LEDを長寿命にしたい

LEDを並べた金属基板をフィン付きのヒートシンクに取り付け、熱が下へ逃げる様子を描いたイメージ

LED照明や表示灯が、カタログの寿命よりずっと早く暗くなった。光の色が変わった。温泉地や工場で使う照明だけが黒っぽくなった。何年か使ううちにちらつき、消えてしまった。こうした症状の多くは、LEDの接合部の温度、封止樹脂や銀めっきの劣化、はんだ接合部の亀裂、電源の部品の寿命が原因です。

LEDの寿命は、LEDという部品だけでは決まりません。放熱、駆動電流、使う場所の環境、電源まで含めた製品の設計で決まります。まずは次のマトリクスで、自分の課題に近いものと、使える技術を確かめてください。

目次

課題と解決技術のマトリクス

◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効

※記号は一般的な傾向に基づく目安です。実際の効果は、LEDのパッケージの種類、駆動電流、使う場所の温度・湿度・ガス、点灯のしかた、求める寿命によって異なります。寿命試験・評価は、それだけで寿命を延ばすものではなく、原因の特定と対策の確認に使います。

記号の理由と出典(19件)

マトリクスの記号ごとに、理由と出典をまとめました。出典が「編集部の解説」のものは、この記事の本文の説明をもとにした編集部の評価です。症状の記号を押すと、その症状の説明へ移ります。

症状技術記号理由出典
A熱設計・放熱◎接合部の温度が高いほど封止材などの劣化が速く進むため、温度を下げる熱設計が第一候補日本接着学会誌
A駆動電流・電源○電流を下げると発熱が減り接合部の温度が下がるため有効編集部の解説
ALED・材料の選定○使う条件での光束維持率のデータがあるLEDを選べば、暗くなる速さを見積もれるため有効編集部の解説
A寿命試験・評価○実測データから寿命を推定でき、暗くなる速さを確かめられるため有効日本照明工業会
B熱設計・放熱○封止樹脂の劣化は熱で進むため、温度を下げれば色の変化も抑えられて有効日本接着学会誌
B駆動電流・電源○電流を下げるとチップ近くの温度と光の強さが下がり、劣化が抑えられるため有効編集部の解説
BLED・材料の選定◎色ずれの原因である樹脂の黄変や銀の硫化に強いLEDを選べるため第一候補日亜化学工業
Bコーティング・封止△色ずれの原因が硫化のときに限り、ガスを遮るコーティングが有効編集部の解説
B寿命試験・評価○色の変わる方向と発光部の見た目で原因を切り分けられるため有効編集部の解説
CLED・材料の選定◎硫化に強いLEDを選び、硫黄を含む部材を避けることが原因そのものへの対策になるため第一候補日亜化学工業
Cコーティング・封止◎硫化ガスを遮る皮膜でLEDや基板を守れるため第一候補野田スクリーン
C寿命試験・評価○硫化ガス試験で対策の効果を比べられるため有効OKIエンジニアリング
D熱設計・放熱○点灯中の温度と温度の上下の幅を小さくすれば、はんだにかかる力が減るため有効編集部の解説
DLED・材料の選定◎線膨張係数の差が小さいLEDと基板の組み合わせがはんだクラックの根本対策になるため第一候補日亜化学工業
D寿命試験・評価○温度サイクル試験ではんだの亀裂の進み方を確かめられるため有効日亜化学工業
E熱設計・放熱◎電源の部品は温度で寿命が大きく変わるため、電源をLEDの熱から離して温度を下げるのが第一候補日本ケミコン
E駆動電流・電源◎電源のアルミ電解コンデンサの推定寿命を計算して部品を選べるため第一候補日本ケミコン
ELED・材料の選定○高温で寿命の長い電源部品を選べば先に壊れにくくなるため有効編集部の解説
E寿命試験・評価○電源を含めた製品の状態で試験すれば、先に壊れる部分が分かるため有効編集部の解説

課題の診断と解決策

A

思ったより早く暗くなる(光束の低下)

LED照明や表示灯が、カタログの寿命よりずっと早く暗くなった。密閉した筐体や、高温の場所に付けた製品ほど早い。

密閉した照明器具の中にLEDの熱がこもり、出てくる光が弱くなっているイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
LEDは、電球のように急に切れるより、少しずつ暗くなることが多い光源です。接合部(チップ)の温度が高いほど、封止樹脂の黄変やチップ自体の劣化が速く進みます。封止樹脂は全体が一様に劣化するのではなく、発光素子の近くから局所的に劣化するとされています。
解決に使える技術
選ぶときの注意

LEDのデータシートの寿命は、決められた温度・電流での値です。自社の製品の中で、LEDのはんだ付け部の温度がどこまで上がるかを測り、データシートの条件と比べてから判断します。

B

色が変わる(黄ばむ・青っぽくなる)

白いはずの光が、黄色っぽく、または青っぽくなった。同じ製品の中で、LEDごとに色がばらつくようになった。

LEDのパッケージの中で、チップの近くの封止樹脂が黄色く変色し、光が黄色っぽくなるイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
白色LEDの多くは、青色のチップの光と、その光で光る蛍光体の光を混ぜて白くしています。封止樹脂が黄変すると光が黄色っぽくなります。反対に、リードフレームの銀めっきが硫化して変色すると、黄色の成分の反射が減って、光が青色の方向にずれます。
解決に使える技術
選ぶときの注意

黄色っぽくなるのか、青っぽくなるのかで、疑う原因が変わります。色の変わる方向を記録しておくと、原因の切り分けが早くなります。

C

硫黄の多い場所やゴム部品の近くで、暗く・黒っぽくなる

温泉地や工場、畜舎で使う照明が早く暗くなった。LEDの発光部をのぞくと、中が茶色や黒に変色していた。

ゴム部品から出た硫黄のガスで、LEDの中の銀めっきのリードフレームが黒く変色しているイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
LEDのリードフレームには、光をよく反射する銀めっきが使われることがあります。銀は空気中の硫黄と反応して硫化銀になり、黄色から茶褐色、黒へと変色します。反射率が下がって暗くなり、進むとワイヤの接合部がもろくなって断線(不点灯)に至ることもあります。
解決に使える技術
選ぶときの注意

硫黄の出どころは、外の空気だけではありません。日亜化学工業は、輪ゴムなどのゴム製品やゴム系接着剤、ダンボールも硫黄を含む製品の例に挙げています。製品の中や梱包に使う材料も見直します。

D

点灯と消灯、寒暖をくり返すうちに消える・ちらつく

屋外の照明や車載の部品が、何年か使ううちに、ときどき消えたり、ちらついたりするようになった。

LEDと基板の伸び縮みの差で、LEDの電極のはんだに亀裂が入っているイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
LEDと基板は、温度が変わったときの伸び縮みの割合(線膨張係数)が違います。温度の上下がくり返されると、両者をつなぐはんだに力がくり返しかかり、亀裂(はんだクラック)が生じて進みます。亀裂が広がると、接触が不安定になってちらつき、最後は不点灯になります。
解決に使える技術
  • LED・材料の選定線膨張係数の差が小さいLEDと基板の組み合わせにする。低弾性の絶縁層の基板を使う
  • 熱設計・放熱点灯中の温度を下げ、温度の上下の幅を小さくする
  • 寿命試験・評価温度サイクル試験で、はんだの亀裂の進み方を確かめる
選ぶときの注意

放熱のためにアルミ基板にすると、LEDとの線膨張係数の差が大きくなり、はんだクラックが起きやすくなる場合があります。放熱と接合の信頼性は、一緒に検討します。

E

LEDより先に電源が壊れる(突然消える・点滅する)

LED自体はまだ明るいのに、製品が突然点かなくなった。点滅するようになった。調べると電源の基板が故障していた。

LEDはまだ使えるのに、電球の中の電源の電解コンデンサが熱で傷んで消えたイメージ
イメージ(AI[ChatGPT]で生成)
起きている現象
LEDは直流で点灯するため、交流を直流に変える電源(点灯回路)が必要です。電源に使うアルミ電解コンデンサは、中の電解液が少しずつ蒸発して寿命を迎えます。この寿命は温度に強く影響され、周囲の温度が10℃上がると、寿命はおよそ半分になります。
解決に使える技術
選ぶときの注意

LEDを明るくするために電源と一体にして小さくすると、電源の部品がLEDの熱で温められます。製品の寿命は、LEDと電源のうち短いほうで決まります。

なぜLEDは暗くなる・消えるのか

LEDの寿命は「明るさが70%に下がるまで」

LEDは、電球のように突然切れるより、使ううちに少しずつ暗くなる光源です。日本照明工業会のガイドによると、JIS C 8157(一般照明用電球形LEDランプ)は、定格寿命を、決められた条件で点灯したときに光束が初期の70%以上を保っている期間と定めています。そのため、LEDの寿命は、明るさが初めの70%に下がるまでの時間(L70)で表すことが多くなっています。

数万時間の寿命を、すべて点灯して確かめることはできません。JIS C 8152-3(光束維持率の測定方法)の附属書B(参考)では、6,000時間以上の実測データをもとに寿命を推定する方法を示しており、推定できるのは、試料が20個以上なら実測時間の6倍まで、10〜19個なら5.5倍までとしています。データシートの寿命を見るときは、どんな温度・電流で、何時間測ったデータからの推定かを確かめます。

光束維持率が時間とともに下がる曲線。6,000時間の実測データから6倍の36,000時間まで外挿でき、70%に下がる時間をL70とすることを示したグラフ
光束維持率の測定データから寿命(L70)を推定する考え方
出典:日本照明工業会のガイドと JIS C 8152-3 附属書B をもとに AI(Claude)で作成

劣化する場所は、パッケージの中と外にある

LEDのパッケージは、青色のチップ、チップを載せて電気を通すリードフレーム(反射のために銀めっきをしたものが多い)、チップをおおう封止樹脂と蛍光体、基板とつなぐはんだでできています。寿命を縮める原因は、このそれぞれにあります。

LEDパッケージの断面図。封止樹脂・蛍光体、LEDチップ、銀めっき、はんだ接合部、基板のそれぞれで起きる劣化を示した概念図
LEDのパッケージと実装で、寿命を縮める原因が起きる場所
AI(Claude)で作成

封止樹脂の黄変:エポキシ樹脂系の封止材は、光(特に紫外線)と熱で酸化が進み、黄変します。日本接着学会誌の総説は、封止材の劣化は熱によって促進され、特に発光素子の表面温度の影響が大きく、素子の近くから局所的に劣化するとしています。

銀めっきの硫化:日亜化学工業の技術資料によると、銀は硫黄と反応して硫化銀(2Ag+S→Ag₂S)になり、皮膜が厚くなるほど黄色、茶褐色、黒へと変色します。その結果、①反射率が下がって暗くなる、②光の色が青色の方向にずれる、③リードフレームの内部まで進むとワイヤの接合部がもろくなり断線する、の3つが起きます。硫黄を含むガスが出る場所として、屎尿処理場、畜舎、火力発電所、製鉄所、温泉地などを挙げています。

はんだクラック:同社の別の資料では、はんだクラックは、LEDと基板の線膨張係数の差が大きいほど起こりやすいとしています。温度の上下で各部材の伸び縮みの量が違うため、はんだ接合部に力がくり返しかかり、亀裂が生じて進み、最後は不点灯になります。

電源の部品の寿命:日本ケミコンによると、アルミ電解コンデンサの寿命は、電解液が封口部から外へ蒸散することで決まり、静電容量の減少などとして現れます。60〜95℃の範囲では、温度が10℃下がると寿命が約2倍になる「10℃2倍則」が使われます。

すべての劣化を速めるのが「熱」

LEDのチップの熱が、基板と放熱シートを通ってヒートシンクのフィンから空気へ逃げるイメージ
熱の通り道:チップの熱は基板からヒートシンクへ逃がすイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

LEDに入れた電力のうち、光にならなかった分は熱になります。シチズン電子の技術資料は、LEDのパッケージは表面積がとても小さく、パッケージから空気中への放熱はほとんど期待できないため、ヒートシンクなどの外部の放熱器が必要になるとしています。そして、接合部温度(Tj)を、どんな条件でも仕様書の絶対最大定格以下にする必要があるとしています。

接合部温度は、周囲温度に、発熱量と熱の通り道の熱抵抗の合計を掛けたものを足した値になります(Tj=(Rj-s+Rs-a)×Pd+Ta)。周囲温度が高いほど、また駆動電流が大きいほど、熱抵抗の小さい放熱のしくみが必要になります。

原因の切り分け方

照明から外したLEDの基板を別の直流電源で点け、LEDと電源のどちらが原因かを分けるイメージ
切り分け:LEDを別の電源で点けて、LEDと電源のどちらが原因かを分けるイメージ(AI[ChatGPT]で生成)

まず、暗くなったのか、消えたのかを分けます。少しずつ暗くなったならLEDの劣化(熱、封止樹脂、硫化)を、突然消えたり点滅したりするならはんだクラックか電源の故障を疑います。LEDを別の電源で点けてみると、LEDと電源のどちらが原因かを分けられます。

暗くなった場合は、光の色の変わり方と、発光部の見た目を確かめます。黄色っぽくなったなら封止樹脂の劣化、青っぽくなり、発光部の中が茶色や黒に変色しているなら銀めっきの硫化が疑われます。硫化の場合は、使う場所の空気と、製品の中のゴムや接着剤も調べます。

出典:電球形LEDランプ・LED照明器具ガイド|日本照明工業会、LED硫化現象について|日亜化学工業、はんだクラックについて|日亜化学工業、エポキシ樹脂系LED封止材(総説)|日本接着学会誌 46巻11号、アルミ電解コンデンサの寿命|日本ケミコン、放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子

JIS C 8152-3:2013(照明用白色発光ダイオード(LED)の測光方法-第3部:光束維持率の測定方法)附属書B も参照しました。

解決技術の詳細

LEDを長寿命にする対策は、大きく分けて、①熱設計・放熱、②駆動電流と電源の設計、③LEDと材料の選定、④コーティング・封止、⑤寿命試験・評価、の5つです。はじめに、何をもって寿命とするか(明るさが何%に下がるまでか、色のずれをどこまで許すか)を決めてから、原因に合わせて組み合わせます。

LEDを長寿命にする5つの対策(熱設計・放熱、駆動電流・電源、LED・材料の選定、コーティング・封止、寿命試験・評価)と、寿命の定義を先に決めることを示した分類図
LEDを長寿命にする対策の5つの方向
AI(Claude)で作成

熱設計・放熱で接合部の温度を下げる

熱は、LEDの接合部から、パッケージ、はんだ、基板、放熱材、ヒートシンクを通って空気へ逃げます。熱抵抗は直列につながっているので、どこか1か所でも大きいと接合部の温度が上がります。熱抵抗の大きいところから順に下げます。

LEDの接合部から、はんだ接合部、基板、ヒートシンク、周囲の空気へ熱が流れる経路と、それぞれの熱抵抗を下げる方法を示した図
LEDの熱の通り道と熱抵抗。接合部温度は熱抵抗の合計で決まる
AI(Claude)で作成

パワーLEDは、アルミ・ベース基板に実装し、さらにヒートシンクに取り付けるのが一般的です。基板とヒートシンクの間には、すき間を埋める放熱シートやグリスを入れます。接合部の温度は直接は測りにくいため、データシートの測定点(はんだ付け部など)の温度を測り、パッケージの熱抵抗から計算します。CQ出版の解説では、絶対最大定格の90%程度を設計の目標にする例を示しています。

駆動電流を下げ、電源の寿命を延ばす

駆動電流を下げると、発熱が減り、接合部の温度が下がります。必要な明るさを、少ない電流で多くのLEDを点けてまかなう方法もあります。

LEDは、温度が上がると順電圧(VF)が下がる性質があります。CQ出版の解説によると、温度上昇→VFの低下→電流の増加→さらに温度上昇、という悪循環が起きると、接合部の温度と電流が最大定格を超え、寿命が短くなり、最悪の場合は破壊に至ります。同書は、パワーLEDの駆動には、適正な放熱設計と、状況に応じた電流制御の2点が不可欠としています。

電源は、アルミ電解コンデンサの推定寿命を計算して部品を選びます。日本ケミコンは、周囲温度とリプル電流による自己発熱から寿命を推定する式を公開しています。電源をLEDの熱源から離すこと、コンデンサの温度を下げることが、電源の寿命を延ばします。

LEDと材料を選ぶ

LEDは、使う温度・電流での光束維持率のデータが公開されているものを選びます。硫黄の多い環境で使うなら、硫化に強い(封止樹脂のガスバリア性を高めた、など)LEDを選びます。日亜化学工業の資料では、同社の2つの品種を硫化ガスの加速試験で比べ、屋内の腐食性区分で最も厳しい区分(IC5)の環境で、光束維持率が70%に下がるまでの予測時間を、NS2W757A-V1 は5年、これよりガスバリア性を向上させた NFSW757D は100年超と示しています(腐食環境での保管以外の劣化は含まない参考値)。あわせて、製品に使うパッキンや接着剤は、硫黄成分を含むものを避けるよう求めています。

はんだクラックには、線膨張係数の差が小さいLEDと基板の組み合わせを選びます。日亜化学工業の資料は、樹脂パッケージのLEDとガラスエポキシ基板の組み合わせが有利なこと、アルミ基板なら絶縁層に低弾性のものを使うとはんだにかかる力を減らせることを挙げています。高信頼性の鉛フリーはんだを使うと、逆にLEDの側に力が集中してチップが割れる場合もあるため注意が必要です。

コーティング・封止で硫化ガスと湿気を遮る

LEDを交換できない、または耐硫化品を選べないときは、LEDや基板をコーティングして、硫化ガスや湿気を遮ります。コーティングは光の通り道にかかるため、透明性、光と熱による黄変のしにくさ、LEDの封止樹脂との相性を確かめて選びます。

寿命試験・評価で確かめる

対策の効果は、試験で確かめます。光束維持率の試験(JIS C 8152-3 など)に加え、原因に合わせて、硫化ガス試験、温度サイクル試験、高温高湿での通電試験を組み合わせます。日亜化学工業は、硫化の評価に IEC 60068-2-60 の混合ガス試験を、はんだクラックの評価に温度サイクル試験(−40℃⇔100℃、各15分)を使い、順電圧の上昇ではんだの亀裂を判定しています。故障した製品は、故障解析で原因を確かめてから対策します。

出典:パワーLEDの特性と駆動方法(高輝度/パワーLEDの活用テクニック 第4章)|CQ出版社、放熱設計(CLL130シリーズ)|シチズン電子、アルミ電解コンデンサの寿命|日本ケミコン、LED硫化現象について|日亜化学工業、はんだクラックについて|日亜化学工業

LEDの寿命を延ばす技術を持つ企業

各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。

企業解決できる課題種類何ができるか合う症状
関西電子工業プリント基板メーカーLEDの熱を逃がすメタルベース基板・メタルコア基板を設計・製造する。放熱部品の実装のノウハウも持つ。A 思ったより早く暗くなる(光束の低下)
D 点灯と消灯、寒暖をくり返すうちに消える・ちらつく
日亜化学工業LEDメーカーLEDの硫化とはんだクラックの仕組みと対策をまとめた技術資料を公開し、ガスバリア性を高めたLEDを手がける。B 色が変わる(黄ばむ・青っぽくなる)
C 硫黄の多い場所やゴム部品の近くで、暗く・黒っぽくなる
D 点灯と消灯、寒暖をくり返すうちに消える・ちらつく
野田スクリーンコーティング材料LED実装基板を硫化ガスや湿気・結露から守るフッ素系コーティング剤を開発・製造する。B 色が変わる(黄ばむ・青っぽくなる)
C 硫黄の多い場所やゴム部品の近くで、暗く・黒っぽくなる
LightBankLED照明の開発電解コンデンサを使わない電源で、LED電球の寿命が電源で決まらないようにする。E LEDより先に電源が壊れる(突然消える・点滅する)
OKIエンジニアリング受託試験・分析使う環境に合わせたLEDの信頼性試験と、硫化の原因になる部品・材料を突き止める診断を行う。A 思ったより早く暗くなる(光束の低下)
C 硫黄の多い場所やゴム部品の近くで、暗く・黒っぽくなる
企業名を押すと各社の紹介へ、症状を押すと上の症状の説明へ移ります(各社の公開情報をもとに編集部で整理。課題の絵は AI[ChatGPT]で生成したイメージ)

関西電子工業株式会社|LEDの熱を逃がすメタルベース基板・メタルコア基板

関西電子工業とは

関西電子工業は、兵庫県尼崎市に本社・工場を置く、プリント基板の設計・製造の会社です。同社は、LED開発への参加をきっかけに、多様な部品の放熱のノウハウを蓄積してきたとしています。

回路・絶縁層・ベース金属からなるメタルベース基板の断面と、絶縁層の熱伝導率1.8、3.0、6.5、10以上 W/(m·K)の選択肢を示した図
メタルベース基板の構造と、絶縁層の熱伝導率の選択肢
出典:関西電子工業の公開情報をもとに AI(Claude)で作成

関西電子工業の得意技術

技術内容
メタルベース基板アルミまたは銅の板の上に絶縁層を重ね、その上に回路をつくる。絶縁層の熱伝導率は1.8、3.0、6.5、10以上 W/(m·K)(10以上は加工実績あり)から選べる
ベース金属の選択アルミベースは放熱性がFR-4の4倍以上。銅ベースは、アルミより約1.7倍放熱性が優れている
実装の改善放熱部品の実装で、はんだクラック対策、ボイド対策などの実装改善事例を経験している

同社は、絶縁層の熱伝導率が大きく、絶縁層が薄いほど熱抵抗が小さくなる一方、薄すぎると耐圧が下がるため、バランスが必要だとしています。用途として、LED、車載電装、ハイブリッドICなどを挙げています。

関西電子工業が解決できる課題

  • 高輝度LEDの熱が逃げず、接合部の温度が上がってしまう
  • ガラスエポキシ基板から、放熱性の高い基板に替えたい
  • 放熱部品の実装で、はんだクラックやボイドを減らしたい

出典:メタル基板|関西電子工業、企業情報|関西電子工業

日亜化学工業株式会社|LEDの硫化とはんだクラックの技術資料・ガスバリア性を高めたLED

日亜化学工業とは

日亜化学工業は、徳島県阿南市に本社を置く、LEDや半導体レーザーなどの光半導体と、蛍光体などの化学品のメーカーです。1956年に設立されました。LEDを使う製品の設計者向けに、硫化やはんだクラックの仕組みと対策をまとめた技術資料を公開しています。

IC3・IC4・IC5の各区分で、NS2W757A-V1は29年・13年・5年、NFSW757Dはいずれも100年超という光束維持率70%到達の予測時間の棒グラフ
2つの品種の、硫化による光束維持率70%到達の予測時間
出典:日亜化学工業の技術資料の表をもとに AI(Claude)で作成

日亜化学工業の得意技術

技術内容
硫化の評価と予測IEC 60068-2-60 の混合ガス試験を強化した加速試験と、屋内の腐食性区分(ISO 11844 の IC1〜IC5)の考え方を使い、光束維持率が70%に下がるまでの時間を予測している
ガスバリア性を高めた品種NFSW757D は、NS2W757A-V1 よりガスバリア性を向上させた品種。最も厳しい区分(IC5)の予測で、NS2W757A-V1 の5年に対し、NFSW757D は100年超(腐食環境での保管以外の劣化は含まない参考値)
はんだクラックの低減策線膨張係数の差が小さいLEDと基板の組み合わせ、低弾性の絶縁層のアルミ基板などを示し、温度サイクル試験(−40℃⇔100℃、各15分)で評価している

同社は、製品に使うパッキンや接着剤は硫黄成分を含むものを避け、パッキンを使う場合はシリコーンゴムを推奨するとしています(その場合は、低分子シロキサンによる接点不良に注意)。

日亜化学工業が解決できる課題

  • 温泉地や工場で使うLED照明が、硫化で暗くなる・色がずれる
  • 製品の中のゴムや接着剤から出る硫黄の影響を減らしたい
  • 屋外や車載のLEDで、はんだクラックによる不点灯を防ぎたい

出典:LED硫化現象について|日亜化学工業、はんだクラックについて|日亜化学工業、会社概要|日亜化学工業

株式会社野田スクリーン|LED実装基板を硫化ガス・湿気から守るフッ素系コーティング剤

野田スクリーンとは

野田スクリーンは、愛知県小牧市に本社を置く会社です。プリント配線板の穴埋め・研磨加工と、フッ素を中心としたコーティング材料の開発・製造・販売を行っています。

コーティングのないLED基板は硫化ガスで銀めっきが変色し、透明なコーティングのある基板はガスを遮ることを比べた概念図
コーティングで硫化ガスと湿気を遮る仕組み
出典:野田スクリーンの公開情報をもとに AI(Claude)で作成

野田スクリーンの得意技術

技術内容
PCHシリーズ(耐硫化タイプ)耐硫化性のあるフッ素皮膜で、銀めっきの硫化を防ぐ。硫化ガスが発生する環境(ゴム工場、温泉地、トンネル内など)で使う電子基板の腐食防止や、LED実装基板の硫化対策に使う
WOPシリーズ(標準タイプ)防水・防滴・防湿性、耐マイグレーション性をもつ。屋外や冷蔵冷凍庫の照明用のLED実装基板の防湿・防滴保護に使われる
透明性と常温乾燥透明な皮膜で、LEDの光学特性に影響を与えないとしている。フッ素系溶剤を使い、常温で乾燥できる

同社は、銀めっきの基材にPCHシリーズを塗り、硫化アンモニウム溶液と一緒に密閉容器に14時間置いて、未塗布の基材と外観を比べた試験結果を公開しています。

野田スクリーンが解決できる課題

  • 硫化ガスの多い場所で使うLED基板を、硫化から守りたい
  • 屋外や冷凍庫で使うLED基板を、湿気や結露から守りたい

出典:コンフォーマルコーティング剤 フッ素系速乾型不燃タイプ|野田スクリーン、野田スクリーン

LightBank株式会社|電解コンデンサを使わない電源で、LED電球を長寿命に

LightBankは、東京都千代田区に本社を置く、LED照明などのエレクトロニクス製品の開発・販売の会社です(旧社名 KKテクノロジーズ)。2014年に設立されました。

電解コンデンサを使う一般的なLED電源と、電解コンデンサを使わない電源を比べた概念図
電解コンデンサを使う電源と、使わない電源の違い
出典:LightBankの公開情報をもとに AI(Claude)で作成

LightBankの得意技術

技術内容
電解コンデンサレスの電源寿命のある部品である電解コンデンサを使わない電源を開発し、「タフらいと」シリーズとして、電球形や直管形などのLED照明に使っている
設計寿命同社は、電解コンデンサレスにより、設計寿命を最大30万時間にしたとしている
課題への対応同社のコラムでは、これまでの電解コンデンサを使わない電源は、フリッカーや電磁ノイズが出る、価格が大幅に上がるなどの問題がある場合がほとんどだったとし、技術的な課題をクリアしつつ、できるだけ価格の高騰をおさえた電源を開発したとしている

同社のコラムでは、LED電球の寿命は一般に4万時間といわれ、その設計保証値にするには、コンデンサの周囲温度を60℃近辺にする必要があると説明しています。

LightBankが解決できる課題

  • LED照明の寿命が、電源の電解コンデンサで決まってしまう
  • 小さい筐体で、電源の部品の温度を下げきれない

出典:電解コンデンサレス長寿命シリーズ|LightBank、LED電球の寿命と熱設計(豆知識・コラム)|LightBank、会社情報|LightBank

OKIエンジニアリング株式会社|LEDの信頼性試験と、硫化の原因になる部材を突き止める診断

OKIエンジニアリングとは

OKIエンジニアリングは、東京都練馬区に本社を置く、受託試験の会社です。信頼性評価試験・環境試験、故障解析、化学分析、EMC試験などを行っています。

高温高湿連続通電試験と硫化水素ガス試験の条件、製品を部材ごとに分けてアウトガス分析する硫化原因診断の流れを示した図
LEDの信頼性試験の例と、硫化原因診断の流れ
出典:OKIエンジニアリングの公開情報をもとに AI(Claude)で作成

OKIエンジニアリングの得意技術

技術内容
LEDの信頼性試験熱衝撃、温度サイクル、温湿度サイクル、連続動作、高温高湿保存、バイアス印加、腐食ガスなど、使用環境を考えた試験を行う
試験の例高温高湿連続通電試験(85℃・85%RH・1,000時間、EIAJ ED-4701/100)。硫化水素ガス試験(H2S 10〜15ppm・25℃・75%RH・504時間、JIS C 60068-2-43)で、シリコーン封止材を透過する硫黄系ガスによる電極の腐食を評価する
LED製品硫化原因診断製品を数十に分割してアウトガス分析(ヘッドスペースGC-FPD)を行い、硫黄系ガスがどの部品・材料から出ているかを ppb レベルで突き止める

同社は、硫黄を含む材料で構成されていても、ガス化するとは限らないため、硫黄化合物の有無ではなく、硫黄系ガスの発生の有無で診断するとしています。

OKIエンジニアリングが解決できる課題

  • LEDの製品で、使う環境に合わせた信頼性試験をしたい
  • 硫化したLEDの製品で、硫黄系ガスの出どころ(部品・材料)を特定したい

出典:LEDの信頼性試験|OKIエンジニアリング、LED製品硫化原因診断|OKIエンジニアリング、会社概要|OKIエンジニアリング

選ぶ前に確かめる条件

企業に相談したり、対策を選んだりする前に、次の条件を整理しておくと、対策選びが早くなります。

  • 何をもって寿命とするか(明るさが初めの何%に下がるまでか、色のずれをどこまで許すか)と、目標の時間・年数
  • 症状(少しずつ暗くなる、色が変わる、黒っぽくなる、ちらつく、突然消える)と、出るまでの時間
  • 使っているLEDの品番、駆動電流、データシートの寿命の条件(温度・電流・試験時間)
  • LEDのはんだ付け部や筐体の中の温度(実測値)と、周囲温度の最高値
  • 使う場所の環境(屋外・屋内、温泉地や工場などの硫黄を含むガス、湿度、塩分)と、近くで使っているゴム・接着剤
  • 点灯のしかた(連続点灯か、点滅・調光をくり返すか)と、寒暖の差
  • 基板の種類(ガラスエポキシ、アルミ基板など)と放熱の構造
  • 電源の構成(LEDと一体か別置きか)と、使っている電解コンデンサの定格

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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。

情報の確認日:2026年9月29日

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