ポンプの吐出し弁を絞ったら、圧力計の針が大きく振れ始めた。送風機の風量を落としたら、ブオーンといううなり音とダクトの揺れが出た。定量ポンプの配管がストロークごとに揺れて、流量計の値が落ち着かない――。こうした圧力と流量の周期的な揺れの多くは、ターボ形の機械の「サージング」か、容積式ポンプの「脈動」が原因です。
2つは原因も対策も違います。この記事では、揺れる機械と条件から原因を切り分ける流れを示し、運転点の見直し、空気だまりと弁の位置、放風・バイパス、アキュムレーター・ダンパー、無脈動ポンプ、配管の共鳴の対策と、確かめ方を、相談できる企業とあわせて紹介します。気泡によるポンプの損傷は「ポンプのキャビテーションを防ぎたい」、弁を急に閉めたときの1回の圧力上昇は「ウォーターハンマー(水撃)を防ぎたい」で扱っています。
サージングと脈動とは:くり返す圧力・流量の揺れ
サージングは、遠心・軸流などのターボ形のポンプ・送風機・圧縮機を小流量で運転したときに、圧力と流量が周期的に大きく変わる現象です。日立製作所の研究は、遠心ポンプを小流量域で運転すると吐出流量と圧力が激しく周期的に変動し、運転できなくなることがある、としています。

出典:日立評論(1968年)・Yamaguchi・Tsujimoto(2016年)・コベルコ科研「プラント配管の振動評価技術」・日揮 技術ジャーナル(2015年)と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
脈動は、往復ポンプ・ダイヤフラムポンプ・往復圧縮機などの容積式の機械で、吸込みと吐出が間欠的なために起きる圧力・流量の変動です。圧縮機やポンプの吸込み・吐出で配管の中に圧力変動が生じ、大きな圧力脈動は流量計などの計器の測定誤差の要因になり、配管の振動を引き起こします(コベルコ科研)。日揮の技術ジャーナルは往復圧縮機の例で、脈動が大きくなると配管やつながる構造物が振動して破損の原因になる、としています。
出典:遠心ポンプの安定特性曲線に関する研究(1968年)|日立評論、プラントの振動問題と日揮の振動対応技術の紹介(2015年)|日揮 技術ジャーナル、プラント配管の振動評価技術(2015年)|コベルコ科研
揺れる機械と条件から原因を切り分ける
まず、どの機械で、どんなときに揺れるかを見ます。ターボ形の機械で流量を絞ったときに起きるのか、容積式ポンプでいつも脈打つのか、特定の回転数でだけ大きくなるのかで、効く対策が違います。

出典:セイコー化工機「サージングとは」・Yamaguchi・Tsujimoto(2016年)・コベルコ科研「プラント配管の振動評価技術」と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
A〜C はターボ形の機械のサージングで、運転点と配管系で手を打ちます。D は容積式ポンプの脈動で、脈動を吸収するか、出さないポンプにします。E は脈動と配管の共鳴で、配管の側で共鳴を外します。どれか分からないときは、圧力の波形を測ると見分けやすくなります。
症状ごとの見分け方と対策
症状(A〜E)ごとに、起きている現象、解決に使える技術、選ぶときの注意、相談できる企業をまとめました。
ポンプの流量を絞ると、圧力と流量が大きく揺れる
遠心ポンプなどで吐出し弁を絞って小流量にしたとき、圧力計の針が大きく振れ、配管が揺れる。ポンプの音も周期的に変わる。
- 起きている現象
- サージングです。流量が増えると揚程も増える「右上がり」の範囲で運転すると、ポンプと配管系が自励振動を起こします。日立製作所の研究は、サージングが起きるときの揚程曲線は必ず右上がりの部分をもつ、としています。
- 解決に使える技術
- 運転点を右下がりの範囲へバイパス・機種の選び直し
- 空気だまりと弁の位置を見直す3つの条件をくずす
- 圧力の波形で確かめる周期と回転数
ポンプの実験では、右上がりの範囲での運転・流路の途中の空気だまり・その下流で絞る弁、の3つがそろうと起きたと報告されています(Yamaguchi・Tsujimoto の総説)。どれか1つを変えられないかを先に考えます。
送風機・ブロワを小風量で使うと、うなり音とダクトの振動が出る
排気・換気・送風の風量を減らしたとき、ブオーンという周期的な音、ダクトの揺れ、風量の不安定が出る。
- 起きている現象
- 送風機のサージングです。吐出し側のダンパを絞って、特性曲線の右上がりの風量まで減らすと、管路系に空気の脈動と振動・騒音が出て、不安定な運転になります(セイコー化工機)。ダクトの抵抗が大きすぎる施工も原因に挙げられています(日本産業機械工業会の資料)。
- 解決に使える技術
- 放風・バイパス・吸込側の絞りサージング点の外で運転
- サージング防止装置ブロワの周辺機器
- 運転点を右下がりの範囲へ選定で確かめる
サージングの範囲で運転を続けると、羽根車などを壊すおそれがあります(セイコー化工機)。うなりが出たら、まず運転点がどこにあるかを確かめます。
ターボ圧縮機・ブロワが小流量で激しく振動する
プロセスで使う空気・ガスの量が減ったとき、ターボ圧縮機や大型ブロワから大きな異音と振動が出る、逆流のような音がする。
- 起きている現象
- 圧縮機のサージです。気体の圧縮性がポンプの系のタンクとほぼ同じ役をして、送風機・圧縮機の系でもサージングが起きます(Yamaguchi・Tsujimoto の総説)。大きな圧力変動・流速変動をともない、翼振動や軸振動を増やし、ひどいときは翼の破損事故に至ることがあるとされています(日立製作所の特許)。
- 解決に使える技術
- サージ防止制御(放風弁)限界から余裕をとる
- サージング防止装置ブロワ用
- 配管系の解析・計測原因の切り分け
放風弁は、運転点が安定域から不安定域に近づいた所で開くよう、限界から余裕をとった線で制御します。設定はメーカーの指示に従います。
往復ポンプ・ダイヤフラムポンプの吐出が脈打つ
定量ポンプ・プランジャーポンプ・エア駆動のダイヤフラムポンプで、吐出の配管がストロークごとに揺れる。流量計の値が振れる、フィルターや計器が傷む。
- 起きている現象
- 容積式ポンプの脈動です。往復ポンプは吸込みと吐出を間欠的にくり返すため、流量と圧力がストロークごとに変わります。理想的な単動の一連ポンプでは、吐出の流量の最大は平均の約3.14倍、最小は0です(編集部の計算)。
- 解決に使える技術
- アキュムレーター・ダンパーポンプの近くに
- 連数を増やす・無脈動ポンプ多連・カム・回転式
- 配管の共鳴を外すオリフィスなど
ダンパーはポンプの近くに置くのが基本です。配管の末端に付けても効果はなく、吐出側に配管抵抗がないと脈動の圧力幅は減らない、とするメーカーの取扱説明書もあります(ヤマダコーポレーション)。
特定の回転数・負荷のときだけ、配管が大きく揺れる
往復圧縮機・往復ポンプの回転数や負荷を変えたとき、ある条件でだけ配管の振動と脈動が急に大きくなる。バイパス弁を切り替えたあとに揺れ始めた。
- 起きている現象
- 脈動が配管の気柱共鳴と重なっています。圧縮機・ポンプの吸込み・吐出による圧力変動の周波数が、配管の中の気体(液体)の共鳴周波数と一致すると、大きな圧力脈動になります(コベルコ科研)。弁を切り替えると気体の入っている長さが変わり、共鳴の周波数が変わることもあります(同)。
- 解決に使える技術
- オリフィス・サージドラムなど脈動解析で決める
- 配管のサポートを補強する構造の共振
- 圧力脈動と振動を同時に測るAPI 618・674
オリフィスは、流量変動の大きい(圧力変動の小さい)位置に入れないと効果がないとされます(コベルコ科研)。場所は圧力脈動の解析で確かめます。
なぜサージング・脈動が起きるのか
サージング:右上がりの特性と、配管系の「ばね」
ターボ形の機械は、流量を絞っていくと、揚程(圧力)が山の頂点をこえて下がり始める「右上がり」の範囲をもつことがあります。日立製作所の研究は、揚程曲線が右上がりの部分をもたなければ、配管のいかんにかかわらず、この種の振動は起きないことが経験されている、としています。

出典:日立評論(1968年)・Yamaguchi・Tsujimoto(2016年)と編集部の解説をもとに AI(Claude)で作成
サージングの本質が「流れの系の自励振動」であることは、1947年に東京大学の藤井澄二が解析で示しました(Yamaguchi・Tsujimoto の総説、2016年)。その後のポンプの実験では、右上がりの範囲での運転、流路の途中の空気だまり(空気槽)、その空気だまりより下流の弁での絞り、の3つがそろうとサージングが起きることが確かめられています(同)。

出典:Yamaguchi・Tsujimoto(2016年)と編集部の解説をもとに AI(Claude)で作成
空気だまりや気体の圧縮性が「ばね」、配管の中の流体が「おもり」になって振動する、と考えると分かりやすくなります(編集部の解説)。送風機・圧縮機の系でも、気体の圧縮性がポンプの系のタンクとほぼ同じ役をして、サージングが起きます(同総説)。サージングの周期はポンプの回転数にほぼよらないこと、送風機ではダクトの容積に影響されることも報告されています(同)。
脈動:容積式ポンプは、流れを少しずつ押し出す
往復ポンプは、ピストンやダイヤフラムが押す間だけ吐出し、戻る間は吸い込みます。クランクで駆動する理想的な単動ポンプで計算すると、一連(シリンダー1つ)では吐出の流量の最大は平均の約3.14倍、最小は0、二連では最大が約1.57倍、三連では平均の0.91〜1.05倍の範囲に収まります(編集部の計算。連接棒の長さ・弁の遅れ・液の圧縮は無視)。

出典:編集部の計算(単動・クランク駆動の理想)をもとに AI(Claude)で作成

出典:IWAKI PUMPS(YouTube)
日立製作所の解説(1964年)は、往復圧縮機の配管の振動や騒音のトラブルが増えた主な原因として、圧縮機の回転数が約2倍に高速化されたことで配管内の圧力脈動が大きくなったことと、脈動の周波数が高くなって配管の固有振動と共振しやすくなったことを挙げています。
出典:遠心ポンプの安定特性曲線に関する研究(1968年)|日立評論、Genesis of Researches on Surges in Pumping Systems in Japan(Yamaguchi・Tsujimoto、2016年)|International Journal of Fluid Machinery and Systems、圧縮機の脈動による配管の振動(1964年)|日立評論
対策の詳しい内容
運転点を、右下がりの範囲に移す
サージングを根本から避けるには、ふだん使う運転点が、性能曲線の山の頂点より右(大流量側)にあるようにします。セイコー化工機は、送風機を選ぶときに、想定する運転点がサージング点より右側にあることを確かめるのが重要だとしています。使う流量が小さすぎるなら、小流量に合った機種を選び直すことも考えます(編集部の解説)。
日立製作所の研究は、羽根車の設計因子と揚程曲線の形の関係を調べ、右下がりの安定な特性曲線を得ることがサージングによる振動を防ぐための基本的な課題だとしています。既にあるポンプでは、必要な流量より多く流して余りを戻すバイパスで、運転点を右に保つ方法もあります(編集部の解説)。圧力損失と運転点の考え方は 技術の基礎知識「圧力損失」、ポンプの省エネの運転は「工場の電力を減らしたい」で解説しています。
空気だまりと、絞る弁の位置を見直す
ポンプの系では、上の3つの条件のどれかをくずせば、サージングは起きにくくなります。吐出し配管や途中のタンクに空気がたまる所をなくす、流量を絞る弁をポンプの近く(空気だまりより上流)に置く、といった見直しです(編集部の解説。3条件は Yamaguchi・Tsujimoto の総説)。
同じ総説は、送風機の系で、ダクトの適切な位置に2つの弁を置いて調整する方法でサージングを防げることを、実験と理論で確かめた研究も紹介しています。並列運転のポンプでは、それぞれのポンプのすぐ下流に弁がある場合は不安定にならなかった、という研究もあります(同)。
放風・バイパスと吸込側の絞り(送風機・圧縮機)
送風機・圧縮機では、運転点がサージングの限界に近づいたら、放風弁やバイパス弁を開いて流量を確保するのが代表的な方法です。日立製作所の特許の説明では、作動点が安定域から不安定域に入ると放風弁を開き、安定作動域に留まるよう制御します。高炉用の軸流送風機では、主放風弁と副放風弁を備えたサージング防止装置の例があります(日立評論、1961年)。

出典:日立製作所の特許(第2619360号)・日立評論(1961年)・セイコー化工機「サージングとは」・川崎重工業(JASE-W F-91)と編集部の解説をもとに AI(Claude)で作成
セイコー化工機は送風機の対策として、吸込側のダンパやバルブを絞ってサージング点を左に移す方法と、吐出し側の大気放出ライン・吸込側へのバイパスでサージング点の右側で運転する方法を挙げています。武藤電機は、ブロワを常にサージング領域の外で運転させるサージング防止装置を用意しています。なお、サージングの対策としての説明ではありませんが、回転数制御と入口の案内羽根の制御を組み合わせて広い風量制御範囲をもたせた曝気用ブロワの例もあります(川崎重工業)。
アキュムレーター・ダンパーで脈動を吸収する
容積式ポンプの脈動には、ガス(空気)の「ばね」で流量の山を一時的にためて谷に出す、アキュムレーター(脈動減衰器・パルセーションダンパー・エアチャンバー)を使います。NACOL は、ポンプなどの脈動の発生源の近くにアキュムレータを置くと回路内の脈動を減衰でき、振動や騒音も下がるとしています。

出典:NACOL「アキュムレータの用途」・日本アキュムレータ「アキュームレータ 容積計算」・ヤマダコーポレーション「パルセーションダンパー 取扱説明書」・タクミナ「スムーズフローポンプ」をもとに AI(Claude)で作成
日本アキュムレータ(現 NACOL)の容積計算の資料では、脈動用のガスの封入圧力の目安は常用回路圧力の50〜80%(絶対圧)です。容量の式に入るポンプの係数は、単動の一連 0.60・二連 0.25・三連 0.13 で、連数が多いほど小さくてすみます(油圧の回路の資料)。エア駆動のダイアフラムポンプ用のダンパーでは、供給エア圧力をポンプの吐出圧力の1.1倍を目安にし、脈動を見て調整します(ヤマダコーポレーション)。
どの形でも、中の気体の量と圧力が保たれていることが効きの前提です。タクミナは、エアチャンバーは応答性が悪くなり、エア補給に手間やコストがかかる、としています。封入圧と気体の量を点検する手順を決めておきます(編集部の解説)。
連数を増やす・脈動の出ないポンプにする
脈動は、ポンプの側で小さくすることもできます。シリンダーの数(連数)を増やして位相をずらすと、合計の流れは平らに近づきます(上の図)。タクミナのスムーズフローポンプは、高精密等速度カムで複数のダイヤフラムの動きを制御し、脈動のない連続一定流をつくります。兵神装備のモーノポンプ(一軸偏心ねじポンプ)は、ローターを回すとステーターとのすき間(キャビティー)が吸込み口から吐出口へ進み、キャビティーの断面積がどの断面でも常に一定なので、連続・定量的に送れる、と同社は説明しています。

出典:兵神装備株式会社 / HEISHIN Ltd.(YouTube)
脈動がなくなれば、エアチャンバーが要らず、流量計を使った制御ができる、とタクミナは説明しています。一方、回転する部分と回転しない部分がこすれ合うポンプは、摩耗や液漏れに注意が要る、とタクミナは比べています。液の性質・粘度・固形物・圧力で、ポンプの形式を選びます(編集部の解説)。
配管の共鳴を外す:オリフィス・サージドラム・配管長
脈動が配管の気柱共鳴と重なると大きくなります。気柱共鳴の周波数は、気体の音速・配管の長さ・両端の条件(大きなタンクなどの「開」、弁や閉止フランジの「閉」)で決まり、往復圧縮機の脈動の周波数は回転数 N に対して N × Z / 60(Z=1, 2, 3 …)です(コベルコ科研)。

出典:コベルコ科研「プラント配管の振動評価技術」と編集部の計算をもとに AI(Claude)で作成
コベルコ科研の技術資料は、圧力脈動の対策として、オリフィスの挿入、サイドブランチ、サージドラム、配管経路の変更を挙げ、工事がしやすく低コストのオリフィスがよく採用されるとしています。ただし、オリフィスは適切な位置に入れないと効果がなく、位置を求めるには圧力脈動の解析が有効です。

出典:コベルコ科研「プラント配管の振動評価技術」をもとに AI(Claude)で作成
脈動を下げたあとも配管の揺れが大きければ、サポートの追加・補強で固有振動数を上げます(同)。日揮は、自社の脈動解析プログラム(API 618 対応)で設計段階に19件の脈動解析をし、いずれも運転中に振動問題がなかったと報告しています。構造の共振の考え方は 技術の基礎知識「共振」「減衰比」、解析は技術ページ「CAE」で解説しています。
出典:サージングとは|セイコー化工機、周辺機器と特殊仕様|武藤電機、ターボ圧縮機のサージング防止装置(特許第2619360号)|Google Patents、高炉用軸流送風機設備(1961年)|日立評論、曝気用単段ターボブロワ(JASE-W 国際展開技術集 F-91)|川崎重工業、アキュムレータの用途|NACOL、アキュームレータ 容積計算(日本アキュムレータ)|不二越 掲載、パルセーションダンパー 取扱説明書(PDF)|ヤマダコーポレーション、スムーズフローポンプ|タクミナ、モーノポンプとは|兵神装備、なぜ困難を解決できるのか|兵神装備、プラント配管の振動評価技術(2015年)|コベルコ科研、プラントの振動問題と日揮の振動対応技術の紹介(2015年)|日揮 技術ジャーナル、Genesis of Researches on Surges in Pumping Systems in Japan(2016年)|IJFMS、遠心ポンプの安定特性曲線に関する研究(1968年)|日立評論
確かめ方
圧力の波形を測り、周期と回転数の関係を見る
揺れの正体を見分けるには、圧力センサーで圧力の波形をとり、周期(周波数)が回転数とどう関係するかを見ます。周波数が回転数×連数(気筒数)に比例するなら容積式の脈動、回転数によらない長めの周期で、小流量のときだけ起きるならサージングを疑います(編集部の整理)。

出典:コベルコ科研「プラント配管の振動評価技術」・Yamaguchi・Tsujimoto(2016年)と編集部の整理をもとに AI(Claude)で作成
コベルコ科研は、圧力脈動による配管振動が起きたときは、まず現地で計測して状況をつかむことが最も重要で、配管の振動だけでなく配管の中の圧力脈動も測るとしています。プラントの往復圧縮機・往復ポンプでは、圧力脈動を API 618・API 674 の許容値と比べ、配管振動は SwRI の配管振動評価線図などで判断します(同)。送風機では、ダクトの抵抗が大きすぎないかも確かめます(日本産業機械工業会の資料)。
機械の異音の原因の調べ方は「機械の異音の原因を突き止めたい」、装置の騒音の下げ方は「装置の騒音を遮音・吸音で下げたい」も参考になります。
出典:プラント配管の振動評価技術(2015年)|コベルコ科研、汎用送風機の資料(p.20)|日本産業機械工業会、Genesis of Researches on Surges in Pumping Systems in Japan(2016年)|IJFMS
サージング・脈動の対策を相談できる企業
各企業が解決できる課題と技術の内容を、企業が公開している情報をもとに紹介します。送風機・ブロワのサージングの対策、脈動を吸収する機器と脈動の出ないポンプ、配管の脈動・振動の解析を挙げました。
セイコー化工機株式会社|送風機のサージングの防ぎ方と耐食送風機
セイコー化工機とは
セイコー化工機は、兵庫県明石市に本社を置く、耐蝕ポンプ・耐蝕送風機・湿式スクラバーの会社です(1952年創業、1956年法人設立)。技術資料のページで、送風機のサージングとその防ぎ方を説明しています。
セイコー化工機の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| サージングの説明 | 送風機の吐出し側のダンパを絞って、特性曲線の右上がりの風量まで減らすと、管路系に空気の脈動と振動・騒音が出て不安定な運転になる、と説明している |
| 防ぎ方 | 対策1:吸込側を絞ってサージング点を左に移す。対策2:大気放出ライン・吸込側へのバイパスで、サージング点より右側で運転する |
| 選定 | 想定する運転点がサージング点より右側にあることを確かめて選ぶとし、標準品で合わない仕様は特別設計品で対応するとしている |
同社は、サージング領域で運転すると羽根車などが破損するおそれがあり、避けなければならないとしています。
セイコー化工機が解決できる課題
- 排気・換気の送風機を小風量で使うと、うなり音とダクトの振動が出る
- 腐食性のガスを扱う送風機で、サージングしない選定をしたい

出典:セイコー化工機「サージングとは」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|セイコー化工機、サージングとは|セイコー化工機
株式会社武藤電機|ブロワのサージング防止装置
武藤電機とは
武藤電機は、神奈川県横浜市緑区に本社を置く、送風機・集塵機の会社です(1958年設立)。ブロワの周辺機器として、サージング防止装置を用意しています。
武藤電機の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| サージング防止装置 | ブロワを小風量で運転すると、取り扱う気体が脈動するサージング現象が起こることがあり、そのまま連続運転するとブロワが破損するおそれがある。ブロワを常にサージング領域の外で運転させるための装置 |
| ブロワの周辺機器 | 風量調整のバタフライダンパ、並列運転のチェックバルブ(逆流防止弁)、サイレンサ、防振機器、伸縮継手なども用意している |
武藤電機が解決できる課題
- ブロワを小風量で使う工程があり、サージングで壊さないようにしたい
- ブロワの風量調整・並列運転・騒音対策を周辺機器ごと相談したい

出典:周辺機器と特殊仕様|武藤電機
株式会社ヤマダコーポレーション|ダイアフラムポンプのパルセーションダンパー
ヤマダコーポレーションとは
ヤマダコーポレーションは、東京都大田区に本社を置く、ポンプ・潤滑機器などの会社です(1939年創立)。エア駆動式ダイアフラムポンプ(NDP シリーズ)専用の脈動減衰器を用意しています。
ヤマダコーポレーションの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| パルセーションダンパー(AD シリーズ) | AD-10・AD-25・AD-40・AD-50 など。ダイアフラムポンプの吐出側に付け、ポンプの作動で生じる脈動を減らす。フィルターの保護、定量装置・流量計送りの用途にも使える、としている |
| 設定と置き方 | 供給エア圧力はポンプ吐出圧力の 1.1 倍を目安に、脈動を見ながら ±0.05 MPa で調整。配管末端のユースポイントに付けても効果はなく、吐出側の弁をある程度絞るか配管抵抗がないと脈動の圧力幅は減らない(取扱説明書) |
ヤマダコーポレーションが解決できる課題
- エア駆動のダイアフラムポンプの脈動で、配管が揺れる・フィルターを傷める
- 流量計で計りながら送りたいが、脈動で値が安定しない

出典:ヤマダコーポレーション「AD シリーズ」・ヤマダコーポレーション「パルセーションダンパー 取扱説明書」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|ヤマダコーポレーション、NDP:AD シリーズ(パルセーション ダンパー)|ヤマダコーポレーション、パルセーションダンパー 取扱説明書(PDF)|ヤマダコーポレーション
NACOL株式会社|脈動を吸収するブラダ形アキュムレータ
NACOLとは
NACOL(ナコル)は、静岡県静岡市清水区に本社を置くアキュムレータの専業メーカーです(1955年設立。2024年4月に日本アキュムレータ株式会社から社名を変更)。
NACOLの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 脈動吸収 | ポンプなどの脈動の発生源の近くにアキュムレータを置くと、回路内の脈動を減衰させられる。脈動が減ると振動や騒音も下がり、機器の損傷も防げる、としている |
| しくみ | 発生した振動を、ブラダ(袋状のゴム)の収縮で吸収する。弁の急な開閉で生じる衝撃圧力の緩衝にも使う |
| 容量の決め方 | カタログと容積計算のプログラムを公開している |
NACOLが解決できる課題
- 油圧ポンプ・プランジャーポンプの吐出の脈動を下げたい
- 脈動用のアキュムレータの容量とガスの封入圧力を決めたい

出典:アキュムレータの用途|NACOL
出典:会社概要|NACOL、アキュムレータの用途|NACOL
株式会社タクミナ|無脈動のスムーズフローポンプ
タクミナとは
タクミナは、大阪市中央区に本社を置く、精密ポンプ・流体制御機器の会社です(1956年創業)。ダイヤフラムポンプの脈動をなくしたスムーズフローポンプを作っています。
タクミナの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| スムーズフローポンプ | 高精密等速度カムで複数のダイヤフラムの動きを制御し、無脈動・定量・高精度の送液をする。往復動式でありながら脈動のない連続一定流をつくる、としている |
| エアチャンバーとの比較 | 従来のダイヤフラムポンプはエアチャンバーなどの脈動減衰器で脈動を抑えるが、応答性が悪くなり、エア補給に手間やコストがかかる。同社のポンプはエアチャンバーが不要 |
| 配管と制御 | 脈動がないので流量計を使った制御ができ、配管振動や圧力損失を抑えて小口径の配管にできる、としている |
タクミナが解決できる課題
- 薬液・塗工液を、脈動なしで定量に送りたい
- エアチャンバーの空気の補給や管理をなくしたい
- 流量計で流量比例・濃度比例の制御をしたい

出典:タクミナ「スムーズフローポンプ」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|タクミナ、本社|タクミナ、スムーズフローポンプ|タクミナ
兵神装備株式会社|脈動なく定量で送るモーノポンプ
兵神装備とは
兵神装備は、神戸市兵庫区に本社を置く、産業用ポンプ(モーノポンプ・モーノディスペンサー)の会社です(1968年設立)。
兵神装備の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| モーノポンプ | 一軸偏心ねじポンプ。同社は特長として「脈動なく、定量移送できます」を挙げ、移送する液体や固形物を傷めない、ポンプでの移送が難しい液体や粉体に対応する、制御が簡単、省エネ・静音、としている |
| しくみ | ローター(1条の雄ねじ)とステーター(2条の雌ねじ)のすき間にできるキャビティーが、ローターの回転で吐出方向へ進む。キャビティーの断面積はどの断面でも常に一定で、連続・定量的に移送できる |
| 扱える液の例 | 低粘度の液(アルコール・調味液など)から、高粘度の液、固形物を含む液まで |
兵神装備が解決できる課題
- 高粘度の液・固形物を含む液を、脈動なく定量で送りたい
- 往復ポンプの脈動対策(ダンパー)をなくせる送り方を検討したい

出典:兵神装備「モーノポンプとは」・兵神装備「なぜ困難を解決できるのか」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|兵神装備、モーノポンプとは|兵神装備、なぜ困難を解決できるのか|兵神装備
株式会社コベルコ科研|圧力脈動・配管振動の解析と現地計測
コベルコ科研とは
コベルコ科研は、神戸市中央区に本社を置く、神戸製鋼グループの試験・分析・解析の会社です(1979年設立)。振動・音響の受託で、プラントの圧力脈動・配管振動の低減を扱っています。
コベルコ科研の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 圧力脈動・配管振動の解析 | 配管内の流体の圧力脈動を数値解析で求め、その値を加振力にして配管の振動振幅を求める。圧力脈動の実測値と計算値の比較、振動解析ソフト FRAVIA による配管振動モードの例を公開している |
| 設計段階から現地まで | 設計段階の振動予測、操業時の振動トラブルの調査と原因究明、振動低減対策の提案まで対応する、としている(技術資料「プラント配管の振動評価技術」) |
| 評価の考え方 | 圧力脈動は API 618(往復圧縮機)・API 674(往復ポンプ)の許容値、配管振動は SwRI の配管振動評価線図などで判断する。対策としてオリフィス・サイドブランチ・サージドラム・配管経路の変更を挙げている |
コベルコ科研が解決できる課題
- 往復圧縮機・往復ポンプの配管で、脈動と共鳴しないか設計段階で確かめたい
- 運転中に配管が大きく揺れる。共鳴か共振か、原因を調べてほしい
- オリフィスをどこに入れれば脈動が下がるか知りたい

出典:コベルコ科研「振動・音響分野事例」・コベルコ科研「プラント配管の振動評価技術」をもとに AI(Claude)で作成
出典:会社概要|コベルコ科研、振動・音響分野事例|コベルコ科研、プラント配管の振動評価技術(こべるにくす No.44、2015年)|コベルコ科研
選ぶ前に確かめる条件
サージング・脈動の対策を相談する前に、次のことを整理しておくと話が早く進みます。
- 機械:ターボ形(遠心・軸流)か容積式(往復・ダイヤフラム・回転式)か、連数・回転数・ストローク数
- 運転点:ふだんと最小の流量・圧力、性能曲線のどこで使っているか、並列・直列運転の有無
- 配管系:空気だまり・タンク・アキュムレーターの位置、流量を絞る弁の位置、配管の長さと両端の条件
- 揺れ方:圧力の波形と周期、回転数・負荷を変えたときの変わり方、揺れる場所
- 流体:液体か気体か、粘度・固形物・腐食性・温度、ダンパーの接液部に使える材料
- 許容:必要な流量の安定度(流量計・定量)、配管振動・騒音の目標、守る規格(API 618・674 など)
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※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・設備ではありません。
情報の確認日:2026年10月22日
