ホッパーやサイロから粉を出そうとしても、途中で止まって出てこない。叩けば少し出るがまたすぐ止まる。のぞいてみると、出口の上に縦の穴があいて、壁ぎわに粉が残ったまま――。こうした詰まりの多くは、粉が出口の上で橋をかける「ブリッジ(架橋)」か、出口の上だけが抜ける「ラットホール」です。逆に、たまっていた粉が急に噴き出して止まらなくなる「フラッシング」もあります。
粉の詰まりは、ホッパーの形(出口の大きさ・傾斜・壁面)、粉の性質(粒の細かさ・湿気・付着)、置いておく時間、排出の助けに使う装置の使い方が重なって起きます。この記事では、詰まり方から原因を切り分ける流れを示し、原因ごとの対策と、粉の流れやすさを数値で確かめる方法、相談できる企業を紹介します。
詰まり方から原因を切り分ける
まず、どこで、どのように止まっているかを見ます。出口の上でアーチになって止まるのか、出口の上だけ穴があくのか、置いたあとに固まるのか、叩くほど悪くなるのかで、打つ手が変わります。

出典:粉体工学会「粉体工学用語辞典」・MONOVATE「バイブレータとエアレーションホッパーの違い」・ワイ・エム・エス「ブリッジレスフィーダー」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
ブリッジならホッパーの形と、アーチを崩す装置、ラットホールなら壁ぎわの粉まで動かす流し方、固結なら湿気と置く時間、振動の逆効果なら力のかけ方を見直します。原因は1つとは限らないので、粉の流れやすさを測って(E)、形と装置の両方から考えます。
原因ごとの見分け方と対策
詰まり方(A〜E)ごとに、起きている現象、解決に使える技術、選ぶときの注意、相談できる企業をまとめました。
出口の上で粉が橋をかけたように止まる(ブリッジ)
ホッパーの出口のすぐ上で粉が固まり、下が空洞になって、上の粉が落ちてこない。叩くと少し出るが、すぐまた止まる。
- 起きている現象
- ホッパーの出口付近では流路が急にせまくなり、粉体層の中にアーチ状の面ができて上の粉の重さを支えます。これが架橋(ブリッジ・棚吊り)で、重力での流出を止めます(粉体工学会「粉体工学用語辞典」)。付着力がほとんど働かない粒の粗い粉でも、出口が粒に比べて小さいと詰まり、経験的に出口径が粒子径の5倍以上なら閉塞は起こらないとされます(同)。
- 解決に使える技術
- ホッパーの形を見直す出口径・傾斜角・壁面
- 空気で流動化させるエアレーション・ブローディスク
- 振動・機械で崩す使い方の注意も
用語辞典は、まず出口の拡大、ホッパーの傾斜角の改善、壁面の平滑化を挙げ、それでも防げない付着性の強い粉体にアーチブレーカーを使うとしています。後付けの装置だけに頼らず、形で直せるかを先に確かめます。
出口の上だけ抜けて、まわりに粉が残る(ラットホール)
最初は出るが、途中から出なくなる。のぞくと、出口の真上に縦の穴があき、壁ぎわに粉がドーナツのように残っている。
- 起きている現象
- 流出口の真上だけが払い出されて円筒状の孔があき、それ以外の粉体層が貯槽に残る現象がラットホールです(粉体工学用語辞典)。流れが出口の上の限られた所にしかできないファネルフロー(コアフロー)では、壁ぎわの粉は動きません(同)。ラットホールは、こうした流れ方のホッパーで起きやすくなります(編集部の解説)。
- 解決に使える技術
- マスフローのホッパーにする傾斜角と壁面摩擦
- 空気で流動化させる壁ぎわの粉を動かす
- 流れやすさを測る設計の前に数値で
MONOVATE の実験では、角度60°のホッパーでも、小麦粉はエアレーションなしだとラットホールが残り、抹茶はエアレーションを作動させても排出口の上だけが抜けました。粉によって効く手が違うので、実際の粉で試します。
しばらく置くと固まって出なくなる(固結・締まり)
連休明けや、ラインを止めて置いたあとに出なくなる。粉が塊になっている、湿気の多い時期に詰まりが増える。
- 起きている現象
- 粉体層は時間とともに締まり、粒の接触点に結合力が生じて固まることがあります。貯蔵や供給で問題になる固結の主な原因は、吸湿した水溶性の粒子の接触点にできた液体の橋が、乾くときに再結晶して固体の橋になることです(粉体工学用語辞典)。ワイ・エム・エスは、長時間放置した定量供給機のホッパーで、脱気による粉締まりや自重による粉締まりでブリッジが起きるとしています。
- 解決に使える技術
- 湿気と固結を防ぐ乾燥空気・積み高さ・固結防止剤
- 止めても締まらない供給機にするエアーと微振動
- 湿度で流れやすさを測る水分と流動性の関係
固結は、粒子径・含水量のほか、温度・湿度・圧力・放置時間で起きやすさが変わります(粉体工学用語辞典)。詰まった日の湿度と、止めていた時間を記録すると、原因をつかみやすくなります。
叩くほど悪くなる・壁に粉が付く(振動の逆効果・付着)
ノッカーやバイブレーターを強くしても改善しない、むしろ悪くなる。ホッパーやシュートの壁に粉が層になって付き、たまっていく。
- 起きている現象
- 振動は粒子を詰め直すため、振動で締まる粉では、振動を強く・長くするほど出が悪くなることがあります(MONOVATE)。ミナギも、打撃や振動で粉粒体が脱気されて余計に締まることがあるとしています。細かい粉ほど、自分の重さに比べて付着力が大きく、壁に付きやすくなります(粉体工学用語辞典)。
- 解決に使える技術
- 振動から空気に切り替えるエアレーションの複合効果
- 壁に付きにくくする表面処理・平滑化
- 振動・機械の使い方を見直す強さ・時間・位置
振動を強くする、長くかける、取付位置を増やすといった対処をしても改善しにくい場合は(MONOVATE)、力のかけ方そのものを変えることを考えます。壁への付着は、壁面の材料・粗さで変わります。
どの対策が合うか、粉の流れやすさを数値で知りたい
新しい原料に替えたら詰まり始めた。ホッパーを新しく作る・買い替える前に、粉がどれくらい流れにくいかを知りたい。
なぜ粉はホッパーで詰まるのか
ブリッジ・ラットホール・フラッシング・偏析
粉体工学会の「粉体工学用語辞典」は、ホッパーやサイロの粉の流れのトラブルを次のように説明しています。架橋(ブリッジ)は貯槽内にアーチを作って重力での流出を止める現象、ラットホールは流出口の真上だけが払い出されて円筒状の孔があく現象です。フラッシングは、粉に気体が含まれて急に流れやすくなり、粘性の低い液体のように流れる現象で、一度起きるとロータリーバルブやスクリューフィーダーでも止められません。

出典:粉体工学用語辞典「架橋現象」・同「ラットホール」・同「フラッシング」・同「粒子偏析」をもとに AI(Claude)で作成
このほか、大きさ・密度・形の違う粒が混ざった粉では、流れる間に成分がかたよる偏析が起き、供給点の近くに流れにくい成分が集まることがあります(粉体工学用語辞典)。ラットホールの孔は、粉の表面まで達することもあれば、層の中にドーム状の天井を作ることもあります(同)。

出典:MONOVATE「【実験】エアレーションホッパーで抹茶・小麦粉を搬送」
マスフローとファネルフロー
ホッパーの中の粉の流れ方は、貯槽内の全粒子が動くマスフローと、出口の上の限られた所だけが流れ、壁ぎわの粉が動かないファネルフローに分けられます(粉体工学用語辞典)。安定して供給でき、粉体圧の面でも、粉体層が一様に流れるマスフローが望ましいとされています(同)。

出典:粉体工学用語辞典「マスフロー」・同「ファネルフロー」・同「フローパターン」をもとに AI(Claude)で作成
マスフローになるかどうかは、ホッパーの壁の傾斜と、粉と壁の間の摩擦(壁面摩擦角)で決まり、ISO 11697 に判定のグラフがあります(粉体工学用語辞典)。同じ粉でも、傾斜が緩い、壁がざらついていると、ファネルフローになってラットホールや偏析が起きやすくなります(編集部の解説)。
細かい粉・湿った粉・置いた粉ほど流れにくい
粉が流れにくくなるもとは、粒どうしや粒と壁がくっつく力です。粒子径が小さくなると自分の重さは急に小さくなりますが、付着力の小さくなり方はゆるやかなので、微粉体ほど付着・凝集が強くなります(粉体工学用語辞典)。付着力としてファンデルワールス力を考えると、付着力は粒子径の1乗に、重さは3乗に比例するため、ある大きさより小さい粒は重さより付着力の方が大きくなります(後藤邦彰「粉砕」No.59)。

出典:後藤邦彰「粉砕」No.59・粉体工学用語辞典「付着・凝集性」・同「固結」をもとに AI(Claude)で作成
水分も流れやすさを大きく変えます。ホソカワミクロンが公開しているグラフでは、ジルコンサンド(104〜240µm)・澱粉(10〜50µm)・炭酸カルシウムの微粉(平均8µm)のいずれも、水分が増えると流動性指数が下がっています。湿った粉は粒の間に液体の橋ができ、それが乾くと固体の橋になって固結します(粉体工学用語辞典)。

出典:ホソカワミクロン「パウダテスタ」
出典:架橋現象・アーチ・ラットホール・フラッシング・粒子偏析・マスフロー・ファネルフロー・付着・凝集性・固結(粉体工学用語辞典)|粉体工学会、粒子分散技術と粉体の付着性に関する一考察(粉砕 No.59、2016年)|ホソカワ粉体工学振興財団、パウダテスタ|ホソカワミクロン
対策の詳しい内容
ホッパーの形を見直す(出口径・傾斜角・壁面)
アーチによる閉塞を防ぐ基本は、出口を大きくする、ホッパーの傾斜を急にする、壁面をなめらかにすることです(粉体工学用語辞典「アーチブレーカー」)。付着力のほとんど働かない粉でも、出口径が粒子径の5倍以上でないと閉塞が起き、10倍以上になると流量が時間で変わるとされます。ただし粒の形や粒子径の分布にも左右されるので、あくまで参考値です(同「閉塞限界寸法」)。

出典:粉体工学用語辞典「アーチブレーカー」・同「閉塞限界寸法」・同「ジェニケ法」・同「壁面摩擦角」をもとに AI(Claude)で作成
付着性のある粉では、出口径や傾斜角を経験だけで決めると詰まりやすくなります。Jenike の方法では、ホッパー内の圧密を再現したせん断試験で、圧密したときにどれだけの強さで固まるか(流動関数)と壁面摩擦角を測り、ホッパーの頂角と出口径を計算します(粉体工学用語辞典「ジェニケ法」「フローファンクション」)。ホッパーの中に板を入れて大きなアーチをできにくくし、ホッパー部の粉体圧を下げる方法(挿入板)もあります(同「アーチブレーカー」)。
空気で流動化させる(エアレーション)
粉に空気を入れると、粒の間がゆるんで流れやすくなります。MONOVATE のエアレーションホッパーは、ホッパーを二重にし、内側のホッパーの微細な穴から空気を流し込んで、空気の力だけで粉を液体のように流動化させます。同社の実験では、小麦粉はエアレーションを作動させるとラットホールを作らずに最後まで搬送でき、搬送量は2.87倍になりました。

出典:MONOVATE「【実験】エアレーションホッパーで抹茶・小麦粉を搬送」
ミナギのブローディスクは、ホッパーの壁に付けた弾性ディスクが、エアーの圧力でわずかに浮いて壁面に沿って360°にエアーを噴射しながら振動し、壁面のエアーレーションと振動の両方で粉を動かします。同社は、一方向だけのエアーレーションではエアーの抜け道だけができることがあるとし、壁面に沿って流す方式にしています。

出典:ミナギ「ブローディスクとは」
粉に気体が含まれると、急に液体のように流れ出すフラッシングが起きます(粉体工学用語辞典)。エアレーションでも空気の入れすぎに注意し、エアーの量・時間・間隔は粉と排出のしかたに合わせて決め、下流のバルブやフィーダーで流れを止められるかも確かめます(編集部の解説)。
振動・機械で崩す(ブリッジブレーカーの選び方と注意)
用語辞典は、粉体層に外から力を加えてアーチを崩す動的な方法として、(1) 圧縮空気などで崩す通気法、(2) バイブレーターなどの振動による加振法、(3) ら旋状の軸をホッパーの周りで回す攪拌法を挙げています(粉体工学用語辞典「アーチブレーカー」)。電磁バイブレーターは、ホッパーやシュートの壁に付けて、ブリッジや付着を防ぐのに使われます(同「電磁バイブレーター」)。

出典:粉体工学用語辞典「アーチブレーカー」・同「フラッシング」・MONOVATE「バイブレータとエアレーションホッパーの違い」・ミナギ「ブローディスクとは」をもとに AI(Claude)で作成
ただし、振動は粉を詰め直すので、振動で締まる粉では、強く・長くかけるほど出が悪くなることがあります(MONOVATE)。ワイ・エム・エスは、バイブレーターやノッカーの騒音、エアーブラストの発塵やエアー消費の多さも困りごととして挙げ、微量のエアーと微振動を組み合わせた BA 機構の定量供給機をつくっています。振動を使うときは、出口の近くで、排出している間だけかけ、止めている間はかけない、といった使い方も考えます(編集部の解説)。
壁に付きにくくする(表面処理・平滑化)
壁ぎわに粉が付いて残ると、ラットホールやファネルフローのもとになります。用語辞典は、壁面の平滑化をアーチの対策の1つに挙げています。カンメタエンジニアリングの PFP 処理は、めっきや塗装と違い金属表面を直接改質するコーティングレスの処理で、ホッパー・シュート・貯蔵タンク・インペラなどの粉体付着を防ぐとしています。

出典:粉体工学用語辞典「アーチブレーカー」・カンメタエンジニアリング「PFP処理」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
壁面をフッ素樹脂でコーティングする方法もあります(技術ページ「フッ素樹脂コーティング」)。食品・医薬品の機器では、皮膜がはがれて異物にならないかも選ぶ条件になります(編集部の解説)。どの処理が合うかは粉で変わるので、施工の前に、実際の粉で付着を試すと確かです(カンメタエンジニアリングの粉体付着防止試験)。
湿気と固結を防ぐ
用語辞典は、固結を防ぐ方法として、乾燥空気による換気(サイロで有効)、ばら積みの高さや積み上げの高さを制限して粉体圧を下げること、加振(小型のタンクで可能)、粒の間の水分を減らす・表面に被膜を作るといった粉体の改質、界面活性剤・結晶成長抑制剤・乾燥剤などの固結防止剤を挙げています(粉体工学用語辞典「固結」)。

出典:粉体工学用語辞典「固結」をもとに AI(Claude)で作成
現場では、粉の受け入れ時の水分、保管する場所の温度と湿度、ホッパーに入れたまま置く時間を決めて管理します。結露しやすい場所では、露点を下回らないようにします(技術の基礎知識「露点」)。止めている間に締まる定量供給機では、止まっていても締まりにくいしくみのものを選びます(ワイ・エム・エス)。
フラッシング(噴き出し)を防ぐ
たまった粉にアーチができ、それが衝撃などで崩れるときにもフラッシングが起きます。用語辞典は、粉体層の中の適切な位置に脱気パイプを設ける、シール性の高いダンパーを付けるといった処置が必要としています(粉体工学用語辞典「フラッシング」)。

出典:粉体工学用語辞典「フラッシング」・同「噴流性指数」と編集部の解説をもとに AI(Claude)で作成
Carr は、フラッシングの起こしやすさを表す噴流性指数も提案しています(粉体工学用語辞典)。ブリッジを崩した直後に粉が噴き出すようなら、崩し方を強くするより、こまめに少しずつ流す、出口の下に流れを止められる機器を置く、といった対策を組み合わせます(編集部の解説)。
出典:アーチブレーカー・閉塞限界寸法・ジェニケ法・フローファンクション・電磁バイブレーター・固結・フラッシング(粉体工学用語辞典)|粉体工学会、エアレーションホッパー|MONOVATE、【実験】エアレーションホッパーで抹茶・小麦粉を搬送|MONOVATE、バイブレータとエアレーションホッパーの違い|MONOVATE、ブローディスクとは|ミナギ、ブリッジレスフィーダー BF/SFシリーズ|ワイ・エム・エス、PFP処理|カンメタエンジニアリング、粉体付着防止試験|カンメタエンジニアリング
粉の流れやすさを数値で確かめる
対策を選ぶ前に、粉がどれくらい流れにくいかを数値でつかむと、形の見直しで済むのか、装置が要るのかを判断しやすくなります。
Carr の流動性指数・圧縮度・ハウスナー比で測る
Carr の流動性指数は、1965年に R.L. Carr が提唱したもので、安息角・圧縮度・スパチュラ角・均一度または凝集度の4つに最高25点ずつを配点し、合計(最高100)で流動性を表します(粉体工学用語辞典)。表では、70〜79で「バイブレーターが必要な場合がある」、60〜69で「限界点、架橋あり」とされています。

出典:粉体工学用語辞典「カーの流動性指数」・同「圧縮度」・日本薬局方 参考情報「粉体の流動性」(改正案)をもとに AI(Claude)で作成
圧縮度は、ゆるめのかさ密度と固めのかさ密度の差の割合で、流動性のよい粉ほど小さくなります(粉体工学用語辞典)。日本薬局方の参考情報「粉体の流動性」(改正案)の表では、圧縮度10%以下(ハウスナー比1.00〜1.11)が「極めて良好」、38%を超える(1.60を超える)と「極めて不良」とされています。ただし、安息角・圧縮度・ハウスナー比は粉体に固有の値ではなく測り方に左右されるので、同じ方法で比べます(同)。ホソカワミクロンのパウダテスタは、これらを1台で測って Carr の指数にする装置です。

出典:ホソカワミクロン「パウダテスタ」
せん断試験で、圧密された状態の流れやすさを測る
ホッパーの中の粉は、上の粉の重さで押し固められています。せん断試験は、粉体層に縦の力をかけた状態で横にずらし、崩れるのに要る力を測る方法で、Jenike の方法では、ホッパー内の充填状態を再現する予備せん断を行ったうえで、圧密の強さと固まる強さの関係(流動関数)を求めます(粉体工学用語辞典)。フローファクター(最大圧密応力÷単軸崩壊応力)が大きいほど流動性がよいとされます(同)。

出典:粉体工学用語辞典「ジェニケ法」・同「フローファンクション」・同「フローファクター」をもとに AI(Claude)で作成
ナノシーズの粉体層せん断力測定装置は、JIS Z 8835 に準拠し、1回の測定で内部摩擦角・圧縮率・応力緩和率・応力伝達率が取れるとしています。壁面摩擦も測れるので、ホッパーの壁の材料と粉の組み合わせを比べるのにも使えます。
実際の粉で試す
数値で目安をつけたら、実際の粉で試します。MONOVATE はテストセンターでエアレーションホッパーのデモを、ミナギはブローディスクの実物の無料貸出を、カンメタエンジニアリングは客先の粉での粉体付着防止試験を行っています。同じ粉でも、湿度・温度・置いた時間で結果が変わるので、詰まったときに近い条件で試します(編集部の解説)。
出典:カーの流動性指数・圧縮度・安息角・ジェニケ法・フローファクター(粉体工学用語辞典)|粉体工学会、粉体の流動性(日本薬局方 参考情報、改正案)|PMDA、パウダテスタ|ホソカワミクロン、粉体層せん断力測定装置 NS-Sシリーズ|ナノシーズ
粉の詰まりの対策・調査を相談できる企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。ブリッジブレーカー、エアレーションホッパー、ブリッジを起こしにくいフィーダー、付着防止の表面処理、流れやすさの測定を挙げました。
ミナギ株式会社|エアーと振動のブリッジブレーカー「ブローディスク」
ミナギとは
ミナギは、大阪市平野区に本社を置く、粉粒体のブリッジブレーカーに特化したメーカーです(2006年設立)。ホッパーやサイロのブリッジ・ラットホール・閉塞の対策を、弾性ディスク式のエアーレーター「ブローディスク」で提案しています。
ミナギの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ブローディスク | エアーの圧力で弾性ディスクの周囲がわずかに浮き、タンクの壁面に沿って360°にエアーを噴射しながらディスクが振動する。「壁面エアーレーション」と「振動」の複合効果で、ブリッジやラットホールを解消する。ディスク径は標準 Ø100、ミニ Ø50 |
| ノッカー・バイブレーターとの違い | 打撃や振動で粉粒体が脱気されて余計に締まることがなく、タンクを傷めないとしている。溶接なしで取り付けられ、エアーOFF のときはディスクがタンク内面に密着する |
| 材質と制御 | 標準は特殊シリコンゴムで、EPDM・フッ素ゴム・高耐熱シリコンゴム・金属検出機対応シリコンゴムも選べる。専用コントローラーで、エアーレーションの時間・間隔・順序を制御する |
同社の実施例では、繊維が3mm 程度のセルロース系の繊維で、Ø1000 のホッパー(排出径 150A)のブリッジに、標準型を4個ずつ2段で8個付け、エアー ON の間隔を短くし、圧力を高めにして解決した例を公開しています。
ミナギが解決できる課題
- ホッパーやサイロで、ブリッジ・ラットホールが起きて粉が出ない
- ノッカーやバイブレーターでは、かえって粉が締まってしまう
- 既設のホッパーに、溶接せずに後から対策を付けたい
公開されている実績
- 実施例:セルロース系の繊維(Ø1000 のホッパー、排出径 150A、ブローディスク8個とコントローラー C-SV4)

出典:ミナギ「ブローディスクとは」
出典:会社案内|ミナギ、ブローディスクとは|ミナギ、0643 セルロース繊維のホッパーにて(実施例)|ミナギ
MONOVATE株式会社|二重構造のエアレーションホッパー
MONOVATEとは
MONOVATE は、東京都中央区に本社を置く、ステンレス製の容器と周辺機器のメーカーです(1957年創立。旧 日東金属工業)。製薬・化学・化粧品・食品などに向けて、粉を送り出すエアレーションホッパーをつくり、埼玉県八潮市のテストセンターでデモを行っています。
MONOVATEの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| エアレーションホッパー | ホッパーが2つ重なる構造で、内槽ホッパーに特許を取得した微細な穴が開き、外槽に送った空気が内部へ流れ込む。空気の力だけで粉を液体のように流動化させて閉塞を解消する(特許第7624753号)。材質は SUS316L |
| 洗いやすさと搬送量 | 穴の内部はストレートに近い構造で、粗さの違う網を重ねた多層メッシュの従来品より細かいすき間が少なく、洗浄しやすいとしている。空気輸送機と組み合わせ、45kg/h〜2ton/h の粉体搬送ができる |
同社は、バイブレーターは振動で粉体を崩し、エアレーションホッパーは空気を送り込んで流動化させるとし、振動で締まる粉や、使うほど出が悪くなる粉にエアレーションが向くと説明しています。
MONOVATEが解決できる課題
- 小麦粉などの細かい粉で、ラットホールができて最後まで出ない
- バイブレーターを強めるほど、粉の出が悪くなる
- 食品・医薬品で、洗いやすい排出装置にしたい
公開されている実績
- 角度60°のホッパーから空気輸送機で送る実験で、小麦粉はエアレーションを作動させるとラットホールを作らず最後まで搬送でき、搬送量は2.87倍になった(2024年4月の同社記事)
- 抹茶は作動の有無にかかわらず排出口の上だけが抜け、ホッパーの角度設計やノッカー設置などの対策が要るとしている(同)

出典:MONOVATE「エアレーションホッパー」・MONOVATE の実験の記事をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|MONOVATE、エアレーションホッパー|MONOVATE、【実験】エアレーションホッパーで抹茶・小麦粉を搬送|MONOVATE、バイブレータとエアレーションホッパーの違い|MONOVATE
株式会社ワイ・エム・エス|ブリッジを起こしにくいホッパーとフィーダー
ワイ・エム・エスとは
ワイ・エム・エスは、横浜市南区に本社・本社工場を置く、粉粒体の輸送・供給装置のメーカーです(1990年設立)。1999年にブリッジレスフィーダー、2002年に粉体貯蔵用ホッパーを開発し、横浜にテストセンターを持っています。
ワイ・エム・エスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| エアレーションホッパー AH シリーズ | ブリッジ・ラットホールが起きやすい粉体向けのホッパー。オプションに、エアーの直接大量噴射によるサイドブレーカー、ノッカー、バイブレーター、アジテーターを回すメカニカルブレーカーがあり、エアレーションとの複合効果で粉体に合わせる |
| ブリッジレスフィーダー BF/SF シリーズ | 振動フィーダー型(BF)とスクリュー型(SF)の定量供給機。微量のエアーと微振動を組み合わせた独自の BA 機構で、ブリッジ・ラットホールの発生を防ぐ。完全エアー駆動の機種は防爆の雰囲気でも使え、標準品の接粉部は SUS304 |
同社は、流動性が比較的良い粉体でも、長時間放置する定量供給機のホッパー内の脱気による粉締まりや、自重の重い粉体の自重による粉締まりでブリッジが起きるとし、こうした閉塞にも BA 機構が効くとしています。
ワイ・エム・エスが解決できる課題
- 定量供給機のホッパーで、しばらく止めると粉が締まって出なくなる
- バイブレーター・ノッカーの騒音や、エアーブラストの発塵に困っている
- 電気が使えない防爆エリアで、粉を定量で切り出したい

出典:ワイ・エム・エス「パウダーホッパー」・ワイ・エム・エス「ブリッジレスフィーダー」・同「会社案内」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社案内|ワイ・エム・エス、パウダーホッパー|ワイ・エム・エス、ブリッジレスフィーダー BF/SFシリーズ|ワイ・エム・エス
カンメタエンジニアリング株式会社|ホッパー内面の粉体付着防止処理(PFP 処理)
カンメタエンジニアリングとは
カンメタエンジニアリングは、大阪府富田林市に本社を置く、溶射・ショットピーニングなどの金属表面処理の会社です(1953年創業)。ホッパー・シュートの内面に、粉体が付きにくくなる処理を行っています。
カンメタエンジニアリングの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| PFP 処理(粉体付着防止処理) | めっきや塗装と違い、金属表面を直接改質するコーティングレスの処理で、異物(コンタミ)の混入の心配がないとしている。ホッパー・シュート・貯蔵タンク・インペラなどに施工でき、粉体の粒径のばらつき・水分量・摩擦力などで処理材を選ぶ |
| 現地施工と付着防止試験 | 国内で唯一の現地施工ができる粉体付着防止策として、50m を超えるタワー内面などの施工実績があるとしている。施工前に、客先の粉末で粉体付着防止試験(離型試験)を行い、報告書と仕様を提案する。工場の専用ブースは重量20t・全長10m まで |
カンメタエンジニアリングが解決できる課題
- ホッパー・シュートの壁に粉が付き、落ちずにたまる
- 食品・医薬品の機器で、はがれる皮膜を使わずに付着を減らしたい
- 大きなタンクや塔を、外さずに現地で処理したい
公開されている実績
- 石油化学・食品製造の分野で採用実績が多いとしている(焼酎のタンク、食用油脂のシュート管、調味料の小径ホッパーなど)

出典:カンメタエンジニアリング「PFP処理」・同「粉体付着防止試験」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|カンメタエンジニアリング、PFP処理:コーティングレスで粉体付着防止|カンメタエンジニアリング、粉体付着防止試験|カンメタエンジニアリング
ホソカワミクロン株式会社|パウダテスタと受託測定で流れやすさを数値にする
ホソカワミクロンとは
ホソカワミクロンは、大阪府枚方市に本社・工場を置く、粉体の処理装置と測定機のメーカーです(1916年創業)。Carr の方法で粉の流れやすさを数値にするパウダテスタをつくり、粉の受託測定も行っています。
ホソカワミクロンの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| パウダテスタ | 安息角・圧縮度・スパチュラ角・凝集度・崩潰角・分散度・差角、ゆるめ・固めのかさ密度、均一度を測り、Carr の流動性指数と噴流性指数を1台で出す。全世界で4,000台以上が使われているとしている |
| 受託測定 | 粒子径分布(レーザー回折散乱法)・形状・流動性・噴流性・付着性・凝集性などを、同社の測定機で測って評価する |
同社は、1968年に Carr の方法による測定結果とホッパーからの流出状態がかなり一致し、事前にホッパー中の粉体の架橋防止対策の判断が得られることを確かめたとしています(粉体工学研究会誌、1968年)。
ホソカワミクロンが解決できる課題
- いつもと同じ粉なのに、納品先で詰まり方が違うと言われる
- 粉の流れやすさを、数値で比べたい・品質管理したい
- 測定機を買う前に、第三者に測ってほしい

出典:ホソカワミクロン「パウダテスタ」・同「受託測定」をもとに AI(Claude)で作成
出典:国内事業所|ホソカワミクロン、パウダテスタ|ホソカワミクロン、ホソカワの受託測定|ホソカワミクロン
株式会社ナノシーズ|粉体層のせん断試験の装置と受託測定
ナノシーズとは
ナノシーズは、名古屋市西区に本社を置く、粉体物性の測定装置と受託測定の会社です(2005年創業)。粉体層のせん断力を測る装置をつくり、樹脂・セラミックス・医薬品原料などの粉の物性を受託で測っています。
ナノシーズの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 粉体層せん断力測定装置 NS-S シリーズ | 粉体層の縦方向の加圧力と横方向のせん断力を同時に測り、流動性・摩擦性・付着性を評価する。JIS Z 8835(2016年制定)に準拠し、1回の測定で内部摩擦角・圧縮率・応力緩和率・応力伝達率が取れる。粉体層は1g から、壁面摩擦は200mg から測れ、温度60℃・相対湿度90%RH までの恒温恒湿槽での測定もできる |
| 受託測定 | 粉体層のせん断測定のほか、帯電減衰性・遠心法による付着力・乾燥減量と水分吸着量を測る。納期は検体を受け取ってから1〜2週間(無償のお試し測定はなし) |
ナノシーズが解決できる課題
- 圧密された状態(ホッパーの中に近い状態)で、粉の流れやすさを比べたい
- 原料のロットやメーカーの違いで、流れ方が変わる原因を調べたい
- 湿度・温度で、粉の付着や摩擦がどう変わるか知りたい

出典:ナノシーズ「粉体層せん断力測定装置」・同「受託測定」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|ナノシーズ、粉体層せん断力測定装置 NS-Sシリーズ|ナノシーズ、受託測定 粉体層せん断測定|ナノシーズ
選ぶ前に確かめる条件
粉の詰まりの対策を相談する前に、次のことを整理しておくと話が早く進みます。
- 粉の名前と性質:粒子径(細かさ)・かさ密度・水分・吸湿しやすさ・付着しやすさ。できればサンプルを用意する
- ホッパーの図面:容量・出口径・傾斜角・壁の材料と仕上げ、下につながるフィーダーやバルブ
- 詰まり方:ブリッジ(出口の上でアーチ)・ラットホール(出口の上だけ穴)・固まる・噴き出す、のどれか。のぞき窓や写真があれば記録
- 詰まる条件:止めていた時間、季節・湿度、原料のロットやメーカーの違い
- 今の対策:ノッカー・バイブレーター・エアーの種類と、かけ方(強さ・時間・位置)、その効果
- 変えられない条件:食品・医薬品の衛生(洗浄・異物)、防爆、騒音、エアーや電気の有無、設置の場所
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・設備ではありません。
情報の確認日:2026年10月8日
