装置の騒音を遮音・吸音で下げたい

防音カバーの断面のイラスト。内側に灰色の吸音材を貼った箱の中で、防振ゴムの上のコンプレッサーから出るオレンジの音の波が、外では小さくなっている。上には仕切りの入った消音ダクトがある(AI で生成したイメージ)

コンプレッサーやブロワー、プレス機のまわりで会話ができない、防音カバーを付けたのに思ったほど静かにならない、低いうなりだけが壁を抜けてくる、近隣から苦情が来た――機械の騒音は、作業者の耳を傷め、工場の外にも広がります。

こうした症状の多くは、音が壁を通る・すき間や換気口から漏れる・床やカバーを揺らす・中で反射して大きくなるという経路のどれかが、対策から抜けていることが原因です。対策は「遮音(重い壁で止める)」「吸音(反射を減らす)」「消音器(風を通して音を減らす)」「すき間をふさぐ」「測って出どころを探す」の組み合わせです。まず下のマトリクスで、症状と対策の対応を確かめてください。

目次

課題と解決技術のマトリクス

課題(症状)防音カバー(囲い)吸音材遮音パネル・二重壁消音器(サイレンサー)すき間・開口の処理騒音の測定・音源探査
A防音カバーを付けたのに、思ったほど下がらない○○△○◎◎
B低い音(ブーンという音)だけが抜けてくる○△◎△○○
C囲うと熱がこもる・換気口から音が漏れる○◎△
D工場の中で音が響き、作業場が 85dB を超える◎◎○○
Eどの機械の音か分からない・敷地境界の基準を超える○○○◎

◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効

◎は出典で第一の対策(または第一に確かめる方法)として説明されているもの、○は有効とされるもの、△は条件によって有効なものです。記号の理由は、下の「課題の診断と解決策」の各カードと「解決技術の詳細」に出典とあわせて書いています。

防音カバーの断面図に、壁を通る音、すき間から漏れる音、換気口から漏れる音、床を揺らす振動、中で反射する音の5つの経路と、それぞれの対策を示した図
図1 防音カバーから音が出ていく5つの経路と対策
出典:厚生労働省の検討会の資料(井上仁郎)・東海大学紀要工学部の論文と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成

課題の診断と解決策

症状(A〜E)ごとに、起きている現象、解決に使える技術、選ぶときの注意、相談できる企業をまとめました。

A

防音カバーを付けたのに、思ったほど下がらない

カバーを厚くしても数 dB しか変わらない。カバーの継ぎ目や扉のまわりがうるさい。

起きている現象
音はすき間を通っていくので、壁と天井のすき間やダクトなどがあると、厚いコンクリートの壁でも思ったより効果が上がらないことがあります(厚生労働省の検討会の資料、井上仁郎)。開口がカバーの表面積の1%あると、壁がどれだけ重くても全体の透過損失は約20dB で頭打ちになります(編集部の計算)。
解決に使える技術
選ぶときの注意

開口の面積は機械の機能で決まり、騒音を下げるためだけに小さくはできないことが多いとされます(東海大学の論文)。ふさげない開口は、消音器や内側の吸音材で減らすと考えます。カバーを機械に直接固定していると、振動でカバー自体が鳴ることもあります(編集部の解説)。

B

低い音(ブーンという音)だけが抜けてくる

高い音は消えたのに、低いうなりだけが残る。壁の向こうで低い音が聞こえる。

起きている現象
遮音は、重い材料ほど、周波数が高いほど効きます(質量則)。面密度か周波数が2倍で透過損失は約5dB しか上がらないので、低い音は通りやすいのです(日本建設業連合会の用語説明)。吸音材も、グラスウール50mm の吸音率は 125Hz で 0.20〜0.25 しかありません(同)。
解決に使える技術
選ぶときの注意

二重壁は、空気層がばねになる周波数(共鳴透過周波数)の付近で遮音が大きく落ちます(日本建設業連合会の用語説明)。空気層を厚くして、共鳴透過周波数を狙う音より十分に低くするのが基本です。低い音は床や架台を伝わる振動が原因のこともあるので、振動も測ります(編集部の解説)。

C

囲うと熱がこもる・換気口から音が漏れる

囲ったら機械が熱で止まった。換気のファンを付けたら、そこから音が漏れる。

起きている現象
ブロワーやモーターは、完全に囲うと騒音は下がりますが、中に熱がこもって機械に相当な負担をかけます(ブルアンドベア)。換気のための開口を開ければ、そこから音が漏れます。
解決に使える技術
選ぶときの注意

給排気口にサイレンサーを付ける方式が、目的・場所を選ばない最もポピュラーな方法とされます(ブルアンドベア)。サイレンサーは長いほど、風の通り道が狭いほどよく減らしますが、狭くすると圧力損失が増えるので、ファンの能力と合わせて決めます(日本環境アメニティの公開値と編集部の解説)。

D

工場の中で音が響き、作業場が 85dB を超える

作業場で会話ができない。測定で第Ⅱ・第Ⅲ管理区分になった。

起きている現象
厚生労働省の「騒音障害防止のためのガイドライン」(2023年改訂)では、作業場の等価騒音レベルが 85dB 以上で第Ⅱ管理区分、90dB 以上で第Ⅲ管理区分になり、作業環境の改善の措置や聴覚保護具の使用が求められます。壁・天井がかたいと、音が反射して響き、作業場全体がうるさくなります。
解決に使える技術
選ぶときの注意

対策は、いちばん大きな音源からです。同じ大きさの音源が2つあると +3dB、10dB 以上の差があれば小さいほうは全体にほとんど効きません(厚生労働省の検討会の資料)。大きい音源を残したまま、ほかを下げても全体は下がりません(編集部の解説)。

E

どの機械の音か分からない・敷地境界の基準を超える

近隣から苦情が来た。いくつもの機械が動いていて、どれが原因か分からない。

起きている現象
騒音規制法では、空気圧縮機・送風機(原動機の定格出力7.5kW 以上)などが特定施設で、敷地境界の騒音に区域・時間帯ごとの基準があります。千葉県柏市の例では、住居専用の地域(第1種区域)の夜間は 40dB 以下です(柏市)。
解決に使える技術
選ぶときの注意

音響カメラは、多数のマイクロホンの音圧と位相の差から音の出どころを画像に重ねて示します。ハンディクリーナーの例では、排気口から漏れる音が特に大きいことが分かりました(名古屋市工業研究所)。排気ファンの音と分かって消音ボックスを付け、88dB を 60dB に下げた例もあります(ヒビノサンオー)。

なぜ囲っても音が漏れるのか

遮音と吸音は別のもの

音が壁に当たると、一部は反射し、残りは吸収されるか、壁を通り抜けます(透過)。吸音は、グラスウールなどの多数のすき間に音が入りこんで熱に変わり、反射を防ぐことです。一方、遮音は音の透過を防ぐことです。吸音材はすき間が多いので音を通してしまい、吸音材だけでは遮音材にならないとされます(厚生労働省の検討会の資料、井上仁郎)。そのため防音カバーは、外側を重い遮音材、内側を吸音材にするのが基本です。

重い壁ほど、高い音ほど止まる(質量則)

すき間のない均質な板の音響透過損失(音を止める量)は、面密度(1m² あたりの質量)が大きいほど、周波数が高いほど大きくなります。これを質量則といい、概略、面密度か周波数が2倍で約5dB 大きくなります(日本建設業連合会の用語説明)。式で計算すると、鋼板1.6mm(12.5kg/m²)の透過損失は 125Hz で約14dB、500Hz で約25dB、2kHz で約35dB です(同じ式による編集部の計算)。

アルミ板2mm、鋼板1.6mm、鋼板3.2mmの音響透過損失を、63Hzから8kHzまで質量則の式で描いたグラフ。鋼板1.6mmは125Hzで14dB、500Hzで25dB、2kHzで35dB
図2 質量則による単板の音響透過損失
出典:日本建設業連合会「質量則」の式と編集部の計算をもとに AI(Claude)で作成

ただし、板の曲げの波と音の波が一致する周波数(コインシデンス効果)では、質量則より透過損失が小さくなる帯域が出ます(同)。空気層をはさんだ二重壁は、空気層がばねになる共鳴透過周波数の付近で遮音が大きく落ちますが、それより十分に高い周波数では、同じ面密度の単板より大きな透過損失が得られます。ガラスの厚さの合計が13mm(5mm+8mm)の構造では、空気層6mm の複層ガラスで280Hz、空気層50mm の二重ガラスで96Hz、200mm で48Hz でした(日本建設業連合会の用語説明)。

空気層をはさんだ二重壁の模式図と、空気層の厚さごとの共鳴透過周波数(ガラスで280Hz・96Hz・48Hz、鋼板の計算で107Hz・76Hz)を比べた棒グラフ
図3 二重壁の共鳴透過周波数
出典:日本建設業連合会「共鳴透過」と同じ式による編集部の計算をもとに AI(Claude)で作成

いちばん弱い経路が全体を決める

防音カバーの効き目は、壁・すき間・換気口・床のうち、いちばん音を通しやすい経路で決まります。開口は音をそのまま通す(透過率1)と考えると、壁の透過損失が40dB でも、開口がカバーの表面積の0.1% あれば全体は約30dB、1% あれば約20dB にしかなりません(編集部の計算)。

開口の面積の割合が0.01%から10%に増えると、壁の透過損失が30・40・50dBのどれでも、カバー全体の透過損失が下がり、1%で約20dB、0.1%で約30dBになることを示すグラフ
図4 開口の割合とカバー全体の透過損失
出典:編集部の計算(透過率の考え方は日本建設業連合会の用語説明)をもとに AI(Claude)で作成

囲った中では、音が壁で反射して大きくなります。囲い込んで遮音する場合は共鳴する空間をつくってしまう可能性があるので、すき間をつくらないようにし、設計に注意を払う必要があるとされます(厚生労働省の検討会の資料)。筐体の中に吸音材を置くと、開口から出る音を減らせます。吸音材は、音の粒子速度の大きい位置に置くほど効くとされ、筐体の体積の10〜20% の使用で配置の効果が最も大きくなりました(東海大学の論文)。

dB は足し算できない

騒音のレベル(dB)は、そのまま足し算できません。2つの音の差が0〜1dB なら大きいほうに +3dB、2〜4dB なら +2dB、5〜9dB なら +1dB、10dB 以上離れていれば足す値は0です(厚生労働省の検討会の資料)。いくつもの機械が動いている工場では、いちばん大きな音源を下げないかぎり全体はほとんど下がりません。また、屋外では点の音源から距離が2倍になるごとに 6dB 下がりますが(同)、屋内では壁や天井の反射で下がり方が小さくなります(井上仁郎)。

2つの音の差と足す値の表(0〜1dBで+3dB、10dB以上で0dB)と、音響パワーレベル99dBの音源からの距離と騒音レベル(1mで91dB、2mで85dB、20mで65dB)のグラフ
図5 dB の足し算と、距離による騒音レベルの下がり方
出典:厚生労働省「騒音ばく露レベルの推計」をもとに AI(Claude)で作成

出典:質量則|日本建設業連合会 音環境専門部会、共鳴透過|日本建設業連合会 音環境専門部会、騒音対策に必要な知識と騒音ばく露抑制対策について(井上仁郎)|厚生労働省、騒音ばく露レベルの推計|厚生労働省、筐体開口部放射騒音抑制のための吸音材配置設計|東海大学紀要工学部

解決技術の詳細

防音カバー(囲い)

防音カバー(エンクロージャ)は、音源の機械を囲って音を止める、いちばん効き目の大きい対策です。基本は、外側に重い遮音材、内側に吸音材を使い、すき間をなくします。機械の振動がカバーや床に伝わらないよう、防振ゴムなどの防振材を入れ、変形しにくい材料で囲み、二重に囲んで空気層を入れる、できるだけ密閉する、操作が必要なときだけ開く、といった方法が示されています(厚生労働省の検討会の資料)。

囲いの形は、作業と熱の条件で選びます。プレス機ではワークの出入りに必要な開口とメンテナンス用の扉を付けて全体を囲う密閉型や、出入り口だけをエアシリンダーなどで対策する開口部対策型があり、ブロワーやモーターでは、給排気口にサイレンサーを付ける給排気型、天井から放熱する天井開放型、天井を開け閉めする手動開放型から選びます(ブルアンドベア)。

プレス機全体を囲う密閉型の防音の囲い、給排気口にサイレンサーを付けた給排気型、天井から放熱する天井開放型の3つの防音の囲いの立体図
図6 密閉型(左)・給排気型(中)・天井開放型(右)の防音の囲い
出典:ブルアンドベア「騒音対策事例 工場内騒音」

吸音材

吸音材は、壁・天井・カバーの内側で音の反射を減らします。グラスウールなどの多孔質の材料は中・高音をよく吸い、密度16〜24kg/m³・厚さ50mm のグラスウールの吸音率は 500Hz で 0.90〜0.95 ですが、125Hz では 0.20〜0.25 です。背後に空気層をとると吸音率が上がり、せっこうボードに空気層をとった板の構造は、低い音(125Hz)で少し吸います(日本建設業連合会の用語説明)。

グラスウール50mm(空気層0と40mm)、岩綿吸音板、せっこうボード、コンクリート打放しの吸音率を125Hzから4kHzまで比べた折れ線グラフ
図7 代表的な材料の吸音率
出典:日本建設業連合会「吸音率」をもとに AI(Claude)で作成

狙う周波数がはっきりしているときは、共鳴を利用する吸音パネルが効きます。沖縄県工業技術センターは、大型タレットパンチの騒音を周波数分析して 520Hz 付近のピークを見つけ、520Hz を狙ったヘルムホルツ型の共鳴構造にグラスウールを組み合わせた吸音パネルを設計しました。このパネルで防音室をつくり、騒音を 93dB から 76dB(工場の外では 56dB)に下げています。メーカーに問い合わせた防音壁の工事は数千万円の見積もりでした(沖縄県工業技術センター)。

首のついた容器のヘルムホルツ型共鳴器の模式図と、大型タレットパンチの騒音が93dBから防音室の設置後に76dB(工場の外で56dB)に下がったことを示す棒グラフ
図8 ヘルムホルツ型の吸音パネルで大型タレットパンチの騒音を下げた事例
出典:沖縄県工業技術センター「技術支援事例 No.91」をもとに AI(Claude)で作成

遮音パネル・二重壁

遮音は面密度で決まるので、低い音を止めるには重い材料が要ります。重さを抑えたいときは、空気層をはさんだ二重壁にして、共鳴透過周波数を狙う音より十分に低くします。共鳴透過周波数は fr =(1/2π)√(2ρc²/(m·d))で計算でき(日本建設業連合会の用語説明)、鋼板1.6mm を2枚、空気層50mm で組むと約107Hz、100mm で約76Hz です(同じ式による編集部の計算)。壁を二重にしてその間に吸音材を入れることも効果的とされます(井上仁郎)。

防音パネルのメーカーは、透過損失と吸音率を周波数ごとに公開しています。日本環境アメニティの防音パネル BP-90(外板は高耐食性めっき鋼板1.6mm、吸音材は撥水性グラスウール 32kg/m³・50mm)の透過損失は、125Hz で23dB、500Hz で37dB、2kHz で52dB です(日本環境アメニティ)。三佳テックは、鋼材製の50〜60% の重さの軽量パネルで、一般的な鋼板のパネルより大きな低減効果が出たという社内の比較試験の結果を公開しています(三佳テック)。

軽量防音パネルと一般的なパネルの低減効果を500Hzから4kHzまで比べた棒グラフ(500Hzで30dBと15.5dB)と、測定から効果の確認までの5つの手順
図9 三佳テックの軽量防音パネルと一般的なパネルの低減効果(社内試験)
出典:三佳テック「防音(マイフォーカーム)」・同「機械防音・騒音対策」をもとに AI(Claude)で作成

消音器(サイレンサー)

消音器は、換気口・吸排気口・ダクトなど、風を通さなければならない所で音を減らします。消音のしくみから、吸音型・リアクティブ型・アクティブ型の3つに大きく分けられ、共鳴型のサイレンサーはリアクティブ型に入ります(法政大学の研究報告)。吸音型は吸音材で音を吸い、リアクティブ型は管の形や共鳴で音を反射させて減らし、アクティブ型は逆位相の音を出して打ち消します(編集部の解説)。吸音材を並べたスプリッタ型サイレンサーでは、吸音面が長いほど、風の通り道が狭いほどよく減ります。日本環境アメニティの公開値では、エレメント幅200mm・風路幅200mm で、長さ1000mm なら 1kHz で28dB、1500mm なら40dB です(日本環境アメニティ)。

スプリッタ型サイレンサーの透過損失を、エレメント幅・風路幅・長さの4つの組み合わせで比べた折れ線グラフと、吸音材の板が並ぶ模式図
図10 スプリッタ型サイレンサーの寸法と透過損失
出典:日本環境アメニティ「スプリッタ型サイレンサー」をもとに AI(Claude)で作成

どの組み合わせでも 63Hz の低い音は 4〜6dB しか減らないので、低い音が問題なら、消音器だけに頼らず、ファン・ブロワーの回転数や防振も見直します(日本環境アメニティの公開値と編集部の解説)。風路を狭くすれば圧力損失が増えます。前に進む音を取ろうとすると空気抵抗が増え、ダクトやファンに負担がかかるため、横に進む音を除く考え方で消音装置を設計する会社もあります(ヒビノサンオー)。

すき間・開口の処理

いちばん安く、効き目が大きいことが多いのが、すき間をふさぐことです。ケーブル・配管の貫通部、扉や点検口のまわり、パネルの継ぎ目を、パッキンやシール材でふさぎます。開口が表面積の1% あると、全体の透過損失は約20dB が上限なので(編集部の計算)、カバーの性能を上げる前に、まずすき間を探します。

作業でどうしても開ける開口は、ワークが出入りする部分だけを小さくする、操作するときだけ開く、などで面積と時間を減らします(厚生労働省の検討会の資料)。ふさげない開口から出る音は、筐体の中の吸音材で減らします(東海大学の論文)。

騒音の測定・音源探査

対策の前に、騒音計で大きさを、周波数分析で音の高さを、音響カメラで出どころを調べます。音響カメラ(マイクロホンアレイ)は、球のセンサーに内蔵した16個のマイクロホンの音圧の差と位相の差から音源の位置を計算するもので(ビームフォーミング法)、名古屋市工業研究所の装置の分析周波数は 630〜5,000Hz です。ハンディクリーナーの例では、排気口から漏れる音が特に大きいことが分かりました(名古屋市工業研究所)。

騒音計で測る、周波数分析、音源を探す、対策を選ぶ、効果を確かめるの5つの手順と、16個のマイクロホンを内蔵した球のセンサーの音響カメラの説明の図
図11 騒音の測定と音源探査の流れ
出典:名古屋市工業研究所「月刊名工研・技術情報 2025年8月号」・厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン」をもとに AI(Claude)で作成

作業場の騒音は、厚生労働省のガイドラインで測り方が決まっています。屋内の作業場では、6m 以下の等間隔で引いた線の交点で、床から1.2〜1.5m の高さで、1点10分以上測り、等価騒音レベルで管理区分を決めます。機械設備の製造業者は、設計・製造の段階からの低騒音化に努めるとともに、騒音のレベルの情報を公表することが望ましいとされています(厚生労働省のガイドライン)。敷地境界の騒音は、騒音規制法の規制基準で決まり、区域と時間帯の分け方は自治体ごとに決まっています(柏市)。2022年12月からは、環境大臣が指定する低騒音型の空気圧縮機は特定施設の対象外になりました(送風機は原動機の定格出力7.5kW 以上なら引き続き対象。栃木県)。

騒音障害防止のためのガイドラインの第Ⅰ・第Ⅱ・第Ⅲ管理区分(85dB未満、85dB以上90dB未満、90dB以上)と措置、騒音規制法の区域・時間帯ごとの規制基準の表
図12 作業場の管理区分と、騒音規制法の規制基準(柏市の例)
出典:厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン」・柏市「騒音規制法」・栃木県をもとに AI(Claude)で作成

出典:吸音率|日本建設業連合会 音環境専門部会、質量則|日本建設業連合会 音環境専門部会、共鳴透過|日本建設業連合会 音環境専門部会、騒音対策に必要な知識と騒音ばく露抑制対策について(井上仁郎)|厚生労働省、技術支援事例 No.91 ヘルムホルツ型吸音パネルの設計支援|沖縄県工業技術センター、共鳴型サイレンサの振動特性|法政大学計算科学研究センター研究報告、筐体開口部放射騒音抑制のための吸音材配置設計|東海大学紀要工学部、月刊名工研・技術情報 2025年8月号(音響カメラを用いた音源探査)|名古屋市工業研究所、騒音障害防止のためのガイドライン(パンフレット)|厚生労働省、騒音規制法|柏市、騒音規制法・振動規制法の改正|栃木県、スプリッタ型サイレンサー|日本環境アメニティ、標準性能防音パネル BP-90|日本環境アメニティ、騒音対策事例 工場内騒音|ブルアンドベア、防音(マイフォーカーム)|三佳テック、消音装置|ヒビノサンオー

騒音を遮音・吸音で下げる技術を持つ企業

各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。機械の防音の囲いを設計する会社、消音装置を作る会社、軽量の防音パネルの会社、吸音・遮音のパネルとサイレンサーの会社を挙げました。

株式会社ブルアンドベア|機械の形と熱に合わせて設計する防音の囲い

ブルアンドベアは、京都市西京区にある防音パネル・防音壁の会社です(1990年に鐵工社ブルの関連会社として設立)。アルミ建材の技術を生かしてアルミ製の吸音パネルを開発・製造し、プレス機・粉砕機・ブロワー・モーターなどの工場の騒音対策を、設計から施工まで手がけています。

ブルアンドベアの得意技術

技術内容
プレス機の囲いプレス機の形に合わせて設計し、機械本体の構造に合わせてワークの出入り口などの開口を設けるので、作業の効率を落とさずに騒音を下げる。全体を囲う密閉型と、ワークの出入り部分をエアシリンダーやバランサーで対策する開口部対策型がある
熱がこもる機械の囲いブロワーやモーターは、完全に囲うと中に熱がこもって機械に負担がかかる。給排気口にサイレンサーを付ける給排気型、天井から放熱して壁を高くする天井開放型、天井を開け閉めする手動開放型から選ぶ
対策の目的に合わせた提案作業環境の改善か、敷地境界での騒音の低減かという対策の目的に応じて、騒音対策のプランを提案するとしている

ブルアンドベアが解決できる課題

  • プレス機の音で、作業場で会話ができない
  • ブロワー・モーターを囲いたいが、熱がこもるのが心配
  • 作業の効率を落とさずに、機械を囲って騒音を下げたい

公開されている実績

  • プレス機の作業環境の対策で、会話ができなかった作業エリアの騒音を104dB から 84dB に下げた(工期4日)
大型プレス機の施工前の写真と、白い防音パネルで上部を囲った施工後の写真
図13 プレス機の防音対策の施工前(左)と施工後(右)
出典:ブルアンドベア「騒音対策事例 工場内騒音」

出典:企業情報|ブルアンドベア、騒音対策事例 工場内騒音|ブルアンドベア

ヒビノサンオー株式会社|騒音の測定・計算と、ダクト・ファンに合わせた消音装置

ヒビノサンオーとは

ヒビノサンオーは、東京都墨田区に本社、千葉県船橋市に工場がある防音・消音の会社です(1989年設立)。2019年に日本音響エンジニアリングの子会社になり、2026年4月に今の社名になりました。騒音測定12,000件、騒音計算180,000件、防音工事6,000件の実績があるとしています。

ヒビノサンオーの得意技術

技術内容
消音装置(サイレンサー)空調の室外機・冷却塔・厨房の吸排気ダクト・ボイラー・発電機などに使う消音器を設計・製作し、累計40万台を出荷。グラスウールを詰める・貼る従来の方法に頼らず、反射・吸音・遮音・防振を組み合わせて小型にしたとしている
風を妨げない設計前に進む音を取ろうとすると空気抵抗が増え、ダクトやファンに負担がかかるため、横に進む音を除く考え方で設計する。ダクト・ファン・ポンプの形に合わせられるようにして、発注から取り付けまで最短1週間
騒音の測定・計算消音装置ありきではなく、騒音の測定・計算の結果、音源の場所と構造、騒音のレベル、予算を見て対策を決めるとしている

ヒビノサンオーが解決できる課題

  • 排気ファン・ボイラー・発電機の音が近隣に漏れている
  • 換気や排気の風量を落とさずに、音だけを下げたい
  • どの機器の音が問題なのかを、測定と計算で確かめたい

公開されている実績

  • マンション駐車場の騒音で、調査で排気ファンの音と分かり、ガラリ用の消音ボックスを設計・製作して、88dB を 60dB に下げた(2019年、概算約300万円)
騒音測定12,000件・騒音計算180,000件・防音工事6,000件・消音装置累計40万台の実績と、排気ファンの騒音を88dBから60dBに下げた事例、消音装置の考え方の図
図14 ヒビノサンオーの実績と消音装置の考え方
出典:ヒビノサンオー「ヒビノサンオーとは」・同「消音装置」・同「マンション駐車場の騒音対策例」をもとに AI(Claude)で作成

出典:ヒビノサンオーとは|ヒビノサンオー、消音装置|ヒビノサンオー、マンション駐車場の騒音対策例|ヒビノサンオー

三佳テック株式会社|軽量防音パネルで、測定から設置・効果確認まで一貫対応

三佳テック(ミヨシテック)は、愛知県丹羽郡大口町にある機械防音・工場防音の会社です(1993年設立)。自社で開発したアルミ軽量防音パネル「マイフォーカーム」(実用新案登録済み)で、機械・設備の防音を設計・製作・施工しています。

三佳テックの得意技術

技術内容
軽くて効く防音パネルマイフォーカームは鋼材製の50〜60%の重さ。社内の比較試験の一例では、MY4C-LW150P(50mm)の低減効果が 500Hz で30dB、1kHz で35.9dB と、一般的なパネル(15.5dB・24.5dB)より大きかった(設置条件で変わり保証値ではないとしている)
組み立て式で点検しやすいフレームとパネルをボルトで組み付けるので、解体・組み立てがしやすい。搬送システムの組み込み、透明の点検窓、扉・シャッターの自動化やラインとの同期もできるとしている
測定から効果確認まで現場の確認と騒音測定、音源の音量・周波数の分析、パネルの選定と対策の検討、CAD 設計・製作・設置、騒音測定での効果の確認までを一貫して行う

三佳テックが解決できる課題

  • 機械の音を囲って、作業場の騒音を下げたい
  • 重い鋼板のカバーは、取り付けや点検が大変
  • 音の周波数に合ったパネルを選んで、効果まで確かめたい
工場の中で、白い防音パネルで囲った電気炉の設備と、上部の点検用の階段と黄色い手すり
図15 防音パネルで囲った電気炉の防音対策工事
出典:三佳テック「機械防音・騒音対策」

出典:会社案内|三佳テック、防音(マイフォーカーム)|三佳テック、機械防音・騒音対策|三佳テック

日本環境アメニティ株式会社|吸音・遮音一体の防音パネル、サイレンサー、組立式の防音ボックス

日本環境アメニティとは

日本環境アメニティは、東京都港区に本社がある騒音対策・建築音響の会社です(1988年設立)。工場・プラント・発電所・清掃工場などの騒音対策の防音パネル・サイレンサー・防音ボックスと、騒音の測定・シミュレーションを手がけています。

日本環境アメニティの得意技術

技術内容
吸音と遮音を一体にした防音パネルBP-90 は、吸音材(撥水性グラスウール 32kg/m³・50mm)・遮音材・表面保護材を一体にしたパネル。透過損失は 500Hz で37dB、1kHz で45dB、残響室法吸音率は 500Hz で1.08と公開している
スプリッタ型サイレンサー吸排気が必要な所で、空気の出入りを妨げずに騒音を下げる。エレメント幅・風路幅・吸音面の長さごとの透過損失を公開しており、幅200mm・風路200mm・長さ1500mm では 1kHz で40dB
組立式の防音ボックスプレス・切断機・エア音などを組立パネルで囲う「ソノボックス」。遮音性能 D-35・D-45 の2種類で、換気ファン+消音ダクト、防振の浮床・浮壁、自動開閉装置、中の響きを調整する吸音材などを付けられる

日本環境アメニティが解決できる課題

  • 工場の設備の音を、屋外でも傷みにくい防音パネルで囲いたい
  • 空調機・冷却塔などの吸排気口から出る音を、風を止めずに下げたい
  • プレス・切断機を部屋ごと囲って、中の作業も続けたい
防音パネルBP-90の周波数ごとの透過損失(125Hzで23dBから4kHzで57dB)と吸音率のグラフと、組立式の防音ボックスの仕様の表
図16 日本環境アメニティの防音パネル BP-90 の性能と防音ボックス
出典:日本環境アメニティ「標準性能防音パネル BP-90」・同「防音ボックス工事 / ソノボックス」をもとに AI(Claude)で作成

出典:企業情報|日本環境アメニティ、スプリッタ型サイレンサー|日本環境アメニティ、防音ボックス工事 / ソノボックス|日本環境アメニティ、標準性能防音パネル BP-90|日本環境アメニティ

選ぶ前に確かめる条件

騒音の対策を相談する前に、次のことを整理しておくと話が早く進みます。

  • どこで何 dB を、何 dB まで下げたいか(作業場の等価騒音レベルか、敷地境界の騒音か)。今の測定値と、測った場所・時間・機械の運転の状態
  • 音源の機械の種類(コンプレッサー・ブロワー・プレス・ファンなど)、大きさ、台数。どの機械がいちばん大きいか分かっているか
  • 問題の音の周波数(低いうなりか、高い音か)。周波数分析の結果があるか
  • 囲えるかどうか:ワークの出入り・操作・点検の頻度、必要な換気量と発熱量、クレーンや配管の位置
  • 置き場所の条件:屋内か屋外か、雨・油・粉じん、不燃の要求、床の強さ(防音カバーは重い)
  • 予算と工期、止められる時間。効果を確かめる測定を、対策の前後で同じ条件で行えるか

この課題に関係する分野・技術・製品のページ

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・設備ではありません。

情報の確認日:2026年10月7日

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次