リチウムイオン電池は、リチウムイオンが正極と負極のあいだを行き来して充電・放電する電池です。同じリチウムイオン電池でも、正極・負極の材料で電圧・重さ・寿命・燃えにくさが大きく変わります。製品に組み込む設計では、「使う温度」「必要なエネルギー(重さと大きさ)」「何回・何年使うか」から材料と形を決め、保護回路と熱の逃がし方まで含めて確かめるのが基本です。
このページでは、製品の設計者・生産技術の担当者に向けて、リチウムイオン電池の構造としくみ、リン酸鉄(LFP)・三元系(NMC)・チタン酸リチウム(LTO)などの種類と特性、選び方、規格と規制、劣化と寿命、研究の知見、熱暴走などのトラブル、組み込むときのチェックポイント、事例、相談できる会社までを1ページにまとめました。劣化を抑える対策は課題「電池の劣化を抑えたい」、熱暴走・発火の対策は課題「電池の熱暴走・発火を防ぎたい」にもあります。
知りたいことから読む
- リチウムイオン電池の構造と充放電のしくみ → 基本
- LFP・NMC・NCA・LTO の違い → 種類ごとの特性の比較
- 使い道と温度からの電池の選び方 → 選び方
- IEC 62133-2・PSE・輸送の規制 → 規格と規制
- 劣化の原因と寿命を延ばす使い方 → 劣化と寿命
- 熱暴走・ふくらみ・低温のトラブル → トラブルと対策
- 787・スマホ・火災などの事例 → 事例
- セル・パック・評価の会社 → 企業紹介
症状から探す
| 症状 | 考えられる原因 | 対策を書いた所 |
|---|---|---|
| 容量が早く減る | 高温・満充電での保管・充電の電流 | 劣化と寿命 |
| 冬に充電できない・容量が出ない | 低温での充電によるリチウムの析出 | 低温での充電 |
| 電池がふくらんだ | ガスの発生(高温・過充電・劣化) | ふくらみ(膨れ) |
| 発熱・発火した | 内部短絡・過充電・衝撃・非純正品 | 熱暴走:内部短絡から発火まで・事例:電池の選び方と安全が関わった例 |
| LFP の残量表示がずれる | 電圧が平らな範囲での SOC 推定 | LFP は電圧が平らで、残量を読みにくい |
| 輸送・販売で止められた | UN38.3・PSE・IEC の要求 | 規格と規制 |
リンクを押すと、対策を書いた所へ移ります。
リチウムイオン電池の基本
中の構造
京都市消防局の解説資料によると、リチウムイオン電池は、正極(リチウムを含む金属酸化物など)とアルミの集電箔、負極(黒鉛などの炭素材料)と銅の集電箔、正極と負極を隔てるセパレーター(プラスチックの薄い膜)、電解液でできています。電解液はリチウムイオンを通し、電子は通さない液体で、引火点を持つ消防法上の危険物(引火性液体)です。

出典:京都市消防局の「リチウムイオン電池の仕組み」をもとに AI(Claude)で作成
充電・放電のしくみ
同じ資料は、リチウムイオンが電解液を通って正極と負極のあいだを移動し、電子が外の回路を通って移動することで充放電すると説明しています。放電ではリチウムイオンが負極から正極へ、充電では正極から負極へ動き、満充電はリチウムイオンと電子が負極の側に集まった状態です。

出典:理化学研究所(rikenchannel)(YouTube)
電圧は材料で決まる
1個の電池(セル)の電圧は、正極と負極の材料で決まります。米国の Battery University の整理では、公称電圧はコバルト酸(LCO)・三元系(NMC)・ニッケル系(NCA)が 3.6V 前後、マンガン酸(LMO)が 3.7V、リン酸鉄(LFP)が 3.2〜3.3V、負極にチタン酸リチウム(LTO)を使うと 2.4Vです。使う電圧の範囲は、LCO・NMC・NCA が 1セル 3.0〜4.2V、LFP が 2.5〜3.65V、LTO が 1.8〜2.85V です。製品の電圧は、セルを直列につなぐ数で決めます(組み込むときのチェックポイント)。
出典:BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University
日本で生まれた電池
旭化成によると、同社の吉野彰は1985年、正極にコバルト酸リチウム、負極に炭素材料を使う、リチウムイオン電池の基本の構成を完成させました。商業化は1991年のソニーと、1992年以降の旭化成と東芝の合弁会社で進みました。吉野彰は2019年にノーベル化学賞の受賞が決まっています(同社サイト)。

出典:旭化成の吉野彰スペシャルサイト・IEA の Global EV Outlook 2026をもとに AI(Claude)で作成
出典:名誉フェロー 吉野彰 スペシャルサイト|旭化成、Global EV Outlook 2026: Electric vehicle batteries|IEA
主な種類と特性
正極・負極の材料で呼ぶ
リチウムイオン電池の種類は、ふつう正極の材料(LFP・NMC・NCA・LCO・LMO)か、負極の材料(LTO)で呼びます。電池の形(円筒・角形・ラミネート)とは別の分け方です(電池の形:円筒・角形・ラミネート)。
出典:BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University
種類ごとの特性の比較
Battery University の表から、主な種類の目安を並べました。比エネルギー(1kg あたりのエネルギー)はニッケル系(NCA)が 200〜260 Wh/kg、リン酸鉄(LFP)が 90〜120 Wh/kgで、軽さではリン酸鉄が不利です。一方、熱暴走が始まる温度の目安は LFP が 270℃、NMC が 210℃、LCO・NCA が 150℃で、サイクル寿命は LFP が 2,000回以上、LTO が 3,000〜7,000回です。

出典:Battery University の「Types of Lithium-ion」の表をもとに AI(Claude)で作成
| 種類 | 公称電圧(V) | 比エネルギー(Wh/kg) | サイクル寿命(回) | 熱暴走の目安(℃) |
|---|---|---|---|---|
| LCO(コバルト酸) | 3.60 | 150〜200 | 500〜1,000 | 150 |
| LMO(マンガン酸) | 3.70 | 100〜150 | 300〜700 | 250 |
| NMC(三元系) | 3.60・3.70 | 150〜220 | 1,000〜2,000 | 210 |
| NCA(ニッケル系) | 3.60 | 200〜260 | 500 | 150 |
| LFP(リン酸鉄) | 3.20・3.30 | 90〜120 | 2,000以上 | 270 |
| LTO(チタン酸の負極) | 2.40 | 50〜80 | 3,000〜7,000 | (記載なし) |
数値は Battery University の表の目安(LTO 以外は黒鉛の負極)です。サイクル寿命は放電の深さと温度で、比エネルギーはセルの設計で大きく変わります。資料ごとに測り方と前提が違うので、表をまたいで細かく比べないでください。
出典:BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University
リン酸鉄(LFP)
正極にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を使う電池です。米 Argonne 国立研究所の Khalil Amine の講演資料は、オリビン型の LiFePO4 は分解しても酸素を出さないので、熱のふるまいがいちばんよいとしています。Battery University の表でも、熱暴走の目安の温度と寿命は LFP がほかの正極より高い値です。弱点は、公称電圧が低く比エネルギーが小さいので、同じエネルギーでは重く大きくなることと、電圧が平らで残量を読みにくいことです(LFP は電圧が平らで、残量を読みにくい)。Amine の資料は、炭素負極の発熱しだいで LFP のセルでも熱暴走は起こりうるとしています。
出典:Khalil Amine(Argonne National Laboratory)の講演資料|Collège de France、BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University
三元系(NMC)・ニッケル系(NCA)
ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)、ニッケル・コバルト・アルミニウム(NCA)を正極に使う電池で、比エネルギーが高く、軽く小さくしたい EV・携帯機器・電動工具に使われます。Battery University の表では、NMC は比エネルギー 150〜220 Wh/kg とサイクル寿命 1,000〜2,000回の釣り合いがよく、NCA は 200〜260 Wh/kg と高いかわりに、熱暴走の目安は 150℃と低めです。
出典:BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University
コバルト酸(LCO)・マンガン酸(LMO)
コバルト酸リチウム(LCO)は、吉野彰の基本構造でも使われた正極で、携帯機器に使われてきました。Battery University は、黒鉛の負極では SEI(負極の表面にできる被膜)が厚くなることと、急速充電・低温充電でのリチウムの析出が寿命を縮めるとしています。マンガン酸リチウム(LMO)は出力を出しやすいかわりに、表ではサイクル寿命が 300〜700回です。
出典:BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University、名誉フェロー 吉野彰 スペシャルサイト|旭化成
チタン酸リチウム(LTO)とシリコンの負極
負極を黒鉛からチタン酸リチウム(LTO)に替えると、Battery University は、SEI の形成と、急速充電・低温充電でのリチウムの析出を避けられるとしています。そのかわり公称電圧は 2.4V、比エネルギーは 50〜80 Wh/kg と小さくなります。東芝は、負極にチタン酸リチウムを使う SCiB が急速充電と長寿命に優れるとしています(株式会社東芝)。黒鉛にシリコンを足すと容量は上がりますが、充放電で膨らみ縮むので寿命が短くなる傾向があります。
出典:BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University、日野自動車新型車両の二次電池 SCiB の採用について(2019年5月30日)|東芝(Digital PR Platform)
電池の形:円筒・角形・ラミネート
Battery University によると、円筒形は機械的に丈夫で内圧に強く、自動生産に向き、1Wh あたりが安いかわりに、並べたときに丸い電池のあいだにすき間ができます。18650 は直径 18mm・長さ 65mm、21700 は体積が約50%大きい形です。角形は薄く機器に収めやすい一方、ふくらみに備えて丈夫なケースが要ります。ラミネート(パウチ)は軽く、詰め込みの効率が 90〜95%と高いかわりに、小形のセルで500サイクル後に8〜10%ふくらむ例があり、支えと押さえが必要です。

出典:Battery University の「Types of Battery Cells」をもとに AI(Claude)で作成
出典:BU-301a: Types of Battery Cells|Battery University
リチウムイオン電池の選び方
条件から候補をしぼる
選ぶときは、①使う温度(充電・放電・保管)②必要なエネルギーと重さ・大きさ ③何回・何年使うか ④出したい電流と充電の速さ ⑤安全と規格の順に決めると、候補が1〜2種類にしぼれます。最後に、セルのデータシートの条件(温度・電流・充電電圧)を自社の使い方にそろえて比べ、試作の電池で確かめます。
| 条件 | よく使われる候補 |
|---|---|
| 軽く・小さく、長く動かしたい(携帯機器・EV) | 三元系(NMC)・ニッケル系(NCA) |
| 安全と寿命を優先、重さは許せる(定置・AGV) | リン酸鉄(LFP) |
| 数分で充電・何万回も充放電・氷点下で使う | チタン酸リチウム負極(LTO) |
| 鉛蓄電池・ニカド電池から置き換えたい | LFP の 12V・24V パック |
| 電圧から残量を正確に読みたい | 三元系など電圧が傾いた正極 |
| 自社の形・電圧でパックを作りたい | パック・BMS の受託会社に相談 |
表は、このページの出典をもとに編集部が整理した目安です。最後はセルのデータシートで、温度・電流・寿命の条件をそろえて比べます。
リン酸鉄(LFP)を選ぶ場面
重さより安全と寿命を優先する定置用の蓄電池・AGV・フォークリフト・鉛蓄電池からの置き換えでは、LFP がよく選ばれます。IEA の Global EV Outlook 2026 によると、LFP は2025年に世界の EV 用電池の55%超(2024年は約50%。新しく登録された EV の電池容量で見た割合)、定置用蓄電池の導入の90%超を占めました。村田製作所の FORTELION(株式会社村田製作所)やエリーパワーの蓄電システム(エリーパワー株式会社)も LFP です。

出典:IEA の Global EV Outlook 2026をもとに AI(Claude)で作成
出典:Global EV Outlook 2026: Electric vehicle batteries|IEA、FORTELION バッテリシステム|村田製作所、Power Storager GX|エリーパワー
LFP は電圧が平らで、残量を読みにくい
LFP は、充電の状態(SOC)が変わっても電圧がほとんど変わりません。2024年の論文(arXiv:2410.23646)は、LFP の電圧の曲線は SOC 20〜80%あたりで長く平らで、そこでは 1mV の電圧の誤差が約5%の SOC の誤差になりうるとしています。電圧だけで残量を読む設計にせず、電流の積算(クーロンカウント)や、平らでない所での補正を組み合わせます。

出典:arXiv:2410.23646 の論文の説明をもとに AI(Claude)で作成
温度で選ぶ
Battery University によると、一般の民生用のリチウムイオン電池の充電できる温度は 0〜45℃、放電は −20〜60℃で、0℃未満では充電しません(低温での充電)。氷点下で充電する機器では、ヒーターで温めてから充電するか、低温の充電を保証したセルを選びます。東芝は SCiB の 20Ah セルを −30℃で充放電できるとしています。
出典:BU-410: Charging at High and Low Temperatures|Battery University、SCiB 大容量タイプセル|東芝
使い道ごとによく使われる電池
| 使い道 | よく使われる電池(出典の例) | 選ぶときのポイント |
|---|---|---|
| 電動アシスト自転車・電動工具・掃除機 | 円筒形セル(高容量・高率放電) | 放電の電流、パックの保護回路 |
| EV・ハイブリッド車 | 三元系・ニッケル系、LFP、LTO(ハイブリッド) | エネルギー・出力・寿命と熱の管理 |
| AGV・AMR・フォークリフト | LFP、LTO | 充電の時間と回数、鉛からの置き換え |
| 定置用の蓄電・UPS・非常用電源 | LFP、LTO | 寿命の年数、延焼の防止、規格 |
| 鉄道・バス・船 | LTO | 急速充電、大電流の出し入れ |
| 宇宙・海洋 | 専用の電池 | 信頼性・試験 |
出典:パナソニック エナジー・東芝・村田製作所・エリーパワー・GSユアサ・日本蓄電池の各社の説明と IEA の資料をもとに編集部がまとめました。
出典:Lithium Ion Batteries|Panasonic Energy、二次電池 SCiB|東芝、FORTELION 24V バッテリモジュール|村田製作所、エリーパワー 公式サイト、産業用リチウムイオン電池モジュール LIM50EL の発表|GSユアサ、航空・宇宙・海洋用リチウムイオン電池|GSユアサ、鉛蓄電池代替リチウム電池|日本蓄電池
組み込むときのチェックポイント
電池を製品に組み込むとき、仕様書や図面で書き漏らしやすい項目です(編集部が整理した項目です)。
- セルの種類:LFP・NMC・LTO など。データシートの型番と版
- 電圧と容量:直列の数で電圧、並列の数で容量。使う電圧の範囲(上限・下限)
- 電流:連続とピークの放電の電流、充電の電流(C レート)
- 温度:充電・放電・保管それぞれの範囲。0℃未満の充電をどう止めるか
- 寿命:何回・何年で、容量が何%まで下がってよいか(試験の条件つき)
- 保護回路(BMS):過充電・過放電・過電流・温度の保護、セルの電圧のばらつきの調整、残量の推定
- 熱と配置:熱の逃がし方、セルどうしの延焼を防ぐすき間・仕切り、ふくらみの分のすき間
- 規格と輸送:IEC 62133-2・IEC 62619・PSE、UN38.3、販売する地域の規則
出典:BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University、BU-410: Charging at High and Low Temperatures|Battery University、BU-301a: Types of Battery Cells|Battery University、IEC 62133-2:2017|IEC Webstore、IEC 62619:2022|IEC Webstore、リチウムイオン蓄電池 事業者向け(製造)|消防庁
規格と規制
安全の国際規格(IEC 62133-2・IEC 62619)
携帯機器に使う密閉形のリチウム二次電池の安全要求事項と試験はIEC 62133-2:2017で、意図した使い方と「合理的に予見できる誤使用」を対象にしています。産業用はIEC 62619:2022で、通信・UPS・蓄電などの定置用と、フォークリフト・AGV・鉄道・船などの移動用を含み、道路を走る車は対象外です(IEC 62660 シリーズ)。
出典:IEC 62133-2:2017|IEC Webstore、IEC 62619:2022|IEC Webstore
電気用品安全法(PSE)とモバイルバッテリー
消防庁の事業者向けのページによると、体積エネルギー密度 400Wh/L 以上のリチウムイオン蓄電池を使うモバイルバッテリーは、2018年2月から電気用品安全法の対象で、製造・輸入の事業者は技術基準に合わせ、PSE マークと届出事業者名を表示します。2022年12月には、上限の充電電圧を超えて発火するのを防ぐ電圧の監視の要件がはっきりし、経過措置(2年)は2024年12月に終わりました。電池の規格として IEC 62133-2・JIS C 62133-2 を挙げ、機器の側は IEC 62368-1・JIS C 62368-1 の適用が望ましいとしています。
輸送・回収・海外の規制
国土交通省は、2026年4月24日から、モバイルバッテリーの機内への持ち込みを2個まで(160Wh 以下)とし、機内での充電と、モバイルバッテリーからほかの機器への充電を禁止しました(預けた荷物に入れることは前から禁止)。回収では、環境省の資料によると、2026年4月1日に施行された改正資源有効利用促進法で、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池を使った製品などが「指定再資源化製品」の対象に挙がっています。
欧州では電池規則(Regulation (EU) 2023/1542)にもとづき、欧州委員会は、EV 用、電動自転車などの軽車両用、家庭用の蓄電池、産業用の電池に、2027年2月18日から「バッテリーパスポート」(電池の電子の記録)を求めるとしています。同委員会の FAQ は、2027年2月の時点ではカーボンフットプリント・リサイクル材・デューデリジェンスの情報はまだ求めないとしています。輸送の試験(UN38.3)や梱包の条件は、運送会社と輸出先の最新の規則で確かめてください。
出典:モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて(2026年4月14日)|国土交通省、改正資源有効利用促進法の施行に向けた関係法令の整備について(2026年3月)|環境省、Batteries(Digital Product Passport)|欧州委員会、EU Digital Product Passport FAQ for Batteries|欧州委員会
劣化と寿命
保管の温度と充電量で、減り方が変わる
Battery University の推定では、1年後に残る容量は、40%充電で 25℃なら 96%、満充電で 25℃なら 80%、満充電で 40℃なら 65%です。満充電と高温が重なるほど減りやすくなります。同サイトは 30℃を超える温度を高温、1セル 4.10V を超える電圧を高い電圧としています。実験室の値で、現場ではこのとおりにならないことも注記しています。

出典:Battery University の「How to Prolong Lithium-based Batteries」の表をもとに AI(Claude)で作成
出典:BU-808: How to Prolong Lithium-based Batteries|Battery University
充放電の温度と劣化の原因
ドイツの ZSW などの2024年の論文(Journal of Power Sources)は、0〜45℃で温度を変えた36通りの試験から、低温では負極へのリチウムの析出が、高温では SEI の成長が劣化の主な原因で、寿命がいちばん長くなるのは両者が交わる約25℃だったと報告しています。先に高温で使うと、低温でのリチウムの析出が始まる温度が下がり、最適な温度が20℃にずれた例もありました(特定のセルでの結果です)。

出典:Journal of Power Sources(2024年)の論文・Battery University の「Charging at High and Low Temperatures」をもとに AI(Claude)で作成
低温での充電
Battery University は、民生用のリチウムイオン電池は 0℃未満で充電しない。充電できているように見えても負極に金属リチウムが析出し、性能と安全性が戻らない形で下がるとしています。よい結果を得るには 10〜30℃で充電すること、急速充電は 5〜45℃としています。低温で使う機器は、充電の前に温める、低温では充電の電流を下げる、などを BMS(電池の管理回路)に組み込みます。
出典:BU-410: Charging at High and Low Temperatures|Battery University
劣化を抑える使い方
出典の内容から、劣化を抑える基本は、①高温に置かない・熱を逃がす、②使わないときは満充電で置かない、③低温で充電しない、④データシートの電流と電圧の範囲で使う、の4つです(編集部の整理)。対策の詳しい手順は、課題「電池の劣化を抑えたい」にあります。
研究からわかること
LFP が燃えにくい理由
Argonne 国立研究所の Amine の講演資料は、熱暴走では正極の熱分解が主役で、分解で出す酸素が少ない正極ほど安全で、酸素の出にくさは LiFePO4 > LiMn2O4 > NMC > NCA > LiCoO2 の順としています。正極から出た酸素が電解液を燃やすので、酸素を出さない LFP は燃え広がりにくくなります。
出典:Khalil Amine(Argonne National Laboratory)の講演資料|Collège de France

出典:永井みつるのキギョズム研究室 (企ギョズム)(YouTube)
全固体電池(NEDO の SOLiD-Next)
NEDO は、2023〜2027年度の「SOLiD-Next」で、全固体電池の材料の評価と基盤の技術を開発しています。中間評価の事業概要によると、目標は、EV で 30万km 走ることを想定した充放電の試験のあとに容量を70%以上保つことで、そのときの電池の性能の目安はエネルギー密度 450Wh/L、急速充電 6C です。2030年ごろの本格的な実用化を目標にしています。製品への採り入れ方は課題「全固体電池など次世代電池を製品に採り入れたい」にあります。
出典:次世代全固体蓄電池材料の評価・基盤技術開発(SOLiD-Next)中間評価 事業概要|NEDO
リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)
LFP の鉄の一部をマンガンに置き換えた LMFP は、約4.1V の電圧の段が加わるので、理論のエネルギー密度が LFP の約578Wh/kg から 646Wh/kg 超に上がると、2025年の総説(Energy Materials)は説明しています。課題として、電気の通りにくさ、マンガンの溶け出し、黒鉛と組み合わせたときのガスの発生(LFP より約30%多い)、4.1V の段も平らで充電の終わりを見分けにくいことを挙げています。数値は理論値です。
出典:Jung ほか「Lithium manganese iron phosphate rechargeable batteries」Energy Materials 5(2025年)
ナトリウムイオン電池
JST の GteX の蓄電池の領域では、東京理科大学の駒場慎一らが、資源の制約がないナトリウムを使う電池を研究しています。JST のページは、リチウムの価格の変動と産出の偏り、コバルト・ニッケル・銅のコストを避けられることを、ナトリウムイオン電池の利点として挙げています。
出典:GteX 蓄電池領域 研究開発課題(駒場慎一)|JST
トラブルと対策
よくあるトラブルと、まず見るところ
| 症状 | まず見るところ |
|---|---|
| 電池がふくらんだ | ガスの発生・高温・過充電。使用をやめる |
| 容量が早く減る | 温度・満充電での保管・充電電流 |
| 冬に充電できない・容量が出ない | 0℃未満の充電の禁止・ヒーター |
| 発熱・発火した | 内部短絡・過充電・衝撃・非純正の充電器 |
| 残量表示がずれる(LFP) | 電圧が平らな範囲・電流の積算 |
| 輸送で止められた | UN38.3 の試験・Wh・梱包 |
表は、このページの出典をもとに編集部が整理したものです。まず「温度」「充電の条件(電圧・電流)」「衝撃・つぶれ」の3つを確かめます。
熱暴走:内部短絡から発火まで
MONOist の解説記事は、熱暴走の進み方の目安を、約80℃で電極と電解液が反応して発熱し、約140℃でセパレーターが縮んで内部短絡が広がり、約200〜300℃で正極が分解して酸素を出し、660℃を超えると正極のアルミ箔が溶け始めると説明しています。京都市消防局の資料は、きっかけとして、衝撃や強い力でセパレーターが壊れて正極と負極が触れる、過充電で負極にリチウムが針状に析出してセパレーターを突き破る、過放電で溶け出した銅が次の充電で析出して短絡する、の3つを挙げています。

出典:MONOist の解説記事(模式図)をもとに AI(Claude)で作成
出典:今こそ知りたい電池のあれこれ(16) ショートしてから発火するまで|MONOist、リチウムイオン電池の仕組み|京都市消防局、Khalil Amine(Argonne National Laboratory)の講演資料|Collège de France
対策の詳しい手順(セルの選び方、BMS、冷却、延焼を防ぐ仕切り、試験)は、課題「電池の熱暴走・発火を防ぎたい」にあります。

出典:NITE official(YouTube)
ふくらみ(膨れ)
Battery University は、ラミネートの小形セルが500サイクルで8〜10%、厚さ 5mm の角形のセルが500サイクル後に 8mm までふくらむ例を挙げ、ふくらみに備えた支えと押さえが必要としています。ふくらんだ電池は中でガスが出ているので、使い続けずに交換します。機器の側では、ふくらみの分のすき間を空け、電池を押さえる力を設計に入れます(編集部の補足)。
出典:BU-301a: Types of Battery Cells|Battery University
低温で充電できない・容量が出ない
0℃未満の充電はリチウムの析出につながるので、BMS で温度を見て充電を止めるか、温めてから充電します(低温での充電)。低温では放電の容量も下がるので、寒い所で使う機器は、低温での放電のデータをメーカーに確かめます(編集部の補足)。
出典:BU-410: Charging at High and Low Temperatures|Battery University
事例:電池の選び方と安全が関わった例
企業の発表、国の機関の報告書と発表から、電池の種類の選び方と安全が関わる例を集めました。
EV の標準グレードを LFP に切り替え(2021年)
Tesla は2021年10月の決算の資料で、標準の航続距離の車の電池を、世界で LFP に切り替えていると書きました。航続距離が長い上の車種ではなく、標準の車種で LFP を選んだ例です。
出典:Tesla Third Quarter 2021 Update(SEC 提出資料)|Tesla
軽 EV 用の LFP 電池を国内で量産へ(2024年)
日産自動車は2024年9月、車に載せる LFP 電池の開発と量産の計画が経済産業省に認定されたと発表しました。国内で 5GWh の生産能力をつくり、2028年度から軽 EV に載せる計画です。
出典:Nissan’s development and mass production of in-vehicle LFP batteries certified(2024年9月6日)|日産自動車
鉄道の非常走行・回生にチタン酸リチウム電池
東芝の導入事例のページによると、負極にチタン酸リチウムを使う SCiB が、JR 東海の N700S のバッテリー自走システム、東京メトロ銀座線の非常走行用電源、東武鉄道の回生電力貯蔵装置などに使われています。大きな電流の出し入れと急速充電が求められる用途です。
出典:SCiB 導入事例:鉄道|東芝、日野自動車新型車両の二次電池 SCiB の採用について(2019年5月30日)|東芝(Digital PR Platform)
ボーイング787のバッテリーの熱暴走(2013年)
2013年1月、全日空のボーイング787が、メインバッテリーの不具合で高松空港に緊急着陸しました。運輸安全委員会の報告書(2014年)は、1つのセルの内部の発熱が起点となって熱が隣のセルに伝わり、熱暴走に至ったと推定しました。ふくらんだセルのケースが金具に触れ、アース線を通じた短絡とアーク放電が熱の伝わりを助けたとも推定し、内部短絡の発生のしくみは特定できなかったとしています。開発のときの試験が、機体に装備した状態を適切に模擬しておらず、内部短絡の影響が小さく見積もられたことが関与したと考えられる、としています。
出典:航空重大インシデント調査報告書 AI2014-4(全日本空輸 ボーイング787-8型 JA804A)|運輸安全委員会

出典:運輸安全委員会の報告書(模式図)をもとに AI(Claude)で作成
スマートフォンの電池が発火してリコール(2016年)
米国の消費者製品安全委員会(CPSC)は2016年、Samsung の Galaxy Note7 のリコールを交換品まで広げ、米国で約190万台としました。Samsung の会見で示された Exponent の資料は、一方の製造元のセルはパウチの設計が電極に十分な空間を与えず角で負極が傷んだこと、もう一方は正極タブの溶接の不良が、内部短絡の最も可能性が高い原因としています。
出典:Samsung Expands Recall of Galaxy Note7 Smartphones(2016年10月)|米国消費者製品安全委員会(CPSC)、Galaxy Note7 Investigation Root Cause Analysis(2017年1月23日)|Exponent(Samsung の記者会見の資料)
電池の火災が過去最多(2025年)
東京消防庁は2026年7月、リチウムイオン電池を載せた製品から出た火災が、2025年に管内で過去最多の382件だったと発表しました。製品ではモバイルバッテリーが最も多く、充電中が174件、充電していない待機中も143件ありました。NITE は、2021〜2025年の5年間に通知されたリチウムイオン電池を載せた製品の事故が2,140件で、8月に最も多いとしています。環境省の市町村などへの調査では、2025年度にリチウムイオン電池などが原因と疑われる火災事故など(発煙・発火を含む)が39,282件ありました。
出典:リチウムイオン電池関連火災の件数が過去最多(2026年7月13日)|東京消防庁、「夏バテ(夏のバッテリー)」にご注意を(2026年7月15日)|NITE、市町村におけるリチウムイオン電池等の処理状況調査結果(令和7年度実績)及び関連事例集の公表について(2026年9月29日)|環境省
1〜3件目は企業の発表、4件目は国の機関の報告書、5件目は米国の機関の発表と企業の会見の資料、6件目は国の機関の発表です(編集部の整理)。
企業紹介(リチウムイオン電池の技術)
セルのメーカーから、リン酸鉄・チタン酸リチウムの電池、産業用のモジュール、パック・BMS と評価、置き換えのパックまで、得意分野の違う会社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。各社のサイトの画像は使わず、公開されている情報をもとに図にしました。
相談する前に整理すること
電池のメーカー・パックの会社・評価の会社に相談するときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。
- 使い道:機器の種類と、負荷の動き方(一定・断続・パルス)
- 電圧・容量:必要な V・Ah・Wh
- 電流:連続とピークの放電、充電の時間
- 温度:使う所の最高・最低、充電する所の温度
- 寿命:何回・何年使うか
- 大きさ・重さ:入る空間と重さの上限
- 数量:試作と量産の数
- 規格・輸送:販売する地域、航空で運ぶか
困りごとごとの相談先
| 困りごと | 相談先の種類 | このページで紹介した会社 |
|---|---|---|
| 円筒形のセルで、高容量・高出力の機器を作りたい | セルのメーカー | パナソニック エナジー |
| 急速充電・長寿命・低温の電池を使いたい | チタン酸リチウムの電池のメーカー | 東芝 |
| LFP のセル・モジュール・蓄電システムを使いたい | LFP の電池のメーカー | 村田製作所・エリーパワー |
| AGV・バックアップ電源用の産業用モジュールを使いたい | 産業用の電池のメーカー | GSユアサ |
| 自社の形・電圧のパックと BMS を作りたい・評価を頼みたい | パック・評価の会社 | 東洋システム |
| 鉛蓄電池・ニカド電池を LFP に置き換えたい | 置き換えのパックの会社 | 日本蓄電池 |
各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。各社の紹介は下にあります。
| 会社 | セル | LFP | LTO | モジュール | 蓄電 システム | パック・ BMS | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| パナソニック エナジー円筒形のセル(大阪府守口市) | ● | ||||||
| 東芝チタン酸リチウムの SCiB(神奈川県川崎市) | ● | ● | ● | ● | |||
| 村田製作所LFP の FORTELION(京都府長岡京市) | ● | ● | ● | ● | |||
| エリーパワー大型 LFP と蓄電システム(東京都品川区) | ● | ● | ● | ||||
| GSユアサ産業用モジュール(京都府京都市) | ● | ||||||
| 東洋システムパック・BMS・評価(福島県いわき市) | ● | ● | |||||
| 日本蓄電池鉛・ニカドの置き換え(石川県白山市) | ● | ● |
●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。
パナソニック エナジー株式会社|高容量・高率放電・標準の円筒形セル
パナソニック エナジーとは
大阪府守口市に本社を置く会社です(同社の会社概要)。一次電池・二次電池を開発・製造・販売し、リチウムイオン電池では円筒形・角形・パウチ(ラミネート)を扱っています。

出典:パナソニック エナジーの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
パナソニック エナジーの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 円筒形(3タイプ) | 高容量(中率放電)・高率放電・標準。例:UR18650A(標準)は公称 3.60V、容量 typ. 2,250mAh(同社の仕様) |
| 角形・パウチ | 角形は高容量・高電圧・標準、パウチは高電圧のタイプ(同社のページ) |
| 高率放電タイプ | 大電流の放電・急速充電・長いサイクル寿命・低い内部抵抗を特長にすると同社は説明 |
円筒形のセルは単体で一般に販売せず、専用に設計したシステムで使う前提としています。
パナソニック エナジーが解決できる課題
- 電動工具・産業機器のように大きな電流が要る機器で、高率放電のセルを選びたい
- 機器の大きさ・重さに合わせて、円筒・角形・パウチから形を選びたい
公開されている実績・用途
- 電動アシスト自転車・電動バイク・ロボット(高容量)、電動工具・コードレスクリーナー(高率放電)、家電・携帯機器(標準)(同社サイト)
出典:会社概要|パナソニック エナジー、Lithium Ion Batteries|Panasonic Energy、UR18650A 円筒形リチウムイオン電池(標準タイプ)|パナソニック エナジー、Cylindrical type Lithium ion Batteries (High Rate Discharge type)|Panasonic Energy
株式会社東芝|負極にチタン酸リチウムを使う SCiB
東芝とは
神奈川県川崎市幸区に本店を置く会社です(同社の会社概要)。二次電池 SCiB をセル・モジュール・システムで扱い、負極にチタン酸リチウムを使うことで急速充電と長寿命を特長にしています(同社の発表)。

出典:東芝の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
東芝の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 大容量タイプ 20Ah セル | 公称 2.3V、176Wh/L・89Wh/kg。過酷な条件で2万回の充放電後も容量70%以上、約6分で約80%を充電、−30℃で充放電できると同社は説明 |
| 高入出力タイプ 10Ah セル | 公称 2.4V、出力 1,800W(SOC 50%、10秒、25℃の計算値)。大電流の充放電を4万回以上で容量80%以上と同社は説明 |
| 次の負極(SCiB Nb) | 負極にニオブチタン酸化物(NTO)を使う電池のサンプルを受け付けている |
数値は保証値ではなく、使う条件で変わると同社は注記しています。
東芝が解決できる課題
- AGV・AMR などで、充電の待ち時間と電池の寿命を両立したい
- 氷点下でも充放電できる電池が要る
公開されている実績・用途
- ハイブリッド車・EV バス・鉄道・電動フェリー・AGV/AMR・UPS・電力システムなど(同社サイト)
出典:会社概要|東芝、二次電池 SCiB|東芝、SCiB 大容量タイプセル|東芝、SCiB 高入出力タイプセル|東芝、日野自動車新型車両の二次電池 SCiB の採用について(2019年5月30日)|東芝(Digital PR Platform)
株式会社村田製作所|リン酸鉄(LFP)の FORTELION のセル・モジュール・蓄電システム
村田製作所とは
京都府長岡京市に本社を置く電子部品のメーカーです(同社の本社のページ)。円筒形のリチウムイオン二次電池を扱い、オリビン型リン酸鉄を使う FORTELION のモジュールと蓄電システムをそろえています。

出典:村田製作所の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
村田製作所の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| LFP の円筒セル | US26650FTC1A は公称 3.2V・3,000mAh・連続最大放電 25A(同社の一覧。NRND の表記あり) |
| FORTELION 24V モジュール | 25.6V・21Ah・537Wh、連続 60A、最大充電 42A(2C)。10年以上の長寿命が期待できると同社は説明 |
| FORTELION バッテリシステム | 15年以上の長寿命が期待できると説明。2019年にセルが原因の火災のリスクを検証する UL9540A のレポートを国内で初めて取得 |
村田製作所が解決できる課題
- AGV・ロボットの電源を鉛蓄電池から置き換え、寿命と充電時間を改善したい
- 瞬時の電圧低下の対策・短時間のバックアップに、安全性の高い電池を使いたい
公開されている実績・用途
- サービス・セキュリティロボット、AGV、電動フォークリフト(2020年の発表)、バックアップ電源・瞬時電圧低下対策(同社サイト)
出典:本社|村田製作所、円筒形リチウムイオン二次電池|村田製作所、FORTELION 24V バッテリモジュール|村田製作所、FORTELION バッテリシステム|村田製作所、FORTELION 24V バッテリモジュールのニュース(2020年4月21日)|村田製作所
エリーパワー株式会社|大型のリン酸鉄電池と、産業用・住宅用の蓄電システム
エリーパワーとは
東京都品川区に本社を置き、2006年に設立された会社です(同社の会社概要)。大型のリチウムイオン電池と蓄電システムを開発・製造・販売しています。

出典:エリーパワーの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
エリーパワーの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 大型の LFP 電池 | 正極材料に熱安定性に優れたリン酸鉄を採用したと同社は説明 |
| 産業用の Power Storager GX | 蓄電容量 22.5〜1,006.3kWh(同社のページ) |
| 性能の表示 | −20℃の寒冷地と60℃の環境でも充放電の性能が落ちないと同社は表示(動作の保証の範囲ではない) |
エリーパワーが解決できる課題
- 工場・施設に産業用の蓄電システムを入れたい
- 停電・災害のときの非常用電源を LFP の電池で確保したい
公開されている実績・用途
- 停電・災害時の非常用電源、V2H、BEV 軽トラックの実証への参加(同社サイト)
出典:会社概要|エリーパワー、Power Storager GX|エリーパワー、エリーパワー 公式サイト
株式会社GSユアサ|AGV やバックアップ用の産業用リチウムイオン電池モジュール
GSユアサとは
京都市南区に本社を置く会社です(同社の会社概要)。自動車用・産業用の電池、電源システムなどを作り、航空・宇宙・海洋用のリチウムイオン電池も手がけています。

出典:GSユアサの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
GSユアサの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| LIM50EL シリーズ | 定格容量 48.5Ah(0.2C)、公称 30.4V(8セル)・45.6V(12セル) |
| 寿命 | サイクル寿命 11,000サイクル、フロート寿命15年(いずれも 25℃)と同社は発表 |
| 使う温度 | 周囲 −20〜45℃(モジュールの温度で充電の電流を制限) |
GSユアサが解決できる課題
- AGV など、充放電を繰り返す電源を長く使いたい
- 停電のときのバックアップで、長く待機したあとも容量を保ちたい
公開されている実績・用途
- AGV などのサイクル用途、停電時のバックアップ(同社の発表)。宇宙ステーション補給機などへの搭載も掲載(同社サイト)
出典:会社概要|GSユアサ、産業用リチウムイオン電池モジュール LIM50EL の発表|GSユアサ、航空・宇宙・海洋用リチウムイオン電池|GSユアサ
東洋システム株式会社|電池パックと BMS の受託、充放電・安全性の評価
東洋システムとは
福島県いわき市と横浜市に本社を置き、1989年に設立された会社です(同社の会社概要)。二次電池の試験・評価の装置で電池の開発を支え、電池パックの OEM 供給と受託の評価もしています。

出典:東洋システムの公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
東洋システムの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 電池パック | 国内メーカーのセルを使い、用途に合わせて OEM 供給。保護回路は二重。UL2054・IEC 62133・BIS の取得実績があると同社は説明 |
| BMS-Make | 最大96直列のシステムを組める。CAN・RS422 などの通信、抵抗放電のセルバランス、電流センサーによる SOC の算出 |
| 評価 | 充放電評価装置 TOSCAT、安全性評価装置 TOSMAC、受託評価 |
東洋システムが解決できる課題
- 自社の機器専用の形・電圧のパックと BMS を設計してほしい
- 試作の段階で、充放電の評価・安全性の試験を外に頼みたい
出典:会社概要|東洋システム、電池パック|東洋システム、充放電評価装置 TOSCAT|東洋システム、受託評価|東洋システム
株式会社日本蓄電池|鉛蓄電池・ニカド電池からリン酸鉄への置き換えパック
日本蓄電池とは
石川県白山市に本社を置く会社です(同社の会社概要)。蓄電池の製造・販売とアルカリ蓄電池のメンテナンスをし、リン酸鉄リチウムのセルに BMS を載せた鉛蓄電池の代わりの電池などを扱っています。

出典:日本蓄電池の公式サイトをもとに AI(Claude)で作成
日本蓄電池の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 12V の鉛代替パック | 75Ah・50Ah・38Ah の3タイプ(同社のページ) |
| 仕様 | 100%放電で800サイクル、使う温度 5〜40℃、IEC 62133 に準拠と同社は説明 |
| AGV 用 | ニッケルカドミウム電池の代わりのリチウム電池 |
日本蓄電池が解決できる課題
- 鉛蓄電池を使う設備を、本体や充電器をそのまま使ってリチウムに置き換えたい
- AGV のニカド電池の劣化とメンテナンスの手間を減らしたい
公開されている実績・用途
- 動力用の鉛蓄電池の置き換え、AGV 用のニカド電池の置き換え(同社サイト)
出典:会社概要|日本蓄電池、鉛蓄電池代替リチウム電池|日本蓄電池、AGV 用ニカド電池代替リチウム電池|日本蓄電池
よくある質問
種類と選び方
- リン酸鉄(LFP)と三元系(NMC)は、どう違いますか?
- Battery University の表では、比エネルギーは NMC が 150〜220 Wh/kg、LFP が 90〜120 Wh/kg で NMC が軽く、熱暴走の目安の温度は LFP 270℃・NMC 210℃、サイクル寿命は LFP 2,000回以上・NMC 1,000〜2,000回で LFP が有利です(種類ごとの特性の比較)。
- LFP の弱点は?
- 公称電圧が 3.2V 前後と低く比エネルギーが小さいので、同じエネルギーでは重く大きくなります。電圧が平らで、電圧だけで残量を読みにくい点にも注意します(LFP は電圧が平らで、残量を読みにくい)。
- チタン酸リチウム(LTO)はどんなときに使いますか?
- 急速充電・大電流の出し入れ・何万回もの充放電・低温が求められる用途です。公称電圧は 2.4V で比エネルギーは小さくなります。鉄道やハイブリッド車の例があります(チタン酸リチウム(LTO)とシリコンの負極・事例:電池の選び方と安全が関わった例)。
- LFP なら燃えませんか?
- LFP は正極が分解しても酸素を出しにくく燃えにくい電池ですが、熱暴走が起きないわけではありません。保護回路・熱の設計・延焼を防ぐ配置は必要です(リン酸鉄(LFP)・熱暴走:内部短絡から発火まで)。
寿命・使い方・規制
- リチウムイオン電池は何年もちますか?
- 使い方と温度で大きく変わります。Battery University の目安では、25℃で40%充電なら1年後に96%、満充電なら80%が残ります。メーカーのサイクル寿命・年数は試験の条件つきで比べます(劣化と寿命)。
- 寒い所で充電してよいですか?
- 一般の民生用の電池は 0℃未満で充電しません。負極に金属リチウムが析出して、性能と安全性が戻らない形で下がるためです(低温での充電)。
- モバイルバッテリーを製品に付けて売るときの規制は?
- 体積エネルギー密度 400Wh/L 以上のリチウムイオン蓄電池を使うモバイルバッテリーは電気用品安全法の対象で、PSE マークと届出事業者名の表示が要ります(電気用品安全法(PSE)とモバイルバッテリー)。
- 電池が膨らんだら?
- 中でガスが出ている状態です。使い続けずに交換し、機器の側ではふくらみの分のすき間と押さえを設計に入れます(ふくらみ(膨れ))。
回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。
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出典・確認日
- リチウムイオン電池の仕組み|京都市消防局
- BU-205: Types of Lithium-ion|Battery University
- 名誉フェロー 吉野彰 スペシャルサイト|旭化成
- Global EV Outlook 2026: Electric vehicle batteries|IEA
- Khalil Amine(Argonne National Laboratory)の講演資料|Collège de France
- 日野自動車新型車両の二次電池 SCiB の採用について(2019年5月30日)|東芝(Digital PR Platform)
- BU-301a: Types of Battery Cells|Battery University
- FORTELION バッテリシステム|村田製作所
- Power Storager GX|エリーパワー
- LiFePO4 Battery SOC Estimation under OCV-SOC Curve Error Based on Adaptive Multi-Model Kalman Filter(arXiv:2410.23646、2024年)
- BU-410: Charging at High and Low Temperatures|Battery University
- SCiB 大容量タイプセル|東芝
- Lithium Ion Batteries|Panasonic Energy
- 二次電池 SCiB|東芝
- FORTELION 24V バッテリモジュール|村田製作所
- エリーパワー 公式サイト
- 産業用リチウムイオン電池モジュール LIM50EL の発表|GSユアサ
- 航空・宇宙・海洋用リチウムイオン電池|GSユアサ
- 鉛蓄電池代替リチウム電池|日本蓄電池
- IEC 62133-2:2017|IEC Webstore
- IEC 62619:2022|IEC Webstore
- リチウムイオン蓄電池 事業者向け(製造)|消防庁
- モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて(2026年4月14日)|国土交通省
- 改正資源有効利用促進法の施行に向けた関係法令の整備について(2026年3月)|環境省
- Batteries(Digital Product Passport)|欧州委員会
- EU Digital Product Passport FAQ for Batteries|欧州委員会
- BU-808: How to Prolong Lithium-based Batteries|Battery University
- Feinauer ほか「Temperature-driven path dependence in Li-ion battery cyclic aging」Journal of Power Sources 594(2024年)
- 次世代全固体蓄電池材料の評価・基盤技術開発(SOLiD-Next)中間評価 事業概要|NEDO
- Jung ほか「Lithium manganese iron phosphate rechargeable batteries」Energy Materials 5(2025年)
- GteX 蓄電池領域 研究開発課題(駒場慎一)|JST
- 今こそ知りたい電池のあれこれ(16) ショートしてから発火するまで|MONOist
- Tesla Third Quarter 2021 Update(SEC 提出資料)|Tesla
- Nissan’s development and mass production of in-vehicle LFP batteries certified(2024年9月6日)|日産自動車
- SCiB 導入事例:鉄道|東芝
- 航空重大インシデント調査報告書 AI2014-4(全日本空輸 ボーイング787-8型 JA804A)|運輸安全委員会
- Samsung Expands Recall of Galaxy Note7 Smartphones(2016年10月)|米国消費者製品安全委員会(CPSC)
- Galaxy Note7 Investigation Root Cause Analysis(2017年1月23日)|Exponent(Samsung の記者会見の資料)
- リチウムイオン電池関連火災の件数が過去最多(2026年7月13日)|東京消防庁
- 「夏バテ(夏のバッテリー)」にご注意を(2026年7月15日)|NITE
- 市町村におけるリチウムイオン電池等の処理状況調査結果(令和7年度実績)及び関連事例集の公表について(2026年9月29日)|環境省
- 会社概要|パナソニック エナジー
- UR18650A 円筒形リチウムイオン電池(標準タイプ)|パナソニック エナジー
- Cylindrical type Lithium ion Batteries (High Rate Discharge type)|Panasonic Energy
- 会社概要|東芝
- SCiB 高入出力タイプセル|東芝
- 本社|村田製作所
- 円筒形リチウムイオン二次電池|村田製作所
- FORTELION 24V バッテリモジュールのニュース(2020年4月21日)|村田製作所
- 会社概要|エリーパワー
- 会社概要|GSユアサ
- 会社概要|東洋システム
- 電池パック|東洋システム
- 充放電評価装置 TOSCAT|東洋システム
- 受託評価|東洋システム
- 会社概要|日本蓄電池
- AGV 用ニカド電池代替リチウム電池|日本蓄電池
※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図は転載していません。電圧・容量・寿命・温度の数値は各社の製品や資料の目安で、測り方と前提が違うため、資料をまたいで細かく比べないでください。
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。
情報の確認日:2026年10月28日 本ページの内容は一般的な情報です。電池の選定・使用の判断は、メーカーの資料と試験で確かめてください。各社の製品・サービスは、その会社の公開情報にもとづきます。

