配管・熱交換器のスケール(水あか)を防ぎたい

縦に半分に切った鋼管の内壁と、熱交換器のチューブの断面の内側に、白っぽいスケールが厚く付いて流れの通り道が狭くなっている様子。右下の1本だけきれいなチューブ(AI で生成したイメージ)

冷凍機が夏になると高圧で止まる、ボイラーの燃料がじわじわ増える、金型の温調機の水路が詰まって温度が安定しない――熱交換器や配管の中に白く硬い付着物(スケール、水あか)が付くと、こうしたトラブルが起きます。スケールは鋼や銅よりずっと熱を伝えにくく、薄くても熱が伝わりにくくなり、流れも細くなります。

こうした症状の多くは、水に溶けているカルシウム・マグネシウム(硬度)やシリカが、加熱や蒸発による濃縮で溶けきれなくなって析出することが原因です。対策は「持ち込まない(軟水化)」「濃くしすぎない(ブロー)」「結晶を育てない(スケール防止剤)」「付いたら落とす(洗浄)」の組み合わせです。まず下のマトリクスで、症状と対策の対応を確かめてください。

目次

課題と解決技術のマトリクス

課題(症状)軟水化・純水化スケール防止剤・pH 管理濃縮倍数(ブロー)の管理酸による化学洗浄機械洗浄・ボール式自動洗浄磁気・電解などの物理処理
A冷却塔・冷凍機の冷却水に炭酸カルシウムが付く○◎◎△○△
Bボイラーの水管にスケールが付く◎○○△
Cシリカのスケールが付く○○◎△△
D温調機・オイルクーラーの細い流路が詰まる◎○◎△△
Eすでに付いたスケールを落としたい△◎◎△

◎ 第一候補○ 有効△ 条件によって有効

◎は出典で第一の対策として説明されているもの、○は有効とされるもの、△は条件によって有効なもの(または効果の評価が分かれるもの)です。記号の理由は、下の「課題の診断と解決策」の各カードと「解決技術の詳細」に出典とあわせて書いています。

冷却塔・冷凍機の冷却水、ボイラーの水管、シリカのスケール、温調機・オイルクーラーの細い流路の4つの場所と、それぞれの症状を並べた図
図1 工場でスケールが付きやすい場所と症状
出典:栗田工業「スケール障害(冷却水)」・栗田工業「スケール障害(ボイラ)」・セールスエンジ「射出成形機の冷却水トラブル」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成

課題の診断と解決策

症状(A〜E)ごとに、起きている現象、解決に使える技術、選ぶときの注意、相談できる企業をまとめました。

A

冷却塔・冷凍機の冷却水に炭酸カルシウムが付く

冷凍機の凝縮器のチューブに白い付着物。夏に冷凍機が高圧で止まる・電力が増える。

起きている現象
開放式の冷却塔は、水の一部を蒸発させて水温を下げるので、蒸発した分だけ硬度成分などが濃縮され、飽和溶解度を超えるとスケールになります。成分は主に炭酸塩とケイ酸塩(シリカ)で、蒸発を伴わない密閉の冷却水系では起きにくい障害です(栗田工業)。凝縮器の性能が落ちると冷媒の凝縮温度が上がり、圧縮機の動力が増えて COP が下がります(中小機構 J-Net21)。
解決に使える技術
選ぶときの注意

栗田工業は、温度は水処理の側で制御できないので、強制ブローによる濃度管理と pH コントロールが基本としています。pH を下げる酸の添加には腐食のリスクがあり、スケール防止剤は防食剤と組み合わせて使います(同)。

B

ボイラーの水管にスケールが付く

燃料の使用量がじわじわ増える。管が過熱して膨らむ・破れる。

起きている現象
スケールはボイラーの鋼より熱伝導率が極端に低いので、熱が水へ伝わりにくくなり、燃料が増えます。さらに、スケールが付いた蒸発管が過熱して強度が落ち、割れや噴破による水もれに至ることがあります(栗田工業)。原因で特に多いのが、軟水器の樹脂を再生する食塩の入れ忘れです(同)。
解決に使える技術
選ぶときの注意

米国エネルギー省(DOE)は、煙管ボイラー(排ガスの熱回収なし)で、ふつうのスケールが約0.8mm(1/32インチ)付くと燃料のロスが全使用量の2.0%になる例を示しています。軟水器の硬度リークは、硬度指示薬で確かめるか、硬度リークセンサーで常時監視します(栗田工業)。

C

シリカのスケールが付く

白く硬い付着物で、酸で洗ってもなかなか落ちない。軟水器を入れているのに付く。

起きている現象
ボイラーのシリカ(SiO2)のスケールは、薬品メーカーの適用基準を外れた過剰な濃縮で付きやすくなるとされ、濃縮管理と薬注管理の最適化で防ぎます(栗田工業)。軟水器はカルシウム・マグネシウムを除く装置で、シリカまでは減らせません(編集部の解説)。冷却水の基準ではイオン状シリカを 50mgSiO2/L 以下にします(JRA-GL-02:1994。環境省の資料による)。DOE の表では、鉄とシリカを含むスケールは約0.8mm で燃料のロスが7.0%と、ふつうのスケール(2.0%)の約3.5倍です。
解決に使える技術
選ぶときの注意

塩酸はシリカ系以外のスケールをよく溶かします。シリカをよく溶かすのはフッ化物系の薬品(フッ酸、酸性フッ化アンモニウム)ですが、フッ酸は腐食性・毒性が強く扱いにくい薬品です(横浜国立大学 大矢勝)。付いてから落とすのは難しいので、濃縮しすぎないことが先です(編集部の解説)。

D

温調機・オイルクーラーの細い流路が詰まる

金型の温度が安定しない・油温が下がらない。チラーが異常停止する。

起きている現象
金型の冷却水路は細く、詰まると冷却効率が落ち、サイクルの延長・寸法不良・不良率の増加につながります。オイルクーラーではスケールで油温が高止まりし、温度異常で止まることもあります(セールスエンジ)。小さな流路は、少しの付着でも流れが大きく減ります(編集部の解説)。
解決に使える技術
選ぶときの注意

完全にふさがった流路には洗浄液が通らないので、詰まりきる前に洗う必要があります(セールスエンジ)。酸が残ると二次さびの原因になるので、洗浄後は中和またはフラッシングで出し切ります(プラスコム)。

E

すでに付いたスケールを落としたい

チューブの入口が白く狭くなっている。洗浄しないと能力が戻らない。

起きている現象
付いたスケールは、機械的な方法か酸洗浄で取り除きます(DOE)。環境省の資料は、除去の方法として機械洗浄・薬液洗浄・物理処理装置(磁気処理、電気分解装置等)を挙げ、機械洗浄は分解・高圧洗浄・ガスケットの張替え・再組立を伴うので労力・時間・費用が比較的かかる、薬品洗浄は強酸による材質の腐食のおそれと廃液の処理が要る、としています。
解決に使える技術
選ぶときの注意

貫流ボイラーのように排液を出し切れず、オーステナイト系ステンレスを含む機器では、応力腐食割れのおそれがある塩酸ではなくクエン酸を使うとされています(防食技術 1966年)。ただしクエン酸は、カルシウム・マグネシウムのスケールの除去には適しません(大矢勝)。落としたら、A〜D の対策で付かないようにします。

なぜスケールが付くのか

溶けていた成分が、熱と濃縮で溶けきれなくなる

水道水や工業用水・井戸水には、炭酸水素カルシウムなどが溶けています。これが高温に加熱されたり、高い濃度に濃縮されたりすると分解して、水に溶けにくい炭酸カルシウムになります。加熱や濃縮で溶けていた二酸化炭素が抜けると pH が上がり、高温(特に60〜70℃を超える)ほど、pH が高いほど、炭酸カルシウムが多く析出します(SCE・Net 鶴田邦弘)。

加熱面の内側で炭酸水素カルシウムが炭酸カルシウムになってスケールが付くしくみと、温度・濃縮・pH の3つの条件の図
図2 加熱面・蒸発で炭酸カルシウムが析出するしくみ
出典:SCE・Net「炭酸カルシウム系水垢」・栗田工業「スケール障害(冷却水)」をもとに AI(Claude)で作成

栗田工業は、スケールの溶解度に影響する因子として濃度・温度・pH を挙げ、冷却水系のスケールの成分は主に炭酸塩とケイ酸塩(シリカ)で、防食剤として加えたリン酸塩や、鉄・亜鉛などの腐食生成物もスケールになるとしています。炭酸カルシウムの付きやすさは、実際の pH と、炭酸カルシウムが溶けも析出もしない pH との差であるランゲリア指数(飽和指数)で表し、正ならスケール傾向、負なら腐食傾向です(水道技術研究センター)。

薄いスケールでも、熱が伝わりにくくなる

DOE は、スケールの熱伝導率は鋼より1桁小さいとし、薄い層でも熱の伝わりを妨げ、煙管ボイラーでは燃料の消費が最大5%増え、管の過熱・破損・効率の低下を招くとしています。同資料の表(NIST Handbook 115 Suppl.1 による。排ガスの熱回収のない煙管ボイラーが対象)では、低圧の用途で見られるふつうのスケールで厚さ約0.4mm(1/64インチ)なら燃料のロスが1.0%、約1.6mm(1/16インチ)なら3.9%です。

スケールの厚さ約0.4mmから約1.6mmまでの燃料のロスを、ふつうのスケールと鉄+シリカのスケールで比べた棒グラフ
図3 スケールの厚さと燃料のロス(ボイラーの例。インチを mm に換算)
出典:米国エネルギー省「Steam Tip Sheet #7」をもとに AI(Claude)で作成

冷凍機でも同じです。環境省の試算例では、密閉式冷却塔のスケールを除いて冷却水の温度が1℃下がり、熱源機の COP が7.3から7.7に上がると、エネルギー消費量が約5%減ります。冷却水の水質を適正に管理してスケールの付着を抑え、冷凍機の効率が10%上がると想定した試算では、約9%減ります。

密閉式冷却塔のスケール除去でCOPが7.3から7.7に、水質管理で効率が6.0から6.6になり、エネルギー消費量が約5%と約9%減る試算の棒グラフ
図4 スケールの除去・水質管理による省エネの試算例
出典:環境省「密閉式冷却塔熱交換器のスケール除去」・環境省「冷却水の水質の適正な管理」をもとに AI(Claude)で作成

水冷式の凝縮器は、冷却水の出口温度と冷媒の凝縮温度の差(アプローチ温度)が通常3〜5℃で、7〜8℃以上、または凝縮温度が冷却水の入口温度より13℃以上高ければ異常です(中小機構 J-Net21)。運転記録の温度差は凝縮器の汚れや異常の目安になり、スケールの付き始めに気づく手がかりになります(編集部の解説)。

出典:炭酸カルシウム系水垢の生成に伴う溶解析出挙動の考察|SCE・Net、冷却水系で発生する障害の種類 ―スケール障害―|栗田工業、ボイラで発生する『スケール障害』とは|栗田工業、Q&A ランゲリア指数|水道技術研究センター、Steam Tip Sheet #7|米国エネルギー省、密閉式冷却塔熱交換器のスケール除去|環境省、冷却水の水質の適正な管理|環境省、Q1207 冷凍機の省エネ|中小機構 J-Net21

解決技術の詳細

軟水化・純水化

軟水器は、陽イオン交換樹脂でカルシウム・マグネシウムのイオンをナトリウムイオンと入れ替えて、硬度を取り除きます。使うと樹脂の能力が落ちるので、食塩水で再生します(丸山製作所)。ボイラーでは、再生用の食塩の入れ忘れ、原水の硬度の増加、樹脂の劣化で硬度が漏れ(硬度リーク)、スケールの原因になります(栗田工業)。

ボイラーにスケールが付く4つの原因(軟水器の不調・シリカの過剰濃縮・腐食生成物の持ち込み・熱交換器からの混入)と対策の図
図5 ボイラーにスケールが付く4つの原因と対策
出典:栗田工業「スケール障害(ボイラ)」・栗田工業「ボイラの水処理の必要性」をもとに AI(Claude)で作成

軟水器はカルシウム・マグネシウムを除く装置なので、シリカまでは減らせません。シリカまで減らすには、脱塩(イオン交換による純水化)や RO 膜(逆浸透膜)を使います。ただし RO 膜の表面にも炭酸カルシウムやシリカのスケールが付いて透過する水が減るので、濃縮倍率・温度・pH の最適化、脱炭酸、軟化装置、スケール分散剤で前処理します(日本膜学会誌「膜」)。三浦工業は、RO の給水を軟水にするとスケールによる膜の汚染リスクを大幅に下げられるとしています。

陽イオン交換樹脂の軟水器と、RO膜(逆浸透)・脱塩のしくみと違いを並べた図
図6 軟水器(イオン交換)と RO 膜・脱塩のちがい
出典:丸山製作所「軟水器の原理」・日本膜学会誌「逆浸透膜を用いた水処理プロセス」・栗田工業「ボイラの水処理の必要性」をもとに AI(Claude)で作成

スケール防止剤・pH 管理

スケール防止剤には低分子量ポリマーやホスホン酸塩などがあり、分散作用・析出抑制作用・晶癖作用で、スケールが付かない濃度の範囲を広げます。結晶になれなかった成分はブロー水と一緒に外へ出るので、使わない場合より高い濃縮で運転でき、補給水とブロー水を節水できます(栗田工業)。

スケール防止剤の分散作用・析出抑制作用・晶癖作用の3つの働きを示した図
図7 スケール防止剤の3つの働き
出典:栗田工業「スケール障害(冷却水)」・表面技術協会「開放循環冷却水系におけるスケール防止技術」をもとに AI(Claude)で作成

ポリリン酸塩やホスホン酸類は、微量の添加で結晶の成長を妨げるしきい値効果(threshold 効果)を持ちますが、長い時間は続かないので、水が系内にとどまる時間に合わせて薬剤を選びます(表面技術協会の解説論文、1978年)。pH を下げると炭酸カルシウムは析出しにくくなりますが、酸を加えると腐食のリスクがあります(栗田工業)。

濃縮倍数(ブロー)の管理

開放式の冷却塔では、補給水 = 蒸発 + 飛散(ドリフト)+ ブローです。冷却水が補給水の何倍に濃くなったかを濃縮倍数といい、ブローを増やすと濃縮倍数は下がります。空調用では濃縮倍数3が多く、循環水量に対して蒸発0.83%・飛散0.05%・ブロー0.365%で、補給水は1.245%になる例があります(冷却塔大学)。

開放式冷却塔と冷凍機の凝縮器の間を冷却水が回り、蒸発・飛散・ブロー・補給水で濃縮倍数が決まるしくみの図
図8 開放式冷却塔で水が濃縮されるしくみと濃縮倍数
出典:冷却塔大学「濃縮倍数の決定方法」・栗田工業「スケール障害(冷却水)」をもとに AI(Claude)で作成

濃縮倍数の上限は、冷却水の基準と補給水の水質で決まります。日本冷凍空調工業会の JRA-GL-02:1994 は、循環式の冷却水の基準値を pH 6.5〜8.2、電気伝導率 80mS/m 以下、カルシウム硬度 150mgCaCO3/L 以下、イオン状シリカ 50mgSiO2/L 以下などとしています(環境省の資料による)。電気伝導率は濃縮の度合いを連続で測れるので、ブローの弁を電気伝導率で開け閉めする管理に使われます(編集部の解説)。

JRA-GL-02:1994の循環式冷却水の基準値(pH・電気伝導率・酸消費量・全硬度・カルシウム硬度・イオン状シリカ・塩化物イオンと硫酸イオン)の表
図9 循環式冷却水の水質の基準(JRA-GL-02:1994)
出典:環境省「冷却水の水質の適正な管理」(日本冷凍空調工業会のガイドラインの転載)をもとに AI(Claude)で作成

ブローを減らしすぎるとスケールが付き、増やしすぎると水と薬品が無駄になります。栗田工業の遠隔監視「S.sensing Opti」は、補給水量・電気伝導率・pH を見える化し、オプションの自動弁と薬品の注入システムで、スケールが出ず補給水量が最少になるよう自動で制御するとしています。

酸による化学洗浄

付いたスケールは酸で溶かせます。塩酸はシリカ系以外のスケールへの溶解力が一般の酸の中で最も大きい一方、鋼材を腐食させる塩化水素ガスが出るので、適当な腐食防止剤(インヒビター)を併用して使います。スルファミン酸はカルシウムなどの炭酸塩・水酸化物のスケールとよく反応し、金属への腐食性は小さい一方、酸化鉄はあまり溶かしません。希硫酸はカルシウム系の汚れには向かず、クエン酸もカルシウム・マグネシウムと反応して溶けにくい塩をつくるので、これらのスケールには適しません(横浜国立大学 大矢勝)。

塩酸・スルファミン酸・クエン酸など有機酸・フッ化物を含む洗浄剤の、向いているものと注意の表
図10 付いたスケールを酸で溶かすときの選び方
出典:横浜国立大学 大矢勝「酸性洗浄剤」・防食技術「化学洗浄時のインヒビターの問題点」・環境省「密閉式冷却塔熱交換器のスケール除去」・プラスコム「冷却水スケール除去の実践方法」をもとに AI(Claude)で作成

機器の材質にも合わせます。貫流ボイラーは排液を完全に出せず、オーステナイト系ステンレスもあるので、応力腐食割れのおそれがある塩酸は使わず、クエン酸を使うとされています(防食技術 1966年)。環境省の資料も、塩酸・硝酸などの強酸は材質の腐食のおそれがあり、腐食させない有機酸の薬品で洗う方法もあるとしています。洗浄後の廃液は中和して処理します。

シェル&チューブ熱交換器の端面。左は洗浄前で、茶色い付着物で管の口が狭くなっている。右は洗浄後で管の口がはっきり見える
図11 シェル&チューブ熱交換器の薬品循環洗浄(左:洗浄前、右:洗浄後)
出典:シービーテック「チラー・熱交換器洗浄」

機械洗浄・ボール式自動洗浄

シェル&チューブ式の熱交換器は、止めてふたを開け、ブラシや高圧水でチューブを洗えます。止めずに洗う方法として、冷却管の内径よりわずかに大きいスポンジボールを冷却水に乗せて流し、管の内面をこすって出口の捕集器で回収し、ポンプで入口へ戻す連続ボール洗浄があります。発電所の復水器の例では、運転は通常1日1〜2回、循環させるボールは冷却管の本数の約10%です(日立評論 2005年)。

シェル&チューブ式熱交換器のチューブにスポンジボールを流し、回収トラップで集めて投入・回収ユニットから入口へ戻す自動洗浄の図
図12 スポンジボールで運転中にチューブをこする自動洗浄
出典:日立評論「復水器連続ボール洗浄装置」・フロンティアテクノロジー「XAC」をもとに AI(Claude)で作成

ボール式はスケールが育つ前にくり返しこするので、一度落とした後の再発防止に向きます。フロンティアテクノロジーのボール式自動洗浄装置「XAC」は、シェル&チューブ式の熱交換器が対象です(同社)。プレート式の熱交換器は、化学洗浄などで対応します(編集部の解説)。

熱交換器の冷却水の入口からボールを投入し、出口のボール回収用トラップで集め、ボール投入回収ユニットと制御盤で循環させるボール式自動洗浄装置の構成図
図13 ボール式熱交換器自動洗浄装置「XAC」の構成
出典:フロンティアテクノロジー「XAC のご紹介」

磁気・電解などの物理処理

薬品を使わずにスケールを抑える装置として、磁気処理や電気分解の装置があります。環境省の資料は、スケール除去の方法の一つに物理処理装置(磁気処理、電気分解装置等)を挙げています。一方、米陸軍工兵隊の技術資料(2001年)は、磁気処理には長い論争の歴史があるとしたうえで、文献を調べ、3種類の装置を温水をつくるシェル&チューブ式の熱交換器で試験した結果、対照と比べて明確なスケール抑制の効果は認められなかったとしています。

磁気処理と電解式の物理処理の、うたわれている働きと確かめ方・注意の表
図14 磁気・電解などの物理処理の考え方
出典:米陸軍工兵隊「Magnetic Water Treatment」・環境省「密閉式冷却塔熱交換器のスケール除去」・フロンティアテクノロジー「WET」をもとに AI(Claude)で作成

電解式の装置は、電極の側に硬度成分をわざと析出させて水中の濃度を下げるもので、析出物を取り除く清掃が要ります(フロンティアテクノロジー)。どの方式も、同じ条件の2系統で比べる、チューブを開けて確かめるなど、自分の設備で効果を確かめてから広げます(編集部の解説)。

出典:軟水器の原理|丸山製作所、ボイラで発生する『スケール障害』とは|栗田工業、逆浸透膜を用いた水処理プロセスについて|日本膜学会誌「膜」、開放循環冷却水系におけるスケール防止技術|表面技術協会、冷却塔の濃縮倍数の決定方法と補給水量の求め方|冷却塔大学、冷却水の水質の適正な管理|環境省、酸性洗浄剤|横浜国立大学 大矢勝、化学洗浄時のインヒビターの問題点|防食技術、高性能・大容量復水器連続ボール洗浄装置|日立評論、Magnetic Water Treatment(PWTB 420-49-34)|米陸軍工兵隊、射出成形機の冷却水トラブルを防ぐ|セールスエンジ、冷却水スケール除去の実践方法|プラスコム

スケール対策の技術を持つ企業

各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。水処理薬品・軟水装置の会社、熱交換器の洗浄の会社、自動洗浄装置のメーカーを挙げました。

栗田工業株式会社|冷却水・ボイラーの水処理薬品と、水質の遠隔監視

栗田工業とは

栗田工業は、東京都中野区に本社がある水処理の会社です(1949年設立)。水処理薬品・水処理装置・メンテナンスを手がけ、製品・サービスのサイトの「水処理教室」で、冷却水やボイラーのスケール障害の原因と対策を解説しています。

栗田工業の得意技術

技術内容
冷却水の水処理薬品開放冷却水系用の「クリタイト CW」は、腐食防止・スケール分散・スライムコントロールの機能を持つ。冷却水処理の導入効果として「チラーの消費エネルギーを約17%削減」と載せている
ボイラーのスケールの除去と付着防止ボイラ水処理薬品に配合する「ドリームポリマー」は、付いたスケールを表面から溶かして除き、付着も防ぐ。スケール除去効果は同社従来比4倍、付着防止効果は同社従来比2倍としている
冷却水の遠隔監視「S.sensing Opti」は、補給水量・電気伝導率・pH などを遠隔で見える化する。補給水の自動弁と薬品注入システムを併設すると、スケールが発生せず補給水量が最少になるよう自動で制御する

栗田工業が解決できる課題

  • 冷却水のスケールで、冷凍機・チラーの電力が増えている
  • ボイラーの水管にスケールが付き、燃料が増えている・復水を回収できない
  • 冷却水の水質管理の手間を減らし、補給水を節水したい

公開されている実績

  • ドリームポリマー配合薬品に切り替え、付いていたスケールを除去して燃料費を約1%削減した事例
  • 発泡スチロールの成形工場で、硬度分を含む復水を回収できるようになり、重油を13%、補給水を10%削減した事例
栗田工業の冷却水の薬品・ボイラーの薬品・遠隔監視の3つの組み合わせの図
図15 栗田工業のスケール対策の組み合わせ
出典:栗田工業「冷却水処理」・同「ドリームポリマー」・同「S.sensing Opti」をもとに AI(Claude)で作成

出典:採用情報(会社概要)|栗田工業、冷却水系で発生する障害の種類 ―スケール障害―|栗田工業、ボイラで発生する『スケール障害』とは|栗田工業、冷却水処理|栗田工業、ドリームポリマー|栗田工業、S.sensing Opti|栗田工業

三浦工業株式会社|業務用軟水装置と水分析で、硬度を持ち込まない

三浦工業とは

三浦工業は、愛媛県松山市に松山本社、東京都港区に東京本社がある、小型貫流ボイラーと水処理機器の会社です(1959年設立)。業務用軟水装置・RO 装置などの水処理機器と、自社の水分析センターでの水質管理を手がけています。

三浦工業の得意技術

技術内容
業務用軟水装置業務用軟水装置(MS-CL/FCL など)の用途に、クーリングタワー・熱交換機・加湿器などを挙げ、「スケール付着によるトラブルの解決」と説明している
クーリングタワーの高濃縮運転クーリングタワーでは、軟水を使うとスケールを抑えられるため濃縮倍率を高く保つことができ、年間のコストを大幅に削減できるとしている。径が細い配管も、軟水でスケールの付着が抑えられるとしている
水分析と RO の前処理独自の水分析センターを持ち、蓄積した1,000万件以上のデータから水管理の状況を判断して提案する。RO の給水を軟水にすると、スケールによる RO 膜の汚染リスクを大幅に下げられるとしている

三浦工業が解決できる課題

  • ボイラーの給水や熱交換器・給湯機器に、硬度によるスケールが付く
  • クーリングタワーの濃縮倍率を上げて、補給水や薬品を減らしたい
  • 井水・工業用水の水質が分からず、何が付いているのか知りたい
三浦工業の水分析・軟水化・濃縮倍率の向上・ROの前処理の流れの図
図16 三浦工業の軟水によるスケール対策
出典:三浦工業「業務用軟水装置」・同「水のお悩み解決策」・同「軟水にするとどんな効果がある?」をもとに AI(Claude)で作成

出典:会社概要|三浦工業、業務用軟水装置|三浦工業、水のお悩み解決策|三浦工業、軟水にするとどんな効果がある?|三浦工業

アクアス株式会社|冷却水処理の薬品・装置と、有効成分を測る特殊化学洗浄

アクアスとは

アクアスは、東京都品川区に本社がある総合水処理の会社です(1958年創立)。冷却水・ボイラー水の水処理薬品、水処理装置、サービスを手がけ、熱交換器に付いたスケールを落とす特殊化学洗浄も行っています。

アクアスの得意技術

技術内容
冷却水処理冷却水処理で、スケール・スライム・腐食の3大障害を防ぐ。スケールやスライムは銅などの金属より熱伝導率が非常に小さいので、わずかな汚れでも熱交換効率が大きく落ちると説明している
MAC 洗浄(特許)洗浄に必要な有効成分「ACファクター」を測り、洗浄剤を過不足なく保って、洗浄の終点を見極める特殊化学洗浄。勘と経験に頼らず洗浄工程をデータで見える化するとしている
用途別の特殊洗浄剤コンデンサー洗浄用・プレート熱交換器専用など「アクアスリフレーン」のシリーズを持つ。ガスエンジン用プレート熱交換器・バイナリー発電設備の凝縮器・スクリューチラーの凝縮器の洗浄前後の写真を公開している

アクアスが解決できる課題

  • 冷却水のスケール・スライム・腐食をまとめて防ぎたい
  • 熱交換器・凝縮器に付いたスケールを、機器を傷めずに落としたい
  • 化学洗浄の終わりを、勘ではなくデータで決めたい

公開されている実績

  • 特殊化学洗浄のページで、温水熱交換器(CASE-1)と冷凍機(CASE-2)の事例を紹介している
アクアスの冷却水処理(付けない)とMAC洗浄(落とす)と対象の機器の図
図17 アクアスの冷却水処理と特殊化学洗浄
出典:アクアス「冷却水処理」・同「特殊化学洗浄」をもとに AI(Claude)で作成

出典:会社概要|アクアス、特殊化学洗浄|アクアス、冷却水処理|アクアス

ダイヤアクアソリューションズ株式会社|冷却水の総合水処理剤と洗浄剤、水質・付着物の分析

ダイヤアクアソリューションズとは

ダイヤアクアソリューションズ(DAS)は、東京都千代田区に本社がある水処理剤の会社です。三菱ガス化学の水処理剤事業から生まれ(1984年に前身の会社を設立、2004年に今の社名)、工業薬品の製造・販売、薬品注入装置の設計・製作、薬品の使い方の技術サービスを行っています。

ダイヤアクアソリューションズの得意技術

技術内容
冷却水の総合水処理剤スケール対策にはブローによる適正な濃縮管理が効果的で、総合水処理剤「コントライム M シリーズ」による冷却水の保守管理が、高濃縮管理による節水効果や冷凍機の安定稼働に役立つと説明している
スケールの原因の説明スケールは、冷却水が濃縮して硬度成分やシリカが過飽和になって析出するもので、補給水の硬度成分やシリカが高い場合や、過剰に濃縮した場合に起きやすいとしている
洗浄剤冷凍機の熱交換部にスライムやスケールが付くと冷却能力が下がり、消費エネルギーが増えるとして、洗浄剤(スライム除去洗浄剤のデスライムなど)をそろえている。水質分析と付着物の分析も自社で行う

ダイヤアクアソリューションズが解決できる課題

  • 冷却水の過剰な濃縮でスケールが付く
  • 冷凍機の熱交換効率が落ち、電気・ガスの使用量が増えている
  • スケールを除くための酸洗浄が、冷凍機の寿命を縮めないか心配
ダイヤアクアソリューションズの、原因を知る・濃縮を管理する・付いたら落とすの流れの図
図18 ダイヤアクアソリューションズの冷却水のスケール対策
出典:ダイヤアクアソリューションズ「スケール対策」・同「抑制剤」・同「洗浄剤」をもとに AI(Claude)で作成

出典:会社案内|ダイヤアクアソリューションズ、分析能力|ダイヤアクアソリューションズ、スケール対策(水処理Q&A)|ダイヤアクアソリューションズ、抑制剤|ダイヤアクアソリューションズ、洗浄剤|ダイヤアクアソリューションズ

フロンティアテクノロジー株式会社|スポンジボールの自動洗浄装置と、電解式のスケール除去装置

フロンティアテクノロジーとは

フロンティアテクノロジーは、福岡県直方市に本社がある会社です(2007年設立)。ボール式の熱交換器自動洗浄装置と、電解式のスケール除去装置を製造・販売しています。

フロンティアテクノロジーの得意技術

技術内容
ボール式熱交換器自動洗浄装置「XAC」直径10〜20mm 前後の専用スポンジボールを、機器の中を流れる冷却水でチューブに通し、運転中に自動で物理洗浄する。シェル&チューブ式の熱交換器が対象で、制御盤1台で最大6台まで連続洗浄できる。メンテナンスは天然ゴムのスポンジボールの交換だけとしている
定期洗浄の手間を減らす従来は毎年ブラシ洗浄(1回30万円程度)をし、5〜10年ごとに薬品洗浄(1回200万円程度)をするのが一般的だったが、XAC を入れるとこれらが不要になるとしている(費用は設備の規模による)
電解式スケール除去装置「WET」冷却水・補給水の経路に置き、タンクの中で水中のスケール成分を電気分解で強制的に析出させて濃度を下げる。すでに付いたスケールの溶出も促すとし、ランニングコストは電気代、メンテナンスは3か月〜1年ごとのタンクの清掃としている

XAC のページは、同社のグラフ(条件の記載なし)をもとに、わずか0.6mm の汚れで20%以上もエネルギー消費量が増えるとしている。上の DOE の表(ボイラー)とは対象・条件が違う。

フロンティアテクノロジーが解決できる課題

  • 冷凍機・凝縮器のチューブに、スケール・スライムが少しずつ付いていく
  • 毎年のブラシ洗浄や数年ごとの薬品洗浄の費用・停止を減らしたい
  • 周りの環境への配慮から、水処理剤を使わずに濃縮運転したい

公開されている実績

  • 水冷式の実験設備で、WET を付けた冷却水系統は電気伝導度が上がらず、付けない系統は上がっていった比較を公開している
  • オイルクーラーを冷やす冷却水系統で、WET の導入前はチューブの一部がふさがるほどの汚れがあり、導入半年後の定期整備で付着の状況が大きく改善した事例(別の熱交換器のため単純比較はできないと同社は注記)。この結果、事業所の全系統に導入された
電解式スケール除去装置の導入前と導入半年後の、熱交換器の伝熱管のチューブの端面の写真。導入前はスケールでチューブの一部がふさがっている
図19 電解式スケール除去装置「WET」の導入前(左)と導入半年後(右)の伝熱管(別の熱交換器のため単純比較はできないと同社は注記)
出典:フロンティアテクノロジー「WET の導入効果・メリット」

出典:会社概要|フロンティアテクノロジー、ボール式熱交換器自動洗浄装置「XAC」のご紹介|フロンティアテクノロジー、XAC の導入効果・メリット|フロンティアテクノロジー、WET の導入効果・メリット|フロンティアテクノロジー

株式会社シービーテック|チラー・熱交換器の薬品循環洗浄と、冷却塔の洗浄

シービーテックは、愛知県豊川市に本社工場がある、機械・設備のクリーニングの会社です(2000年設立)。チラー・熱交換器の薬品循環洗浄、冷却塔の洗浄、オイルクーラーや集塵機フィルターの洗浄などを行っています。

シービーテックの得意技術

技術内容
チラー・熱交換器の薬品循環洗浄補給水と循環水を採って水質分析し、汚れ・スケールを特定してから洗浄薬品を選ぶ。冷却水側だけでなく冷水側も洗浄する
洗浄後の廃液の処理洗浄で出た廃液は pH6〜8 に中和して持ち帰り、適正に処分する(処理費用は別途。客先で処分できれば不要)
冷却塔・ピットの洗浄冷却塔のファン・上部水槽・充填材・下部水槽を洗い、冷却水槽・ピットの高圧洗浄も行う。藻やスケールはレジオネラ菌の温床になりやすいとしている

シービーテックが解決できる課題

  • 熱交換器・配管にスケールが付き、冷却能力が下がって機械が止まる
  • オイルクーラー・真空ポンプ・加熱炉・電気炉などの冷却水路を洗いたい
  • 冷却塔の汚れ・スケールを落とし、冷却能力を保ちたい

公開されている実績

  • 冷却水系の薬品循環洗浄の実績機種として、水冷・空冷チラー(冷水側)、オイルクーラー、真空ポンプ、加熱炉、電気炉、コーティング炉を挙げている
プレート熱交換器のプレート。左は洗浄前で黄色っぽい付着物に覆われ、右は洗浄後で金属の模様が見える
図20 プレート熱交換器の薬品循環洗浄(左:洗浄前、右:洗浄後)
出典:シービーテック「チラー・熱交換器洗浄」

出典:会社概要|シービーテック、チラー・熱交換器洗浄|シービーテック、冷却塔洗浄|シービーテック

選ぶ前に確かめる条件

スケール対策を相談する前に、次のことを整理しておくと話が早く進みます。

  • スケールが付く場所(冷却塔の系統・冷凍機の凝縮器・ボイラー・温調機・オイルクーラーなど)と、熱交換器の形式(シェル&チューブ・プレート)
  • 補給水の種類(水道水・工業用水・井戸水)と水質(硬度・シリカ・電気伝導率・pH)。分からなければ水質分析から
  • 冷却水・ボイラ水の今の管理(濃縮倍数・ブローの方法・使っている薬品・軟水器の再生の記録)
  • 付着物の成分(炭酸カルシウム・シリカ・さびなど)。成分で洗浄の薬品も変わる
  • 機器の材質(銅・鋼・ステンレス・アルミ)と、止められる期間・洗浄の廃液の処理方法
  • 運転記録(凝縮温度と冷却水温度の差、燃料・電力の使用量、異常停止の時期)

この課題に関係する分野・技術・製品のページ

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・設備ではありません。

情報の確認日:2026年10月7日

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