ステンレス・アルミ・鉄(スチール)の違い(重さ・強さ・錆びにくさ・熱の伝わり方を比較)

鉄・ステンレス・アルミの板を並べたイメージ(AIで生成)

「ステンレスとアルミの違いは?」「ステンレスとスチール(鉄)は何が違う?」は、材料を選ぶときに最初に出てくる疑問です。どれも銀色の金属に見えますが、ステンレスは鉄にクロムを加えた「鋼(スチール)」の仲間で、アルミは鉄とは別の元素の金属です。このページでは、3つの金属の違いを、成分・重さ・かたさ・強さ・錆びにくさ・熱の伝わり方・磁石・加工のしやすさの順に、数値と図で比べます。最後に、どれを選べばよいかの目安をまとめます。

目次

ステンレス・アルミ・鉄(スチール)の違い:ひとことで言うと

3つの金属の違い

アルミは鉄やステンレスの約3分の1の重さで、熱をよく伝えます。そのかわり、たわみにくさ(ヤング率)も約3分の1です。

ステンレスは錆びにくい鋼で、熱を伝えにくい金属です。ふつうの鉄(普通鋼)は強くて扱いやすい一方、そのままでは錆びるので、塗装やめっきで守ります。

鉄(普通鋼)・ステンレス・アルミの比較表:重さ・ヤング率・錆びにくさ・熱伝導率・磁石
図1 鉄(普通鋼)・ステンレス・アルミをひと目で比べる
出典:Wikipedia「鉄」、日鉄ステンレス、Wikipedia「ステンレス鋼」、Wikipedia「アルミニウム」をもとに AI(Claude)で作成

出典:鉄|Wikipedia、ステンレス冷延鋼板 製造鋼種・特性と用途|日鉄ステンレス、ステンレス鋼|Wikipedia、アルミニウム|Wikipedia

そもそも何が違う:スチール(鋼)・ステンレス・アルミの成分

成分の系統図:鉄に炭素を加えた鋼(スチール)の一種がステンレス鋼、アルミニウムは別の金属
図2 ステンレスは鉄の仲間(鋼)、アルミは別の金属
出典:Wikipedia「鋼」、ステンレス協会、Wikipedia「ステンレス鋼」、Wikipedia「アルミニウム」をもとに AI(Claude)で作成

スチール=鋼(こう):鉄に炭素を加えたもの

ふだん「鉄」と呼んでいる材料の多くは、正しくは鋼(こう)、英語でスチール(steel)です。Wikipedia「鋼」は、鋼を「炭素を0.04から2パーセント程度含む鉄の合金」と説明しています。炭素がもっと多い(約2.14%以上)ものは鋳鉄と呼びます(同)。炭素の量の線引きは資料によって少し違い、英語版 Wikipedia「Steel」は 0.02〜2.14%としています。

建物の骨組みや機械のフレームに使う SS400(一般構造用圧延鋼材)などが、いわゆる「鉄」の代表です。

ステンレス=錆びにくい鋼:クロムを 10.5%以上

ステンレス協会は、ステンレスを「鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金」と説明しています。英語の stainless steel を直訳するとステンレス鋼で、これが日本での正式名称です(同)。Wikipedia「ステンレス鋼」は、炭素を 1.2%以下とする定義もあげています。

つまり、「ステンレスとスチールの違い」は、クロムを多く含むかどうかです。ステンレスはスチールの一種で、「ステンレススチール」は「錆びにくい鋼」という意味の名前です。ステンレスにはいくつかの系統があり、よく使う SUS304 はクロム18%・ニッケル8%の「18-8ステンレス」と呼ばれるオーステナイト系、SUS430 はクロム18%でニッケルを含まないフェライト系です(ステンレス協会「ステンレスの概説」)。

アルミ=鉄とは別の元素の金属

アルミニウム(Al)は、鉄(Fe)とは別の元素の金属です。製品には、マグネシウムを加えて耐食性を高めた A5052、マグネシウムとケイ素を加えた A6061 などのアルミ合金がよく使われます(英語版 Wikipedia「5052 aluminium alloy」「6061 aluminium alloy」)。

出典:鋼|Wikipedia、Steel|Wikipedia(英語版)、ステンレスとは|ステンレス協会、ステンレスの概説|ステンレス協会、ステンレス鋼|Wikipedia、アルミニウム|Wikipedia、5052 aluminium alloy|Wikipedia(英語版)、6061 aluminium alloy|Wikipedia(英語版)

重さ・かたさ・強さを比べる

純鉄・SUS304・純アルミの密度・縦弾性係数・熱伝導率の棒グラフ
図3 密度・縦弾性係数・熱伝導率の比較(純鉄・SUS304・純アルミ)
出典:Wikipedia「鉄」、日鉄ステンレス、Wikipedia「ステンレス鋼」、Wikipedia「アルミニウム」をもとに AI(Claude)で作成

重さ(密度):アルミは約3分の1

1 cm³ あたりの重さ(密度)は、純鉄 7.874 g/cm³、SUS304 7.93 g/cm³、アルミ 2.70 g/cm³ です(Wikipedia「鉄」・日鉄ステンレスのカタログ・Wikipedia「アルミニウム」)。アルミの密度は鋼の約3分の1です(英語版 Wikipedia「Aluminium」)。鉄とステンレスは、重さではほとんど変わりません。

かたさ(たわみにくさ):アルミは約3分の1

力をかけたときのたわみにくさは、縦弾性係数(ヤング率)で表します。純鉄 211 GPa、SUS304 193 GPa、アルミ 70 GPa で(Wikipedia「鉄」「ステンレス鋼」「アルミニウム」)、アルミは鉄の約3分の1しかたわみにくくありません。同じ形の部品をアルミに替えると、約3倍たわみます。

ただし、重さあたりで比べると話が変わります。ヤング率を密度で割ると、純鉄 約26.8、アルミ 約25.9 で、ほぼ同じです。同じ重さで板を厚くできるアルミは、曲げにはかえって強くできます。同じ面積・同じ重さの板なら、アルミは鉄の約2.9倍の厚さにでき、曲げのたわみにくさ(ヤング率×厚さの3乗に比例)は約8倍になります(この段落の数字は上の値からの編集部の計算)。

強さ(引張強さ):材料と状態で大きく変わる

材料引張強さ出典
SS400(一般構造用の鋼)400〜510 N/mm²(規格の範囲)Wikipedia「SS400」
SUS304(固溶化熱処理の状態)579 MPa(例)Wikipedia「ステンレス鋼」
A5052-H34(アルミ合金)262 MPa英語版 Wikipedia「5052 aluminium alloy」
A6061-T6(アルミ合金)290 MPa 以上(代表値 310 MPa)英語版 Wikipedia「6061 aluminium alloy」

1 N/mm² は 1 MPa です。上の表では、アルミ合金の強さは鋼の半分〜4分の3ほどです(表の値からの編集部の目安)。また、同じ材料でも、熱処理や加工の状態(質別)で強さが大きく変わります。たとえば SUS304 は、冷間で圧延すると引張強さが 1102 MPa まで上がります(圧延率50%。Wikipedia「ステンレス鋼」)。強さの数字の意味は「降伏点・耐力と引張強さ」で解説しています。

出典:鉄|Wikipedia、ステンレス冷延鋼板 製造鋼種・特性と用途|日鉄ステンレス、ステンレス鋼|Wikipedia、アルミニウム|Wikipedia、Aluminium|Wikipedia(英語版)、SS400|Wikipedia、5052 aluminium alloy|Wikipedia(英語版)、6061 aluminium alloy|Wikipedia(英語版)

錆びにくさの違い:表面の膜が守るかどうか

錆び方のちがいの断面図:鉄の赤さびはすき間だらけ、ステンレスとアルミは薄い酸化皮膜が守る
図4 錆び方のちがい(模式図)
出典:Wikipedia(英語版)「Rust」、Wikipedia「ステンレス鋼」、Wikipedia(英語版)「Aluminium」をもとに AI(Claude)で作成

鉄(普通鋼):赤さびが中まで進む

鉄は、水と酸素の両方があると錆びます。塩分や酸があると、錆は速く進みます。鉄の赤さびはもろくはがれやすく、空気や水を通すので、下の鉄まで錆び続けます(英語版 Wikipedia「Rust」)。錆は元の鉄より体積が大きくなります(同)。そのため普通鋼は、塗装・めっきなどで表面を守って使います。

ステンレス:クロムの膜が自分で直る

ステンレスが錆びにくいのは、クロムが表面に不動態皮膜というごく薄い膜をつくるからです。膜の厚さは 1〜3 nm(ナノメートル)ほどで、傷がついても、ふつうの環境ではすぐに膜ができ直します(Wikipedia「ステンレス鋼」)。ただし「錆びない」わけではなく、塩分の多い所などでは錆びることがあります。原因と対策は、課題ページ「ステンレスの錆び(もらい錆・孔食)を防ぎたい」にまとめています。

アルミ:酸化アルミの膜が守るが、塩分とアルカリに弱い

アルミの表面には、室温で厚さ約 5 nm の酸化物の膜が自然にでき、酸素や水から中を守ります。一方で、塩化物(塩分)でも腐食し、アルカリの液では膜がほとんど役に立ちません(英語版 Wikipedia「Aluminium」)。膜を電気で厚くつくる処理がアルマイト(陽極酸化)です(Wikipedia「アルミニウム」)。

錆のしくみそのものは「腐食」で解説しています。

出典:Rust|Wikipedia(英語版)、ステンレス鋼|Wikipedia、Aluminium|Wikipedia(英語版)、アルミニウム|Wikipedia

熱・電気・磁石の違い

熱の伝わりやすさ(熱伝導率)は、純鉄 80.4、SUS304 16.3、アルミ 237 W/(m·K) です(Wikipedia「鉄」「ステンレス鋼」「アルミニウム」)。アルミは鉄の約3倍熱を伝え、ステンレスは鉄の約5分の1しか伝えません。アルミがヒートシンクや鍋に、ステンレスが熱を逃がしたくない所に使われるのはこのためです(用途の例は編集部の補足)。

性質鉄(純鉄)ステンレス(SUS304)アルミ(純アルミ)
熱伝導率 W/(m·K)80.416.3(SUS430 は 23.9)237
線膨張係数 ×10⁻⁶/K11.817.2(SUS430 は 10.4)23.1
電気抵抗率 Ω·m(電気抵抗率の比較の値)1.00×10⁻⁷7.40×10⁻⁷(オーステナイト系)2.65×10⁻⁸
融点1538℃—660.32℃
磁石つくSUS304 はふつうつかない(SUS430 はつく。SUS304 も強く加工した所はつくことがある)つかない

温度で伸びる割合(線膨張係数)は、アルミが鉄の約2倍です(Wikipedia「鉄」「アルミニウム」)。鉄とアルミをボルトで締めた部品や、長いアルミの部材では、温度が変わったときの伸びの差を考えておく必要があります(この一文は編集部の補足)。電気は、アルミがよく通し、ステンレスは通しにくい金属です(Wikipedia「電気抵抗率の比較」)。

磁石は、鉄とフェライト系の SUS430 にはつき、オーステナイト系の SUS304 にはふつうつきません(Wikipedia「ステンレス鋼」)。SUS304 でも、プレス加工などで大きく変形させた部分は磁石につくことがあります(日本製鉄「ステンレス よくあるご質問」)。アルミは強磁性ではないので、磁石につきません(英語版 Wikipedia「Aluminium」は常磁性としています)。ステンレスが磁石につく・つかない理由は「ステンレスは磁石につく?」で詳しく解説しています。

出典:鉄|Wikipedia、ステンレス鋼|Wikipedia、アルミニウム|Wikipedia、電気抵抗率の比較|Wikipedia、Aluminium|Wikipedia(英語版)、ステンレス よくあるご質問|日本製鉄

加工・つなぎ方・コストの違い

削る:ステンレスは削りにくい

ステンレスは普通の炭素鋼より削りにくい材料です。ねばり強く、削ると表面がすぐに硬くなる(加工硬化)ためで、硫黄やリンを加えた SUS303 や SUS416 は削りやすくしてあります(英語版 Wikipedia「Machinability」)。

溶接・異なる金属をつなぐ

オーステナイト系のステンレスは、アーク溶接がいちばんしやすいステンレスです(英語版 Wikipedia「Stainless steel」)。注意したいのは、アルミとステンレスを接触させて水がかかると、アルミが先に腐食することです(異種金属接触腐食)。ステンレスとアルミの電位差は、合金によって 0.5〜1.0 V ほどあります。ステンレスの部品と電気的に絶縁していなかったアルミの船体では、船体の側が陽極になって腐食した例が紹介されています(英語版 Wikipedia「Galvanic corrosion」)。対策は、ゴムや樹脂をはさんで電気的に絶縁することです(Wikipedia「異種金属接触腐食」)。詳しくは課題ページ「異種金属の接触で起きる腐食(電食)を防ぎたい」にまとめています。

コストとリサイクル

ステンレスは、普通鋼より材料を買うときの費用が高くなりがちですが、手入れや交換の費用が少なくてすみ、全体では元がとれることが多いとされています。ニッケルの少ないフェライト系は、オーステナイト系より安価です(英語版 Wikipedia「Stainless steel」)。

リサイクルでは、アルミ缶から地金をつくると、ボーキサイトからつくる場合の約3%の電力ですみます(Wikipedia「アルミニウム」)。鋼も、スクラップを電気炉で溶かして再生でき、世界のリサイクル率は60%をこえるとされています(英語版 Wikipedia「Steel」)。

出典:Machinability|Wikipedia(英語版)、Stainless steel|Wikipedia(英語版)、Galvanic corrosion|Wikipedia(英語版)、異種金属接触腐食|Wikipedia、アルミニウム|Wikipedia、Steel|Wikipedia(英語版)

どれを選ぶか:いちばん大事な条件から考える

鉄・ステンレス・アルミの選び方の目安:軽さと放熱ならアルミ、錆を許せないならステンレス、安く強く大きくなら普通鋼
図5 選び方の目安(編集部まとめ)
出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成

3つのうちどれがいちばんよい、ということはありません。「軽さ」「錆びにくさ」「コストと強さ」のどれをいちばん大事にするかで選ぶのが近道です(この節は上の比較をもとにした編集部のまとめ)。

いちばん大事な条件候補気をつけること
軽くしたい・熱を逃がしたいアルミ合金(A5052・A6061 など)たわみやすいので厚さ・形で剛性を確保する。塩分・アルカリ、ステンレスとの接触に注意
水・薬品・食品に触れる。錆を許せないステンレス(SUS304・SUS316 など)塩分の多い所では鋼種を選ぶ。削りにくい。材料費は高め
安く・強く・大きな構造をつくる普通鋼(SS400 など)塗装・めっきで錆を防ぐ。重い
熱を伝えたくない・磁石を避けたいオーステナイト系ステンレス加工した所は磁石につくことがある

鋼種や合金の細かい選び方は、技術ページ「ステンレス鋼(SUS304・316 などの種類と選び方)」「アルミニウム合金(A5052・A6061・A7075 の選び方)」で解説しています。

出典

  1. 鉄|Wikipedia
  2. ステンレス冷延鋼板 製造鋼種・特性と用途|日鉄ステンレス
  3. ステンレス鋼|Wikipedia
  4. アルミニウム|Wikipedia
  5. 鋼|Wikipedia
  6. Steel|Wikipedia(英語版)
  7. ステンレスとは|ステンレス協会
  8. ステンレスの概説|ステンレス協会
  9. 5052 aluminium alloy|Wikipedia(英語版)
  10. 6061 aluminium alloy|Wikipedia(英語版)
  11. Aluminium|Wikipedia(英語版)
  12. SS400|Wikipedia
  13. Rust|Wikipedia(英語版)
  14. 電気抵抗率の比較|Wikipedia
  15. ステンレス よくあるご質問|日本製鉄
  16. Machinability|Wikipedia(英語版)
  17. Stainless steel|Wikipedia(英語版)
  18. Galvanic corrosion|Wikipedia(英語版)
  19. 異種金属接触腐食|Wikipedia

※図は、出典の説明と数値をもとに編集部がまとめた模式図です。

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。

情報の確認日:2026年10月31日

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