材質を、その場で調べたい
- 解体した部品を、材質ごとに分けて回収したい
- 手ざわりや燃え方などベテランの経験に頼っていた判別を、データに基づく作業にしたい

出典:会社概要|山本製作所、プラスチック材質判別装置 ぷらしる PI-100|山本製作所、ぷらしる TAct PIS-080|山本製作所
キヤノン株式会社|トラッキング型のラマン分光で、黒色を含むプラスチック片を高速に選別する
キヤノンとは
キヤノンは、東京都大田区に本社を置く精密機器メーカーです(1937年設立)。計測機器の事業で、プラスチックの選別装置を扱っています。
キヤノンの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| プラスチック選別装置(TR シリーズ) | レーザーを当てて分子の情報を得るラマン分光法を使い、移動するプラスチック片に追従して計測する。近赤外分光方式では判別が難しかった黒色のプラスチック片も、ほかの色のプラスチック片と同時に選別できるとしている。2024年6月に受注を始めた |
| 処理量 | 1.5m/秒の搬送速度で、最大1t/時の選別ができる。計測のモジュールとベルトコンベヤーの組み合わせを変えて、処理量や設置スペースに合わせられる |
キヤノンが解決できる課題
- 黒色の樹脂が多く、近赤外の選別機で判別できない
- 家電や自動車の内装の黒い樹脂を、種類ごとに分けて再生したい

出典:キヤノンのニュースリリース・MONOistの記載をもとに AI(Claude)で作成(形は模式)
出典:会社概要|キヤノン、黒色プラスチックも選別可能なプラスチック選別装置の受注を開始(2024年6月6日)|キヤノン、リサイクル率1.5倍の例も、黒色プラスチックを同時判別可能な装置を受注開始|MONOist
株式会社近江物産|回収した廃プラスチックを、2軸押出機のコンパウンドで高品位の再生材にする
近江物産とは
近江物産は、滋賀県栗東市に本社を置く、再生プラスチック原料の製造・販売の会社です(1977年設立)。年間約20,000トンの廃プラスチックの粉砕・ペレット加工を行っています。
近江物産の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 高品位の再生プラスチック | リサイクルしたプラスチックでありながら、新品(バージン材)と同等レベルの品質を持つ再生材を目指している。分別・前処理、粉砕・洗浄、混合・ブレンド、均質ペレット化の工程ごとに品質を確かめる点を定めている |
| 2軸押出機によるコンパウンド | 2014年に2軸押出機を導入し、剛性・衝撃強度などの品質とその安定性が求められる分野に再生材を提供している。スクリューの組み換えで混練・分散の度合いを調整する |
| 品質管理と研究 | 社内に材料研究室を置き、滋賀県工業技術センター・滋賀県立大学・龍谷大学の指導のもとで研究・開発を進めている。回収した PP を改質して再生するシステムにも取り組んでいる |
近江物産が解決できる課題
- 回収した樹脂を、品質を高めた再生材にしたい
- 廃プラスチックを回収してもらい、再生原料にしたい
- 再生材の品質(剛性・衝撃強度)のばらつきを抑えたい

出典:会社概要|近江物産、マテリアルリサイクル|近江物産、高品位 再生プラスチック|近江物産、研究・開発|近江物産
共栄化成株式会社|再生原料の配合を選べる射出成形(Re_プラ100/75%/50)
共栄化成とは
共栄化成は、大阪府大東市にあるプラスチック製品の会社です(1972年創業、1976年に株式会社に改組)。再生 PET の成形や2色成形と、射出成形の材料の開発を行っています。
共栄化成の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 再生原料の成形 | 流動性が安定しない、異物が混じる、ガスが多いといった再生原料でも、適切な品質に仕上げるとしている。「Re_プラ100/Re_プラ75%/Re_プラ50」として、品質とコストに合わせ、あらゆる配合に対応した製品をつくるとしている |
| 再生 PET の射出成形 | 各市町村から回収したペットボトルをペレットにし、射出成形で製品にしている。粉砕品をリペレットし、独自の配合にしている |
共栄化成が解決できる課題
- 製品や部品に、再生プラスチックを使ってみたい
- 再生材の割合を、品質とコストに合わせて決めたい

出典:会社概要|共栄化成、共栄化成(トップページ)、再生ペット成形・リサイクル成形|共栄化成
選ぶ前に確かめる条件
材料や装置の会社、再生材の会社に相談する前に、次の条件を整理しておくと、話が早くなります。
- 製品の部品表(部品の数・材料の種類・ねじの数と種類・接着やインサートの箇所)
- 今の製品の手解体の時間(分かれば、工程ごと)と、回収とリサイクルのしくみ(誰が解体するか)
- 使っている樹脂の種類・色(黒い部品の有無)・塗装・めっき・難燃剤
- 剥がせる接着にしたい箇所の、使用中の温度・湿度・荷重と、剥がすときにかけられる熱・電気・液
- 再生材を使いたい部品と、その部品に必要な物性(強度・耐熱・外観・臭い)
- 再生材の配合の割合の目標と、取引先や法令から求められていること
- 修理や部品の交換で、使っているあいだに分解する必要がある箇所
関連する課題
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年9月30日





