製品に組み込んだリチウムイオン電池が、仕様書の寿命より早く使えなくなる。使っていない予備の機器でも、容量が減っている。冬や急速充電のあとに劣化が進む。組電池の1本だけが早くへたる。こうした悩みは、電池の中で少しずつ進む化学反応が、温度・充電状態(SOC)・充電の電流によって速くなることから起きています。
電池の劣化を抑える方法は、温度を管理する、充電のしかたを制御する、BMS(電池管理システム)でセルをそろえる、劣化を診断して使い方を見直す、そして、長寿命の電池を選ぶ、の大きく5つです。まずは次のマトリクスで、自分の課題に近いものと、使える技術を確かめてください。
課題と解決技術のマトリクス
| 課題(症状) | 温度管理(冷却・加温・均熱) | 充電の制御(範囲・電流・保管) | BMS・セルバランス | 劣化診断(インピーダンス・SOH) | 長寿命の電池を選ぶ(LFP・LTO) |
|---|---|---|---|---|---|
| A充放電を繰り返すと、容量が早く減る | ○ | ◎ | ○ | ◎ | |
| B使っていない(保管・待機)だけで劣化する | ◎ | ◎ | ○ | △ | |
| C寒いとき・急速充電のあとに劣化が進む | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | |
| D組電池の一部のセルだけが早く劣化し、使える容量が減る | ○ | ◎ | ○ | ||
| E劣化の度合いがわからず、交換の時期を決められない | ○ | ◎ |
◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効
※記号は一般的な傾向に基づく目安です。実際に効く方法は、電池の種類(正極・負極の材料)、使う温度、充電の電流と頻度、使う SOC(充電状態)の範囲、求める寿命(年数・回数)、コストによって異なります。「長寿命の電池を選ぶ」の「△」(症状B)は、保存劣化は温度と SOC の影響が大きく、電池を替えるだけでは防げないことを示します。空欄は、その技術だけでは直接の対策になりにくいことを示します。
記号の理由と出典(17件)
マトリクスの記号ごとに、理由と出典をまとめました。出典が「編集部の解説」のものは、この記事の本文の説明をもとにした編集部の評価です。症状の記号を押すと、その症状の説明へ移ります。
| 症状 | 技術 | 記号 | 理由 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| A | 温度管理(冷却・加温・均熱) | ○ | 温度を下げると化学反応が遅くなり、劣化の進みが抑えられるため(A の症状カードには挙がっていない補助的な手段) | JFEテクノリサーチ「リチウムイオン二次電池の寿命評価試験」 |
| A | 充電の制御(範囲・電流・保管) | ◎ | 使う充電状態(SOC)の幅を絞ると、充放電のたびの劣化が大きく減るため | 加地ほか、自動車技術会論文集 44(2) |
| A | 劣化診断(インピーダンス・SOH) | ○ | 使い方に近い条件で寿命試験をして、劣化の進み方を確かめられるため(対策の効果確認) | 編集部の解説 |
| A | 長寿命の電池を選ぶ(LFP・LTO) | ◎ | サイクル寿命の長い LTO などに替えると、繰り返しの充放電でも容量が保たれるため | 東芝 |
| B | 温度管理(冷却・加温・均熱) | ◎ | 温度が高いほど保存劣化が速く、置き場所の温度を下げるのがまず効くため | 加地ほか、自動車技術会論文集 44(2) |
| B | 充電の制御(範囲・電流・保管) | ◎ | SOC が高いまま置くほど劣化が速いため、満充電で置かないことが効く | 加地ほか、自動車技術会論文集 44(2) |
| B | 劣化診断(インピーダンス・SOH) | ○ | 保管の温度・SOC を変えた試験で、何年もつかを見積もれるため | 編集部の解説 |
| B | 長寿命の電池を選ぶ(LFP・LTO) | △ | 電池を替えても保存劣化は温度と SOC の影響が大きく、防げるのは条件が合う場合に限るため | 編集部の解説 |
| C | 温度管理(冷却・加温・均熱) | ◎ | 温度が低すぎると充電でリチウムが析出しやすく、ヒーターで温めてから充電すれば避けられるため | 東陽テクニカ「LIB の劣化要因」 |
| C | 充電の制御(範囲・電流・保管) | ◎ | 低温・大電流の充電でリチウム析出が起きるため、電流を下げるなど充電を制御すれば防げる | 東陽テクニカ「LIB の劣化要因」 |
| C | BMS・セルバランス | ○ | BMS がセルの温度を測り、充電の条件を決めて、低温時の充電を制御できるため | 編集部の解説 |
| C | 長寿命の電池を選ぶ(LFP・LTO) | ◎ | LTO 負極は低温で充電しても金属リチウムが析出せず、低温・急速充電に向くため | 東芝 |
| D | 温度管理(冷却・加温・均熱) | ○ | パック内の温度差がセルごとの劣化の差を広げるため、冷却の配置で差を小さくするのが有効 | 編集部の解説 |
| D | BMS・セルバランス | ◎ | セルバランスで充電量をそろえないと、容量の小さいセルが組電池の使える時間を決めるため | EDN Japan(アナログ・デバイセズの解説) |
| D | 劣化診断(インピーダンス・SOH) | ○ | セルごとの内部抵抗を測って、ばらつきや劣化したセルを見つけ、入れ替えを判断できるため | 日置電機 |
| E | BMS・セルバランス | ○ | 使いながら電圧・電流・温度を記録し、BMS で SOH を推定できるため | 編集部の解説 |
| E | 劣化診断(インピーダンス・SOH) | ◎ | 交流インピーダンス法は数秒〜数分で測れ、SOH を短い時間で診断できるため | JARI(中古 LIB の劣化診断方法) |
課題の診断と解決策
充放電を繰り返すと、容量が早く減る
毎日充放電する機器で、仕様書の寿命より早く使える時間が短くなる。満充電から空になるまで使い切っている。

- 起きている現象
- 充放電のたびに、負極の表面の被膜(SEI)が少しずつ育ち、そこでリチウムが使われて容量が減ります。充電状態(SOC)を0〜100%まで大きく動かすほど、劣化は速くなります。ある実験では、SOC の変動幅が0〜100%のときの劣化速度は、変動幅20%のときの2.6〜6.4倍程度でした(加地ほか、2013)。
SOC の幅を絞ると、1回の充電で使える容量は減ります。必要な容量に余裕を持たせた電池を選ぶ必要があり、大きさ・重さ・コストとの兼ね合いになります。
使っていない(保管・待機)だけで劣化する
予備の機器や、待機時間の長い蓄電池が、ほとんど使っていないのに容量が減っている。倉庫や屋外の盤の中に置いている。

- 起きている現象
- 電池は、使わなくても時間とともに劣化します(保存劣化、カレンダー劣化)。温度が高いほど、また満充電に近い状態で置くほど速く進みます。ある実験では、25℃から50℃に上がると、保存劣化の速さがおよそ5倍になりました(加地ほか、2013)。
保管の SOC を下げすぎると、自己放電で過放電になるおそれがあります。下げる量と、補充電の間隔は電池メーカーの仕様書で確かめます。
寒いとき・急速充電のあとに劣化が進む
冬の屋外や冷凍倉庫で使う機器、急速充電をくり返す機器で、容量の減りが速い。低温で充電すると、急に性能が落ちることがある。

- 起きている現象
- 低温や大きな電流で充電すると、リチウムイオンが負極(黒鉛)の中に入りきれず、表面に金属のリチウムとして出てきます(リチウム析出)。出たリチウムの一部は元に戻らず、その分の容量が失われます。樹の枝のように伸びると、内部短絡の原因にもなります。
- 解決に使える技術
- 温度管理ヒーターで温めてから充電する
- 充電の制御低温では充電の電流を下げる・充電を止める
- 長寿命の電池を選ぶリチウムが析出しにくいチタン酸リチウム(LTO)負極の電池を使う
- BMS・セルバランスセルの温度を測り、充電の条件を切り替える
どの温度で、どれだけの電流まで充電してよいかは、電池の種類と製品で違います。電池メーカーの仕様書の充電温度範囲と、充電電流の上限を守ります。
組電池の一部のセルだけが早く劣化し、使える容量が減る
直列につないだ電池パックで、1本だけ電圧の下がりが早い。パック全体として使える時間が、新品のときより大きく減った。

- 起きている現象
- 直列の組電池は、いちばん充電量の少ないセルで放電を止め、いちばん多いセルで充電を止めます。セルごとの充電量(SOC)や劣化の度合いがばらつくと、組電池として使える容量が目減りします。パックの中の温度差も、セルごとの劣化の差を広げる原因です。
- 解決に使える技術
- BMS・セルバランスセルごとの電圧を測り、充電量をそろえる
- 温度管理冷却の方法と配置で、セルの間の温度差を小さくする
- 劣化診断セルやモジュールごとに劣化の度合いを測り、入れ替えを判断する
セルバランスで直せるのは、充電量(SOC)のずれです。容量そのものが減ったセルは、バランスをとっても元に戻りません。組む前にセルの特性をそろえる(選別する)ことも大切です。
劣化の度合いがわからず、交換の時期を決められない
まだ使える電池を早めに交換している、または突然使えなくなって困る。中古の電池の価値を決められない。

- 起きている現象
- 劣化の度合いは、SOH(健全度。新品の満充電容量に対する、今の満充電容量の割合)で表します。満充電から空まで放電すれば容量はわかりますが、数時間かかります。内部抵抗やインピーダンスの測定、充電のときのデータの解析で、短い時間で推定する方法があります。
- 解決に使える技術
- 劣化診断インピーダンスや内部抵抗を測り、SOH を推定する
- BMS・セルバランス使いながら電圧・電流・温度を記録し、SOH を推定する
推定の精度は、比べるためのデータ(同じ電池の劣化のデータ)がどれだけそろっているかに左右されます。電池の種類ごとに、診断の方法が合っているかを確かめます。
なぜ、電池は劣化するのか
使っても、使わなくても劣化する

リチウムイオン電池の劣化には2種類あります。充放電を繰り返すことで進む「サイクル劣化」と、使わなくても時間とともに進む「保存劣化(カレンダー劣化)」です(JARI「中古 LIB の劣化診断方法」)。パナソニックの解説では、一般的な車は1日の大部分を止まって過ごすため、EV の電池ではカレンダー劣化が支配的になりやすいとしています。待機の時間が長い製品ほど、保存劣化の対策が効きます。
劣化の中身:被膜の成長、正極の変化、リチウムの析出

黒鉛の負極では、はじめての充電のときに、電解液が分解してできた被膜(SEI)が表面にできます。SEI は電子を通さず、リチウムイオンは通すため、それ以上の電解液の分解を防ぎます(GS Yuasa Technical Report)。ただし、この被膜は、充放電の繰り返しや高温での保存で育ちます。高温で保存した電池の分析では、被膜ができるときに動けるリチウムが減ることが、容量が減る要因と考えられています(精密工学会誌 88(4))。

出典:GS Yuasa Technical Report、精密工学会誌 88(4)、東陽テクニカ「LIB の劣化要因」の説明をもとに AI(Claude)で作成(粒子・被膜の大きさは模式)
正極でも、充放電を繰り返すと、結晶の表面の構造が変わり、界面の抵抗が増えて容量が下がることが報告されています(同)。低温や大電流での充電では、リチウムが負極に入りきれず、金属として出てきます(リチウム析出。東陽テクニカ「LIB の劣化要因」)。こうした変化の結果、容量が減り、内部抵抗が増えて、電圧が下がりやすく、発熱も増えます。
温度:10℃上がると、劣化は約2倍
劣化の化学反応は、温度が高いほど速く進みます。電池の寿命を温度で加速して評価するときは、アレニウス則に基づく「10℃2倍則」(試験温度が10℃高いと、半分の時間で同じ劣化が起きる)という近似が使われます(JFEテクノリサーチ「リチウムイオン二次電池の寿命評価試験」)。加地らの実験では、25℃から50℃に上がると、保存劣化の速さがおよそ5倍になり、劣化の速さへの影響は SOC より温度のほうが大きいことが示唆されました。

出典:JFEテクノリサーチ「リチウムイオン二次電池の寿命評価試験」の近似と、加地ほか、自動車技術会論文集 44(2)の実験結果をもとに AI(Claude)で作成
低温では、別の劣化が問題になります。日本自動車研究所(JARI)の試験では、45℃では充電を始めるときの SOC が高いほど容量の低下が速かった一方、0℃では逆に、SOC 0% から充電を始める条件で、容量の低下と内部抵抗の増加が速くなりました。温度によって、劣化を速める使い方が変わることに注意が必要です。
充電状態(SOC):満充電で置くと速く、幅が広いほど速い
加地らの実験では、25℃・50℃のどちらでも、SOC が高い状態で保存するほど劣化が速くなりました。また、充放電のときの SOC の変動幅が0〜100%のときの劣化速度は、変動幅20%のときの2.6〜6.4倍程度でした。満充電のまま長く置かないこと、使う SOC の幅を絞ることが、劣化を抑える運用の基本になります。

出典:加地ほか、自動車技術会論文集 44(2)の記載をもとに AI(Claude)で作成(右の棒の高さは模式)
出典:中古 LIB の劣化診断方法(PDF)|JARI Research Journal、EV バッテリーは何年もつ?|パナソニック、リチウム二次電池の電解液開発動向(PDF)|GS Yuasa Technical Report、リチウムイオン二次電池の試作と劣化解析技術|精密工学会誌 88(4)、LIB の劣化要因|東陽テクニカ、リチウムイオン二次電池の寿命評価試験(PDF)|JFEテクノリサーチ、リチウムイオン電池の劣化のモデル化に関する研究|自動車技術会論文集 44(2)、1/3C サイクル試験におけるリチウムイオン電池の劣化機構(PDF)|JARI Research Journal
解決技術の詳細
電池の劣化を抑える技術は、電池を置く環境を整える(温度管理)、使い方を決める(充電の制御、BMS・セルバランス)、今の状態を知る(劣化診断)、電池そのものを選ぶ(長寿命の電池)に分かれます。まず、困りごとから候補を絞ります。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
温度管理(冷却・加温・均熱)
電池には、劣化が遅く、性能も出る「ちょうどよい温度」の範囲があります。高すぎると被膜の成長や電解液の分解が進み、低すぎると充電でリチウムが析出しやすくなります(東陽テクニカ)。冷やす、温める、パックの中の温度差を減らす、の3つで、この範囲の中に保ちます。

出典:東陽テクニカ、GS ユアサの解説をもとに AI(Claude)で作成(範囲の温度は電池の種類による)

冷却には、空冷と液冷があります。GS ユアサの解説では、空冷は構成をシンプルにしやすく、液冷はより高い冷却能力を出しやすいとしています。同社は、角形のセルの底面を、熱伝導シートを介して冷却プレートに当てる構成を紹介しています。セルの広い側面は充放電で膨らんだり縮んだりしやすく、冷却プレートとの間にすき間ができると、空気の断熱で冷えにくくなるためです。
充電の制御(範囲・電流・保管)
充電のしかたを変えるだけで、劣化を抑えられることがあります。満充電で長く置かない、使う SOC の幅を絞る、温度に合わせて充電の電流を変えるの3つが基本です。パナソニックは、EV では満充電のまま放置すると劣化が進むため、出発の直前に充電を終えるのがよいとしています。

出典:加地ほか、パナソニック、東陽テクニカの解説をもとに AI(Claude)で作成
範囲を絞ると、1回の充電で使える容量は減ります。どこまで絞れば何年もつかは、電池と使い方で変わるため、使い方に近い条件での寿命試験で確かめます。
BMS・セルバランス
BMS(電池管理システム)は、セルごとの電圧、電流、温度を測り、過充電・過放電を防ぎ、充電の条件を決めます。多くのセルを直列につなぐ組電池では、セルの充電量をそろえる「セルバランス」も BMS の役割です。直列につないだセルは、パック内の温度差や、セルごとのインピーダンス・自己放電率・負荷の違いによって、充電量(SOC)が少しずつずれていきます。バランスをとらないと、そのずれは時間とともに大きくなります。また、劣化の進み方もセルごとに違い、いちばん容量の小さいセルが組電池の使える時間を決めます(EDN Japan、アナログ・デバイセズの解説)。

出典:EDN Japan(アナログ・デバイセズ)の解説をもとに AI(Claude)で作成(セルの充電量は模式)

セルバランスには、充電量の多いセルの分を抵抗で熱にして捨てる「パッシブ方式」と、多いセルから少ないセルへ電気を移す「アクティブ方式」があります。パッシブ方式は簡単で安く、アクティブ方式は効率がよい一方で回路が複雑になります。
劣化診断(インピーダンス・SOH)
劣化の度合いは、SOH(健全度)で表します。東陽テクニカの解説では、SOH を、新品の満充電容量を100%としたときの、劣化したときの満充電容量の割合としています。JARI の解説では、SOH を調べる方法として、満充電から空までの電気量を測る方法(最も正確だが数時間かかる)、充電の一部の挙動から推定する方法、電圧の差から内部抵抗を求める方法、交流インピーダンス法(数秒〜数分で測れる)を挙げています。

出典:東陽テクニカ、JARI、電力中央研究所の解説をもとに AI(Claude)で作成(線の形は模式で実測値ではない)

交流インピーダンス法では、周波数を変えながら小さな交流の信号を流し、その応答から、電解液の抵抗、電極の反応の抵抗、拡散などを分けて見ます(東陽テクニカ「電気化学インピーダンス法によるリチウムイオン電池の非破壊分析」)。充放電のデータを電圧で微分する dQ/dV 解析では、山の位置と高さの変化から、正極と負極のどちらがどう劣化したかを推定できます。どちらも電池を分解せずに調べられ、原因を確かめるときは、解体して断面や成分を調べる解析と組み合わせます。
長寿命の電池を選ぶ(LFP・LTO)
電池そのものを、劣化しにくい材料のものに替える方法です。正極にリン酸鉄リチウム(LFP)を使う電池や、負極にチタン酸リチウム(LTO)を使う電池は、サイクル寿命の長さを特長にした製品があります。東芝は、LTO 負極の電池 SCiB について、低温で充電しても金属リチウムが析出しないため、-30℃の低温環境で充放電を繰り返せるとしています。

出典:東芝「SCiB について」、東陽テクニカの解説をもとに AI(Claude)で作成(析出の形は模式)
一方で、電池の電圧やエネルギー密度(同じ大きさ・重さで貯められる量)は、電池の種類によって違います。寿命だけでなく、容量、大きさ、重さ、コスト、使う温度の範囲を合わせて比べます。
出典:リチウムイオン電池の冷却技術(PDF)|GS ユアサ、LIB の劣化要因|東陽テクニカ、EV バッテリーは何年もつ?|パナソニック、リチウムバッテリーの寿命を最大限に延ばす方法|EDN Japan、SOC、SOH とは何ですか?|東陽テクニカ、中古 LIB の劣化診断方法(PDF)|JARI Research Journal、電気化学インピーダンス法によるリチウムイオン電池の非破壊分析|東陽テクニカ、SCiB について|東芝
電池の劣化を抑える技術を持つ企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。劣化の進み方を試験で確かめたいのか、今の電池の劣化を短い時間で診断したいのか、組電池を管理したいのか、長寿命の電池に替えたいのかによって、相談先が変わります。
| 企業 | 解決できる課題 | 種類 | 何ができるか | 合う症状 |
|---|---|---|---|---|
| 東洋システム | 試験装置・受託試験 | 充放電評価装置 TOSCAT などの試験装置を提供し、電池の受託試験・分析評価で、寿命や保存劣化の進み方、劣化した電池の中で起きたことを調べる。 | A 充放電を繰り返すと、容量が早く減る B 使っていない(保管・待機)だけで劣化する C 寒いとき・急速充電のあとに劣化が進む E 劣化の度合いがわからず、交換の時期を決められない | |
| ゴイク電池 | 診断装置・BMS | 電池の劣化を約1秒で診断する装置と BMS を開発・販売し、中古電池の仕分けや、組電池のセルの充電量をそろえる用途に対応する。 | B 使っていない(保管・待機)だけで劣化する D 組電池の一部のセルだけが早く劣化し、使える容量が減る E 劣化の度合いがわからず、交換の時期を決められない | |
| 日置電機 | 計測器メーカー | 電池の内部抵抗やインピーダンスを測るバッテリーテスターで、分解せずにセルごとの劣化やばらつきを見つける。 | D 組電池の一部のセルだけが早く劣化し、使える容量が減る E 劣化の度合いがわからず、交換の時期を決められない | |
| エリーパワー | 電池メーカー | リン酸鉄系の大型リチウムイオン電池と蓄電システムを開発・製造し、毎日の深い充放電でも容量が減りにくい電池を提供する。 | A 充放電を繰り返すと、容量が早く減る | |
| 東芝 | 電池メーカー | 負極にチタン酸リチウムを使ったリチウムイオン電池 SCiB を提供し、寒い場所や急速充電をくり返す用途での劣化を避ける。 | A 充放電を繰り返すと、容量が早く減る C 寒いとき・急速充電のあとに劣化が進む |
東洋システム株式会社|電池の寿命試験と劣化の解析
東洋システムとは
東洋システムは、福島県いわき市に本社工場を置く、1989年設立の会社です(資本金1億円、社員142名。2026年1月現在)。2026年1月から、いわき本社工場と横浜本社の2拠点の体制にしています。二次電池の試験装置として、充放電評価装置 TOSCAT などを提供し、電池の受託試験・分析評価も行っています。
東洋システムの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 寿命試験・特性試験の受託 | 寿命試験、各種特性試験、環境温度特性試験、カレンダー試験(保存試験)を行う。xEV や ESS 向けには、走行パターンのシミュレーション(WLTC、JC08、LA4、NEDC など)にも対応する |
| 解体調査と成分分析 | 電池の解体調査、不具合解析、成分分析に対応する。X線CTで電池の内部を非破壊で観察し、EDX 分析で元素のマップを作る。電解液の溶媒・添加物の成分や、発生したガスの成分を同定・定量できるとしている |
| 充放電評価装置 TOSCAT | サイクル試験や特性試験に使う充放電評価装置。微小電流(100mA)のタイプから、大型電池向けの30〜500A、パック向けの0〜500V まで。走行シミュレーションにも対応する |
東洋システムが解決できる課題
- 使い方に近い条件で、電池が何年・何回もつかを試験で確かめたい
- 保管の温度や SOC を変えたときの、保存劣化の進み方を知りたい
- 劣化した電池を分解し、中で何が起きたかを調べたい

出典:受託・分析評価|東洋システム、充放電評価装置 TOSCAT|東洋システム、会社概要|東洋システム
ゴイク電池株式会社|約1秒で劣化を診断する装置と BMS
ゴイク電池とは
ゴイク電池は、大阪市淀川区に本社を置く、2014年設立の会社です(資本金5,000万円)。電池診断装置の開発、BMS の開発・販売、急速充電池と電池応用技術の開発・販売を行っています。郵送や訪問の窓口は、大阪府吹田市のテクノロジーセンターです。
ゴイク電池の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 電池診断装置 Battery Artz | 電池を取り外して診断機につなぐと、約1秒で、容量・残量を5%の誤差で得られるとしている。充放電は不要。CHAdeMO に対応した EV は約30秒で診断できる。リチウムイオン電池に対応する |
| 動的内部抵抗による解析 | 電池方程式「高岡理論」を基にした独自の解析(Dir:動的内部抵抗)で、SOC(残量)と SOH(健康状態)を求める。BMS に組み込んで、充電の制御に使うこともできる |
| BMS(g-BMS) | リチウムイオン電池(公称3.2〜3.8V)用。1枚の基板で3〜15セル、最大32枚をデイジーチェーンでつなげる。パッシブバランス方式で、バランスの電流は1ch あたり180mA、電圧の分解能は2mV 以下 |
三菱マテリアルと、2019年から車載用リチウムイオン電池の劣化度の診断技術の開発・実証を進めているとしています。
ゴイク電池が解決できる課題
- 電池の劣化の度合いを、充放電せずに短い時間で知りたい
- 中古・使用済みの電池を、再利用できるか仕分けたい
- 組電池のセルの電圧を監視し、充電量をそろえたい

出典:電池診断装置|ゴイク電池、BMS/BMU|ゴイク電池、MMC Acceleration Program 採択のお知らせ|ゴイク電池、会社概要|ゴイク電池
日置電機株式会社|電池のインピーダンスを測る測定器
日置電機とは
日置電機は、長野県上田市に本社・工場を置く、1952年設立(創業1935年)の電気計測器のメーカーです(資本金32億9,946万円、従業員1,153名。2025年12月31日現在)。電気計測器の開発、生産、販売・サービスを行い、電池の内部抵抗やインピーダンスを測るバッテリーテスターを手がけています。
日置電機の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| バッテリインピーダンスメータ BT4560-60 | 電池の交流インピーダンス(EIS)を0.01Hz〜10.00kHz で測り、ナイキストプロットで表示する。低い周波数では電荷移動抵抗と拡散抵抗、高い周波数では電解液の抵抗や溶接の抵抗を測れるとしている。交流をかけたときの充放電を防ぐ機能がある |
| バッテリハイテスタ BT3563A など | 内部抵抗(交流の方式、AC-IR)と開放電圧を同時に測る。xEV 向けの大型セルから300V のパックまで。短い時間で測れるため、出荷検査や受入検査に向く |
| 多チャネルの測定 | スイッチメインフレームと組み合わせて、多くのセルを切り替えて測れる |
日置電機が解決できる課題
- 電池を分解せずに、どこが劣化したか(電解液・電極の反応・拡散)を見分けたい
- セルごとの内部抵抗を測り、ばらつきや劣化したセルを見つけたい
- 出荷・受入のときに、電池の状態を短い時間で検査したい

出典:日置電機 BT4560-60、BT3563Aの製品情報と、東陽テクニカの解説をもとに AI(Claude)で作成
出典:バッテリインピーダンスメータ BT4560-60|日置電機、バッテリハイテスタ BT3563A|日置電機、会社概要|日置電機
エリーパワー株式会社|リン酸鉄系の長寿命の大型リチウムイオン電池
エリーパワーとは
エリーパワーは、東京都品川区に本社を置く、2006年設立の会社です(投入資本額501億5,040万円(2023年11月30日現在)、従業員346名(2026年4月1日現在))。大型リチウムイオン電池と蓄電システムの開発、製造、販売を行っています。
エリーパワーの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| リン酸鉄(LFP)の正極 | 正極材にリン酸鉄を使う。リン酸鉄は熱安定性が高く熱暴走しにくい性質を持つが、それだけで安全な電池になるわけではなく、電池全体を最適化しているとしている |
| 長いサイクル寿命 | 15年間くり返しフル充放電(約17,000回)しても、電池容量の保持率70%(室温25℃、1C、1日3サイクル、放電深度100%の電池セル単体の予測値) |
| 広い作動温度 | -20℃から60℃まで作動する(蓄電システムの動作保証温度範囲とは異なる)。設置環境によっては冷却設備が不要としている |
エリーパワーが解決できる課題
- 毎日の充放電で、蓄電池の容量が早く減るのを抑えたい
- 放電深度を深く(0〜100%)使っても、長くもつ電池がほしい
- 発火のリスクを抑えた、大型の電池を使いたい

出典:キーテクノロジー|エリーパワー、会社概要|エリーパワー
株式会社東芝|チタン酸リチウム負極のリチウムイオン電池 SCiB
東芝とは
東芝は、神奈川県川崎市に本店を置く、1875年創業の電機メーカーです(資本金2,014億4,900万円)。負極にチタン酸リチウムを使ったリチウムイオン二次電池「SCiB」を提供しています。
東芝の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| チタン酸リチウムの負極 | 負極にチタン酸リチウムを使い、安全性、長寿命、低温性能、急速充電、高入出力などの特長を持つとしている |
| 長いサイクル寿命 | 20,000回を超えるサイクル寿命(セルの種類や使用条件により特性は異なる)。大容量タイプは、過酷な条件で20,000回充放電したあとも70%以上の容量を維持。高入出力タイプは、過酷な大電流で40,000回以上充放電しても80%以上の容量を維持するとしている |
| 低温と急速充電 | 低温で充電しても金属リチウムが析出しないため、-30℃の低温環境で充放電を繰り返せる(セルの種類によって使用温度範囲は異なる)。6分間で80%以上を充電でき(大容量タイプの例。セルの種類や使用条件で異なる)、SOC 0〜100%を使える |
東芝が解決できる課題
- 寒い場所や冷凍倉庫で、充電による劣化を避けたい
- 急速充電をくり返しても、長くもつ電池がほしい
- 充放電の回数が多い用途で、電池の交換を減らしたい

出典:東芝「SCiB について」、大容量タイプ・高入出力タイプの製品情報の記載をもとに AI(Claude)で作成
出典:SCiB について|東芝、SCiB 大容量タイプ|東芝、SCiB 高入出力タイプ|東芝、会社概要|東芝
選ぶ前に確かめる条件
メーカーや試験会社に相談する前に、次の条件を整理しておくと、話が早くなります。
- 電池の種類(正極・負極の材料、形状、容量、公称電圧)と、何本を直列・並列につないでいるか
- 求める寿命(何年、何回)と、寿命の判定基準(容量が何%まで下がったら寿命とするか)
- 使う温度と保管の温度(最低・最高、屋内・屋外、冷却や加温の有無)
- 充電のしかた(電流、急速充電の有無、1日の回数、満充電で置く時間)
- 使う SOC の範囲(何%から何%まで使っているか)と、容量に余裕があるか
- 今の困りごと(容量の減り、出力の低下、発熱、セルのばらつき)と、劣化した電池が手元にあるか
- BMS の有無と、記録できるデータ(セルごとの電圧・電流・温度)
- 数量、納期、予算
関連する課題
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。
情報の確認日:2026年9月30日





