流量とは、決まった時間に流れる液体や気体の量のことです。配管の太さを決める、ポンプを選ぶ、流量計を読むといった場面で、まず必要になる考え方です。このページでは、体積流量と質量流量の違い、流量の計算(Q=A×v)、単位の換算、気体の流量で注意する「ノルマル」、ものづくりでの使い方を順に説明します。
流量とは:ひとことで言うと
流量
単位時間に流れる流体の体積または質量です。体積で数えると「体積流量」、質量で数えると「質量流量」と呼びます。キーエンスの解説は、JIS B 0100(バルブ用語)の定義としてこの説明を紹介しています。

出典:この記事の内容をもとに AI(Claude)で作成
流量は「どれだけ流れたか(量)」を「時間」で割った値です。同じ 10 L でも、1 分でたまるのと 10 分でたまるのとでは流量が 10 倍違います。流量計は、この「時間あたりの量」を測る道具です。
出典:体積流量と質量流量(流量計の基礎)|キーエンス、流量|ウィキペディア日本語版
体積流量と質量流量

出典:キーエンス、ウィキペディア日本語版「水の性質」、ウィキペディア日本語版「空気」をもとに AI(Claude)で作成
| 体積流量 | 質量流量 | |
|---|---|---|
| 数えるもの | 体積(m³・L) | 質量(kg) |
| 基本の単位 | m³/s | kg/s |
| よく使う単位 | L/min、m³/h | kg/h、t/h |
| 向いている場面 | 水の配管、ポンプの能力 | 燃料や原料の量、温度や圧力が変わる気体 |
2つは 質量流量 = 密度 × 体積流量 の関係でつながっています。水の密度は約 1,000 kg/m³(ウィキペディア日本語版「水の性質」によると、3.984℃ で最大の 999.97495 kg/m³)なので、水 1 L/s はおよそ 1 kg/s です。空気は 0℃・1 気圧で 1.293 kg/m³ と軽く、20℃ では約 1.2 kg/m³(編集部の計算)なので、同じ 1 L/s でも約 1.2 g/s にしかなりません。
液体は温度や圧力が変わっても体積がほとんど変わらないので、体積流量で扱うことが多くなります。気体は温度や圧力で体積が大きく変わるので、質量流量や、決まった状態に直した体積流量(下の「ノルマル」)で扱います。キーエンスの解説も、体積流量から質量流量を出すときは、圧力に応じた正しい比体積を使わないと正確な値にならないと注意しています(特に気体で効いてきます)。
出典:体積流量と質量流量(流量計の基礎)|キーエンス、水の性質|ウィキペディア日本語版、空気|ウィキペディア日本語版
流量の計算:Q=A×v

出典:ウィキペディア日本語版「流量」、東フロコーポレーションをもとに AI(Claude)で作成
管の中を流れる体積流量は、流量 Q = 断面積 A × 平均流速 v で求めます(ウィキペディア日本語版「流量」)。1 秒間に水が v メートル進むなら、断面積 A の水の柱が v メートル分、1 秒で通り過ぎるからです。流速は管の中心で速く壁の近くで遅いので、ここでは平均の流速を使います(この一文は編集部の補足)。
東フロコーポレーションの計算ツールは、単位を L/min・m/s・mm にした形で Q[L/min]= v[m/s]× D²[mm]× 0.04712 を使っています(0.04712 は π/4 × 60/1000 を丸めた値)。この式で内径 20 mm・流速 2.0 m/s を計算すると約 37.7 L/min です(編集部の計算)。
出典:流量|ウィキペディア日本語版、流量・流速・配管径 計算ツール|東フロコーポレーション
細い所ほど速く流れる(連続の式)

出典:ウィキペディア日本語版「流量」をもとに AI(Claude)で作成
水のように圧縮されにくい流体が1本の管を流れるとき、途中で水が増えたり消えたりしないので、どの断面でも流量は同じです。そのため A₁ × v₁ = A₂ × v₂ が成り立ち、これを連続の式と呼びます(Q=A×v から導ける関係。編集部の補足)。内径が半分になると断面積は 1/4 になり、流速は 4 倍になります。ホースの先をつまむと水が勢いよく飛ぶのも同じ理由です。
計算例:内径 50 mm の管を水が 1.5 m/s で流れるとき

出典:ウィキペディア日本語版「流量」、キーエンスをもとに AI(Claude)で作成
| 手順 | 式 | 答え |
|---|---|---|
| ① 断面積 | A = π × 0.05² ÷ 4 | 約 0.00196 m² |
| ② 体積流量 | Q = 0.00196 × 1.5 | 約 0.00295 m³/s |
| ③ 単位を直す | × 60,000(L/min)、× 3,600(m³/h) | 約 177 L/min、約 10.6 m³/h |
| ④ 質量流量 | × 約 1,000 kg/m³ | 約 2.9 kg/s |
長さはメートル、時間は秒にそろえてから計算すると、桁の間違いが減ります。mm のまま 50² を掛けると、答えが 100 万倍ずれます。逆に、流したい流量と流速の目安から管の内径を決める計算は、課題:配管のサイズ(口径)を流量から決めたいで扱っています。
流量の単位と換算

出典:キーエンス、東フロコーポレーションをもとに AI(Claude)で作成
| 単位 | 読み方 | 1 m³/s で表すと | よく使う場面 |
|---|---|---|---|
| m³/s | 立方メートル毎秒 | 1 | SI の基本の単位、河川・大きな設備 |
| m³/h | 立方メートル毎時 | 3,600 | ポンプ・送風機・空調 |
| L/min | リットル毎分 | 60,000 | 工場の配管、冷却水、流量計 |
| L/s | リットル毎秒 | 1,000 | 給水・排水 |
| kg/s・kg/h | キログラム毎秒・毎時 | (密度を掛ける) | 質量流量、蒸気、燃料 |
キーエンスの解説によると、体積流量の基本の単位は m³/s、質量流量は kg/s で、計量法では m³ を L に、秒を分や時間に置き換えて使ってよいことになっています。現場でよく使う換算は 1 L/min = 0.06 m³/h、逆に 1 m³/h ≒ 16.7 L/min です(東フロコーポレーションの換算ツールに 10 L/min を入れると 0.6 m³/h と表示されます)。
出典:体積流量と質量流量(流量計の基礎)|キーエンス、流量・圧力 単位換算ツール|東フロコーポレーション
気体の流量:ノルマルと標準

出典:オーバルをもとに AI(Claude)で作成
気体は温度が上がると膨らみ、圧力をかけると縮みます。そのため「毎分何リットル」と言っても、どの温度・圧力での体積かを決めないと量が決まりません。そこで使うのが ノルマル(N):0℃・101.325 kPa(1 気圧)の状態に直した体積 です。Nm³/h や NL/min のように単位に N を付けます(オーバルの解説)。
| 表し方 | 基準の状態 | 注意 |
|---|---|---|
| ノルマル(Nm³/h・NL/min) | 0℃・101.325 kPa(絶対圧) | 流量計や仕様書でよく使われる |
| 標準(SL/min など) | 20℃ を基準にする例がある | 資料や製品仕様で基準を確かめる |
| 実流量(アクチュアル) | そのときの温度・圧力 | 配管の中を実際に流れている体積 |
東フロコーポレーションの解説は、0℃ を基準にする場合に NL/min、20℃ を基準にする場合に SL/min が使われる例があり、基準の温度・圧力は資料や製品仕様で確かめる必要があるとしています。上の図のとおり、同じ空気でも 0.5 MPa(ゲージ圧)まで圧縮すると、実際の体積流量はノルマルの値の 2 割弱になります。
実際の流量をノルマルに直すときは、QN = Q ×{273.15 ÷(T + 273.15)}×{(P + 0.101325)÷ 0.101325}の形の式を使います(T は温度[℃]、P はゲージ圧[MPa]。高い圧力では圧縮係数でさらに補正)。オーバルの技術資料がこの補正を説明しています。
出典:[Nm3/h] は何の単位ですか(よくある質問)|オーバル、測定流体が気体の場合の温圧補正(気体のノルマル換算)|オーバル、気体流量の基礎知識|標準流量・実流量・NL/minの違い|東フロコーポレーション
ものづくりでの流量
配管の流速の目安

出典:オーバル、東京計器、テイエルブイをもとに AI(Claude)で作成
流量が決まっていても、管を細くすると流速が上がり、圧力損失が増えます。テイエルブイの資料は、蒸気の流速が大きいとエロージョン(すり減り)と圧力損失が問題になり、口径を上げると材料費・工事費・放熱が増えるとしています。そのため、流体ごとに「このくらいの流速で流す」という目安があります。オーバルの表(化学プラント建設便覧による)では、液体はポンプの吸込みで 0.5〜2.0 m/s、吐出しで 1.0〜3.0 m/s(ピストンポンプは別の値)、動力用の圧縮空気(5〜7 kgf/cm²、約 0.5〜0.7 MPa)は 7〜14 m/s です。作動油の圧力配管は東京計器の資料で 2.5〜6 m/s、0.5〜1.5 MPaG の蒸気はテイエルブイの資料で 20〜30 m/s です。
出典:管内流速の標準値|オーバル、油圧機器 付録(配管の選定)|東京計器、蒸気配管の口径選定と圧力損失(省エネルギー講座)|テイエルブイ
ポンプ・送風機を選ぶ
ポンプや送風機は「どれだけの流量を、どれだけの圧力(揚程)で送れるか」で選びます。流量だけでなく、配管の圧力損失(基礎知識:圧力損失)と合わせて考えます。種類と選び方は技術:ポンプと技術:コンプレッサーにまとめています。
流量を測る
流量計には、体積流量を測るものと、質量流量を測るものがあります。キーエンスの解説では、電磁式は導電率 5 μS/cm 以下の液体には使えず、コリオリ式は補正なしで質量流量を測れ、熱式も質量流量を測ります。測りたい流体と、体積と質量のどちらが欲しいかで選びます(課題:流量を正しく測りたい(流量計の選び方))。
出典:流量計の種類と特徴(流量計の基礎)|キーエンス、流量計の選び方|キーエンス
よくある質問
流量の求め方を教えてください
管の中なら、流量 Q = 断面積 A × 平均流速 v で求めます。内径 d の円い管なら A = π × d² ÷ 4 です。容器にためるなら、たまった量 ÷ かかった時間で求められます。
L/min と m³/h はどう換算しますか
1 L/min = 0.06 m³/h です。L/min の値に 0.06 を掛けると m³/h、m³/h の値に約 16.7 を掛けると L/min になります。
流量と流速はどう違いますか
流量は時間あたりに流れる量(L/min など)、流速は流れの速さ(m/s)です。同じ流量でも、管が細いと流速は速く、太いと遅くなります。
Nm³/h とは何ですか
0℃・1 気圧(101.325 kPa)に直したときの気体の体積で表した流量です。温度や圧力が違う気体どうしを同じ物差しで比べるために使います。
流量の話が出てくるページ
出典
- 体積流量と質量流量(流量計の基礎)|キーエンス
- 流量|ウィキペディア日本語版
- 水の性質|ウィキペディア日本語版
- 空気|ウィキペディア日本語版
- 流量・流速・配管径 計算ツール|東フロコーポレーション
- 流量・圧力 単位換算ツール|東フロコーポレーション
- [Nm3/h] は何の単位ですか(よくある質問)|オーバル
- 測定流体が気体の場合の温圧補正(気体のノルマル換算)|オーバル
- 気体流量の基礎知識|標準流量・実流量・NL/minの違い|東フロコーポレーション
- 管内流速の標準値|オーバル
- 油圧機器 付録(配管の選定)|東京計器
- 蒸気配管の口径選定と圧力損失(省エネルギー講座)|テイエルブイ
- 流量計の種類と特徴(流量計の基礎)|キーエンス
- 流量計の選び方|キーエンス
※図は、出典の説明をもとに編集部がまとめた模式図です。計算例の数値は編集部の計算です。
※アイキャッチ画像は、AI(ChatGPT)で生成したイメージです。実在の製品・装置ではありません。
情報の確認日:2026年11月6日
