ワイヤレス給電は、ケーブルや接点を使わずに、磁界・電界・電波で電力を送る技術です。スマホの充電台から、工場の AGV、EV、センサー、体内に埋め込む医療機器まで、使う場所が広がっています。方式は大きく電磁誘導・磁界共鳴・電界結合・電波(空間伝送)の4つで、送れる距離・電力・位置ずれへの強さが違います。
このページでは、製品にワイヤレス給電を組み込む設計者に向けて、方式のしくみ、効率と距離・位置ずれの関係(計算例つき)、用途ごとの選び方、Qi などの規格、日本の電波法の手続きと人体・EMC、発熱と異物検知、研究、トラブル、事例、相談できる会社までを1ページにまとめました。ノイズの対策そのものは技術ページ「EMC対策」に、配線そのものをなくす課題は「配線をなくしたい」にあります。
知りたいことから読む
- 電磁誘導・磁界共鳴・電界結合・電波の違い → しくみと方式
- 離すと効率が落ちる理由(k×Q) → 効率と距離・位置ずれ
- カタログの効率と全体の効率の違い → 効率と距離・位置ずれ
- スマホ・AGV・EV・センサーの方式の選び方 → 方式と部品の選び方
- Qi・SAE J2954・CISPR 11 の規格 → 規格と電波法
- 設置に要る手続き(型式指定・許可・免許) → 規格と電波法
- 金属が熱くなる理由と異物検知 → 発熱・異物とトラブル
- EV・AGV・センサーの事例 → 事例
症状から探す
| 症状 | 考えられる原因 | 対策を書いた所 |
|---|---|---|
| 少し離す・ずらすと、急に充電が遅くなる | 結合(k)が下がった | 位置ずれと距離への対策 |
| カタログの効率が出ない | コイルの間の効率と全体の効率の取り違え・回路の損失 | 全体の効率と損失の内訳 |
| 送電台や周りの金属が熱くなる | 渦電流・異物・磁性シートの不足 | 金属の異物が熱くなる理由と、異物検知(FOD) |
| ほかの機器がノイズで誤動作する | 高調波・放射の対策不足 | EMC:ほかの機器へのノイズ |
| 設置の前に何の手続きが要るかわからない | 高周波利用設備・型式指定・無線局 | 高周波利用設備と型式指定 |
| AGV の充電で、止める位置がばらつく | 位置ずれに弱い方式・許容範囲 | 用途から候補をしぼる |
このページの出典をもとに編集部が整理したものです。リンクを押すと、対策を書いた所へ移ります。
ワイヤレス給電のしくみと方式(電磁誘導・磁界共鳴・電界結合・電波)
しくみ:交流にして、空間を越えて受け取る
ワイヤレス給電では、電源の電気をインバーターで高い周波数の交流にし、送電側のコイル・電極・アンテナから空間を越えて受電側に渡し、整流して直流に戻します。送る側にも受ける側にも回路が要ります。方式は、コイルの磁界でつなぐもの・電極の電界でつなぐもの・電波で送るもの(空間伝送型)に分けられます。総務省の情報通信白書は、空間伝送型を、電波の送受信により数メートル程度の距離を有線で接続せずに電力伝送するものとしています。
全体の効率は、インバーター・送受の間・整流のそれぞれの効率のかけ算です。「コイルの間の効率」だけを見て全体の効率と取り違えないことが、設計の最初の注意です(全体の効率と損失の内訳)。
出典:令和4年版 情報通信白書(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム)|総務省
有線と比べた良い所・注意する所
| 内容 | |
|---|---|
| 良い所 | 接点がないので、摩耗・接触不良・火花がない。端子の穴がないので防水・防じんにしやすい。動く物・回る物・閉じた所に送れる。人が差し込む手間がない(AGV・EV の自動充電) |
| 注意する所 | 効率は距離と位置ずれで下がる。損失は熱になる。周りの金属が加熱されることがある。高い周波数の電流を使うので、電波法の手続きとノイズ(EMC)・人体への配慮が要る |
このページの出典をもとに編集部が整理したものです。配線の断線・接点の傷みの課題は「配線をなくしたい」「コネクターの接触不良を防ぎたい」にあります。
方式の種類:近くの電磁界でつなぐ3つと、電波
方式は、近くの磁界・電界でつなぐもの(電磁誘導・磁界共鳴・電界結合)と、電波を空間へ放射して送るもの(空間伝送)に分かれます。
電磁誘導方式
送電コイルに交流を流すと磁界ができ、近くに置いた受電コイルに電流が起きます(変圧器の1次・2次のコイルを離したものと考えると分かりやすい)。コイルが近く、軸がそろっているほどよく伝わり、離れる・ずれると急に効率が下がります。スマホの Qi がこの方式です。WPC は、Qi2 では磁石で端末と充電器の位置をそろえ、効率と充電の速さを上げたとしています。

出典:WPC・EE Times Japan の解説をもとに AI(Claude)で作成
出典:Qi Wireless Charging|Wireless Power Consortium、ワイヤレス給電の次なる課題、「電源ケーブルが消える日」はくるか:ワイヤレス給電技術 共鳴方式(2010年5月)|EE Times Japan
磁界共鳴方式(磁界共振結合)
コイルとコンデンサで共振器をつくり、送る側と受ける側の共振の周波数をそろえることで、コイルが少し離れていても電力を送る方式です。EE Times Japan の解説は、伝送距離を伸ばして結合係数 k が低くなっても、Q を高くして高い伝送効率を保とうとするのが共鳴型の基本的な考え方だとしています。IHI は、伝送距離や位置ずれに対する性能から、自動車向けには磁界共鳴方式が適しているとしています。

出典:EE Times Japan の解説・UL Japan・IHI のページをもとに AI(Claude)で作成
出典:ワイヤレス給電の次なる課題、「電源ケーブルが消える日」はくるか:ワイヤレス給電技術 共鳴方式(2010年5月)|EE Times Japan、EV ワイヤレス給電システム|IHI
電界結合方式
送電電極と受電電極を向かい合わせ、2枚の電極をコンデンサに見立てて電界で電力を送る方式です。パワーウェーブは、電極の重なりの面積で送るので長い送電電極を床に敷けば位置ずれに強く、走行中の給電もしやすい、電流が小さく電圧を高くする特性のためジュール熱が少なく、電流による磁界が小さいので渦電流による加熱も抑えられる、と説明しています。一方で、MHz 程度の高い周波数を使うとしています。

出典:パワーウェーブのページ・総務省をもとに AI(Claude)で作成
総務省は2024年11月の答申と12月の電波法令の改正で、6.7MHz 帯の電界結合方式による搬送ロボット用ワイヤレス電力伝送システムの制度を整えました。このシステムについて、稼働中の AGV やロボットを止めずに走行中に給電できるとしています(高周波利用設備と型式指定)。
出典:技術|パワーウェーブ、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申 -搬送ロボット用ワイヤレス電力伝送システムの導入等のための制度整備-(2024年11月27日)|総務省、全国初!電界結合方式による搬送ロボット用非接触電力伝送装置に係る高周波利用設備を型式指定(2026年7月31日)|総務省 東海総合通信局
電波(空間伝送型)
アンテナから電波を出し、離れた所の受電アンテナ(レクテナ)で直流に戻す方式です。総務省は、空間伝送型は電波により5〜10メートルの距離を無線で電力伝送し、工場や倉庫のセンサー機器などへの給電での利用が期待されるとしています。920MHz 帯のシステムは、数十mW 程度の小電力の給電用です。日本では2022年5月に、屋内での利用について 920MHz 帯・2.4GHz 帯・5.7GHz 帯の構内無線局として制度が整いました。

出典:総務省の報道資料・情報通信白書をもとに AI(Claude)で作成
出典:920MHz帯空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの屋外利用等に係る技術的条件 -情報通信審議会からの一部答申-(2025年10月20日)|総務省、令和4年版 情報通信白書(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム)|総務省
方式の比べ方(距離・電力・位置ずれ・用途)
| 方式 | 距離の目安 | 電力の例(出典) | 位置ずれ | 向く用途 |
|---|---|---|---|---|
| 電磁誘導 | 近い(コイルが向き合う) | Qi:BPP 5W・EPP 15W・Qi2 25W(WPC・Wikipedia)/AGV 用 1kW・2kW(ヘッズ) | 弱い(Qi2 は磁石で合わせる) | スマホ・小物・AGV |
| 磁界共鳴 | 少し離れる | EV 用 7.7kW 以下(日本の型式指定。UL Japan)/3.3kW の実証(IHI) | 誘導よりは強いとされる | EV・機器 |
| 電界結合 | 電極が向き合う間 | 50W〜10kW のユニット(パワーウェーブ) | 強い(重なっていれば可) | AGV・ロボットの走行中給電 |
| 電波(空間伝送) | 5〜10m(総務省) | 920MHz 帯は数十mW 程度(総務省) | 向き・遮る物で変わる | センサー・IoT 機器 |
数値は製品や条件ごとに違います。方式どうしの比較は目安にとどめ、製品のデータで確かめてください。
出典:Qi Wireless Charging|Wireless Power Consortium、Qi (standard)|Wikipedia(英語)、AGV用ワイヤレス給電システム AERO FACE|ヘッズ、[EMC/無線 最新情報]<日本>SAR試験方法、非接触電力伝送装置(2016年4月5日)|UL Japan、電気自動車向け非接触給電システム 3.3kWの充電電力における戸建住宅での実証実験を実施(2016年3月)|IHI、提供サービス|パワーウェーブ、920MHz帯空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの屋外利用等に係る技術的条件 -情報通信審議会からの一部答申-(2025年10月20日)|総務省
効率と距離・位置ずれ(計算例つき)
コイルの間の効率は k×Q で決まる
磁界でつなぐ方式の性能は、結合係数 k(2つのコイルの磁束がどれだけ重なるか。0〜1)と、Q値(共振器の損失の少なさ)の積で決まります。EE Times Japan の解説は、k×Q が大きいほど伝送効率を高められるとし、龍谷大学の粟井郁雄教授の説明としてk×Q>10 が良好な伝送特性の目安で、そのときコイルの間の効率は 82%以上になるとしています。Q はコイルを設計した段階で決まり、k は距離(伝送距離)や使い方で変わります。

出典:EE Times Japan の解説・Wikipedia(Resonant inductive coupling)の式・編集部の計算をもとに AI(Claude)で作成
最大効率は、x=k√(Q1Q2) として η=x²/(1+√(1+x²))² で表されます(Wikipedia の Resonant inductive coupling の項。出典は WiTricity の資料)。x=10 なら η≒0.82 で、上の「82%以上」と合います(編集部の計算)。
同じ解説は、Q には導体の損失(Qc)・誘電体の損失(Qe)・磁性体の損失(Qμ)・外部への放射(Qr)に関係するものがあり、大電力では Qr を大きくすることがとくに大切だとしています。
出典:ワイヤレス給電の次なる課題、「電源ケーブルが消える日」はくるか:ワイヤレス給電技術 共鳴方式(2010年5月)|EE Times Japan、Resonant inductive coupling|Wikipedia(英語)
計算例:距離とずれで k が下がると
Q=100 のコイルどうしで考えます(値は説明のための仮のもの)。近くで軸が合っていて k=0.1 なら kQ=10 で最大効率は約82%。少し離れて k=0.05 なら kQ=5 で約67%、離れたりずれたりして k=0.02 になると kQ=2 で約38%まで下がります。
| 距離・ずれ | k | kQ(Q=100) | コイルの間の最大効率 |
|---|---|---|---|
| 近くで軸が合っている | 0.1 | 10 | 約82% |
| 少し離れた | 0.05 | 5 | 約67% |
| 離れた・ずれた | 0.02 | 2 | 約38% |
値は説明のための仮のもの(編集部の計算)。
これは負荷を最適にしたときのコイルの間の効率で、インバーターや整流の損失は含みません。実際の k は、コイルの形・大きさ・距離・ずれで変わるので、電磁界の解析か試作で確かめます(編集部の計算と整理)。
位置ずれと距離への対策
受電コイルを通る磁束が減ると k が下がり、効率と送れる電力が落ちます。対策には、位置をそろえる(Qi2 の磁石・機械的なガイド)、コイルを複数にして範囲を広げる、ずれに強い方式(電界結合)を選ぶなどがあります。ロームは車載の Qi の送電制御で、マルチコイルにより給電できる範囲がシングルコイルの約2.7倍になるとしています。

出典:WPC・パワーウェーブのページ・EE Times Japan の解説をもとに AI(Claude)で作成
出典:Qi Wireless Charging|Wireless Power Consortium、ロームの車載向けワイヤレス給電ソリューション(2019年1月15日)|ローム、技術|パワーウェーブ
全体の効率と損失の内訳
電源から電池までの効率は、インバーター・送電コイル・すき間・受電コイル・整流と充電の各段の効率のかけ算です。たとえば(仮の値で)0.95 × 0.82 × 0.95 なら全体は約74%で、残りの約26%は熱になります(編集部の計算)。
カタログの効率が「コイルの間」なのか「電源から電池まで」なのか、どの距離・ずれ・負荷の値なのかを確かめます。インバーターの損失を減らす素子は技術ページ「SiC・GaN のパワー半導体」にあります。
磁界の共鳴で、2m 先の電球を点けた(MIT、2007年)
MIT News(2007年6月)によると、Marin Soljačić 教授らのチームは、2m 以上離れた所から 60W の電球を点灯させ、送電側と受電側は物理的につながっていなかったと発表しました(WiTricity と呼んだ)。磁界共鳴方式のワイヤレス給電が広く知られるきっかけになった研究です。
出典:Goodbye wires!(2007年6月7日)|MIT News
距離を延ばすには、Q の高いコイルの設計
EE Times Japan の解説(2010年)は、Q は高いほうが良いという議論は多いが、具体的な設計手法の議論はあまりされていないという龍谷大学の粟井教授の指摘を紹介し、導体・誘電体・磁性体・放射の損失に分けてコイルを設計することの大切さを示しています(コイルの間の効率は k×Q で決まる)。
出典:ワイヤレス給電の次なる課題、「電源ケーブルが消える日」はくるか:ワイヤレス給電技術 共鳴方式(2010年5月)|EE Times Japan
方式と部品の選び方
用途から候補をしぼる
選ぶときは、送る電力・距離・位置ずれ・周りの金属・電波の手続きの5つで比べます。用途ごとのよくある組み合わせを、このページの出典から整理しました。

出典:WPC・ローム・ヘッズ・パワーウェーブ・IHI・UL Japan・総務省をもとに AI(Claude)で作成
| 用途 | まず考える方式 | 選ぶときのポイント(出典の例) |
|---|---|---|
| スマホ・小物 | 電磁誘導(Qi・Qi2) | Qi 認証の機器と組み合わせる。Qi2 は磁石で位置をそろえる(WPC) |
| ウェアラブル・補聴器・小型の医療計測機器 | 13.56MHz の小型モジュール・薄型の電磁誘導 | 最大1W のチップセットで外付けマイコン不要(ローム)、厚さ 0.25mm の受信アンテナ(住友電気工業) |
| AGV・AMR を止めて充電 | 電磁誘導 | いまの AGV に後付けできるキット、9.9kHz で高周波利用設備の申請が不要としている例(ヘッズ) |
| AGV・ロボットを走りながら給電 | 電界結合 | 6.7MHz 帯の搬送ロボット用の制度(総務省)。型式指定の機種なら個別の許可が不要 |
| EV の駐車中の充電 | 磁界共鳴 | 日本の型式指定は 79〜90kHz・7.7kW 以下(UL Japan)。停車するだけで充電(IHI) |
| 離れた多数のセンサー | 電波(空間伝送) | 920MHz 帯は数十mW 程度。屋内の構内無線局の免許が要る(総務省) |
| 箱に入れた複数の機器 | 空洞共振式 | 位置合わせが不要、最大40%の送電効率(村田製作所。共創の段階の技術) |
出典:Qi Wireless Charging|Wireless Power Consortium、最大1W給電可能なワイヤレス給電チップセット ML766x を開発(2021年10月19日)|ローム、ワイヤレス給電モジュール|住友電工プリントサーキット(住友電気工業)、AGV用ワイヤレス給電システム AERO FACE|ヘッズ、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申 -搬送ロボット用ワイヤレス電力伝送システムの導入等のための制度整備-(2024年11月27日)|総務省、[EMC/無線 最新情報]<日本>SAR試験方法、非接触電力伝送装置(2016年4月5日)|UL Japan、EV ワイヤレス給電システム|IHI、920MHz帯空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの屋外利用等に係る技術的条件 -情報通信審議会からの一部答申-(2025年10月20日)|総務省、空洞共振式ワイヤレス給電技術|Murata Co-Innovation(村田製作所)
部品を選ぶときに見る数値
| 項目 | 見方 |
|---|---|
| 出力(W) | 受電側で取り出せる電力か、送電側の入力か。どの距離・ずれのときの値か |
| 効率 | コイルの間か、電源から電池(負荷)までか。負荷の大きさで変わる |
| 周波数 | 電波法の区分(型式指定の範囲・10kHz 以上か)と、ほかの機器へのノイズに関わる |
| 距離・位置ずれの許容 | 縦(すき間)・前後左右・傾きのどれか。範囲の外でどうなるか |
| 異物検知・温度の監視 | 金属の異物で止まるか、温度で出力を絞るか(発熱・異物とトラブル対策) |
| 規格・手続き | Qi 認証、型式指定の番号、無線局の免許の要否(規格と日本の電波法・人体・EMC・規格と日本の電波法・人体・EMC) |
このページの出典をもとに編集部が整理したものです。
組み込むときの設計のチェックポイント
ワイヤレス給電は、電力・距離・ずれを先に決め、方式と部品はそのあとで選ぶのが近道です。製品に組み込むときの確認点を、編集部が整理しました。
- 電力:受電側で必要な電力(W)と電圧・電流を決めた(充電か、直接動かすか)
- 距離:送受のすき間(mm)を、筐体・カバーの厚さを入れて決めた
- 位置ずれ:前後左右・傾きの許容と、範囲の外での動きを決めた
- 周りの金属:筐体・ねじ・電池・基板の金属が磁界の中にないか確かめた
- 熱:損失(全体の効率から計算)を逃がす経路を決め、温度を監視する
- 異物:金属の異物を検知して止める方法を決めた
- 電波法:周波数と出力から、型式指定・許可・無線局の免許のどれが要るかを確かめた
- 規格:Qi・SAE J2954 などに合わせるか、独自の方式かを決めた
出典:高周波利用設備とは|総務省 東海総合通信局、Qi Wireless Charging|Wireless Power Consortium、EP3455919B1 Foreign object detection in a wireless power transfer system(背景技術の説明)|Google Patents
規格と日本の電波法・人体・EMC

出典:総務省・東海総合通信局・UL Japan・各社のページをもとに AI(Claude)で作成
Qi(Wireless Power Consortium)
Qi は、WPC(Wireless Power Consortium)のワイヤレス充電の規格です。WPC によると、v1.0 が2010年、v1.1 が2012年、v1.2 が2015年、v1.3 が2021年、v2.0 が2023年に出ました。Qi2 は 15W の充電と、磁石で端末と充電器の位置をそろえる機能を持ち、Qi v2.2.1(Qi2 25W)は2025年7月に出て、充電の電力を約70%増やし、スマホの電池を約30分で 0→50%にできるとしています。
電力の区分は、Wikipedia の解説によると、Baseline Power Profile(BPP)が 5W、Extended Power Profile(EPP)が 15W で、v1.2(2015年)で加わりました。最新の仕様書(v2.3)は WPC の会員向けです。
出典:Qi Specification|Wireless Power Consortium、Qi Wireless Charging|Wireless Power Consortium、Qi (standard)|Wikipedia(英語)
EV 用(SAE J2954 と日本の制度)
乗用 EV のワイヤレス充電には、SAE International の J2954 があります。Wikipedia の解説によると、WPT1・2・3 の3つの区分で、最大 3.7kW・7.7kW・11kW、周波数は 85kHz で、2024年8月に最終の規格が出ました。日本では、電気自動車用非接触電力伝送装置が型式指定の対象になり、UL Japan の解説によると、出力 7.7kW 以下・79〜90kHz などが条件です。
出典:SAE J2954|Wikipedia(英語)、[EMC/無線 最新情報]<日本>SAR試験方法、非接触電力伝送装置(2016年4月5日)|UL Japan
EMC の規格(CISPR 11)
IEC のカタログによると、CISPR 11(工業・科学・医療用の機器の妨害波)の 2015年版は、ワイヤレス給電に使う電力変換の ISM 機器にも許容値を当てはめるとしています(2024年版が後継)。日本の型式指定でも、高周波出力・電源端子の妨害波電圧・磁界や電界の強度の測定法が決められています(EMC:ほかの機器へのノイズ)。
版は各機関のページ(2026年10月に確認)による。設計・評価に使うときは最新の規格票で確かめてください。
出典:CISPR 11:2015 Industrial, scientific and medical equipment – Radio-frequency disturbance characteristics|IEC、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申(2015年11月11日)|総務省
高周波利用設備と型式指定
総務省 東海総合通信局の説明によると、10kHz 以上の高周波電流で高周波エネルギーを発生させ、50W を超える高周波出力を使う設備は、一部を除き、設置の前に許可が要ります(高周波利用設備)。ただし、型式指定・確認を受けた装置なら、個別の許可申請は不要です。型式指定の対象には「一般用非接触電力伝送装置及び電気自動車用非接触電力伝送装置」が入っています。
| 区分 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 400kHz 帯 電界結合型 一般用 | 2015年の答申で型式指定の対象に追加 | 総務省 |
| 6.7MHz 帯 磁界結合型 一般用 | 同上 | 総務省 |
| 電気自動車用 | 同上。出力 7.7kW 以下・79〜90kHz など | 総務省・UL Japan |
| 搬送ロボット用(6.7MHz 帯 電界結合) | 2024年に制度整備。全国初の型式指定は2026年7月(パワーウェーブ) | 総務省・東海総合通信局 |
| 空間伝送型(920MHz・2.4GHz・5.7GHz 帯) | 2022年5月から屋内の構内無線局として免許。全国初の免許は2022年9月(エイターリンク、920MHz 帯 1W) | 総務省・東海総合通信局 |
型式指定のない機種で 50W を超えるものは、設置の前に許可を受けます。IHI の 3.3kW の EV 給電の実証は、総務省の高周波利用設備の許可を受けて実施したとしています。反対に、ヘッズは AGV 用の給電システムを 9.9kHz にして、総合通信局への高周波利用設備の申請が要らないとしています(10kHz 未満のため)。
920MHz 帯の空間伝送型は、2025年10月に屋外の利用などの技術的条件の一部答申が出ており、制度は続けて変わっています。設計の前に、総務省・総合通信局の最新の情報で確かめてください。
出典:高周波利用設備とは|総務省 東海総合通信局、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申(2015年11月11日)|総務省、[EMC/無線 最新情報]<日本>SAR試験方法、非接触電力伝送装置(2016年4月5日)|UL Japan、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申 -搬送ロボット用ワイヤレス電力伝送システムの導入等のための制度整備-(2024年11月27日)|総務省、全国初!電界結合方式による搬送ロボット用非接触電力伝送装置に係る高周波利用設備を型式指定(2026年7月31日)|総務省 東海総合通信局、令和4年版 情報通信白書(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム)|総務省、全国初!空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用無線局の免許の付与(2022年9月26日)|総務省 東海総合通信局、920MHz帯空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの屋外利用等に係る技術的条件 -情報通信審議会からの一部答申-(2025年10月20日)|総務省、電気自動車向け非接触給電システム 3.3kWの充電電力における戸建住宅での実証実験を実施(2016年3月)|IHI、AGV用ワイヤレス給電システム AERO FACE|ヘッズ
人体への配慮(電波防護指針)
人体を電磁界から守る基準は、総務省の電波防護指針です。総務省は2015年に、10kHz 以上 10MHz 以下の低い周波数の範囲について、国際的なガイドライン(ICNIRP)の改定(2010年)を踏まえ、調和を保つ一部答申を受けています。空間伝送型の制度づくりでも、ほかの無線システムとの周波数の共用とあわせて電波の安全性が検討されました。
出典:電波防護指針の在り方に関する情報通信審議会からの一部答申 -低周波領域(10kHz以上10MHz以下)-(2015年3月12日)|総務省、令和4年版 情報通信白書(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム)|総務省
EMC:ほかの機器へのノイズ
ワイヤレス給電は大きな高周波の電流を流すので、ほかの無線や機器への妨害(放射・電源線への伝導)に気を配ります。型式指定では、高周波出力、電源端子の妨害波電圧、使う周波数とそれ以外の発射による磁界・電界の強度の測定法が決められています。科研費の研究(17K06312)は、補助人工心臓などの体内埋め込み機器の経皮電力伝送が実用化されていない理由として、放射磁界が大きく、CISPR 11 の規制値を超えることを挙げています。
フィルタ・シールド・基板の配線などの対策の基本は、技術ページ「EMC対策」と課題「ノイズで誤作動する・EMCに通らない」「電磁波シールドを軽く・薄くしたい」にあります。
出典:電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申(2015年11月11日)|総務省、磁界放射を抑えた体内埋込機器用2相経皮電力伝送と容量結合型経皮情報伝送の同時動作(科研費 17K06312)|KAKEN
体内に埋め込む機器への給電は、放射磁界が課題
科研費の研究(17K06312)は、補助人工心臓などの体内埋め込み医療機器の経皮電力伝送が実用化されていない理由を、放射磁界が大きく CISPR 11 の規制値を超えるためとし、放射磁界を抑える2相の経皮電力伝送システム(W-TETS)を試作しています(研究期間 2017〜2019年度)。医療機器にワイヤレス給電を入れるときは、効率だけでなく、放射のノイズと体の中での発熱も設計の条件になります(編集部の整理)。
出典:磁界放射を抑えた体内埋込機器用2相経皮電力伝送と容量結合型経皮情報伝送の同時動作(科研費 17K06312)|KAKEN
発熱・異物とトラブル対策
金属の異物が熱くなる理由と、異物検知(FOD)
送電コイルの磁界は、近くの金属に渦電流を起こして発熱させます。Qi の異物検知についての特許(EP3455919B1)の背景の説明は、ごく小さな電力でも、金属の異物に望ましくない加熱が起こりうるとしています。Wikipedia の解説によると、Qi では v1.1(2012年)で、送電台の近くの金属の加熱を防ぐ異物検知(FOD)が加わりました。

出典:Google Patents(EP3455919B1)・Wikipedia(Qi)をもとに AI(Claude)で作成
| 方法 | しくみ | 注意(同じ特許の説明) |
|---|---|---|
| 電力の差で見る | 送電側が見積もった送電電力と、受電側が知らせる受電電力の差がしきい値を超えたら止める | 電力が大きいほど見積もりの不確かさが大きくなる |
| Q値で見る | 金属があるとコイルの Q値が下がるので、それを測る | 感度は良いが、受電する機器自身の金属の影響を受ける |
ロームの車載の Qi の送電制御では、NFC(13.56MHz)による異物検出を組み合わせています(Suica などの NFC カードを検出するため)。
出典:EP3455919B1 Foreign object detection in a wireless power transfer system(背景技術の説明)|Google Patents、Qi (standard)|Wikipedia(英語)、ロームの車載向けワイヤレス給電ソリューション(2019年1月15日)|ローム
熱の設計
効率が74%なら、残りの26%は熱です。小さな筐体ほど、損失のわずかな差が温度に効きます。熱の出る所ごとに抑え方を整理しました(編集部の整理)。
住友電気工業は、薄型のワイヤレス給電モジュールに温度モニターを載せています。電池の熱の課題は「電池の熱暴走・発火を防ぎたい」、小さな機器の熱は「小型化で部品の温度が上がる」にあります。
出典:ワイヤレス給電モジュール|住友電工プリントサーキット(住友電気工業)
よくあるトラブルと、まず疑うところ
ワイヤレス給電でよくあるトラブルを、このページの出典をもとに整理しました。
| トラブル | まず疑うところ | 対策 |
|---|---|---|
| 充電が始まらない・途切れる | 位置ずれ・距離・規格の違い | 位置をそろえる・コイルを増やす・ずれに強い方式(位置ずれと距離への対策) |
| 思ったより効率が低い | k が小さい・共振のずれ・回路の損失 | コイルの Q と配置を見直す・効率の内訳を測る(全体の効率と損失の内訳) |
| 機器や周りの金属が熱い | 渦電流・異物 | 磁性シート・金属を離す・異物検知(金属の異物が熱くなる理由と、異物検知(FOD)) |
| ほかの機器がノイズで誤動作する | 高調波・放射・接地 | フィルタ・シールド・配線(EMC:ほかの機器へのノイズ) |
| 設置の手続きで止まる | 50W 超・10kHz 以上で型式指定がない | 型式指定の機種を選ぶ・許可を取る(高周波利用設備と型式指定) |
| 電池が早く劣化する | 充電中の温度 | 温度を測って充電を絞る(熱の設計) |
このページの出典をもとに編集部が整理したものです。
事例:EV・AGV・センサー・走行中給電
公的機関の発表と、メーカーの発表・報道から、実証と制度の事例を集めました。ワイヤレス充電器の事故についての公的な報告は、今回の調べでは見つかりませんでした。

出典:総務省・東海総合通信局・各社の発表・ニュースイッチをもとに AI(Claude)で作成
EV:3.3kW の非接触給電を戸建住宅で実証(IHI、2016年)
IHI は2016年3月、EV・PHV 用の普通充電器の電力に相当する3.3kW の非接触給電の実証を、三井ホームのスマートハウス(千葉県柏市)で行うと発表しました。同社は2012年2月から三井ホームと戸建住宅での非接触給電のあり方を検討してきており、この実験は総務省から高周波利用設備の許可を受けて行うとしています。
出典:電気自動車向け非接触給電システム 3.3kWの充電電力における戸建住宅での実証実験を実施(2016年3月)|IHI
AGV:電界結合の搬送ロボット用で全国初の型式指定(2026年)
総務省 東海総合通信局は2026年7月31日、電界結合方式による搬送ロボット用の非接触電力伝送装置を、高周波利用設備として型式指定しました(全国初)。パワーウェーブによると、型式名は AGVWPT-00-00、指定番号は第CR-26001号で、型式指定を受けた設備は個別の設置許可申請なしで導入できるとしています。
出典:全国初!電界結合方式による搬送ロボット用非接触電力伝送装置に係る高周波利用設備を型式指定(2026年7月31日)|総務省 東海総合通信局、搬送ロボット用非接触電力伝送装置で型式指定を取得(2026年7月)|パワーウェーブ
センサー:空間伝送型で全国初の無線局の免許(2022年)
東海総合通信局は2022年9月26日、エイターリンクに、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用の構内無線局(920MHz 帯・1W)の免許を付与しました(全国初)。電源ケーブルやコンセントが要らなくなり、センサーなどの IoT 機器のレイアウト変更が自由になるとしています。
出典:全国初!空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用無線局の免許の付与(2022年9月26日)|総務省 東海総合通信局
走行中給電:1m 四方を走るロボットに 100W(アイシン・豊橋技術科学大学、2022年)
ニュースイッチ(日刊工業新聞)によると、アイシンと豊橋技術科学大学は、厚さ15mm のパネルに幅50mm の電極を複数埋め込んだ電界結合の送電パネルで、受電ユニットを載せた小型ロボットが1m 四方を走りながら 100W を受電することに成功しました。インバーターには窒化ガリウム(GaN)を使い、中部国際空港でパーソナルモビリティの駐車時の自動充電の実証を始める予定としていました。
出典:アイシンと豊橋技科大、走行中のロボットに無線給電(2022年2月)|ニュースイッチ(日刊工業新聞)
1件目はメーカーの発表、2件目と3件目は総務省の発表(2件目の型式名と番号はメーカーの発表)、4件目は報道です(編集部の整理)。
企業紹介(ワイヤレス給電の技術)
給電の IC・モジュール、薄型のアンテナ、AGV 用、走行中給電の電界結合、EV 用、電波で送る空間伝送、箱の中で送る空洞共振まで、得意分野の違う会社を紹介します。課題「配線をなくしたい」で紹介した会社とは、エイターリンクの1社だけが重なります。掲載は各社の公開情報にもとづきます。各社のサイトの画像は使わず、公開されている情報をもとに図にしました。
相談する前に整理すること
部品・装置のメーカーに相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。
- 送るもの:電池への充電か、機器を直接動かすか
- 電力:受電側で何W、電圧と電流
- 距離とずれ:すき間(mm)と、前後左右・傾きの許容
- 動き:止めて充電か、走りながら・回りながらか
- 台数:1対1か、1台の送電で多数か
- 環境:周りの金属・水・油・粉じん・温度
- 手続き:型式指定の機種が要るか、許可・免許を取れるか
- 量産:台数・予算・認証(Qi など)の要否
困りごとごとの相談先
| 困りごと | 相談先の種類 | このページで紹介した会社 |
|---|---|---|
| 小さな機器に給電の IC・モジュールを入れたい | 半導体・モジュールのメーカー | ローム・住友電気工業 |
| AGV を止めて自動で充電したい | AGV 用の非接触充電 | ヘッズ |
| AGV・ロボットを走りながら給電したい | 電界結合のワイヤレス給電 | パワーウェーブ |
| EV を駐車中に充電したい | EV 用ワイヤレス給電 | IHI |
| 離れたセンサーを配線・電池なしで動かしたい | 空間伝送型(電波) | エイターリンク |
| 箱に入れた複数の機器に給電したい | 空洞共振式(共創) | 村田製作所 |
| 配線をなくす方法をほかの会社とも比べたい | 非接触給電・環境発電 | 課題「配線をなくしたい」の5社 |
各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。紹介は企業紹介(ワイヤレス給電の技術)にあります。
| 会社 | IC・ モジュール | 電磁誘導 | 磁界共鳴 | 電界結合 | 電波 |
|---|---|---|---|---|---|
| ロームIC・モジュール(京都市) | ● | ● | |||
| 住友電気工業薄型モジュール(大阪市) | ● | ● | |||
| 村田製作所空洞共振式(京都府長岡京市) | ● | ||||
| IHIEV 用(東京都江東区) | ● | ||||
| パワーウェーブAGV・移動体(愛知県豊橋市) | ● | ||||
| ヘッズAGV 用(福岡県苅田町) | ● | ||||
| エイターリンクセンサー用(東京都千代田区) | ● |
●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。ロームの13.56MHz のモジュールは磁界を使う方式、村田製作所は箱の中の電磁波(空洞共振)、エイターリンクは 920MHz 帯の電波です。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。
ローム株式会社|13.56MHz の小型モジュールと、1W のチップセット・車載の Qi の制御 IC
ロームとは
京都市右京区に本社を置く半導体のメーカーです(1958年9月設立)(同社の会社概要)。ワイヤレス給電では、小型機器向けのモジュール・チップセットと、車載向けの Qi の送電制御 IC を発表しています。

出典:ロームの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
ロームの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ワイヤレスチャージャーモジュール BP3621・BP3622 | 13.56MHz を使う 20〜30mm 角程度の小型の送電・受電モジュールで、最大 200mW の給電に対応。アンテナ(コイル)を内蔵し、給電と双方向のデータ通信(212kbps)の両方に使える(同社の発表、2021年) |
| ワイヤレス給電チップセット ML766x | 最大 1W。送受電の制御回路を内蔵して外付けのマイコンが不要で、ロームグループのラピステクノロジーは 1W 給電クラスで業界最小クラスのシステムサイズ、一般品に比べてシステムサイズを30%削減できるとしている。用途はリストバンド型血圧計・スマートウォッチ・補聴器など(ロームグループ・ラピステクノロジーの発表、2021年) |
| 車載向け Qi の送電制御 IC BD57121MUF-M | Qi EPP に準拠して 15W。マルチコイルで給電できる範囲がシングルコイルの約2.7倍。NFC のリーダライタ IC と組み合わせる(同社の発表、2019年) |
ロームが解決できる課題
- ウェアラブル・補聴器などを、端子なしで充電したい
- アンテナの設計・評価の手間を減らして、小さな機器に給電と通信を入れたい
- 車の中のスマホの充電で、置く位置の自由度を上げたい
出典:会社概要|ローム、13.56MHzワイヤレスチャージャーモジュール BP3621・BP3622 を開発(2021年11月11日)|ローム、最大1W給電可能なワイヤレス給電チップセット ML766x を開発(2021年10月19日)|ローム、ロームの車載向けワイヤレス給電ソリューション(2019年1月15日)|ローム
住友電気工業株式会社|FPC を使った薄型のワイヤレス給電モジュール
住友電気工業とは
大阪市中央区に本社を置く会社です(1897年4月創業)(同社の会社概要)。電線・光ファイバー・電子部品などを扱っています。

出典:住友電気工業の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
住友電気工業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| FPC の受信アンテナ(電磁誘導方式) | 巻線コイルの代わりに FPC(フレキシブルプリント配線板)を使い、受信アンテナを Qi 規格の参考品比で 75%小型化(同社サイト) |
| 薄さ | 磁性体を含めて厚さ 0.25mm。屈曲部や U 字部への配置もできる(同社サイト)。2014年の発表では、面積 84%小型化(10mm×30mm)を業界初としている |
| 温度モニター | 温度モニターを搭載。用途にウェアラブル機器(眼鏡・健康バンド・腕時計)・医療計測機器を挙げている(同社サイト) |
住友電気工業が解決できる課題
- わずかな隙間しかない小型機器に、受電アンテナを入れたい
- 端子をなくして、防水・防じんにしたい
出典:会社概要|住友電気工業、ワイヤレス給電モジュール|住友電工プリントサーキット(住友電気工業)、業界初 超小型・薄型ワイヤレス給電モジュールを開発(2014年8月)|住友電気工業
株式会社村田製作所|金属の箱の中で送る空洞共振式ワイヤレス給電(共創中の技術)
村田製作所とは
京都府長岡京市に本社を置く電子部品のメーカーです(1950年12月設立、創業1944年10月)(同社の会社概要)。空洞共振式ワイヤレス給電は、共創のパートナーを募っている段階の技術です。

出典:村田製作所の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
村田製作所の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 空洞共振方式 | 受電デバイスを入れた機器を専用の筐体(箱)の中に入れて給電する。比較的遠い距離の対象物に大きな電力を送れるとしている(同社サイト) |
| 効率と同時送電 | 電波受信方式より効率の良い最大40%の送電効率で、複数の電子機器に同時に送電できるとしている(同社サイト) |
| 使い方 | 筐体の中に入れれば給電でき、精密な位置合わせが要らない。受電アンテナが小さいとしている(同社サイト) |
村田製作所が解決できる課題
- 複数の機器を、位置合わせなしでまとめて給電したい
- 使ったあとに箱へ入れるだけで充電できるようにしたい
出典:会社概要|村田製作所、空洞共振式ワイヤレス給電技術|Murata Co-Innovation(村田製作所)
株式会社IHI|停車するだけで充電が始まる EV ワイヤレス給電(磁界共鳴方式)
IHIとは
東京都江東区豊洲に本社を置く会社です(1853年創業、1889年1月設立)(同社の会社概要)。

出典:IHI の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
IHIの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| EV ワイヤレス給電システム | 伝送距離や位置ずれに対する性能から、自動車向けには磁界共鳴方式が適しているとしている。送電と受電のコイルを向かい合わせ、停車するだけで充電が始まる(同社サイト) |
| 実証 | EV・PHV 用の普通充電器の電力に相当する 3.3kW の給電の実証を、戸建住宅(千葉県柏市)で実施。総務省の高周波利用設備の許可を受けて実施(同社の発表、2016年) |
IHIが解決できる課題
- 悪天候や足場の悪い所でも、ケーブルをつながずに EV を充電したい
- 駐車場に止めるだけで充電を管理したい
公開されている実績・用途
- 2012年2月から三井ホームと戸建住宅での非接触給電のあり方を検討(同社の発表)
出典:会社概要|IHI、EV ワイヤレス給電システム|IHI、電気自動車向け非接触給電システム 3.3kWの充電電力における戸建住宅での実証実験を実施(2016年3月)|IHI
株式会社パワーウェーブ|位置ずれに強く、走行中にも送れる電界結合のワイヤレス給電
パワーウェーブとは
愛知県豊橋市に本社を置く、豊橋技術科学大学発のベンチャーです(2021年3月設立)(同社の会社概要)。

出典:パワーウェーブの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
パワーウェーブの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 電界結合方式 | 送電電極と受電電極の重なりの面積で送るので、長い送電電極を敷けば位置ずれに強い駐車中充電や走行中給電ができる。電流が小さくジュール熱が少ない。MHz 程度の周波数を使う(同社サイト) |
| 電力のユニット | 50W・500W・1kW・10kW の電力量のユニットを基に、施設と用途に合わせて制作・設置(同社サイト) |
| 型式指定 | 搬送ロボット用非接触電力伝送装置(AGVWPT-00-00、第CR-26001号)で、2024年12月の制度改正後で全国初の型式指定を取得(同社の発表、2026年7月) |
パワーウェーブが解決できる課題
- AGV・AMR を止めずに、走りながら給電したい
- 止める位置がばらついても充電できるようにしたい
- 個別の設置許可の申請なしで導入したい(型式指定の機種)
出典:会社概要|パワーウェーブ、技術|パワーウェーブ、提供サービス|パワーウェーブ、搬送ロボット用非接触電力伝送装置で型式指定を取得(2026年7月)|パワーウェーブ、全国初!電界結合方式による搬送ロボット用非接触電力伝送装置に係る高周波利用設備を型式指定(2026年7月31日)|総務省 東海総合通信局
株式会社ヘッズ|いまの AGV に後付けできるワイヤレス充電システム AERO FACE
ヘッズとは
福岡県京都郡苅田町に本社を置く会社です(1975年1月設立)(同社の会社概要)。

出典:ヘッズの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
ヘッズの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| AERO FACE の構成 | インバーター・給電カプラ・充電カプラ・充電コントローラ。充電カプラは給電カプラから電磁誘導で受電する(同社サイト) |
| 1kW 品 | 電源 AC200V 3相、定格出力 1kW、出力周波数 9.9kHz、充電電流 15A(15mm)。2kW 品もある(同社サイト) |
| 対応する電池と申請 | AGV 用の 24V・48V 鉛蓄電池、キャパシタ、フォークリフト用の鉛蓄電池など。9.9kHz にして総合通信局への高周波利用設備の申請が不要としている(同社サイト) |
ヘッズが解決できる課題
- いま使っている AGV を、後付けでワイヤレス充電にしたい
- 充電の人手と、充電の専用エリアを減らしたい
出典:会社概要|ヘッズ、AGV用ワイヤレス給電システム AERO FACE|ヘッズ
エイターリンク株式会社|920MHz 帯の電波で、離れたセンサーに給電する AirPlug
エイターリンクとは
東京都千代田区丸の内に本社を置く会社です(2020年8月設立)(同社の会社概要)。空間伝送型のワイヤレス給電で、全国初の無線局の免許を受けました(2022年9月、東海総合通信局)。

出典:エイターリンクの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
エイターリンクの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| AirPlug(空間伝送型) | 920MHz 帯の電波で、離れた所のセンサーなどに電力を送る。低い消費電力で中長距離の電力伝送を実現するとしている(同社サイト) |
| 完全ワイヤレスのオートスイッチ | SMC と共同で、AirPlug で給電する配線レス・バッテリーレスのオートスイッチを開発(同社サイト) |
| ワイヤレス給電評価キット | 送電機と受電機を同梱した、PoC・試作開発用のキット(同社サイト) |
エイターリンクが解決できる課題
- ロボットの駆動部や回転テーブルのセンサーの配線が断線する
- センサーの増設やレイアウト変更のたびに配線工事をしたくない
出典:会社概要|エイターリンク、FA事業|エイターリンク、当社技術|エイターリンク、全国初!空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用無線局の免許の付与(2022年9月26日)|総務省 東海総合通信局
よくある質問
しくみと効率
- ワイヤレス給電とは何ですか?
- ケーブルや接点を使わずに、磁界・電界・電波で電力を送る技術です。送る側でつくった高い周波数の交流を、受ける側で直流に戻します(しくみ:交流にして、空間を越えて受け取る)。
- 方式にはどんな種類がありますか?
- 電磁誘導・磁界共鳴・電界結合・電波(空間伝送)の4つが代表です。距離・電力・位置ずれへの強さが違います(方式の種類:近くの電磁界でつなぐ3つと、電波)。
- 電磁誘導と磁界共鳴の違いは?
- どちらも磁界を使いますが、磁界共鳴は送受の共振の周波数をそろえ、Q を高くして、少し離れても効率を保つ考え方です(磁界共鳴方式(磁界共振結合)・コイルの間の効率は k×Q で決まる)。
- 効率はどのくらいですか?
- コイルの間の最大効率は k×Q で決まり、k×Q>10 で 82%以上が目安とされます。全体の効率は回路の損失も入るので、それより下がります(効率と距離・位置ずれ(計算例つき))。
- 離すとなぜ効率が下がるのですか?
- 受電コイルを通る磁束が減って結合係数 k が下がるからです。Q=100 の例では、k が 0.1 から 0.02 になると約82%から約38%に下がります(計算例:距離とずれで k が下がると)。
規格・法規・安全
- Qi とは何ですか?
- WPC のワイヤレス充電の規格です。v1.0 が2010年、Qi2(v2.0)が2023年で、Qi2 は磁石で位置をそろえます(Qi(Wireless Power Consortium))。
- 電波法の手続きは要りますか?
- 10kHz 以上で 50W を超える高周波出力を使う設備は、型式指定の機種でなければ設置の前に許可が要ります。電波で送る空間伝送型は無線局の免許が要ります(高周波利用設備と型式指定)。
- 人体への影響はどう考えますか?
- 総務省の電波防護指針が基準で、10kHz〜10MHz は国際的なガイドライン(ICNIRP)との調和を保っています。製品の評価は規格と手続きに沿って行います(人体への配慮(電波防護指針))。
- 金属が熱くなるのはなぜですか?
- 磁界が金属に渦電流を起こすからです。Qi などでは、電力の差や Q値の変化で異物を検知して止めます(金属の異物が熱くなる理由と、異物検知(FOD))。
- どこに相談すればよいですか?
- IC・モジュール、AGV 用、EV 用、電界結合、電波など、用途と方式で相談先が変わります(困りごとごとの相談先)。
回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。
関連する技術・ページ
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| 工場内の搬送を自動化したい | AGV の非接触充電・走行中給電(電界結合方式・用途から候補をしぼる) | 台数とシステム |
| センサーを小さく組み込みたい | 電波(空間伝送)と小型モジュール(電波(空間伝送型)・ローム株式会社) | 無線化と省電力 |
| 電子機器を防水・防じんにしたい | 端子をなくして封じる(ワイヤレス給電のしくみと方式(電磁誘導・磁界共鳴・電界結合・電波)) | シール |
| コネクターの接触不良を防ぎたい | 接点のない給電(ワイヤレス給電のしくみと方式(電磁誘導・磁界共鳴・電界結合・電波)) | 構造 |
| ノイズで誤作動する・EMCに通らない | ワイヤレス給電のノイズと手続き(EMC:ほかの機器へのノイズ) | 測定・EMC試験 |
| 電源の変換効率を上げたい | 効率の内訳と損失(全体の効率と損失の内訳) | SiC・GaN |
右の列は、関係する課題ページ(対策の節)へのリンクです。
関連する技術・基礎知識・課題
- EMC対策
- SiC・GaN のパワー半導体
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- 協働ロボット
- 産業用ロボット
- 製品:電池
- 製品:配線・コネクター
- 配線をなくしたい
- 工場内の搬送を自動化したい
- センサーを小さく組み込みたい
- 電子機器を防水・防じんにしたい
- コネクターの接触不良を防ぎたい
- ノイズで誤作動する・EMCに通らない
- 無線・ワイヤレス給電(技術カテゴリー)
出典・確認日
- 令和4年版 情報通信白書(空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム)|総務省
- Qi Wireless Charging|Wireless Power Consortium
- ワイヤレス給電の次なる課題、「電源ケーブルが消える日」はくるか:ワイヤレス給電技術 共鳴方式(2010年5月)|EE Times Japan
- EV ワイヤレス給電システム|IHI
- 技術|パワーウェーブ
- 電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申 -搬送ロボット用ワイヤレス電力伝送システムの導入等のための制度整備-(2024年11月27日)|総務省
- 全国初!電界結合方式による搬送ロボット用非接触電力伝送装置に係る高周波利用設備を型式指定(2026年7月31日)|総務省 東海総合通信局
- 920MHz帯空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの屋外利用等に係る技術的条件 -情報通信審議会からの一部答申-(2025年10月20日)|総務省
- Qi (standard)|Wikipedia(英語)
- AGV用ワイヤレス給電システム AERO FACE|ヘッズ
- [EMC/無線 最新情報]<日本>SAR試験方法、非接触電力伝送装置(2016年4月5日)|UL Japan
- 電気自動車向け非接触給電システム 3.3kWの充電電力における戸建住宅での実証実験を実施(2016年3月)|IHI
- 提供サービス|パワーウェーブ
- Resonant inductive coupling|Wikipedia(英語)
- ロームの車載向けワイヤレス給電ソリューション(2019年1月15日)|ローム
- Goodbye wires!(2007年6月7日)|MIT News
- 最大1W給電可能なワイヤレス給電チップセット ML766x を開発(2021年10月19日)|ローム
- ワイヤレス給電モジュール|住友電工プリントサーキット(住友電気工業)
- 空洞共振式ワイヤレス給電技術|Murata Co-Innovation(村田製作所)
- 高周波利用設備とは|総務省 東海総合通信局
- EP3455919B1 Foreign object detection in a wireless power transfer system(背景技術の説明)|Google Patents
- Qi Specification|Wireless Power Consortium
- SAE J2954|Wikipedia(英語)
- CISPR 11:2015 Industrial, scientific and medical equipment – Radio-frequency disturbance characteristics|IEC
- 電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申(2015年11月11日)|総務省
- 全国初!空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用無線局の免許の付与(2022年9月26日)|総務省 東海総合通信局
- 電波防護指針の在り方に関する情報通信審議会からの一部答申 -低周波領域(10kHz以上10MHz以下)-(2015年3月12日)|総務省
- 磁界放射を抑えた体内埋込機器用2相経皮電力伝送と容量結合型経皮情報伝送の同時動作(科研費 17K06312)|KAKEN
- 搬送ロボット用非接触電力伝送装置で型式指定を取得(2026年7月)|パワーウェーブ
- アイシンと豊橋技科大、走行中のロボットに無線給電(2022年2月)|ニュースイッチ(日刊工業新聞)
- 会社概要|ローム
- 13.56MHzワイヤレスチャージャーモジュール BP3621・BP3622 を開発(2021年11月11日)|ローム
- 会社概要|住友電気工業
- 業界初 超小型・薄型ワイヤレス給電モジュールを開発(2014年8月)|住友電気工業
- 会社概要|村田製作所
- 会社概要|IHI
- 会社概要|パワーウェーブ
- 会社概要|ヘッズ
- 会社概要|エイターリンク
- FA事業|エイターリンク
- 当社技術|エイターリンク
※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図は転載していません。効率の曲線と計算例は、η=x²/(1+√(1+x²))²(x=k√(Q1Q2))の式で編集部が計算した説明用のもので、実機の値ではありません。
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。
情報の確認日:2026年10月22日 本ページの内容は一般的な情報です。電波法の手続き・人体の防護・製品の安全の判断は、総務省・総合通信局の最新の情報と、機器のメーカーの資料・専門家の助言で確かめてください。各社の製品は、その会社の公開情報にもとづきます。

