3D CAD は、部品や製品の形を、コンピュータの中に立体のモデルとして作る設計の道具です。立体から図面を作り、干渉や質量を確かめ、そのままCAE(解析)・CAM(加工)・3D プリンタへデータを渡せます。いっぽうで、3D のモデルは面のデータを含んで情報量が多く、CAD どうしのデータの受け渡しがうまくいかないことがあるのが悩みです。
出典:2D CADと3D CAD、設計環境としての“違い”とは?(テルえもんの3Dモノづくり相談所 2、2021年)|MONOist(ITmedia)
この記事では、2D CAD との違いから、種類と選び方、データ形式と受け渡しのトラブル、3DA モデルと MBD、国内の普及と事例までを、図と表で順に説明します。
知りたいことから読む
- 2D CAD との違い・3D にすると何が変わるか → 3D CAD の基本
- どの 3D CAD を選べばいいか分からない → 種類と選び方
- STEP・IGES・JT など、どの形式で渡せばいいか → データ形式と変換
- 受け取ったデータで面が抜ける・開けない・重い → 受け渡しのトラブルと対策
- 3D 単独図・3DA・MBD の意味と規格 → 3DA モデルと MBD
- 導入が進まない・ほかの会社はどうしているか → 普及の現状と事例
- 3D で設計するときに社内でそろえること → 設計で確かめること
- 相談先・頼み先を知りたい → 企業紹介
症状から探す
| 症状 | 考えられる原因 | 対策を書いた所 |
|---|---|---|
| 受け取った STEP・IGES で面が抜ける | 面の品質(PDQ)、CAD ごとのトレランスの違い | 受け渡しで、形が欠ける理由 |
| 取引先の CAD で開けない | CAD の種類・版の違い、出力した形式 | データ形式と変換、受け渡しのトラブル |
| 図面とモデルの寸法が合わない | 2D 図面の直し忘れ、どちらが正か決まっていない | 3DA モデルと MBD |
| 寸法を変えたらモデルが崩れる | ヒストリーの参照先・拘束の付け方 | 作り方:ヒストリーベースとダイレクトモデリング |
| 大きな装置のデータが重い | 部品点数、表示の方法、軽量形式を使っていない | 軽量形式で、設計以外の部署も使う |
| 3D にしたのに後工程が図面のまま | 公差・注記がモデルに入っていない | 3DA モデルと MBD |
| CAD を選べない・導入が進まない | 何を作るか・受け渡しの条件が決まっていない | 種類と選び方 |
このページの出典をもとに編集部が整理したものです。リンクを押すと、対策を書いた所へ移ります。
3D CAD の基本
2D CAD と 3D CAD の違い
MONOist の解説は、2D と 3D の違いを次のように整理しています。寸法の確認は平面の 2D 図面のほうが、形の把握は立体の 3D モデルのほうがしやすい。2D 図面では正面図と側面図が合わない、線を描き忘れるといった図面のミスが起きやすく、形の正確さは干渉や質量をすぐ確かめられる 3D CAD のほうが優れる。3D のデータは CAE・CAM・3D プリンタへ展開しやすい。いっぽうで、3D CAD は一般に高価で習得に時間がかかり、高い性能の PC が要り、面のデータを含むので受け渡しがうまくいかないケースもある、としています。

出典:MONOist「2D CADと3D CAD、設計環境としての“違い”とは?」をもとに AI(Claude)で作成
出典:2D CADと3D CAD、設計環境としての“違い”とは?(テルえもんの3Dモノづくり相談所 2、2021年)|MONOist(ITmedia)
モデルの表し方:ソリッド・サーフェス・メッシュ
3D のモデルには表し方がいくつかあります。MONOist の解説は、サーフェスを面だけで構成された厚みゼロの「体積情報がないモデル」とし、機械部品はふつうソリッドモデリングで設計するものの、曲線のあるデザイン形状ではソリッドに限界があり、サーフェスモデリングが要るとしています。3D プリンタや 3D スキャンでよく使う STL は三角形の集まり(メッシュ)で、3MF Consortium は、STL は色や材料の情報を持てず、メッシュのつながり(トポロジー)を保存しないため、丸め誤差で閉じた形が崩れることがあると説明しています。

出典:MONOist のサーフェスモデリングの解説・3MF Consortium の FAQをもとに AI(Claude)で作成
出典:3D CADのサーフェスモデリングの用途がイマイチ分からない……(テルえもんの3Dモノづくり相談所 6)|MONOist(ITmedia)、FAQ(STL と 3MF の違い)|3MF Consortium
形を計算する「カーネル」
3D CAD の中で、立体の形を計算する部分を形状カーネルと呼びます。たとえばシーメンスの Parasolid は、200 社を超えるソフトウェア会社にライセンスされ、ソリッドモデリング・ダイレクト編集・自由曲面のモデリングに対応し、Parasolid XT 形式でモデルを受け渡せる、としています。同じカーネルを使う CAD どうしは、形を受け渡しやすくなります(編集部の解説)。
種類と選び方
ハイエンド・ミッドレンジ・国産の専門 CAD・クラウド
3D CAD は、大規模な製品開発向けのハイエンド、機械・部品設計向けのミッドレンジ、機械装置や金型に特化した国産の専門 CAD、クラウドで使う低価格の CADに分けると見通しがよくなります。決まった基準のある分け方ではなく、価格・規模・機能での目安です(編集部の整理)。
| 種類 | 例(開発元) | 向いている場面 | 確かめること |
|---|---|---|---|
| ハイエンド | CATIA(ダッソー・システムズ)、NX(シーメンス)、Creo(PTC) | 自動車・航空機など大規模な開発、PLM と一体の運用 | 発注元の指定、版、教育の体制 |
| ミッドレンジ | SOLIDWORKS(ダッソー・システムズ)、Solid Edge(シーメンス)など | 機械・装置・部品の設計 | 取引先と渡せる形式、CAE・CAM の連携 |
| 国産・業界特化 | iCAD SX(iCAD、機械装置)、CADmeister(UEL、金型) | 部品点数の多い装置、プレス・射出成形の金型 | 業界の作法に合う機能、サポート |
| クラウド・低価格 | Onshape(PTC)、Autodesk Fusion など | 小さく始める、拠点をまたいで共同で設計 | データの置き場所、社内の規定 |
製品名は例で、優劣を示すものではありません。各製品の位置づけは各社の説明と編集部の整理によるものです。
出典:CATIA|ダッソー・システムズ、SOLIDWORKS|ダッソー・システムズ、CADとCAMを統合したNXソフトウェア|Siemens、Creo CAD ソフトウェア|PTC、Onshape|PTC、iCAD株式会社(会社情報・製品情報)、3次元CAD/CAM/CAEシステム「CADmeister 2026」を販売開始(2026年9月28日)|UEL株式会社
作り方:ヒストリーベースとダイレクトモデリング
多くの機械用 3D CAD は、スケッチ・押し出し・穴・フィレットといった操作の順番(履歴)を残し、寸法を変えると形を作り直すヒストリーベース(パラメトリック)の作り方をとります。これに対してダイレクトモデリングは、面を押す・引く・ドラッグして形を変え、履歴に縛られないので、他の CAD で作ったモデルの修正も同じ操作でできる方式です。Hexagon はセミナーで、ヒストリーベースは川上(製品設計)で有用、川下(製造現場)の修正作業にはダイレクトモデリングが合うとし、ヒストリーベースから置き換えた自動車部品メーカーでモデルの修正工数を約 30%短縮した例を紹介しています。

出典:MONOist のセミナーレポート(Hexagon)をもとに AI(Claude)で作成
出典:ダイレクトモデリングのセミナーレポート(Hexagon、2024年)|MONOist(ITmedia)
何を設計するかから選ぶ
選ぶときは、取引先と同じ形式・同じ版で渡せるかと、何を設計するか(部品・装置・金型・外装)から絞ると迷いにくくなります。
| こんなとき | まず確かめること |
|---|---|
| 自動車・航空機のサプライヤーとして設計する | 発注元の指定 CAD・版・PLM・3DA の要件 |
| 部品点数の多い機械装置・ライン | 大規模アセンブリの軽さ・配管・鋼材の機能 |
| プレス・射出成形の金型 | 金型専用の機能・CAM との一体 |
| 曲面の多い外装・意匠 | サーフェスの機能・データの受け渡し |
| 部品・小物の設計を手早く始めたい | ミッドレンジ・クラウドの価格と教育 |
| 解析・加工までつなげたい | CAE・CAM との連携、中間形式の出力 |
| 社内でデータを広く見せたい | 軽量形式(JT・XVL)やビューアー |
このページの出典と各社の説明をもとに編集部が整理した目安です。
費用と導入の負担
大阪産業経済リサーチセンターの報告は、最も普及している 3次元 CAD の導入には約 100万円のコスト負担が必要で、負担の軽減策を考える必要があるとしています(2018年)。いっぽう MONOist の連載(2024年)は、「Autodesk Fusion」は年間 10万円以下で使え、CAE や CAM の機能も載っていると紹介しています。価格は版・契約で変わるので、各社に確かめてください。
出典:松下隆「デジタルものづくりによる付加価値向上イノベーション―設計開発フェーズに注目して―」(産業能率 2018年5・6月号)|大阪産業経済リサーチセンター、3D CAD利用動向調査から考える導入/活用の進め方(テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線 4、2024年)|MONOist(ITmedia)
3D で設計するときに社内でそろえること
3D で設計するとき、社内でそろえておきたい点です(このページの出典をもとに編集部が整理した項目です)。
- 受け渡し:取引先の CAD・版・形式(STEP の AP など)を先に決めた
- 基準:データムになる面・軸から、モデルを作った
- 意図:変わりうる寸法を、変数や拘束で持たせた
- 命名:部品名・材質・属性を入れた
- 公差:寸法・幾何公差・注記をモデルに入れた(3DA モデル)
- 品質:出力する前に、PDQ(面の抜け・すき間など)をチェックした
- 重さ:大きな組立は、分け方・簡略表示・軽量形式を決めた
- 版管理:改訂と承認の記録を残した
データ形式と変換、受け渡しのトラブル
ネイティブ・中立形式・軽量形式・メッシュ
3D のデータには、各 CAD のネイティブ形式、CAD をまたいで渡すための中立形式(STEP・IGES)、カーネルの形式(Parasolid の XT など)、閲覧や組立の指示に使う軽量形式(JT・XVL)、3D プリンタで使うメッシュ形式(STL・3MF)があります。
| 形式 | 中身 | 使う場面 | 注意 |
|---|---|---|---|
| ネイティブ | 履歴・拘束・属性まで | 同じ CAD・同じ版どうし | 版が違うと開けないことがある |
| STEP(ISO 10303) | 形状と製品情報。AP242 は公差などの PMI も | CAD をまたぐ受け渡し | 受け手が対応する AP(203・214・242)を確かめる |
| IGES | 古くからの中立形式 | 古いシステムとの受け渡し | 面のすき間などが入りやすい |
| Parasolid XT | Parasolid の形式 | 同じカーネルの CAD どうし | — |
| JT(ISO 14306 シリーズ) | 3D の表示用の形式 | 閲覧・組立指示・デザインレビュー | 設計の元データとは別に管理する |
| STL・3MF | 三角形のメッシュ(3MF は色・材料も) | 3D プリンタ・3D スキャン | STL は色・材料を持てない |
このページの出典をもとに編集部が整理したものです。
出典:ISO 14306:2017 JT file format specification for 3D visualization(規格の概要。2026年4月に廃止、ISO 14306-1〜4 に改訂)|Genorma、Parasolid|Siemens、FAQ(STL と 3MF の違い)|3MF Consortium
STEP AP242 が中心に
米国 NIST の資料によると、航空宇宙と自動車の産業界は、それぞれの規格(AP203「構成管理された 3D 設計」と AP214「自動車の機械設計プロセスのコアデータ」)を個別に改訂する代わりに、共同のプロジェクトで AP242「モデルベースの 3D エンジニアリング」にまとめ、2014年に発行しました。図面中心の PMI(寸法・公差などの製品製造情報)の交換から、モデルベースの交換へ移るのを支えるためです。STEP Tools も、AP242 は CAD のデータについて AP203e2 と AP214 を置き換えるとし、CAD の入出力には AP242 を選ぶよう勧めています。
出典:Model-based enterprise の STEP AP242 の資料(NIST AMS 100-51 の要旨)|米国 国立標準技術研究所(NIST)、ISO 10303 STEP Standards(AP242)|STEP Tools, Inc.
軽量形式で、設計以外の部署も使う
3D CAD のデータは大きく重いので、製造・サービス・営業など設計以外の部署で使うときは、軽量形式に変えることがあります。JT は ISO 14306(3D の表示のためのファイル形式)として規格になっています(2017年版は 2026年4月に廃止され、ISO 14306-1〜4 の部に改められています)。ラティス・テクノロジーは、自社の XVL 形式で自動車1台分の 3D CAD データ約 20GB を約 250MB まで軽くできる(3D データ提供:トヨタ自動車)と説明しています。
出典:ISO 14306:2017 JT file format specification for 3D visualization(規格の概要。2026年4月に廃止、ISO 14306-1〜4 に改訂)|Genorma、XVL について|ラティス・テクノロジー
受け渡しで、形が欠ける理由
MONOist の解説は、3次元データがうまく渡らないのは、データ自体の品質に問題があるためだとし、面の抜け、曲面間のすき間、曲面のねじれ・折れ、極度に小さい要素、曲面の重複を挙げています。さらに、CAD ごとのトレランス(精度・許容誤差)の違いも原因で、IGES や STEP でやりとりしたとき、A社の CAD ではすき間があると見なす面を、B社の CAD では結合していると見なすことがある、としています。

出典:MONOist の解説(JAMA の PDQ ガイドライン)をもとに AI(Claude)で作成
対策として、JAMA(日本自動車工業会)は CAD・CAE データの品質項目と推奨値・設定理由を「PDQ(Product Data Quality)ガイドライン」にまとめています。同じ解説は、PDQ ガイドラインに沿ったデータならスムーズに受け渡せるが、項目が多岐にわたるので人の目で検証するのは不可能に近く、データ変換・修正のソフトで自動で検証することを勧めています。
出典:CADデータ受け渡しとPDQガイドライン 2ページ(データがうまく渡らないのはなぜか)|MONOist(ITmedia)、CADデータ受け渡しとPDQガイドライン 3ページ(PDQガイドライン)|MONOist(ITmedia)
よくあるトラブルと、まず疑うところ
3D CAD でよく起きることと、まず確かめたいところをまとめました。
| 起きること | まず疑うところ | 対策の例 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| STEP で面が抜ける・ソリッドにならない | 面の品質、トレランスの違い | PDQ チェック・修正のソフトで直してから渡す | 受け渡しで、形が欠ける理由 |
| 取引先の CAD で開けない | CAD の種類・版、出力の形式 | 受け渡しの形式・版・AP を先に取り決める | STEP AP242 が中心に |
| 図面とモデルの寸法が合わない | 2D 図面の直し忘れ | 3D を正にして、図面はモデルから作る | 寸法・公差をモデルに入れる |
| 寸法を変えるとモデルが崩れる | 履歴の参照先・拘束 | 基準の面・軸から作る、他社データはダイレクトで直す | 作り方:ヒストリーベースとダイレクトモデリング |
| 装置のデータが重い | 部品点数・表示の方法 | 軽量形式・簡略表示、組立の分け方を決める | 軽量形式で、設計以外の部署も使う |
| 3D スキャンのデータで加工できない | メッシュの面数・形 | CAD データに作り直す、面数を減らす | 3D スキャンのデータを加工できる CAD データに |
| 変換後の確認が値の比較だけ | 体積などが一致しても形が違うことがある | 形状の比較・PDQ の検証を合わせて使う | 変換の確かめ方の落とし穴 |
このページの出典をもとに編集部が整理したものです。
3DA モデルと MBD
寸法・公差をモデルに入れる
MBD(Model Based Definition、モデルベース定義)は、すべての製品の定義を 3D モデルに入れて、3D モデルを正とする設計で、その手段が 3D アノテーション(寸法・公差・注記をモデルに付けること)です。MONOist の解説(PTC の筆者)は、形状は 3D モデル、製造情報は 2D 図面、検査情報は別の図面というように情報が分散していると、図面の形状が改変されて 3D モデルと食い違うことがよくある、としています。日本の JIS B 0060 では、アノテーションで情報を付けた 3D モデルを「3DA モデル」と呼びます。

出典:MONOist「“3D正”の設計を実現する『MBD』」・JIS B 0060をもとに AI(Claude)で作成
出典:今こそ全ての情報を3Dモデルに集約せよ!“3D正”の設計を実現する「MBD」(超速解説 MBD、2018年)|MONOist(ITmedia)
規格とガイドラインの流れ
同じ解説によると、3D 図面の規格は ASME が 2003年に発行した ASME Y14.41 が始まりで、日本では JAMA/JAPIA が 2004年に「3D 図と 2D 図の組合せ図面ガイドライン」、2007年8月に「3D 単独図ガイドライン」を、JEITA が 2008年にガイドラインを発行しました。ISO 16792 は 2006年に策定されました。これらのガイドラインを作った団体が集まってできたのが JIS B 0060(デジタル製品技術文書情報)で、2015年に第1部・第2部、2017年に第3部・第4部が発行されました。第9部「DTPD 及び 3DA モデルにおける一般事項」は 2021年3月22日に制定され、第10部「組立 3DA モデルの表し方」も、岐阜県の資料に令和4年5月に受け入れた規格として載っています。
| 年 | 規格・ガイドライン | 中身 |
|---|---|---|
| 2003 | ASME Y14.41 | 米国の 3D 図面の規格 |
| 2004 | JAMA/JAPIA | 3D 図と 2D 図の組合せ図面ガイドライン |
| 2006 | ISO 16792 | デジタル製品定義 |
| 2007 | JAMA/JAPIA | 3D 単独図ガイドライン |
| 2008 | JEITA | 3D 単独図ガイドライン |
| 2014 | STEP AP242 | AP203・214 を統合 |
| 2015 | JIS B 0060-1・2 | 総則・用語 |
| 2017 | JIS B 0060-3・4 | 3DA の表し方・寸法と公差 |
| 2021 | JIS B 0060-9 | 一般事項 |
| 2022 | JIS B 0060-10 | 組立 3DA(2022年5月までに受入) |
ISO 16792 は 2021年版が最新で、3D モデルだけで表す方法と、3D モデルとデジタルの 2D 図面を組み合わせる方法の2つを支える、としています。
出典:今こそ全ての情報を3Dモデルに集約せよ!“3D正”の設計を実現する「MBD」(超速解説 MBD、2018年)|MONOist(ITmedia)、JIS B 0060-9:2021 デジタル製品技術文書情報―第9部:DTPD 及び 3DA モデルにおける一般事項(プレビュー)|日本規格協会、受け入れた JIS の一覧(令和4年5月)|岐阜県 技術支援(テクノプラザ)、ISO 16792:2021 Technical product documentation — Digital product definition data practices(規格の概要)|Genorma
JIS は「CAD で表せるもの」に絞った
同じ解説は、JIS B 0060 を規格化する際に3大 CAD ベンダーのハイエンド CAD で事前にチェックし、「CAD で表現できないものについては規格化しない」方針で進めたため、JIS B 0060 の表現はすべて3大 CAD で表現できる、としています。欧米ではすでに MBD による設計に移行しているところが多い、とも書いています。
出典:今こそ全ての情報を3Dモデルに集約せよ!“3D正”の設計を実現する「MBD」(超速解説 MBD、2018年)|MONOist(ITmedia)
普及の現状と事例、研究からわかること
国内の普及を数字で見る
ものづくり白書 2020 によると、国内製造業で 3D データのみで設計を行っている企業は 17.0%、協力企業への設計指示が 3D データのものは 15.7%にとどまり、半数以上が図面で指示されています。大阪産業経済リサーチセンターの報告は、先行研究をまとめ、1990年代に大手企業では 3次元 CAD の普及が約 70%に達した一方、中小製造業での普及率は 30%前後とみられ、金型や成形業など設計が重要な業種でも 50%を超えるにとどまるとしています。3次元 CAD を導入していない企業では、発注元から設計データを受け取るときに変換でデータの欠損などの不具合が生じやすい、とも書いています。

出典:ものづくり白書2020(MONOist の記事)・大阪産業経済リサーチセンター・MONOist の読者調査(2024年)をもとに AI(Claude)で作成
MONOist の読者を対象にした 2024年5月の調査では、2D から 3D への移行を「完全に移行した」が 15.2%、「ほぼ完了しているが 2次元の運用も残る」が 30.3%、「移行途中」が 11.5%、「3D CAD への移行予定はない」が 24.3%で、移行しない理由の1位は「2D CAD や図面のみで業務が回るから」でした。
出典:ものづくり白書2020を読み解く(3)|MONOist(ITmedia)、松下隆「デジタルものづくりによる付加価値向上イノベーション―設計開発フェーズに注目して―」(産業能率 2018年5・6月号)|大阪産業経済リサーチセンター、3D CAD利用動向調査から考える導入/活用の進め方(テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線 4、2024年)|MONOist(ITmedia)
CAD のデータの扱いが大きな遅れにつながった例と、3D 化で設計の時間を減らした例です。
エアバス A380 の配線と CAD の版の違い(2006年の報道)
Seattle Times(2006年12月26日)によると、A380 の開発で、ドイツの技術者は最新の CATIA 5 ではなく、旧世代の CATIA 4 を使い続けました。一部の配線は胴体と機首をつなぐには短すぎ、別の配線は太すぎて、設計システムが示した曲げができなかったとし、納入は2年遅れ、親会社 EADS は今後4年で 61億ドルの営業利益への影響を見込む、と報じています。IEEE Spectrum は、ドイツとスペインが CATIA 4、フランスと英国が CATIA 5 を使い、ハンブルクでファイルを移すときにデータが失われる問題があったと書く一方、技術的な問題だけでなく、設計の統合の不足など実行の失敗だとするアナリストの見方も紹介しています。
出典:Airbus superjumbo mess not just tangled in wires(2006年12月26日)|The Seattle Times、Manufacturing Mayday(A380 の遅れ)|IEEE Spectrum
新明工業:自動設計テンプレートで図面作成工数 50%削減(2007年)
日本IBM とダッソー・システムズの共同発表(2007年9月28日)によると、新明工業は CATIA V5 を導入して自動設計テンプレートを作り、工数の低減と設計手法の標準化を図った結果、従来より図面作成工数が 50%削減されたとしています。
出典:新明工業、ダッソー・システムズのCATIA V5を活用し、設計プロセスを効率化(2007年9月28日)|ダッソー・システムズ
曙工業:支給データの修正時間を最大 70%短縮(シーメンスの事例)
シーメンスの事例によると、愛知県安城市の切削加工の会社、曙工業は NX CAD/CAM を使い、支給データの分析と修正の時間が最大 70%短縮、製造プロセス全体の作業時間が最大 80%短縮したとしています。
出典:曙工業株式会社の事例(NX CAD/CAM)|Siemens Digital Industries Software
長谷川機械製作所:3D CAD の導入で 200時間削減(埼玉県の事例)
埼玉県の事例のシートによると、小型工作機械をつくる長谷川機械製作所(従業員 120人)は、CAD を使いこなせる設計者が限られ、特殊設計の受注を逃していたため 3D CAD を導入しました。非熟練者でも部品の形や組み合わせを目で確かめられるようになり、設計作業 20時間と修正作業 180時間の計 200時間を削減し、受注できる案件の範囲も広がったとしています。
出典:株式会社長谷川機械製作所 3D-CADの導入で設計時間を大幅短縮(事例のシート)|埼玉県
事例の1件目は報道、2〜4件目は当事者・ベンダー・自治体の説明です。数値は各社の条件での値です(編集部の整理)。
変換の確かめ方の落とし穴
CAD のあいだでデータを変換したあと、送り手と受け手で体積・表面積・慣性モーメントなどの値を比べて、変換が正しいか確かめる方法があります。Purdue 大学の研究(2008年)は、形が違うのに、体積・表面積・慣性モーメントと慣性乗積がすべて一致する立体が多くの種類あり、これらの値だけでは多くの変換の誤りを見逃すことを示し、拘束で形を作る今の CAD では、そうした例が起きにくいとは言えない、としています。
データの品質を国際規格で表す
ISO 10303-59(2022年版)は、3D の製品形状データの品質について、品質の基準・測定の要件・評価の仕様・検査結果の表し方を定める規格で、注釈付きの 3D モデルのデータも対象にしています。PDQ を、会社をまたいで同じ物差しで扱うための規格です(編集部の解説)。
出典:ISO 10303-59:2022 Quality of product shape data(規格の概要)|Genorma
3D スキャンのデータを加工できる CAD データに
栃木県産業技術センターは、図面や 3D CAD データのない見本品から金型を作る場合を想定し、3D デジタイザで測ったデータを、三次元測定機の測定値を基準にして加工向けの CAD データにするソフトを開発しました。面数 149,954 のデータを 1,500 面まで減らし、従来の手法(QEM 法)より形をよく保ったまま、加工シミュレータで計算した加工時間も大幅に短くなったと報告しています。
出典:リバースエンジニアリングのためのCADデータ作成に関する研究(平成31年度〜令和2年度 経常研究)|栃木県産業技術センター
企業紹介(3D CAD の技術)
ハイエンド・ミッドレンジの 3D CAD、設計と加工をつなぐ CAD/CAM、機械装置向け・金型向けの国産 CAD、データ変換と PDQ 検証、軽量 3D 形式まで、得意分野の違う会社を紹介します。掲載は各社の公開情報にもとづきます。各社のサイトの画像は使わず、公開されている情報をもとに図にしました。
相談する前に整理すること
3D CAD を選ぶとき、設計やデータ変換を頼むときは、次の点を整理しておくと話が早く進みます(編集部が整理した項目です)。
- 何を設計するか(部品・装置・金型・外装)
- 取引先が指定する CAD・版・形式
- 受け渡す情報(形状だけか、公差・属性も)
- 部品点数・データの大きさ
- 使う人数・教育にかけられる時間
- CAE・CAM・PLM とのつながり
- 予算(買い切りか、サブスクリプションか)
- データの保管・版の管理
困りごとごとの相談先
| 困りごと | 相談先の種類 | このページで紹介した会社 |
|---|---|---|
| 大規模な製品開発の CAD・PLM を選びたい | ハイエンド CAD のベンダー | ダッソー・システムズ・シーメンス・PTCジャパン |
| 設計から加工(CAM)までつなげたい | CAD/CAM のベンダー | シーメンス・UEL |
| 部品点数の多い装置を 3D で設計したい | 機械装置向けの CAD | iCAD |
| 金型の設計・製作を 3D にしたい | 金型向けの CAD/CAM/CAE | UEL |
| 取引先とのデータの受け渡しで形が欠ける | データ変換・PDQ 検証のソフト | エリジオン |
| 3D データを製造・サービスでも使いたい | 軽量 3D 形式・ビューアー | ラティス・テクノロジー |
各社の公式サイトの情報をもとに編集部が整理したものです。会社の紹介は、この下にあります。
| 企業 | 3D CAD (汎用) | 装置・ 金型向け | CAM 連携 | データ 変換・PDQ | 軽量 3D・閲覧 |
|---|---|---|---|---|---|
| ダッソー・システムズCATIA・SOLIDWORKS(東京都) | ● | ||||
| シーメンスNX・Solid Edge(東京都) | ● | ● | |||
| PTCジャパンCreo・Onshape(東京都) | ● | ● | |||
| iCAD機械装置向けの iCAD SX(東京都) | ● | ● | |||
| UEL金型向けの CADmeister(東京都) | ● | ● | ● | ||
| エリジオンデータ変換・PDQ 検証(静岡県) | ● | ||||
| ラティス・テクノロジー軽量 3D 形式 XVL(東京都) | ● |
●は、各社の公式サイトで扱いを確認できたものです(空欄は、扱っていないという意味ではありません)。社名を押すと、その会社の紹介へ移ります。
ダッソー・システムズ株式会社|CATIA と SOLIDWORKS で、大規模開発から部品設計まで
ダッソー・システムズとは
フランスのダッソー・システムズの日本法人で、東京本社は東京都品川区大崎にあります。3D CAD の CATIA と SOLIDWORKS を扱っています。

出典:ダッソー・システムズの製品ページ・発表資料をもとに AI(Claude)で作成
ダッソー・システムズの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| CATIA | 新しい製品やシステムを考案し、設計、シミュレーションするための、完全なイノベーション/開発プロセスを可能にする主要ソリューション(同社の説明) |
| SOLIDWORKS | 2次元および3次元の製品開発ソリューション(同社の説明) |
ダッソー・システムズが解決できる課題
- 自動車・航空機などの大規模な製品開発を 3D で進めたい
- 部品・装置の設計を 3D に移したい
- 設計のテンプレートで図面作成の工数を減らしたい
公開されている実績・用途
- 新明工業:CATIA V5 の自動設計テンプレートで図面作成工数 50%削減(2007年の発表)
出典:ダッソー・システムズ株式会社 東京本社(オフィス所在地)|ダッソー・システムズ、CATIA|ダッソー・システムズ、SOLIDWORKS|ダッソー・システムズ、新明工業、ダッソー・システムズのCATIA V5を活用し、設計プロセスを効率化(2007年9月28日)|ダッソー・システムズ
シーメンス(Siemens Digital Industries Software)|NX で、設計から加工(CAM)までを1つのシステムに
シーメンスとは
ドイツのシーメンスのソフトウェアの事業で、3D CAD の NX・Solid Edge を扱っています。日本のシーメンス株式会社の本社は東京都品川区大崎にあります。

出典:シーメンスの製品ページ・発表資料・事例をもとに AI(Claude)で作成
シーメンスの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| NX | CAD と CAM を統合したソフトウェア(同社の説明) |
| Solid Edge | 2024年版で AI 支援の設計とクラウドでの共同作業の機能を強化(同社の発表) |
シーメンスが解決できる課題
- 設計と加工のデータが分かれて、手戻りが起きる
- 取引先から支給された 3D データの修正に時間がかかる
公開されている実績・用途
- 曙工業:支給データの分析と修正の時間が最大 70%短縮、製造プロセス全体の作業時間が最大 80%短縮(同社の事例)
出典:Siemens legal information by region(日本:シーメンス株式会社)|Siemens、CADとCAMを統合したNXソフトウェア|Siemens、「Solid Edge 2024」、Siemens XceleratorでのAI支援設計機能を拡張|Siemens、曙工業株式会社の事例(NX CAD/CAM)|Siemens Digital Industries Software
PTCジャパン株式会社|パラメトリック 3D CAD の Creo と、クラウドの Onshape
PTCジャパンとは
米国 PTC の日本法人で、東京都中央区に本社を置いています(1992年3月設立、国内4事業拠点)。

出典:PTC の製品ページをもとに AI(Claude)で作成
PTCジャパンの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| Creo | 革新的なテクノロジー、生産性向上ツール、高い操作性を備えたパラメトリック 3D CAD システム(同社の説明) |
| Onshape | クラウドネイティブの CAD と PDM のソリューション(同社の説明) |
PTCジャパンが解決できる課題
- 設計変更が後工程まで正しく伝わらない
- 拠点をまたいで、同じデータで共同設計したい
公開されている実績・用途
- LIXIL:モデルベースのアプローチで、従来は数週間かかっていた後期段階での設計変更を 1日で実施できるようになった(同社の製品ページの事例)
出典:PTCジャパン、東京オフィスを日本橋へ移転(2026年8月18日)|PTC、Creo CAD ソフトウェア|PTC、Onshape|PTC
iCAD株式会社|部品点数の多い機械装置を、軽いデータで 3D 設計
iCADとは
東京都港区に本社を置く、国産の 3D CAD の会社です(2010年3月1日設立、従業員数 208名、2026年4月1日現在)。富士通での自社開発の CAD から始まったとしています。

出典:iCAD の会社情報・導入事例をもとに AI(Claude)で作成
iCADの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| iCAD SX | 機械装置設計に最適な 3次元 CAD システム。他の 3次元 CAD に比べ約 1/50 の超軽量データ構造(同社の説明) |
| 大規模な装置 | 300万部品を 0.2秒の超高速レスポンス(同社の説明) |
iCADが解決できる課題
- 生産設備・装置の 3D データが重くて扱えない
- 装置の配管・構成部品の設計を 3D にしたい
公開されている実績・用途
- コマツNTC:各部図面の 3D 化と構成部品の標準化でリードタイムを半減、配管設計の 3D 化で配管設計・製造のトータル工数を 30%近く削減(同社の事例)
出典:iCAD株式会社(会社情報・製品情報)、コマツNTC様【iCAD】3D CAD 導入事例|iCAD(イプロスものづくり)
UEL株式会社|金型の設計から製作・解析まで、国産の CADmeister で
UELとは
東京都江東区に本社を置く、BIPROGY グループの会社です(1984年11月1日設立、社員数 180名、2026年4月1日現在)。

出典:UEL の CADmeister のページ・発表資料・事例をもとに AI(Claude)で作成
UELの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| CADmeister | プレス金型や樹脂製品の金型の設計製作から解析まで、幅広い工程をサポートする 3次元 CAD/CAM/CAE システム(同社の発表)。金型業界で 1000社を超えるユーザー(同社の説明) |
| オールインワン | 設計から製作まで各工程をカバーする機能群。機能制限なく 30日間無料で使える体験版がある(同社の説明) |
UELが解決できる課題
- 金型の設計製作の属人化・人材不足に対応したい(同社の発表)
- 成形機の変更などの設計変更を早くしたい
公開されている実績・用途
- 駿河エンジニアリング:設計工数 15%削減、成形機変更時の設計変更工数 40%削減(2026年3月公開の事例の題。本文では設計工数 10〜15%削減)
出典:会社案内|UEL株式会社、CADmeister|UEL株式会社、3次元CAD/CAM/CAEシステム「CADmeister 2026」を販売開始(2026年9月28日)|UEL株式会社、お客様事例(株式会社駿河エンジニアリング、2026年3月18日公開)|CADmeister
株式会社エリジオン|CAD データの変換と PDQ 検証で、受け渡しの問題を減らす
エリジオンとは
静岡県浜松市に本社を置く会社です(1999年11月1日設立)。データ変換ソフトや PDQ 検証ソフトの自社開発を事業としています。

出典:エリジオンの製品ページ・事例をもとに AI(Claude)で作成
エリジオンの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| データ変換 | CAD データ変換に関する 35年以上の経験をもとに、3D CAD の高精度な変換を実現(同社の説明) |
| PDQ 検証 | ISO、SASIG、JAMA、JAPIA などの業界団体が定める品質基準をもとに、あらゆるファイル形式の CAD データの PDQ を検証し不具合を見つける(同社の説明) |
エリジオンが解決できる課題
- 取引先から受け取ったデータの面が欠ける・開けない
- 渡す前に、データの品質を自動で確かめたい
公開されている実績・用途
- 日産自動車:自社の NX データと、サプライヤーから受け取ったデータの PDQ 検証に CADdoctor for NX を使用(同社の事例)
出典:会社概要|エリジオン、3D-SUITE|エリジオン、日産自動車の事例(CADdoctor for NX)|エリジオン
ラティス・テクノロジー株式会社|軽量 3D 形式 XVL で、設計以外の部署でも 3D を使う
ラティス・テクノロジーとは
東京都新宿区に本社を置く会社です(1997年10月設立)。軽量 3D 形式の XVL と、その関連製品を開発しています。

出典:ラティス・テクノロジーの XVL のページ・発表資料をもとに AI(Claude)で作成
ラティス・テクノロジーの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| XVL | 日本で誕生した軽量 3D フォーマット。3D 形状と、構成・属性のデータを1つのファイルに収められる(同社の説明) |
| 軽さの例 | 自動車1台分の 3D CAD データ約 20GB を、XVL への変換後に約 250MB まで軽量化(同社の説明) |
ラティス・テクノロジーが解決できる課題
- 重い 3D CAD データを、製造・サービス・営業でも見られるようにしたい
- 3DA 製造図を使う仕組みを作りたい
公開されている実績・用途
- 日本精工:エンジニアリングチェーン変革のプロジェクトで、3DA 製造図の 3D 表現基盤として XVL を採用(2026年10月の発表)
出典:企業概要|ラティス・テクノロジー、XVL について|ラティス・テクノロジー、日本精工のエンジニアリングチェーン変革プロジェクトにおいて、3DA製造図の3D表現基盤として「XVL」を採用(2026年10月)|ラティス・テクノロジー
よくある質問
基本と選び方
- 3D CAD と 2D CAD の違いは?
- 2D は線と寸法で形を表し、3D は立体のモデルを作ってから図面を作ります。3D は形の正確さとデータ活用に強い一方、価格・習得・受け渡しに課題があります(2D CAD と 3D CAD の違い)。
- ソリッドとサーフェスはどう使い分けますか?
- 機械部品はふつうソリッド、曲線の多いデザイン形状はサーフェスを使います(モデルの表し方:ソリッド・サーフェス・メッシュ)。
- ヒストリーベースとダイレクトモデリングの違いは?
- ヒストリーベースは作った順番を残して寸法で形を変え、ダイレクトは面を直接動かします。他の CAD のモデルの修正にはダイレクトが向くとされます(作り方:ヒストリーベースとダイレクトモデリング)。
- どの 3D CAD を選べばいいですか?
- 取引先と同じ形式・版で渡せるかと、何を設計するかから絞ります(種類と選び方)。
- 3D CAD はどのくらい普及していますか?
- ものづくり白書 2020 では、3D データのみで設計している企業は 17.0%でした(国内の普及を数字で見る)。
データの受け渡しと 3DA
- 取引先に渡す形式は何がいいですか?
- CAD が違うなら STEP が一般的で、今は AP242 が勧められています。受け手の対応する AP を確かめます(STEP AP242 が中心に)。
- STEP で渡すと面が抜けるのはなぜですか?
- 面の品質の問題と、CAD ごとのトレランスの違いです。PDQ のチェック・修正のソフトで直してから渡します(受け渡しで、形が欠ける理由)。
- STL と 3MF の違いは?
- STL は三角形の形だけで色や材料を持てません。3MF は色・材料の情報も持てます(モデルの表し方:ソリッド・サーフェス・メッシュ)。
- 3DA モデル・MBD とは?
- 寸法・公差・注記を 3D モデルに入れ、3D モデルを正にする設計です。日本の規格は JIS B 0060 です(3DA モデルと MBD)。
- 変換したデータが正しいか、体積で確かめれば十分ですか?
- 体積・表面積・慣性モーメントが一致しても形が違う立体が多くある、という研究があります。形状の比較などと合わせて確かめます(変換の確かめ方の落とし穴)。
回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。
関連する技術・ページ
関係する課題ページ
| 課題 | このページでの解決 | 課題ページ |
|---|---|---|
| 試作回数を減らしたい | 3D で干渉・質量を確かめ、CAE・3D プリンタへつなぐ(3D CAD の基本) | 設計レビュー |
| 作る前に性能を予測したい | 3D モデルを CAE に渡す前のデータの品質(受け渡しで、形が欠ける理由) | 構造の予測 |
| 部品点数を減らしたい | アセンブリで部品をまとめる検討(3D で設計するときに社内でそろえること) | 設計で減らす |
| 加工しやすい形状にしたい | 3D モデルから CAM へ、加工しやすさを設計で確かめる(種類と選び方) | 加工しやすい設計(DFM) |
| 量産で寸法がばらつく | 公差を 3D モデルに入れて後工程に正しく伝える(3DA モデルと MBD) | 公差の見直し |
| 生産ラインをデジタルツインで事前に検証したい | 設備の 3D データを軽くして使う(軽量形式で、設計以外の部署も使う) | 3D スキャン・モデル化 |
右の列は、関係する課題ページの対策の節へのリンクです。
関連する技術・課題
- CAE(構造解析・熱流体解析)
- 三次元測定機・形状測定
- 金属3Dプリンター(積層造形)
- 射出成形
- 産業用ロボット
- IoT
- 試作回数を減らしたい
- 作る前に性能を予測したい
- 部品点数を減らしたい
- 加工しやすい形状にしたい
- 量産で寸法がばらつく
- 生産ラインをデジタルツインで事前に検証したい
- 公差・はめあい(技術の基礎知識)
- 表面粗さ(技術の基礎知識)
- CAD(技術カテゴリー)
- 設計・解析・試作(技術カテゴリー)
出典・確認日
- 2D CADと3D CAD、設計環境としての“違い”とは?(テルえもんの3Dモノづくり相談所 2、2021年)|MONOist(ITmedia)
- 3D CADのサーフェスモデリングの用途がイマイチ分からない……(テルえもんの3Dモノづくり相談所 6)|MONOist(ITmedia)
- FAQ(STL と 3MF の違い)|3MF Consortium
- Parasolid|Siemens
- CATIA|ダッソー・システムズ
- SOLIDWORKS|ダッソー・システムズ
- CADとCAMを統合したNXソフトウェア|Siemens
- Creo CAD ソフトウェア|PTC
- Onshape|PTC
- iCAD株式会社(会社情報・製品情報)
- 3次元CAD/CAM/CAEシステム「CADmeister 2026」を販売開始(2026年9月28日)|UEL株式会社
- ダイレクトモデリングのセミナーレポート(Hexagon、2024年)|MONOist(ITmedia)
- 松下隆「デジタルものづくりによる付加価値向上イノベーション―設計開発フェーズに注目して―」(産業能率 2018年5・6月号)|大阪産業経済リサーチセンター
- 3D CAD利用動向調査から考える導入/活用の進め方(テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線 4、2024年)|MONOist(ITmedia)
- ISO 14306:2017 JT file format specification for 3D visualization(規格の概要。2026年4月に廃止、ISO 14306-1〜4 に改訂)|Genorma
- Model-based enterprise の STEP AP242 の資料(NIST AMS 100-51 の要旨)|米国 国立標準技術研究所(NIST)
- ISO 10303 STEP Standards(AP242)|STEP Tools, Inc.
- XVL について|ラティス・テクノロジー
- CADデータ受け渡しとPDQガイドライン 2ページ(データがうまく渡らないのはなぜか)|MONOist(ITmedia)
- CADデータ受け渡しとPDQガイドライン 3ページ(PDQガイドライン)|MONOist(ITmedia)
- 今こそ全ての情報を3Dモデルに集約せよ!“3D正”の設計を実現する「MBD」(超速解説 MBD、2018年)|MONOist(ITmedia)
- JIS B 0060-9:2021 デジタル製品技術文書情報―第9部:DTPD 及び 3DA モデルにおける一般事項(プレビュー)|日本規格協会
- 受け入れた JIS の一覧(令和4年5月)|岐阜県 技術支援(テクノプラザ)
- ISO 16792:2021 Technical product documentation — Digital product definition data practices(規格の概要)|Genorma
- ものづくり白書2020を読み解く(3)|MONOist(ITmedia)
- Airbus superjumbo mess not just tangled in wires(2006年12月26日)|The Seattle Times
- Manufacturing Mayday(A380 の遅れ)|IEEE Spectrum
- 新明工業、ダッソー・システムズのCATIA V5を活用し、設計プロセスを効率化(2007年9月28日)|ダッソー・システムズ
- 曙工業株式会社の事例(NX CAD/CAM)|Siemens Digital Industries Software
- 株式会社長谷川機械製作所 3D-CADの導入で設計時間を大幅短縮(事例のシート)|埼玉県
- A. Kuzminykh, C. Hoffmann「On validating STEP product data exchange」(Computer-Aided Design、2008年)|Purdue University
- ISO 10303-59:2022 Quality of product shape data(規格の概要)|Genorma
- リバースエンジニアリングのためのCADデータ作成に関する研究(平成31年度〜令和2年度 経常研究)|栃木県産業技術センター
- ダッソー・システムズ株式会社 東京本社(オフィス所在地)|ダッソー・システムズ
- Siemens legal information by region(日本:シーメンス株式会社)|Siemens
- 「Solid Edge 2024」、Siemens XceleratorでのAI支援設計機能を拡張|Siemens
- PTCジャパン、東京オフィスを日本橋へ移転(2026年8月18日)|PTC
- コマツNTC様【iCAD】3D CAD 導入事例|iCAD(イプロスものづくり)
- 会社案内|UEL株式会社
- CADmeister|UEL株式会社
- お客様事例(株式会社駿河エンジニアリング、2026年3月18日公開)|CADmeister
- 会社概要|エリジオン
- 3D-SUITE|エリジオン
- 日産自動車の事例(CADdoctor for NX)|エリジオン
- 企業概要|ラティス・テクノロジー
- 日本精工のエンジニアリングチェーン変革プロジェクトにおいて、3DA製造図の3D表現基盤として「XVL」を採用(2026年10月)|ラティス・テクノロジー
※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図は転載していません。
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・ソフトウェアの画面ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。
情報の確認日:2026年10月21日 本ページの内容は一般的な情報です。製品の機能・価格・版は時期で変わります。CAD の選定やデータの受け渡しの取り決めには、各社・取引先の最新の資料で確かめてください。各社の技術・実績は、その会社の公開情報にもとづきます。

