MTBF・MTTR(平均故障間隔・平均修復時間)

工作機械の扉を開けて中のユニットを交換する保全の作業員と、予備のユニットを載せた台車、壁のホワイトボードに稼働(紺)と修理(オレンジ)の帯を描いたイメージ(AI で生成)

工場の機械や電子機器は、いつかは故障します。そのとき知りたいのは「どのくらいの間隔で壊れるのか」と「壊れたら、どのくらいで直るのか」の2つです。前者の平均が MTBF(平均故障間隔)、後者の平均が MTTR(平均修復時間)です。このページでは、MTBF・MTTR・MTTF の意味と計算のしかた、2つから出す稼働率、故障率との関係と「MTBF は寿命ではない」理由、装置をつないだときの考え方、ものづくりでの使い方を、できるだけやさしく説明します。

目次

ひとことで言うと

MTBF・MTTR とは

MTBF(Mean Time Between Failures、平均故障間隔)は、故障してから次に故障するまでに、動いている時間の平均です。日本語版ウィキペディアは、機械システムや情報システムなどの信頼性を表す指標とし、「稼働時間 ÷ 故障回数」で求められるとしています。

MTTR(Mean Time To Repair、平均修復時間)は、故障が起きてから、修復が終わるまでの時間の平均です(日本語版ウィキペディア)。東北大学の講義資料は、MTTR を、故障を見つけてから直すまでのしやすさ(保守性)を表す指標とし、MTTR が小さいほど保守性がよいとしています。

ある機械が300時間・210時間・250時間動いて、その間に6時間・4時間・5時間の修理で止まった記録を帯で描き、動いている時間の平均が MTBF の約253時間、修理の時間の平均が MTTR の5時間になることを示した図
図1 MTBF は動いている時間の平均、MTTR は止まっている時間の平均
出典:ウィキペディア日本語版、高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成

コーセルは、MTBF を、故障のたびに修理しながら使う製品の、故障から故障までの無事故時間の平均で、修理の時間は含まないと説明しています。上の図のように、動いている時間(紺)の平均が MTBF、止まっている時間(オレンジ)の平均が MTTR です(説明のための例。編集部の計算)。

出典:平均故障間隔|ウィキペディア日本語版、平均修復時間|ウィキペディア日本語版、高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、MTBFとは何か教えてください。|よくあるご質問(コーセル)

MTBF・MTTR の計算のしかた

負荷時間500時間、故障4回、止まっていた時間の合計20時間の記録から、MTBF=(500−20)÷4=120時間、MTTR=20÷4=5時間、稼働率=120÷125=96%を計算した図
図2 計算例:1か月の設備の記録から
出典:MONOist、高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成

日本語版ウィキペディアは、MTBF = システムの稼働時間 ÷ 故障回数 とし、例として、1個のシステムを100万時間動かして10回故障したら、MTBF は10万時間になるとしています。

工場の設備では、MONOist の設備管理の連載(福田祐二氏)が、設備保全の指標として、MTBF =(負荷時間 − 故障停止時間)÷ 故障停止回数、MTTR = 修復時間 ÷ 故障停止回数 という計算を紹介しています。負荷時間は、設備を動かす予定だった時間です(編集部の補足)。同じ連載は、MTTR の修復時間を、故障して修復したあと、良品の生産を始めるまでに費やした時間としています。「直った」ではなく「良品がまた作れるようになった」までを数えるのが、生産設備らしいところです。

たとえば、負荷時間500時間のうちに4回故障し、止まっていた時間が合わせて20時間なら、MTBF =(500 − 20)÷ 4 = 120時間、MTTR = 20 ÷ 4 = 5時間です(説明のための例。編集部の計算)。

出典:平均故障間隔|ウィキペディア日本語版、機械設備の高い信頼性なくして、高精度の生産管理は存在しない(福田祐二、2022年)|MONOist

MTTF との違い:直して使うか、交換するか

上は、動く・修理・動くを繰り返す機械で、故障と故障の間の動いている時間を平均するのが MTBF、下は、壊れたら交換する部品で、1個ずつの壊れるまでの時間を平均するのが MTTF であることを比べた図
図3 直して使うものは MTBF、直さずに交換するものは MTTF
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、リレー基本情報(パナソニック インダストリー)、よくあるご質問(コーセル)をもとに AI(Claude)で作成

MTTF(Mean Time To Failure、平均故障時間)は、修理せずに交換・廃棄するものが、壊れるまでの時間の平均です。東北大学の講義資料は、MTBF を車やコンピューターのような修理しながら使うもの(修理系)、MTTF を部品類のような修理せずに交換するもの(非修理系)に当てはめています。パナソニック インダストリーのリレーの解説も、MTBF は修理しながら使う系、MTTF は修理しないリレーなどに使うとしています。

ただし、言葉の使い方はメーカーによって少し違います。コーセルは、MTBF は使い始めてから、または故障から回復してから次に故障するまでの平均の時間、MTTF は使い始めてから故障するまでの時間とし、MTBF は修理できるものにも、できないものにも広く使われているとしています。カタログの数字を見るときは、どちらの意味で書かれているかを確かめます(編集部の解説)。

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、信頼性について|リレー基本情報(パナソニック インダストリー)、故障時間について、MTBFとMTTFの違いについて教えてください。|よくあるご質問(コーセル)

MTBF と MTTR から稼働率を出す

稼働率(アベイラビリティ)

稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR)

使いたいときに使える状態になっている時間の割合。東北大学の講義資料は、定常アベイラビリティとも呼ばれるとしている

東北大学の講義資料は、稼働率をシステムが使える状態にある確率とし、上の式で表しています。そして、MTBF が同じでも、MTTR が小さいほうが稼働率は高いので、故障を早く見つけられ、修理しやすいシステムが大切だとしています。

MTBF120時間・MTTR5時間の機械Aは稼働率96.0%、MTBF120時間・MTTR1時間の機械Bは99.2%、MTBF240時間・MTTR10時間の機械Cは96.0%であることを、1,000時間の帯の中の止まっている時間(オレンジ)で比べた図
図4 MTBF が同じでも、MTTR が短いほど稼働率は高い
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成

上の図の機械A と機械C は、稼働率がどちらも96%です。でも、C は止まる回数が半分で、1回の修理が2倍長くかかります。稼働率が同じでも、止まる回数と1回の長さで、現場の困り方は変わるので、MTBF と MTTR を分けて見ることが大事です(編集部の解説)。

稼働率の数字の小さな違いが、1年(8,760時間)で止まる時間ではどのくらいになるかを計算すると、次のようになります(編集部の計算)。

稼働率1年で止まる時間読み方(編集部)
99%約87.6時間約3日と16時間
99.9%約8.8時間1日の勤務より少し長い
99.99%約53分1時間に満たない

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)

故障率と MTBF:「MTBF 100万時間」の読み方

故障率 λ(ラムダ)は、動いているものが単位時間あたりに壊れる割合です。東北大学の講義資料は、故障率 λ が一定のとき、MTBF = 1 ÷ λ(MTTF も同じ)としています。故障率がとても小さい部品では、FIT(フィット。1 FIT = 10⁻⁹/時間、つまり10億時間に1回)という単位を使います(パナソニック インダストリー、東北大学の講義資料)。たとえば 1,000 FIT は 10⁻⁶/時間なので、MTBF にすると100万時間です(編集部の計算)。

故障率が一定のとき、壊れずに動いている割合が指数関数で下がり、MTBF の0.1倍の時間で約90.5%、MTBF の時間で約36.8%、2倍で約13.5%になることを示したグラフ
図5 故障率が一定なら、MTBF の時間で残るのは約37%
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成

東北大学の講義資料は、故障率が一定のときの信頼度(ある時間まで壊れずに動く確率)を R(t) = e^(−λt) としています。t に MTBF(= 1 ÷ λ)を入れると R = e⁻¹ ≒ 0.368 なので、MTBF と同じ時間だけ使うと、壊れずに残るのは約37%で、6割以上は一度は壊れていることになります(編集部の計算)。「MTBF の時間まではほとんど壊れない」という意味ではありません。

MTBF100万時間(1,000 FIT)の機器を1万台、1年(8,760時間)動かすと、合わせて8,760万台・時間なので約88台(約0.9%)が壊れることを、マス目と計算で示した図
図6 「MTBF 100万時間」は「114年もつ」ではない
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、ウィキペディア日本語版をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成

100万時間は約114年です。でも、MTBF 100万時間の機器を1万台、1年間動かし続けると、合わせて8,760万台・時間なので、故障率が一定なら1年に約88回の故障が起きる(1台あたり約0.9%)計算になります(編集部の計算)。MTBF は「たくさん使ったときに、どのくらいの割合で壊れるか」の目安で、1台が何年もつかを表す数字ではありません。

MTBF は寿命ではない

左にMTBF(故障と故障の間の平均の時間で、たくさん使ったとき何台が壊れるかの目安)、右に寿命(劣化する部品で決まり、メーカーが推定寿命として別に示す、いつごろ交換するかの目安)を並べ、MTBFは摩耗や経年劣化を考えないので耐用年数とは必ずしも一致しないことを示した図
図7 カタログの「MTBF」と「寿命」は別の数字
出典:ウィキペディア日本語版、よくあるご質問(コーセル)をもとに AI(Claude)で作成

日本語版ウィキペディアは、MTBF の出し方では摩耗や経年劣化を考えないので、耐用年数とは必ずしも一致しないと注意しています。上の計算も、故障率が一定の期間(偶発故障期)だけを考えたもので、古くなって故障率が上がる摩耗故障は入っていません(基礎知識「バスタブ曲線・ワイブル分布」)。

たとえば電源メーカーのコーセルは、各機種の MTBF をダウンロードページで公開する一方、AC-DC 電源の交換の時期については、電源の推定寿命の値を目安に考えるよう案内し、推定寿命のグラフと電解コンデンサーの寿命の資料を別に用意しています。交換の時期は MTBF ではなく、寿命の数字で考えます(編集部の解説)。

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、信頼性について|リレー基本情報(パナソニック インダストリー)、平均故障間隔|ウィキペディア日本語版、MTBFとは何か教えてください。|よくあるご質問(コーセル)、AC-DC電源の交換時期はどれくらいですか。|よくあるご質問(コーセル)

装置をつなぐと:直列と並列

稼働率99%の装置を3つ直列につなぐと0.99×0.99×0.99で約97.0%に下がり、2つを並列(二重化)にすると1−(1−0.99)×(1−0.99)で99.99%に上がることを示した図
図8 直列はかけ算で下がり、並列(二重化)は大きく上がる
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)をもとに編集部が計算し、AI(Claude)で作成

東北大学の講義資料は、すべての部分が正常なときだけ全体が動く直列のシステムでは、全体の稼働率はそれぞれの稼働率のかけ算になり、どれか1つが動けば全体が動く並列のシステムでは、稼働率は 1 −(1 − 稼働率1)×(1 − 稼働率2)×… になるとしています。並列の例として、冗長システム(予備を持たせたしくみ)で切り替えが完全にうまくいく場合を挙げています。

同じ資料は、それぞれの故障が独立で故障率が一定なら、直列の全体の故障率は、それぞれの故障率の足し算になるとしています。MTBF 3万時間の装置を3つ直列にすると、全体の故障率は3倍になり、全体の MTBF は1万時間です(編集部の計算)。生産ラインのように、機械を何台も直列に並べるほど、どこかで止まる回数は増えます(編集部の解説)。

出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)

ものづくりでどう効くか

稼働率を上げる2つの方向として、MTBFを延ばす(予防保全、振動・温度で壊れる前に気づく、定格より軽く使う、FMEAで壊れ方を洗い出す、再発防止)と、MTTRを縮める(自己診断、予備品、交換しやすい構造、手順書と人の育成、二重化)を2列に並べた図
図9 稼働率を上げる2つの方向:止まりにくく、早く直す
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、ウィキペディア日本語版、MONOistをもとに AI(Claude)で作成

MTBF を延ばす:MONOist の連載は、MTBF が大きいほど設備の信頼性が高いとしています。壊れやすい部品を壊れる前に替える、振動や温度を見て異常に早く気づく、設計の段階で壊れ方を洗い出す、同じ故障を繰り返さない、といった手があります(編集部の解説。課題「状態を検知したい」、「設計の段階で故障を洗い出したい(FMEA・FTA)」、「不良の再発を防ぎたい」)。同じ連載は、ベアリングやセンサーなどの部品の寿命の平均(MTTF)を知っておくと、点検や交換の頻度を決めるのに役立つとしています。

MTTR を縮める:日本語版ウィキペディアは、MTTR を左右するものとして、修理しやすさを考えた設計、前もって整えた修理の体制、技術者の能力を挙げています。故障をすぐ見つけて場所を示すしくみ、予備品、交換しやすい構造(ユニット化)、手順書、二重化などがこれにあたります(編集部の解説)。原因がわからず修理が長引く故障は、課題「再現しない不具合の原因を突き止めたい」や「機械の異音の原因を突き止めたい」も参考になります。

まず記録をとる

MTBF と MTTR は、止まった日時・直った日時・原因を記録しておけば、だれでも計算できます。どちらが効くかは、止まる回数と1回の長さの記録を見て決めるのが近道です。止まる回数が多いなら MTBF を、1回が長いなら MTTR を先に改善します(編集部の解説)。

出典:機械設備の高い信頼性なくして、高精度の生産管理は存在しない(福田祐二、2022年)|MONOist、平均修復時間|ウィキペディア日本語版

似ている言葉との違い

MTBF(平均故障間隔)、MTTF(平均故障時間)、MTTR(平均修復時間)、稼働率(アベイラビリティ)、故障率λ、B10寿命(軸受ではL10)について、何を表すかと単位を比べた表
図10 信頼性・保全性の言葉の早見表
出典:高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)、リレー基本情報(パナソニック インダストリー)、ウィキペディア日本語版をもとに AI(Claude)で作成

MTBF・MTTFは壊れるまでの「平均の時間」、MTTRは直るまでの「平均の時間」、稼働率は使える時間の「割合」、故障率は単位時間あたりに壊れる「割合」です。軸受などで使う B10 寿命は「全体の1割が壊れるまでの時間」で、平均とは別のものです(基礎知識「バスタブ曲線・ワイブル分布」)。数字を比べるときは、同じ種類の数字どうしで比べることが大切です(編集部の解説)。

出典

  1. 平均故障間隔|ウィキペディア日本語版
  2. 平均修復時間|ウィキペディア日本語版
  3. 高信頼システム 01 〜信頼性の基礎〜(2019年。東北大学 張山昌論 の講義資料)
  4. MTBFとは何か教えてください。|よくあるご質問(コーセル)
  5. 機械設備の高い信頼性なくして、高精度の生産管理は存在しない(福田祐二、2022年)|MONOist
  6. 信頼性について|リレー基本情報(パナソニック インダストリー)
  7. 故障時間について、MTBFとMTTFの違いについて教えてください。|よくあるご質問(コーセル)
  8. AC-DC電源の交換時期はどれくらいですか。|よくあるご質問(コーセル)

※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品ではありません。

情報の確認日:2026年10月7日

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次