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ポッティング・コンフォーマルコーティング(基板の封止・防湿)

ポッティングとコンフォーマルコーティングは、電子基板を湿気・水・ほこり・振動から守るために、樹脂で覆う技術です。

ポッティング・コンフォーマルコーティング(基板の封止・防湿)
7件解決できる課題
6社紹介している企業
32点図と写真
25件出典

ポッティング・コンフォーマルコーティング(基板の封止・防湿)

薄い透明な膜で覆った基板と、ケースの中を樹脂で埋めた基板に樹脂を注ぐ様子(AI で生成したイメージ)

信頼性・長寿命安全・規制・環境対応導電と絶縁腐食・防錆硬化・反応樹脂・ゴム塗装実装技術基板・電子部品

ポッティングとコンフォーマルコーティングは、電子基板を湿気・水・ほこり・振動から守るために、樹脂で覆う技術です。コンフォーマルコーティングは、部品の形に沿った薄い膜で基板の表面を覆う方法で、サンハヤトは膜の厚さを「通常 0.025〜0.13mm 程度」としています。ポッティングは、基板を入れたケースに樹脂を注いで固め、樹脂の中に基板を埋めてしまう方法です。

出典:サンハヤト「コンフォーマルコーティングとは?」、松栄電工「ポッティング加工」

このページでは、2つの方法の違い、湿気で起きる不具合と守るしくみ、材料の種類と塗り方、膜厚の目安や規格の見方、ポッティングでよくある不具合(縮み・気泡・硬化阻害)をまとめ、受託加工・装置・材料の企業を紹介します。

ポッティング・コーティングの企業(早見表)

企業受託の
ポッティング
受託の
コーティング
パリレンの
蒸着
2液の計量
・注入の装置
真空注入
・真空注型
選択塗布の
装置
コーティング
材
東條製作所2液ウレタンのポッティング(黒・透明)●●
松栄電工エポキシ・ウレタン・シリコーンのポッティング●
日本ソセー工業2液の自動定量注入機と真空注型の装置●●
武蔵エンジニアリングマスクレスの基板コーティングの装置●●
日本パリレンパリレンの気相蒸着●
ハーベスフッ素系の基板防湿コーティング剤●

●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。東條製作所の「受託のコーティング」は、事業内容の防水・防塵・耐振加工(コーティング/ポッティング)、武蔵エンジニアリングの「2液の計量・注入の装置」は2液ディスペンサーです。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

目次

この技術で解決できる課題

ポッティング・コンフォーマルコーティングが効くのは、湿気・結露・水・ほこり・腐食性のガスで、基板の絶縁が下がる・腐食するというときと、振動や衝撃から部品を固定したいときです。どちらを使うかは、守りたいものと、重さ・直しやすさのつり合いで決めます。

湿気・結露、防水、振動・衝撃、硫化ガス・腐食、軽く薄くという困りごとと、ポッティング・コンフォーマルコーティングでできることの対応図
図1 困りごとと、ポッティング・コーティングでできること
出典:このページの出典をもとに AI(Claude)で作成
課題この技術での解決課題ページ
制御盤・筐体の中の結露結露しても絶縁が保てるよう、基板を防湿コーティングで覆う基板の防湿コーティング
電子機器を防水・防じんにしたい筐体のシールに加えて、基板そのものを封止・コーティングで守る基板の保護(封止・防湿コーティング)
LED を長寿命にしたい硫化ガスと湿気をコーティング・封止で遮るコーティング・封止
センサーを小さく組み込みたい小さなセンサーの実装部を封止して守る実装とパッケージ
錆びる・腐食する金属の表面を樹脂の膜で環境から切り離す塗装・ライニング
コネクターの接触不良を防ぎたい腐食の原因になる環境から遮断する(シリコーンの低分子成分には注意)環境から遮断する

右の列は、関係する課題ページの対策の節へのリンクです。

仕組み

コンフォーマルコーティングとポッティングは、どちらも樹脂で基板を覆いますが、覆い方の厚さがまったく違います。Incure の解説は、コーティングは 25〜100µm ほどの膜で軽く、ポッティングは樹脂のかたまりで重さが大きく増えるとしています。コーティングの薄い膜は、溶剤・熱・削ることで取り除いて部品を交換できる一方、固まったポッティング樹脂を外すと下の回路を傷めることが多いとしています。

部品の形に沿った薄い膜のコンフォーマルコーティングと、ケースの中を樹脂で埋めるポッティングの断面の比較図
図2 コンフォーマルコーティングとポッティングの違い(断面)
出典:サンハヤト・Incure・サンエイテックの解説をもとに AI(Claude)で作成

サンエイテックは、ポッティングの目的として、電気的な絶縁、防湿・防水・防塵、振動や衝撃からの保護、部品や配線の固定、耐久性・耐候性の向上を挙げています。

出典:Incure「Conformal Coating Vs Potting: The Ultimate Guide」、サンエイテック「ポッティングとは?樹脂の種類・1液性と2液性の違い」

湿気でなにが起きるか:絶縁の低下とイオンマイグレーション

サンハヤトは、湿気や腐食性の物質が基板に入ると、絶縁抵抗が下がり、金属が腐食して断線やショートにつながると説明しています。EE Times Japan に載った配線技術ロードマップの解説は、電極の金属が水分でイオンになり、電界で移動する現象をイオンマイグレーションと呼び、銀(Ag)などではイオンが析出してデンドライト(樹の枝のような結晶)が伸び、短絡につながるとしています。

コーティングのない基板で、水の膜の中で金属が移り電極どうしがつながるイオンマイグレーションと、膜で電極を覆った基板の比較図
図3 湿気で起きる不具合と、コーティングの役目
出典:サンハヤトの解説と EE Times Japan の配線技術ロードマップをもとに AI(Claude)で作成

コーティングは、水と汚れが電極に届くのを抑え、イオンマイグレーションを抑えるとサンハヤトは説明しています。ただし膜は水蒸気を少しずつ通すので、材料と厚みで守れる程度が変わります(次の節)。また、塗る前に基板に汚れ(フラックス残渣など)が残っていると、膜の下に水と汚れが閉じ込められるため、塗る前の洗浄も大切です(編集部の整理)。

出典:サンハヤト「コンフォーマルコーティングとは?」、EE Times Japan「2022年度版 配線技術ロードマップ(80)4.1.3 配線・配線設計における重要ポイント」(2024年4月)

種類と選び方

コーティング材は、アクリル系・ウレタン系・シリコーン系・フッ素系・UV 硬化型、真空で膜を作るパリレンなどに分かれます。ポッティング材は、主にエポキシ・ウレタン・シリコーンの3つです。フロロテクノロジーとサンハヤトの解説をまとめると、次のようになります。

アクリル・ウレタン・シリコーン・フッ素・UV 硬化・パリレンのコーティング材と、エポキシ・ウレタン・シリコーンのポッティング材の得意なことと注意点の表
図4 材料の種類と、得意なこと
出典:フロロテクノロジー・サンハヤト・サンエイテック・松栄電工の解説をもとに AI(Claude)で作成
種類特徴向いている場面注意
アクリル系(コーティング)安価で長年の実績。室温で硬化し、補修しやすい民生機器など、まず防湿したいとき電気特性・防水性はあまり高くない。溶剤の管理が要る
ウレタン系(コーティング)耐摩耗性・耐薬品性薬品や油に触れる所危険物・溶剤の管理が要る
シリコーン系(コーティング)耐熱・柔軟。広い温度範囲温度が高い所・温度変化の大きい所低分子の成分が電気接点の接触不良の原因になることがある(フロロテクノロジーの比較)
フッ素系(コーティング)電気特性が高く、耐酸性。不燃の溶剤の製品もある薄く軽くしたい、腐食性のガスがある所防湿の倍率はメーカーの比較
UV 硬化型(コーティング)紫外線で秒〜分で硬化。VOC を減らせる量産ラインで速く固めたい紫外線を当てる設備が要る
パリレン(気相蒸着)真空の中で薄く均一な膜。すき間にも入り込むすき間の多い部品、医療機器・電子部品専用の装置が要る
エポキシ(ポッティング)接着性・機械的強度・絶縁性に優れる強さが要る部品硬化の縮み・熱膨張で部品に力がかかる
ウレタン(ポッティング)柔軟性と強度のつり合いがよい振動・衝撃を受ける電子部品2液は混合比・混ぜ方で硬化不良になる
シリコーン(ポッティング)柔軟性・耐熱性に優れる温度変化や振動のある部品付加型は硬化阻害に注意

この表は、フロロテクノロジー・サンハヤト・サンエイテック・日本パリレンの解説をもとに編集部が整理したものです。同じ系統でも、品番によって性質は大きく変わります。

出典:フロロテクノロジー「プリント基板の防水・防湿コーティングと施工方法」、サンハヤト「コンフォーマルコーティングとは?」、サンエイテック「ポッティングとは?樹脂の種類・1液性と2液性の違い」、日本パリレン「パリレンの蒸着プロセス」

膜厚の目安:IPC-A-610

SCS の技術ブログは、電子組立品の受け入れ基準 IPC-A-610 の表として、アクリル・エポキシ・ウレタンは 0.03〜0.13mm、シリコーンは 0.05〜0.21mm、パリレンは 0.01〜0.05mmという膜厚の目安を紹介しています。膜の種類によって、ふさわしい厚さが違います。

IPC-A-610 の膜厚の目安。アクリル・エポキシ・ウレタン 0.03〜0.13mm、シリコーン 0.05〜0.21mm、パリレン 0.01〜0.05mm の横棒グラフ
図5 コンフォーマルコーティングの膜厚の目安(IPC-A-610)
出典:SCS の技術ブログ(IPC-A-610 の表)をもとに AI(Claude)で作成

出典:SCS「Conformal Coating Specifications」(IPC-A-610 の膜厚の表)

厚さと、水蒸気の通りにくさ

膜は水蒸気を少しずつ通します。フロロテクノロジーは、同社のフッ素系と他社の材料の透湿度(1日に1m²あたり通る水蒸気の量)を並べています。A社のウレタン系(40µm)は 670、A社のアクリル系(100µm)は 230、同社のフッ素系 FG-3030-30(30µm)は 220 g/m²・24hで、FG-3030-20 を4回塗った 120µm では 37 でした。C社のシリコーン系ポッティング剤(1,000µm)は 350 です。

フロロテクノロジーの比較による、ウレタン系・アクリル系・フッ素系のコーティングとシリコーン系ポッティング剤の膜厚と透湿度の横棒グラフ
図6 膜の厚さと、水蒸気の通りにくさの例(メーカーの比較)
出典:フロロテクノロジー「プリント基板の防水・防湿コーティングと施工方法」の表をもとに AI(Claude)で作成

これはメーカーが自社の製品を比べた値です。厚く塗るほど通りにくくなりますが、材料によって同じ厚さでも違いが大きいことがわかります。製品を選ぶときは、同じ条件で測った値どうしを比べます。

出典:フロロテクノロジー「プリント基板の防水・防湿コーティングと施工方法」

使う場面ごとの選び方

選ぶときは、何から守るか → 膜か埋めるか → 使う温度と触れるもの → 直しやすさと重さ → 塗り方と数量の順に考えると、候補が絞れます。

何から守るか、膜か埋めるか、使う温度と触れるもの、直しやすさと重さ、塗り方と数量の順に選ぶ流れ図
図7 ポッティングとコーティングを選ぶ順番(考え方の例)
出典:このページの出典をもとに AI(Claude)で作成
使う場面よく使われる方法選ぶときのポイント公開されている例
家電・住宅設備の制御基板ポッティング、防水用の材料の塗布水がかかるか、結露するか給湯器・ウォシュレットの基板のポッティング、洗濯機の基板の防水用の材料の塗布(日本ソセー工業の用途)
センサー・コイルポッティング・樹脂封止部品の固定、絶縁、防水センサー・圧力センサーの樹脂封止、モーターコイルの防水・絶縁(日本ソセー工業の用途)
自動車のハーネス・スイッチの部品ポッティング振動・温度変化自動車・医療機器・産業機器などで使われる(松栄電工)
リチウムイオン電池の制御基板・モバイル機器フッ素系の薄い防湿コーティング電解液・腐食性のガス、軽さ電池の制御基板、モバイル機器の防汗(ハーベスの使用例)
実装基板(PCB)の量産選択塗布(マスクレス)塗らない所、良品率、VOCはけ塗りから全自動の基板コーティングへ(武蔵エンジニアリングの導入事例)

「よく使われる方法」と「選ぶときのポイント」は、公開されている例と出典の解説をもとに編集部が整理したものです。

出典:日本ソセー工業「用途」、松栄電工「ポッティング加工」、ハーベス「基板防湿コーティング」、武蔵エンジニアリング「導入事例:基板コーティング」

量産の観点:塗り方を選ぶ

フロロテクノロジーは、塗り方として、スプレー、浸せき(ディップ)、手塗り(はけ・筆)、機械塗布(ディスペンサー・ロボット)を挙げています。手塗りは膜厚の均一性や再現性に限界があり、浸せきは隅々まで均一に塗れて再現性の高い膜厚になり、機械塗布は必要な所に必要な量だけ塗れるとしています。

はけ塗り・ディップ・スプレー・選択塗布・パリレンの気相蒸着の5つの塗り方と注意点の図
図8 コンフォーマルコーティングの塗り方
出典:フロロテクノロジー・日本パリレン・武蔵エンジニアリングの解説をもとに AI(Claude)で作成

乾く時間について、同社はフッ素系(溶剤型)は室温で 5秒〜30分、溶剤が揮発して乾くタイプは数分〜数十分、熱や湿気で固まるタイプは条件しだいで数十分〜数時間が目安としています。コネクター・可動抵抗・スイッチ・放熱の接触面などは、働きを損なわないようマスキングするとよいとしています。

出典:フロロテクノロジー「プリント基板の防水・防湿コーティングと施工方法」

向いている条件と注意点

コンフォーマルコーティングが向く

  • 湿気・結露・ほこりから基板の表面を守りたい
  • 重さや寸法をほとんど変えたくない
  • あとで部品を交換・修理したい
  • 放熱の部品やコネクターを避けて塗れる

ポッティングが向く

  • 水に浸かる・水がかかる所で使う
  • 振動・衝撃から部品を固定したい
  • 絶縁を確実にしたい・熱を逃がしたい(熱伝導性の材料)
  • 重くなってもよく、直さない前提でよい

この一覧は、Incure・サンエイテック・サンハヤトの解説をもとに編集部が整理したものです。

出典:Incure「Conformal Coating Vs Potting: The Ultimate Guide」、サンエイテック「ポッティングとは?樹脂の種類・1液性と2液性の違い」、サンハヤト「コンフォーマルコーティングとは?」

よくある失敗:硬化阻害と、シリコーンの低分子成分

付加型(白金触媒)のシリコーンは、触れる材料によって固まらないことがあります。Incure は、硫黄の化合物(ゴムの加硫剤など)、スズ・鉛の化合物、一部のアミン・アミド、リンの化合物、一部の紫外線安定剤が触媒の働きを止め、内部は固まっても、境目にべたついた層が残るとしています。対策として、触れるすべての材料で硬化を試すこと、縮合型の材料と道具を分けることを挙げています。

硫黄・スズや鉛・窒素・リンの化合物と一部の紫外線安定剤が、付加型シリコーンの硬化を妨げることを示す図
図9 付加型シリコーンが固まらなくなる原因
出典:Incure「Cure Inhibition Issues in Industrial Adhesives」をもとに AI(Claude)で作成

また、フロロテクノロジーは、自社のフッ素系は「シリコンのように低分子化合物を含んでおりません」ので、施工後に電気接点の接触不良の原因にならないとしています。シリコーンの低分子成分が接点不良の原因になりうることを踏まえた説明で、リレーやスイッチの近くでシリコーンを使うときは、材料の資料で低分子成分を確かめます。

出典:Incure「Cure Inhibition Issues in Industrial Adhesives」、フロロテクノロジー「プリント基板の防水・防湿コーティングと施工方法」

カタログ値・規格の見方

コンフォーマルコーティング材の規格としてよく出てくるのが IPC-CC-830 です。MG Chemicals は、この規格の試験項目として次のようなものを挙げています。材料の資料に「IPC-CC-830 適合」とあれば、こうした試験を通っていることを示します。

試験項目内容(MG Chemicals の説明)
蛍光ブラックライトを当て、UV トレーサー(蛍光剤)が入っていることを確かめる
燃えにくさコーティングした FR4 の板に火を付け、水平な面での燃え広がりを測る
曲げコーティングしたスズの板を 180°曲げ、割れ・はがれを見る
耐電圧1500VDC を1分かけ、配線の間で放電しない
湿度と絶縁抵抗高い湿度の中で 50VDC をかけ、5×109Ω の絶縁抵抗が要る
熱衝撃−65℃と 125℃の間で 24時間くり返したあと、耐電圧を確かめる
IPC-CC-830 の主な試験項目(蛍光・燃えにくさ・曲げ・耐電圧・湿度と絶縁抵抗・熱衝撃)の図
図10 IPC-CC-830 の主な試験項目
出典:MG Chemicals「Understanding The IPC-CC-830 Standard」をもとに AI(Claude)で作成

SCS は、このほか絶縁材料の燃えにくさなどを扱う UL 746E、コーティング材の IEC 61086 なども、コンフォーマルコーティングに関係する規格として紹介しています。規格の細かい条件は版によって変わるので、最新の規格の本文で確かめます。

出典:MG Chemicals「Understanding The IPC-CC-830 Standard」、SCS「Conformal Coating Standards: MIL-I-46058C, UL 746E and more」、SCS「Conformal Coating Specifications」(IPC-A-610 の膜厚の表)

カタログ値と実際の違い:塗れているかを確かめる

カタログ値は、決まった厚さに塗った試験片の値です。実際の基板では、部品の角や高い部品のまわりで膜が薄くなったり、塗れていない所ができたりします。Incure は、多くのコーティング材は 365nm の紫外線で光る蛍光剤を含み、塗れたところが光り、気泡や空隙は暗い点に見えるとしています。蛍光の強さを既知の標準でそろえておけば、自動外観検査で膜厚を推定できるとしています。

紫外線のランプを当てると塗れた所が光り、塗れていない所や気泡が暗く見えるコーティングの検査の模式図
図11 紫外線(UV)を当てて、塗れているかを見る
出典:Incure「Conformal Coating UV Light Inspection」をもとに AI(Claude)で作成

膜厚のほか、塗る前の洗浄・乾燥と、塗ったあとの硬化の条件も、カタログ値どおりの性能を出すための前提です(編集部の整理)。

出典:Incure「Conformal Coating UV Light Inspection」

組み込み・量産・信頼性の注意

  1. 縮みと熱膨張固まるときの縮みと、温度での伸び縮みが部品に力をかける
  2. 気泡と充填泡が残る・入りきらない所が、絶縁や放熱を悪くする
  3. 混合と硬化2液の混合比・混ぜ方、硬化の条件を管理する

この3点は、このページの出典(技術資料・メーカーの解説)をもとに編集部が整理したものです。

硬化の縮みと熱膨張

JFEテクノリサーチは、エポキシ樹脂の硬化の過程では、熱で固まるときの縮み(硬化収縮)と、加熱による熱膨張が起き、異なる材料を接合した構造物ではひずみが生じて変形のおそれがあるため、CAE で予測することが大切だとしています。ポッティングでは、樹脂・基板・部品・ケースの材料がそれぞれ違うため、樹脂の縮みや熱膨張の差が部品やはんだに力をかけます。

ポッティングの不具合の3つ:硬化の縮み・熱膨張の差、気泡(ボイド)、硬化しない(硬化阻害)と、それぞれの対策の例
図12 ポッティングでよくある不具合:力・気泡・硬化不良
出典:JFEテクノリサーチ・サンエイテック・Incure の資料をもとに AI(Claude)で作成

東條製作所は、同社の黒ポッティングを「硬度76と高いが、基板にストレスを与えません」と紹介しています。温度変化の大きい所では、柔らかい材料(シリコーン・ウレタン)を選ぶ、熱膨張の近い材料を選ぶなど、材料メーカー・加工会社と相談して決めます(編集部の整理)。

出典:JFEテクノリサーチ「接着剤の硬化収縮解析」(Cat.No 3E5J-227-00)、東條製作所「樹脂ポッティング」

気泡と充填、2液の混合

サンエイテックは、ポッティングの気泡は、吐出速度やノズルの高さを調整して、材料への空気の混入とワークの中に泡が残るのを抑えるとしています。充填の高さのばらつきは、ワークの形に合わせて注入位置・吐出速度・ノズルの動きを決めます。2液の材料は、主剤と硬化剤の混合比、吐出量、混ざり具合、可使時間を管理しないと硬化不良になります。

狭いすき間に樹脂を入れたいときは、真空の中で注ぐ方法もあります。日本ソセー工業は、真空注入の装置で「大気注入では行き渡らない箇所まで液を充填できます」としています。

出典:サンエイテック「ポッティングとは?樹脂の種類・1液性と2液性の違い」、日本ソセー工業「SOVAC SYSTEM(真空注入・真空注型)」

相談する前に整理すること

ポッティング・コーティングを相談するときは、守りたいもの・使う環境・基板の大きさと塗らない所・数量を整理しておくと、材料と方法の提案を受けやすくなります。

ポッティング・コーティングを相談する前に整理する8項目のチェック表
図13 ポッティング・コーティングを相談する前に整理すること
出典:このページの出典をもとに AI(Claude)で作成
  • 守りたいもの(湿気・結露・水没・ほこり・振動・熱・硫化ガス)
  • 使う環境(温度の上限と下限、屋外か、薬品・油に触れるか)
  • 基板と部品(大きさ・部品の高さ・塗らない所(コネクター・スイッチなど))
  • 求める保護(膜で十分か、樹脂で埋めるか。防水の等級・規格・試験の条件)
  • 直しやすさ(修理・解析のためにはがす必要があるか)
  • 熱と重さ(発熱する部品の放熱、重さ・寸法の制約)
  • 数量と工程(試作・小ロット・量産、硬化の時間とライン)
  • 今の困りごと(不具合の症状、どこで・いつ起きたか)

この一覧は、このページの出典をもとに編集部が整理したものです。

企業紹介(ポッティング・コンフォーマルコーティング技術)

ポッティング・コーティングを手がける企業を、得意なことが重ならないように選びました。受託のポッティング加工の2社、2液の注入・真空注型の装置、選択塗布の装置、パリレンの蒸着、フッ素系のコーティング剤の会社を入れています。内容は各社の公式サイトで確認できる範囲です。各社が扱うものは、次の早見表のとおりです。

企業受託の
ポッティング
受託の
コーティング
パリレンの
蒸着
2液の計量
・注入の装置
真空注入
・真空注型
選択塗布の
装置
コーティング
材
東條製作所2液ウレタンのポッティング(黒・透明)●●
松栄電工エポキシ・ウレタン・シリコーンのポッティング●
日本ソセー工業2液の自動定量注入機と真空注型の装置●●
武蔵エンジニアリングマスクレスの基板コーティングの装置●●
日本パリレンパリレンの気相蒸着●
ハーベスフッ素系の基板防湿コーティング剤●

●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。東條製作所の「受託のコーティング」は、事業内容の防水・防塵・耐振加工(コーティング/ポッティング)、武蔵エンジニアリングの「2液の計量・注入の装置」は2液ディスペンサーです。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。

株式会社東條製作所|2液ウレタンで、基板を黒・透明にポッティングする

京都府京都市伏見区に所在地を置く会社です(1975年設立)。プリント基板の設計・製作と実装、プリント基板の防水・防塵・耐振加工(コーティング/ポッティング)、制御機器・制御盤の組立を事業としています。

東條製作所の樹脂ポッティングのページに載っている、ケースに入れたポッティング前の基板(左)と、透明の樹脂でポッティングした後の基板(右)の写真
東條製作所のページに載っている、ポッティング前(左)と透明ポッティングの後(右)(出典:東條製作所)

東條製作所の得意技術

技術内容
2液性ウレタンのポッティング実装基板をケースに入れてウレタン樹脂を注入し、恒温槽で硬化させる
黒と透明の2種類黒ポッティングは硬度76で、防水(IP67 相当)・防塵・防爆・耐振。透明ポッティングは基板の表面を確かめられ、防水(IP64 相当)・防塵・耐振で、安価に行えるとしている
形に合わせた処理ワークの大きさに限度はないとし、部分的なポッティング、表面だけのポッティング、ケースに入れない両面のポッティングにも対応する

東條製作所が解決できる課題

  • 基板を防水・防塵にしたい(屋外・水まわりの機器)
  • 振動のある所で、部品が外れないようにしたい
  • 基板の設計・実装から、ポッティングまでまとめて頼みたい

公開されている実績・用途

  • 主要取引先として、化学分析機器・電源装置・医療機器・モーター制御器のメーカーなどを挙げている。用途に、防水・絶縁・虫害の対策・耐振を挙げている

出典:東條製作所「会社概要」、東條製作所「樹脂ポッティング」

東條製作所の樹脂ポッティングのページに載っている、ケースに入れた基板にウレタン樹脂を注入する作業の写真
東條製作所のページに載っている、ウレタン樹脂の注入(出典:東條製作所)

松栄電工株式会社|エポキシ・ウレタン・シリコーンを使い分けてポッティングする

愛知県新城市に所在地を置く会社です(1970年設立)。自動車のワイパー・エアコンのモーター・センサーなどのハーネスの組立と、スイッチの組立を手がけ、ポッティング加工も受けています。

松栄電工のポッティング加工のページに載っている、ノズルから部品に樹脂を注入する様子の写真
松栄電工のページに載っている、ポッティング加工の様子(出典:松栄電工)

松栄電工の得意技術

技術内容
4つの樹脂の使い分けエポキシ樹脂(1液)は管理が容易で熱伝導率 1.0W/m・K、エポキシ樹脂(2液)は低粘度で脱泡しやすく耐ヒートショック性、ウレタン樹脂(2液)は温度変化による物性の変化が少なく柔軟、シリコーン樹脂(1液)は広い温度域で弾性があり耐熱性に優れるとしている
ポッティングの効果電気絶縁、防水・防塵、耐振動・耐衝撃、製品の寿命の延長を挙げている
ハーネス・スイッチの製造自動車のハーネスとスイッチの組立を本業とする

松栄電工が解決できる課題

  • 放熱が要る部品を、熱伝導のよい樹脂で封止したい
  • 温度変化のある所で、柔らかい樹脂で部品を守りたい
  • ハーネスやスイッチの部品を、組立とあわせて封止したい

出典:松栄電工「会社概要」、松栄電工「ポッティング加工」

日本ソセー工業株式会社|2液の樹脂を自動で量って注ぐ装置と、真空注型の装置

日本ソセー工業とは

名古屋市南区に本社・工場を置く会社です(1970年設立)。エポキシ・ウレタン・シリコーン樹脂などの自動定量注入機と撹拌機の専門メーカーで、自社開発の特許製品の開発・製造・販売を事業としています。

日本ソセー工業の SOVAC SYSTEM のページに載っている、真空注型の装置 SOV シリーズの写真
日本ソセー工業のページに載っている、真空注型の装置 SOV シリーズ(出典:日本ソセー工業)

日本ソセー工業の得意技術

技術内容
自動定量注入機・撹拌機エポキシ・ウレタン・シリコーン樹脂などを、決まった量だけ自動で注入し、撹拌する装置を作る
真空注入(SV シリーズ)大気の中で注入しても行き渡らない所まで液を充填できるとし、製品の大きさに合わせた真空槽を提案する
真空注型(SOV シリーズ)手動のタイプだが、脱泡から撹拌・注型までの全自動化もできるとし、オーダーメイドで作る

日本ソセー工業が解決できる課題

  • ポッティングの2液の計量・混合を、自動にしてばらつきを減らしたい
  • 狭いすき間まで樹脂を入れ、気泡を減らしたい
  • 基板・センサー・コイルの注入の工程を立ち上げたい

公開されている実績・用途

  • 用途に、給湯器・ウォシュレットの基板のポッティング、センサーへの樹脂ポッティング、圧力センサーの樹脂封止、リアクトルコイルへの樹脂注入、太陽電池のジャンクションボックスの封止などを挙げている

出典:日本ソセー工業「会社概要」、日本ソセー工業「事業所」、日本ソセー工業「SOVAC SYSTEM(真空注入・真空注型)」、日本ソセー工業「用途」

武蔵エンジニアリング株式会社|マスキングを減らして、要る所だけに基板コーティングを塗る装置

武蔵エンジニアリングとは

東京都三鷹市に本社を置く会社です(1978年設立)。ディスペンステクノロジーの研究開発と、ディスペンサ(液体精密制御装置)や自動化・省力化の塗布装置を手がけています。

手作業のはけ塗りとマスキングから、ロボットと塗布バルブで要る所だけ塗る選択塗布に変えた例の比較図
図14 手塗り・マスキングから、選択塗布(マスクレス)へ(武蔵エンジニアリングの導入事例)
出典:武蔵エンジニアリング「導入事例:基板コーティング」をもとに AI(Claude)で作成

武蔵エンジニアリングの得意技術

技術内容
マスクレスの基板コーティングJET ディスペンサーとコーティングバルブを組み合わせ、塗らない所を避けて要る所だけに塗る
全自動の装置全自動基板コーティングマシン FCD1000 で、基板のコーティングを自動にする
卓上ロボット卓上ロボット SHOTMASTER ΩX で、半自動の塗布にも対応する

武蔵エンジニアリングが解決できる課題

  • はけ塗りの仕上がりが作業者で変わり、良品率が安定しない
  • マスキングを貼る・はがす手間を減らしたい
  • コーティングの溶剤(VOC)の作業者への影響が心配

公開されている実績・用途

  • 導入事例として、だれが担当しても高品質に仕上がり良品率が上がったこと、マスキングの工程を減らして生産性が上がったことを紹介している

出典:武蔵エンジニアリング「会社概要」、武蔵エンジニアリング「導入事例:基板コーティング」

武蔵エンジニアリングは、この事例の内容をもとにした図にしています。

日本パリレン合同会社|真空の中で、パリレンの薄い膜を部品に付ける

日本パリレンとは

東京都八王子市に本社を置く会社です(1990年設立)。米国のスペシャルティ・コーティング・システムズ(SCS)社が100%出資し、パリレンコーティングのほか、液状のコーティング、PlasmaGuard、ALD のコーティングなどを扱っています。

パリレンの気相蒸着の3つの段階(気化・熱分解・蒸着)の模式図
図15 パリレンの気相蒸着の3つの段階
出典:日本パリレン「パリレンの蒸着プロセス」をもとに AI(Claude)で作成

日本パリレンの得意技術

技術内容
パリレンの気相蒸着固体のダイマーを真空で温めて気体にし、熱分解してモノマーにし、室温の蒸着室ですべての面に均一に蒸着する
膜の特徴薄く透明なポリマーの膜。すき間や入り組んだ部分に深く入り込み、完全で均一に封止できるとしている
膜の厚さ数百オングストロームから数ミル(1ミルは約 25µm)の範囲で用途に合わせて調整でき、一般的な厚さはミクロンの範囲としている

日本パリレンが解決できる課題

  • 液のコーティングでは入りにくい、すき間の多い部品を均一に覆いたい
  • とても薄い膜で、部品の形や重さを変えずに守りたい
  • 医療機器・電子部品などで、透明な保護膜が要る

公開されている実績・用途

  • 用途の分野に、医療機器・エレクトロニクス・自動車・航空宇宙・LED を挙げている

出典:日本パリレン「日本パリレン合同会社について」、日本パリレン「パリレンの蒸着プロセス」

日本パリレンは、親会社の米国 SCS 社のサイトの利用条件を確かめていないため、同社のページの説明をもとにした図にしています。

株式会社ハーベス|フッ素系の薄い膜で、基板を湿気と腐食性のガスから守る

ハーベスとは

埼玉県さいたま市浦和区に本社を置く会社です(1988年設立)。精密機器向けの潤滑剤、撥水・撥油のフッ素系コーティング剤、充填包装などを事業としています。

ハーベスの基板防湿コーティングのページに載っている、電解液と腐食性ガスからリチウムイオン電池の制御基板をコーティングで守る使用例の図
ハーベスのページに載っている、リチウムイオン電池の制御基板の使用例の図(出典:ハーベス)

ハーベスの得意技術

技術内容
フッ素系の基板防湿コーティング同じ膜厚で比べると、アクリル系やウレタン系の樹脂に比べて数倍以上の防湿性があるとしている(メーカーの説明)
不燃で扱いやすい引火性がないので、防爆の設備や危険物倉庫は要らないとしている
腐食性のガス・液への強さ化学的に安定で、腐食性のガスや液の影響が軽いとしている。回路基板用の DP-500 は鉛筆硬度 4B

ハーベスが解決できる課題

  • 薄く軽い膜で、基板を湿気から守りたい(モバイル機器など)
  • 腐食性のガスや電解液から、基板を守りたい
  • 溶剤の引火や危険物の管理の手間を減らしたい

公開されている実績・用途

  • 使用例に、タッチセンサー(放熱性を保ったまま防湿)、モバイル機器(軽量化・汗の侵入を防ぐ)、リチウムイオン電池(電解液による劣化・発火の対策)を挙げている

出典:ハーベス「会社概要」、ハーベス「基板防湿コーティング」

使われる製品・事例

日本ソセー工業は、注入・塗布の装置の用途として、給湯器・ウォシュレットの基板のポッティング、洗濯機の基板の防水用の材料の塗布、センサー・圧力センサーの樹脂封止、モーターコイルの防水・絶縁を挙げています。ハーベスは、タッチセンサー・モバイル機器・リチウムイオン電池に防湿コーティングを使う例を紹介しています。課題ページでは、制御盤・筐体の中の結露を防ぎたい・電子機器を防水・防じんにしたい・LED を長寿命にしたいで、関係する対策を紹介しています。

出典:日本ソセー工業「用途」、ハーベス「基板防湿コーティング」

ポッティング・コンフォーマルコーティングとあわせて検討される技術です。

出典・確認日

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。

情報の確認日:2026年10月8日 本ページの内容は一般的な情報で、実際の防湿・防水・絶縁の性能は、材料の品番・膜厚・塗り方・使う条件により異なります。

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