油圧ポンプとは、電動機やエンジンの回転を、作動油の流れ(油圧のエネルギー)に変える機器です。閉じ込めた油を押し出す「容積形」で、主な種類はギヤポンプ(外接・内接・トロコイド)、ベーンポンプ、ピストンポンプです。構造が簡単で安いならギヤ、静かで固定容量ならベーンや内接ギヤ、高圧で吐出量を変えたいならピストンが、選ぶときの大まかな目安です。
この記事では、油圧ポンプのしくみと吐出量・動力の計算、種類ごとの構造と特長、選び方と省エネ、キャビテーションや作動油の汚れなどのトラブル、研究の知見、油圧ポンプの会社までを、メーカーや専門商社の解説・公的なデータベースをもとにまとめます。水や薬液を送るポンプの種類は、技術ページ「ポンプ」で扱っています。
知りたいことから読む
- 油圧ポンプが何をしているか知りたい → 油圧回路の中での役割
- 吐出量や電動機の出力を計算したい → 吐出量と動力の計算
- ギヤ・ベーン・ピストンの違いを知りたい → 種類を比べる
- ベーンポンプのしくみを知りたい → ベーンポンプ
- トロコイドポンプのしくみを知りたい → 内接ギヤポンプとトロコイドポンプ
- ポンプを選びたい → 選ぶ手順と計算例
- 異音がする・吸わない → キャビテーションと吸込み側の配管
油圧ポンプとは
油圧回路の中での役割
油圧の装置は、タンクの作動油をポンプで送り出し、バルブで向きや圧力を変えて、シリンダーやモーター(アクチュエーター)を動かします。ポンプがつくるのは油の「流れ」で、圧力は負荷の大きさやリリーフ弁の設定で決まります(一般的な説明)。固定容量のポンプでは、シリンダーが止まっているあいだ、ポンプが送る油は全量がリリーフ弁を通ってタンクへ戻り、吐出圧はリリーフ弁の設定圧になります(マツイ)。

出典:マツイ・日東造機の解説をもとに AI(Claude)で作成
出典:アンロード回路とは? 油圧回路の基本を解説|マツイ、油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ
容積形:閉じ込めて押し出す
油圧ポンプは、ケーシングの中にできる部屋の大きさを回転で変え、広がるときに吸い込み、狭まるときに押し出すしくみです。歯車のかみ合いで部屋をつくるのがギヤポンプ、羽根(ベーン)で仕切るのがベーンポンプ、シリンダーの中でピストンを往復させるのがピストンポンプです(マツイ、日東造機)。羽根車で水に速度を与える渦巻ポンプ(非容積形)とは、しくみが違います。
1回転で押し出す油の量を押しのけ容積(cm³/rev、cc/rev)といい、ポンプの大きさを表す値として使われます。押しのけ容積が決まっている形を固定容量形、運転中に変えられる形を可変容量形と呼びます(マツイ)。
出典:油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ、油圧ポンプの種類(コラム)|日東造機
吐出量と動力の計算
吐出量は回転数に比例します。ただし、すき間から高圧側の油が低圧側へ戻る(内部の漏れ)ので、実際の吐出量は、押しのけ容積と回転数から出した理論の量に容積効率を掛けた値になります。

出典:マツイの解説(油圧の知識)をもとに AI(Claude)で作成
| 求めるもの | 式(単位) | 記号 |
|---|---|---|
| 吐出量 Q | Q = q × N × ηv ÷ 1000(L/min) | q:押しのけ容積(cm³/rev)、N:回転数(min⁻¹)、ηv:容積効率 |
| 押しのけ容積 q | q = Q × 1000 ÷(N × ηv)(cm³/rev) | 必要な流量から、ポンプの大きさを選ぶときに使う |
| ポンプの出力(油の動力) | L = P × Q ÷ 60(kW) | P:圧力(MPa)、Q:流量(L/min) |
| ポンプの軸入力 | Lin = P × Q ÷(60 × η)(kW) | η:全効率(容積効率 × 機械効率) |
マツイの解説では、吐出量 30 L/min・圧力 14 MPa のときのポンプの軸入力を 7 kW、シリンダーが止まっているときにポンプの油を低圧でタンクへ戻す(アンロード)と、仮の条件で 0.5 kW になる例を示しています。マツイの 7 kW は効率を考えない簡易な値で、下の式では油の動力にあたります。止まっている間も高い圧力で油を流し続けると、そのぶん電力が熱になって消えます(この一文は編集部の補足)。
表の式は単位をそろえた一般的な形で、効率の扱いはメーカーの資料で確かめてください(容積効率の考え方は、マツイの油圧モーターの解説と同じです)。
出典:アンロード回路とは? 油圧回路の基本を解説|マツイ、油圧モータとは?種類・構造・選定計算の基本を解説|マツイ
種類としくみ
種類を比べる
マツイの比較表(執筆者の主観が一部含まれると注記)をもとに、主な特長を並べます。
| 外接ギヤ | 内接ギヤ | ベーン(平衡形) | ピストン(斜板形) | ピストン(斜軸形) | |
|---|---|---|---|---|---|
| 定格圧力 | 中圧 | 低〜高圧 | 中〜高圧 | 高圧 | 高圧 |
| 騒音 | 非常に大きい | 小さい | 小さい | やや大きい | 大きい |
| 脈動 | やや大きい | 少ない | 少ない | やや大きい | 大きい |
| 作動油の管理レベル | 低い | 普通 | 普通 | 高い | 普通 |
| 価格 | 安価 | 普通 | 普通 | 高価 | 高価 |
| 可変容量 | できない | できない | 非平衡形はできる | できる | できる |
ギヤポンプは構造が簡単で、吸込み能力が最も高く、安価です。ベーンポンプは長寿命で脈動・騒音が少なく、保守がしやすいとされます。ピストンポンプは高圧と効率に優れる一方、吸込み能力が最も低く、油の汚れに最も敏感です(マツイ)。トロコイドポンプは、外歯車と内歯車がかみ合って回る内接歯車方式のポンプです(日本オイルポンプ)。
出典:油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ、トロコイドポンプ|日本オイルポンプ
外接ギヤポンプ
ケーシングの中で2つの歯車がかみ合って回ります。かみ合いが離れるところで空間ができて油を吸い込み、歯と歯の間に入った油はケーシングの内面に沿って吐出側へ運ばれます。かみ合い部が吸込み側と吐出側を仕切ります(マツイ)。2つの歯車のかみ合い空間で、1回転ごとに一定の量を吐出します(日東造機)。

出典:マツイ・日東造機の解説をもとに AI(Claude)で作成
島津製作所は、アルミ合金製の軽量・コンパクトなタイプから、鋳鉄ボディで定格圧力 Max 25.0 MPa の高圧用まで出していて、GPY シリーズは主に農機用です(島津製作所)。
出典:油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ、油圧ポンプの種類(コラム)|日東造機、油圧ギヤポンプ(単体ポンプ)|島津製作所
内接ギヤポンプとトロコイドポンプ
大きな内歯車の中で、中心をずらした小さな外歯車が回ります。内接ギヤポンプの原理は外接形と同じで、2つの歯車が内接しながらかみ合います(マツイ)。トロコイドポンプは、外歯車と内歯車がかみ合って回転する内接歯車方式のポンプです(日本オイルポンプ)。

出典:マツイの解説と日本オイルポンプの製品ページをもとに AI(Claude)で作成
日本オイルポンプによると、トロコイドポンプは摩耗が少なく低騒音で長寿命です。作動油・潤滑油の移送のほか、切削液や燃料油にも使われ、流量・粘度・温度に合わせて 8,000 種以上の仕様があります。工作機械では冷却用や潤滑用の油の移送などに使われ、同社は工作機械業界で約7割のシェアと説明しています。同社の製品の最大吐出圧は、小容量の 1HG が 2.5 MPa、中容量の N3H が 4 MPa です(日本オイルポンプ)。
出典:油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ、トロコイドポンプ|日本オイルポンプ
ベーンポンプ
ロータを回すと、遠心力と油圧でベーン(羽根)が溝から張り出し、カムリングの内面に接して滑ります(マツイ)。カムリングの内側が広がる所で部屋が大きくなって油を吸い込み、狭まる所で押し出します(編集部の補足)。ロータの外周にかかる油圧が釣り合う形を平衡形といい、平衡形は吐出量を変えられませんが、非平衡形は可変容量にできます(マツイ)。

出典:マツイ・日東造機の解説をもとに AI(Claude)で作成
ベーンは摩耗が少なく低騒音で、異物にも強いとされます(日東造機)。ダイキン工業は、最高圧力 17.2 MPa の小型中圧ベーンポンプ(DE シリーズ)と、最高圧力 20.6 MPa で、イントラベーン構造により高圧での低騒音を実現したとするカートリッジ型(DEV シリーズ)を出しています(ダイキン工業)。油研工業は、1940年に「ユケン型ベーンポンプ」を試作完成したとしています(油研工業)。
出典:油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ、油圧ポンプの種類(コラム)|日東造機、ベーンポンプの概略仕様|ダイキン工業 油圧機器、会社概要|油研工業
ピストンポンプ
複数のピストンをシリンダーブロックの中で往復させます。軸と平行に並べるアキシャル形は、ピストンを往復させる方法によって斜板形と斜軸形に分かれます。駆動軸のまわりに放射状に並べ、偏心したカムリングやカムで往復させるのがラジアル形です(日東造機)。斜板形は、斜板の傾きに応じてピストンのストロークが変わるので、傾きを変えれば吐出量を変えられます(マツイ)。

出典:マツイ・日東造機の解説をもとに AI(Claude)で作成
マツイは、斜板形を品ぞろえ・汎用性から優先的に選ぶ形、斜軸形を使用環境が比較的悪いときの形、ラジアル形を超高圧やマルチ吐出などの特殊な用途の形としています。
出典:油圧ポンプの種類(コラム)|日東造機、油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ
固定容量と可変容量
固定容量のポンプでは、シリンダーを止めて圧力を保っている間も、ポンプは同じ量を吐出し続け、使わない油はリリーフ弁からタンクへ戻ります。可変容量のポンプ(圧力補償形)は、圧力が設定に近づくと自動で吐出量を減らすので、保圧中のむだな動力が小さくなります。

出典:マツイの解説と不二越の製品ページをもとに AI(Claude)で作成
不二越の可変ピストンポンプには、エンジンの馬力を使い切る定馬力制御の形(PVK)や、半円筒の斜板で低騒音・低脈動とする形(PVS)があります。ダイキン工業は、押しのけ容積 8〜70 cc/rev の V シリーズと、クレードル斜板で高出力密度の 50〜130 cc/rev の VZ シリーズを出しています(不二越、ダイキン工業)。
出典:アンロード回路とは? 油圧回路の基本を解説|マツイ、油圧ポンプ|不二越、ピストンポンプの概略仕様|ダイキン工業 油圧機器
選び方と省エネ
選ぶ手順と計算例
マツイは、油圧ポンプの選定に厳格なルールはなく、設置環境・作動油の種類・使用条件・ポンプの仕様や特長などを考えながら選ぶとしています。編集部が整理した手順は次のとおりです。
- ① アクチュエーターの速さから、必要な流量(L/min)を出す
- ② 負荷から、必要な圧力(MPa)を出す。配管や弁の圧力損失も足す
- ③ 回転数(電動機・エンジン)を決め、押しのけ容積(cm³/rev)を求める
- ④ 圧力・騒音・可変の要否・価格から、ポンプの種類を選ぶ(次の表)
- ⑤ 軸入力(kW)から電動機の出力を決め、作動油の粘度・温度・清浄度が仕様に入るか確かめる
計算例(編集部の試算):流量 30 L/min・圧力 14 MPa が必要で、回転数 1,500 min⁻¹ の電動機で回す場合。容積効率を 0.95 と仮定すると、押しのけ容積は 30 × 1000 ÷(1,500 × 0.95)≒ 21 cm³/rev。油の動力は 14 × 30 ÷ 60 = 7 kW で、全効率を 0.85 と仮定すると軸入力は 7 ÷ 0.85 ≒ 8.2 kW です。効率の値は形式や圧力・油温で変わるので、実際はメーカーのカタログの値で計算します。
出典:油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ、アンロード回路とは? 油圧回路の基本を解説|マツイ
条件ごとの選び方
| 条件 | 選ぶことが多い形 | 理由 |
|---|---|---|
| 騒音が問題にならず、固定容量で良い・安くしたい | 外接ギヤ | 構造が簡単で安価 |
| 低騒音が要り、固定容量で良い | 内接ギヤ、ベーン(平衡形) | 騒音・脈動が小さい |
| 高圧で、吐出量を変えたい・省エネにしたい | ピストン(斜板形) | 品ぞろえ・汎用性があり、制御方式が多い |
| 使用環境が比較的悪い | ピストン(斜軸形) | マツイの選定のポイントによる |
| 超高圧・マルチ吐出などの特殊な用途 | ラジアルピストン | 同上 |
| 潤滑油・切削液・燃料油などの移送 | トロコイド | 低騒音・長寿命。仕様の種類が多い(日本オイルポンプ) |
出典:油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ、トロコイドポンプ|日本オイルポンプ
省エネ:止まっている間の動力を減らす
油圧装置の電力のむだは、アクチュエーターが止まっている間に多く出ます。方法は、①アンロード回路で止まっている間の圧力を下げる、②可変容量ポンプで流量を減らす、③電動機の回転数をインバーターやサーボモーターで変える、の3つに大きく分けられます(①はマツイ、②は前の節、③は下の製品の例)。
| 製品の例 | 会社の説明(比べた相手) |
|---|---|
| インバータ駆動油圧ユニット NSPi(不二越) | 消費電力を約 69% 削減(同社の標準ユニットの保圧時との比較)。6 MPa 保圧時の騒音 53 dB(A)(型式 NSP-10E-22V1A4-22 での値) |
| エコリッチ(ダイキン工業) | 消費電力 30% 削減、油温上昇 5℃ 低下(従来品「30デザイン」との比較) |
| ASR シリーズ AC サーボモータ駆動ポンプ(油研工業) | 製品情報に名称とカタログを掲載(数値はカタログで確認) |
数値は各社の比較条件での値で、装置の運転パターンで変わります。インバーターのしくみは「インバーター」で説明しています。
出典:アンロード回路とは? 油圧回路の基本を解説|マツイ、インバータ駆動油圧ユニット NSPi|不二越、エコリッチ|ダイキン工業 油圧機器、製品情報・最新カタログ|油研工業
トラブルと対策
キャビテーションと吸込み側の配管
大気圧の油には、体積比で通常 5〜8% の空気が溶けています。局所的に圧力が下がると、その空気が泡になって出てきます(キャビテーション)。科学技術振興機構の失敗知識データベースには、試作機の運転を始めたら作業機ポンプの付近で異常音がし、吸込み圧が許容値を下回っていた事例があります。原因は、吸込み側の配管が直角に曲がり、ポンプ入口の分岐も直角だったため配管の抵抗が大きかったことで、曲がりの曲率を大きくし、分岐の角度を小さくして対策しました。

出典:科学技術振興機構「失敗知識データベース」をもとに AI(Claude)で作成
同データベースは「配管の設計は、できるかぎり配管抵抗を少なくすることが基本」とまとめています。ギヤポンプに比べてピストンポンプは吸込み能力が低いので(マツイ)、吸込み側の条件は機種の仕様書で確かめます。キャビテーションのしくみは「基礎知識:キャビテーション」、ポンプ全般の対策は課題「ポンプのキャビテーションを防ぎたい」にあります。
出典:失敗知識データベース:ポンプでキャビテーションが発生した|科学技術振興機構、油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ
作動油の汚れ(清浄度)
作動油の汚れは、ISO 4406 で、油 1 mL 中の 4 µm・6 µm・14 µm 以上の粒子の数を「18/16/13」のような3つのコードで表します。コードが1つ上がると粒子の数はおよそ2倍です。目安として、サーボ弁を含む高精度の油圧は 16/14/11 程度以下、一般的な油圧は 18/16/13 程度とする解説があり、設備メーカーの指定を優先するとしています(近畿インペリアル)。
| NAS 1638 の等級 | ISO 4406 の目安(6 µm/14 µm) |
|---|---|
| 6 級 | 15/12 |
| 7 級 | 16/13 |
| 8 級 | 17/14 |
| 9 級 | 18/15 |
| 10 級 | 19/16 |
換算は一般的な目安で、粒径の分布によって実際の評価は違う場合があります(RMFジャパン)。ピストンポンプは油の汚れに最も敏感とされるので(マツイ)、フィルターの選び方(ろ過・フィルター)とあわせて決めます。
出典:油の清浄度 ISO 4406 の読み方|近畿インペリアル、NAS等級とISO 4406の対応|RMFジャパン、油圧ポンプとは?種類・仕組み・特長の基本を解説|マツイ
油温と効率
JTEKT の研究では、自動変速機用の内接ギヤポンプとバランスドベーンポンプで、油温が極端に低くても高くても全効率が下がり、全効率が高い領域は油温 80℃ 付近でした。研究は漏れ流量と摩擦トルクを扱っていて、油が冷えて粘いと摩擦の損失が、熱くて薄いと漏れが増えることが効率を下げます(この一文は編集部の補足)。この 80℃ は試験したポンプでの値で、産業用の油圧装置の適正な油温は、使う作動油と機器の仕様で決まります。作動油の粘度の考え方は「潤滑油」で説明しています。
出典:自動変速機用オイルポンプの効率に関する研究|JTEKT Engineering Journal
研究の知見
ポンプの脈動を測る標準の方法
油圧ポンプの吐出には脈動があり、配管や弁の振動・騒音の原因になります。小嶋らは、管路の脈動のパワーを測るプローブを使い、つないだ回路に左右されない、ポンプ固有の「脈動源パワー」を求める標準試験法を提案し、実験とシミュレーションで、ポンプどうしの比較(相対評価)にも絶対評価にも使えることを確かめました(日本フルードパワーシステム学会論文集、2008年)。
出典:小嶋ほか「油圧ポンプの発生する固有の脈動源パワーを測定するための標準試験法の開発」日本フルードパワーシステム学会論文集 39巻6号(2008)
可変ピストンポンプの流量制御
不二越の田中は、センサを付けた可変ピストンポンプで、圧力補償の制御に可変ゲインの方法を使い、低圧側のヒステリシスを約 30% 改善し、5 MPa までの圧力と流量の特性で制御流量のばらつきを減らしたと報告しています(油圧と空気圧、1996年)。
出典:田中「センサ付可変ピストンポンプの圧力補償による流量制御特性の改善」油圧と空気圧 27巻6号(1996)
企業紹介(油圧ポンプの技術)
ギヤ・トロコイド・ベーン・ピストンと、得意な形が違う会社を紹介します。掲載は順位ではありません。各社の説明は公式サイトの情報をもとにしています。各社のサイトの規約で画像の転載が認められていないため、公式の写真は載せず、公開された数値をもとにした図にしています。

出典:日本オイルポンプ・島津製作所・川崎重工業の製品ページをもとに AI(Claude)で作成
●は各社の公式サイトで確認できた種類です。空欄は扱っていないという意味ではありません。
油研工業株式会社|1940年にベーンポンプを試作完成。可変ピストンと AC サーボモータ駆動ポンプも
油研工業とは
神奈川県綾瀬市に本社を置く油圧機器の会社です。油圧ポンプ、制御弁、サーボ機器、油圧シリンダーなどを扱い、1940年にユケン型ベーンポンプを試作完成したと沿革に記しています。
油研工業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ベーンポンプ | 単段の 50T・150T、PV2R シリーズなど。安定した性能と幅広い吐出し量範囲を持ち、油圧作動源として広く使われていると同社は説明 |
| 高圧可変ピストンポンプ | A3HG シリーズ、A3HM シリーズ |
| AC サーボモータ駆動ポンプ | ASR シリーズ |
油研工業が解決できる課題
- 油圧作動源のベーンポンプを、幅広い吐出し量から選びたい
- 高圧の可変容量ポンプがほしい
出典:会社概要|油研工業、ベーンポンプ(標準機器カタログ)|油研工業、製品情報・最新カタログ|油研工業
株式会社不二越(NACHI)|可変ピストンポンプとインバータ駆動の油圧ユニット
不二越とは
東京都港区に本社を置く会社で、工具・軸受・ロボットのほか油圧機器を扱います。
不二越の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 可変ピストンポンプ | 定馬力制御の PVK、1台の吐出を2つに分ける PVD、半円筒スワッシュプレートで低騒音・低脈動の PVS など |
| インバータ駆動油圧ユニット NSPi | 消費電力を約 69% 削減(同社の標準ユニットの保圧時との比較)、6 MPa 保圧時の騒音 53 dB(A)(型式 NSP-10E-22V1A4-22)と同社は説明 |
不二越が解決できる課題
- 建設機械のエンジン馬力を使い切りたい
- 油圧ユニットの電力と騒音を下げたい
出典:会社概要|不二越、油圧ポンプ|不二越、インバータ駆動油圧ユニット NSPi|不二越
川崎重工業株式会社|斜板式可変ピストンポンプ K3VL と精密ギヤポンプ
川崎重工業とは
東京都港区と神戸市に本社を置く会社です。精密機械ディビジョンの油圧機器・油圧装置は、建設機械、産業装置、舶用装置などに使われていると同社は説明しています。
川崎重工業の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 斜板式可変容量アキシャルピストンポンプ K3VL | 押しのけ容積 28〜200 cm³、圧力 定格 32 MPa・ピーク 35 MPa |
| 精密ギヤポンプ | 高い容積効率で、圧力や粘度が変わっても安定した吐出量が得られ、各部品に互換性があると同社は説明 |
川崎重工業が解決できる課題
- 定格 32 MPa クラスの可変容量ポンプがほしい
- 粘度が変わっても吐出量が安定するギヤポンプがほしい
出典:会社概要|川崎重工業、精密機械ディビジョン|川崎重工業、K3VL series|Kawasaki Heavy Industries、精密ギヤポンプ|川崎重工業
株式会社島津製作所|フォークリフトや農業機械に使う油圧ギヤポンプ
島津製作所とは
京都市中京区に本社を置く会社です。油圧ギヤポンプ(単体ポンプ)を、アルミ合金製と鋳鉄製で出しています。
島津製作所の得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| 油圧ギヤポンプ YP10・YP15 | アルミ合金製の2つ割ケーシングで軽量・コンパクト。サイズ 0.8〜16 cc、定格圧力 Max 20.6 MPa |
| 油圧ギヤポンプ SGP1・SGP2・SGP600 | 特殊鋳鉄ボディの高圧用。SGP2 はセラミックを使った特殊シール構造。定格圧力 Max 20.6〜25.0 MPa |
| GPY・SP・FGP シリーズ | GPY は主に農機用。SP は特殊歯形と側板・軸受ブッシュで低騒音・高効率と同社は説明 |
島津製作所が解決できる課題
- 軽量・コンパクトなギヤポンプがほしい
- 高圧で使えるギヤポンプがほしい
出典:拠点・会社情報|島津製作所、油圧ギヤポンプ(単体ポンプ)|島津製作所
日本オイルポンプ株式会社|工作機械の潤滑・冷却に使うトロコイドポンプ
日本オイルポンプとは
埼玉県熊谷市に本社・工場を置く会社です。油圧、燃焼、水用ポンプ、油圧モーターと関連製品を設計・製造しています。トロコイドポンプは同社の日本などでの登録商標です。
日本オイルポンプの得意技術
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| トロコイドポンプ | 外歯車と内歯車がかみ合って回る内接歯車方式。流量・粘度・温度に合わせて 8,000 種以上。小容量 1〜8 L/min から大容量まで。1HG は最大 2.5 MPa、N3H は最大 4 MPa |
日本オイルポンプが解決できる課題
- 工作機械の潤滑油・切削油を静かに長く送りたい
- 燃料油や高粘度の油を移送したい
出典:会社概要|日本オイルポンプ、トロコイドポンプ|日本オイルポンプ
よくある質問
- 油圧ポンプとは、わかりやすく言うと?
- 電動機やエンジンの回転を、作動油の流れに変える機器です。閉じ込めた油を押し出す容積形で、ギヤ・ベーン・ピストンなどの種類があります。
- 油圧ポンプが圧力をつくるのですか?
- ポンプがつくるのは流れで、圧力は負荷の大きさやリリーフ弁の設定で決まります(油圧回路の中での役割)。
- ギヤポンプ・ベーンポンプ・ピストンポンプの違いは?
- 大まかには、ギヤは構造が簡単で安い、ベーンは静かで脈動が少ない、ピストンは高圧で吐出量を変えられる、という違いです(種類を比べる)。
- トロコイドポンプとは何ですか?
- 外歯車と内歯車がかみ合って回る内接歯車方式のポンプです。日本オイルポンプによると低騒音・長寿命で、作動油・潤滑油や切削液の移送などに使われます。
- ベーンポンプの「平衡形」とは?
- ロータの外周にかかる油圧が釣り合う形です。吐出量は変えられず、変えたいときは非平衡形やピストンポンプを使います。
- 吐出量はどう計算しますか?
- 吐出量(L/min)= 押しのけ容積(cm³/rev)× 回転数(min⁻¹)× 容積効率 ÷ 1000 です(吐出量と動力の計算)。
- ポンプから異音がします。何を見ればよいですか?
- 吸込み側の圧力が下がりすぎてキャビテーションが起きていないかを見ます。吸込み配管の急な曲がりや分岐が原因だった事例があります(キャビテーションと吸込み側の配管)。
- 油圧装置を省エネにするには?
- 止まっている間の動力を減らします。アンロード回路、可変容量ポンプ、インバーターやサーボモーターで回転数を変える方法があります(省エネ)。
回答は、このページの出典をもとに編集部がまとめたものです。
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※製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。本ページでは数値と事実だけを要約し、各社の文章・図・写真は転載していません。
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。図はAI(Claude)で作成した概念図です。
情報の確認日:2026年11月6日 本ページの内容は一般的な情報です。数値は出典の機種・条件の例として、実際の選定は最新のカタログと仕様書で確かめてください。

